(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6197248
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】未加硫タイヤの製造装置および未加硫タイヤの製造方法
(51)【国際特許分類】
B29D 30/30 20060101AFI20170911BHJP
【FI】
B29D30/30
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-81695(P2014-81695)
(22)【出願日】2014年4月11日
(65)【公開番号】特開2015-202578(P2015-202578A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2016年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】井柳 智
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 真人
【審査官】
増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−062251(JP,A)
【文献】
特開平06−047837(JP,A)
【文献】
特開2004−249512(JP,A)
【文献】
特開2001−071394(JP,A)
【文献】
特開2001−079955(JP,A)
【文献】
特開2011−042084(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0284378(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平面に沿って延びる回転軸回りに回転可能な成形ドラムと、
前記成形ドラムの外周面に複数のタイヤ構成部材を供給する供給機構と、を備え、
前記供給機構は、前記複数のタイヤ構成部材を順次、前記回転軸回りに回転する前記成形ドラムに供給し、前記成形ドラムの外周面に巻回させ積層させる未加硫タイヤの製造装置であって、
前記成形ドラムを、前記回転軸を平行に維持した状態で移動させる移動機構を備え、
前記供給機構には、鉛直方向に互いに間隔をあけて配置され、前記複数のタイヤ構成部材を前記成形ドラムに各別に供給する複数のサーバーが備えられ、
前記移動機構は、前記成形ドラムを移動させ、前記複数のサーバーのうち、最も下側に位置する最下サーバーから前記成形ドラムに供給される前記タイヤ構成部材を、前記成形ドラムに対してこの成形ドラムの下側から供給させ、前記複数のサーバーのうち、最も上側に位置する最上サーバーから前記成形ドラムに供給される前記タイヤ構成部材を、前記成形ドラムに対してこの成形ドラムの上側から供給させることを特徴とする未加硫タイヤの製造装置。
【請求項2】
請求項1記載の未加硫タイヤの製造装置であって、
前記最下サーバーは、前記タイヤ構成部材として、スチールコードを有するベルト部材を前記成形ドラムに供給し、
前記成形ドラムは、この成形ドラムの外周面に前記ベルト部材を磁着可能に形成されていることを特徴とする未加硫タイヤの製造装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の未加硫タイヤの製造装置であって、
前記移動機構は、前記成形ドラムを下側から上側に向けて移動させ、前記供給機構は、前記複数のサーバーのうち、下側に位置するものから順次、前記成形ドラムに前記タイヤ構成部材を供給することを特徴とする未加硫タイヤの製造装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の未加硫タイヤの製造装置であって、
前記回転軸方向に移動可能に配設された搬送機構を備え、
前記供給機構は、前記複数のタイヤ構成部材を順次、前記成形ドラムの外周面に巻回させ積層させることで、前記成形ドラム上に筒状のタイヤ中間部材を形成し、
前記搬送機構は、予め決められた基準位置に位置させられた前記成形ドラム上の前記タイヤ中間部材を、前記回転軸方向に搬送し、
前記最下サーバーは、前記移動機構によって前記基準位置よりも下側に移動させられた前記成形ドラムに、前記タイヤ構成部材を供給し、前記最上サーバーは、前記移動機構によって前記基準位置よりも上側に移動させられた前記成形ドラムに、前記タイヤ構成部材を供給することを特徴とする未加硫タイヤの製造装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の未加硫タイヤの製造装置を用いて未加硫タイヤを製造することを特徴とする未加硫タイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未加硫タイヤの製造装置および未加硫タイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に記載された未加硫タイヤの製造装置が知られている。この製造装置は、水平面に沿って延びる回転軸回りに回転可能な成形ドラムと、成形ドラムの外周面に複数のタイヤ構成部材を供給する供給機構と、を備えている。供給機構は、複数のタイヤ構成部材を順次、回転軸回りに回転する成形ドラムに供給し、成形ドラムの外周面に巻回させ積層させる。
この未加硫タイヤの製造装置は、成形ドラムの軸線が水平面内に維持されるように旋回して成形ドラムの位置の切り替えをするドラム旋回駆動装置を更に備えている。そしてこの未加硫タイヤの製造装置では、複数のタイヤ構成部材のうちの一部を成形ドラムに供給した後、ドラム旋回駆動装置によって成形ドラムを旋回させて成形ドラムの位置を切り替え、その後、複数のタイヤ構成部材のうちの残りを成形ドラムに供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4167838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の未加硫タイヤの製造装置では、水平方向の大きさを抑えて小型化を図ることに改善の余地がある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、小型化を図ることができる未加硫タイヤの製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る未加硫タイヤの製造装置は、水平面に沿って延びる回転軸回りに回転可能な成形ドラムと、前記成形ドラムの外周面に複数のタイヤ構成部材を供給する供給機構と、を備え、前記供給機構は、前記複数のタイヤ構成部材を順次、前記回転軸回りに回転する前記成形ドラムに供給し、前記成形ドラムの外周面に巻回させ積層させる未加硫タイヤの製造装置であって、前記成形ドラムを、前記回転軸を平行に維持した状態で移動させる移動機構を備え、前記供給機構には、鉛直方向に互いに間隔をあけて配置され、前記複数のタイヤ構成部材を前記成形ドラムに各別に供給する複数のサーバーが備えられ、前記移動機構は、前記成形ドラムを移動させ、前記複数のサーバーのうち、最も下側に位置する最下サーバーから前記成形ドラムに供給される前記タイヤ構成部材を、前記成形ドラムに対してこの成形ドラムの下側から供給させ、前記複数のサーバーのうち、最も上側に位置する最上サーバーから前記成形ドラムに供給される前記タイヤ構成部材を、前記成形ドラムに対してこの成形ドラムの上側から供給させることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、供給機構に、鉛直方向に互いに間隔をあけて配置された複数のサーバーが備えられているので、これら複数のサーバーを回転軸方向に重ならせ、供給機構が回転軸方向に大きくなるのを抑えることができる。
また移動機構が、成形ドラムを移動させ、最下サーバーから成形ドラムに供給されるタイヤ構成部材を、成形ドラムに対してこの成形ドラムの下側から供給させ、最上サーバーから成形ドラムに供給されるタイヤ構成部材を、成形ドラムに対してこの成形ドラムの上側から供給させるので、成形ドラムの鉛直方向の移動距離を短くすることができる。
以上のように、供給機構が回転軸方向に大きくなるのを抑えるとともに、成形ドラムの鉛直方向の移動距離を短くすることができるので、この未加硫タイヤの製造装置の小型化を図ることができる。
さらに、成形ドラムに供給機構から複数のタイヤ構成部材を供給するときに、移動機構が成形ドラムを移動させるので、このときにサーバーを鉛直方向に移動させなかったり、移動させる場合であってもその移動量を小さく抑えたりすることができる。したがって、供給機構においてタイヤ構成部材を準備する時間を確保し易くすることが可能になり、成形ドラムの鉛直方向の移動距離を短くすることができることと相俟って、生産性を確保することができる。
【0008】
また、前記最下サーバーは、前記タイヤ構成部材として、スチールコードを有するベルト部材を前記成形ドラムに供給し、前記成形ドラムは、この成形ドラムの外周面に前記ベルト部材を磁着可能に形成されていてもよい。
【0009】
この場合、成形ドラムの外周面に、ベルト部材が磁着可能とされているので、供給機構が、ベルト部材を成形ドラムの下側から供給することで、成形ドラムの外周面に磁着されて貼り付けられるベルト部材を成形ドラムによって、成形ドラムに対してサーバーが位置する下側に向けて押し付けることができる。したがって、ベルト部材において、このベルト部材の進行方向の後側に位置する最終端部を、成形ドラムに確実に貼り付けることができる。なおベルト部材を、成形ドラムに対して上側から磁着させて貼り付けようとする場合、ベルト部材の前記最終端部が、例えばスチールコードの剛性などの影響により、成形ドラムの外周面に対して上側に向けてはねた状態になり、外周面に貼り付けられない可能性がある。
また前述のように、成形ドラムの外周面に、ベルト部材が磁着可能とされているので、供給機構が、ベルト部材を成形ドラムの下側から供給することで、ベルト部材を成形ドラムの外周面に精度良く位置決めして巻き付けさせることが可能になり、未加硫タイヤを高精度に形成することができる。
【0010】
また、前記移動機構は、前記成形ドラムを下側から上側に向けて移動させ、前記供給機構は、前記複数のサーバーのうち、下側に位置するものから順次、前記成形ドラムに前記タイヤ構成部材を供給してもよい。
【0011】
この場合、移動機構が、成形ドラムを下側から上側に向けて移動させ、供給機構が、複数のサーバーのうち、下側に位置するものから順次、成形ドラムにタイヤ構成部材を供給するので、成形ドラムの鉛直方向の移動ロスを小さく抑えて成形ドラムの移動距離を短くすることが可能になり、生産性を一層確保することができる。
【0012】
また、前記回転軸方向に移動可能に配設された搬送機構を備え、前記供給機構は、前記複数のタイヤ構成部材を順次、前記成形ドラムの外周面に巻回させ積層させることで、前記成形ドラム上に筒状のタイヤ中間部材を形成し、前記搬送機構は、予め決められた基準位置に位置させられた前記成形ドラム上の前記タイヤ中間部材を、前記回転軸方向に搬送し、前記最下サーバーは、前記移動機構によって前記基準位置よりも下側に移動させられた前記成形ドラムに、前記タイヤ構成部材を供給し、前記最上サーバーは、前記移動機構によって前記基準位置よりも上側に移動させられた前記成形ドラムに、前記タイヤ構成部材を供給してもよい。
【0013】
この場合、最下サーバーが、移動機構によって基準位置よりも下側に移動させられた成形ドラムに、タイヤ構成部材を供給し、最上サーバーが、移動機構によって基準位置よりも上側に移動させられた成形ドラムに、タイヤ構成部材を供給する。これにより、成形ドラムの鉛直方向の移動範囲を、供給機構の鉛直方向の内側に留めることが可能になり、この未加硫タイヤの製造装置の更なる小型化を図ることができる。
【0014】
また、本発明に係る未加硫タイヤの製造方法は、前記未加硫タイヤの製造装置を用いて未加硫タイヤを製造してもよい。
【0015】
この発明によれば、小型化された未加硫タイヤの製造装置を用いて未加硫タイヤを製造するので、例えば作業者の移動時間を短くすること等が可能になり、生産性を向上させ易くすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に未加硫タイヤの製造装置によれば、小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る未加硫タイヤの製造装置の正面図である。
【
図2】
図1に示す未加硫タイヤの製造装置の上面図である。
【
図3】
図1に示す未加硫タイヤの製造装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る未加硫タイヤの製造装置を説明する。
図1から
図3に示すように、未加硫タイヤの製造装置(以下、「製造装置」という)10は、成形ドラム11と、移動機構12と、供給機構13と、搬送機構10Aと、を備えている。
【0019】
成形ドラム11は、水平面に沿って延びる回転軸O回りに回転可能とされている。成形ドラム11は、この成形ドラム11を回転軸O回りに回転させる回転機構14により支持されている。回転機構14は、成形ドラム11を、回転軸O方向である左右方向Xの一方側から支持している。成形ドラム11は、この成形ドラム11の外周面に後述するベルト部材15a、15bを磁着可能に形成されている。成形ドラム11の外周面は、例えばこの外周面に磁石が配設されること等により、磁気を帯びている。
【0020】
移動機構12は、成形ドラム11を、回転軸Oを平行に維持した状態で移動させる。移動機構12は、成形ドラム11を、鉛直方向Zと、鉛直方向Zおよび左右方向Xの両方向に直交する前後方向Yと、の両方向に各別にスライド移動させ、左右方向Xにはスライド移動させない。移動機構12は、回転機構14を介して成形ドラム11を移動させる。
なお移動機構12は、例えば、回転機構14を支持する支持部材を、鉛直方向Zに延びる第1リニアガイドおよび前後方向Yに延びる第2リニアガイドによって支持し、これらの両リニアガイドを駆動部によって駆動させること等により構成することができる。
【0021】
図3に示すように、供給機構13は、帯状に形成された複数のタイヤ構成部材15a、15b、15c、15dを順次、回転軸O回りに回転する成形ドラム11に供給し、成形ドラム11の外周面に巻回させ積層させることで、成形ドラム11上に図示しない筒状の外張り部材(タイヤ中間部材)を形成する。供給機構13は、鉛直方向Zに互いに間隔をあけて配置され、複数のタイヤ構成部材15a、15b、15c、15dを成形ドラム11に各別に供給する複数のサーバー16a、16b、16c、16dを備えている。
【0022】
サーバー16a、16b、16c、16dは、鉛直方向Zに互いに間隔をあけて4つ設けられていて、成形ドラム11に対して前後方向Yの後側に位置している。サーバー16a、16b、16c、16dとしては、下側から上側に向けて、第1サーバー(最下サーバー)16a、第2サーバー16b、第3サーバー16cおよび第4サーバー(最上サーバー)16dが備えられている。
【0023】
第1サーバー16aおよび第2サーバー16bは、成形ドラム11に、タイヤ構成部材としてのベルト部材15a、15bを供給する。ベルト部材15a、15bは、スチールコードがゴムにより被覆されてなる。ベルト部材15a、15bにおいて、スチールコードは、ベルト部材15a、15bの長手方向に対して傾斜して延びている。第1サーバー16aおよび第2サーバー16bは、コンベヤベルトにより構成されていて、ベルト部材15a、15bは、第1サーバー16a上および第2サーバー16b上を、前後方向Yに沿って後側から前側に向けて搬送される。
【0024】
なお図示の例では、第1サーバー16aによって成形ドラム11に供給されるベルト部材(以下、「第1ベルト部材」という)15aと、第2サーバー16bによって成形ドラム11に供給されるベルト部材(以下、「第2ベルト部材」という)15bと、では、スチールコードが、前記長手方向に真直に延びる基準線に対して、互いに反対側に向けて傾斜している。
【0025】
第3サーバー16cは、成形ドラム11に、タイヤ構成部材としてのスパイラルレイヤー15cを供給する。スパイラルレイヤー15cは、有機繊維コードがゴムにより被覆されてなる。有機繊維コードは、スパイラルレイヤー15cの長手方向に対して平行に延びている。スパイラルレイヤー15cは、ベルト部材15a、15bよりも狭幅の帯状に形成され、成形ドラム11に巻き付けられたベルト部材15a、15b上に、ベルト部材15a、15bの幅方向にずらされながら複数周、巻き付けられる。第3サーバー16cは、図示しない複数の回転ローラを備えていて、この回転ローラが回転することで、スパイラルレイヤー15cを前後方向Yに沿って後側から前側に向けて搬送する。
【0026】
第4サーバー16dは、成形ドラム11に、タイヤ構成部材としてのトレッド部材15dを供給する。トレッド部材15dは、複数種のゴムが組み合わされてなり、ベルト部材15a、15bおよびスパイラルレイヤー15cよりも厚肉かつ広幅となっている。第4サーバー16dは、コンベヤベルトにより構成されていて、トレッド部材15dは、第4サーバー16d上を、前後方向Yに沿って後側から前側に向けて搬送される。
【0027】
ここで
図1から
図3に示すように、前述の成形ドラム11、移動機構12および供給機構13は、前記外張り部材を形成するBTステージ10Bを構成している。またこの製造装置10は、筒状の内張り部材(タイヤ中間部材)を形成する図示しないBANDステージと、これらの内張り部材と外張り部材とを組み合わせる図示しないシェイピングユニットと、を備えている。
【0028】
この製造装置10では、前記BANDステージにおいて形成された内張り部材、およびBTステージ10Bにおいて形成された外張り部材はそれぞれ、図示しない専用の搬送機構によって前記シェイピングユニットに搬送されて組み合わされる。これにより、シェイピングユニットにおいて未加硫タイヤが形成される。
【0029】
搬送機構10Aは、左右方向Xに移動可能に配設されている。搬送機構10Aは、予め決められた基準位置に位置させられた成形ドラム11上の前記外張り部材を、左右方向Xに搬送する。搬送機構10Aは、外張り部材を、成形ドラム11に対して左右方向Xの他方側に向けて、前記シェイピングユニットに至るまで搬送する。搬送機構10Aは、基準位置に位置する成形ドラム11と同軸に配置された環状に形成されていて、左右方向Xにスライド移動して成形ドラム11に外装された後、例えば縮径すること等により外張り部材を把持する。
【0030】
ここで
図3に示すように、前記BTステージ10Bにおいて、前記移動機構12は、成形ドラム11を下側から上側に向けて移動させ、前記供給機構13は、複数のサーバー16a、16b、16c、16dのうち、下側に位置するものから順次、成形ドラム11にタイヤ構成部材15a、15b、15c、15dを供給する。これにより、成形ドラム11の外周面には、第1ベルト部材15a、第2ベルト部材15b、スパイラルレイヤー15c、トレッド部材15dの順に、タイヤ構成部材15a、15b、15c、15dが巻き付けられて積層される。
【0031】
このとき移動機構12は、この製造装置10を左右方向Xから見た側面視において、成形ドラム11を、基準位置の成形ドラム11と、供給機構13と、の前後方向Yの間に位置する図示しない中間点回りに周回させる。移動機構12は、成形ドラム11を、基準位置から後方斜め下方に移動させた後、下側から上側に向けて移動させ、その後、前方斜め上方から基準位置に移動させる。
【0032】
これにより、複数のサーバー16a、16b、16c、16dのうち、最も下側に位置する第1サーバー16aは、移動機構12によって基準位置よりも下側に移動させられた成形ドラム11に、タイヤ構成部材としての第1ベルト部材15aを供給し、最も上側に位置する第4サーバー16dは、移動機構12によって基準位置よりも上側に移動させられた成形ドラム11に、タイヤ構成部材としてのトレッド部材15dを供給する。
【0033】
そして本実施形態では、移動機構12は、成形ドラム11を移動させ、第1サーバー16aから成形ドラム11に供給される第1ベルト部材15aを、成形ドラム11に対してこの成形ドラム11の下側から供給させ、第4サーバー16dから成形ドラム11に供給されるトレッド部材15dを、成形ドラム11に対してこの成形ドラム11の上側から供給させる。
【0034】
図示の例では、複数のサーバー16a、16b、16c、16dのうち、下側に位置する一部のサーバーである第1サーバー16aおよび第2サーバー16bは、成形ドラム11に、第1ベルト部材15aおよび第2ベルト部材15bそれぞれを下側から供給する。そして、複数のサーバー16a、16b、16c、16dのうち、上側に位置する残りのサーバーである第3サーバー16cおよび第4サーバー16dは、成形ドラム11に、スパイラルレイヤー15cおよびトレッド部材15dを上側から供給する。
【0035】
以上説明したように、本実施形態に係る未加硫タイヤの製造装置10によれば、供給機構13に、鉛直方向Zに互いに間隔をあけて配置された複数のサーバー16a、16b、16c、16dが備えられているので、これら複数のサーバー16a、16b、16c、16dを左右方向Xに重ならせ、供給機構13が左右方向Xに大きくなるのを抑えることができる。
また移動機構12が、成形ドラム11を移動させ、第1サーバー16aから成形ドラム11に供給されるタイヤ構成部材としての第1ベルト部材15aを、成形ドラム11に対してこの成形ドラム11の下側から供給させ、第4サーバー16dから成形ドラム11に供給されるタイヤ構成部材としてのトレッド部材15dを、成形ドラム11に対してこの成形ドラム11の上側から供給させるので、成形ドラム11の鉛直方向Zの移動距離を短くすることができる。
以上のように、供給機構13が左右方向Xに大きくなるのを抑えるとともに、成形ドラム11の鉛直方向Zの移動距離を短くすることができるので、この未加硫タイヤの製造装置10の小型化を図ることができる。
【0036】
さらに、成形ドラム11に供給機構13から複数のタイヤ構成部材15a、15b、15c、15dを供給するときに、移動機構12が成形ドラム11を移動させるので、このときにサーバー16a、16b、16c、16dを鉛直方向Zに移動させなかったり、移動させる場合であってもその移動量を小さく抑えたりすることができる。したがって、供給機構13においてタイヤ構成部材15a、15b、15c、15dを準備する時間を確保し易くすることが可能になり、成形ドラム11の鉛直方向Zの移動距離を短くすることができることと相俟って、生産性を確保することができる。
【0037】
また、成形ドラム11の外周面に、ベルト部材15a、15bが磁着可能とされているので、供給機構13が、ベルト部材15a、15bを成形ドラム11の下側から供給することで、成形ドラム11の外周面に磁着されて貼り付けられるベルト部材15a、15bを成形ドラム11によって、成形ドラム11に対してサーバー16a、16bが位置する下側に向けて押し付けることができる。したがって、ベルト部材15a、15bにおいて、このベルト部材15a、15bの進行方向の後側に位置する最終端部を、成形ドラム11に確実に貼り付けることができる。なおベルト部材15a、15bを、成形ドラム11に対して上側から磁着させて貼り付けようとする場合、ベルト部材15a、15bの前記最終端部が、例えばスチールコードの剛性などの影響により、成形ドラム11の外周面に対して上側に向けてはねた状態になり、外周面に貼り付けられない可能性がある。
また前述のように、成形ドラム11の外周面に、ベルト部材15a、15bが磁着可能とされているので、供給機構13が、ベルト部材15a、15bを成形ドラム11の下側から供給することで、ベルト部材15a、15bを成形ドラム11の外周面に精度良く位置決めして巻き付けさせることが可能になり、未加硫タイヤを高精度に形成することができる。
【0038】
また移動機構12が、成形ドラム11を下側から上側に向けて移動させ、供給機構13が、複数のサーバー16a、16b、16c、16dのうち、下側に位置するものから順次、成形ドラム11にタイヤ構成部材15a、15b、15c、15dを供給するので、成形ドラム11の鉛直方向Zの移動ロスを小さく抑えて成形ドラム11の移動距離を短くすることが可能になり、生産性を一層確保することができる。
【0039】
また第1サーバー16aが、移動機構12によって基準位置よりも下側に移動させられた成形ドラム11に、第1ベルト部材15aを供給し、第4サーバー16dが、移動機構12によって基準位置よりも上側に移動させられた成形ドラム11に、トレッド部材15dを供給する。これにより、成形ドラム11の鉛直方向Zの移動範囲を、供給機構13の鉛直方向Zの内側に留めることが可能になり、この未加硫タイヤの製造装置10の更なる小型化を図ることができる。
【0040】
また、本実施形態に係る未加硫タイヤの製造方法によれば、小型化された未加硫タイヤの製造装置10を用いて未加硫タイヤを製造するので、例えば作業者の移動時間を短くすること等が可能になり、生産性を向上させ易くすることができる。
【0041】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0042】
例えば、サーバー16a、16b、16c、16dは、4つに限られず、3つ以下であってもよく、5つ以上であってもよい。
【0043】
前記実施形態では、成形ドラム11、移動機構12および供給機構13が、BTステージ10Bを構成するが、本発明はこれに限られない。例えば、成形ドラム、供給機構および移動機構が、前記BANDステージを構成していてもよい。
【0044】
本発明では、成形ドラム11が、この成形ドラム11の外周面にベルト部材15a、15bを磁着可能に形成されていなくてもよい。
【0045】
前記実施形態では、移動機構12が、成形ドラム11を下側から上側に向けて移動させ、供給機構13が、複数のサーバー16a、16b、16c、16dのうち、下側に位置するものから順次、成形ドラム11にタイヤ構成部材15a、15b、15c、15dを供給するが、本発明はこれに限られない。例えば、移動機構が、成形ドラムを上側から下側に向けて移動させ、供給機構が、複数のサーバーのうち、上側に位置するものから順次、成形ドラムにタイヤ構成部材を供給してもよい。
【0046】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0047】
10 製造装置
10A 搬送機構
11 成形ドラム
12 移動機構
13 供給機構
15a、15b、15c、15d タイヤ構成部材
16a、16b、16c、16d サーバー
O 回転軸
X 左右方向(回転軸方向)
Z 鉛直方向