(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記受皿の縁に、前記コンベアの搬送方向の少なくとも片側へ、搬送方向で隣接する受皿に接近するように張り出す鍔部を設けた請求項4または5に記載の青果物の選別機。
【背景技術】
【0002】
青果物の糖度や熟度等の内部品質を調べる際には、青果物に近赤外光等の照射光を投光する投光手段と、照射光の青果物からの透過光を受光する受光手段とを設け、受光した透過光を分光して計測することにより、非破壊で内部品質を測定する青果物の内部品質測定装置が用いられることがある(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
青果物の内部品質は部位によって異なるので、この種の内部品質測定装置では、照射光の青果物への照射位置を一定の部位に設定することが好ましい。例えば、林檎や桃等の略球形の青果物では、照射光を照射する一定の部位として青果物の中央部が設定されることが多い。しかしながら、測定される青果物の大きさが異なると、照射光の照射位置が青果物の中央部等の一定の部位からずれる問題がある。
【0004】
このような問題に対して、特許文献1に記載されたものでは、青果物を載せるバケットを昇降可能とし、青果物の高さ位置を調整して、青果物の中央部に照射光を照射するようにしている。また、特許文献2に記載されたものでは、投光手段と受光手段を収納した枠体を昇降可能とし、照射光と透過光の高さ位置を調整して、青果物の中央部に照射光を照射するようにしている。
【0005】
また、この種の内部品質測定装置では、外部からの光が受光手段で受光されて測定の外乱とならないように、測定される青果物の回りを遮光板等で覆い、照射光を通す投光窓と、透過光を通す受光窓を設けた暗室を形成する必要がある。特許文献2に記載されたものでは、昇降する枠体に設けたトンネル状の凹部で、投光窓と受光窓を設けた暗室を形成し、コンベアに載せた青果物をこの暗室内の測定位置に搬入するようにしている。
【0006】
上述した青果物の内部品質測定装置は、青果物をコンベアに載せて搬送しながら選別する青果物の選別機に組み込まれて用いられることが多い(例えば、特許文献3参照)。特許文献3に記載された選別機では、青果物をコンベアに取り付けた受皿に載せて搬送し、内部品質測定装置の下流側に設けた仕分け部で受皿をコンベアの側方へ傾動させることにより、選別される青果物を排出するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載された青果物の高さ位置を調整する内部品質測定装置は、青果物をコンベアに載せて搬送する青果物の選別機に用いると、移動するコンベアまたは受皿を昇降させる必要があるので、昇降機構が複雑で高価なものとなる問題がある。
【0009】
一方、特許文献2に記載された照射光と透過光の高さ位置を調整する内部品質測定装置は、青果物をコンベアに載せて搬送する選別機に好適であるが、投光手段、受光手段およびこれらを収納した枠体の全体を昇降させるようにしているので、昇降部の重量が重くなる。このため、昇降機構の負荷容量や強度を高める必要があるとともに、昇降の応答性も低下する問題がある。また、投光手段にハロゲンランプ等の発熱量の大きい光源を用いる場合は、その冷却機構も必要となるので、昇降部の重量はさらに重くなる。
【0010】
そこで、本発明の課題は、測定対象の青果物の大きさに応じて、照射光と透過光の高さ位置を小さな負荷で簡便に調整できる青果物の内部品質測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明は、測定対象の青果物への照射光を投光する光源を有する投光手段と、前記光源と前記青果物の反対側で対向し、前記照射光の前記青果物からの透過光を受光する受光手段と、前記受光手段で受光された透過光を測定する測定手段と、前記投光手段および受光手段を収納する枠体とを備え、前記枠体の内側に、前記測定対象の青果物を出し入れする出入口と、前記照射光および前記透過光をそれぞれ通す窓を設けた暗室を形成した青果物の内部品質測定装置において、前記枠体を固定し、前記固定した枠体に対して、前記投光手段と前記受光手段を昇降させる昇降手段を設け、前記暗室を、前記測定対象の青果物の両側で対向し、前記枠体の内側に昇降しないように固定された一対の固定遮光板と、前記一対の各固定遮光板と重なり代を有するように前記昇降手段で昇降される一対の昇降遮光板とで形成し、前記一対の昇降遮光板の一方に前記照射光を通す窓を設け、他方に前記透過光を通す窓を設けた構成を採用した。
【0012】
すなわち、投光手段および受光手段を収納する枠体を固定し、固定した枠体に対して、投光手段と受光手段を昇降させる昇降手段を設け、暗室を、測定対象の青果物の両側で対向し、枠体の内側に昇降しないように固定された一対の固定遮光板と、一対の各固定遮光板と重なり代を有するように昇降手段で昇降される一対の昇降遮光板とで形成し、一対の昇降遮光板の一方に照射光を通す窓を設け、他方に透過光を通す窓を設けることにより、昇降手段で昇降される昇降部の重量を軽くして、測定対象の青果物の大きさに応じて、照射光と透過光の高さ位置を小さな負荷で簡便に調整できるようにした。
【0013】
前記照射光を通す窓と前記透過光を通す窓の少なくとも一方に、前記窓の開口の大きさを変更する開口変更手段を設け、前記開口変更手段を、前記窓を設けた昇降遮光板の前記青果物を向く内面側に沿わせて回転可能な回転円板を取り付け、この回転円板を回転させたときに前記窓の開口と重なり、前記窓の開口よりも小さい開口を少なくとも1つ有する複数の回転円板側の開口を周方向に配列して設け、前記複数の回転円板側の開口の少なくとも最も小さい開口の周縁に、前記青果物側へ突出する筒部を設けることにより、青果物の大きさに応じて、照射光または透過光の量と照射領域のスポット径を調節できるとともに、小さい青果物を測定する際に使用される小さい開口の筒部を青果物に接近させることができる。
【0014】
前記青果物の両側で対向する一対の固定遮光板および昇降遮光板間の間隔を変更する遮光板間隔変更手段を設けることにより、青果物の大きさに応じて、固定遮光板および昇降遮光板間の間隔を、青果物に接近させるように変更し、測定に不必要な光が受光部に入射することを防止することができる。
【0015】
また、本発明は、選別対象の青果物を受皿に載せて搬送し、直線部の両端側に湾曲部を有する無端状のコンベアと、前記コンベアの直線部を搬送される前記青果物の内部品質を測定する内部品質測定装置と、前記内部品質測定装置の下流側で前記コンベアの直線部の少なくとも1箇所に設けられた仕分け部とを備え、前記内部品質測定装置で内部品質を測定された青果物を、その測定結果に基づいて前記仕分け部で排出するように選別する青果物の選別機において、前記内部品質測定装置に、請求項1乃至3のいずれかに記載の青果物の内部品質測定装置を用い、前記測定対象の青果物の前記暗室への出入口を、前記コンベアの搬送方向に設けた構成を採用した。
【0016】
すなわち、内部品質測定装置に、上述したいずれかの青果物の内部品質測定装置を用い、測定対象の青果物の暗室への出入口を、コンベアの搬送方向に設けることにより、青果物の大きさに応じて、照射光と透過光の高さ位置を小さな負荷で簡便に調整できる青果物の内部品質測定装置を用いて、コンベアで搬送される青果物を内部品質によって選別できるようにした。
【0017】
前記受皿を前記コンベアの側方へ傾動可能に取り付ける手段と、前記傾動可能に取り付けた受皿を水平位置にロックするロック手段と、前記ロック手段を前記仕分け部で解除するロック解除手段とを設け、前記内部品質測定装置の測定結果に基づいて、前記ロック解除手段を作動させて、前記受皿を前記コンベアの側方へ傾動し、前記傾動した受皿が、前記コンベアの湾曲部で遠心力によって水平方向へ逆向きに回動して、前記ロック手段によって水平位置にロックされるようにすることにより、コンベアで連続的に搬送されて内部品質を測定される青果物を、その受皿を簡単に傾動させて、仕分け部で排出することができるとともに、傾動した受皿を、自然に元の水平位置に戻すことができる。
【0018】
前記受皿の縁に、前記コンベアの搬送方向の少なくとも片側へ、搬送方向で隣接する受皿に接近するように張り出す鍔部を設けることにより、受皿に青果物を載せる作業者の手が受皿間の隙間に入らないようにし、作業者の安全を確保することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る青果物の内部品質測定装置は、投光手段および受光手段を収納する枠体を固定し、固定した枠体に対して、投光手段と受光手段を昇降させる昇降手段を設け、暗室を、測定対象の青果物の両側で対向し、枠体の内側に昇降しないように固定された一対の固定遮光板と、一対の各固定遮光板と重なり代を有するように昇降手段で昇降される一対の昇降遮光板とで形成し、一対の昇降遮光板の一方に照射光を通す窓を設け、他方に透過光を通す窓を設けたので、測定対象の青果物の大きさに応じて、照射光と透過光の高さ位置を小さな負荷で簡便に調整することができる。
【0020】
本発明に係る青果物の選別機は、内部品質測定装置に、上述した青果物の内部品質測定装置を用い、測定対象の青果物の暗室への出入口を、コンベアの搬送方向に設けたので、青果物の大きさに応じて、照射光と透過光の高さ位置を小さな負荷で簡便に調整できる青果物の内部品質測定装置を用いて、コンベアで搬送される青果物を内部品質によって選別することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。
図1は、第1の実施形態の青果物の内部品質測定装置1を示す。この内部品質測定装置1は、測定対象の略球形の青果物Fへの照射光を投光する光源としてのハロゲンランプ2、およびハロゲンランプ2の光を平行に青果物Fに照射する投光レンズ3aを有する投光手段と、ハロゲンランプ2と青果物Fの反対側で対向し、照射光の青果物Fからの透過光を受光する光ファイバ4および光ファイバ4の入光端に透過光を集光する受光レンズ3bを有する受光手段と、光ファイバ4で受光された透過光を測定する測定手段としての分光器5と、これらの投光手段、受光手段および計測手段を収納する枠体6とを備えている。枠体6の内側には、後述する選別機のコンベア51の受皿52に載せた青果物Fを搬入する入口と搬出する出口とを両側に別々に設けたトンネル状の暗室7が形成されている。
【0023】
前記トンネル状の暗室7は、青果物Fの左右両側で対向するように枠体6の天井と床の間に固定して配置された左右一対の固定遮光板8a、8bと、後述する昇降プレート13に取り付けられ、昇降される左右一対の昇降遮光板9a、9bとで形成されている。各昇降遮光板9a、9bは各固定遮光板8a、8bと上下方向に重なり代を有し、重なり代を有する昇降遮光板9a、9bと固定遮光板8a、8bとの間にはわずかの隙間が開けられている。また、コンベア51は枠体6の床の開口部を通過するようになっており、図示は省略するが、暗室7の入口と出口には、青果物Fと受皿52を通過可能とする遮光カーテンが吊り下げられている。
【0024】
前記右側の昇降遮光板9aには、照射光を通す投光窓10aが設けられ、左側の昇降遮光板9bには、透過光を通す受光窓10bが設けられている。なお、図示は省略するが、天井側と床側の各固定遮光板8a、8bは、奥行き方向の手前側と奥側で連なり、奥行き方向の中央部に窓が形成された一体のものであり、各昇降遮光板9a、9bは、この窓を閉塞するように、奥行き方向の中央部で昇降する。
【0025】
前記枠体6の天井には、昇降手段として、ハンドル11で回転駆動されるボールねじ12が垂下され、このボールねじ12の回転で昇降される水平な昇降プレート13が螺合されている。昇降プレート13には、一対の昇降遮光板9a、9bのほかに、その外側に左右の支持部材14a、14bが垂下されるように取り付けられている。右側の支持部材14aには、照射光を通す筒部15aを有する投光通路部材15が支持されている。筒部15aは、先端が昇降遮光板9aの投光窓10aに嵌め込まれ、投光レンズ3aが取り付けられている。
【0026】
前記左側の支持部材14bには、後述する回転円板17を駆動するモータ16と、透過光を通す筒部17aを有する受光通路部材17とが支持されている。筒部17aは、昇降遮光板9bの受光窓10bの位置に合わせられ、受光レンズ3bが取り付けられている。また、受光通路部材17には光ファイバ4の入光端が接続され、フレキシブルな光ファイバ4の出光端は、枠体6の左側の壁に固定された分光器5に接続されている。図示は省略するが、ハロゲンランプ2も支持部材を介して昇降プレート13に取り付けられており、昇降プレート13と一緒に昇降する。
【0027】
前記枠体6の右側の壁には、発熱するハロゲンランプ2を隔離するように収容する投光室18を形成する筒状の仕切り部材19が、投光通路部材15に近接して張り出すように取り付けられている。投光室18の下側の枠体6の壁の下部には、ハロゲンランプ2を冷却する空気を吸入する吸気ファン20aと、吸入された空気を導く導風板21が取り付けられ、投光室18の壁には、ハロゲンランプ2を冷却した空気を排出する排気ファン22が取り付けられている。
【0028】
前記吸気ファン20aは、暗室7の右側の投光手段が収納された枠体6内の空間を正圧にする役割もする。枠体6の左側の壁の下部にも、暗室7の左側の受光手段と計測手段が収納された枠体6内の空間を正圧にするための小容量の吸気ファン20bと、吸入された空気を導く導風板21が取り付けられている。図示は省略するが、各吸気ファン20a、20bの入口側にはフィルタが取り付けられている。また、左右の壁の上部には、左右の固定遮光板8a、8bと昇降遮光板9a、9bに沿って上昇する正圧の吸入空気を排出する排気口23と、吸入空気を排気口23に導く導風板24が取り付けられている。
【0029】
図1中に矢印で流れを示すように、枠体6の左右の空間を上昇する正圧の吸入空気の一部は、左右の固定遮光板8a、8bと昇降遮光板9a、9b間の隙間から暗室7側に流入する。したがって、暗室7の入口や出口から暗室7に入り込む塵等が、投光手段や受光手段等が収納された枠体6内の空間に侵入することはない。
【0030】
前記モータ16の出力軸16aには、左側の昇降遮光板9bの外面側に沿わせて回転駆動される回転円板25が取り付けられている。この回転円板25は、
図2に示すように、出力軸16aが取り付けられる中心の周りに、120°の位相で大、中、小の円形の開口26a、26b、26cを配列して設けたものであり、大の開口26aは昇降遮光板9bの受光窓10bとほぼ等しい大きさに形成されている。各開口26a、26b、26cの周縁には、受光レンズ3bに向けられる外向きの筒部27が設けられている。
【0031】
また、前記開口26a、26b間と開口26a、26c間の中間部には、それぞれリファレンス板28aと波長補正用フィルタ28bが取り付けられている。リファレンス板28aは分光器5による内部品質測定の校正に用いられ、校正時に青果物Fがない状態で受光窓10bに重ねあわされる。また、波長補正用フィルタ28bは、温度変化や経年変化等による分光器5への入射光の波長の変化の補正に用いられる。
【0032】
図1は、中の青果物Fを測定する状態を示し、回転円板25を回転させることにより、中の開口26bが受光窓10bに重ね合わせられている。
図3(a)、(b)は、それぞれ大と小の青果物Fを測定する状態を示す。これらの図では、分かりやすくするために、吸気ファン20a、20bや排気ファン22等の吸排気機構を省略している。
【0033】
図3(a)に示すように、大の青果物Fを測定する場合は、昇降プレート13を上昇させることにより、ハロゲンランプ2、投光レンズ3a、投光窓10a、受光窓10b、受光レンズ3bおよび光ファイバ4の入光端の高さ位置を、大の青果物Fの中央部の高さ位置に合わせるとともに、回転円板25を回転させて、大の開口26aを受光窓10bに重ね合わせている。
【0034】
また、
図3(b)に示すように、小の青果物Fを測定する場合は、昇降プレート13を下降させることにより、ハロゲンランプ2、投光レンズ3a、投光窓10a、受光窓10b、受光レンズ3bおよび光ファイバ4の入光端の高さ位置を、小の青果物Fの中央部の高さ位置に合わせるとともに、回転円板25を回転させて、小の開口26cを受光窓10bに重ね合わせ、小の青果物Fから透過光を受光する領域を狭めている。
【0035】
図3(a)、(b)いずれの場合も、枠体6は勿論、固定遮光板8a、8b、投光室18、分光器5および図示省略した吸排気機構は昇降していない。したがって、昇降手段で昇降される昇降部の重量を軽くし、測定対象の青果物Fの大きさに応じて、照射光と透過光の高さ位置を小さな負荷で簡便に調整することができる。
【0036】
図4は、第2の実施形態の青果物の内部品質測定装置1を示す。この内部品質測定装置1は、前記支持部材14a、14bがなく、一対の昇降遮光板9a、9bに、投光レンズ3aを取り付けた投光通路部材15と、受光レンズ3bと光ファイバ4の入光端を取り付けた受光通路部材17が支持されている点と、回転円板25a、25bが各昇降遮光板9a、9bの内面側に沿わせて取り付けられ、各昇降遮光板9a、9bに取り付けられたモータ16で回転駆動される点とが異なる。その他の部分は第1の実施形態のものと同じであり、ハロゲンランプ2は図示省略した支持部材を介して昇降プレート13に取り付けられている。また、簡便化のために図示は省略するが、第1の実施形態のものと同様の、吸気ファン20a、20bや排気ファン22等の吸排気機構も設けられている。
【0037】
図5(a)、(b)に示すように、前記各回転円板25a、25bは、第1の実施形態の回転円板25と同様に、中心の周りに大、中、小の円形の開口26a、26b、26cが配列されており、中と小の開口26b、26cの周縁には、青果物Fに向けられる内向きの筒部27b、27cが設けられている。小の開口26cの筒部27cは、中の開口26bの筒部27bよりも長く形成されている。大の開口26aには筒部は設けられていない。
【0038】
また、前記投光側の回転円板25aは、開口26b、26c間の中間部に断熱板28cが取り付けられている。この断熱板28cは、コンベア51が停止したとき等に投光窓10aに重ね合わされ、ハロゲンランプ2の光や熱が青果物Fに照射されるのを防止する。なお、断熱板28cは省略してもよい。受光側の回転円板25bは、第1の実施形態の回転円板25と同様に、リファレンス板28aと波長補正用フィルタ28bが取り付けられている。
【0039】
図4は、中の青果物Fを測定する状態を示し、各回転円板25a、25bを回転させることにより、中の開口26bが投光窓10aと受光窓10bに重ね合わせられ、その周縁の筒部27bが青果物Fに接近するように向けられている。
【0040】
図6(a)、(b)は、それぞれ大と小の青果物Fを測定する状態を示す。
図6(a)に示すように、大の青果物Fを測定する場合は、第1の実施形態のものと同様に、昇降プレート13を上昇させることにより、投光手段と受光手段の高さ位置を大の青果物Fの中央部の高さ位置に合わせるとともに、各回転円板25a、25bを回転させて、大の開口26aを投光窓10aと受光窓10bに重ね合わせている。なお、各回転円板25a、25bは大の青果物Fと接近するので、大の開口26aには筒部は設けられていない。
【0041】
また、
図6(b)に示すように、小の青果物Fを測定する場合も、第1の実施形態のものと同様に、昇降プレート13を下降させることにより、投光手段と受光手段の高さ位置を大の青果物Fの中央部の高さ位置に合わせるとともに、各回転円板25a、25bを回転させて、小の開口26cを投光窓10aと受光窓10bに重ね合わせる。各回転円板25a、25bは小の青果物Fと大きく離間するので、小の開口26cの筒部27cは、青果物Fと接近するように長く形成されている。この実施形態でも、昇降手段で昇降される昇降部の重量を軽くし、測定対象の青果物Fの大きさに応じて、照射光と透過光の高さ位置を小さな負荷で簡便に調整することができる。
【0042】
図7は、第3の実施形態の青果物の内部品質測定装置1を示す。この内部品質測定装置1は、測定対象の青果物Fの大きさに応じて、前記左右一対の固定遮光板8a、8bおよび昇降遮光板9a、9b間の間隔が変更可能とされている点と、投光室18を形成する仕切り部材19に、先端側へ延長可能な延長部19aが設けられている点と、各回転円板25a、25bの各開口26a、26b、26cの周縁の筒部27が等しい長さに形成されている点とが異なる。その他の部分は第2の実施形態のものと同じであり、ハロゲンランプ2は図示省略した支持部材を介して昇降プレート13に取り付けられている。また、図示は省略するが、第1の実施形態のものと同様の、吸気ファン20a、20bや排気ファン22等の吸排気機構も設けられている。
【0043】
前記枠体の天井と床の間に配置された左右一対の固定遮光板8a、8bは、枠体6の天井取り付けられたモータ29aで回転駆動されるボールねじ30aに螺合されている。また、左右一対の昇降遮光板9a、9bは、昇降プレート13の上面に取り付けられたモータ29bで回転駆動されるボールねじ30bに螺合されている。各ボールねじ30a、30bは、中央部の左右が互いに逆ねじとされており、各モータ29a、29bを駆動することにより、一対の固定遮光板8a、8bと昇降遮光板9a、9bは、互いに左右逆方向に移動し、これらの左右方向の間隔が変更される。
【0044】
前記仕切り部材19の延長部19aは、仕切り部材19にスライド可能に外嵌された筒状とされ、仕切り部材19の上面に取り付けられたモータ31で回転駆動されるボールねじ32に、基端側の立上げ部19bを螺合されている。モータ31を駆動することにより、延長部19aは仕切り部材19を先端側へ延長するように進退し、延長部19aの先端は、右側の昇降遮光板9aと一緒に左右方向へ移動する投光通路部材15に追随する。
【0045】
図7は、大の青果物Fを測定する状態を示し、一対の固定遮光板8a、8bおよび昇降遮光板9a、9b間の間隔が広げられ、仕切り部材19の延長部19aは延長されていない。
【0046】
図8は、小の青果物Fを測定する状態を示す。この場合は、第1の実施形態のものと同様に、昇降プレート13が下降して、投光手段と受光手段の高さ位置が小の青果物Fの中央部の高さ位置に合わせられるとともに、一対の固定遮光板8a、8bおよび昇降遮光板9a、9b間の間隔が狭められている。また、仕切り部材19の延長部19aも、移動した投光通路部材15に追随するように延長されている。
【0047】
図9は、上述したいずれかの内部品質測定装置1を用いた青果物の選別機を示す。この選別機は、垂直面内で周回駆動される無端状のコンベア51に選別対象の青果物Fを載せる受皿52を一定間隔で取り付け、コンベア51の直線部に内部品質測定装置1を配置し、その下流側の2箇所に、選別された青果物Fを排出する仕分け部53を設けたものである。各受皿52は、後述するように、コンベア51の側方へ傾動可能な取り付け台54を介してコンベア51に取り付けられている。青果物Fを受皿52に載せたコンベア51は、前記トンネル状の暗室7(図示省略)を左から右方向へ通過し、選別される青果物Fは、内部品質測定装置1の入口側で、作業者によって受皿52に載せられる。
【0048】
図10乃至
図14は、前記受皿52を示す。
図10は斜視図、
図11は正面図、
図12は平面図、
図13は底面図、
図14は左側面図である。なお、図示は省略するが、背面図は正面図と同一に表れ、右側面図は左側面図と同一に表れる。この受皿52は、青果物Fを載せる下向き円錐状の受部52aと、受部52aの上端縁からコンベア51の搬送方向の両側へ張り出す鍔部52bと、取り付け台54に取り付けられる底部52cとからなり、搬送方向と直角方向の受部52aの両側部に、前記照射光と透過光を通す切欠き部52dが設けられている。なお、この切欠き部52は、測定対象の青果物Fの種類や大きさに応じて変更することができ、照射光や透過光の透過量を適宜調整可能とされている。また、切欠き部52dの替りにスリットや透過口を設けてもよい。
【0049】
図9に示したように、受皿52の鍔部52bは、コンベア51の搬送方向で隣接する受皿52の鍔部52bと接近するように張り出している。したがって、受皿52に青果物Fを載せる作業者が受皿52間の隙間に手を挟み込まれる心配がなく、作業者の安全を確保することができる。鍔部52bは片側のみに張り出させて、隣接する受皿52と接近させるようにしてもよい。
【0050】
図15(a)〜(d)は、それぞれ
図10の受皿の変形例を示す。
図15(a)は鍔部52bの長さを短くしたもの、
図15(b)は鍔部52bの幅を広くしたものである。また、
図15(c)は両側の鍔部52bの先端辺を互いに平行な斜辺52eとしたもの、
図15(d)は両側の鍔部52bの先端辺を互いに等しい曲率の凸円弧辺52fと凹円弧辺52gとしたものである。
図15(c)、(d)の両側の鍔部52bは互いに非対称となっているが、隣接する受皿52の鍔部52bの先端辺と補完し合うように接近する。
【0051】
図16乃至
図18は、前記仕分け部53を示す。仕分け部53のコンベア51の背面側には、後述する取り付け台54の傾動部54aの水平位置でのロックを解除するロック解除機構60が設けられている。
【0052】
前記取り付け台54は、受皿52が取り付けられ、コンベア51正面側の側方へ傾動可能な傾動部54aと、コンベア51に取り付けられる基部54bとからなる。傾動部54aは、基部54bに軸ピン55でコンベア51の側方へ回動自在に枢着され、受皿52は軸ピン55よりも正面側へ寄せて取り付けられている。傾動部54aの背面側の下面には、係止ローラ56が取り付けられ、背面側の端部には、後述する復帰カバー66に当接されるタイヤ57が取り付けられている。
【0053】
また、前記基部54bの背面側には、係止ローラ56を係止して、傾動部54aを水平位置にロックする上向きのロック鉤58が取り付けられている。ロック鉤58は軸ピン59に枢着され、ばね(図示省略)で係止ローラ56を係止する側へ回動付勢されている。
【0054】
前記ロック解除機構60は、モータ61によりウォームギヤ62を介して回転駆動されるカム63と、軸ピン64に傾動可能に枢着され、カム63で上方へ傾動されて、ロック鉤58のロックを解除するようにその下端側をキックするキックレバー65とからなる。このロック解除機構60は、内部品質測定装置1の出力信号に基づいてカム63を回転させ、ロック鉤58のロックをキックレバー65で解除することにより、傾動部54aと受皿52をコンベア51正面側の側方へ傾動させて、選別される青果物Fを排出する。すなわち、傾動部54aと受皿52を併せた重心は、軸ピン55による枢着位置よりも正面側の側方へ寄せられている。なお、傾動部54aと受皿52に青果物Fの重量を併せた重心を、枢着位置よりも正面側の側方へ寄せてもよい。
【0055】
図19は、前記コンベア51の下流側の湾曲部51aを示す。前記2箇所の仕分け部53のいずれかで正面側へ傾動した受皿52と傾動部54aは、湾曲部51aで作用する遠心力によって水平側へ自然に逆向きに回動し、ばねで付勢されたロック鉤58によって水平位置に再びロックされる。したがって、傾動した受皿52を元に戻す別途の機構や手間を省くことができる。なお、傾動した受皿52を遠心力で水平位置に回動させるためには、コンベア51の搬送速度に応じて、傾動部54aと受皿52の重心位置を適宜調整するとよい。
【0056】
図20は、前記コンベア51の湾曲部51aに復帰カバー66を取り付けた例を示す。この例では、コンベア51が停止して、湾曲部51aで遠心力が作用しない場合に、前記取り付け台54のタイヤ57を復帰カバー66の内面側に当接させて、取り付け台54の傾動部54aを水平方向に回動させることができる。
【0057】
上述した内部品質測定装置の各実施形態では、測定対象の青果物Fを略球形のものとし、その中央部に照射光を照射するようにしたが、測定対象の青果物Fは略球形のものに限定されることはない。また、照射光の照射部位も青果物Fの中央部に限定されることはなく、測定対象の青果物Fに適した一定の部位に設定することができる。
【0058】
上述した内部品質測定装置の各実施形態では、投光手段の光源をハロゲンランプとしたが、この光源はキセノンランプ、レーザ、LED等とすることもできる。なお、レーザやLEDは、内部品質の測定に必要な特定の波長のみの光を照射することができる。また、光源は複数設けてもよい。
【0059】
上述した内部品質測定装置の各実施形態では、昇降部の昇降手段をボールねじとしたが、この昇降手段は、シリンダや滑車等とすることもできる。また、枠体の暗室の入口と出口を別々に設けたが、この入口と出口は共通の出入口とすることもできる。
【0060】
また、上述した選別機の実施形態では、コンベアを垂直面内で周回するものとしたが、コンベアは水平面内や傾斜平面内で周回するものとしてもよい。