特許第6197342号(P6197342)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6197342
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】ケーブル接続構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/00 20060101AFI20170911BHJP
【FI】
   H05K7/00 G
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-82073(P2013-82073)
(22)【出願日】2013年4月10日
(65)【公開番号】特開2014-204105(P2014-204105A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 明
【審査官】 石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−056952(JP,A)
【文献】 実開昭59−155764(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0195024(US,A1)
【文献】 実開昭62−089173(JP,U)
【文献】 実開昭62−107478(JP,U)
【文献】 特開2008−270304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/14
3/36
7/00
7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルを基材にはんだ付けにより接続する際のケーブル接続構造であって、
前記ケーブルを前記基材にはんだ付けする接続部位を囲うように、自身が弾性変形するための弾性を有し、前記ケーブルと前記基材との間に生じる応力を弾性変形により前記接続部位の周辺に分散させるための応力分散部材を設けたことを特徴とするケーブル接続構造。
【請求項2】
前記応力分散部材は、前記ケーブルと前記基材とを互いに接着するための接着性を有し、その接着状態を維持したまま弾性変形することを特徴とする請求項1記載のケーブル接続構造。
【請求項3】
前記応力分散部材は、前記基材よりも剛性が低い材料で形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のケーブル接続構造。
【請求項4】
前記応力分散部材は、前記接続部位と前記基材の端部との間に位置する遊び代に配置されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載のケーブル接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルを基材にはんだ付けにより接続する際のケーブル接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばプリント基板等の基材間を接続するために、屈曲可能な柔軟性を備えた例えばFPC(Flexible Printed Circuits)ケーブル等のケーブルが用いられている。そのようなケーブルは、例えば特許文献1のように補強材を設けることにより、ケーブル自体の強度を確保することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−48677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ケーブルは、はんだ付けによって基材に接続されることもあり、その場合には、例えばケーブルの端部がはんだ付けによって基材に強固に固定される。但し、はんだ付けされた接続部位は、機械的な強度はもちろん有しているものの、応力が加わった場合にはクラックが発生し易い等、比較的脆い部位であることも知られている。このため、ケーブルと基板との間に生じた応力が接続部位に全て集中することを避けることが望ましい。
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1のようにケーブルそのものを補強する構成では、ケーブルと基材との間に生じる応力を緩和することができないという問題がある。また、特許文献1の場合、ケーブルを補強したことによって柔軟性が損なわれ、反って応力が直接的に接続部位に伝達されてしまうという問題もある。つまり、ケーブルを補強してはんだ付けする等の一時的な作業に対する強度を確保したとしても、その後においては、ケーブルを収容した装置の動作時や、ケーブルを装置に組み込む作業時等において接続部位に応力が加わるおそれがあり、接続部位の機械的強度が低下するおそれがある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ケーブルと基材との間に生じた応力の全てが直接的に接続部位に伝達されることを防止し、接続部位の機械的強度が低下するおそれを低減するケーブル接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明では、ケーブルを前記基材にはんだ付けする接続部位を囲うように、自身が弾性変形するための弾性を有し、ケーブルと基材との間に生じる応力を弾性変形により接続部位の周辺に分散させるための応力分散部材を設けた。
ケーブルと基材との間に生じる応力は、例えばケーブルが可動部に配設されて基材との位置関係が変化するといった動的要因によって生じることもあれば、ケーブルが屈曲した状態で配設されているといった静的要因によって生じることもある。この場合、ケーブルは、はんだ付けにより接続部位に固定されていることから、応力分散部材よりも外側、つまり、接続部位から離間するほど変化量が大きくなると予想される。
そこで、弾性を有する応力分散部材を接続部位を囲うように設けることにより、ケーブルと基材との間に生じた応力は、まず、接続部位の周辺において応力分散部材を弾性変形させるために消費される。つまり、ケーブルと基材との間に生じた応力は、応力分散部材によってまず接続部位の周辺に分散されることから、直接的に接続部位に伝達されることが防止される。
【0007】
また、上記したようにケーブルの変化量は応力分散部材の外縁側ほど大きくなると予想されることから、応力分散部材は、その外縁側が大きく変形する一方、接続部位に近づくにつれて徐々にその変形は小さくなる。つまり、ケーブルと基材との間に生じた応力は、応力分散部材を弾性変形させるために接続部位の周辺に分散され、且つ、応力分散部材の外側から徐々に小さくなっていく。このため、応力は、最終的にはその絶対量が低減された状態で、接続部位に伝達される。換言すると、接続部位の近傍における応力(つまり、接続部位に直接的に伝達される応力)は、応力分散部材の外縁部側に比べて小さくなる。これにより、クラックの発生を抑制できる等、接続部位の機械的強度が低下するおそれを低減することができる。
【0008】
請求項2記載の発明では、応力分散部材は、ケーブルと基材とを互いに接着するための接着性を有し、その接着状態を維持したまま弾性変形する。
一般的に、ケーブルが接続される基材は、装置内で固定されていることが多いと考えられる。そのため、接続部位に応力が加わる場合、その応力は、多くはケーブルが基材に対して相対的に移動することにより生じると予想される。その場合、装置が固定されて使用されるのであれば応力の加わる向きが変化することは少ないと考えられるが、例えば可搬型装置や携帯型装置のように使用状態が変化するような場合には、応力の加わる向きが使用状態により変化する可能性がある。そこで、ケーブルと基材とを互いに接着することにより、応力がどのような向きで生じたとしても、その応力を弾性変形のために消費させることができる。
【0009】
請求項3記載の発明では、応力分散部材は、基材よりも剛性が低いことを特徴とする。ケーブルと基材との間に生じる応力を接続部位の周辺に分散させる場合、応力分散部材が基材よりも剛性が高いと、応力が分散されることなく接続部位に伝達されることになってしまう。そこで、応力分散部材として基材よりも剛性が低いものを採用することにより、上記したようにケーブルと基材との間に生じる応力を接続部位の周辺に分散させることができる。
また、基材よりも剛性が低いものを採用することにより、基材として、例えばプリント基板等の比較的変形しにくいもの以外にも本発明を適用できるようになる。
【0010】
請求項4記載の発明では、応力分散部材は、接続部位と基材の端部との間に位置する遊び代に配置される。はんだ付けするための接続部位は、製造上の理由等により、基材の端部ぎりぎりではなく一般的には端部からある程度離間した位置に設けられている。そこで、接続部位と基材の端部との間の遊び代に応力分散部材を配置することにより、基材が不必要に大型化してしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態によるケーブル接続構造を模式的に示す図
図2】比較例としての従来のケーブル接続構造を模式的に示す図
図3】ケーブル接続構造を適用したFPCケーブルの一例を示す図
図4】その他の実施形態によるケーブル接続構造を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態によるケーブル接続構造ついて、図1から図3を参照しながら説明する。なお、以下の図は、説明のために各部の大きさを明示するようにしたものであり、実際の大きさを必ずしも示しているものではない。
図1(A)は、本実施形態のケーブル接続構造を模式的に示しており、ケーブル1、ケーブル1を取り付けるための基材2、および、ケーブル1と基材2との間に設けられている応力分散部材3が示されている。本実施形態では、ケーブル1としていわゆるFPCケーブルを採用しており、基材2としてガラスエポキシ製のいわゆるプリント基板を想定している。
ケーブル1は、複数本の配線パターンを例えばポリイミドフィルム等の絶縁被覆で挟み込んだ態様で形成されており、各配線パターンに対応して基材2に設けられているピン4を挿入するための貫通孔が設けられている。このケーブル1は、はんだ5により、ピン4にはんだ付けされている。このはんだ付けされている部位が接続部位6に相当する。また、ケーブル1は、応力分散部材3によって、基材2に接着されている。
【0013】
応力分散部材3は、自身が弾性変形するための弾性を有している。また、応力分散部材3はケーブル1と基材2とを接着する接着性を有している。このため、本実施形態の応力分散部材3は、ケーブル1と基材2とを互いに接着するとともに、その接着状態を維持したまま弾性変形する。
この応力分散部材は、接続部位6と基材2の端部との間に設けられている構造上の遊び代7を利用して接続部位6と基材2の端部との間に配置されている。また、応力分散部材3は、基材2よりも剛性が低い例えば樹脂材料で形成され、両面テープとして機能する。このため、ケーブル1と基材2とは、互いに面接触した状態で接着されている。つまり、本実施形態の応力分散部材3は、ケーブル1(FPCケーブル)の幅のほぼ全体を接着している。なお、応力分散部材3として、弾性部材を接着テープで挟んだ層構造のものを採用してもよい。
【0014】
ここで、比較例として、従来構成のケーブル1接続構造について説明する。図2に示すように、従来構成のケーブル1接続構造では、応力分散部材3を備えていない。このため、矢印Aにて示すようにケーブル1が図示上下方向に移動した場合(つまり、ケーブル1と基材2との位置関係が変化した場合)には、ケーブル1と基材2との間に応力(以下、単に応力と称する)が生じるとともに、その応力が、接続部位6の端部(はんだの端)となるネック部8に集中する。そして、応力が集中することにより、ネック部8にクラックが生じる等、接続部位6の機械的強度が低下するおそれがある。
これに対して、本実施形態のケーブル1接続構造の場合、図1(A)に示したようにケーブル1と基材2との間に応力分散部材3を設けている。そして、この応力分散部材3は、接着性と弾性とを有していることから、図1(B)に示すように、ケーブル1が例えば矢印Bに示すように基材2との相対的な位置関係が変化したとしても、ケーブル1と基材2との接着状態を維持したまま弾性変形する。つまり、生じた応力は、応力分散部材3を弾性変形させるために消費される。これにより、応力が接続部位6に直接的に伝達されることを抑制できる。
【0015】
また、ケーブル1は、はんだ付けにより接続部位6に固定されているとともにその周辺において応力分散部材3により基材2に接着されていることから、応力分散部材3よりも外側、つまり、接続部位6から離間するほど記載に対する変化量が大きくなる。この場合、応力分散部材3は、その外縁側が大きく変形する一方、接続部位6に近づくにつれて徐々にその変形は小さくなる。つまり、応力分散部材3の外縁部において弾性変形のために消費される力F1は、接続部位6側で消費される力F2よりも大きくなっている。なお、本実施形態では、この力F2が、接続部位6に直接的に伝達される応力に相当する。
このように、応力は、応力分散部材3の外縁側で大きく消費される一方、接続部位6に近づくにつれて徐々に消費が小さくなることから、最終的に接続部位6に伝達される応力の絶対量が低下する。これにより、ネック部8等におけるクラックの発生を抑制できる等、接続部位6の機械的強度が低下するおそれを低減することができる。このとき、応力分散部材3の剛性を基材2よりも低くしているので、応力は、まず剛性の低い応力分散部材6を変形させるために消費されて接続部位6の周辺に分散されることになる。
【0016】
ここで、本実施形態のケーブル接続構造の適用対象について、いくつかを例示しながら説明する。
図3(A)はその適用例の一例を示すものであり、ケーブル1は、図3(B)に示すようにコネクタ9を取り付けるための補助板である基材2にはんだ付けされている。このようにコネクタ9がはんだ付けされたケーブル1は、例えば、ロボットの回転軸において互いの回転軸を電気的に接続するための配線部材として用いられる。この場合、ロボットの回転軸は互いに相対的に回転することから、その際に生じる振動等の動的要因により、ケーブル1に振動が伝達され、ケーブル1と基材2との位置関係が変化して応力が生じる可能性がある。
そのような場合であっても、応力分散部材3を設けることにより、接続部位6に加わる応力を分散および緩和することができる。このとき、例えば振動等が繰り返し加えられ、定常的に応力が発生するような環境となったとしても、応力分散部材3によりその応力を分散させることにより、いわゆる金属疲労により接続部位6の機械的強度が低下するおそれを低減することもできる。なお、例えばいわゆるケーブルベア(登録商標)に収容されて動作時にケーブル1自体が変形するもの等も想定される。
【0017】
また、このようなケーブル1をロボットの内部に配線する作業時において、接続部位6に加わる応力を分散および緩和させることもできる。具体的には、近年のロボットは小型化が求められており、配線用のスペースも省スペース化が図られている。そのようなロボットに配線を行う場合、コネクタ9等を取り付けた状態で配線することが一般的に行われている。その場合、狭いスペースにコネクタ9付きのケーブル1を挿入するとき、コネクタ9が内部部品等に接触することがある。つまり、ケーブル1が移動するのではなく、コネクタ9側が接触等の外的要因により位置関係が変化する可能性がある。そして、接触時の衝撃等で接続部位6の機械的強度が低下した状態となると、ロボットの動作不良や寿命の低下等を招くおそれがある。また、コネクタ9の接触不良は比較的気付きにくい故障であるので、原因の究明等に不必要に工数を取られるおそれ等もある。このような組み立て作業時や検査作業時等に対しても、応力分散部材3を設けて接続部位6に加わる応力を分散および緩和させることで対処することができる。
【0018】
あるいは、PLC(Programmable Logic Controller)や、ハンディ型のPOS(Point Of Sale)端末等、小型化を図るために配線スペースを省スペース化したようなものも本発明の適用対象となる。すなわち、POS端末等の内部においてケーブル1を屈曲させて配線している場合、ケーブル1がまっすぐに伸びようとすることにより生じる応力(上記した、静的要因により生じる応力)が接続部位6に加わることになる。このような場合であっても、応力分散部材3を設けることにより恒常的に生じている応力を接続部位6の周辺に分散させることができる。また、例えばPOS端末を使用する際に振動等が加わった場合であっても、その振動に起因して生じる応力から接続部位6を保護することができる。さらに、POS端末の場合、使用状態によりその向きが変化する(いわゆる天地無用の状態で使用される)ことがある。その場合、応力の向きが変化することが想定されるものの、応力分散部材3に接着性を持たせてケーブル1と基材2との接着状態を維持していることから、どのような向きの応力が生じたとしても、その応力は、応力分散部材3を弾性変形させるために消費される。すなわち、ケーブル1を収容する装置の使用状態等に関わらず、応力分散部材3によって接続部位6に伝達される応力の絶対量を低減することができる。
【0019】
以上説明した本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
接続部位6の少なくとも周辺に自身が弾性変形するための弾性を有し、ケーブル1と基材2との間に生じる応力を弾性変形により接続部位6の周辺に分散させるための応力分散部材3を設けているので、ケーブル1と基材2との間に生じた応力は、まず、接続部位6の周辺において応力分散部材3を弾性変形させるために消費される。これにより、ケーブル1と基材2との間に生じる応力の全てが直接的に接続部位6に伝達されることを防止することができる。
また、応力分散部材3は、接着性を有することから、ケーブル1と基材2との接着状態を維持したまま弾性変形する。具体的には、図1(B)に示すような図示上方へケーブル1が移動した場合には応力分散部材3を伸長させるために応力が消費され、図示下方へケーブル1が移動した場合には応力分散部材3を圧縮させるために応力が消費される。このように、応力分散部材3に接着性を持たせたことにより、応力がどのような向きで生じたとしても、その応力を弾性変形のために消費させることができる。したがって、ケーブル1を収容した装置がどのような使用状態であったとしても、また、ケーブル1がどのような状態で装置内(筐体内)に配置されたとしても、応力を分散させることができる。
【0020】
また、応力分散部材3を設けたことにより、ケーブル1と基材2との間に生じた応力は、応力分散部材3を弾性変形させるために接続部位6の周辺に分散され、且つ、応力分散部材3の外側から徐々に小さくなっていき、最終的に接続部位6に伝達される絶対量が低減される。換言すると、接続部位6の近傍まで伝達される応力(つまり、接続部位6に直接的に伝達される応力)は、応力分散部材6の外縁部側に比べて小さくなる。そのため、クラックの発生を抑制できる等、接続部位6の機械的強度が低下するおそれを低減することができる。
応力分散部材3は、基材2よりも剛性が低い部材にて形成されているので、応力が発生した場合にその応力はまず剛性の低い応力分散部材6を変形させるために消費される。したがって、ケーブル1と基材2との間に生じる応力を接続部位6の周辺に分散させることができる。すなわち、接続部位6に伝達される応力を低減することができる。
【0021】
応力分散部材3を接続部位6と基材2の端部との間に設けられている遊び代7に配置したので、基材2が不必要に大型化してしまうことを防止でき、基材2の製造コストの増加を抑制することができる。また、その結果、ケーブル1を収容する装置の大型化を防止することができる。
応力分散部材3によって動的要因による応力および静的要因による応力のいずれも分散および緩和させることができるため、例えば図3に示したようにコネクタ9を取り付けた状態で狭いスペースにケーブル1を挿入するような組み立て時にも応力を緩和させることができ、製品の品質を向上させることができる。
もちろん、動作時における接続部位6への応力を緩和することができる。この場合、装置の動作時にケーブル1が可動状態となり、応力の発生と消失とが繰り返されるような使用状態であっても、応力分散部材3により応力を分散させることで、はんだ付けした接続部位6に金属疲労が発生することを抑制できる。したがって、接続部位6のいわゆる寿命を延ばすことができ、ひいては製品の寿命を延ばすことも可能となる。
【0022】
(その他の実施形態)
本発明は、各実施形態にて例示したものに限定されることなく、例えば以下のように変形あるいは拡張することができる。
一実施形態では接続部位6も含めて応力分散部材3を設けたが、図4(A)に示すように、接続部位6を含まない位置に応力分散部材3を設けてもよい。なお、図4(A)では説明のために応力分散部材3にある程度の厚みを持たせているが、ケーブル1の変形を少なくするために薄いものを採用してもよい。
一実施形態ではケーブル1の端部を接続する態様を例示したが、図4(B)に示すようにケーブル1の中間部を接続する場合に応力分散部材3を設けてもよい。また、基材2の端部側(図示右方)ではなく、基材2の内側(図示左方)に伸びるケーブル1の端部をはんだ付けするものであってもよい。
【0023】
一実施形態ではピン4にはんだ付けする態様を例示したが、図4(C)に示すように、基材2に直接はんだ付けする態様のものに適用してもよい。また、一実施形態ではFPCケーブルを例示したが、導線を例えば樹脂やエナメル等で被覆したいわゆる電線に適用してもよい。
一実施形態では基材2としてガラスエポキシ基板を例示したが、それ以外の材質のものであってもよい。また、基材2が変形可能な弾性を有するものであってもよい。その場合、応力分散部材3を基材2よりも剛性の低いもの(弾性が大きいもの)とすることで、一実施形態と同様の効果を得ることができる。
応力分散部材の大きさは、ケーブルの種類や想定される応力等に応じてその大きさを設定すればよい。例えば、応力分散部材の接着面積を大きくすれば、それだけ大きな応力に対応することができる。なお、接着面積が大きくなると基材2の大きさも大きくなることから、製造コストをも考慮して設定してもよい。
実施形態ではケーブル1の接続構造を例示したが、ケーブル1ではなく、例えば表面実装型のコネクタ等を対象としてもよい。
【符号の説明】
【0024】
図面中、1はケーブル、2は基材、3は応力分散部材、6は接続部位、7は遊び代を示す。
図1
図2
図3
図4