特許第6197250号(P6197250)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 広島県の特許一覧

<>
  • 特許6197250-反芻動物管理方法 図000002
  • 特許6197250-反芻動物管理方法 図000003
  • 特許6197250-反芻動物管理方法 図000004
  • 特許6197250-反芻動物管理方法 図000005
  • 特許6197250-反芻動物管理方法 図000006
  • 特許6197250-反芻動物管理方法 図000007
  • 特許6197250-反芻動物管理方法 図000008
  • 特許6197250-反芻動物管理方法 図000009
  • 特許6197250-反芻動物管理方法 図000010
  • 特許6197250-反芻動物管理方法 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6197250
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】反芻動物管理方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 29/00 20060101AFI20170911BHJP
   A01K 11/00 20060101ALI20170911BHJP
   A01K 13/00 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   A01K29/00
   A01K11/00 Z
   A01K13/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-243450(P2014-243450)
(22)【出願日】2014年12月1日
(62)【分割の表示】特願2009-260521(P2009-260521)の分割
【原出願日】2009年11月13日
(65)【公開番号】特開2015-57067(P2015-57067A)
(43)【公開日】2015年3月26日
【審査請求日】2014年12月24日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591079487
【氏名又は名称】広島県
(74)【代理人】
【識別番号】100122574
【弁理士】
【氏名又は名称】吉永 貴大
(72)【発明者】
【氏名】三宅 正光
(72)【発明者】
【氏名】水川 貴章
(72)【発明者】
【氏名】新出 昭吾
(72)【発明者】
【氏名】河野 幸雄
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−173930(JP,A)
【文献】 特開2008−228573(JP,A)
【文献】 松井寛二,放牧家畜の生理生態情報の自動記録法,日本畜産学会北陸支部会報,1995年,Vol.71,P.7-13
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 29/00
A01K 11/00
A01K 13/00
A01K 67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反芻動物の行動を管理する反芻動物管理法であって、
反芻動物の口周辺部に装着された装置から、該反芻動物の顎の動きにより生じた量に応じて出力される顎の動き情報を60msごとに、またはより高頻度に取得する工程と、
反芻動物の頭部に装着された装置から、該反芻動物の頭部の傾きにより生じた量に応じて出力される頭部の傾き情報を取得する工程と、
該反芻動物の顎の動きにより生じた量に応じて出力される顎の動き情報と、該頭部の傾きにより生じた量に応じて出力される頭部の傾き情報に基づいて、該反芻動物の採食、反芻、飲水および休息行動を識別し、
顎の動く回数及び顎の動く程度を示す情報並びに頭部の運動を示す情報から、該反芻動物の健康状態を判定することを特徴とする
反芻動物管理法。
【請求項2】
前記反芻動物の口周辺部に装着された装置が、
前記反芻動物の口周辺部の少なくとも一つの形状に合わせて配置された曲げセンサを用いる、請求項1に記載の反芻動物管理方法。
【請求項3】
前記反芻動物の頭部に装着された装置が、
前記反芻動物の頭部の前後方向の傾きを計測する加速度センサを用いる、請求項1又は2に記載の反芻動物管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反芻動物管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
反芻動物の飼養にとって、飼養する動物の健康管理、乳質管理、発情や分娩のタイミング把握、給飼内容の変更等は非常に重要であるが、これらを適切に行うためには経験と長時間の観察が必要である。また、フリーストールやフリーバーン飼養方式の場合では、より個体の状態が把握しにくくなり、これらを適切に行う事は困難である。そこで、反芻や摂食による咀嚼の回数や時間等を専用の機材を用いて計測し、集計することで健康状態や発情や分娩のタイミング等を把握して反芻動物の管理を行っていた(特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−219757号公報
【特許文献2】特開2008−228573号公報
【特許文献3】特開平10−262498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述の特許文献1〜3に記載された感圧導電ゴム、歪みゲージ、加速度センサ、上下動センサで反芻動物の下顎の動きを検知する技術では、感圧導電ゴム等から得られる信号の変化量が少なく、外部に下顎の動きに応じた信号を送信する場合にはアンプで信号を増幅して送信する必要があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、摂食、反芻、飲水等の行動に伴う下顎の動きを簡単な構成で検知でき、外部に容易に送信できる反芻動物管理装置、反芻動物管理システム、および反芻動物管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る反芻動物の行動を管理する反芻動物管理装置は、反芻動物の口周辺部に装着され、摂食、反芻、飲水等の行動に伴う前記反芻動物の顎の動きにより生じた曲がり量に応じた信号を出力する顎運動検出手段と、前記顎運動検出手段から出力された信号に基づくデータを外部に送信する送信手段および顎運動情報を解析管理する処理手段を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、顎の動きに応じて曲がる顎運動検出手段を用いることで、顎の動きが大きくなればなるほど出力する信号の変化量が大きくなるため、顎運動検出手段の信号に基づくデータを増幅すること無しに送信手段により外部に送信することで反芻動物の顎の動きを取得できる。
【0008】
また、本発明に係る反芻動物管理装置は、前記顎運動検出手段が曲げセンサであることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、曲げセンサは曲げの角度に応じて連続的に抵抗値が変化し、曲げていないときの抵抗値と曲げたときの抵抗値の差が大きいため、顎の動きに応じて変化量の大きな信号を出力することができる。これにより増幅すること無しに該当信号を送信手段により外部に送信し、外部で反芻動物の顎の動きを取得できる。
【0010】
また、本発明に係る反芻動物管理装置は、前記送信手段は、無線電波送信で前記顎運動検出手段から出力された信号に基づくデータを外部に送信することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、無線電波により反芻動物の顎の動きを示す信号を外部に送信することができるため反芻動物の行動を制限しないで顎の運動および行動を知ることができる。また、反芻動物が放牧等で自由に行動ができる場合でも、容易に顎の運動に応じたデータを受信できる。
【0012】
また、本発明に係る反芻動物管理装置は、前記送信手段は、前記顎運動検出手段から所定回数の信号を取得した後に、前記顎運動検出手段から取得したデータをまとめて送信することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、顎運動検出手段から取得した信号はサイズが小さいため、高頻度に取得した信号をその都度送信すると通信のオーバーヘッドなど無駄が多くなるため、複数回の信号をまとめて送信することで効率的な送信をすることができる。
【0014】
また、本発明に係る反芻動物管理装置は、前記顎運動検出手段と前記送信手段とを電気的に接続する配線手段と、前記配線手段を覆い、柔軟性を有する覆い手段とを備える事を特徴とする。
【0015】
本発明によれば、配線手段は覆い手段に覆われているため、反芻動物管理装置を使用している際に配線手段が断線しにくくなる。また、覆い手段は柔軟性を有するため反芻動物に反芻動物管理装置を容易に装着でき、反芻動物に与える負荷も少なくすることができる。
【0016】
また、本発明に係る反芻動物管理装置は、前記配線手段は端部に着脱可能な接続部を備え、前記顎運動検出手段は、接続部を介して前記配線手段に電気的に接続されていることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、顎運動検出手段と配線手段を容易に切り離すことができるため、顎運動検出手段が故障した場合等に顎運動検出手段を容易に交換できる。
【0018】
また、本発明に係る反芻動物管理装置は、前記接続部は前記顎運動検出手段に接続される第1の端子と、第1の端子以外の第2の端子を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、接続部に顎運動検出手段以外の機器を接続することができるため、反芻動物管理装置に拡張性を持たせることができる。
【0020】
また、本発明に係る反芻動物管理装置は、前記送信手段と前記顎運動検出手段とを結ぶ結合手段を更に備え、前記顎運動検出手段は前記反芻動物の口周辺部の少なくとも一部の形状にあわせて配置され、前記送信手段は前記反芻動物の頭部の後方に配置され、前記配線手段と前記覆い手段は前記反芻動物の頭部の一方の側面に沿って配設され、前記結合手段は、前記配線手段と前記覆い手段が配設される前記反芻動物の頭部側面と反対側の側面に配設されることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、顎運動検出手段と送信手段と配線手段と覆い手段と結合手段とで反芻動物の頭部を囲むことができ、確実に反芻動物管理装置を反芻動物の頭部に装着することができる。
【0022】
また、本発明に係る反芻動物管理装置は、前記反芻動物の頭部の傾きを検出する頭部傾き検出手段を更に備え、前記送信手段は前記頭部傾き検出手段から出力された信号に基づくデータを外部に送信することを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、反芻動物の頭部の傾き情報と顎の動き情報とから詳細に反芻動物の行動を判別することができる。
【0024】
また、本発明に係る反芻動物管理装置は、周辺温度、湿度、および前記反芻動物の体温の少なくとも1つを計測する測定手段を更に備え、前記送信手段は前記測定手段から出力された信号に基づくデータを外部に送信することを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、反芻動物の存在する環境が適切か否かを判別することができ、反芻動物を適切な環境で飼養することが容易になる。また、反芻動物の健康状態を容易に管理することができる。
【0026】
また、本発明に係る反芻動物管理装置は、前記送信手段は、前記顎運動検出手段から所定回数の信号を取得した後に、前記頭部傾き検出手段及び/または前記測定手段から出力された信号に基づくデータを、前記顎運動検出手段から出力された所定回数の信号に基づくデータとともに外部に送信することを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、顎運動に基づくデータを送信する際に頭部傾き検出手段及び/または測定手段から出力された信号に基づくデータを送信するため、高頻度に取得する必要がある情報と高頻度に取得する必要がない情報とを効率よく送信することができる。
【0028】
また、本発明に係る反芻動物管理装置は、前記送信手段はIEEE 802.15.4モジュールであることを特徴とする。
【0029】
本発明によれば、消費電力が小さいIEEE 802.15.4モジュールを使用することでバッテリーの長寿命化を実現できる。また、反芻動物がデータ集約地に顎運動に基づくデータ等を直接送信できない場所に移動してしまった場合でも、IEEE 802.15.4モジュールのルータ機能により確実に顎運動に基づくデータ等をデータ集約地に送信することができる。
【0030】
本発明に係る反芻動物健康管理システムは、上記の反芻動物管理装置と、前記送信手段から送信されたデータを管理する管理情報処理部と、を備えた反芻動物健康管理システムであって、前記管理情報処理部は、前記反芻動物管理装置から送信されたデータを受信する受信手段と、前記受信部で受信したデータを処理する処理手段と、前記処理手段による処理結果を知らせる通知手段とを含むことを特徴とする。
【0031】
本発明によれば、反芻動物管理装置から得られたデータから反芻動物の状態を判別し、これを反芻動物の管理者等に知らせることで、反芻動物の管理が容易になる。
【0032】
本発明に係る反芻動物の行動を管理する反芻動物管理方法は、反芻動物の口周辺部に装着された装置から前記反芻動物の顎の動きにより生じた曲がり量に応じて出力される信号を取得し、前記曲がり量に応じて出力される信号に基づくデータを外部に送信することを特徴とする。
【0033】
本発明によれば、顎の動きに応じて生じる曲がり量に応じた出力は信号の変化量が大きいため、該当信号を増幅すること無しに外部に送信しても反芻動物の顎の動きを取得できる。
【0034】
また、本発明に係る反芻動物管理方法は、前記曲がり量に応じて出力される信号を所定回数取得した後に、前記曲がり量に応じて出力される信号に基づくデータをまとめて外部に送信することを特徴とする。
【0035】
本発明によれば、顎の運動により取得した信号はサイズが小さく、高頻度に取得した信号をその都度送信すると通信のオーバーヘッドなど無駄が多くなるため、複数回の信号をまとめて送信することで効率的な送信ができる。
【0036】
また、本発明に係る反芻動物管理方法は、前記反芻動物の頭部の傾き量を検出し、検出された前記反芻動物の頭部の傾き量に基づくデータを外部に送信することを特徴とする。
【0037】
本発明によれば、反芻動物の頭部の傾き情報と顎の動き情報とから詳細に反芻動物の行動を判別することができる。
【0038】
また、本発明に係る反芻動物管理方法は、周辺温度、湿度、および前記反芻動物の体温の少なくとも1つを計測し、計測された周辺温度、湿度、および前記反芻動物の体温に基づくデータを外部に送信することを特徴とする。
【0039】
本発明によれば、反芻動物の存在する環境が適切か否かを判別することができ、反芻動物を適切な環境で飼養することが容易になる。また、反芻動物の健康状態を容易に管理することができる。
【0040】
また、本発明に係る反芻動物管理方法は、前記曲がり量に応じて出力される信号を所定回数取得した後に、前記頭部の傾き量に基づくデータ及び/または前記周辺温度、湿度、および前記反芻動物の体温に基づくデータを前記所定回数の信号に基づくデータとともに外部に送信することを特徴とする。
【0041】
本発明によれば、顎運動に基づくデータを送信する際に頭部の傾き量に基づくデータ及び/または周辺温度、湿度、および反芻動物の体温に基づくデータを送信するため、高頻度に取得する必要がある情報と高頻度に取得する必要がない情報とを効率よく送信することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、下顎の動きを簡単な構成で検知でき、外部に容易に送信できる反芻動物管理装置、反芻動物管理システム、および反芻動物管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明に係る反芻動物管理装置を牛の頭部に装着した場合の装着状態を示す説明図である。
図2】本発明に係る反芻動物管理装置を牛の頭部に装着した場合の装着状態と可変部の顎部分の動きを示す説明図である。
図3】本発明に係る反芻動物管理装置を示す説明図である。
図4】本発明に係る反芻動物管理装置の留め具及び接続部を示す斜視図である。
図5】本発明に係る接続部を示す斜視図である。
図6】本発明に係る反芻動物管理システムの構成を示す説明図である。
図7】本発明に係る反芻動物管理装置で行う処理について説明するフローチャートである。
図8】本発明に係る反芻動物管理センターで行う処理について説明するフローチャートである。
図9】本発明に係る反芻動物管理装置による計測結果を示すグラフである。
図10】本発明に係る反芻動物管理装置の他の実施例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明に係る好適な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。また、反芻動物として牛に適用した場合を例として説明する。
【0045】
図1図2は、本発明に係る反芻動物管理装置を牛の頭部に装着した場合の装着状態を示す説明図であり、図1は牛が口を閉じた状態を示し、図2は口を開けた状態を示している。反芻動物管理装置10は、反芻動物の顎の動きにより生じた曲がり量に応じた信号を出力する顎運動検出手段としての曲げセンサ1と、牛の頭部の後方であって頸部の上部に配置された本体ボックス2、電池ボックス7A・7B、配線9、覆いパイプ3、留め具5、結合パイプ23(図3参照)から構成されている。本体ボックス2の内部には、後述するように牛の頭部の前後方向の傾きを検出する加速度センサ11と、気温と湿度を計測する天候センサ12が設けられている(図6参照)。
【0046】
牛が摂食、反芻、飲水、舐塩をする際は図2に示すように、口(特に下顎部)を上下左右に動かす。これにより、曲げセンサ1は図2に示すように変形して曲げセンサ1内部の抵抗値が変化し、口の動きに応じて生じる曲げセンサ1の信号値の変化を検出することで咀嚼等を容易に検知することができる。曲げセンサ1は、導電性インキが薄膜塗布されたフィルム状の抵抗型センサである。この曲げセンサ1は、曲げていないときの抵抗値が10kΩ前後であるのに対して、曲げるとその曲げの角度に応じて、最大22kΩ程度にまで連続的に抵抗値が変化する性質がある。従って、曲げセンサ1と直列にセンス抵抗を接続し、それらの両端に定電圧をかけると、センス抵抗の両端で測定される電圧の変化によって、曲げセンサの抵抗値の変化を知ることができる。以後、このセンス抵抗の両端で測定される電圧を、曲げセンサ1の出力する信号値とする。曲げセンサ1は、信号値の変化量が大きいためアンプにより信号の増幅をすること無しに無線で信号値を送信でき、反芻動物管理装置10にアンプを設ける必要がないため機器構成を小さくすることができる。
【0047】
曲げセンサ1と本体ボックス2の内部に配置される送信部16(図6参照)とを電気的に接続する配線手段としての配線9は、柔軟性を有する覆い手段としての覆いパイプ3の中を通っている。また、曲げセンサ1も覆いパイプ3と同様の柔軟性を備えた保護パイプ8の内部に配置されている。そのため曲げセンサ1と本体ボックス2の内部に設けられた中央処理部14(図6参照)とを容易に接続できる。また、牛が柵等に頭部を擦りつけても覆いパイプ3と保護パイプ8が配線9と曲げセンサ1を保護するため配線9と曲げセンサ1の破損を防ぐことが出来る。本実施例では保護パイプ8と覆いパイプ3は、ステンレスフレキシブル管を採用しているが、樹脂製のパイプや金属管などであれば使用可能であり、保護能があり柔軟性を備えているもので置き換えることができる。また反芻動物管理装置10を装着した反芻動物により破壊されないものに置き換えることができる。
【0048】
図3は、本発明に係る反芻動物管理装置を示す説明図である。着脱可能な接続部としての接続部4は配線9と曲げセンサ1を電気的に接続している。また、コネクタ部2aは配線9と本体ボックス2内の中央処理部14(図6参照)を着脱可能に接続している。これにより、接続部4とコネクタ部2aを切り離すことで曲げセンサ1と配線9と本体ボックス2を容易に分離することができる。なお、接続部4とコネクタ部2aは防水コネクタであることが望ましい。
【0049】
また、本体ボックス2と曲げセンサ1は、更に牛の頭部の左側面で配線9と覆いパイプ3で繋がっているが、右側面で結合手段としての結合パイプ23により繋がっている。結合パイプ23は一端が保護パイプ8と第1結合部24で着脱可能に結合し、他端が本体ボックス2と第2結合部2bで着脱可能に結合している。なお、第1結合部24と第2結合部2bは接続部3とコネクタ部2aとは異なり、曲げセンサ1と中央処理部14(図6参照)とを電気的に接続していない。そのため、ここでは第1結合部24と第2結合部2bは防水機能を有するねじ込み式結合ネジを採用している。ねじ込み式結合ネジ以外にも保護パイプ8と結合パイプ23と本体ボックス2とを分離できるものであれば採用でき、好ましくは防水機能を備えるものがよい。そして、結合パイプ23は保護パイプ8と覆いパイプ3と同じステンレスフレキシブル管を採用しているが、樹脂製のパイプや金属管などが使用可能であり柔軟性を備えているもので置き換えることができる。また、反芻動物管理装置10を装着した反芻動物により破壊されないものに置き換えることができる。
【0050】
このように、保護パイプ8と覆いパイプ3と結合パイプ23とを着脱自在に繋げたため、曲げセンサ1が故障した場合や保護パイプ8が破損した場合は、接続部4と第1結合部24を切り離すことで容易に曲げセンサ1や保護パイプ8を交換することができる。同様に、配線9が断線した場合や覆いパイプ3が破損した場合は接続部4とコネクタ部2aを切り離すことで配線9や覆いパイプ3を容易に交換することができる。また、結合パイプ23が破損した場合は、第1結合部24と第2結合部2bを切り離すことで結合パイプ23を容易に交換することができる。
【0051】
留め具5は牛の頭部の左右に配置され、一つは覆いパイプ3の接続部4側に略固定され、鼻帯6と曲げセンサ1とにより頭部の左側に位置決めされている。他方は結合パイプ23の第1結合部24側に略固定され、鼻帯6と曲げセンサ1とにより頭部の右側に位置決めされている。これにより反芻動物管理装置10は、曲げセンサ1、配線9、覆いパイプ3、本体ボックス2、結合パイプ23で頭部を囲んで頭絡を形成することができるため容易に牛に装着することが可能となる。また、必要があれば覆いパイプ3と結合パイプ23の間に喉革を設けてもよく、喉革の長さを調節することで頭部の大きさが異なる牛や他の反芻動物に反芻動物管理装置10を簡単にかつ確実に装着することができる。
【0052】
図4は、本発明に係る反芻動物管理装置の留め具及び接続部を示す斜視図である。留め具5は、固定部5a,5bと鼻帯通し5cを備える。固定部5a、5bは覆いパイプ3を挟み、留め具5を接続部4側に略固定し、牛の耳側から鼻側に向けて配設された覆いパイプ3の端部を下顎方向に略90度ほど曲げる。これにより、下顎部の下方に曲げセンサ1を容易に配置することができる。また、鼻帯通し5cを鼻帯6の端部6aに通すことで、留め具5を牛の頭部の側面に位置決めできる。
【0053】
図5は、本発明に係る接続部を示す斜視図である。接続部4は、覆いパイプ3の端部に設けられ配線9と電気的に接続される雌コネクタ4Aと、保護パイプ8の端部に設けられ曲げセンサ1と電気的に接続される雄コネクタ4Bからなっている。そして、雄コネクタ4Bに設けられた2極の雄端子金具31を雌コネクタ4Aの図示しない第1の端子としての雌端子に挿入することで、曲げセンサ1と配線9が電気的に接続される。また、雌コネクタ4Aの雌ネジ部32に雄コネクタ4Bの雄ネジ部33を回転させてねじ込むことで、雌コネクタ4Aと雄コネクタ4Bを結合することができ、雌コネクタ4Aと雄コネクタ4Bの間に雨や牛を洗う際の水が進入することを防げる。尚、雌コネクタ4Aの雌端子は4極や10極などであり、2極の雄端子金具31以外の装置を接続できる第2の端子を備えている。
【0054】
図6は、本発明に係る反芻動物管理システムの構成を示す説明図である。反芻動物管理装置10は、曲げセンサ1と加速度センサ(頭部傾き検出手段)11と天候センサ(測定手段)12の3つのセンサ、中央処理部14、記憶部15、3つのセンサから出力された信号に基づくデータを外部に送信する送信部16からなる。送信部16は、無線電波送信で曲げセンサ1等から出力された信号に基づくデータを外部に送信し、ここではZigbeeモジュールを採用しているが、無線LANや携帯電話網など他の方式で送信するようにしてもよい。
【0055】
中央処理部14は、曲げセンサ1と加速度センサ11と天候センサ12の3つのセンサから信号を読み出して記憶部15に記憶する処理と、各センサの信号に基づくデータを送信部16に送る処理を行う。送信部16は中央処理部14から送られた所定回数の曲げセンサ1の出力値に基づくデータと加速度センサ11と天候センサ12の出力値に基づくデータを纏めて、ルータ40を介して反芻動物管理センター50に送信する。
【0056】
加速度センサ11は、牛の頭部の前後方向の傾きを検出するために設けられており、ここでは牛の頭部の前後方向の傾きのみ検出しているため1軸加速度センサを使用している。加速度センサ11は、後述するように曲げセンサ1で得られた下顎部の動き情報と、加速度センサ11で得られた牛の頭部の傾き情報を対応させて牛の行動内容を詳細に判別するために設けられている。
【0057】
天候センサ12は外気の温度や湿度を検出するために設けられており、牛を牧草地や休耕田に放牧した際に、放牧環境が適切であるかを判別することができる。温度センサと湿度センサは、それぞれ白金測温抵抗体・サーミスタ・熱電対、高分子系センサ・金属酸化物センサ等の各種センサを利用する事ができる。また、ここでは放牧環境を測定するために天候センサ12を用いたが、牛舎で牛を飼養している場合は、牛舎内環境を反芻動物管理装置10で測定する必要は少ないため、温度センサを牛の体表面近くに設置して、牛の体温を測る体温計を備える構成としてもよい。
【0058】
反芻動物管理センター(管理情報処理部)50は、受信手段としての受信部51、処理手段としてのコンピュータ52、サーバ53、通知手段としての報知部54とから構成されている。まず、反芻動物管理センター50の受信部51は、ルータ40から各センサの信号に基づくデータを受信し、このデータをコンピュータ52に送信する。コンピュータ52は、受信したデータをサーバ53に逐次記憶し、また管理者の操作や自動プログラムにより反芻動物から得られたデータに基づいて反芻動物の状態や環境を分析する。そして、反芻動物に異常が認められた場合や環境が悪くなった場合(気温上昇等)は報知部54で反芻動物の管理をしている者にその旨を報知する。
【0059】
図7は、本発明に係る反芻動物管理装置で行う処理について説明するフローチャートである。まず、反芻動物管理装置10の中央処理部14は、曲げセンサ1の出力値を60msごとに取得する(ステップS1)。具体的には、曲げセンサ1の出力値を60msごとに得て記憶部15に記憶する。なお、曲げセンサ1の出力値は可変することもできる。
【0060】
次に、中央処理部14は、40回分の曲げセンサ1の出力値を得たか否かを判別する(ステップS2)。そして、例えば40回分の曲げセンサ1の出力値を得たと判別した場合は、加速度センサ11と天候センサ12の出力値を取得して記憶部15に記憶する(ステップS3)。
【0061】
その後、40回分の曲げセンサ1の出力値と加速度センサ11と天候センサ12の出力値を反芻動物管理センター50に送信する(ステップS4)。ここでは、記憶部15に記憶された40回分の曲げセンサ1の出力値と加速度センサ11と天候センサ12の出力値に基づくデータを、送信部16からルータ40に纏めて送信する。ここでは、曲げセンサ1の出力値は2バイト程度であるため、60msごとに取得した曲げセンサ1の出力値を60msごとに送信すると通信のオーバーヘッドなど無駄が多くなるため曲げセンサ1の出力値を纏めて送信している。
【0062】
図8は、本発明に係る反芻動物管理センターで行う処理について説明するフローチャートである。まず、反芻動物管理センター50は、受信部51で40回分の曲げセンサ1の出力値と加速度センサ11と天候センサ12の出力値に基づくデータを受信する(ステップS11)。そして、反芻動物管理センター50のコンピュータ52は、受信部51から受信した曲げセンサ1の出力値と加速度センサ11と天候センサ12の出力値に基づくデータから牛の行動判定と牛がおかれた環境の判定を行う(ステップS12)。具体的には、曲げセンサ1と加速度センサ11の出力値を図9のようにグラフ化して牛の行動内容を判定する。また、天候センサ12の出力値に基づいて環境情報を取得し、牛が放牧される環境が牛にとって適切か否かを判定する。
【0063】
図9は本発明に係る反芻動物管理装置による計測結果を示すグラフである。ここでは曲げセンサ1の出力値を実線で示し、加速度センサ11の出力値を破線で示している。尚、牛が頭部を上げている場合は加速度センサ11の出力値がグラフの上部に位置し、牛が頭部を下げている場合は加速度センサ11の出力値がグラフの下部に位置するように示される。図9(a)は、牛が摂食している場合に見られるグラフである。牛は、草を舌で巻き込んで口に入れ、下顎の切歯と上顎の歯床板に挟み、頭部を前後ときに左右に小刻みに振って草を引きちぎる。この動作を数回行ったのち咀嚼嚥下する。また、放牧地では頭を下げた姿勢でゆっくり前進し、においを嗅ぎながら食べる草を選んで摂食する。濃厚飼料の場合は舌を長く伸ばし、すくい上げるようにして口の中に入れる。そのため、曲げセンサ1の出力値は舌を出し入れして草を下顎と上顎で挟む際の下顎部の動きに応じて連続的に変化し、加速度センサ11の出力値は牛の頭部の動きに応じて小刻みに変化することから、牛の摂食行動を判定できる。
【0064】
また、図9(b)は、牛が反芻をしている場合に見られるグラフである。反芻は立位や伏臥位でみられ、いったん摂食した草を第一胃から食塊にして口の中に吐き戻し、下顎を左右に動かして臼歯でその食塊を噛み直す。そして、45回前後/1食塊の噛み直しを行って嚥下する。そのため、センサ1の出力値は食塊を第一胃から吐出後下顎が45回程度動いた後に動きが停止し食塊が嚥下され、再び食塊を第一胃から吐出後45回程度動いた後に停止し嚥下するといった動きに応じて規則的に変化することから、牛の反芻を判定できる。
【0065】
図9では反芻咀嚼データを基にした牛の摂食行動のグラフを例示したが、牛の発情、分娩、健康状態(摂食量の低下、消化器疾患など)等についても、曲げセンサ1と加速度センサ11の出力値に特有のパターンを有している。そのため、曲げセンサ1と加速度センサ11の出力値を図9のようにグラフ化すれば、牛の各種の行動内容を判定することが可能である。
【0066】
次に、コンピュータ52は、ステップS12で判定された牛の行動が異常行動であるか、または環境が悪いと判定されたか否かを判別する(ステップS13)。ここでは、ステップS12で判別された牛の行動が一般的な摂食、反芻、飲水、舐塩、休息等でない場合であって、例えば発情、分娩、摂食量の低下、消化器疾患などが疑われる行動を示しているか、放牧地の気温や湿度が高すぎるか又は低すぎるか等を判別する。
【0067】
そして、判定された牛の行動が異常または環境が悪いと判別された場合は、コンピュータ52は報知部54を介して、牛の管理者等にその旨を報知する(ステップS14)。報知手段としては、管理者に牛の異常や環境情報(気温等)を知らせるメールを送信する方法、コンピュータ52に接続されたモニタに表示する方法、ランプやサイレン等で異常を知らせる方法など、様々な方法を採用できる。
【0068】
図10は本発明に係る反芻動物管理装置の他の実施例を示す説明図である。本実施例では、覆いパイプと保護パイプと結合パイプの内部に補強ワイヤが通っている。以下、覆いパイプ103を例として説明する。
【0069】
覆いパイプ103の内部には配線109とステンレスからなる補強ワイヤ160とが挿通されている。そして、補強ワイヤ160の一端160aはコネクタ部102aの内部で折り曲げられてコネクタ部102aに固定され、補強ワイヤ160の他端160bは雌コネクタ104Aの内部で折り曲げられて雌コネクタ104Aに固定されている。また、補強ワイヤ160のコネクタ部102aと雌コネクタ104Aとの間の長さは、覆いパイプ103や配線109のコネクタ部102aと雌コネクタ104Aとの間の長さよりも短く設定されている。
【0070】
これにより、覆いパイプ103が突起物等に引っかかっても、補強ワイヤ160で固定されているコネクタ部102aと雌コネクタ104Aと間の長さは変化しないため、覆いパイプ103が初期長さよりも伸びることを防止でき、覆いパイプ103や配線109の破損を防ぐ事ができる。
【0071】
なお、補強ワイヤ160は、覆いパイプ103と配線109の破損を防ぐ事ができればどのような材料を用いてもよい。また、補強ワイヤ160のコネクタ部102aと雌コネクタ104Aとの間の長さは、覆いパイプ103が引っ張られて破損することを防げればよく、覆いパイプ103と同じ長さに設定したり、覆いパイプ103が破損する限界の長さに基づいて設定したりしてもよい。これにより覆いパイプ103の引き延ばし強度に加えて補強ワイヤ160の引き延ばし強度が加わり、引き延ばしによる覆いパイプ103や配線109の破損を防ぐ事ができる。また、補強ワイヤ160の端部を折り曲げてコネクタ部102aと雌コネクタ104Aに固定しているが、固定用の部材を用いてコネクタ部102aと雌コネクタ104Aに固定しても良い。
【0072】
以上、本発明の好ましい実施態様について詳述したが、反芻動物管理装置、反芻動物管理システム、および反芻動物管理方法は、上述した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0073】
ここでは、覆いパイプ3はコネクタ部2aでのみ本体ボックス2に固定され、結合パイプ23は第2結合部2bで本体ボックスに固定されている構成としたが、本発明はこれに限定されず、覆いパイプ3と結合パイプ23を電池ボックス7A・7Bに結合バンドや紐などで固定してもよい。これにより覆いパイプ3と結合パイプ23の自重や歪みによる負荷がコネクタ部2aや第2結合部2bにかかりにくくなる。
【0074】
また、1軸加速度センサで牛の頭部の前後方向の傾きを検出するとしたが、本発明はこれに限定されず角速度センサを用いる構成としてもよい。また、3軸加速度センサを使用するなどして、牛の姿勢(立位、伏臥位、横臥位等)を検出するようにしてもよい。
【0075】
また、曲げセンサ1の出力値を60msごとに取得するとしたが、本発明はこれに限定されず、例えばリアルタイムに下顎部の動きを得るためにより高頻度に曲げセンサ1の出力値を取得してもよい。また、40回分の曲げセンサ1の出力値を得たと判別した場合に加速度センサ11と天候センサ12の出力値を取得するとしたが、本発明はこれに限定されず、加速度センサ11と天候センサ12の出力値をより高頻度で取得してもよいし、曲げセンサ1の出力値と同じ頻度で取得してもよい。
【0076】
また、40回分の曲げセンサ1の出力値と加速度センサ11と天候センサ12の出力値を反芻動物管理センター50に送信するとしたが、本発明はこれに限定されず、例えばより多数回の曲げセンサ1の出力値を纏めて送信してもよく、当該送信データ中に複数の加速度センサ11及び天候センサ12の出力値が含まれても良い。
【0077】
また、電池ボックス7A・7Bを本体ボックス2とは別に頸部に備える構成としたが、本発明はこれに限定されず本体ボックスの内部に電池を備える構成としてもよい。
【0078】
また、本体ボックス2及び電池ボックス7A・7Bを頸部の上方に設置する構成としたが、本発明はこれに限定されず頭部及び頭部よりも後方にある喉革に本体ボックス2を設ける構成としてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 曲げセンサ
2 本体ボックス
3 結合パイプ
4 接続部
5 留め具
6 鼻帯
8 保護パイプ
9 配線
10 反芻動物管理装置
50 反芻動物管理センター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10