(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る一実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は下記の実施形態(図面の内容も含む。)によって限定されるものではない。下記の実施形態に変更(構成要素の削除も含む)を加えることができるのはもちろんである。また、以下の説明では、本発明の理解を容易にするために、公知の技術的事項の説明を適宜省略する。
【0012】
図1は、第1の実施形態に係る車載システム1000の構成を示す図である。
車載システム1000は、携帯電話(携帯端末の一例)100と、車両300に搭載されるヘッドアップディスプレイ装置(HUD装置;車両用表示装置の一例)200と、から構成されている。携帯電話100とHUD装置200とは相互通信が可能なように無線接続される。なお、携帯電話100とHUD装置200とを相互通信が可能なように有線接続してもよい。
【0013】
携帯電話100は、制御部101、無線通信インターフェース102、記憶部103、表示操作部104、GPS(Global Positioning System)受信部105、通信部106、アンテナ部107、を有する。
【0014】
制御部101は、例えばマイクロコンピュータからなり、制御部101が実行する処理(携帯電話100全体の制御など)を実際に行うCPU(Central Processing Unit)と、CPUのメインメモリとして機能するRAM(Random Access Memory)と、制御部101に後述の処理などを実行させる各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)と、制御部101に入出力される情報(信号)をCPU用にデジタル変換したり出力用にアナログ変換したりする各種変換器と、を備える。制御部101は、CPUに加えて、制御部101が行う処理の一部をCPUに代わって実行するための各種専用回路(例えば、画像処理回路など)を備えても良い。
【0015】
無線通信インターフェース102は、HUD装置200と無線接続するためのインターフェースであり、Bluetooth(登録商標)や無線LANなどの近距離無線通信が用いられる。
【0016】
記憶部103は、制御部101が処理を実行する際に使用するデータなどを記憶する。記憶部103は、フラッシュメモリなどのデータを書き換え可能な不揮発性記憶媒体などを含んで構成される。記憶部103は、メモリーカードなどの着脱容易なものを含んでもよい。
【0017】
表示操作部104は、タッチパネルを備えたディスプレイであり、画像表示を行うとともに後述のアプリケーションの実行等を行うための操作部としての機能を備える。操作部としては、他に押しボタンスイッチなどを備えてもよい。
【0018】
GPS受信部105は、GPSアンテナを有し、GPS衛星からの送信データ(電波)を受信して現在位置を示す位置情報を生成する受信機である。すなわち、GPS受信部105は、本実施形態における現在位置を取得する現在位置取得部として機能する。現在位置取得部は他の装置等を含んでもよい。GPSを用いて取得される現在位置は、公知の方法を適宜用いて取得すればよく、携帯電話の基地局の位置情報などのアシストデータを用いて適宜補正を行ってもよい。GPS受信部105は、生成した現在位置を示す位置情報を制御部101に送信する。
【0019】
通信部106は、各種復調器及び変調器を含み、例えばアンテナ部107を介して、インターネットなどのネットワークに接続され、外部の他の装置(例えばネットワークサーバ)からネットワークを介して供給された情報(画像やプログラムを含む)を受信して、制御部101に供給したり、制御部101が送信する情報を、ネットワークを介して他の装置に供給したりする。本実施形態においては、通信部106が受信する情報には、VICS(登録商標)などの交通情報通信システムからの交通情報を含む。
【0020】
本実施形態における携帯電話100は、いわゆるスマートフォンと称される高機能携帯電話であり、制御部101内に複数種類のアプリケーション(プログラム)を格納しており、制御部101が各アプリケーションを実行することによって起動する通話機能、メール機能、ナビゲーション機能、音楽データ再生機能、写真データ再生機能、動画データ再生機能、地図表示機能あるいはウェブブラウジング機能などの多様な機能を備える。特に、本実施形態においては、携帯電話100は、目的地までの経路案内を行うナビゲーション機能を有し、制御部101には、このナビゲーション機能を実行するアプリケーションが格納されている。そして、携帯電話100は、実行中のアプリケーションに対応した画像が表示操作部104に表示される。
【0021】
HUD装置200は、マイクロコンピュータからなる制御部201と、コネクタ202と、CAN通信インターフェース203と、無線通信インターフェース204と、記憶部205と、表示部206と、を有する。
また、HUD装置200は、車両300に設けられる車両診断コネクタ302を介して車両側ECU301から車両情報を取得するものである。取得する車両情報としては、車速、エンジン回転数、スロットル開度、水温、吸気圧、外気温、電圧値などの各種計測値が上げられるがこれらに限定されるものではない。車両側ECU301は、エンジン制御などのパワー・トレイン系ECUやエアコン制御などのボディ系ECUを含む。本実施形態においては、車両診断コネクタ302はOBD2メスコネクタからなり、車両側ECU301と車両情報取得手段200との間でCAN通信を行うものとする。なお、車両側ECU301と車両情報取得手段200との間はK−LINEで通信するものであってもよい。
【0022】
制御部201は、例えば、制御部201が実行する処理(HUD装置200の全体の制御)を実際に行うCPUと、CPUのメインメモリとして機能するRAMと、制御部201に後述の処理などを実行させる各種プログラムを記憶するROM、制御部201に入出力される情報(信号)をCPU用にデジタル変換したり出力用にアナログ変換したりする各種変換器と、を備える。
【0023】
コネクタ202は、車両300に設けられる車両診断コネクタ302に接続可能なコネクタであり、本実施形態においては、+12Vの常時電源ライン、CAN_H信号ライン、CAN_L信号ライン、アースラインの各配線を有するOBD2オスコネクタからなる。
【0024】
CAN通信インターフェース203は、車両診断コネクタ302を介して車両側ECU301とCAN通信を行うためのインターフェースである。
【0025】
無線通信インターフェース204は、携帯電話100と無線接続するためのインターフェースであり、無線通信インターフェース102と同様の規格からなる。
【0026】
記憶部205は、車両側ECU301から得られた車両情報や携帯電話100から得られた後述するナビゲーション情報等を記憶するものである。
【0027】
表示部206は、車速、走行距離等の表示情報を報知するための表示画像を表す表示光L1を出射するものであり、例えば、液晶パネルとバックライト用光源から構成される透過型液晶ディスプレイ、又は蛍光表示管や有機ELパネル等の自発光型ディスプレイから構成される。
【0028】
図2は、HUD装置200の構成を示す概略断面図である。
HUD装置200は、
図2に示すように、表示部206と、ケース体210と、回路基板220と、反射部230と、コンバイナ240と、取付部材250と、を備える。
HUD装置200は、例えば、車両300のダッシュボード上(例えば、インストルメントパネル上方)に取り付けられる据え置き型のHUD装置として構成されている。以下の説明では、HUD装置200が表示する表示画像を視認する視認者(主に運転者)400から見て、上方向を「上」、下方向を「下」、前方向を「前」、後ろ方向を「後」、右方向を「右」、左方向を「左」として(
図2の両端矢印参照)、適宜、HUD装置200を構成する各部を説明する。
【0029】
ケース体210は、上ケース211と、下ケース212と、中ケース213と、を備える。上ケース211には開口部211aが形成されており、この上ケース211と下ケース212とが連結することで上側開口の箱のような形状となる。この箱形状の内部に、表示部206、回路基板220、及び中ケース213が収納される。
【0030】
上ケース211は、コンバイナ240が取り付けられる部分である平坦状の被取付部211bを有する。被取付部211bは、上ケース211の前側端部(
図2中右端部)に位置しており、例えばネジや接着剤等でコンバイナ240が取り付けられる。コンバイナ240が被取付部211bに取り付けられると、コンバイナ240は、上ケース211から上方に延出するような格好となる。
【0031】
下ケース212には、中ケース213が載置される。下ケース212には、反射部230の下端部に対応した形状の凹部212aが形成されている。この凹部212aと中ケース213の一部(後側の内側面)とによって反射部230は保持される(例えば、反射部230は、その一端が凹部212aに差し込まれ、且つ、後側の面が中ケース213に粘着テープ等で固定されることで、保持されている)。また、下ケース212の下側の面には、取付部材250の後述する連結部材252に対応する突出部212bが形成されている。
【0032】
中ケース213は、略筒状の部材であり、その外側面の一部(
図2中右側)に表示部206が配設されている。中ケース213には、表示部206の表示面を露出させる穴である出射口213aが形成されている。なお、中ケース213に出射口213aを覆う透明な窓部材を設けてもよい。
【0033】
回路基板220は、ガラス繊維を含む樹脂等からなる板状の基材に、制御部201,CAN通信インターフェース203,無線通信インターフェース204,及び記憶部205を実装したプリント回路板である。回路基板220は、例えば、下ケース212に図示しない取付部材により固定されており、表示部206よりも前側であって上ケース211と下ケース212の間に位置する。回路基板220と表示部206とは、FPC(Flexible Printed Circuit)221を介して導通接続されている。FPC221の一端部はコネクタCを介して回路基板220と接続されている。
【0034】
反射部230は、表示部206の表示側、即ち表示光L1の出射側に位置し、到達した表示光L1をコンバイナ240に向けて反射させる。反射部230は、例えば、アルミ蒸着された樹脂成形品からなり、表示部206からの表示光L1を効率良くコンバイナ240に反射させる曲面として構成された反射面を有する(なお、
図2では、反射面を概略的に平面のように表している)。また、反射部230は、前述のように凹部212bと中ケース213の一部とによって保持されることで、その反射面が表示部206の表示面と略対向するように配置されている。表示部206が出射した表示光L1は、出射口213aを通過して反射部230に到達する。そして、反射部230で反射した表示光L1は、上ケース211の開口部211aを通過してコンバイナ240に向かう。
【0035】
コンバイナ240は、曲面を有する板状の部材であり、例えば主面(反射部230の反射面と略対向する面)に半透過反射層が成膜された透明な樹脂成型品からなるハーフミラーにより構成される。コンバイナ240は、その一端側(下側の端側)からコンバイナ240の主面(反射部230の反射面と略対向する面)の面内方向以外の方向に突出する突出部241を有する。
【0036】
本実施形態に係る突出部241は、
図2に示すように、コンバイナ240の主面のほぼ面外方向に突出しており、具体的には、視認者400の前方(コンバイナ240に対して視認者400と反対側)に向かって突出している。突出部241は、例えば2つあり、突出部241が上ケースの被取付部211bにネジや接着剤等で固定されることで、コンバイナ240は、被取付部211bに取り付けられる。つまり、突出部241が、その突出する方向(つまり前方)と直交する方向から(上側から)、上ケース211の被取付部211bに取り付けられることで、コンバイナ240は、被取付部211bに取り付けられている。
【0037】
以上のように取り付けられ、上ケース11に固定されたコンバイナ240は、その凹面242が反射部230の反射面と略対向するようになる。コンバイナ240は、
図2に示すように、反射部230で反射した後に、入射する表示光L1の光路を変更する(コンバイナ240としてハーフミラーを用いる場合は反射により表示光L1の光路を変更する)。コンバイナ240の凹面242は、表示光L1を集光する機能を有し、光を単純反射させる場合よりも、虚像を前遠方(例えば、コンバイナ240より約1m前方)に形成することのできる曲面として構成されている。コンバイナ240は、その前方位置Fに表示画像の虚像を形成するとともに、前方からの光を透過し、これにより、HUD装置200は、虚像と前方に実際に存在する外景等の双方を、視認者400に視認させることができる。
【0038】
取付部材250は、HUD装置200を車両300のダッシュボード上に取り付けるものであり、台座251と、連結部材252と、固定部材253と、を備える。
【0039】
台座251は、例えば金属板から形成されており、略矩形の平板に2つの差込リブ251aが立設されて形成されている(
図2では1つの差込リブ251aが図示されている)。2つの差込リブ251aのそれぞれには、後述するピンボルト254が挿通されるボルト孔(図示せず)が形成されている。台座251は、両面テープなどのシート状の接着部材(図示せず)を介して車両のダッシュボードと接合し、HUD装置200をダッシュボード上に配置する。
【0040】
連結部材252は、例えば硬質合成樹脂から形成され、略矩形の平板部252aと、平板部721の前側(
図1中右側)の端部に連続して形成され、内部にピンボルト254とこのピンボルト254と螺合されるナット(図示せず)とを収容する空間が形成されたスリーブ部252bと、から形成されている。平板部252aには、平面中央のやや後側寄りに下ケース212の突出部212bに対応して孔部(図示せず)が形成されており、この孔部に突出部212bが嵌入されることで、連結部材252が下ケース212の下面に突出部212bを中心として左右方向に回転可能に取り付けられる。また、スリーブ部252bには、台座251に設けられた差込リブ251aを挿入する差込スリット(図示せず)が形成されている。差込リブ251aを前記差込スリットに挿入した後、ピンボルト254をスリーブ部252bに挿入して前記ナットと螺合することによって、連結部材252がピンボルト254を中心として上下方向に回転移動可能に台座251に取り付けられる。
【0041】
固定部材253は、例えば硬質合成樹脂から形成され、略円板状であり、下ケース212の突出部212b及び連結部材252の平板部252aの下側に配設され、突出部212b及び平板部252aを下方から支持する。固定部材253は、例えば図示しないネジによって突出部212b及び連結部材252を支持した状態で固定されている。固定部材253は、突出部212b及び連結部材252を支持することによって連結部材252が配置位置から外れることを防止する。
【0042】
以上の各部によってHUD装置200が構成されている。
図3は、HUD装置200の表示例を示すものである。
図3においては、表示画像の虚像Vとして、車両情報である車速SPをデジタル表示している。
【0043】
図1に戻って、本車載システム1000において、携帯電話100が車両300内に持ち込まれて携帯電話100とHUD装置200とが接続されると、それぞれの制御部101,201は互いに無線通信インターフェース102,204を介して接続されたことを相互に認識する。なお携帯電話100は車両300に持ち込まれると、車室内の任意の場所(例えばダッシュボード上に設置されるクレードルなど)に配置される。
【0044】
次に、
図4を用いてナビゲーション機能を実行する場合の携帯電話100の制御方法について説明する。なお、以下の制御方法に係るプログラムは、ナビゲーション機能アプリケーションに含まれるものとする。
ナビゲーション機能アプリケーションが起動されると、まず制御部101は、ステップS1において、目的地までの経路に関するナビゲーション情報を文字、図形及び絵柄などからなる画像データとして作成する。ここで、「ナビゲーション情報」とは車両300を目的地まで正しく、快適に導くことを目的に作成される目的地までの走行に有用な情報であって、現在位置情報、目的地及び経路などに基づいて適宜作成される。本実施形態においては、ナビゲーション情報には、交差点などでの方向指示や車線、高速道路のインターチェンジや出口の情報などを含む経路案内情報、目的地までの距離情報及び時間情報、交通情報通信システムなどから受信する渋滞情報及び規制情報が含まれる。
次に、制御部101は、ステップS2において、HUD装置200と通信可能であるか否かを判断する。具体的には、制御部101は、無線通信インターフェース102,204を介してHUD装置200に接続されたことを認識しているか否かを判断する。制御部101は、HUD装置200と通信可能であると判断される場合には(ステップS2;Yes)、ステップS3に移行し、HUD装置200と通信可能でないと判断される場合には(ステップS2;No)、ステップS7に移行する。
制御部101は、ステップS3において、HUD装置200にナビゲーション情報を送信する条件を満たすか否かを判断する。HUD装置200にナビゲーション情報を送信する条件は、ナビゲーション情報の項目毎に適宜設定される。例えば、本実施形態において、経路案内情報をHUD装置200に送信する条件は所定の走行距離に達した場合であり、目的地までの距離情報及び時間情報をHUD装置200に送信する条件は所定時間が経過した場合であり、渋滞情報及び規制情報をHUD装置200に送信する条件はかかる情報が目的地までの経路上である場合である。制御部101は、HUD装置200にナビゲーション情報を送信する条件を満たすと判断される場合には(ステップS3;YES)、ステップS4に移行し、HUD装置200にナビゲーション情報を送信する条件を満たさないと判断される場合には(ステップS3;NO)、ステップS5に移行する。
制御部101は、ステップS4において、ステップS3においてHUD装置200に送信する条件を満たすと判断されたナビゲーション情報(画像データ)をHUD装置200に送信する。ナビゲーション情報が送信された場合のHUD装置200の表示については後で詳述する。制御部101は、ステップS4を実行した後はステップS5に移行する。
次に、制御部101は、ステップS5において、起動しているナビゲーション機能アプリケーションにおいて目的地までの経路案内を実行中であるか否かを判断する。具体的には、制御部101は、目的地が設定されていない場合や表示操作部104の操作や他のアプリケーションや機能の実行によって経路案内が中断した場合に経路案内を実行中でないと判断し、それ以外の場合は経路案内を実行中であると判断する。制御部101は、目的地までの経路案内を実行中であると判断される場合には(ステップS5;YES)、ステップS6に移行し、目的地までの経路案内を実行中でないと判断される場合には(ステップS5;NO)、ステップS7に移行する。
制御部101は、ステップS6において、起動しているナビゲーション機能アプリケーションにおいて目的地までの経路案内を実行中であることを通知する通知情報をHUD装置200に送信する。通知情報を受信した場合のHUD装置200の表示については後で詳述する。制御部101はステップS6を実行した後はステップS7に移行する。
次に、制御部101は、ステップS7において、起動しているナビゲーション機能アプリケーションについて表示操作部104の表示を更新する。表示操作部104にはナビゲーション情報のほか現在位置及び目的地までの経路を含む地図情報が表示される。
その後、制御部101は、ナビゲーション機能アプリケーションが終了するまでステップS1〜S7までの処理を繰り返し実行する。また、制御部101はナビゲーション機能アプリケーションが終了する場合は、HUD装置200との接続を切断する。
【0045】
次に、
図5を用いてHUD装置200の表示について説明する。
電源が投入されると、制御部201は、車両診断コネクタ302を介して車両側ECU301からCAN通信インターフェース203を介して車両情報を取得し、車両情報を表示部206に表示させる(
図5(a)参照)。
図5(a)においては、車両情報として車速SPがデジタル表示されている。なお、
図5は表示部206の表示画像の虚像Vを示している。
また、制御部201は、携帯電話100から無線通信インターフェース204に前記ナビゲーション情報を受信すると、受信したナビゲーション情報を表示部206の予め定められる表示領域に表示させる(
図5(b)参照)。
図5(b)においては、前記ナビゲーション情報として、交差点での進行方向を示す経路案内情報NV1が矢印状のアイコンで表示され、また、目的地までの距離情報NV2がデジタル表示されている。なお、前記ナビゲーション情報は車両情報の表示を阻害しないよう、車両情報を表示する表示領域と異なる表示領域に表示される。また、受信した前記ナビゲーション情報が複数項目である場合は予め定められる優先順位の高い項目のみを表示してもよい。
【0046】
また、制御部201は、携帯電話100から無線通信インターフェース204に前記通知情報を受信すると、ナビゲーション機能アプリケーションにおいて目的地までの経路案内を実行中であると判断して、経路案内を実行中であることを視認者400に報知する報知動作として、所定の報知画像WR1を表示部206の予め定められる表示領域に表示させる(
図5(b)、(c)参照)。本実施形態においては、報知画像WR1は「NAVI」なる文字からなる。なお、報知画像WR1は車両情報の表示を阻害しないよう、車両情報を表示する表示領域と異なる表示領域に表示される。制御部201は、携帯電話100からの前記通知情報の受信に基づいて報知画像WR1を表示させるため、
図5(c)に示すように携帯電話100から前記ナビゲーション情報が受信されない場合にも、ナビゲーション機能アプリケーションにおいて目的地までの経路案内を実行中であれば継続して報知画像WR1が表示される。したがって、視認者400は携帯電話100の表示操作部104を確認することなく、HUD装置200の表示のみで経路案内が実行されていることを確認することができる。なお、制御部201は、携帯電話100から前記通知情報が所定時間受信されない場合は、報知画像WR1を非表示とする。また、制御部201は、携帯電話100との接続が切断された場合は報知画像WR1を非表示とする。また、携帯電話100はステップS5で経路案内を実行中でないと判断される場合に(ステップS5;NO)、経路案内が実行中でない旨を通知する他の通知情報をHUD装置200に送信してもよい。この場合、HUD装置200の制御部201は携帯電話100から前記他の通知情報を受信した場合に報知画像WR1を非表示とする。
【0047】
以上のように、本実施形態に係るHUD装置200は、車両情報を表示し、また、目的地までの経路案内を行うナビゲーション機能を備えた携帯電話100と通信可能に接続される車両用表示装置であって、
前記車両情報を表示する表示部206と、
所定の報知動作を行う報知部(表示部206)と、
携帯電話100から前記目的地までの経路に関するナビゲーション情報と経路案内を実行中であることを通知する通知情報とを受信する無線通信インターフェース204と、
無線通信インターフェース204が受信した前記ナビゲーション情報を表示部206に表示させ、また、無線通信インターフェース204に前記通知情報が受信される場合に前記報知部に前記報知動作を行わせる制御部201と、を備えてなることを特徴とする。
これによれば、携帯電話100を確認することなくHUD装置200のみで携帯電話100のナビゲーション機能が正常に作動していることを判断することができ、携帯電話100からの簡易的なナビゲーション情報をHUD装置200に表示する際の利便性を向上させることが可能となる。
【0048】
また、表示部206は前記報知部を兼ね、前記報知動作として所定の報知画像WR1を表示することを特徴とする。
これによれば、HUD装置200の表示のみで携帯電話100のナビゲーション機能が正常に作動していることを判断することができ、携帯電話100からの簡易的なナビゲーション情報をHUD装置200に表示する際の利便性を向上させることが可能となる。なお、本発明の報知画像は前述のような文字による報知画像WR1に限定されるものではなく、文字、図形やマークなど種々の変更が可能である。例えば、
図6(a)に示すように、表示部206の表示部外周を囲む枠状マークWR2を表示してもよい。また、
図6(b)に示すように、通常の表示時とネガポジを反転させた反転画像WR3を表示してもよい。なお、
図6は表示部206の表示画像の虚像Vを示している。
【0049】
本実施形態に係る車載システム1000は、目的地までの経路案内を行うナビゲーション機能を備える携帯電話100と、車両情報を表示するHUD装置200とが互いに通信可能に接続される車載システムであって、
携帯端末100は、HUD装置200に前記目的地までの経路に関するナビゲーション情報と経路案内を実行中であることを通知する通知情報とを送信し、
HUD装置200は、受信した前記ナビゲーション情報を表示部206に表示させ、また、前記通知情報が受信される場合に報知部(表示部206)に所定の報知動作を行わせることを特徴とする。
これによれば、携帯電話100を確認することなく携帯電話100のナビゲーション機能が正常に作動していることを判断することができ、携帯電話100からの簡易的なナビゲーション情報をHUD装置200に表示する際の利便性を向上させることが可能となる。
【0050】
次に、
図7を用いて、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態が前述の実施形態と異なる点は、HUD装置200が報知部として発光部D1を備えてなり、発光部D1は前記報知動作として点灯あるいは点滅する点にある。なお、前述の実施形態と同一あるいは相当箇所には同一符号を付してその詳細は省略する。
【0051】
ケース体210内の反射部230よりも後側(
図7中左側)には、LEDからなる発光部D1が実装された回路基板260が配設されている。また、上ケース211の発光部D1と対向する個所には孔部211cが形成されており、発光部D1からの照明光L2が孔部211cから外部に(主に視認者400に向けて)出射されるようになっている。なお、孔部211cは透光性のカバー部材で覆われていてもよい。
【0052】
制御部201は、携帯電話100から前記通知情報を受信すると、ナビゲーション機能アプリケーションにおいて目的地までの経路案内を実行中であると判断して、経路案内を実行中であることを視認者400に報知する報知動作として、発光部D1を点灯あるいは点滅させる。これにより、HUD装置200に設けられた発光部D1からの照明光L2によって、視認者400は携帯電話100を確認することなく、経路案内が実行されていることを確認することができる。
したがって、第2の実施形態に係るHUD装置200及び車載システム1000によっても、第1の実施形態と同様に、携帯電話100を確認することなくHUD装置200のみで携帯電話100のナビゲーション機能が正常に作動していることを判断することができ、携帯電話100からの簡易的なナビゲーション情報をHUD装置200に表示する際の利便性を向上させることが可能となる。
【0053】
次に、
図8を用いて、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態が前述の実施形態と異なる点は、HUD装置200が報知部としての発光部D2と、表示部206からの表示光L1を視認者400に向けて出射するコンバイナ240と、を備え、発光部D2は、前記報知動作としてコンバイナ400に照明光L3を出射してコンバイナ400の端部を光輝させる点にある。なお、前述の実施形態と同一あるいは相当箇所には同一符号を付してその詳細は省略する。
【0054】
ケース体210内の回路基板220の上側の面上にはLEDからなる発光部D2が実装されている。また、上ケース211の被取付部211bにはコンバイナ240の後述する入射部243を含む下端部を露出させるスリット部211dが形成されている。
【0055】
コンバイナ240は、その下端側に発光部D2と対向し、発光部D2から発せられる照明光L3を受けてコンバイナ240の内部(コンバイナ240を構成する透明樹脂部の内部)に照明光L3を入射する入射部243が形成されている。さらに、コンバイナ240は、下端側を除く周縁、すなわち、上端側及び左右端側の端部に入射部243からコンバイナ240の内部に導かれた照明光L3を後側、すなわち視認者400に向けて(
図8中左側に向けて)反射して外部に出射する出射部244が形成されている。入射部243は、照明光L3をコンバイナ240の内部全体に拡散するべく、凹曲面状に形成されている。出射部244は、コンバイナ240の前面の上端及び左右端に上端が後側に位置し下端が前側に位置する、すなわち上端から下端に向かって視認者400から遠のくように傾斜する傾斜面を形成し、この傾斜面に光の反射率を高めるべくシボ加工や鏡面加工を施して、あるいは光を拡散させる拡散部材を配置してなる。
【0056】
制御部201は、携帯電話100から前記通知情報を受信すると、ナビゲーション機能アプリケーションにおいて目的地までの経路案内を実行中であると判断して、経路案内を実行中であることを視認者400に報知する報知動作として、発光部D2を点灯あるいは点滅させる。発光部D2から出射される任意の発光色の照明光L3は、入射部243からコンバイナ240の内部に導かれ、コンバイナ240の内部を拡散して出射部244で反射されて凹面242の周縁部から後側に、すなわち視認者400に向かって外部に出射される。したがって、照明光L3によってコンバイナの凹面242の周縁部が発光するような格好となる。これによって、コンバイナ50の表示画像の虚像Vが表示されない周縁部を利用して、視認者400に携帯電話100を確認することなく、経路案内が実行されていることを報知することができる。
したがって、第3の実施形態に係るHUD装置200及び車載システム1000によっても、第1の実施形態と同様に、携帯電話100を確認することなくHUD装置200のみで携帯電話100のナビゲーション機能が正常に作動していることを判断することができ、携帯電話100からの簡易的なナビゲーション情報をHUD装置200に表示する際の利便性を向上させることが可能となる。
【0057】
以上のように、本発明の実施形態を説明したが、本発明の車両用表示装置はHUD装置200に限定されるものではなく、表示部を直接視認する表示装置に適用されるものであってもよい。また、本発明は携帯電話以外の携帯端末と接続する場合についても利用できる。携帯端末の例としては、携帯電話に近似のタブレット型デバイスやポータブルインターネットデバイス、PDA(Personal Digital Assistant)などが上げられる。