特許第6197356号(P6197356)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6197356タイヤの溝部に形成されたゴム膜の除去方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6197356
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】タイヤの溝部に形成されたゴム膜の除去方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/00 20060101AFI20170911BHJP
【FI】
   B29D30/00
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-99283(P2013-99283)
(22)【出願日】2013年5月9日
(65)【公開番号】特開2014-218030(P2014-218030A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2016年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】羽田 喜一郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】木村 太祐
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 遼
【審査官】 松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−055084(JP,A)
【文献】 特開2007−062003(JP,A)
【文献】 特開2012−201001(JP,A)
【文献】 特開平10−15798(JP,A)
【文献】 特開2000−176807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/00
B29C 37/02
B24B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ加硫時にタイヤモールドの継ぎ目に未加硫ゴムがオーバーフローすることにより、加硫したタイヤの溝部に形成されたゴム膜の除去方法であって、回転コアから直径1mm未満の多数の非金属の繊維状体を半径方向に突出させて形成したブラシ部を所定回転数の範囲内で回転駆動させながら前記多数の繊維状体の内の一部の繊維状体の先端部をタイヤ溝部の両側面および底面に当接させるとともに残りの前記繊維状体の先端部を前記タイヤ溝部の両側に隣接するタイヤ表面に所定時間当接させてタイヤ表面に損傷が生じないことを予め確認した後、前記ブラシ部を前記所定回転数の範囲内で回転駆動させながら、前記多数の繊維状体の内の一部の前記繊維状体の先端部をタイヤ溝部の両側面および底面に接触させるようにタイヤ溝部に挿入して、かつ、前記タイヤ溝部の両側に隣接するタイヤ表面に残りの繊維状体の先端部を当接させた状態にして、前記所定時間よりも短い時間、前記ゴム膜に接触させることにより、前記ゴム膜を前記タイヤ溝部の両側面および底面から分離させて除去することを特徴とするタイヤの溝部に形成されたゴム膜の除去方法。
【請求項2】
前記繊維状体として、ナイロンベースの繊維を用いる請求項1に記載のタイヤの溝部に形成されたゴム膜の除去方法。
【請求項3】
前記繊維状体に研磨砥粒を混入させておく請求項1または2に記載のタイヤの溝部に形成されたゴム膜の除去方法。
【請求項4】
タイヤ加硫時にタイヤモールドの継ぎ目に未加硫ゴムがオーバーフローすることにより、加硫したタイヤの溝部に形成されたゴム膜の除去装置であって、回転コアから直径1mm未満の多数の非金属の繊維状体を半径方向に突出させて形成したブラシ部と、このブラシ部を回転駆動させる回転駆動部とを備え、前記ブラシ部を所定回転数の範囲内で回転駆動させながら前記多数の繊維状体の内の一部の繊維状体の先端部をタイヤ溝部の両側面および底面に当接させるとともに残りの前記繊維状体の先端部を前記タイヤ溝部の両側に隣接するタイヤ表面に所定時間当接させてタイヤ表面に損傷が生じないことを予め確認しておき、この予め確認している前記所定回転数の範囲内で前記ブラシ部を回転駆動させながら前記多数の繊維状体の内の一部の前記繊維状体の先端部をタイヤ溝部の両側面および底面に接触させるようにタイヤ溝部に挿入して、かつ、前記タイヤ溝部の両側に隣接するタイヤ表面に残りの繊維状体の先端部を当接させた状態にして、前記所定時間よりも短い時間、前記ゴム膜に接触させることにより、前記ゴム膜を前記タイヤ溝部の両側面および底面から分離させて除去する構成にしたことを特徴とするタイヤの溝部に形成されたゴム膜の除去装置。
【請求項5】
前記繊維状体が、ナイロンベースの繊維である請求項4に記載のタイヤの溝部に形成されたゴム膜の除去装置。
【請求項6】
前記繊維状体に研磨砥粒が混入されている請求項4または5に記載のタイヤの溝部に形成されたゴム膜の除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの溝部に形成されたゴム膜の除去方法および装置に関し、さらに詳しくは、タイヤの溝部に形成されたゴム膜を、タイヤ表面を傷つけることなく、効率よくきれいに除去できるゴム膜の除去方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤモールドの型締めが不十分な場合や、タイヤモールドの継ぎ目の周辺が損耗している等に起因して、タイヤモールドの継ぎ目にすき間が生じると、タイヤ加硫時に継ぎ目に未加硫ゴムがオーバーフローして、加硫したタイヤの溝部に薄いゴム膜が形成されることがある。このようなゴム膜はタイヤの外観品質を低下させるので、除去する必要がある。従来、このようなゴム膜は、例えば、作業者がラジオペンチ等で挟んで引き千切って除去していたので多大な時間と労力を要していた。
【0003】
そこで、回転するワイヤブラシを溝部に形成されたゴム膜に当てて除去しようとすると、ワイヤブラシがゴム膜だけでなくタイヤ表面に接触してタイヤ表面が傷つくという問題がある。また、ワイヤブラシをゴム膜に接触させると、ゴム膜が局部的に破れてしまい、除去残りなくきれいに除去することが難しい。
【0004】
溝部に形成されたゴム膜とは異なるが、タイヤ表面にひげ状に突出するスピューを除去するために、一対の回転体の間にスピューを把持した後、把持したスピューをカッターにより切断して除去する方法および装置が提案されている(特許文献1参照)。この提案では、スピューを押し潰すようにして一方の回転体の下を潜らせた後、一対の回転体の間で把持した状態にして切断する。しかし、溝部に形成されたゴム膜は、溝の両側面および底面に連結しているので、押し潰すように一方の回転体の下を潜らせれば、不規則に破れるため、きれいに除去することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−201001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、タイヤの溝部に形成されたゴム膜を、タイヤ表面を傷つけることなく、効率よくきれいに除去できるゴム膜の除去方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のタイヤの溝部に形成されたゴム膜の除去方法は、タイヤ加硫時にタイヤモールドの継ぎ目に未加硫ゴムがオーバーフローすることにより、加硫したタイヤの溝部に形成されたゴム膜の除去方法であって、回転コアから直径1mm未満の多数の非金属の繊維状体を半径方向に突出させて形成したブラシ部を所定回転数の範囲内で回転駆動させながら前記多数の繊維状体の内の一部の繊維状体の先端部をタイヤ溝部の両側面および底面に当接させるとともに残りの前記繊維状体の先端部を前記タイヤ溝部の両側に隣接するタイヤ表面に所定時間当接させてタイヤ表面に損傷が生じないことを予め確認した後、前記ブラシ部を前記所定回転数の範囲内で回転駆動させながら、前記多数の繊維状体の内の一部の前記繊維状体の先端部をタイヤ溝部の両側面および底面に接触させるようにタイヤ溝部に挿入して、かつ、前記タイヤ溝部の両側に隣接するタイヤ表面に残りの繊維状体の先端部を当接させた状態にして、前記所定時間よりも短い時間、前記ゴム膜に接触させることにより、前記ゴム膜を前記タイヤ溝部の両側面および底面から分離させて除去することを特徴とする。
【0008】
本発明のタイヤの溝部に形成されたゴム膜の除去装置は、タイヤ加硫時にタイヤモールドの継ぎ目に未加硫ゴムがオーバーフローすることにより、加硫したタイヤの溝部に形成されたゴム膜の除去装置であって、回転コアから直径1mm未満の多数の非金属の繊維状体を半径方向に突出させて形成したブラシ部と、このブラシ部を回転駆動させる回転駆動部とを備え、前記ブラシ部を所定回転数の範囲内で回転駆動させながら前記多数の繊維状体の内の一部の繊維状体の先端部をタイヤ溝部の両側面および底面に当接させるとともに残りの前記繊維状体の先端部を前記タイヤ溝部の両側に隣接するタイヤ表面に所定時間当接させてタイヤ表面に損傷が生じないことを予め確認しておき、この予め確認している前記所定回転数の範囲内で前記ブラシ部を回転駆動させながら前記多数の繊維状体の内の一部の前記繊維状体の先端部をタイヤ溝部の両側面および底面に接触させるようにタイヤ溝部に挿入して、かつ、前記タイヤ溝部の両側に隣接するタイヤ表面に残りの繊維状体の先端部を当接させた状態にして、前記所定時間よりも短い時間、前記ゴム膜に接触させることにより、前記ゴム膜を前記タイヤ溝部の両側面および底面から分離させて除去する構成にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、回転コアから直径1mm未満の多数の非金属の繊維状体を半径方向に突出させて形成したブラシ部と、このブラシ部を回転駆動させる回転駆動部とを備えた除去装置を用いて、このブラシ部を所定回転数の範囲内で回転駆動させながら前記繊維状体の先端部をタイヤ表面に所定時間当接させてタイヤ表面に損傷が生じないことを予め確認する。そのため、ゴム膜の除去作業をする際に、ブラシ部によってタイヤ表面を傷つける不具合を防止できる。
【0010】
その後、前記ブラシ部を前記所定回転数の範囲内で回転駆動させながら、前記繊維状体の先端部をタイヤ溝部の両側面および底面に接触させるようにタイヤ溝部に挿入して、前記所定時間よりも短い時間、前記ゴム膜に接触させることにより、前記ゴム膜を前記タイヤ溝部の両側面および底面から分離させて、除去残りなくきれいに除去することができる。ゴム膜に前記繊維状体の先端部を接触させると即座にゴム膜は除去されるので、除去作業時間を大幅に短縮することが可能になる。
【0011】
ここで、例えば、前記繊維状体として、ナイロンベースの繊維を用いる。ナイロンベースの繊維は適度な弾力性、強度、靱性があり、ゴム膜を効率よくきれいに除去するには有利になる。6−6ナイロンや6−12ナイロンベースの繊維がより好ましい。
【0012】
前記繊維状体に研磨砥粒を混入させておくこともできる。これによっても、ゴム膜を効率よくきれいに除去し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のゴム膜の除去装置を例示する説明図である。
図2図1の一部拡大図である。
図3】繊維状体の先端部を溝部に挿入した状態を例示するタイヤ幅方向断面図である。
図4】繊維状体の先端部を溝部に挿入した状態を例示するタイヤ周方向断面図である。
図5】ゴム膜が除去された溝部を例示するイヤ幅方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のタイヤの溝部に形成されたゴム膜の除去方法および装置を図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0015】
図1図2に例示する本発明のタイヤの溝部に形成されたゴム膜の除去装置1(以下、除去装置1という)は、加硫したタイヤ12の溝部14に形成されたゴム膜15を除去する。このゴム膜15は、タイヤ加硫時にタイヤモールドの継ぎ目に未加硫ゴムがオーバーフロー(侵入)することにより形成される。本発明により除去されるゴム膜15の厚さは、例えば1mm以下(0.2mm〜0.8mm程度)である。
【0016】
除去装置1は、支持ボディ2に設けられた回転駆動部3と、回転駆動部3の回転軸4に着脱自在に取り付けられるブラシ部5とを備えている。ブラシ部5は円盤状の回転コア6と、回転コア6から半径方向に突出させた多数の非金属の繊維状体7とで構成されている。尚、図2および図4では、繊維状体7の一部を省略して図示している。
【0017】
この実施形態では、複数のブラシ部5がタイヤ幅方向に並置されて回転軸4に取り付けられている。そして、幅方向調節部8によりブラシ部5のタイヤ幅方向位置が調節され、深さ方向調節部9によりブラシ部5のタイヤ溝深さ方向位置が調節される。タイヤ12はタイヤ載置台10のタイヤ駆動部11に立設するように配置されている。タイヤ駆動部11を回転駆動させることによりタイヤ12がタイヤ中心軸を中心にして回転する。
【0018】
繊維状体7の直径は1mm未満に設定されている。例えば、その直径は0.3mm〜0.8mm程度に設定されている。繊維状体7には、例えばナイロンベースの繊維を用いる。6−6ナイロンや6−12ナイロンベースの繊維が繊維状体7としてより好ましい。
【0019】
使用する繊維状体7を選定する際は、図3に例示するように、ブラシ部5を所定回転数Nの範囲内で回転軸4を中心にして回転駆動させながら、一部の繊維状体7の先端部を溝部14に挿入するとともに、一部の繊維状体7の先端部を所定時間T、タイヤ12の表面13に当接させても、その表面13に損傷が生じないことを予め確認しておく。所定回転数Nは例えば10000rpm(8000〜12000rpm)程度であり、所定時間Tは、5秒(3秒〜8秒)程度である。
【0020】
上述した繊維状体7によるタイヤ12の表面13での損傷の有無の予めの確認は、タイヤ12毎に行なうこともできるが、例えばタイヤ12の生産ロット毎に行なう。また、タイヤ12のトレッドゴム種が異なる毎に行なう。
【0021】
ゴム膜15を除去するには、幅方向調節部8および深さ方向調節部9を操作することにより、それぞれのブラシ部5がタイヤ12の周方向に延びるそれぞれの溝部14の位置に配置されるように位置決めする。これにより、図3に例示するように、繊維状体7の先端部を溝部14の両側面14aおよび底面14bに接触させるように溝部14に挿入した状態にする。
【0022】
次いで、図4に例示するように、予め確認している所定回転数Nの範囲内でブラシ部5を回転軸4を中心にして回転駆動させる。ブラシ部5を回転駆動させてから繊維状体7の先端部を溝部14の両側面14aおよび底面14bに接触させるように溝部14に挿入してもよい。繊維状体7の先端が底面14bに丁度当接する程度に繊維状体7の先端部を溝部14に挿入する。そして、予めタイヤ12の表面13に損傷を生じないことを確認している所定時間Tよりも短い時間、繊維状体7の先端部をゴム膜15に接触させる。タイヤ12はタイヤ駆動部11によりタイヤ中心軸を中心にして回転させる。タイヤ12の回転方向とブラシ部5の回転方向は同じ方向にする。
【0023】
これにより、溝部14においては、複数の繊維状体7の先端部がゴム膜15の全範囲に接触するようになり、ゴム膜15を両側面14aおよび底面14bから即座に分離させて除去する。すると、図5に例示するように、ゴム膜15は両側面14aおよび底面14bから分離されて除去残りなくきれいに除去される。それ故、ゴム膜15の除去作業時間を大幅に短縮することが可能になる。
【0024】
タイヤ12は、タイヤ中心軸を中心にして回転しているので、周方向に延びる溝部14に形成されているゴム膜15は、順次、同様に除去される。尚、タイヤ12を固定しておき、除去装置1をタイヤ中心軸を中心にして回転させることもできる。
【0025】
本発明では、直径1mm未満の多数の非金属の繊維状体7を回転コア6から半径方向に突出させて形成したブラシ部5を用いて、このブラシ部5を所定回転数Nの範囲内で回転駆動させながら繊維状体7の先端部を所定時間T、タイヤ12の表面13に当接させてタイヤ12の表面13に損傷が生じないことを予め確認する。そのため、ゴム膜15の除去作業をする際に、ブラシ部5によって表面13を傷つける不具合を防止できる。
【0026】
繊維状体7として金属製の繊維状体7を用いると、ゴム膜15を除去する際にタイヤ12の表面13に不要な損傷が生じ易くなる。また、繊維状体7を非金属製にしても直径が1mm超では剛性が過大になる等に起因して、タイヤ12の表面13を損傷させることがあり、また、ゴム膜15が局部的に破られることがある。そのため、繊維状体7の直径は1mm未満、例えば、0.3mm〜0.8mm程度に設定する。
【0027】
繊維状体7としては、ナイロンベースの繊維を用いることが好ましい。ナイロンベースの繊維は適度な弾力性、強度、靱性があるので、ゴム膜15を効率よくきれいに除去するには有利になる。特に、6−6ナイロンや6−12ナイロンベースの繊維を繊維状体7として用いることがより好ましい。繊維状体7は、無撚り、または、撚りをかけた仕様にすることができる。
【0028】
繊維状体7に研磨砥粒を混入させておくこともできる。研磨砥粒としては、例えば、酸化アルミニウムや炭化ケイ素等を用いて、その重量含有率を20〜40%程度にする。研磨砥粒を混入させることにより、一段とゴム膜15を効率よくきれいに除去し易くなる。
【0029】
ブラシ部5は複数ではなく単数でもよい。また、支持ボディ2を手で持つことができるコンパクトな構成にして、除去装置1をハンディタイプにすることもできる。
【実施例】
【0030】
回転コアから直径0.75mm程度の多数のナイロンベースの繊維状体を半径方向に突出させて形成したブラシ部を備えた除去装置を用いて、一般的な乗用車用タイヤの周方向に延びる溝部に形成されたゴム膜(厚さ0.5m程度)を除去した。繊維状体として6−6ナイロンの繊維を用いたブラシ部、6−12ナイロンの繊維(デュポン社製商品名:TYNEX A、酸化アルミニウム重量含有率30%)を用いたブラシ部の2種類をテストした。それぞれのブラシ部は、10000rpm程度の回転数で回転駆動させながら繊維状体の先端部をタイヤ溝部の両側面および底面に接触させるようにタイヤの溝部に挿入してゴム膜に接触させた。その結果、2種類のブラシ部とも、繊維状体の先端部をゴム膜に接触させると、ゴム膜は即座に溝部の両側面および底面から分離されて、除去残りなく除去された。また、2種類のブラシ部ともタイヤ表面を傷つけることはなかった。
【符号の説明】
【0031】
1 除去装置
2 支持ボディ
3 回転駆動部
4 回転軸
5 ブラシ部
6 回転コア
7 繊維状体
8 幅方向調節部
9 深さ方向調節部
10 タイヤ載置台
11 タイヤ駆動部
12 タイヤ
13 表面
14 溝部
14a 側面
14b 底面
15 ゴム膜
図1
図2
図3
図4
図5