(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6197315
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】画像取得装置及び画像取得方法及び画像取得プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 9/09 20060101AFI20170911BHJP
【FI】
H04N9/09
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-53314(P2013-53314)
(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公開番号】特開2014-179857(P2014-179857A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2016年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 紘一
【審査官】
西谷 憲人
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2005/046248(WO,A1)
【文献】
特開2009−158993(JP,A)
【文献】
特開2005−223700(JP,A)
【文献】
特開2005−260480(JP,A)
【文献】
特開2009−153074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 9/09
H04N 5/222
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分光画像を取得する装置であって、
撮像手段と、分光感度変更手段と、分光画像生成手段と、を備え、
撮像手段は、少なくとも3チャンネルの分光感度を有し、撮像対象物の画像を取得する手段であって、
分光感度変更手段は、前記撮像手段が有する分光感度のうちの少なくとも1チャンネルが同一の分光感度となり、他のチャンネルが異なる分光感度となるような手段であって、
分光画像生成手段は、前記撮像手段が前記分光感度変更手段を配置しない場合に取得した画像と、配置した場合に取得した画像と、から、前記同一の分光感度のチャンネルを用いてレジストレーションを行い、前記レジストレーションされた画像中の対象物の対応画素の組から、各チャンネルの輝度データを割り当てることで分光画像を生成する手段であることを特徴とする画像取得装置。
【請求項2】
画像取得装置を用いて、分光画像を取得する方法であって
画像取得装置は、撮像手段と、分光感度変更手段と、分光画像生成手段と、を備え、
撮像手段は、少なくとも3チャンネルの分光感度を有し、撮像対象物の画像を取得する手段であって、
分光感度変更手段は、前記撮像手段が有する分光感度のうちの少なくとも1チャンネルが同一の分光感度となり、他のチャンネルが異なる分光感度となるような手段であって、
分光画像生成手段は、前記撮像手段が前記分光感度変更手段を配置しない場合に取得した画像と配置した場合に取得した画像とから、前記同一の分光感度のチャンネルを用いてレジストレーションを行い、前記レジストレーションされた画像中の対象物の対応画素の組から、各チャンネルの輝度データを割り当てることで分光画像を取得する手段であり、
前記撮像手段によって前記分光感度変更手段を配置しない場合に画像を取得する工程と、
前記撮像手段によって前記分光感度変更手段を配置した場合に画像を取得する工程と、
前記取得された2つ以上の画像を用いて分光画像生成手段によって分光画像を生成することを特徴とする画像取得方法。
【請求項3】
画像取得装置を用いて分光画像を取得するプログラムであって
画像取得装置は、撮像手段と、分光感度変更手段と、分光画像生成手段と、を備え、
撮像手段は、少なくとも3チャンネルの分光感度を有し、撮像対象物の画像を取得する手段であって、
分光感度変更手段は、前記撮像手段が有する分光感度のうちの少なくとも1チャンネルが同一の分光感度となり、他のチャンネルが異なる分光感度となるような手段であって、
分光画像生成手段は、前記撮像手段が前記分光感度変更手段を配置しない場合に取得した画像と配置した場合に取得した画像とから、前記同一の分光感度のチャンネルを用いてレジストレーションを行い、前記レジストレーションされた画像中の対象物の対応画素の組から、各チャンネルの輝度データを割り当てることで分光画像を取得する手段であり、
前記撮像手段によって前記分光感度変更手段を配置しない場合に取得された画像と、前記撮像手段によって前記分光感度変更手段を配置した場合に取得された画像の2つ以上の画像を用いて分光画像生成手段によって分光画像を生成することを特徴とする画像取得プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像機器を用いて撮像した対象物の画像から、対象物の分光情報を取得する画像取得装置、画像取得方法及び画像取得プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、文化財等の持つ様々な情報をデジタル化して保存を行うデジタルアーカイブが重要視されている。デジタル化する情報として主要なものに、対象物の立体形状情報や色彩情報がある。対象物の色彩情報をデジタル化する方法として一般的なものは、デジタルカメラ等の撮像機器を用いて対象物の画像を取得する方法である。その際、市販のデジタルカメラで取得されるようなRGBの3バンドの画像ではなく、よりバンド数の多い画像、いわゆる分光画像を取得することが、対象物のより忠実な色再現を行うためには望ましい。
【0003】
分光画像を取得する方法としては、1台のRGBの3バンドのカメラの前方に櫛形の分光透過特性を持った光学フィルタを配置し、撮像時の光学フィルタの有無により合計6バンドの画像を得る方法(例えば非特許文献1参照)などがある。
【0004】
しかしながら、非特許文献1のカメラ構成では、カメラに接続したフィルタの有無でカメラの重心が異なることで、それぞれの撮像時におけるカメラの光軸が異なる。そのため、同一のカメラで撮影してもそれぞれの画像の各画素が対応しない問題がある。
【0005】
上述の問題を解決するために、2台のRGBの3バンドのカメラのうち、一方のカメラの前方に光学フィルタを配置し、他方には配置せずに撮影することで分光画像を取得する方法(例えば特許文献1参照)がある。この方法では、それぞれのカメラの1チャンネルの分光感度を同一とする光学フィルタを用いることで、対象物の分光反射率が異なっていてもそれぞれの画像の各画素を対応させた合計5バンドの画像を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5034927号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「High−resolution Multiband Imaging for Accurate Color Reproduction、」 Masaru Tsuchida、 Takahito Kawanishi、 and Junji Yamato、NTT Technical Review 2010、 Vol.8 No.11
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の構成は位置の異なる2台のカメラを用いるため、それぞれのカメラで得られる画像において遮蔽や光沢の位置の違いによって画素の対応精度(レジストレーションの精度)が低下する問題がある。
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、1つの撮像機器を用いて1チャンネルが同一の分光感度で得られた複数の画像を取得することにより、複数の画像の各画素を対応づけてレジストレーションの精度が高い分光画像を取得することができる画像取得装置
、画像取得方法及び画像取得プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで本発明の請求項1に記載の発明は、
分光画像を取得する装置であって、
撮像手段と、分光感度変更手段と、分光画像生成手段と、を備え、
撮像手段は、少なくとも3チャンネルの分光感度を有し、撮像対象物の画像を取得する手段であって、
分光感度変更手段は、前記撮像手段が有する分光感度のうちの少なくとも1チャンネルが同一の分光感度となり、他のチャンネルが異なる分光感度となるような手段であって、
分光画像生成手段は、前記撮像手段が前記分光感度変更手段を配置しない場合に取得した画像と、配置した場合に取得した画像と、から
、前記同一の分光感度のチャンネルを用いてレジストレーションを行い、前記レジストレーションされた画像中の対象物の対応画素の組から、各チャンネルの輝度データを割り当てることで分光画像を生成する手段であることを特徴とする画像取得装置である。
【0011】
そこで本発明の請求項2に記載の発明は、
画像取得装置を用いて、分光画像を取得する方法であって
画像取得装置は、撮像手段と、分光感度変更手段と、分光画像生成手段と、を備え、
撮像手段は、少なくとも3チャンネルの分光感度を有し、撮像対象物の画像を取得する手段であって、
分光感度変更手段は、前記撮像手段が有する分光感度のうちの少なくとも1チャンネルが同一の分光感度となり、他のチャンネルが異なる分光感度となるような手段であって、
分光画像生成手段は、前記撮像手段が前記分光感度変更手段を配置しない場合に取得した画像と配置した場合に取得した画像とから
、前記同一の分光感度のチャンネルを用いてレジストレーションを行い、前記レジストレーションされた画像中の対象物の対応画素の組から、各チャンネルの輝度データを割り当てることで分光画像を取得する手段であり、
前記撮像手段によって前記分光感度変更手段を配置しない場合に画像を取得する工程と、
前記撮像手段によって前記分光感度変更手段を配置した場合に画像を取得する工程と、
前記取得された2つ以上の画像を用いて分光画像生成手段によって分光画像を生成することを特徴とする画像取得方法である。
【0012】
そこで本発明の請求項3に記載の発明は、
画像取得装置を用いて分光画像を取得するプログラムであって
画像取得装置は、撮像手段と、分光感度変更手段と、分光画像生成手段と、を備え、
撮像手段は、少なくとも3チャンネルの分光感度を有し、撮像対象物の画像を取得する手段であって、
分光感度変更手段は、前記撮像手段が有する分光感度のうちの少なくとも1チャンネルが同一の分光感度となり、他のチャンネルが異なる分光感度となるような手段であって、
分光画像生成手段は、前記撮像手段が前記分光感度変更手段を配置しない場合に取得した画像と配置した場合に取得した画像とから
、前記同一の分光感度のチャンネルを用いてレジストレーションを行い、前記レジストレーションされた画像中の対象物の対応画素の組から、各チャンネルの輝度データを割り当てることで分光画像を取得する手段であり、
前記撮像手段によって前記分光感度変更手段を配置しない場合に取得された画像と、前記撮像手段によって前記分光感度変更手段を配置した場合に取得された画像の2つ以上の画像を用いて分光画像生成手段によって分光画像を生成することを特徴とする画像取得プログラムである。
【0013】
前記画像取得プログラムは、例えば、前記分光画像生成を行うために
図1における画像処理部で処理を行うプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の画像の各画素を対応づけて分光画像を取得することが可能になる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の画像取得装置の一例の構成を示すブロック図。
【
図2】本発明に係るカメラ11の分光感度と光学フィルタ12の分光透過率分布を示す説明図。
【
図3】本発明に係るカメラ11の前方に(a)光学フィルタ12の未配置時と、(b)配置時におけるカメラ11の各チャンネルの見かけの分光感度を示す説明図。
【
図4】本発明の画像取得装置の動作を示すフローチャート。
【
図5】本発明に係るカメラ11の前方に(a)光学フィルタ12の未配置時と、(c)配置時におけるカメラ11の各チャンネルの見かけの分光感度、及び(b)光学フィルタ12の分光透過率を示す説明図。
【
図6】本発明に係るカメラ11の前方に(a)光学フィルタ12の未配置時と、(c)配置時におけるカメラ11の各チャンネルの見かけの分光感度、及び(b)光学フィルタ12の分光透過率を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態による画像取得装置を図面を参照して説明する。
図1は画像取得装置の一例の構成を示すブロック図である。
図1において、符号10は分光画像を取得する画像取得装置である。符号20は分光画像を取得するべき対象物である。符号30は対象物20を照明する光源である。光源30は可視波長域内全域にわたってある程度の分光強度を持っていればよい。符号11は撮像手段であって、対象物20の画像を撮像してデジタルの画像を出力するカメラである。符号12は分光感度変更手段であって、カメラ11の前方に配置することで異なる分光感度におけるデジタルの画像を取得する場合に用いられる光学フィルタである。符号13は光学フィルタ12を移動することで、カメラ11の前方に光学フィルタ12を配置する光学フィルタ配置装置である。カメラ11は光学フィルタ12を用いない場合と、光学フィルタ配置装置13によって光学フィルタ12をカメラ11の前方に配置した場合と、で対象物20を撮像する。符号14はカメラ11と光学フィルタ配置装置13の動作を制御する制御部である。符号15は分光画像生成手段であって、制御部14を介して入力したカメラ11の画像に対して、画像処理を実行して分光画像を生成する画像処理部である。符号16は作業者が画像取得装置10を動作するための操作を行う操作部であり、キースイッチ等から構成する。
【0017】
ここで、
図2、
図3を参照して、カメラ11の前方に光学フィルタ12の配置時と未配置時におけるカメラ11の各チャンネルの分光感度について説明する。
【0018】
図2は分光透過率が符号101で示される光学フィルタ12の分光透過率と、カメラ11の分光感度相対値を示す図である。
図3は、光学フィルタ12の未配置時(
図3(a))と、配置時(
図3(b))におけるカメラ11の各チャンネルの見かけの分光感度を示す図である。
【0019】
図3に示すように、光学フィルタ12の配置時のカメラ11の各チャンネルの見かけの分光感度と、未配置時におけるカメラ11の各チャンネルの分光感度は、それぞれ1つのチャンネルのみ(
図3に示す例では、チャンネル2aと2b)同一の分光感度であり、残りの2つのチャンネル(1aと1b、及び3aと3b)がそれぞれ異なる。これは、
図2に示すような櫛形の分光透過率の光学フィルタ12をカメラ11の前方に配置することで実現可能であり、光学フィルタ12の分光透過率とカメラ11の分光感度を各波長で乗算した見かけの分光感度で画像を得ることになる。このような構成とすることで、2台のカメラを用いた構成に比べ,遮蔽や光沢の位置の違いが小さい2枚の画像が得られ,同一の分光感度を持つチャンネルの画像を用いて、後述する光学フィルタ12の配置時と未配置時の画像のレジストレーション処理を行い、分光反射率が大きく異なる対象物20に対しても光学フィルタ配置時と未配置時の画像の各画素を精度よく対応づけることができる。
【0020】
次に、
図4を参照して、
図1に示す画像取得装置10の動作を説明する。
図4は、画像取得装置10により、対象物20の分光画像を取得する動作を示すフローチャートである。
【0021】
まず、作業者は、画像取得装置10が備えるカメラ11の撮像視野内に対象物20を配置するとともに、光源30により対象物20を照明する(ステップS1)。続いて、作業者は、操作部16で操作して、カメラ11によって対象物20を撮像する指示を出す。これを受けて、制御部14は、カメラ11に対して、撮像の指示を出力する。この撮像指示を受けると、カメラ11は、対象物20の撮像を行い、撮像画像を制御部14へ出力する(ステップS2)。これを受けて、制御部14は、画像を画像処理部15へ転送する(ステップS3)。
【0022】
次に、光学フィルタ12が未配置であれば(ステップS4のNo)、光学フィルタ12の配置処理(ステップS5)を行い、光学フィルタ12が配置されていれば(ステップS4のYes)、画像のレジストレーション処理(ステップS6)を行う。
【0023】
光学フィルタ12の配置処理(ステップS5)においては、作業者は、操作部16で操作して、光学フィルタ配置装置13によって光学フィルタ12を配置する指示を出す。これを受けて、制御部14は、光学フィルタ配置装置13に対して、光学フィルタ12配置の指示を出力する。
【0024】
画像のレジストレーション処理(ステップS6)においては、画像処理部15が、2枚の画像のうち、同一の分光感度をもつチャンネル(
図3に示すチャンネル2a)の画像のみを用いてレジストレーションを行う。このレジストレーションの処理は位相限定相関法などの公知の方法を用いるため、ここでは詳細な処理動作の説明を省略する。レジストレーション処理は、同一の分光感度をもつチャンネル(
図3に示すチャンネル2a)の画像のみを用いて行うようにしたため、2枚の画像のレジストレーションを高精度に行うことができる。
【0025】
次に、画像処理部15は、分光画像の生成処理を行う(ステップS7)。分光画像はステップS6においてレジストレーションされた2枚の画像中の対象物20の対応画素の組から、各チャンネルの輝度データを割り当てることで生成する。
図3に示す分光感度を持つカメラを用いた場合、2枚の画像のうち、同一の分光感度であるチャンネル(2a、2b)の輝度値は2枚の画像(輝度値)の平均値とし、その他のチャンネル(1a、1bと3a、3b)の輝度値をそのまま格納することで、合計5バンドの分光画像情報が得られることになる。
図3に示す例では、光学フィルタ12が未配置時のカメラ11のチャンネル1aと3aの分光画像情報、光学フィルタ12が配置時のカメラ11のチャンネル1bと3bの分光画像情報、及び光学フィルタ12配置時と未配置時のチャンネル(2a+2b)/2の分光画像情報が得られることになる。
【0026】
次に、画像処理部15は、分光画像を出力する(ステップS8)。
【0027】
このように、3チャンネルの分光感度を有し、対象物20の画像を取得するカメラ11と、分光感度のうちの1チャンネルがカメラ11が有する分光感度のうちの1チャンネルと同一の分光感度であり、他のチャンネルの分光感度がカメラ11が有する分光感度と異なる分光感度を有するようにカメラ11の分光感度を異ならせて、対象物20の画像を取得するための光学フィルタ12と光学フィルタ配置装置13と、分光感度が同一のチャンネルを有する複数の画像を用いて、複数の画像のレジストレーションを行い、複数の画像の各チャンネルから分光画像情報を生成するようにしたため、画像の各画素を対応づけて
分光画像を取得することができる。
【0028】
なお、前述した説明においては、画像取得装置10に画像処理装置15を組み入れた構成となっているが、別々の構成とし、画像取得装置10からの画像は未処理のまま、コンピュータ等に転送してからステップS6以降の処理を行うようにしてもよい。
【0029】
また、前述したカメラ11は、3チャンネルの分光感度を有しているものとして説明したが、3チャンネルに限らず4チャンネル以上の分光感度を有しているカメラであってもよい。すなわち、光学フィルタ12の配置時と未配置時において少なくとも1つのチャンネルの分光感度が2枚の画像間で一致しており、他のチャンネルの分光感度が異なっていればよい。
【0030】
また、光学フィルタ12を1枚として説明したが、1枚に限らず、異なる分光透過特性の2枚以上の光学フィルタを用いてもよい。すなわち、光学フィルタ未配置時と各光学フィルタ配置時のそれぞれの画像の組み合わせにおいて少なくとも1つのチャンネルの分光感度が少なくとも2枚の画像間で一致しており、他のチャンネルの分光感度が異なっていればよい。
【0031】
例えば光学フィルタ12を2枚用いて分光画像を得る場合を
図5、6に示す。
図5は分光透過率が符号102で示される光学フィルタ12を用いた場合、
図6は分光透過率が符号103で示される光学フィルタ12を用いた場合を示す。
図5、
図6のそれぞれ(a)図は光学フィルタ12未配置時の各チャンネルの分光感度を示し、(b)図は用いた光学フィルタ12の分光透過率を示し、(c)図は光学フィルタ12を配置した場合のカメラ11の各チャンネルの見かけの分光感度を示す図である。
【0032】
図5、6に示す2枚の光学フィルタ12を用いた場合には合計5バンドの分光画像情報が得られることになる。すなわち
図5に示す例では、チャンネル2cの分光画像情報とチャンネル(3a+3c)/2の分光画像情報が得られ、
図6に示す例では、チャンネル2dの分光画像情報とチャンネル(1a+1d)/2の分光画像情報が得られ、更に光学フィルタ12が未配置時のカメラ11のチャンネル2aの分光画像情報の計5バンドの分光画像情報が得られることになる。
【0033】
なお、
図1における処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより分光画像の取得処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0034】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差
分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0035】
1a、2a、3a・・・光学フィルタを配置しない場合のカメラの分光感度相対値
1b、2b、3b、2c、3c、1d、2d・・・光学フィルタを配置した場合の各チャンネルの見かけの分光感度相対値
10・・・画像取得装置
11・・・カメラ
12・・・光学フィルタ
13・・・光学フィルタ配置装置
14・・・制御部
15・・・画像処理部
16・・・操作部
20・・・対象物
30・・・光源
101、102、103・・・光学フィルタの分光透過率