特許第6197508号(P6197508)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6197508-車体側部フレーム構造 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6197508
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】車体側部フレーム構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/06 20060101AFI20170911BHJP
   B62D 31/02 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   B62D25/06 A
   B62D31/02 A
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-184323(P2013-184323)
(22)【出願日】2013年9月5日
(65)【公開番号】特開2015-51668(P2015-51668A)
(43)【公開日】2015年3月19日
【審査請求日】2016年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】沼垂 能永
(72)【発明者】
【氏名】中川 洋
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−189984(JP,U)
【文献】 実公昭59−018938(JP,Y1)
【文献】 特開2010−089754(JP,A)
【文献】 特開平08−011746(JP,A)
【文献】 実開昭51−160814(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00 − 25/08
B62D 25/14 − 29/04
B62D 31/00 − 31/02
B60J 1/00 − 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側部の上縁に車体前後方向に延設されたサイドルーフレールと、
車体上下方向に延設されると共に、その上端を前記サイドルーフレールの下部に固定されたウインドウフレームと、
その車内側に臨む側面を前記サイドルーフレールの車外側に臨む側部の少なくとも一部分及び、前記ウインドウフレームの車外側に臨む側部の少なくとも一部分に固定されるパネル部材と、を備え
前記ウインドウフレームの上端部の車外側に臨む側部は、前記サイドルーフレールの車外側に臨む側部に対して車内側にオフセットされ、
前記パネル部材は、前記サイドルーフレールとの固定部を有する上側パネル部と、前記ウインドウフレームとの固定部を有する下側パネル部とを備え、
前記上側パネル部は、前記上側パネル部の下側の一部を前記ウインドウフレームの車外側に臨む側部に対して間隔を隔てて対向させるように配置され、
前記下側パネル部は、前記上側パネル部の下端から車内側に段差状に屈曲して形成され、
前記サイドルーフレール、前記ウインドウフレーム及び前記パネル部材によって閉断面が形成される
ことを特徴とする車体側部フレーム構造。
【請求項2】
前記パネル部材は、その車内側に臨む側面を前記サイドルーフレールの車外側に臨む側部に車体前後方向に亘ってライン状に溶接され
請求項1に記載の車体側部フレーム構造。
【請求項3】
前記パネル部材は、前記ウインドウフレームの車外側に臨む側部の縦縁に沿ってライン状に溶接される
請求項1又は2に記載の車体側部フレーム構造。
【請求項4】
前記パネル部材は、その車体前後方向に延びる下端縁部がウインドウの上枠を形成するウインドウ上部パネルである
請求項1から3の何れかに記載の車体側部フレーム構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体側部フレーム構造に関し、特に、バス等の側部フレーム構造を構成するサイドルーフレールとウインドウフレームとの結合に関する。
【背景技術】
【0002】
バス等においては、車体側部の上縁に車体前後方向に延設された一対のサイドルーフレールと、上端をサイドルーフレールの下部に結合されて車体上下方向に延設された複数本のウインドウフレームと、を備えたフレーム構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−89754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、サイドルーフレールとウインドウフレームとの結合部には、車体前後方向や車体幅方向に外力(例えば、捻り力等)が作用する。そのため、サイドルーフレールとウインドウフレームとの結合力を十分に確保できなければ、車体側部フレームの剛性が低くなってしまう可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、簡素な構造で、サイドルーフレールとウインドウフレームとの結合力を効果的に確保して車体側部フレーム構造全体の剛性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明の車体側部フレーム構造は、車体側部の上縁に車体前後方向に延設されたサイドルーフレールと、車体上下方向に延設されると共に、その上端を前記サイドルーフレールの下部に固定されたウインドウフレームと、その車内側に臨む側面を前記サイドルーフレールの車外側に臨む側部の少なくとも一部分及び、前記ウインドウフレームの車外側に臨む側部の少なくとも一部分に固定されるパネル部材と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、前記パネル部材は、その車内側に臨む側面を前記サイドルーフレールの車外側に臨む側部に車体前後方向に亘ってライン状に溶接され、且つ、前記ウインドウフレームの車外側に臨む側部の縦縁に沿ってライン状に溶接されてもよい。
【0008】
また、前記ウインドウフレームの上端が、前記サイドルーフレールの下部に車内側にオフセットして固定され、前記パネル部材、前記サイドルーフレール及び前記ウインドウフレームによって閉断面が形成されてもよい。
【0009】
また、前記パネル部材は、その車体前後方向に延びる下端縁部がウインドウの上枠を形成するウインドウ上部パネルであってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の車体側部フレーム構造によれば、簡素な構造でサイドルーフレールとウインドウフレームとの結合力を効果的に確保して側部フレーム構造全体の剛性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る車体側部フレーム構造を車外側から視た模式的な分解斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る車体側部フレーム構造を車内側から視た模式的な斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る車体側部フレーム構造の(a)は車外側から視た模式的な正面図であり、(b)は模式的な縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1〜3に基づいて、本実施形態に係る車体側部フレーム構造の詳細構成について説明する。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称及び機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0013】
図1は車体側部フレーム構造10を車外側から視た分解斜視図、図2は車体側部フレーム構造10を車内側から視た斜視図、図3のうち、(a)は車体側部フレーム構造10を車外側から視た正面図であり、(b)は車体側部フレーム構造10の縦断面図である。図1,2中において、符号31はルーフ部を構成するアーチ状のルーフアーチ部材、符号32はルーフアーチ部材31の形状に沿って湾曲する平板状のルーフパネル、符号33は車体側部に配設されるサイドウインドウを示している。なお、車体側部フレーム構造10は、車体右側及び左側共に同一構造で構成されているため、以下右側の構成のみを説明する。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る車体側部フレーム構造10は、フレーム横枠を構成するサイドルーフレール11と、フレーム縦枠を構成するウインドウフレーム12と、車体外壁を構成するウインドウ上部パネル13とを備えている。
【0015】
サイドルーフレール11は、金属材料等で断面略矩形状に形成されると共に、車体側部の上縁に車体前後方向に延設されている。また、サイドルーフレール11の上面には、複数本のルーフアーチ部材31が溶接等によって固定されている。このルーフアーチ部材31の上面には、ウインドウ上部パネル13の車外側上端を覆うルーフパネル32が溶接等によって固定されている。
【0016】
ウインドウフレーム12は、金属材料等で断面略矩形状に形成されると共に、その上端をサイドルーフレール11の下面に溶接等で固定されて車体上下方向に延設されている。このウインドウフレーム12は、複数本が所定の間隔を隔てながら車体前後方向に並設されている。なお、ウインドウフレーム12の車外側に臨む上端部には、ウインドウ上部パネル13の厚みと略同一の深さの段差部12aが形成されている。また、ウインドウフレーム12のサイドルーフレール11に対する固定位置は、サイドウインドウ33の厚さ分だけオフセットされている。
【0017】
ウインドウ上部パネル13は、平板状の金属部材を断面略Z字状に屈曲して形成されており、車体外壁を構成する上側パネル部13aと、上側パネル部13aの下端から車内側に段差状に窪んだ下側パネル部13bとを有する。
【0018】
より詳しくは、図2に示すように、上側パネル部13aは、その車体上下方向の寸法を段差部12aよりも長く形成されている。また、上側パネル部13aは、その車内側の側面上縁をサイドルーフレール11の車外側の側面に車体前後方向に亘ってライン状に溶接等で固定されている(図3(a)符号A参照)。下側パネル部13bは、その車内側の側面を段差部12aの一対の縦縁に沿ってライン状に溶接等で固定されている(図3(b)符号B参照)。
【0019】
すなわち、本実施形態の車体側部フレーム構造10には、サイドルーフレール11及びウインドウフレーム12の車外側の側面と、ウインドウ上部パネル13の車内側の側面との間に車体前後方向に延びる溶接ライン及び車体上下方向に延びる一対の溶接ラインが形成される。これにより、車体前後方向の捻り力等に対してサイドルーフレール11とウインドウフレーム12とのジョイント部分の結合強度が確保される。さらに、ウインドウ上部パネル13、サイドルーフレール11及びウインドウフレーム12によって閉断面が形成されるように構成されている(図3(b)符号C参照)。これにより、車体幅方向の捻り力等に対してサイドルーフレール11とウインドウフレーム12との結合強度が確保される。
【0020】
次に、本実施形態に係る車体側部フレーム構造10による作用効果を説明する。
【0021】
本実施形態の車体側部フレーム構造10では、ウインドウ上部パネル13の車内側の上端と、サイドルーフレール11の車外側の側面とが車体前後方向に亘ってライン状に溶接固定されている。さらに、ウインドウ上部パネル13の車内側の下端と、ウインドウフレーム12の車外側における一対の縦縁とがそれぞれライン状に溶接固定されている。
【0022】
すなわち、サイドルーフレール11及びウインドウフレーム12の車外側の側面と、ウインドウ上部パネル13の車内側の側面との間に車体前後方向に延びる溶接ラインA(図3(a)参照)及び車体上下方向に延びる一対の溶接ラインB(図3(b)参照)が形成されている。
【0023】
したがって、本実施形態の車体側部フレーム構造10によれば、サイドルーフレール11及びウインドウフレーム12が、ウインドウ上部パネル13を介して車体側面上の少なくとも三ヵ所で互いに固定され、車体前後方向の外力(例えば、捻り力等)に対するジョイント部分の結合強度を確保することが可能となる。その結果、車体側部フレーム構造10全体の剛性を効果的に高めることができる。
【0024】
また、本実施形態の車体側部フレーム構造10は、ウインドウ上部パネル13、サイドルーフレール11及びウインドウフレーム12によってジョイント部分に隣接する閉断面が形成されている。
【0025】
したがって、本実施形態の車体側部フレーム構造10によれば、車体上下方向を軸とした捻り力が閉断面構造で吸収され、ジョイント部分にかかる負荷を低減することが可能となる。その結果、車体側部フレーム構造10全体の剛性を効果的に高めることができる。
【0026】
また、本実施形態の車体側部フレーム構造10では、上側パネル部13aと、下側パネル部13bとの段差がサイドウインドウ33の厚さと略同一に形成されている。すなわち、車体側面にサイドウインドウ33を取り付けると、サイドウインドウ33及び上側パネル部13aの車外側の側面が略同一平面となるように構成されている。
【0027】
したがって、本実施形態の車体側部フレーム構造10によれば、車体側部フレーム構造の剛性を確保しつつ、車体外装の外観品質を効果的に向上させることができる。
【0028】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
【0029】
例えば、ウインドウ上部パネル13と、サイドルーフレール11及びウインドウフレーム12との溶接は、ライン状に限らず、スポット等による溶接手段を採ってもよい。また、サイドルーフレール11やウインドウフレーム12の断面形状は、矩形状に限定されず、略U字状や略Z字状に形成されてもよい。この場合も、上述の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0030】
10 車体側部フレーム構造
11 サイドルーフレール
12 ウインドウフレーム
13 ウインドウ上部パネル
13a 上側パネル部
13b 下側パネル部
31 ルーフアーチ部材
32 ルーフパネル
33 サイドウインドウ
図1
図2
図3