(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
火力発電プラントから排出される排ガスと熱交換を行う複数の伝熱管の束からなるチューブバンドルを複数備える熱交換器における、一のチューブバンドルの伝熱管の熱媒の流通を閉止する閉止工程と、
閉止した前記チューブバンドルとは別のチューブバンドルの伝熱管に熱媒を流した状態を維持しながら、閉止した前記チューブバンドルの前記伝熱管に対して該伝熱管の内側から力を加えることにより、該伝熱管を振動させて外面の付着物を除去する除去工程と、
を備え、
前記除去工程は、前記伝熱管の内側に振動体を挿入することによって前記伝熱管を振動させることを特徴とする熱交換器の付着物除去方法。
前記伝熱管は、チューブの外周面に該チューブの軸方向に沿って所定の間隔に板状の複数のフィンを立設してなるフィン付チューブであることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器の付着物除去方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年火力発電プラントに対する負荷要求が高まり、設備に安定操業が要求されている。しかし、高負荷連続運転及び設備老朽化等による影響により、フィンチューブに付着物が堆積することによるガス差圧上昇が発生している。これによりガス吸引ファン運用が限界となった場合、緊急プラント停止もしくは発電負荷低減運転をせざるを得ないプラントが認められている。
【0007】
現状においては、除塵装置としてショットクリーニングやスーツブロワによる除塵を実施しているが、当該能力では除去困難なケースが多発している。またプラント運転中にチューブバンドル外面側へ接触することは困難である。また、高圧水洗によるスケール除去を行う場合、フィンチューブを腐食させることとなり、後流の機器へも水による悪影響が発生する可能性がある。
また、特許文献1に記載の方法は、伝熱管の端部や外面から付着物を除去する方法であるため、伝熱管の全体に亘って付着物を除去することが難しい。
【0008】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、火力発電プラントからの排ガスの流れを止めることなく、伝熱管の外面付着物を除去可能とする
熱交換器の付着物除去方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明の
第一の態様によれば、熱交換器の付着物除去方法は、火力発電プラントから排出される排ガスと熱交換を行う複数の伝熱管の束からなるチューブバンドルを複数備える熱交換器における、一のチューブバンドルの伝熱管の熱媒の流通を閉止する閉止工程と、
閉止した前記チューブバンドルとは別のチューブバンドルの伝熱管に熱媒を流した状態を維持しながら、閉止した前記チューブバンドルの前記伝熱管に対して該伝熱管の内側から力を加えることにより、該伝熱管を振動させて外面の付着物を除去する除去工程と、を備え
、前記除去工程は、前記伝熱管の内側に振動体を挿入することによって前記伝熱管を振動させることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、火力発電プラントからの排ガスの流れを止めることなく、伝熱管の外面付着物を除去可能となる。これにより、外面付着物に起因する熱交換器のガス差圧を低減させることができる。
【0011】
上記熱交換器の付着物除去方法において、前記伝熱管は、チューブの外周面に該チューブの軸方向に沿って所定の間隔に板状の複数のフィンを立設してなるフィン付チューブであってよい。
【0012】
上記構成によれば、複数のフィンの存在により、振動体が届かずに伝熱管の外面から振動を付与できない場合においても外面付着物をチューブ内部から除去可能である。
【0014】
上記熱交換器の付着物除去方法において、前記振動体は、前記伝熱管の固有振動数で振動する構成としてもよい。
【0015】
上記構成によれば、振動振幅を増大させることが可能となり、また二段目、三段目奥行側の伝熱管列に対しても振動を与えることができる。
【0016】
上記熱交換器の付着物除去方法において、前記チューブバンドルは、前記熱媒が導入される第一ヘッダと、前記第一ヘッダと接続され、複数の直線部と該複数の直線部とを接続するUベント部とを有する複数の伝熱管と、前記複数の伝熱管と接続され、該複数の伝熱管から排出される熱媒が導入される第二ヘッダと、を有し、前記振動体は、前記第一ヘッダに直接接続される前記直線部、又は前記第二ヘッダに直接接続される前記直線部のうち、より付着物の多い方に挿入される構成としてもよい。
【0017】
上記構成によれば、より付着物の多い伝熱管の付着物を除去することによって、より効率的に熱交換器のガス差圧を低減することができるとともに、交換熱量も増加させることができる。また、伝熱管はヘッダに直接接続されているため、振動体の挿入が容易となる。
【0018】
本発明の第二の態様によれば、熱交換器の付着物除去方法
は、
火力発電プラントから排出される排ガスと熱交換を行う複数の伝熱管の束からなるチューブバンドルを複数備える熱交換器における、一のチューブバンドルの伝熱管の熱媒の流通を閉止する閉止工程と、閉止した前記チューブバンドルとは別のチューブバンドルの伝熱管に熱媒を流した状態を維持しながら、閉止した前記チューブバンドルの前記伝熱管に対して該伝熱管の内側から力を加えることにより、該伝熱管を振動させて外面の付着物を除去する除去工程と、を備え、前記除去工程は、前記伝熱管内に水と空気とを交互に送り込み、脈動によって前記伝熱管を振動させる
ことを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、伝熱管が屈曲している場合においても、伝熱管の全長に亘って均一に振動を与えることができる。また、事前に伝熱管から熱媒を抜くことなく作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、火力発電プラントからの排ガスの流れを止めることなく、伝熱管の外面付着物を除去可能となる。これにより、外面付着物に起因する熱交換器のガス差圧を低減させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態の熱交換器の付着物除去方法は、火力発電プラントに設けられた熱交換器に付着する付着物の除去に用いられる。熱交換器は、火力発電プラントの石炭焚きボイラから排出される排ガスの処理に用いられる排煙処理装置に設けられている。
【0023】
図1に示すように、火力発電プラント50は、燃料を燃焼させるボイラ51から排出される排ガスGを処理する排煙処理装置52を有している。ボイラ51は、燃料等を燃焼させて、加熱されたガスを生成する。ボイラ51で加熱されたガスは、熱エネルギを電力に変換する機構で、熱が吸収される。熱が吸収されたガスは、排ガスGとして排煙処理装置52に排出される。
【0024】
排煙処理装置52は、ボイラ51から排出される排ガスGが煙突58から放出される過程で、排ガスGに含まれる窒素酸化物(NOx)、煤塵、および硫黄酸化物(SOx)を除去する。排煙処理装置52は、熱回収部1aとして機能する熱交換器1と、電気集塵機53と、脱硫装置54と、再加熱部1bとして機能する熱交換器1と、循環ポンプ55と、循環配管56と、送風機57と、煙突58と、を有している。
【0025】
このうち、熱回収部1aと再加熱部1bとからなる熱交換器1は、熱回収部1aで回収された熱を、再加熱部1bにおいて排ガス昇温に利用する構成となっている。熱回収部1aの伝熱管2と再加熱部1bの伝熱管2とは循環配管56を介して接続されており、伝熱管2の内部には熱媒水(例えば温水など)が封入されている。
【0026】
ボイラ51から排出された排ガスGは、熱交換器1の熱回収部1aに導入され、内部に配置されている伝熱管2を流れる熱媒水と熱交換を行うことにより、熱回収される。熱回収部1aを経た排ガスGの温度は、一般的に85〜110℃となり例えば電気集塵機53での集塵能力が向上される。
【0027】
熱回収部1aを経た排ガスGは、電気集塵機53に導入され煤塵が除去される。電気集塵機53を経た排ガスGは、脱硫装置54に導入される。脱硫装置54では、例えば石灰石をスラリー状に溶かし込んだアルカリまたは弱アルカリ吸収液により、排ガスG中の硫黄酸化物が吸収除去される。脱硫装置54は、石灰石をスラリー状に溶かし込んだ吸収液を用いた場合、副生成物として石膏が生成される。脱硫装置54を経た排ガスGの温度は、一般に約50℃程に低下する。
【0028】
脱硫装置54を経た排ガスGは、熱交換器1の再加熱部1bに導入される。再加熱部1bは、熱回収部1aとの間で熱媒水を循環ポンプ55により一対の循環配管56を往来して循環する過程で、熱回収部1aにより回収された回収熱により排ガスGを加熱する。ここで50℃程度の脱硫装置54の出口排ガスの温度は、再加熱部1bで約85〜110℃に再加熱され、煙突58から大気放出される。再加熱部1bと煙突58との間には送風機57が設けられている。
【0029】
なお、排煙処理装置52の構成は、上記した構成に限ることはない。例えば、ボイラ51と熱回収部1aとの間に脱硝装置を設けて、脱硝装置において還元剤として注入されるアンモニアガス(NH
3)により、排ガスGに含まれる窒素酸化物を水と窒素とに還元して無害化してもよい。
また、電動機により駆動される通風機を設けて、適宜排ガスGを昇圧する構成としてもよい。
【0030】
次に、再加熱部1bを用いて熱交換器1の構造について説明する。熱回収部1aは、再加熱部1bとほぼ同様の構成であるため、説明は省略する。
図2に示すように、熱交換器1は、伝熱管2を束ねた集合体であるチューブバンドル4を複数収納するバンドル収納ダクト3を有している。伝熱管2は、チューブバンドル4を介して熱交換器1の所定位置に配置されるようになっている。
【0031】
バンドル収納ダクト3は熱交換器1の筐体であり、角筒形状の箱部5の一方の開口にダクト入口6と拡張部7とが設けられている。ダクト入口6は、排ガスGをバンドル収納ダクト3の箱部5に流入させる入口である。拡張部7は、ダクト入口6と箱部5との間を連結させる中空の部材である。拡張部7は、ダクト入口6から箱部5に向かうにしたがって、開口径が大きくなる筒である。
【0032】
チューブバンドル4は、内側を排ガスGが流通可能な矩形筒形状のケーシング11と、ケーシング11内にケーシング11の長手方向に延在するように固定された複数の伝熱管2とを有している。ケーシング11は、バンドル収納ダクト3の箱部5における排ガスGの流通方向と直交する一面を充填するように、隙間なく配置されている。
具体的には、3つのチューブバンドル4のケーシング11が、長手方向に沿う面が互いに接するように配置されていることによって複数の伝熱管2が面状に配置されている。なお、チューブバンドル4の数量は3つに限ることはない。さらに、排ガスGの流通方向に、複数段のチューブバンドル4を配置してもよい。
【0033】
図3に示すように、チューブバンドル4は、矩形筒形状のケーシング11と、ケーシング11の長手方向に延在する複数の伝熱管2と、複数の伝熱管2を支持するサポート13と、複数の伝熱管2に熱媒水を供給する第一ヘッダ15と、複数の伝熱管2にて熱交換に使用された熱媒水を回収する第二ヘッダ16と、を有している。
【0034】
ケーシング11は、複数の伝熱管2及びサポート13を覆う箱型の部材であり、一対の長側面17と、複数の伝熱管2の端部近傍で長側面17同士を接続する一対の短側面18と、これら長側面17と短側面18の縁によって形成される長方形の開口である一対の開口面19と、を有している。チューブバンドル4は、一対の開口面19のうち一方の開口面19から排ガスGを導入し、他方の開口面19から排ガスGを排出する。
【0035】
複数の伝熱管2は、排ガスGの流通方向に直交する平面をなすように等間隔で並べられた複数(例えば24本)の伝熱管2によって段を構成しており、この段が排ガスGの流通方向に複数(例えば38段)、等間隔で設けられた構成である。
排ガスGの流通方向に隣合う伝熱管2は、排ガスGの流通方向及び伝熱管2の長手方向に直交する方向にオフセットして配置されている。即ち、排ガスGの流通方向から視て、排ガスGの流通方向に隣り合う段の伝熱管2が重ならないように配置されている。
【0036】
また、流通方向に隣り合う伝熱管2同士は端部においてUベント部21を介して接続されている。Uベント部21は、第一ヘッダ15を介して最も開口部に近い伝熱管2に流入した熱媒水を排ガスGの流通方向に隣り合う次の段の伝熱管2に導入するように伝熱管2の端部同士を接続している。換言すれば、複数の伝熱管2は、複数の直線部14と、この複数の直線部14同士を接続するUベント部21とを有している。
【0037】
第一ヘッダ15及び第二ヘッダ16は、排ガスGの流通方向及び伝熱管2の長手方向に直交する方向に延在する管(パイプ)状の部材である。第一ヘッダ15及び第二ヘッダ16は、循環配管56(
図1を参照)に接続されている。即ち、循環配管56を流れる熱媒水は、第一ヘッダ15及び第二ヘッダ16を介して熱交換器1の伝熱管2に導入される。
【0038】
複数の段のうち、一方の開口面19に面する段を構成する複数の伝熱管2の一端は第一ヘッダ15に接続されている。複数の段のうち、他方の開口面19に面する段を構成する複数の伝熱管2の一端は第二ヘッダ16に接続されている。このように構成されていることによって、第一ヘッダ15に流入した熱媒水は、一方の開口面19に面する段の全ての伝熱管2に流入し、Uベント部21を介して他方の開口面19に面する段に向かって流れた後、第二ヘッダ16に流出する。
サポート13は、複数の伝熱管2をケーシング11内に保持するための部材である。サポート13は、例えば、伝熱管2が挿通する複数の孔が形成された板部材によって形成することができる。
【0039】
図2に戻って、各々のチューブバンドル4の第一ヘッダ15には、チューブバンドル4に熱媒水を供給する供給管23が接続されている。また、各々のチューブバンドル4の第二ヘッダ16には、伝熱管2にて使用された熱媒水を排出する排出管24が接続されている。
供給管23には、供給バルブ25が設けられており、この供給バルブ25を閉止することによって、第一ヘッダ15への熱媒水の供給を止めることができる。排出管24には、排出バルブ26が設けられており、この排出バルブ26を閉止することによって、排出管24を流れる熱媒水が第二ヘッダ16に流入するのを防ぐことができる。
【0040】
図4に示すように、伝熱管2は、伝熱管2の外周面に螺旋状のフィン20が設けられているフィンチューブ(フィン付チューブ)である。フィン20は、螺旋状に設けられている必要はなく、伝熱管2の外周面に伝熱管2の軸方向に沿って所定の間隔に板状のフィン20が設ける構成としてもよい。
【0041】
図5に示すように、第一ヘッダ15には、外部から伝熱管2の内部へのアクセスを容易とするための挿入孔27が形成されている。挿入孔27は、第一ヘッダ15の伝熱管2の延長線上に形成されている。挿入孔27は、棒状の部材を挿入孔27から挿入した際に、この棒状の部材を伝熱管2に挿入するのを容易とする位置に形成されている。
また、挿入孔27は、チューブバンドル4の運転状態においては、プラグ28によって閉塞されている。
【0042】
さらに、第一ヘッダ15の下部には、第一ヘッダ15及び伝熱管2内の熱媒水を除去するための水抜管29が設けられている。水抜管29には、水抜バルブ30が設けられている。チューブバンドル4の運転状態においては、水抜バルブ30は閉止されている。
【0043】
次に、本実施形態の熱交換器の付着物除去方法について説明する。
図1に示す火力発電プラント50を長期間運転すると、熱交換器1のチューブバンドル4における、特に上流側の伝熱管2にスケールなどが付着する。この付着物はチューブバンドル4の圧力損失の原因となる。即ち、チューブバンドル4の上流側と下流側のガス差圧が大きくなる。本実施形態の熱交換器の付着物除去方法は、このスケールなどの付着物を除去する方法である。
【0044】
(閉止工程)
本実施形態の熱交換器の付着物除去方法にあたっては、火力発電プラント50を稼働させた状態で、複数のチューブバンドル4の一つのチューブバンドル4aに流れる熱媒水を止める一方で、別の二つのチューブバンドル4は熱媒水を流した状態を維持する。
即ち、本実施形態の熱交換器の付着物除去方法は、チューブバンドル4の付着物を除去するために、少なくとも一つのチューブバンドル4を止めるが、火力発電プラント50の運転を継続させるために、少なくとも一つのチューブバンドル4は、熱交換の作用を維持するように行う。
【0045】
具体的には、まず、
図6に示すように、3つのチューブバンドル4のうち、一つのチューブバンドル4aへの熱媒水の供給を止める。具体的には、チューブバンドル4aの供給バルブ25a及び排出バルブ26aを閉止する。これにより、チューブバンドル4aへの熱媒水の供給が断たれるとともに、排出管24からの熱媒水の流入が防止される。
次いで、
図7に示すように、水抜バルブ30を開け、水抜管29よりチューブバンドル4内部の熱媒水を抜き出す。
なお、熱媒水の供給を止めるチューブバンドル4の数は、熱交換器1の運転の継続が可能であれば、2つ以上でもよい。
【0046】
(除去工程)
次いで、付着物除去を行う対象となる伝熱管2aに対応する挿入孔27aのプラグ28を取り外す。そして、チューブバンドル4の外部より、付着物除去対象の伝熱管2aの内部に振動体32として機能するバイブレータ(振動機)を挿入する。
挿入孔27aは、伝熱管2aの軸線の延長線上に形成されているため、棒状の振動体32の伝熱管2aへの挿入は容易である。
【0047】
ここで、挿入孔27aを介して振動体32が挿入される伝熱管2は、第一ヘッダ15に直接接続される伝熱管2の直線部14である。
振動体32は、棒状の円筒形の振動部を有する電動のバイブレータである。バイブレータの振動機構は、振動部内に内装された偏心重錘と、この偏心重錘を回転させる駆動源とを有している。振動体32の円筒形の振動部は、伝熱管2の内径よりもやや小なる外径とすることが好ましい。即ち、振動体32の振動がより伝熱管2に伝達される大きさの振動体32を選択することが好ましい。
【0048】
そして、振動体32を振動させることで、伝熱管2aを内側から振動させる。伝熱管2aの内側から振動の力が加えられることにより、伝熱管2aのフィン20に付着したスケールが除去される。また、振動体32を、伝熱管2aの第一ヘッダ15側の一端から他端まで移動させることによって、伝熱管2aの直線部14の全長に亘ってスケールが除去される。
【0049】
ここで、振動体32の振動周波数は、伝熱管2aの固有振動周波数(固有値)とすることが好ましい。即ち、振動体32を伝熱管2aが持つ固有振動周波数で振動させることにより、伝熱管2a自体が共振し、振動振幅が増大される。また、また二段目、三段目奥行側の伝熱管列に対しても振動を与えることができる。
【0050】
以上の工程を第一ヘッダ15に接続された全ての伝熱管2の直線部14に対して行うことで、チューブバンドル4aの最も上流側の伝熱管2に付着したスケールの除去を行うことができる。これにより、チューブバンドル4aの付着物除去が完了する。そして、同様の工程により他のチューブバンドル4の付着物除去を順次行うことによって、全てのチューブバンドル4の付着物除去を行うことができる。
【0051】
上記実施形態によれば、火力発電プラント50からの排ガスGの流れを止めることなく、伝熱管2の外面付着物を除去可能となる。これにより、外面付着物に起因する熱交換器1のガス差圧を低減させることができる。
【0052】
また、伝熱管2を構成する複数のフィン20の存在により伝熱管2の外面から振動を付与できない場合においても外面付着物を除去可能である。
また、振動体32を伝熱管2の固有振動数で振動させることによって、振動振幅を増大させることが可能となり、また二段目、三段目奥行側の伝熱管列に対しても振動を与えることができる。
【0053】
また、振動体32を、より付着物の多い最上流側の伝熱管2の直線部14に挿入することによって、より効率的に熱交換器1のガス差圧を低減することができる。また、伝熱管2はヘッダ15,16に直接接続されているため、振動体32の挿入が容易となる。
なお、振動体32としては、伝熱管2の内側から伝熱管2を振動させることができれば、バイブレータに限ることなく採用することができる。例えば、円筒形状の本体部と、この本体部の外周面から空気圧によって突没可能な複数の突起を有する打撃装置を用いて、突起のピストン運動により伝熱管2を内部より打撃するような構成を採用してもよい。
【0054】
また、本実施形態では、第一ヘッダ15が排ガスGの流通方向の上流側に配置され、第二ヘッダ16が下流側に配置される構成であったが、第二ヘッダ16が排ガスGの流通方向の上流側に配置される構成としてもよい。
この場合、スケールは、第二ヘッダ16に接続された伝熱管2の直線部14に多く付着する。即ち、振動体32は、第一ヘッダ15に直接接続される直線部14、又は第二ヘッダ16に直接接続される直線部14のうち、より付着物の多い方に挿入される。
【0055】
(第二実施形態)
以下、本発明の第二実施形態の熱交換器の付着物除去方法を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
本実施形態の熱交換器の付着物除去方法は、伝熱管2の内側から力を加える方法として、水と空気の脈動によって伝熱管2を振動させる方法を採用している。
【0056】
具体的には、本実施形態の熱交換器の付着物除去方法は、
図8に示すように、伝熱管2内に水Wと空気Aとを交互に送り込む。この際、水Wの抵抗は大きく空気Aの抵抗は小さいため、水Wを先にいれて空気Aを後から入れると空気Aが先に逃げようとする。この空気Aの動きにより脈動が発生し伝熱管2が振動する。
水Wと空気Aとを交互に送り込む機構としては、例えば、水Wを吐出するノズルと、ノズルの開閉を行う電磁弁とを備えた吐水装置を用いて、ノズルから吐出される水Wを脈動させるように制御する機構を採用することができる。
【0057】
このように、伝熱管2の一端から水Wと空気Aを交互に送り込むことによって、第一ヘッダ15から第二ヘッダ16に至るまでの伝熱管2の全長に亘って脈動によって伝熱管2が振動する。
【0058】
上記実施形態によれば、伝熱管2が屈曲している場合においても、伝熱管2の全長に亘って均一に振動を与えることができる。また、事前に伝熱管2から熱媒水を抜くことなく作業を行うことができる。
【0059】
なお、本発明の技術範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。また、上記複数の実施形態で説明した特徴を任意に組み合わせた構成であってもよい。
例えば、上記各実施形態では、伝熱管2を一本ずつ振動させる構成としたが、これに限ることはなく、複数の伝熱管2を同時に振動させる構成としてもよい。
また、上記各実施形態では、熱交換器の付着物除去方法を、再加熱部1bを用いて説明したが、熱交換器1の熱回収部1aについても問題なく適用可能である。