(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ユーザ端末と、前記ユーザ端末とはIP網経由で接続されるとともに、0AB−J型電話番号が割り当てられたIP電話を含む複数のIP電話がIP電話網を介して接続される電話番号調査装置とからなる電話番号調査情報提供システムであって、
PSTN網と複数のIP電話網とがインターワークする構成において、
前記電話番号調査装置は、
前記ユーザ端末からIP電話の電話番号調査情報提供要求を受信すると、調査対象となる着信側のIP電話にSIPサーバを介してINVITE要求を送信するときに、前記INVITE要求に含まれるSDPパラメータに、前記着信側のIP電話が着信を拒否するSDPパラメータを付与して送信し、
前記SIPサーバから応答メッセージを受信し、前記受信した前記応答メッセージに応じて、前記着信側のIP電話の電話番号使用状況について前記着信側のIP電話の電話番号の有効性を着信ベルを鳴動させる信号を用いないで判定し、
前記電話番号調査情報提供要求があったユーザ端末へ判定の結果を前記IP網経由で送信し、
前記複数のIP電話網のうち前記電話番号調査装置が接続されている自網以外の他のIP電話網に接続されたIP電話へ接続した際に、前記電話番号調査装置が前記自網のPSTNゲートウェイから前記応答メッセージとして第6のエラーコードを受信した場合に、前記調査対象の電話番号が前記他のIP電話網に接続されたIP電話であると判定することを特徴とする電話番号調査情報提供システム。
ユーザ端末と、前記ユーザ端末とはIP網経由で接続されるとともに、0AB−J型電話番号が割り当てられたIP電話を含む複数のIP電話がIP電話網を介して接続される電話番号調査装置とからなる電話番号調査情報提供システムであって、
前記電話番号調査装置は、
前記ユーザ端末からIP電話の電話番号調査情報提供要求を受信すると、調査対象となる着信側のIP電話にSIPサーバを介してINVITE要求を送信するときに、前記INVITE要求に含まれるSDPパラメータに、前記着信側のIP電話が着信を拒否するSDPパラメータを付与して送信し、
前記SIPサーバから応答メッセージを受信し、前記受信した前記応答メッセージに応じて、前記着信側のIP電話の電話番号使用状況について前記着信側のIP電話の電話番号の有効性を着信ベルを鳴動させる信号を用いないで判定し、
前記電話番号調査情報提供要求があったユーザ端末へ判定の結果を前記IP網経由で送信し、
前記応答メッセージとして第4のエラーコードを受信した場合に、前記調査対象のIP電話の電話番号が話中状態で実在すると判定することを特徴とする電話番号調査情報提供システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、出願人が特許文献4に記載された技術を用いて評価試験を試みたところ、依然として正しく判定できるIP電話番号の使用状況の調査を確立できていない。すなわち、特許文献4で調査対象とするIP電話は、050で始まる11桁の電話番号が割り当てられた050型IP電話であり、光電話等、これまでの加入者電話と同じ形式を持つ0で始まる電話番号が割り当てられた0AB−J型IP電話を対象としていない。従って、0AB−J型IP電話の電話番号使用状況をリサーチする際に網側拒否等により有効性の調査はできない。
【0008】
近年、固定電話は順次IP電話に移行しており、2014年の情報通信白書によれば、2013年末で2650万台がIP電話であると報告されている。したがって、電話番号の使用状況を正しく判定できるIP電話番号調査装置の実現が待たれている。
【0009】
本発明は上記した課題を解決するためになされたものであり、NGN網と接続可能なSIPプロトコルベースの電話番号調査ツールを導入し、新システム基盤への円滑な移行を可能にする、電話番号調査装置、同方法、同プログラム、同情報提供システム、及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するために本発明は、0AB−J型電話番号が割り当てられたIP電話を含む複数のIP電話がIP電話網を介して接続される電話番号調査装置であって、調査対象となる着信側のIP電話にSIPサーバを介してINVITE要求を送信するときに、前記INVITE要求に含まれるSDPパラメータに、前記着信側のIP電話が着信を拒否するSDPパラメータを付与して送信し、前記SIPサーバから応答メッセージを受信するメッセージ交換制御部と、前記メッセージ交換制御部が受信した前記応答メッセージに応じて、前記着信側のIP電話の電話番号使用状況について前記着信側のIP電話の電話番号の有効性を着信ベルを鳴動させる信号を用いないで判定する電話番号調査判定部と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の電話番号調査装置において、前記SDPパラメータのメディア種別は、音声(m=audio)、映像(m=video)、及び、アプリケーション(m=application)を含む全メディアを付与することを特徴とする。
【0012】
本発明の電話番号調査装置において、前記メッセージ交換制御部は、前記着信側のIP電話が使用不可の、ネットワークプロトコル、メディア種別、トランスポートプロトコル、コーデックの組み合わせからなる前記着信を拒否するSDPパラメータを付与して送信することを特徴とする。
【0013】
本発明の電話番号調査装置において、前記電話番号調査判定部は、前記メッセージ交換制御部が、前記応答メッセージに含まれる第1のエラーコードを受信した場合に、前記着信側のIP電話の電話番号が実在すると判定し、第2または第3のエラーコードを受信した場合に、前記着信側のIP電話の電話番号が欠番であると判定することを特徴とする。
【0014】
本発明の電話番号調査装置において、前記電話番号調査判定部は、前記メッセージ交換制御部が、前記IP電話網内におけるSIPサーバから前記応答メッセージとして前記第1のエラーコードを受信した場合に、前記調査対象のIP電話の電話番号が空き状態で実在すると判定することを特徴とする。
【0015】
本発明の電話番号調査装置において、前記電話番号調査判定部は、前記メッセージ交換制御部が、前記IP電話網内におけるSIPサーバから前記応答メッセージとして第4のエラーコードを受信した場合に、前記調査対象のIP電話の電話番号が話中状態で実在すると判定することを特徴とする。
【0016】
本発明の電話番号調査装置において、前記電話番号調査判定部は、前記メッセージ交換制御部が、前記IP電話網内におけるSIPサーバから前記応答メッセージとして前記第2のエラーコードを受信した場合に、前記調査対象のIP電話の電話番号がユーザ不在で解約状態にあり欠番であると判定することを特徴とする。
【0017】
本発明の電話番号調査装置において、PSTN網と複数のIP電話網とがインターワークする構成において、他のIP電話網に接続されたIP電話へ接続した際に、前記メッセージ交換制御部が、前記複数のIP電話網のうち前記メッセージ交換制御部が接続されている自網のPSTNゲートウェイから前記応答メッセージとして第5のエラーコードを受信した場合に、前記調査対象の電話番号が前記他のIP電話網に接続されたIP電話であると判定することを特徴とする。
【0018】
本発明の電話番号調査装置において、前記電話番号調査判定部は、前記メッセージ交換制御部が、前記IP電話網内におけるSIPサーバから前記応答メッセージとして前記第1のエラーコードを受信した場合に、前記調査対象のIP電話の電話番号が空き状態で実在すると判定することを特徴とする。
【0019】
本発明の電話番号調査装置において、前記電話番号調査判定部は、前記メッセージ交換制御部が、前記IP電話網内におけるSIPサーバから前記応答メッセージとして前記第3のエラーコードを受信した場合に、前記調査対象のIP電話の電話番号が欠番であると判定することを特徴とする。
【0020】
本発明の電話番号調査装置において、前記電話番号調査判定部は、PSTN網と複数のIP電話網とがインターワークする構成において、他のIP電話網に接続されたIP電話へ接続した際に、前記メッセージ交換制御部が、前記複数のIP電話網のうちメッセージ交換制御部が接続されている自網のPSTNゲートウェイから前記応答メッセージとして第6のエラーコードを受信した場合に、前記調査対象の電話番号が前記複数のIP電話網のうち自網以外の他網に接続されたIP電話であると判定することを特徴とする。
【0021】
本発明の電話番号調査方法は、0AB−J型電話番号が割り当てられたIP電話を含む調査対象となるIP電話番号の実在の有無を判定する電話番号調査方法であって、電話番号調査装置が、調査対象となる着信側のIP電話にSIPサーバを介してINVITE要求を送信するときに、前記INVITE要求に含まれるSDPパラメータに、前記着信側のIP電話が着信を拒否するSDPパラメータを付与して送信するステップと、前記SIPサーバが、前記電話番号調査装置に応答メッセージを送信するステップと、前記電話番号調査装置が、受信した応答メッセージに応じて、前記着信側のIP電話の電話番号使用状況について前記着信側のIP電話の電話番号の有効性を着信ベルを鳴動させる信号を用いないで判定するステップと、を有することを特徴とする。
【0022】
本発明のプログラムは、0AB−J型電話番号が割り当てられたIP電話を含む複数のIP電話がIP電話網を介して接続される電話番号調査装置のプログラムであって、コンピュータに、調査対象となる着信側のIP電話にSIPサーバを介してINVITE要求を送信するときに、前記INVITE要求に含まれるSDPパラメータに、前記着信側のIP電話が着信を拒否するSDPパラメータを付与して送信する手順と、前記SIPサーバから応答メッセージを受信する手順と、前記受信した前記応答メッセージに応じて、前記着信側のIP電話の電話番号使用状況について前記着信側のIP電話の電話番号の有効性を着信ベルを鳴動させる信号を用いないで判定する手順と、を実行させることを特徴とする。
【0023】
電話番号調査情報提供システムは、ユーザ端末と、前記ユーザ端末とはIP網経由で接続されるとともに、0AB−J型電話番号が割り当てられたIP電話を含む複数のIP電話がIP電話網を介して接続される電話番号調査装置とからなる電話番号調査情報提供システムであって、前記電話番号調査装置は、前記ユーザ端末からIP電話の電話番号調査情報提供要求を受信すると、調査対象となる着信側のIP電話にSIPサーバを介してINVITE要求を送信するときに、前記INVITE要求に含まれるSDPパラメータに、前記着信側のIP電話が着信を拒否するSDPパラメータを付与して送信し、前記SIPサーバから応答メッセージを受信し、前記受信した前記応答メッセージに応じて、前記着信側のIP電話の電話番号使用状況について前記着信側のIP電話の電話番号の有効性を着信ベルを鳴動させる信号を用いないで判定し、前記電話番号調査情報提供要求があったユーザ端末へ判定の結果を前記IP網経由で送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、NGN網と接続可能なSIPプロトコルベースの電話番号調査ツールを導入することにより、新システム基盤への円滑な移行を可能にする、電話番号調査装置、同方法、同プログラム、同情報提供システム、及び記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、本実施形態と言う)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号又は符号を付している。
【0027】
(実施形態の構成)
図1は、本実施形態に係る電話番号調査装置10の網接続形態を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る電話番号調査装置10は、IP電話網30を経由してIP電話70が接続されるVoIP(Voice over Internet Protocol)契約事業者のSIPサーバ40に接続される。
【0028】
発信側である電話番号調査装置10は、プロキシサーバA(プロキシ−A(50))経由でIP電話網30に接続され、着信側のIP電話70は、プロキシサーバB(プロキシ−B(60))経由でVoIP契約事業者のSIPサーバ40に接続される。電話番号調査装置10が、着信側のIP電話70の電話番号をダイヤル発信することにより、プロキシ−A(50)、IP電話網30、VoIP契約事業者のSIPサーバ40、プロキシ−B(60)、着信側のIP電話70の順でルーティングが実行される。
【0029】
ところで、インターネット等、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)を用いて音声通話を行うVoIPでは、IP電話網30を使用してリアルタイムに音声通話を行うために、まず、通話相手先を見つけて通信開始のための手順に基づき呼び出し応答を行う必要がある。このようなリアルタイム通信セッションの確立のために必要な機能を提供するプロトコルがSIP(Session Initiation Protocol)である。
【0030】
SIPによれば、リアルタイム通信を行うためにメディア情報を含むパケットの符号化方式やパケットの宛先等のアドレスについて端末間でネゴシエーションを行う必要がある。このネゴシエーションのために必要になるのがSDP(Session Description Protocol)と呼ばれる記述言語であり、RFC4566で定義されている。
【0031】
SIPでセッションを確立するためには、まず、発信側がSIPメッセージにメディア情報を記述した要求を送信し、着信者がその中から対応可能なメディアを選択した応答を返信することで、通信に使用するメディア情報を共有する。このようにセッションを開始するためにSIPメッセージにメディア情報を載せることをオファーといい、それに対して対応可能なメディア情報を返却することをアンサーという。このオファーアンサーモデルについてはRFC3264で定義されている。
【0032】
図1に示すように、本実施形態に係る電話番号調査装置10は、SIPサーバ40経由で調査対象となるIP電話70にINVITE(招待)メソッドのSDPオファー(以下、INVITE要求という)を送信する際に、そのSDPパラメータに、着信側のIP電話70が着信を拒否するSDPパラメータを記述して送信する(以下、INVITE(SDP不一致)という)。これに対し、着信側のIP電話70は、自身が使用可能なSDPパラメータが異なるため着信を拒否し、応答メッセージとして488エラーレスポンス(容認不可:Not Acceptable Here)を返送する。電話番号調査装置10は、488エラーレスポンスを受信することにより、IP電話70の実在を正確に判別することが可能になる。
【0033】
なお、INVITEメソッドのSDPネゴシエーション手順におけるSDP不一致には、後述するように、「メディア種別」の不一致、「トランスポートプロトコル」の不一致、「コーデック」の不一致、「ネットワークプロトコル」の不一致の4つのケースがある。本実施形態に係る電話番号調査装置10によれば、これらケースの組み合わせにより、着信ベルを鳴動させる信号を用いないで(着信ベルを鳴動させることなく)正確に有効性の判定が可能である。
【0034】
図2(a)(b)に、上記したINVITEメソッドによるSDP不一致のシーケンスを示す。
図2(a)に示すように、電話番号調査装置10は、VoIP事業者のSIPサーバ経由で着信側のIP電話70にINVITE要求を送信するが、そのとき、INVITE要求に含まれるSDPパラメータに着信側のIP電話70が着信を拒否する情報を付与して送信する(ステップS11,S12:INVITE(SDP不一致))。これに対し、着信側のIP電話70は、SDPパラメータが自身で使用可能なものと異なるために着信を拒否し、488エラーレスポンスを返信する(ステップS13,S14)。
【0035】
電話番号調査装置10は、488エラーレスポンスを受信することにより、IP電話70の電話番号使用状況(実在,空)を正確に取得することが可能になる。
【0036】
ここで、SDP不一致のパラメータとは、着信側のIP電話70がサポートできない条件をいう。具体的に、「メディア種別」の場合、着信側のIP電話70が、例えば、音声(m=audio)をSDP条件とするのに対し、電話番号調査装置10が、音声の他に、敢えて、ビデオも付してオファーすることにより着信側のIP電話70の着信拒否を誘導する情報をいう。また、「トランスポートプロトコル」の場合、着信側のIP電話70がm=audio RTP/AVPをSDP条件とするのに対し、電話番号調査装置10が、敢えて、拡張RTPプロファイルであるAVPF(m=audio RTP/AVPF)をオファーして着信側のIP電話70の着信拒否を誘導する情報をいう。
【0037】
また、「コーデック」の場合、着信側のIP電話70が、“G.711μ−law(PCM符号化)”を着信側SDP条件とするのに対し、敢えて、“G722(帯域分割ADPCM)”をオファーして着信側のIP電話70の着信拒否を誘導する情報をいい、「ネットワークプロトコル」の場合、“IPv4”が着信側のIP電話70のSDP条件とするのに対し、敢えて、“IPv6”でオファーして着信側のIP電話70の着信拒否を誘導する情報をいう。
【0038】
なお、電話番号調査装置10は、SIPサーバ40を介して488レスポンスを受信すると、SIPサーバ40経由で着信側のIP電話70へ確認のためのACKリクエストを送信する(ステップS15,S16)。このように、本実施形態に係る電話番号調査装置10は、電話番号使用状況調査のために、INVITE/488レスポンス/ACKの3ウェイハンドシェイクを実現して、通信の信頼性を高めている。
【0039】
一方、
図2(b)に示すように、着信側のIP電話70が不在の場合、電話番号調査装置10は、SDP不一致のINVITE要求を送信することにより(ステップS21)、SIPサーバ40から、“404/183”エラーレスポンスを受信し(ステップS22)、これにより、電話番号使用状況(欠番)を取得することができる。電話番号調査装置10は、404レスポンスを受信すると、SIPサーバ40経由で着信側のIP電話70へ確認のためのACKリクエストを送信する(ステップS23)。なお、エラーレスポンスである404コードはユーザ不在、183コードはガイダンス応答を示す。
【0040】
図3は、PSTN網とIP電話網とがインターワークする場合で、他のVoIP事業者と契約している他網ユーザのIP電話への接続におけるINVITEメソッドによるSDP不一致のシーケンスを示す。
【0041】
図3に示すように、電話番号調査装置10は、自網の契約VoIP事業者のSIPサーバ40経由で、他網ユーザの着信側のIP電話70に対してINVITE要求を送信するが、そのとき、SDP不一致情報(パラメータ)を記述して送信する(ステップS31,S32)。すると、自網のゲートウェイ(PSTN−GW(自))は、SIPサーバ40経由で電話番号調査装置10へ100 Trying(試行中)の暫定応答を行う(ステップS33,S34)。
【0042】
そして、自網のゲートウェイ(PSTN−GW(自))は、SIPサーバ40経由で、電話番号調査装置10へエラーコード488(Warningコード302)/エラーコード400を送信する(ステップS35,S36)。電話番号調査装置10は、SIPサーバ40(自網の契約VoIP事業者)からエラーコード488(Warningコード302)/400を受信することにより、電話番号使用状況(他網ユーザ)を判別することができる。
【0043】
続いて、電話番号調査装置10は、エラーレスポンスを受信するとSIPサーバ40にACKを返信し(ステップS37)、SIPサーバ40は、更にそのACK信号を自網のゲートウェイ(PSTN−GW(自))に返す。以上は、SDP不一致のINVITE要求に対する応答が自網で閉じた場合のシーケンスである。なお、エラーレスポンスである488コード(Warningコード302)は容認不可、400コードは不正な要求を示す。
【0044】
一方、LNP(Local Number Portability)により他網へ移行した場合、他網ユーザへの接続になる。この場合も同様、
図3に示すように、電話番号調査装置10は、契約VoIP事業者のSIPサーバ40経由で他網に接続された着信側のIP電話70に対してSDP不一致のINVITE要求を送信する(ステップS31,S32)。
【0045】
図4は、本実施形態に係る電話番号調査装置10の構成を示すブロック図である。
図4によれば、本実施形態に係る電話番号調査装置10は、網インタフェース部11と、メッセージ交換制御部12と、電話番号調査判定部13と、電話番号履歴生成部14と、電話番号履歴DB(15)とを含み、構成される。
【0046】
網インタフェース部11は、電話番号調査装置10がSIPサーバ40との間でSIPプロトコルに準拠した通信を行うための通信インタフェースを担う。メッセージ交換制御部12は、VoIP契約事業者のSIPサーバ40を介して調査対象となる着信側のIP電話70にSDP不一致のINVITE要求を送信し、SIPサーバ40から応答メッセージ(エラーレスポンス)を受信する。なお、SDP不一致とするために付されるパラメータは、着信側のIP電話が使用不可である、「メディア種別」、「トランスポートプロトコル」、「コーデック」、「ネットワークプロトコル」のいずれか、あるいはその組み合わせである。
【0047】
このため、メッセージ交換制御部は、着信側のIP電話70が使用不可の、ネットワークプロトコル、メディア種別、トランスポートプロトコル、コーデックのうちの少なくとも一つ、又はその組み合わせからなるSDPパラメータを付与して送信する。
【0048】
電話番号調査判定部13は、メッセージ交換制御部12を介して受信したエラーメッセージに応じて、着信側のIP電話70の実在の有無について着信側のIP電話70の電話番号の有効性を判定する。電話番号調査判定部13は、応答メッセージが着信拒否を示す場合に、IP電話70の電話番号を実在すると判定する。なお、メッセージ交換制御部12が、例えば、エラーコード488(第1のエラーコード)を受信した場合に、調査対象である着信側のIP電話70の電話番号が実在すると判定し、例えば、エラーコード404(第2のエラーコード)又は183(第3のエラーコード)を受信した場合に電話番号が欠番であると判定する。
【0049】
電話番号調査判定部13は、メッセージ交換制御部12が、着信側のホームゲートウェイ(
図1のプロキシ−B(60))から、応答メッセージとしてエラーコード488を受信した場合に、調査対象となる着信側のIP電話70の電話番号が、「空き状態で実在する」と判定してもよい。また、メッセージ交換制御部12が、網内SIPサーバ40から、例えば、エラーコード486(第4のエラーコード)を受信した場合に、調査対象である着信側のIP電話70の電話番号が、「話中状態で実在する」と判定してもよい。
【0050】
また、メッセージ交換制御部12が、網内SIPサーバ40から応答メッセージとしてエラーコード404を受信した場合に、調査対象である着信側のIP電話70の電話番号が、「ユーザ不在で解約状態にあり欠番である」と判定してもよい。なお、PSTN網と複数のIP電話網とがインターワークする構成において、他の契約VoIP事業者のIP電話網に接続されたIP電話70への接続の際に、電話番号調査判定部13は、メッセージ交換制御部12が応答メッセージとしてPSTN網からエラーコード488(Warningコード302)(第5のエラーコード)を受信した場合に、調査対象のIP電話番号が、「他のIP電話網に接続されたIP電話である」と判定してもよい。
【0051】
電話番号調査判定部13は、メッセージ交換制御部12が、網内SIPサーバ40から応答メッセージとしてエラーコード488(第1のエラーコード)を受信した場合に、調査対象のIP電話の電話番号が、「空き状態で実在する」と判定してもよい。
【0052】
電話番号調査判定部13は、メッセージ交換制御部12が、網内SIPサーバ40から応答メッセージとして、例えば、エラーコード183(第3のエラーコード)を受信した場合に、調査対象のIP電話の電話番号が、「欠番である」と判定してもよい。なお、PSTN網と複数のIP電話網とがインターワークする構成において、他の契約VoIP事業者のIP電話網に接続されたIP電話へ接続すると、電話番号調査判定部13は、メッセージ交換制御部12がPSTN網からエラーメッセージとしてエラーコード400(第6のエラーコード)を受信した場合に、調査対象の電話番号が、「他網に接続されたIP電話である」と判定してもよい。
【0053】
電話番号履歴生成部14は、電話番号調査判定部13での判定結果のそれぞれに判定日時を示すタイムスタンプを付与して記録媒体上に時系列に記録することにより電話番号履歴DB(15)を構築する。
【0054】
電話番号履歴DB(15)のデータ構造の一例が
図11に示されている。電話番号履歴DB(15)に格納される電話番号履歴情報は、電話番号履歴情報レイアウトに示すように、1回の調査毎に調査対象である「電話番号」と、調査時に判明した移転先あるいは連絡先電話番号である「新加入者番号」と、交換機から返送される「エラーコード」と、「調査年月日」(タイムスタンプ)と、交換機から返信されるレイヤーに関する「その他レイヤー情報」とが記憶されて登録される。
【0055】
また、電話番号履歴情報の例として、0AB−J型の電話番号が割り当てられたIP電話である、例えば、電話番号「03−3359−0906」の電話番号使用状況の調査が実行されると、電話番号調査判定部13の判定毎に、上記したレイアウトに調査情報が順次格納され、履歴情報として蓄積される。なお、電話番号履歴DB(15)には、上記したデータ項目の他に、電話番号を所有する「法人名・個人名」、住所、年齢等の「属性情報」、「地図リンク情報」と、信用を評価するための「与信情報」とを付加して記録してもよい。
【0056】
説明を
図4に戻す。網インタフェース部11、メッセージ交換制御部12、電話番号調査判定部13、電話番号履歴生成部14のそれぞれは、プログラムが記録されたメモリを内蔵するか、同メモリが外付けされたマイクロプロセッサと、通信を含む周辺制御用LSI(Large Scale Integration)により実現され、マイクロプロセッサがメモリに記録されたプログラムを逐次読み出し実行することにより、「契約通信事業者のSIPサーバ40を介して調査対象となる着信側のIP電話70にINVITE要求を送信するときに、INVITE要求に含まれるSDPパラメータに着信側のIP電話70が着信を拒否するSDPパラメータを付加(記述)して送信し、SIPサーバ40から受信した応答メッセージに応じて着信側のIP電話70の実在の有無について、着信側のIP電話70の電話番号の有効性を判定する」電話番号調査装置10としての機能を実現する。
【0057】
なお、電話番号履歴DB(15)は、半導体メモリ、あるいはハードディスクやDVD(Digital Versatile Disc)等の光メモリ等の大容量記録媒体に実装される。
【0058】
(実施形態の動作)
以下、
図5のフローチャートを参照して、
図4の本実施形態に係る電話番号調査装置10のSDP記述に基づく通信確立手順から説明する。
【0059】
図5に示すように、電話番号調査装置10(メッセージ交換制御部12)は、電話番号調査の対象となるIP電話70との間で、SDPパラメータの記述内容から、ネットワークプロトコルの確認判定(ステップS41)、メディア種別の確認判定(ステップS43)、メディアのトランスポートプロトコルの確認判定(ステップS45)、コーデックの確認判定(ステップS47)の順で通信確立のためのネゴシエーションを行なう。
【0060】
ここでは、例えば、NGN網における通信確立のためのネゴシエーション手順において、SDPパラメータとして、ネットワークプロトコルに“IPv6”,メディア種別に“全メディアに対応した端末(m=audio+m=video+m=application)”、トランスポートプロトコルに“RTP/AVPF”、コーデックに“G.711μ−low”を記述してオファーした場合を想定する。
【0061】
まず、ネットワークプロトコルの確認判定(ステップS41)において、着信側のIP電話70に、IPv6をサポートしていないIPv4端末が実装されていた場合(ステップS41“NO”)、そのIPv4端末は、メッセージ交換制御部12に、ネットワークプロトコルの不一致を示すエラーコード488(warningコード300/301)を返信する(ステップS42)。一方、IPv6端末が実装されていた場合(ステップS41“YES”)、続いてメディア種別の確認判定(ステップS43)が実行される。ここで、SDP記述にIPv6端末が対応していないメディア種別(m)の一つでも含まれていた場合(ステップS43“NO”)、着信側のIP電話70は、メディア種別の不一致を示すエラーコード488(warningコード304)を返信する(ステップS44)。ここで、メディア非対応のIPv6端末とは、例えば、音声(m=audio)にのみ対応した電話機、アプリケーション(m=application)に非対応のTV電話、映像(m=video)に非対応のIP−FAX等である。
【0062】
着信側のIP電話70に、全てのメディアタイプに対応した端末が実装されていた場合(ステップS43“YES”)、続いてトランスポートプロトコルの確認判定が行なわれる(ステップS45)。ここでは、SDP記述にしたがう全てのメディアタイプを利用可能であるが、利用できないトランスポートプロトコル(RTP/AVPF)が記述されていた場合(ステップS45“NO”)、着信側のIP電話70は、PSTN−GWからエラーコード488(warningコード302)を受信する(ステップS46)。一方、SDP記述にあるトランスポートプロトコルが利用可能であれば(ステップS45“YES”)、続いて、コーデックの確認判定が実行される(ステップS47)。ここで、利用できないコーデックが記述されていた場合(ステップS47“NO”)、すなわち、着信側のIP電話70に、G.711μ―lowよりも高音質を実現するコーデック、例えば、G.722等を用いる端末(G.711以外の端末)が実装されていた場合、そのG.711以外の端末は、電話番号調査装置10(メッセージ交換制御部12)にエラーコード488(warningコード305)を返信する(ステップS48)。
【0063】
現状、上記した4つのSDPパラメータの全てに一致するIP電話70は確認されておらず、したがって、着信が拒否され、通信が確立する可能性は限りなくゼロに近いため、電話番号調査装置10は、着信側のIP電話70の着信ベルを鳴動させる信号を用いないで(着信ベルを鳴動させることなく)電話番号の有効性を正しく判定することができる。NGN網の場合、上記した通信の確立手順において4つの着信を拒否するパラメータの記述が可能であり、ネットワークプロトコル、メディア種別、トランスポートプロトコル、コーデックの4つ全てのSDPパラメータを記述することにより、着信ベルを鳴動させる信号を用いないで(着信ベルを鳴動させることなく)正確に判定することができる。また、NGN網ではないIP電話網(0AB−J番号及び050番号)の場合、IPv6やマルチメディアは未サポートであるため、トランスポートプロトコルとコーデックの2つの着信を拒否するSDPパラメータ記述により、着信側のIP電話70の着信ベルを鳴動させる信号を用いないで(着信ベルを鳴動させることなく)電話番号の有効性判定を正確化することができる。電話番号使用状況調査方法については後述する。
【0064】
次に、
図6にフローチャートで示す電話番号使用状況調査アルゴリズムを参照して、本実施形態に係る電話番号調査方法について説明する。なお、以下に説明する電話番号調査方法は、コンピュータに対し該当する各手順を実行させて達成することができる。
【0065】
上述したように、本実施形態に係る電話番号調査装置10は、メッセージ交換制御部12が、契約通信事業者のSIPサーバ40を介して調査対象となる着信側のIP電話70にINVITE要求を送信するときに、INVITE要求に含まれるSDPパラメータにSDP不一致となるパラメータを記述して送信し、SIPサーバ40から応答メッセージを受信したときに、電話番号調査判定部13が、受信した応答メッセージに応じて着信側のIP電話70の実在の有無について、着信側のIP電話70の電話番号の有効性を判定するものである。
【0066】
この場合、PSTN網と複数のIP電話網とがインターワークするネットワーク構成が考えられるため、電話番号調査判定部13は、まず、電話番号使用状況の調査対象となる着信側のIP電話70が、自網ユーザ(同じVoIP事業者)か他網ユーザ(他のVoIP事業者)かの判定を行なう(ステップS51)。着信側のIP電話70が他網ユーザであることは(ステップS51“他網”)、
図3のシーケンスを使用して説明したように、電話番号調査判定部13が、SDP不一致によるINVITE要求に対して自網のPSTNゲートウェイ(PSTN−GW(自))からの応答(エラーコード“488(Warningコード302)/400”)を解読することにより行われる(ステップS52)。
【0067】
自網ユーザであれば(ステップS51“自網”)、電話番号調査判定部13は、着信側のIP電話70の実在/欠番の判定を行う(ステップS53)。欠番判定(ステップS53“欠番”)は、
図2(a)(b)のシーケンスを使用して説明したように、電話番号調査判定部13が、SDP不一致によるINVITE要求に対するSIPサーバ40からの応答(エラーコード“404又は183”)を解読することにより行われる(ステップS54)。
【0068】
着信側のIP電話70が実在すれば(ステップS53“実在”)、空き状態にあるか話中であるかの判定が行われる(ステップS55)。着信側のIP電話70の話中判定(ステップS55“話中”)は、
図2(a)(b)のシーケンスを使用して説明したように、電話番号調査判定部13が、SDP不一致によるINVITE要求に対するSIPサーバ40からの応答(エラーコード“486”)を解読することにより行われ(ステップS56)、一方、空き判定(ステップS55“空き”)は、電話番号調査判定部13が、着信側HGWを介して返信される応答メッセージ(エラーコード488)を解読することにより行われる(ステップS57)。
【0069】
なお、電話番号調査判定部13によるIP電話番号の使用状況は、電話番号履歴生成部14が、電話番号調査判定部13による判定結果に基づき
図11に示す電話番号履歴情報レイアウトにしたがって電話番号履歴情報を生成し、都度、電話番号履歴DB(15)に記録する(ステップS58)。電話番号履歴DB(15)に蓄積された電話番号履歴情報は、一定期間分蓄積された時点で適当な形式で編集し、電話番号使用状況調査記録媒体として検索用に希望者に頒布される。
【0070】
ここで、本実施形態に係る電話番号調査装置10において、SDP不一致のパラメータ記述を、「メディア種別」、「トランスポートプロトコル」、「コーデック」、「ネットワークプロトコル」とした場合の、それぞれにおけるINVITE要求の一例と、そのシーケンスについて、実施例1,実施例2,実施例3,実施例4として以下に詳細説明を行う。
【0071】
(実施例1:メディア種別)
以下に説明する実施例1は、発側である電話番号調査装置10(メッセージ交換制御部12)が網側のIP電話70に対し、SDP不一致パラメータ記述を含むINVITE要求を送信し、網側(SIPサーバ40及びIP電話70)から488エラーレスポンスを受信した場合で、かつ、このエラーレスポンスにWarningヘッダが設定され、エラーコード“304(Media type not available)”が含まれる場合が相当する。この場合のINVITE要求のSDP不一致パラメータ記述の例を
図7(a)に、その動作シーケンスを
図7(b)に示す。
【0072】
図7(a)に矢印で示したように、発側である電話番号調査装置10が、INVITE要求のSDPパラメータ記述に、例えば、「テレビ電話」(音声の他に映像も使用可能)のメディア種別(m=audio+m=video)を付して送信するものとする。このとき、網側の着信側のIP電話70は、m=audioのメディア種別には対応しているものの、m=videoのメディア種別には対応していないため、電話番号調査装置10は、SIPサーバ40を介して488エラーメッセージを受信することになる。
【0073】
具体的に、
図7(b)の動作シーケンスに示すように、発側である電話番号調査装置10(メッセージ交換制御部12)は、まず、調査対象である着信側のIP電話70に対し、SDPパラメータのメディア種別を「映像+音声」としてINVITE要求を送信する(ステップS101)。これに対し、網側(SIPサーバ40)は、試行中であることを示す暫定応答100Tryingメッセージを送信後(ステップS102)、SDPパラメータが正規のパラメータ(IP電話70は音声のみ対応し映像は不対応)と異なるため、着信を拒否して488エラーレスポンスに、エラーコード304(warning code)を付して返送する(ステップS103)。電話番号調査装置10は、488エラーレスポンスを受信することにより、IP電話70の電話番号使用状況(実在,空)を正確に取得することができる。
【0074】
電話番号調査装置10(電話番号調査判定部13)は、エラーコード304(warning code)を含む488エラーレスポンスにより、着信側のIP電話70にはINVITE要求に付与されたSDPパラメータ(メディア種別)を使用する能力が無いと判定する。但し、電話番号調査判定部13は、記述したメディア種別のいずれに対しても着信側のIP電話70が対応する能力を持たないと判定することなく、INVITE要求に付されたSDP記述(メディア種別)を同時に使用する能力を持たないと判断して、一部のメディア記述を除外して作成したSDPを用いてフォールバック動作を行なう。このとき、メッセージ交換制御部12が、SIPサーバ40にACK信号送信後に(ステップS104)、INVITE(音声のみ)でフォールバック動作を行う(ステップS105)。
【0075】
(実施例2:トランスポートプロトコル)
以下に説明する実施例2は、発側である電話番号調査装置10(メッセージ交換制御部12)が網側のIP電話70に対しSDP不一致パラメータの記述を含むINVITE要求を送信し、網側(SIPサーバ40)から488エラーレスポンスを受信し、当該レスポンスにWarningヘッダが設定され、Warningコードに“302(Incompatible transport Protocol)”が含まれる場合が相当する。この場合のINVITE要求のSDP不一致パラメータ記述の例を
図8(a)に、その動作シーケンスを
図8(b)に示す。
【0076】
図8(a)に矢印で示したように、発側である電話番号調査装置10(メッセージ交換制御部12)が、INVITE要求のSDPパラメータ記述に、m=videoのトランスポートプロトコルとして、RTP/AVPFを指定し、「テレビ電話」のメディア種別を付してINVITE要求を送信するものとする。このとき、網側の着信側のIP電話70は、RTP/AVPのみに対応し、RTP/AVPFに対応していないため、メッセージ交換制御部12は、488エラーレスポンスを受信することになる。
【0077】
具体的に、
図8(b)の動作シーケンスに示すように、発側である電話番号調査装置10(メッセージ交換制御部12)は、調査対象である着信側のIP電話70に対し、SDPパラメータのトランスポートプロトコルを「RTP/AVPF」としてINVITE要求を送信する(ステップS201)。これに対し、網側(SIPサーバ40)は、試行中であることを示す100Trying暫定応答を送信し(ステップS202)、その後、SDPパラメータが正規のパラメータ(IP電話70はAVPに対応するがAVPFに非対応)と異なるため、着信を拒否する488エラーレスポンスにエラーコード302(warning code)を付して返送する(ステップS203)。
【0078】
電話番号調査装置10(電話番号調査判定部13)は、488エラーレスポンスを受信することにより、1以上について指定されているトランスポートプロトコルを使用する能力がないと判定し、着信側のIP電話70の電話番号使用状況を正確に取得することが可能になる。
【0079】
このとき、電話番号調査判定部13は、SDPパラメータ記述のうち、1以上について指定されているトランスポートプロトコルを使用する能力が相手側端末にないと判断し、トランスポートプロトコルを変更してフォールバックする。具体的に、m=videoのトランスポートプロトコルとして、RTP/AVPFを指定して「テレビ電話」のSDPオファー(m=audio+m=videoのメディア記述)を行ったのに対して、IP電話70が、RTP/AVPFに対応していない(RTP/AVPのみ対応)ため、当該488エラーレスポンスを受信する結果になった場合に、電話番号調査装置10がSDP記述をRTP/AVPFからRTP/AVPに変更してフォールバックを行なう。このとき、メッセージ交換制御部12が、SIPサーバ40に対し、ACK信号送信後に(ステップS204)、INVITE要求(RTP/AVP)を送信してフォールバック動作を行う(ステップS205)。
【0080】
(実施例3:コーデック)
以下に説明する実施例3は、発側である電話番号調査装置10(メッセージ交換制御部12)が網側のIP電話70に対しSDP不一致のパラメータ記述(コーデック)を含むINVITE要求を送信し、網側(SIPサーバ40)から488エラーレスポンスを受信し、当該レスポンスにWarningヘッダが設定され、Warningコードに“305(Incompatible media format)が含まれる場合が相当する。
【0081】
この場合のINVITE要求のSDP不一致パラメータ記述の例を
図9(a)に、その動作シーケンスを
図9(b)に示す。
【0082】
図9(a)に矢印で示したように、発側である電話番号調査装置10(メッセージ交換制御部12)が、INVITE要求のSDPパラメータ記述に、「高品位電話」(G.711μ―lawよりも高音質を実現するコーデック、例えば、G.722等を用いる電話端末)のSDP記述によるINVITE要求(m=audioのメディア記述にG.722を設定)を送信するものとする。このとき、網側の着信側のIP電話70は、高品位音声コーデック(G.722等)に対応していないため、メッセージ交換制御部12は、488エラーレスポンスを受信することになる。
【0083】
具体的に、
図9(b)の動作シーケンスに示すように、発側である電話番号調査装置10(メッセージ交換制御部12)は、調査対象である着信側のIP電話70に対し、SDPパラメータのコーデックを、IP電話70が対応していない「G.722」としてINVITE要求を送信する(ステップS301)。これに対し、網側(SIPサーバ40)は、試行中であることを示す100Trying暫定応答を送信し(ステップS302)、その後、SDPパラメータが正規のパラメータ(IP電話70はG.722に非対応)と異なるため、着信を拒否して488エラーレスポンスにエラーコード305(warning code)を付して返送する(ステップS303)。電話番号調査装置10(電話番号調査判定部13)は、488エラーレスポンスを受信することにより、着信側のIP電話70の電話番号使用状況を正確に取得することが可能になる。
【0084】
このとき、電話番号調査判定部13は、SDPパラメータ記述のうち、1以上について指定されているコーデックを使用する能力がIP電話70にないと判断し、コーデックを変更してフォールバック動作を行なう。具体的に、「高品位電話」(G.711μ―lawよりも高音質を実現するコーデック、例えば、G722等を用いる)のSDP記述(m=audioのメディア記述にG.722を設定)を行ったことに対し、IP電話70が高品位音声コーデック(G.722等)に対応していないため、488エラーメッセージを受信した場合、メッセージ交換制御部12が、SIPサーバ40に対しACK信号送信後に(ステップS304)、INVITE要求のSDP記述をG.722からG.711μ―lawに変更してフォールバック動作を行う(ステップS305)。
【0085】
(実施例4:ネットワークプロトコル)
以下に説明する実施例4は、発側である電話番号調査装置10(メッセージ交換制御部12)が網側のIP電話70に対しSDP不一致のパラメータ記述を含むINVITE要求を送信し、網側(SIPサーバ40)から488エラーレスポンスを受信し、当該レスポンスにWarningヘッダが設定され、Warningコード300(Incompatible network protocol)、又は301(Incompatible network protocol address format)が含まれる場合が相当する。この場合のINVITE要求のSDP不一致パラメータ記述の例を
図10(a)に、その動作シーケンスを
図10(b)に示す。
【0086】
図10(a)に矢印で示したように、発側である電話番号調査装置10(メッセージ交換制御部12)が、INVITE要求のSDPパラメータ記述に、「IPv6」ネットワークプロトコルを使用して発信することを指定してINVITE要求を送信する。このとき、網側の着信側のIP電話70は、IPv4ネットワークプロトコルによる通信にしか対応しておらず、IPv6ネットワークプロトコルは未対応であるため、メッセージ交換制御部12は、488エラーレスポンスを受信することになる。
【0087】
具体的に、
図10(b)の動作シーケンスに示すように、発側である電話番号調査装置10(メッセージ交換制御部12)は、調査対象である着信側のIP電話70に対し、SDPパラメータのネットワークプロトコルに、着信側のIP電話70が対応していない「IPv6」を指定してINVITE要求を送信する(ステップS401)。これに対し、網側(SIPサーバ40)は、試行中であることを示す100Trying暫定応答を送信し(ステップS402)、その後、SDPパラメータが正規のパラメータ(IP電話70はIPv6に非対応)と異なるため、着信を拒否して488エラーレスポンスを返送する(ステップS403)。電話番号調査装置10(電話番号調査判定部13)は、488エラーレスポンスを受信することにより、着信側のIP電話70の電話番号使用状況を正確に取得することが可能になる。
【0088】
なお、電話番号調査判定部13は、IPv6ネットワークプロトコルを用いた発信に対し、網側のSIPサーバ40から488エラーレスポンスが返送された場合に、調査対象である着信側のIP電話70がIPv6ネットワークプロトコルを用いた通信に対応していないと判断し、IPv4を用いて再発呼するフォールバック動作を行なう。すなわち、488レスポンスを受信すると、メッセージ交換制御部12が、SIPサーバ40に対しACK信号送信後に(ステップS404)、INVITE要求のSDPパラメータ(ネットワークプロトコル)をIPv6からIPv4に変更して再発呼するフォールバック動作を行う(ステップS405)。
【0089】
(実施形態の効果)
以上説明したように本実施形態に係る電話番号調査装置10によれば、メッセージ交換制御部12が、調査対象となる着信側のIP電話70にSIPサーバ40を介してINVITE要求を送信するときに、当該INVITE要求に含まれるSDPパラメータに、着信側のIP電話70が着信を拒否するSDPパラメータを付与して送信する。そして、SIPサーバ40から応答メッセージ(エラーメッセージ)を受信することにより、電話番号調査判定部13が、その応答メッセージに応じて着信側のIP電話70の電話番号使用状況について着信側のIP電話の電話番号の有効性を正確に判定することができる。このように、NGN網と接続可能なSIPプロトコルベースの電話番号調査ツールを導入することで、新システム基盤への円滑な移行を図ることができる。
【0090】
なお、電話番号調査の対象となるIP電話70には、050で始まる11桁の電話番号が割り当てられた050型の他に、光電話等、これまでの加入者電話と同じ形式を持つ0で始まる電話番号が割り当てられた0AB−J型も含まれ、したがって、IP電話の種類に依存することなく、電話番号の有効/無効調査を行う際に正確に判定することができる。
【0091】
また、電話番号調査の対象となるIP電話70は、通信確立のために、SDPパラメータの記述内容から、ネットワークプロトコルの確認、メディア種別の確認、メディアのトランスポートプロトコルの確認、コーデックの確認の順に従いネゴシエーションを行なうが、NGN網の場合、このネゴシエーションの手順における4つの着信を拒否するパラメータ記述が可能であり、4つ全てを記述することにより、着信ベルを鳴動させる信号を用いないで(着信ベルを鳴動させることなく)正確に判定することができる。また、NGN網ではないIP電話網(0AB−J番号及び050番号)は、IPv6やマルチメディアは未サポートのため、トランスポートプロトコルとコーデックの2つの着信を拒否するパラメータ記述により、着信側のIP電話70の着信ベルを鳴動させる信号を用いないで(着信ベルを鳴動させることなく)有効性判定を正確化することができる。
【0092】
なお、上記した実施例1〜実施例4において、電話番号調査装置10は、電話番号使用状況調査のために、INVITE/488レスポンス/ACKの3ウェイハンドシェイクを実施した後に、INVITE要求のSDPパラメータを変更して再発呼するフォールバック動作を行うものとして説明したが、フォールバック動作の実施は必須でなく、いずれもフォールバック動作を実施することなく着信側IP電話の電話番号の有効/無効調査を行う際の正確な判定を実現している。
【0093】
このように、本実施形態に係る電話番号調査装置10によれば、IP電話70の電話番号が使用されている状態(有効(実在))、使用されていない状態(無効(欠番))、移転の別を正確に判定できる。また、無着信の結果、これまで一部発生していた課金も全て遮断することができる。そして、判定結果において、判定した期日、時間を判定結果と共に記録媒体(電話番号履歴DB(15))に記録できるツールも用意している。この記録媒体には、例えば、
図11にそのデータ構造の一例が示されているように、調査対象の電話番号毎に、判定結果、移転元電話番号とリンクした移転先電話番号の情報、判定した期日、時間が記録される。
【0094】
(電話番号調査情報提供システムと記録媒体)
図12は、本実施形態に係る電話番号調査情報提供システム100のシステム構成図である。
図12に示すように、本実施形態に係る電話番号調査情報提供システム100は、1以上のユーザ端末90と、ユーザ端末90とはIP網80経由で接続されるとともに、図示省略したIP電話網と接続される電話番号調査装置(電話番号調査サーバ10)とを含む。
【0095】
電話番号調査サーバ10は、ユーザ端末90から調査対象番号に基づく電話番号調査情報提供要求をIP網80経由で受信すると、調査対象となる図示省略した着信側のIP電話にINVITE要求を送信するときに、INVITE要求に含まれるSDPパラメータに、着信側のIP電話が着信を拒否するSDPパラメータを付与して送信する。そして、図示省略したIP電話網から応答メッセージを受信し、受信した応答メッセージに応じて、着信側のIP電話の電話番号使用状況について着信側のIP電話の電話番号の有効性を判定し、電話番号調査情報提供要求があったユーザ端末90へIP網80経由で送信する。
【0096】
このとき、電話番号調査サーバ10は、ユーザ端末90から調査対象番号に基づく電話番号調査情報提供要求をIP網80経由で受信すると、判定の結果のそれぞれに判定日時を示すタイムスタンプを付与して時系列に記録された電話番号調査情報が記録された記録媒体(電話番号履歴DB(15))を参照し、電話番号調査情報提供要求があったユーザ端末90へIP網80経由で送信する。
【0097】
なお、電話番号調査記録媒体(電話番号履歴DB(15))は、必要なユーザに単独で頒布されてもよい。記録媒体(電話番号履歴DB(15))は、電話交換回線網あるいは通信事業者の交換機に専用線経由で接続される電話番号調査装置10により生成される、調査対象番号の実在の有無が記録される記録媒体であり、頒布先のシステムで検索用に使用される。
【0098】
電話番号調査情報記録媒体(電話番号履歴DB(15))は、電話番号調査装置10が、調査対象となる着信側のIP電話70にSIPサーバ40を介してINVITE要求を送信するときに、当該INVITE要求に含まれるSDPパラメータに、着信側のIP電話70が着信を拒否するSDPパラメータを付与して送信し、SIPサーバ40から応答メッセージを受信し、当該受信した応答メッセージに応じて、着信側のIP電話70の電話番号使用状況について着信側のIP電話70の電話番号の有効性を判定した結果の集合体であり、例えば、
図11に一例を示すデータ構造からなり、判定結果のそれぞれに判定日時を示すタイムスタンプを付与して時系列に記録したものである。なお、記録媒体の頒布は、DVDやハードディスクに記録したデータベースに限らず、通信回線を利用した頒布も含まれる。
【0099】
本実施形態に係る電話番号調査情報提供システム100によれば、電話番号調査装置10で判定した、電話番号が使用されている状態(有効(実在))、使用されていない状態(無効(欠番))、移転先電話番号を案内している状態(移転)の別を、必要なユーザに提供することができる。同様に、電話番号調査情報記録媒体(電話番号履歴DB(15))を必要とするユーザへ配布することにより、ユーザサイドで活用でき、例えば、与信等において顕著な効果を得ることができる。
【0100】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【解決手段】0AB−J型電話番号が割り当てられたIP電話を含む複数のIP電話70がIP電話網30を介して接続される電話番号調査装置10であって、調査対象となる着信側のIP電話70にSIPサーバ40を介してINVITE要求を送信するときに、INVITE要求に含まれるSDPパラメータに、着信側のIP電話が着信を拒否するSDPパラメータを付与して送信し、SIPサーバ40から応答メッセージを受信すると、受信した応答メッセージに応じて、着信側のIP電話70の電話番号使用状況について、着信側のIP電話70の電話番号の有効性を着信ベルを鳴動させる信号を用いないで正確に判定する。