特許第6197231号(P6197231)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6197231
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】ロキソプロフェン含有医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4152 20060101AFI20170911BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20170911BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   A61K31/4152ZMD
   A61K31/192
   A61P29/00
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-271935(P2012-271935)
(22)【出願日】2012年12月13日
(65)【公開番号】特開2014-118348(P2014-118348A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】316008352
【氏名又は名称】シオノギヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205316
【弁理士】
【氏名又は名称】田島 繁
(72)【発明者】
【氏名】清水 利勝
(72)【発明者】
【氏名】玉田 純人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 達守
【審査官】 馬場 亮人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−133299(JP,A)
【文献】 特開2014−159377(JP,A)
【文献】 国際公開第01/002014(WO,A1)
【文献】 特開2002−316927(JP,A)
【文献】 特開2012−072106(JP,A)
【文献】 特開平11−139971(JP,A)
【文献】 特開2000−143505(JP,A)
【文献】 特開2004−083579(JP,A)
【文献】 特開2011−132214(JP,A)
【文献】 medicina,2002年,Vol.39, No.11,p.448-450
【文献】 治療薬マニュアル2007,2007年,第39−40頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/4152
A61K 31/192
A61P 29/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロキソプロフェンまたはその塩1重量部に対して、ピラゾロン系薬剤1乃至5重量部を含有し、ピラゾロン系薬剤がイソプロピルアンチピリンであり、解熱用および/または感冒用であることを特徴とする医薬組成物(ただし、1錠あたり、ロキソプロフェンナトリウム水和物68.1重量部およびピラゾロン系薬剤としてイソプロピルアンチピリン150重量部を含有する錠剤を除く。)。
【請求項2】
ロキソプロフェンまたはその塩1重量部に対して、ピラゾロン系薬剤3乃至5重量部を含有し、ピラゾロン系薬剤がイソプロピルアンチピリンであり、解熱用および/または感冒用であることを特徴とする医薬組成物。
【請求項3】
ロキソプロフェンの塩が、ロキソプロフェンナトリウム水和物である請求項1または2記載の医薬組成物。
【請求項4】
1重量部のロキソプロフェンまたはその塩に対して、1乃至5重量部のイソプロピルアンチピリンを用いる、イソプロピルアンチピリンを含有する、ロキソプロフェンまたはその塩の解熱作用を増強するための製剤(ただし、68.1重量部のロキソプロフェンナトリウム水和物に対して、150重量部のイソプロピルアンチピリンを用いる場合を除く)。
【請求項5】
1乃至5重量部のイソプロピルアンチピリンに対して、1重量部のロキソプロフェンまたはその塩を用いる、ロキソプロフェンまたはその塩を含有する、イソプロピルアンチピリンの解熱作用を増強するための製剤(ただし、150重量部のイソプロピルアンチピリンに対して、68.1重量部のロキソプロフェンナトリウム水和物を用いる場合を除く)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロキソプロフェンまたはその塩を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ロキソプロフェンは、非ステロイド性消炎鎮痛剤の一種であり、関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、歯痛、急性上気道炎、手術後・外傷後・抜歯後等の消炎・鎮痛・解熱に有効なものとして知られている。一方、ピラゾロン系薬剤を配合した製剤は、頭痛、歯痛、生理痛、関節痛、筋肉痛、咽頭痛等の鎮痛や、喉の腫れ等炎症症状の緩和、または風邪等の疾患に起因する発熱、頭痛、各種炎症等を抑制する目的で使用されている。
しかし、ロキソプロフェンは消化器系の副作用を有し、ピラゾロン系薬剤はアレルギー反応による「ピリン疹」を副作用として起こすことがあり、いずれの薬剤も、安全性を高め、十分な解熱鎮痛消炎効果を得るためには投与量を制限しなければならないという問題がある。
【0003】
ロキソプロフェンは、その優れた薬理作用から、様々な薬物と組み合せることが検討されている。当該組み合わせにより得られる作用としては、例えば、エテンザミドやアセトアミノフェンと組み合せることによる消炎・鎮痛・解熱効果の増強作用(特許文献1)、ブロムヘキシン塩酸塩と組み合わせることによる消炎・鎮痛・解熱効果の増強作用(特許文献2)、クロルフェニラミン、キサンチン誘導体と組み合わせることによる解熱効果の増強作用(特許文献3)、エフェドリン類、キサンチン誘導体とを組み合わせることによる解熱効果の増強作用(特許文献4)等が知られている。
また、ロキソプロフェンをカルビノキサミンマレイン酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩、ケトチフェンフマル酸塩、メキタジンやエピナスチン塩酸塩と組み合わせることによる鼻閉症状の改善作用(特許文献5)、アゼラスチン塩酸塩やメキタジンと組み合わせることによる杯細胞過形成抑制作用(特許文献6)、ブロムヘキシン塩酸塩やアンブロキソール塩酸塩と組み合わせることによる、咳嗽症状に対する効果の増強作用(特許文献7)および杯細胞過形成抑制作用(特許文献8)等が知られている。
【0004】
ピラゾロン系薬剤は、その優れた薬理作用から、様々な薬物と組み合せることが検討されている。当該組み合わせにより得られる作用としては、例えば、イブプロフェンと組み合わせることによる鎮痛効果の増強作用(特許文献9)、ナプロキセン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、イブプロフェン、アセトアミノフェンから選択される1種または2種以上およびプソイドエフェドリンと組み合わせることによる咳嗽症状に対する効果の増強作用(特許文献10)、ニンニク加工物を組み合わせることによる浮腫抑制効果の増強作用(特許文献11)等が知られている。
【0005】
しかしながら、上述した公知文献のいずれにおいても、ロキソプロフェンまたはその塩とピラゾロン系薬剤を組み合わせることにより、解熱作用に相乗効果が奏されることは開示も示唆もされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−139971号公報
【特許文献2】特開2000−143505号公報
【特許文献3】特開2011−132214号公報
【特許文献4】特開2012−72106号公報
【特許文献5】特開2001−199882号公報
【特許文献6】特開2008−169193号公報
【特許文献7】特開2001−172175号公報
【特許文献8】特開2008−13542号公報
【特許文献9】特許第3168582号公報
【特許文献10】特開2002−316927号公報
【特許文献11】WO2004/050110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、低用量で優れた解熱効果を有し、副作用が軽減されうる医薬組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、意外にも、ロキソプロフェンまたはその塩1重量部に対して、ピラゾロン系薬剤1乃至5重量部含有させることで、解熱作用に相乗効果が奏されることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)ロキソプロフェンまたはその塩1重量部に対して、ピラゾロン系薬剤1乃至5重量部を含有することを特徴とする医薬組成物、
(2)ロキソプロフェンの塩が、ロキソプロフェンナトリウム水和物である上記(1)記載の医薬組成物、
(3)ピラゾロン系薬剤がイソプロピルアンチピリンである上記(1)または(2)記載の医薬組成物、
(4)解熱用および/または感冒用である上記(1)から(3)のいずれかに記載の医薬組成物、
(5)イソプロピルアンチピリンを含有する、ロキソプロフェンまたはその塩の解熱作用を増強するための製剤、
に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の医薬組成物は、ロキソプロフェンまたはその塩とピラゾロン系薬剤の相乗効果により、極めて優れた解熱作用を有するとともに副作用が軽減されうる医薬組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ロキソプロフェン1重量部、イソプロピルアンチピリン1重量部およびその併用投与群における発熱抑制率(%)を示す図である。
図2】ロキソプロフェン1重量部、イソプロピルアンチピリン3重量部およびその併用投与群における発熱抑制率(%)を示す図である。
図3】ロキソプロフェン1重量部、イソプロピルアンチピリン5重量部およびその併用投与群における発熱抑制率(%)を示す図である。
図4】ロキソプロフェン1重量部、イソプロピルアンチピリン10重量部およびその併用投与群における発熱抑制率(%)を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、ロキソプロフェンまたはその塩とピラゾロン系薬剤を、特定の割合で組み合わせてなるものである。
【0013】
本発明における医薬組成物は、ロキソプロフェンまたはその塩を含む単位投与形態の製剤と、ピラゾロン系薬剤を含む単位投与形態の製剤との組み合わせとして提供されるか、あるいは、ロキソプロフェンまたはその塩とピラゾロン系薬剤を一緒に含む単位投与形態の組成物として提供される。ロキソプロフェンまたはその塩とピラゾロン系薬剤を一緒に含む単位投与形態の組成物として提供されることがより好ましい。
【0014】
本発明における「ロキソプロフェンまたはその塩」には、ロキソプロフェンのみならず、ロキソプロフェンの薬学上許容される塩、さらには水やアルコール等との溶媒和物が含まれる。これらは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。本発明において、ロキソプロフェンまたはその塩としては、ロキソプロフェンナトリウム水和物が好ましい。
【0015】
本発明における「ロキソプロフェンまたはその塩」の含有量は特に限定されず、医薬組成物の投与方法、形状、利用目的、服用者の性別、年齢、症状等に応じて適宜選択可能である。例えば経口投与用の組成物の場合、1日あたりロキソプロフェン無水物換算で10〜300mg服用できる量が好ましく、30〜240mg服用できる量がより好ましく、60〜180mg服用できる量がさらに好ましい。
【0016】
本発明における「ピラゾロン系薬剤」には、イソプロピルアンチピリン、アンチピリン、スルピリンなどが含まれる、これらは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。本発明において、「ピラゾロン系薬剤」としては、イソプロピルアンチピリンが好ましい。
【0017】
本発明における「ピラゾロン系薬剤」の含有量は特に限定されず、医薬組成物の投与方法、形状、利用目的、服用者の性別、年齢、症状等に応じて適宜選択可能である。例えば経口投与用の組成物の場合、1日あたり25〜750mg服用できる量が好ましく、75〜600mg服用できる量がより好ましく、150〜450mg服用できる量がさらに好ましい。
【0018】
本発明における「ロキソプロフェンまたはその塩」と「ピラゾロン系薬剤」の含量比率は特に限定はされないが、「ロキソプロフェンまたはその塩」の合計1重量部に対して、ピラゾロン系薬剤1乃至5重量部が好ましく、3乃至5重量部がより好ましい。ピラゾロン系薬剤の含量比率がこれよりも低ければ、解熱の相乗効果を発揮できない可能性があり、これよりも高ければ、副作用が生じる恐れがある。
【0019】
本発明の医薬組成物としては、経口投与にまたは非経口投与に適する組成物のどちらであってもよい。好ましくは経口投与に適する組成物である。また、経口投与に適する組成物は、ロキソプロフェンまたはその塩とピラゾロン系薬剤を1つの単位投与形態に含む固体状、半固体状、又は液状の組成物として提供されることがより好ましい。
【0020】
本発明の医薬組成物を経口投与に適する医薬組成物として提供するにあたり、その投与形態は特に限定されない。例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、チュアブル錠、フィルムコーティング錠、糖衣錠、軟カプセル剤、硬カプセル剤等の固形の形態の組成物、ドリンク剤などの溶液の形態の組成物、又はゼリー剤等の半固形の形態の組成物のいずれでもよい。本発明においては、固形の形態の医薬組成物とするのが安定性・飲みやすさの観点から好ましい。
【0021】
本発明の医薬組成物には、医薬成分として、ロキソプロフェンまたはその塩とピラゾロン系薬剤以外の薬物、例えば、解熱鎮痛消炎剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、ノスカピン類、気管支拡張剤、去痰剤、催眠鎮静剤、ビタミン類、抗炎症剤、胃粘膜保護剤、抗コリン剤、カフェイン類及びキサンチン系成分等からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含んでいてもよい。これら成分は、例えば上記固形製剤中に含有するのが好ましい。
【0022】
解熱鎮痛消炎剤としては、例えば、イブプロフェン、ケトプロフェン等のプロピオン酸薬剤、ピロキシカム等のオキシカム系薬剤、アスピリン、アスピリンナトリウム、エテンザミド、サリチルアミド、サリチル酸ナトリウム等のサリチル酸系薬剤、アセトアミノフェン、フェナセチン、ラクチルフェネチジン等のアニリン系薬剤、およびアセメタシン、インドメタシン等のインドール酢酸系薬剤等が挙げられる。
【0023】
抗ヒスタミン剤としては、例えば、アゼラスチン塩酸塩、アリメマジン酒石酸塩、イソチペンジル塩酸塩、イプロヘプチン塩酸塩、エピナスチン塩酸塩、エメダスチンフマル酸塩、カルビノキサミンジフェニルジスルホン酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩、クレマスチンフマル酸塩、dl−クロルフェニラミンマレイン酸塩、d−クロルフェニラミンマレイン酸塩、ケトチフェンフマル酸塩、ジフェテロール塩酸塩、ジフェテロールリン酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩、ジフェニルピラリンテオクル酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩、ジフェンヒドラミンタンニン酸塩、トリプロリジン塩酸塩、トリペレナミン塩酸塩、トンジルアミン塩酸塩、フェネタジン塩酸塩、プロメタジン塩酸塩、プロメタジンメチレン二サリチル酸塩、メキタジン、メトジラジン塩酸塩、メブヒドロリンナパジシル酸塩等が挙げられる。
【0024】
鎮咳剤としては、例えば、アロクラミド塩酸塩、エプラジノン塩酸塩、カルベタペンタンクエン酸塩、クロペラスチン塩酸塩、クロペラスチンフェンジゾ酸塩、コデインリン酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩、ジブナートナトリウム、ジメモルファンリン酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩、デキストロメトルファン・フェノールフタリン塩、チペピジンクエン酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩等が挙げられる。
【0025】
ノスカピン類としては、例えば、ノスカピン塩酸塩、ノスカピン等が挙げられる。
気管支拡張剤としては、例えば、トリメトキノール塩酸塩、フェニルプロパノールアミン塩酸塩、フェニレフリン塩酸塩、メトキシフェナミン塩酸塩等が挙げられる。
【0026】
去痰剤としては、例えば、アンブロキソール塩酸塩、アンモニア・ウイキョウ精、エチルシステイン塩酸塩、塩化アンモニウム、カルボシステイン、グアイフェネシン、グアヤコールスルホン酸カリウム、クレゾールスルホン酸カリウム、ブロムヘキシン塩酸塩、メチルシステイン塩酸塩、l−メントール等が挙げられる。
【0027】
催眠鎮静剤としては、例えば、アリルイソプロピルアセチル尿素、ブロムワレリル尿素等が挙げられる。ビタミン類としては、例えば、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB12、ビタミンC、ヘスペリジン及びその誘導体並びにそれらの塩類等(例えば、チアミン、チアミン塩化物塩酸塩、チアミン硝化物、ジセチアミン塩酸塩、セトチアミン塩酸塩、フルスルチアミン、フルスルチアミン塩酸塩、オクトチアミン、シコチアミン、チアミンジスルフィド、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、リボフラビン、リボフラビンリン酸エステル、リボフラビン酪酸エステル、リン酸リボフラビンナトリウム、パンテノール、パンテチン、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキサールリン酸エステル、シアノコバラミン、メコバラミン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、ヘスペリジン等)が挙げられる。
【0028】
抗炎症剤としては、例えば、リゾチーム塩酸塩、グリチルリチン酸及びその誘導体並びにそれらの塩類(例えば、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等)、セアプローゼ、セミアルカリプロティナーゼ、セラペプターゼ、トラネキサム酸、プロクターゼ、プロナーゼ、ブロメライン等が挙げられる。
【0029】
胃粘膜保護剤としては、例えば、アミノ酢酸、アルジオキサ、ケイ酸マグネシウム、ゲファルナート、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウム・アミノ酢酸塩(アルミニウムグリシネート)、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムの共沈生成物、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物、スクラルファート、セトラキサート塩酸塩、ソファルコン、炭酸マグネシウム、テプレノン、銅クロロフィリンカリウム、銅クロロフィリンナトリウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、メチルメチオニンスルホニウムクロリド等が挙げられる。
【0030】
抗コリン薬としては、例えば、オキシフェンサイクリミン塩酸塩、ジサイクロミン塩酸塩、メチキセン塩酸塩、スコポラミン臭化水素酸塩、ダツラエキス、チペピジウム臭化物、メチルアトロピン臭化物、メチルアニソトロピン臭化物、メチルスコポラミン臭化物、メチル−l−ヒヨスチアミン臭化物、メチルベナクチジウム臭化物、ピレンゼピン塩酸塩、ブチルスコポラミン臭化物、ベラドンナアルカロイド、ベラドンナエキス、ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミド、ヨウ化ジフェニルピペリジノメチルジオキソラン、ロートエキス、ロート根、ロート根総アルカロイドクエン酸塩等が挙げられる。
【0031】
本発明における医薬組成物は、当業界において慣用されている手法により適宜調製できる。この場合において、必要に応じて、当業界で通常用いられる製剤用添加物を1種又は2種以上用いてもよい。製剤用添加物としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、フィルム基剤、界面活性剤、嬌味剤、香料、甘味剤、酸味剤等を挙げることができるが、これらに限定されることはない。
【0032】
本発明の医薬組成物の投与方法は特に限定されず、ロキソプロフェンまたはその塩とピラゾロン系薬剤を含む組成物を、同時に又は時間を変えて投与することができる。これらを、時間を変えて投与する場合には、先に投与した有効成分の血中濃度が低下しない時間内に他の有効成分を投与することが望ましい。本発明における医薬の投与方法としては、解熱作用効果の観点から、これら成分を同時に投与することが好ましい。
【0033】
本発明の医薬組成物の用途としては、例えば、鎮痛用、解熱用、感冒用などが挙げられ、具体的には、鎮痛用として、頭痛・歯痛・抜歯後の疼痛・咽頭痛・耳痛・関節痛・神経痛・腰痛・筋肉痛・肩こり痛・打撲痛・骨折痛・ねんざ痛・月経痛(生理痛)・外傷痛などの治療あるいは緩和のための組成物、解熱用として、悪寒・発熱時の解熱などの治療あるいは緩和のための組成物、感冒用として、かぜの諸症状(鼻水、鼻づまり、くしゃみ、のどの痛み、せき、たん、悪寒、発熱、頭痛、関節の痛み、筋肉の痛み)の治療あるいは緩和のための組成物などに用いることができる。
また、下記実施例の通り、ロキソプロフェンまたはその塩1重量部に対し、ピラゾロン系薬剤1乃至5重量部を併用すると、ロキソプロフェンまたはその塩の解熱作用が増強されるので、本発明の医薬組成物は解熱剤として有用なものである。
【実施例】
【0034】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0035】
実施例1
下記の方法に従って解熱試験を行った。
<試験方法>
7週齢のCrl:CD系雄性ラット(以下、ラットと略す)を用い、1群4〜9匹として試験を実施した。実験期間中飼料と水は自由に摂取させた。
ラットの直腸温を、プローブセンサー(RECTAL PROBE RET−2)を取り付けたデジタルサーモメータ(Microprobe Thermometer BAT−12、Physitemp Instruments Inc.)を用いて測定し、これを平常時体温(A)とした。その後、ビール酵母(Yeast Brewers、SIGMA)を生理食塩水に懸濁し20%濃度としたものを、ラットの背部に皮下注射に15mL/kg投与した。
投与18時間経過後、直腸温を測定し、これを発熱時体温(B)とした。発熱量(発熱時体温(B)−平常時体温(A))が0.6℃以上の個体を、発熱量が平均化するように群分けした。次いで、各群のラットに、以下の手順で経口投与を行った。
群(1)のラットには、被検薬物として、ロキソプロフェンナトリウム水和物(以下、LOXと略す)を0.5%メチルセルロース(以下、MCと略す)溶液に懸濁し、1mg/kg経口投与した。
群(2)のラットには、被検物質として、イソプロピルアンチピリン(以下、IPAと略す)を0.5%MC溶液に懸濁し、1mg/kg経口投与した。
群(3)のラットには、被検物質として、LOXおよびIPAを0.5%MC溶液に懸濁し、所定量(LOX:1mg/kg、IPA:1mg/kg)経口投与した。
また、対照群のラットには、0.5%MCのみを経口投与した。
なお、いずれの群も、投与容量は5mL/kgとした。
そして、被検薬物投与1時間後、直腸温を測定し、これを被検物質投与後の体温(C)とした。各被検物質投与群における(C)−(A)および、対照群における(C)−(A)を算出して、以下の数式に基づき、発熱抑制率(%)および相対指数を算出した。
【0036】
発熱抑制率(%)=(1−各被検物質投与群の(C−A)/対照群の(C−A))×100
相対指数=各被検物質投与群の(C−A)/対照群の(C−A)
【0037】
<実験結果>
結果を表1および図1に示した。
【0038】
【表1】
バルジの方法による相乗効果の判定:0.46(LOX+IPA)<0.56(=0.57(LOX)×0.99(IPA))
【0039】
実施例2
<試験方法>
IPAの投与量を3mg/kgとした他は、実施例1と同様の方法により実施した。結果を表2および図2に示す。
【0040】
【表2】
バルジの方法による相乗効果の判定:0.16(LOX+IPA)<0.31(=0.57(LOX)×0.54(IPA))
【0041】
実施例3
<試験方法>
IPAの投与量を5mg/kgとした他は、実施例1と同様の方法により実施した。結果を表3および図3に示す。
【0042】
【表3】
バルジの方法による相乗効果の判定:0.04(LOX+IPA)<0.26(=0.57(LOX)×0.45(IPA))
【0043】
参考例1
<試験方法>
IPAの投与量を10mg/kgとした他は、実施例1と同様の方法により実施した。結果を表4および図4に示す。
【0044】
【表4】
【0045】
試験群(1)から明らかなように、LOXは発熱抑制、すなわち解熱作用を示した。そして、本発明の組成物の投与群(3)においては各単独投与群(投与群(1)および投与群(2))と比較して、顕著な発熱抑制率の増大が認められた。また、相対指数は、実施例1においては、投与群(1)において0.57、投与群(2)において0.99であり、それらの積(0.56)は投与群(3)の相対指数0.46より大きく、実施例2においては、投与群(1)において0.57、投与群(2)において0.54であり、それらの積(0.31)は投与群(3)の相対指数0.16より大きく、実施例3においては、投与群(3)において0.57、投与群(2)において0.45であり、それらの積(0.26)は投与群(3)の相対指数0.04より大きく、バルジの方法により、LOX1重量部に対してIPA1乃至5重量部の組み合わせは、解熱作用に関し相乗効果を発揮しているものと結論づけられた。
なお、LOX1重量部に対してIPA10重量部の組み合わせ(参考例1)は、IPA単独における発熱抑制率が100%を上回り、投与群(3)において、解熱作用に関して相乗効果を発揮しているか否か不明であった。
上記の結果より、本発明の医薬組成物は、ロキソプロフェンまたはその塩1重量部に対し、ピラゾロン系薬剤1乃至5重量部併用による相乗的な解熱作用を有することが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の医薬組成物は、ロキソプロフェンまたはその塩とピラゾロン系薬剤の相乗作用により極めて優れた解熱作用を有し、副作用も軽減されうる可能性がある。
図1
図2
図3
図4