(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
Yが、2価の炭化水素基、2価の炭化水素基と炭素原子及び水素原子以外の原子を含む連結基とを組み合わせてなる基、又は、これらの基の水素原子の一部がハロゲン原子で置換された2価の基である、請求項1に記載の着色組成物。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について詳細に説明する。
着色組成物
以下、本発明の着色組成物の構成成分について詳細に説明する。
【0019】
−(A)着色剤−
本発明の着色組成物は、着色剤として下記式(1)で表される構造単位を有する重合体を含有する。
【0021】
〔式(1)において、
R
0は、水素原子又はメチル基を示し、
Xは、ハロ基、ハロゲン化炭化水素基、又はハロゲン化炭化水素基のC−C結合間に炭素原子、水素原子若しくはハロゲン原子以外の原子を含む連結基を有する基を示し、
Yは、単結合又は2価の有機基を示し、
Z
+は、下記式(2−1)で表されるトリアリールメタン系のカチオン性発色団、下記式(2−2)で表されるトリアリールメタン系のカチオン性発色団、メチン系のカチオン性発色団、アゾ系のカチオン性発色団、ジアリールメタン系のカチオン性発色団、キノンイミン系のカチオン性発色団、アントラキノン系のカチオン性発色団、フタロシアニン系のカチオン性発色団及びキサンテン系のカチオン性発色団よりなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオン性発色団を示す。〕
【0022】
R
0は、水素原子又はメチル基のうち、メチル基が好ましい。
Xにおけるハロ基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
【0023】
Xにおけるハロゲン化炭化水素基の骨格をなす炭化水素基としては、例えば、(1)脂肪族炭化水素基、(2)脂環式炭化水素基、(3)置換基として脂環式炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基(以下、「脂環式炭化水素置換脂肪族炭化水素基」と称する)、(4)芳香族炭化水素基、(5)置換基として脂肪族炭化水素基を有する芳香族炭化水素基(以下、「脂肪族炭化水素置換芳香族炭化水素基」と称する)、(6)置換基として芳香族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基(以下、「芳香族炭化水素置換脂肪族炭化水素基」と称する)等を挙げることができる。ハロゲン化炭化水素基の骨格をなす炭化水素基としては、有機溶媒に対する溶解性の観点から、以下の特性基であることが好ましい。
【0024】
即ち、前記(1)脂肪族炭化水素基としては、アルキル基が好ましく、該アルキル基は、直鎖でも分岐鎖でもよい。アルキル基の炭素数は、1〜20であることが好ましく、特に1〜8であることが好ましい。具体的には、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル等を挙げることができる。
前記(2)脂環式炭化水素基は、2〜4環の橋かけ脂環式炭化水素基でもよい。脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜20、更に炭素数3〜12の脂環式飽和炭化水素基が好ましい。具体的には、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基等のシクロアルキル基、ノルボルニル基、ボルニル基、アダマンチル基、ビシクロオクチル基等を挙げることができる。
前記(3)脂環式炭化水素置換脂肪族炭化水素基としては、脂環式飽和炭化水素置換アルキル基が好ましく、その炭素数としては、4〜20であることが好ましく、特に6〜14であることが好ましい。具体的には、例えばシクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルプロピル基、アダマンチルメチル基、1−(1−アダマンチル)エチル基、シクロペンチルエチル基等を挙げることができる。
前記(4)芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜14、更に炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、例えばフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基、アントラセニル基等が挙げられ、中でもフェニル基が好ましい。
前記(5)脂肪族炭化水素置換芳香族炭化水素基としては、アルキル置換フェニル基が好ましく、その炭素数としては、7〜30であることが好ましく、特に7〜20であることが好ましい。具体的には、例えばトリル基、キシリル基、メシチル等を挙げることができる。
前記(6)芳香族炭化水素置換脂肪族炭化水素基としては、アラルキル基が好ましく、その炭素数としては、7〜30であることが好ましく、特に7〜20であることが好ましい。具体的には、例えばベンジル基、フェネチル基等を挙げることができる。
なお、本明細書におけるアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
【0025】
これらのうち、ハロゲン化炭化水素基の骨格をなす炭化水素基としては、(1)脂肪族炭化水素基、(3)脂環式炭化水素置換脂肪族炭化水素基、(4)芳香族炭化水素基、(5)脂肪族炭化水素置換芳香族炭化水素基又は(6)芳香族炭化水素置換脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基、脂環式飽和炭化水素置換アルキル基、フェニル基、アルキル置換フェニル基、アラルキル基がより好ましく、特にアルキル基が好ましい。
【0026】
また、Xにおいて、ハロゲン化炭化水素基中のハロゲン原子としては、着色剤の耐熱性の観点から、フッ素原子が好ましく、該フッ素原子は炭化水素基の水素原子の一部又は全部を置換してもよい。置換基としてフッ素原子を選択することにより、イオン結合力のより強い塩が形成されて耐熱性が高められると考えられる。
【0027】
Xは、ハロゲン化炭化水素基のC−C結合間に炭素原子、水素原子若しくはハロゲン原子以外の原子を含む連結基を有する基であってもよいが、炭素原子、水素原子若しくはハロゲン原子以外の原子を含む連結基としては、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−CONH−、−SO
2−等を挙げることができる。そして、段落〔0024〕でいうところの炭素数は、該連結基を構成する炭素原子を除いた部分の総炭素数を意味する。
【0028】
本発明において、着色剤の耐熱性の観点から、Xとしては、ハロゲン化炭化水素基、又はハロゲン化炭化水素基のC−C結合間に炭素原子、水素原子若しくはハロゲン原子以外の原子を含む連結基を有する基が好ましく、下記式(3)又は(4)で表される基がより好ましく、より酸性度の強い有機酸の共役塩基を形成する下記式(3)で表される基が特に好ましい。
【0030】
〔式(3)において、
R
20は、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ化アルキル基、脂環式炭化水素基、アルコキシ基、フッ化アルコキシ基、R
21COOR
22−又はR
23COOR
24CFH−を示し、
R
21及びR
23は、相互に独立に、アルキル基、脂環式炭化水素基、ヘテロアリール基又は置換若しくは非置換のアリール基を示し、
R
22及びR
24は、相互に独立に、アルカンジイル基を示し、
qは1以上の整数を示し、
「*」は結合手であることを示す。〕
【0032】
〔式(4)において、
R
25〜R
29は、相互に独立に、水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、フッ化アルキル基又はアルコキシ基を示し、
「*」は結合手であることを示す。
但し、R
25〜R
29のうち少なくとも1つは、フッ素原子又はフッ化アルキル基である。〕
【0033】
式(3)において、R
20におけるアルキル基としては、炭素数1〜20、更に炭素数1〜8、更に炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。なお、該アルキル基は、直鎖でも分岐鎖でもよい。具体例としては、前述と同様のものを挙げることができる。
また、R
20におけるフッ化アルキル基としては、炭素数1〜20、更に炭素数1〜8、更に炭素数1〜4のフッ化アルキル基が好ましい。なお、該フッ化アルキル基は、直鎖でも分岐鎖でもよい。具体例としては、前述のアルキル基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子に置換したものが挙げられ、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。
R
20における脂環式炭化水素基は、2〜4環の橋かけ脂環式炭化水素基でもよい。脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜20、更に炭素数3〜12の脂環式飽和炭化水素基が好ましい。具体例としては、前述と同様のものを挙げることができる。
R
20におけるアルコキシ基としては、炭素数1〜10、更に炭素数1〜8、更に炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましい。なお、該アルコキシ基は、直鎖でも分岐鎖でもよい。具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、iso−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシエトキシ基、3−(iso−プロピルオキシ)プロピルオキシ基等を挙げることができる。
また、R
20におけるフッ化アルコキシ基としては、炭素数1〜10、更に炭素数1〜6、更に炭素数1〜4のフッ化アルコキシ基が好ましい。なお、該フッ化アルコキシ基は、直鎖でも分岐鎖でもよい。具体例としては、前述のアルコキシ基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子に置換したものを挙げられ、特にパーフルオロアルコキシ基が好ましい。
【0034】
R
20におけるR
21COOR
22−、R
23COOR
24CFH−において、R
21及びR
23は、相互に独立に、アルキル基、脂環式炭化水素基、ヘテロアリール基又は置換若しくは非置換のアリール基を示すが、アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、アルキル基の炭素数は1〜12が好ましく、1〜8がより好ましい。具体例としては、前述と同様のものを挙げることができる。また、脂環式炭化水素基は、2〜4環の橋かけ脂環式炭化水素基でもよく、炭素数3〜20、更に炭素数3〜12の脂環式飽和炭化水素基が好ましい。ヘテロアリール基としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる1以上のヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族複素環から構成される基が好ましい。具体的には、例えばフリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、ピリジル基、キノリニル基、カルバゾリル基等を挙げることができる。アリール基としては、炭素数6〜14、更に炭素数6〜10のアリール基が好ましく、特にフェニル基が好ましい。なお、アリール基の置換基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子又はトリフルオロメチル基が挙げられ、置換基の位置及び数は任意であり、置換基を2以上有する場合、当該置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0035】
また、R
22及びR
24は、相互に独立に、アルカンジイル基を示すが、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖を有するアルカンジイル基が好ましい。具体例としては、メチレン基、エチレン基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基などが挙げられる。中でも、炭素数2〜6のアルカンジイル基が好ましく、炭素数2〜4のアルカンジイル基がより好ましい。中でも、製造のし易さの点から、エチレン基が好ましい。
【0036】
なお、qの上限は、10が好ましく、8がより好ましい。
R
20としては、フッ素原子、フッ化アルキル基、脂環式炭化水素基、フッ化アルコキシ基、R
21COOR
22−又はR
23COOR
24CFH−が好ましく、特にフッ素原子、脂環式炭化水素基、パーフルオロアルコキシ基、R
21COOCH
2CH
2−又はR
23COOCH
2CH
2CFH−が好ましい。
また、式(4)において、R
25〜R
29におけるアルキル基、フッ化アルキル基及びアルコキシ基としては、前述の式(3)のR
20におけるアルキル基、フッ化アルキル基及びアルコキシ基と同様の構成を採用することができる。但し、R
25〜R
29のうち少なくとも1つは、フッ素原子又はフッ化アルキル基であるが、R
25〜R
29のうち少なくとも3つがフッ素原子又はフッ化アルキル基であることが好ましい。
【0037】
Yにおける2価の有機基としては、2価の炭化水素基、2価の炭化水素基と炭素原子及び水素原子以外の原子を含む連結基とを組み合わせてなる基、又は、これらの基の水素原子の一部がハロゲン原子で置換された基を挙げることができる。このような有機基としては、例えば、炭素数1〜10のアルカンジイル基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数7〜20のアリーレンアルカンジイル基、又は、炭素数1〜10のアルカンジイル基及び炭素数6〜20のアリーレン基から選ばれる少なくとも1種と、−O−、−S−、−COO−、−CONR'−(R'は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。)及び−SO
2−から選ばれる少なくとも1種とを組み合わせてなる基等が挙げられる。
【0038】
アルカンジイル基の具体例としては、前述と同様のものを挙げることができる。中でも、炭素数2〜8のアルカンジイル基が好ましく、炭素数2〜6のアルカンジイル基がより好ましい。
アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、アントリル基などを挙げることができる。中でも、炭素数6〜10のアリーレン基が好ましく、特にフェニレン基が好ましい。
アリーレンアルカンジイル基とは、アリーレン基とアルカンジイル基とを組み合わせてなる2価の基である。アリーレンアルカンジイル基としては、原料の入手及び製造上の容易さの点から、炭素数7〜15のアリーレンアルカンジイル基が好ましく、炭素数7〜13のアリーレンアルカンジイル基がより好ましい。具体的には、例えばフェニレンメチレン基、フェニレンジメチレン基、フェニレントリメチレン基、フェニレンテトラメチレン基、フェニレンペンタメチレン基、フェニレンヘキサメチレン基等のフェニレンC
1-6アルカンジイル基を挙げることができる。なお、アリーレンアルカンジイル基では、オルト体、メタ体及びパラ体があるが、立体障害が少ない点から、パラ体であることが好ましい。
【0039】
また、炭素数1〜10のアルカンジイル基及び炭素数6〜20のアリーレン基から選ばれる少なくとも1種と、−O−、−S−、−COO−、−CONR'−(R'は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。)及び−SO
2−から選ばれる少なくとも1種とを組み合わせてなる基としては、炭素数1〜10のアルカンジイル基及び炭素数6〜20のアリーレン基から選ばれる少なくとも1種と、−O−、−COO−及び−SO
2−から選ばれる少なくとも1種とを組み合わせてなる基が好ましく、炭素数1〜10のアルカンジイル基及び炭素数6〜20のアリーレン基から選ばれる少なくとも1種と、−O−及び−SO
2−から選ばれる少なくとも1種とを組み合わせてなる基がより好ましい。
【0040】
次に、Z
+について説明する。
Z
+は、下記式(2−1)で表されるトリアリールメタン系のカチオン性発色団、下記式(2−2)で表されるトリアリールメタン系のカチオン性発色団、メチン系のカチオン性発色団、アゾ系のカチオン性発色団、ジアリールメタン系のカチオン性発色団、キノンイミン系のカチオン性発色団、アントラキノン系のカチオン性発色団、フタロシアニン系のカチオン性発色団及びキサンテン系のカチオン性発色団よりなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオン性発色団を示す。
なお、式(2−1)で表されるトリアリールメタン系のカチオン性発色団及び式(2−2)で表されるトリアリールメタン系のカチオン性発色団には種々の共鳴構造が存在するが、本明細書においては、各式で表される発色団に共鳴構造が存在する場合には当該式(2−1)及び(2−2)で表される発色団と同等のものとする。
【0042】
〔式(2−1)、(2−2)において、
R
1〜R
6及びR
11〜R
16は、相互に独立に、水素原子、置換若しくは非置換の炭素数1〜8のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数3〜8のシクロアルキル基、又は置換若しくは非置換のアリール基を示し、
R
7〜R
9及びR
17〜R
19は、相互に独立に、炭素数1〜8のアルキル基又は塩素原子を示し、
l、m、s、t及びuは、相互に独立に、0〜4の整数を示し、
nは、0〜6の整数を示す。
但し、l、m及びnが同時に0であることはない。〕
【0043】
R
1〜R
9及びR
11〜R
19における炭素数1〜8のアルキル基の具体例としては、前述と同様のものを挙げることができる。中でも、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
R
1〜R
6及びR
11〜R
16における炭素数3〜8のシクロアルキル基の具体例としては、前述と同様のものを挙げることができる。中でも、炭素数4〜6のシクロアルキル基が好ましく、シクロヘキシル基が特に好ましい。
R
1〜R
6及びR
11〜R
16におけるアリール基としては、炭素数6〜14、更に炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体例としては、前述と同様のものが挙げられ、中でも、フェニル基が好ましい。
R
1〜R
6及びR
11〜R
16におけるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基の置換基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子又はトリフルオロメチル基、シアノ基が挙げられ、シクロアルキル基及びアリール基は炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよい。これら置換基の具体例は、前述と同様のものを挙げることができる。なお、置換基の位置及び数は任意であり、置換基を2以上有する場合、当該置換基は同一でも異なっていてもよい。
R
7〜R
9及びR
17〜R
19としては、炭素数1〜4のアルキル基又は塩素原子が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
【0044】
式(2−1)において、1及びmとしては0〜2の整数が好ましく、nとしては0又は1が好ましい。但し、l、m及びnが同時に0であることはない。中でも、l、m、nの組合せとしては、l=1、m=0、n=0の組合せ、l=0、m=0、n=1の組合せ、l=2、m=0、n=0の組合せ、l=1、m=1、n=0の組合せ、l=1、m=1、n=1の組合せが好ましく、l=1、m=0、n=0の組合せ、l=0、m=0、n=1の組合せ、l=1、m=1、n=0の組合せがより好ましい。
式(2−2)において、sとしては0〜2の整数が好ましく、またt及びuとしては0又は1が好ましく、s、t及びuのうち1以上が1〜4の整数であることも好ましい。中でも、s、t、uの組合せとしては、s=0、t=0、u=0の組合せ、s=1、t=0、u=0の組合せ、s=2、t=0、u=0の組合せ、s=1、t=1、u=0の組合せ、s=1、t=1、u=1の組合せが好ましく、特に、s=0、t=0、u=0の組合せ、s=1、t=0、u=0の組合せ、s=1、t=1、u=0の組合せがより好ましい。
【0045】
式(2−1)で表される発色団又は式(2−2)で表される発色団としては、例えば、下記の化合物群a及び化合物群bに示す発色団を挙げることができるが、中でも、発色団a1、a2、a3、a4、a5、a6、b1、b2、b3、b4、b6が好ましく、a2、a3、a4、a5、a6、b3、b4がより好ましい。
【0048】
上記の他、式(2−1)で表されるトリアリールメタン系のカチオン性発色団として、例えば、特開2012−17425号公報に記載されている発色団を挙げることができる。
【0049】
上記メチン系発色団としては、下記式(5−1)〜(5−3)で表わされるものが好ましく、下記式(5−1)で表わされるものがより好ましい。
【0051】
〔式(5−1)〜(5−3)において、
R
31は、水素原子又はハロ基を示し、
R
32、R
33、R
34及びR
35は、相互に独立に、炭素数1〜6のアルキル基を示し、
R
36は、置換又は非置換の炭素数1〜6のアルキル基を示し、
Gは、−CH=CH−、−CH=CH−CH=、−CH=CH−NR
37−(R
37は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す)、−CH=N−NR
37−(R
37は前記と同義である)又は−N=N−NR
37−(R
37は前記と同義である)を示し、
R
aは、置換若しくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換若しくは非置換の複素環基を示す。〕
【0052】
R
aとしては、下記式(5a)〜(5h)で表される基が好ましく、下記式(5b)又は(5h)で表される基がより好ましい。
【0054】
〔式(5a)〜(5h)において、
R
38及びR
45は、相互に独立に、炭素数1〜6のアルキル基を示し、
R
39は、置換又は非置換の炭素数1〜6のアルキル基を示し、
R
40、R
42、R
43、R
44、R
47、R
48及びR
49は、相互に独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、
R
41、R
46及びR
50は、相互に独立に、水素原子、ハロ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、置換若しくは非置換の炭素数1〜6のアルキル基、ニトロ基、水酸基又はシアノ基を示す。
〕
【0055】
R
32〜R
50におけるアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。また、アルキル基の置換基としては、ハロ基、シアノ基、水酸基等が挙げられる。なお、R
31、R
41、R
46及びR
50におけるハロ基、R
41、R
46及びR
50におけるアルコキシ基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましい。
【0056】
上記式(5−1)〜(5−3)で表される発色団の代表例としては、例えば、下記の化合物群cに示す発色団を挙げることができる。
【0058】
上記アゾ系発色団としては、下記式(6−1)〜(6−6)で表わされるものが挙げられ、下記式(6−1)〜(6−5)で表わされるものが好ましく、下記式(6−1)で表わされるものがより好ましい。
【0060】
〔式(6−1)〜(6−6)において、
R
51、R
52、R
53、R
54、R
55及びR
57は、相互に独立に、置換若しくは非置換の炭素数1〜6のアルキル基を示し、
R
56及びR
60は、相互に独立に、水素原子、ハロ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ニトロ基、水酸基又はシアノ基を示し、
R
58は、炭素数1〜6のアルキル基を示し、
R
59は、4級アンモニウムを形成する基を示し、
R
bは、置換若しくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換若しくは非置換の複素環基を示す。〕
【0061】
R
59としては、−NR
61C
maH
2maN
+R
62R
63R
64(maは1〜5の整数であり、R
61は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、R
62、R
63及びR
64は相互に独立に炭素数1〜6のアルキル基を示す)、−COC
maH
2maN
+R
62R
63R
64(ma、R
62、R
63及びR
64は前記と同義である)、−C
maH
2maN
+(NH
2)R
74R
75(maは前記と同義であり、R
74及びR
75は相互に独立に炭素数1〜6のアルキル基を示す)、又は下記式(6−i)若しくは(6−ii)で表される基が好ましい。
【0063】
〔式(6−i)及び(6−ii)において、R
61及びmaは前記と同義である。〕
【0064】
R
bとしては、下記式(6a)〜(6e)で表される基、置換若しくは非置換のフェニル基が好ましく、下記式(6a)で表される基がより好ましい。なお、フェニル基の置換基としては、ハロ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基が挙げられる。
【0066】
〔式(6a)〜(6d)において、
R
65は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はベンジル基を示し、
R
66は、水素原子又は置換若しくは非置換の炭素数1〜6のアルキル基を示し、
R
67は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を示し、
R
68は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、
R
69は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、
R
70〜R
73は、相互に独立に、水素原子、ハロ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ニトロ基、水酸基又はシアノ基を示す。〕
【0067】
R
51〜R
58、R
60〜R
75におけるアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。また、アルキル基の置換基としては、ハロ基、水酸基、シアノ基、−CONH
2基等が挙げられる。
【0068】
上記式(6−1)〜(6−6)で表される発色団の代表例としては、例えば、下記の化合物群d又は化合物群eに示す発色団を挙げることができる。
【0071】
上記ジアリール系発色団としては、下記式(7−1)又は(7−2)で表わされるものが好ましく、下記式(7−2)で表わされるものがより好ましい。
【0073】
〔式(7−1)及び(7−2)において、
R
81、R
82、R
83、R
84、R
86、R
87、R
88及びR
89は、相互に独立に、炭素数1〜6のアルキル基を示し、
R
85、R
90及びR
91は、相互に独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。〕
【0074】
R
81〜R
91におけるアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
【0075】
上記式(7−1)〜(7−2)で表される発色団の代表例としては、例えば、下記の化合物群fに示す発色団を挙げることができる。
【0077】
上記キノンイミン系発色団としては、下記式(8−1)〜(8−3)で表わされるものが好ましく、下記式(8−1)又は(8−3)で表わされるものがより好ましい。
【0079】
〔式(8−1)〜(8−3)において、
R
101、R
102、R
103、R
104、R
105、R
106、R
108、R
109、R
110、R
111、R
114、R
115、R
116、R
117及びR
118は、相互に独立に、水素原子、置換若しくは非置換の炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、フェニル基又はベンジル基を示し、
R
107及びR
113は、相互に独立に、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、
R
112は、−NR
119R
120(R
119及びR
120は相互に独立に置換又は非置換の炭素数1〜6のアルキル基を示す)、水酸基、ニトロ基又はシアノ基を示し、
Qは、酸素原子又は硫黄原子を示す。〕
【0080】
R
101〜R
111、R
113〜R
120におけるアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。また、アルキル基の置換基としては、ハロ基、水酸基、シアノ基等が挙げられる。R
107及びR
113における炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基が好ましい。
【0081】
上記式(8−1)〜(8−3)で表される発色団の代表例としては、例えば、下記の化合物群gに示す発色団を挙げることができる。
【0083】
上記アントラキノン発色団としては、下記式(9−1)又は(9−2)で表わされるものが好ましく、下記式(9−1)で表わされるものがより好ましい。
【0085】
〔式(9−1)及び(9−2)において、
R
131、R
135及びR
136は、相互に独立に、水素原子、置換若しくは非置換の炭素数1〜6のアルキル基、又は置換若しくは非置換のフェニル基を示し、
R
132、R
133、R
134、R
138、R
139及びR
140は、相互に独立に、炭素数1〜6のアルキル基を示し、R
137はメチレン基又は置換若しくは非置換のアルキレン基を示す。〕
【0086】
R
131〜R
136、R
138〜R
140におけるアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。なお、アルキル基の置換基としては、ハロ基、水酸基、シアノ基等が挙げられ、またフェニル基の置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、ハロ基、水酸基、シアノ基等が挙げられる。
また、上記アルキレン基としては、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基等の炭素数2〜4のアルキレン基が好ましく、アルキレン基の置換基としては、水酸基、シアノ基又はニトロ基等を挙げることができる。
【0087】
上記式(9−1)又は(9−2)で表される発色団の代表例としては、例えば、下記の化合物群hに示す発色団を挙げることができる。
【0089】
上記フタロシアニン系発色団としては、下記式(10)で表わされるものが好ましい。
【0091】
〔式(10)において、
CuPcは、銅フタロシアニン残基を示し、
Tは、下記式(10a)又は(10b)で表される基を示す。〕
【0093】
〔式(10a)及び(10b)において、
R
151、R
152、R
153、R
154、R
155、R
156、R
157及びR
158は、相互に独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を示し、
p
1は、相互に独立に、2〜8の整数を示し、
mbは、相互に独立に、1〜5の整数を示す。〕
【0094】
上記式(10)で表される発色団の代表例としては、例えば、下記の化合物群kに示す
発色団を挙げることができる。
【0096】
前記キサンテン系発色団としては、下記式(11)で表わされるものが好ましい。
【0098】
〔式(11)において、
R
171、R
172、R
173及びR
174は、相互に独立に、水素原子、−R
178又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基(但し、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R
178、−OH、−OR
178、−SO
3H、−SO
3M、−CO
2H、−CO
2R
178、−SO
3R
178、−SO
2NHR
179又は−SO
2NR
179R
180で置換されていてもよい。)を示す。;
R
175及びR
176は、相互に独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。;
R
177は、−SO
3H、−SO
3M、−CO
2H、−CO
2R
178、−SO
3R
178、−SO
2NHR
179又は−SO
2NR
179R
180を示す。;
kは、0〜5の整数を示し、kが2以上の整数である場合、複数のR
177は、同一であっても異なっていてもよい。;
R
178は、炭素数1〜10の飽和炭化水素基(但し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、また飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又は−NR
178−で置換されていてもよい。)を示す。;
R
179及びR
180は、相互に独立に、炭素数1〜10の鎖状のアルキル基、炭素数3〜30のシクロアルキル基又は−Zを示すか、あるいはR
179及びR
180が互いに結合して形成される炭素数1〜10の置換若しくは非置換の複素環基を示す。但し、該アルキル基及びシクロアルキル基に含まれる水素原子は、水酸基、ハロゲン原子、−Z、−CH=CH
2又は−CH=CHR
178で置換されていてもよく、また該アルキル基及びシクロアルキル基に含まれるメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又は−NR
178−で置換されていてもよく、該複素環基に含まれる水素原子は、−R
178、−OH又は−Zで置換されていてもよい。;
Mは、ナトリウム原子又はカリウム原子を示す。;
Zは、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基又は炭素数5〜10の芳香族複素環基を示す。但し、該芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基に含まれる水素原子は、−OH、−R
178、−OR
178、−NO
2、−CH=CH
2、−CH=CHR
178又はハロゲン原子で置換されていてもよい。〕
【0099】
R
178における飽和炭化水素基は、炭素数が1〜10であれば、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、橋かけ構造を有していてもよい。具体的には、上記式(2)におけるR
4と同様のアルキル基の他、ノニル基、デカニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、トリシクロデカニル基を挙げることができる。飽和炭化水素基に含まれるメチレン基が酸素原子で置換された基として、例えば、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、2−エチルヘキシロキシプロピル基、メトキシヘキシル基等を挙げることができる。
【0100】
R
179及びR
180が互いに結合して形成される炭素数1〜10の置換若しくは非置換の複素環基としては、ピロール、ピリジン、インドール、イソインドール、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、フェナントリジン、アクリジン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、イソクロメン、キサンテン、チオフェン、チアントレン、フェノキサチイン、ファノチアジン等を挙げることができる。前記複素環基における置換基としては、例えば、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、アルキル基等を挙げることができる。また、Zにおける炭素数5〜10の芳香族複素環基としてはフリル基、チエニル基、ピリジル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリミジル基等を挙げることができる。
【0101】
R
171、R
172、R
173、R
174及びZにおける芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。
R
171、R
172、R
173、R
174及びR
177における−SO
3R
178としては、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、ヘキサンスルホニル基、デカンスルホニル基等が挙げられる。また、−CO
2R
178としては、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、メトキシプロピルオキシカルボニル基等が挙げられる。更に、−SO
2NHR
179、−SO
2NR
179R
180におけるR
179、R
180としては、炭素数6〜8の分枝鎖状のアルキル基、炭素数5〜7の脂環式炭化水素基、アリル基、炭素数8〜10のアラルキル基、炭素数2〜8の水酸基含有アルキル基、炭素数2〜8のアルコキシ基含有アルキル基、アリール基が好ましい。
【0102】
R
171、R
172、R
173及びR
174としては、炭素数が1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数が1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基が更に好ましい。
R
175及びR
176としては、水素原子又は炭素数が1〜6のアルキル基が好ましく、該アルキル基の炭素数は1〜4がより好ましく、メチル基又はエチル基が更に好ましい。
R
177としては、−SO
3H、−SO
3M、−CO
2H、又は−CO
2R
178が好ましく、−CO
2H、又は−CO
2R
178がより好ましい。−CO
2R
178におけるR
178は、炭素数が1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数が1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基が更に好ましい。
kは、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
【0103】
上記式(11)で表されるカチオンの代表例としては、例えば、下記式で表されるカチオンを挙げることができる。
【0105】
中でも、耐熱性の観点から、Z
+としては式(2−1)で表されるトリアリールメタン系のカチオン性発色団、式(2−2)で表されるトリアリールメタン系のカチオン性発色団、メチン系のカチオン性発色団、アゾ系のカチオン性発色団、ジアリールメタン系のカチオン性発色団、キノンイミン系のカチオン性発色団、キサンテン系のカチオン性発色団が好ましく、式(2−1)で表されるトリアリールメタン系のカチオン性発色団、式(2−2)で表されるトリアリールメタン系のカチオン性発色団、メチン系のカチオン性発色団、キサンテン系のカチオン性発色団が更に好ましい。
発色団の種類や構造により耐熱性が異なる理由は定かではない。本発明者らは、共鳴構造が存在する発色団は、式(1)で表される構造単位と相互作用するので安定化を受けやすく、耐熱性が高まるものと考えている。
【0106】
本着色剤は、式(1)で表される構造単位以外の構造単位(以下、「他の構造単位」とも称する。)を有していても良く、このような構造単位の例としては、例えば、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位、N−位置換マレイミドに由来する構造単位、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位、ビニルエーテルに由来する構造単位、重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマーに由来する構造単位等を挙げることができる。
【0107】
前記1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位は、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、p−ビニル安息香酸の如きカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体により得ることができる。
【0108】
また、N−位置換マレイミドに由来する構造単位は、例えば、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドの如きN−位置換マレイミドにより得ることができる。
また、芳香族ビニル化合物は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、アセナフチレンの如き芳香族ビニル化合物により得ることができる。
【0109】
また、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングルコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕オキセタン、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕−3−エチルオキセタンの如き(メタ)アクリル酸エステルにより得ることができる。
【0110】
また、ビニルエーテルに由来する構造単位は、例えば、シクロヘキシルビニルエーテル、イソボルニルビニルエーテル、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イルビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカニルビニルエーテル、3−(ビニルオキシメチル)−3−エチルオキセタンの如きビニルエーテルにより得ることができる。
また、重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマーに由来する構造単位は、例えば、ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサンの如き重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマーにより得ることができる。
【0111】
中でも、分散性の観点から、本着色剤は、他の構造単位として(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を有することが好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を有することがより好ましい。
【0112】
本着色剤が他の構造単位を有する場合、他の構造単位の共重合割合は、分散性の観点から、以下の態様が好ましい。
即ち、本着色剤の全構造単位中の式(1)で表される構造単位の割合pと、他の構造単位の割合rは、モル比で、p/r=1/0.5〜1/19であることが好ましく、p/r=1/1.5〜1/9がより好ましく、p/r=1/2〜1/7が更に好ましい。
【0113】
本着色剤は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す。)(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、通常、1,000〜100,000、好ましくは3,000〜50,000である。このような態様とすることで、耐熱性、被膜特性、電気特性、パターン形状、解像度を良好にすることができる。
【0114】
また、本発明における本着色剤の重量平均分子量(Mw)と、数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。なお、ここでいう、Mnは、GPC(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量である。
【0115】
本着色剤は、公知の方法により製造することが可能であるが、例えば、特開2012−194466号公報の実施例と同様の方法により製造することができる。このようにして得られた本着色剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等を始めとする種々の有機溶媒に可溶であり、また優れた耐溶剤性を有する。
【0116】
本発明において、本着色剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0117】
本発明の着色組成物は、(A)着色剤として、更に他の着色剤を含有することができる。この場合、本着色剤の含有割合は、全着色剤中、好ましくは0.1〜99質量%、より好ましくは1〜80質量%、更に好ましくは10〜70質量%であり、特に好ましくは20〜60質量%である。
【0118】
他の着色剤としては、特に限定されるものではなく、用途に応じて色彩や材質を適宜選択することができ、本着色剤以外の顔料、染料及び天然色素の何れをも使用することができるが、輝度及び色純度の高い画素を得るという意味においては、有機顔料、有機染料が好ましく、有機顔料がより好ましい。
【0119】
上記有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメントに分類されている化合物が挙げられるが、中でも、特開2001−081348号公報、特開2010−026334号公報、特開2010−191304号公報、特開2010−237384号公報、特開2010−237569号公報、特開2011−006602号公報、特開2011−145346号公報等に記載のレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー80、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー211、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントバイオレット23等のレーキ顔料以外の有機顔料が好ましい。また、レーキ顔料の中では、トリアリールメタン系レーキ顔料、キサンテン系レーキ顔料、アゾ系レーキ顔料が好ましく、トリアリールメタン系レーキ顔料およびキサンテン系レーキ顔料がより好ましい。
【0120】
本発明において、他の着色剤として顔料を使用する場合、顔料を、再結晶法、再沈殿法、溶剤洗浄法、昇華法、真空加熱法又はこれらの組み合わせにより精製して使用することもできる。また、顔料は、所望により、その粒子表面を樹脂で改質して使用してもよい。顔料の粒子表面を改質する樹脂としては、例えば、特開2001−108817号公報に記載のビヒクル樹脂、又は市販の各種の顔料分散用の樹脂が挙げられる。カーボンブラック表面の樹脂被覆方法としては、例えば、特開平9−71733号公報、特開平9−95625号公報、特開平9−124969号公報等に記載の方法を採用することができる。また、有機顔料は、いわゆるソルトミリングにより、一次粒子を微細化して使用してもよい。ソルトミリングの方法としては、例えば、特開平08−179111号公報に開示されている方法を採用することができる。
【0121】
本発明において、他の着色剤として顔料を使用する場合、更に公知の分散剤及び分散助剤を含有せしめることもできる。公知の分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系分散剤、ポリエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪酸エステル系分散剤、ポリエステル系分散剤、アクリル系分散剤等を、分散助剤としては顔料誘導体等を挙げることができる。
【0122】
このような分散剤は商業的に入手することができ、例えば、アクリル系分散剤として、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001、BYK−LPN6919、BYK−LPN21116、BYK−LPN21324(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ウレタン系分散剤として、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−165、Disperbyk−167、Disperbyk−170、Disperbyk−182、Disperbyk−2164(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ソルスパース76500(ルーブリゾール(株)社製)、ポリエチレンイミン系分散剤として、ソルスパース24000(ルーブリゾール(株)社製)、ポリエステル系分散剤として、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB880、アジスパーPB881(以上、味の素ファインテクノ(株)社製)等を挙げることができる。
【0123】
また、上記顔料誘導体としては、具体的には、銅フタロシアニン、ジケトピロロピロール、キノフタロンのスルホン酸誘導体等を挙げることができる。
【0124】
本発明において他の着色剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0125】
(A)着色剤の含有割合は、耐熱性及び耐溶剤性の向上、移染性抑制、並びに輝度が高く色純度に優れる画素、あるいは遮光性に優れるブラックマトリックス、ブラックスペーサーを形成する点から、通常、着色組成物の固形分中に5〜70質量%、好ましくは5〜60質量%である。ここで固形分とは、後述する溶媒以外の成分である。
【0126】
−(B)バインダー樹脂−
本発明の着色組成物には、バインダー樹脂(但し、前記式(1)で表される構造単位を有する重合体を除く。)を含有せしめることができる。これにより、着色組成物のアルカリ可溶性、基板への結着性、保存安定性等を高めることができる。バインダー樹脂としては、前記式(1)で表される構造単位を含む重合体に該当しない限り特に限定されるものではないが、カルボキシル基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を有する樹脂であることが好ましい。中でも、カルボキシル基を有する重合体(以下、「カルボキシル基含有重合体」という。)が好ましく、例えば、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b1)」という。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b2)」という。)との共重合体を挙げることができる。
【0127】
不飽和単量体(b1)としては、前記カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と同様のものを挙げることができる。また、不飽和単量体(b1)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0128】
また、不飽和単量体(b2)としては、例えば、N−位置換マレイミド、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルエーテル、重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー等を挙げることができ、これらの具体例としては、前述と同様のものを挙げることができる。また、不飽和単量体(b2)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0129】
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)の共重合体において、該共重合体中の不飽和単量体(b1)の共重合割合は、好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。このような範囲で不飽和単量体(b1)を共重合させることにより、アルカリ現像性及び保存安定性に優れた着色組成物を得ることができる。
【0130】
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)の共重合体の具体例としては、例えば、特開平7−140654号公報、特開平8−259876号公報、特開平10−31308号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−174224号公報、特開平11−258415号公報、特開2000−56118号公報、特開2004−101728号公報等に開示されている共重合体を挙げることができる。
【0131】
また、本発明においては、例えば、特開平5−19467号公報、特開平6−230212号公報、特開平7−207211号公報、特開平09−325494号公報、特開平11−140144号公報、特開2008−181095号公報等に開示されているように、側鎖に(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するカルボキシル基含有重合体を、バインダー樹脂として使用することもできる。
【0132】
本発明におけるバインダー樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す。)(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、通常、1,000〜100,000、好ましくは3,000〜50,000である。このような態様とすることで、耐熱性、被膜特性、電気特性、パターン形状、解像度を良好にすることができる。
【0133】
また、本発明におけるバインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)と、数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。なお、ここでいう、Mnは、GPC(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量である。
【0134】
本発明におけるバインダー樹脂は、公知の方法により製造することができるが、例えば、特開2003−222717号公報、特開2006−259680号公報、国際公開第07/029871号パンフレット等に開示されている方法により、その構造やMw、Mw/Mnを制御することもできる。
【0135】
本発明において、バインダー樹脂は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0136】
本発明において、バインダー樹脂の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、通常、10〜1,000質量部、好ましくは20〜500質量部、より好ましくは50〜350質量部、更に好ましくは100〜250質量部である。このような態様とすることで、耐熱性、耐溶剤性、アルカリ現像性、着色組成物の保存安定性、色度特性を良好にすることができる。また、移染性を抑制することができる。
【0137】
−(C)重合性化合物−
本発明において重合性化合物とは、2個以上の重合可能な基を有する化合物をいう。重合可能な基としては、例えば、エチレン性不飽和基、オキシラニル基、オキセタニル基、N−アルコキシメチルアミノ基等を挙げることができる。本発明において、重合性化合物としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、又は2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物が好ましい。
【0138】
2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0139】
ここで、脂肪族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの如き2価の脂肪族ポリヒドロキシ化合物;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールの如き3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物を挙げることができる。上記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレート等を挙げることができる。上記多官能イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。酸無水物としては、例えば、無水こはく酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸の如き二塩基酸の無水物、無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の如き四塩基酸二無水物を挙げることができる。
【0140】
また、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、特開平11−44955号公報の段落〔0015〕〜〔0018〕に記載されている化合物を挙げることができる。上記アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたイソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0141】
また、2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物としては、例えば、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造、ウレア構造を有する化合物等を挙げることができる。なお、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造とは、1以上のトリアジン環又はフェニル置換トリアジン環を基本骨格として有する化学構造をいい、メラミン、ベンゾグアナミン又はそれらの縮合物をも含む概念である。2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物の具体例としては、N,N,N',N',N'',N''−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)グリコールウリル等を挙げることができる。
【0142】
これらの重合性化合物のうち、3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート、N,N,N',N',N'',N''−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミンが好ましい。3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレートの中では、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレートの中では、ペンタエリスリトールトリアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物が、着色層の強度が高く、着色層の表面平滑性に優れ、かつ未露光部の基板上及び遮光層上に地汚れ、膜残り等を発生し難い点で特に好ましい。また、耐熱性及び耐溶剤性を向上させ、移染性を抑制することができる。
本発明において、(C)重合性化合物は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0143】
本発明における(C)重合性化合物の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、10〜1,000質量部が好ましく、更に20〜700質量部、更に100〜500質量部、特に200〜400質量部が好ましい。このような態様とすることで、耐熱性、耐溶剤性、硬化性、アルカリ現像性を良好にすることができる。また、移染性も抑制することができる。
【0144】
−光重合開始剤−
本発明の着色組成物には、光重合開始剤を含有せしめることができる。これにより、着色組成物に感放射線性を付与することができる。本発明に用いる光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、上記重合性化合物の重合を開始しうる活性種を発生する化合物である。
【0145】
このような光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物等を挙げることができる。
【0146】
本発明において、光重合開始剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。光重合開始剤としては、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物の群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0147】
本発明における好ましい光重合開始剤のうち、チオキサントン系化合物の具体例としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等を挙げることができる。
【0148】
また、上記アセトフェノン系化合物の具体例としては、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等を挙げることができる。
【0149】
また、上記ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール等を挙げることができる。
【0150】
なお、光重合開始剤としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度を改良することができる点で好ましい。ここでいう「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール等のメルカプタン系水素供与体、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系水素供与体を挙げることができる。本発明において、水素供与体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組み合わせて使用することが、さらに感度を改良することができる点で好ましい。
【0151】
また、上記トリアジン系化合物の具体例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン系化合物を挙げることができる。
【0152】
また、O−アシルオキシム系化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。O−アシルオキシム系化合物の市販品としては、NCI−831、NCI−930(以上、株式会社ADEKA製)等を使用することもできる。
【0153】
本発明において、アセトフェノン系化合物等のビイミダゾール系化合物以外の光重合開始剤を用いる場合には、増感剤を併用することもできる。このような増感剤としては、例えば、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等を挙げることができる。
【0154】
本発明において、光重合開始剤の含有量は、(C)重合性化合物100質量部に対して、0.01〜120質量部が好ましく、特に1〜100質量部が好ましい。このような態様とすることで、耐熱性、耐溶剤性、硬化性、被膜特性を良好にすることができる。また、移染性も抑制することができる。
【0155】
−溶媒−
本発明の着色組成物は、上記(A)及び(C)成分、並びに任意的に加えられる他の成分を含有するものであるが、通常、溶媒を配合して液状組成物として調製される。
上記溶媒としては、着色組成物を構成する(A)及び(C)成分や他の成分を分散又は溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有するものである限り、適宜に選択して使用することができる。
【0156】
このような溶媒のうち、例えば、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
【0157】
乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール等の(シクロ)アルキルアルコール類;
ジアセトンアルコール等のケトアルコール類;
【0158】
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;
【0159】
プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等のジアセテート類;
3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート等のアルコキシカルボン酸エステル類;
酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド又はラクタム類
等を挙げることができる。
【0160】
これらの溶媒のうち、溶解性、顔料分散性、塗布性等の観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸エチル等が好ましい。
本発明において、溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0161】
溶媒の含有量は、特に限定されるものではないが、着色組成物の溶媒を除いた各成分の合計濃度が、5〜50質量%となる量が好ましく、10〜40質量%となる量がより好ましい。このような態様とすることにより、分散性、安定性の良好な着色剤分散液、並びに塗布性、安定性の良好な着色組成物を得ることができる。
【0162】
−添加剤−
本発明の着色組成物は、必要に応じて、種々の添加剤を含有することもできる。
添加剤としては、例えば、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリ(フロオロアルキルアクリレート)類等の高分子化合物;フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール等の残渣改善剤;こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の現像性改善剤等を挙げることができる。
【0163】
着色硬化膜及びその形成方法
本発明の着色硬化膜は、本発明の着色組成物を用いて形成されたものであり、具体的には、表示素子や固体撮像素子に用いられる各色画素、ブラックマトリックス、ブラックスペーサー等を意味する。
【0164】
以下、表示素子や固体撮像素子を構成するカラーフィルタに用いられる着色硬化膜及びその形成方法について説明する。
カラーフィルタを製造する方法としては、第一に次の方法が挙げられる。まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するように遮光層(ブラックマトリックス)を形成する。次いで、この基板上に、例えば、青色の本発明の感放射線性着色組成物の液状組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去する。その後、ポストベークすることにより、青色の画素パターン(着色硬化膜)が所定の配列で配置された画素アレイを形成する。
【0165】
次いで、緑色又は赤色の各感放射線性着色組成物を用い、上記と同様にして、各感放射線性着色組成物の塗布、プレベーク、露光、現像及びポストベークを行って、緑色の画素アレイ及び赤色の画素アレイを同一基板上に順次形成する。これにより、青色、緑色及び赤色の三原色の画素アレイが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
【0166】
上記ブラックマトリックスは、スパッタや蒸着により成膜したクロム等の金属薄膜を、フォトリソグラフィー法を利用して所望のパターンとすることにより形成することができるが、黒色の着色剤が分散された感放射線性着色組成物を用いて、上記画素の形成の場合と同様にして形成することもできる。
【0167】
カラーフィルタを形成する際に使用される基板としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。
【0168】
感放射線性着色組成物を基板に塗布する際には、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法(スリット塗布法)、バー塗布法等の適宜の塗布法を採用することができるが、特に、スピンコート法、スリットダイ塗布法を採用することが好ましい。
【0169】
プレベークは、通常、減圧乾燥と加熱乾燥を組み合わせて行われる。減圧乾燥は、通常50〜200Paに到達するまで行う。また、加熱乾燥の条件は、通常70〜110℃で1〜10分程度である。
【0170】
塗布厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.6〜8μm、好ましくは1.2〜5μmである。
【0171】
画素及びブラックマトリックスから選ばれる少なくとも1種を形成する際に使用される放射線の光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、XeClエキシマーレーザー、窒素レーザー等のレーザー光源等を挙げることができる。露光光源として、紫外線LEDを使用することもできる。波長は、190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
【0172】
放射線の露光量は、一般的には10〜10,000J/m
2が好ましい。
また、上記アルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の水溶液が好ましい。
【0173】
アルカリ現像液には、例えば、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。現像条件は、常温で5〜300秒が好ましい。
【0174】
ポストベークの条件は、通常180〜280℃で10〜60分程度である。
このようにして形成された画素の膜厚は、通常0.5〜5μm、好ましくは1.0〜3μmである。
【0175】
また、カラーフィルタを製造する第二の方法として、特開平7−318723号公報、特開2000−310706号公報等に開示されている、インクジェット方式により各色の画素を得る方法を採用することができる。この方法においては、まず、基板の表面上に、遮光機能も兼ねた隔壁を形成する。次いで、形成された隔壁内に、例えば、青色の熱硬化性着色組成物の液状組成物を、インクジェット装置により吐出したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させる。次いで、この塗膜を必要に応じて露光したのち、ポストベークすることにより硬化させ、青色の画素パターンを形成する。
【0176】
次いで、緑色又は赤色の各熱硬化性着色組成物を用い、上記と同様にして、緑色の画素パターン及び赤色の画素パターンを同一基板上に順次形成する。これにより、青色、緑色及び赤色の三原色の画素パターンが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
【0177】
なお、隔壁は、遮光機能のみならず、区画内に吐出された各色の熱硬化性着色組成物が混色しないための機能も果たしているため、上記した第一の方法で使用されるブラックマトリックスに比べ、膜厚が厚い。したがって、隔壁は、通常、黒色感放射線性組成物を用いて形成される。
カラーフィルタを形成する際に使用される基板や放射線の光源、また、プレベークやポストベークの方法や条件は、上記した第一の方法と同様である。このようにして、インクジェット方式により形成された画素の膜厚は、隔壁の高さと同程度である。
【0178】
このようにして得られた画素パターン上に、必要に応じて保護膜を形成した後、透明導電膜をスパッタリングにより形成する。透明導電膜を形成した後、更にスペーサーを形成してカラーフィルタとすることもできる。スペーサーは、通常、感放射線性組成物を用いて形成されるが、遮光性を有するスペーサー(ブラックスペーサー)とすることもできる。この場合、黒色の着色剤が分散された感放射線性着色組成物が用いられるが、本発明の着色組成物は、かかるブラックスペーサーの形成にも好適に使用することができる。
【0179】
本発明の感放射線性着色組成物は、上記カラーフィルタに用いられる各色画素、ブラックマトリックス、ブラックスペーサー等のいずれの着色硬化膜の形成においても、好適に用いることができる。
このようにして形成された本発明の着色硬化膜を含むカラーフィルタは、輝度及び色純度が極めて高いため、カラー液晶表示素子、カラー撮像管素子、カラーセンサー、有機EL表示素子、電子ペーパー等に極めて有用である。なお、後述する表示素子は、本発明の感放射線性着色組成物を用いて形成された着色硬化膜を少なくとも1以上具備するものであればよい。
【0180】
表示素子
本発明の表示素子は、本発明の着色硬化膜を具備するものである。表示素子としては、カラー液晶表示素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等を挙げることができる。
本発明の着色硬化膜を具備するカラー液晶表示素子は、透過型でも反射型でもよく、適宜の構造を採ることができる。例えば、カラーフィルタを、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板とは別の基板上に形成して、駆動用基板とカラーフィルタを形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造を採ることができる。また、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板の表面上にカラーフィルタを形成した基板と、ITO(錫をドープした酸化インジュウム)電極あるいはIZO(酸価インジュウムと酸化亜鉛との混合物)電極を形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造を採ることもできる。後者の構造は、開口率を格段に向上させることができ、明るく高精細な液晶表示素子が得られるという利点を有する。なお、後者の構造を採用する場合、ブラックマトリックスやブラックスペーサーは、カラーフィルタを形成した基板側、並びにITO電極あるいはIZO電極を形成した基板側のどちらに形成されていても良い。
【0181】
本発明の着色硬化膜を具備するカラー液晶表示素子は、冷陰極蛍光管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)の他、白色LEDを光源とするバックライトユニットを具備することができる。白色LEDとしては、例えば、赤色LEDと緑色LEDと青色LEDを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色LEDと緑色蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDとYAG系蛍光体の混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと橙色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、紫外線LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体と青色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED等を挙げることができる。
【0182】
本発明の着色硬化膜を具備するカラー液晶表示素子には、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、IPS(In−Planes Switching)型、VA(Vertical Alignment)型、OCB(Optically Compensated Birefringence)型等の適宜の液晶モードが適用できる。
【0183】
また、本発明の着色硬化膜を具備する有機EL表示素子は、適宜の構造をとることが可能であり、例えば、特開平11−307242号公報に開示されている構造を挙げることができる。
また、本発明の着色硬化膜を具備する電子ペーパーは、適宜の構造をとることが可能であり、例えば、特開2007−41169号公報に開示されている構造を挙げることができる。
【実施例】
【0184】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0185】
<着色剤の合成>
合成例1
(重合体(1)の合成)
冷却管を取り付けた反応容器にp−(ビニルフェニル)トリフルオロメタンスルホニルイミド酸トリエチルアミン塩5.46g、メタクリル酸メチル4.51g、α−チオグリセロール0.130gを加え、シクロヘキサノン20gに溶解させた。この溶液を窒素気流下、撹拌しながら100℃に加熱した。同温度で撹拌しながら、α, α'−アゾビスイソブチロニトリル98.0mgをシクロヘキサノン10.4gに溶解させた溶液を30分かけて滴下し、滴下終了後さらに同温度で3時間撹拌を続けた。その後反応溶液を室温まで冷却した後、アセトン60gを加えて均一な溶液とし、これをヘキサン1.1Lに滴下した。生成した析出物を濾取し、ヘキサンで洗浄した。得られた固体を50℃にて減圧乾燥して、下記構造式で表わされる重合体を8.14g得た。得られた重合体はMwが7,800、Mnが3,600であり、
1H−NMR分析によりpとrの割合がモル比(p/r)で1/2.2であることを確認した。これを重合体(1)とする。
【0186】
【化29】
【0187】
(重合体Aの合成)
前記の重合体(1)2.0gをアセトン40mLに溶解した。次に、下記スキームに示すように、重合体(1)の共重合比より算出される、p−(ビニルフェニル)トリフルオロメタンスルホニルイミド酸トリエチルアミン塩由来の構成単位のモル数に対して、当モル量の化合物(1)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、反応溶液を減圧下濃縮して得られた残渣に対し、イオン交換水200mLを加えて生じる析出物を濾取し、水洗した。得られた固体を50℃で減圧乾燥して、下記構造式で表される重合体Aを2.54g得た。重合体Aは本着色剤に相当する。
【0188】
【化30】
【0189】
合成例2
(重合体(2)の合成)
重合体(1)の合成において、p−(ビニルフェニル)トリフルオロメタンスルホニルイミド酸トリエチルアミン塩に代えて、p−スチレンスルホン酸テトラエチルアンモニウム塩を用いた以外は、合成例1と同様にして、下記構造式で表される重合体(2)を8.29g得た。得られた重合体(2)はMwが8,800、Mnが4,300であり、
1H−NMR分析により、pとrの割合がモル比(p/r)で1/2.8であることを確認した。
【0190】
【化31】
【0191】
(重合体Bの合成)
重合体Aの合成において、下記スキームに示すように、重合体(1)に代えて重合体(2)を用いた以外は、合成例1と同様にして、下記構造式で表される重合体Bを2.50g得た。重合体Bは本着色剤ではない。
【0192】
【化32】
【0193】
合成例3
(重合体(3)の合成)
冷却管を取り付けた反応容器にp−(ビニルフェニル)ノルマルノナフルオロブタンスルホニルイミド酸トリエチルアミン塩4.55g、メタクリル酸メチル5.41g、α−チオグリセロール0.130gを加え、シクロヘキサノン20gに溶解させた。この溶液を窒素気流下、撹拌しながら100℃に加熱した。同温度で撹拌しながら、α, α'−アゾビスイソブチロニトリル98.0mgをシクロヘキサノン10.4gに溶解させた溶液を30分かけて滴下し、滴下終了後さらに同温度で3時間撹拌を続けた。その後反応溶液を室温まで冷却した後、アセトン60gを加えて均一な溶液とし、これをヘキサン1.1Lに滴下した。生成した析出物を濾取し、ヘキサンで洗浄した。得られた固体を50℃にて減圧乾燥して、下記構造式で表わされる重合体を8.02g得た。得られた重合体はMwが7,500、Mnが3,300であり、
1H−NMR分析によりpとrの割合がモル比(p/r)で1/2.6であることを確認した。これを重合体(3)とする。
【0194】
【化33】
【0195】
(重合体Cの合成)
重合体Aの合成において、下記スキームに示すように、重合体(1)に代えて重合体(3)を用いた以外は、合成例1と同様にして、下記構造式で表される重合体Cを2.43g得た。重合体Cは本着色剤に相当する。
【0196】
【化34】
【0197】
合成例4
(重合体(4)の合成)
冷却管を取り付けた反応容器に下記に示す化合物(2)6.11g、メタクリル酸メチル3.85g、α−チオグリセロール0.130gを加え、シクロヘキサノン20gに溶解させた。この溶液を窒素気流下、撹拌しながら100℃に加熱した。同温度で撹拌しながら、α, α'−アゾビスイソブチロニトリル98.0mgをシクロヘキサノン10.4gに溶解させた溶液を30分かけて滴下し、滴下終了後さらに同温度で3時間撹拌を続けた。その後反応溶液を室温まで冷却した後、アセトン60gを加えて均一な溶液とし、これをヘキサン1.1Lに滴下した。生成した析出物を濾取し、ヘキサンで洗浄した。得られた固体を50℃にて減圧乾燥して、下記構造式で表わされる重合体を8.25g得た。得られた重合体はMwが8,000、Mnが4,100であり、
1H−NMR分析によりpとrの割合がモル比(p/r)で1/1.9であることを確認した。これを重合体(4)とする。
【0198】
【化35】
【0199】
(重合体Dの合成)
重合体Aの合成において、下記スキームに示すように、重合体(1)に代えて重合体(4)を用いた以外は、合成例1と同様にして、下記構造式で表される重合体Dを2.65g得た。重合体Dは本着色剤に相当する。
【0200】
【化36】
【0201】
合成例5〜15
(重合体E〜Oの合成)
重合体Aの合成において、表1に示す原料の組み合わせで反応を行った以外は、合成例1と同様にして、重合体E〜Oを得た。重合体E〜Oはいずれも本着色剤に相当する。
【0202】
【表1】
【0203】
なお、原料として用いたC.I.番号が付された化合物の構造は以下の通りである。
【0204】
【化37】
【0205】
合成例16
撹拌子を入れた100mL三角フラスコに、下記式で表される化合物(1)5.21g、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム4.31gを仕込み、クロロホルム50mL、イオン交換水25mLを添加して室温にて約2時間撹拌した。その後水層を分離除去し、有機層をイオン交換水で2回洗浄した。有機層を減圧下にて濃縮後、残渣を50℃にて12時間減圧乾燥することにより、下記構造式で表される化合物7.42gを得た。得られた化合物を染料Aとする。染料Aは本着色剤ではない。
【0206】
【化38】
【0207】
調製例1〜16
得られた重合体A〜O及び染料Aと、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとを表2のように混合し、重合体溶液又は染料溶液を調製した。表2においては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをPGMEAと略記した。
【0208】
【表2】
【0209】
調製例17
着色剤としてC.I.ピグメントグリーン58を15質量部、分散剤としてBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)12.5質量部(固形分濃度40質量%)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート72.5質量部を用いて、ビーズミルにより処理して、顔料分散液(a−1)を調製した。
【0210】
調製例18
着色剤としてC.I.ピグメントイエロー138を15質量部、分散剤としてBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)12.5質量部(固形分濃度40質量%)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート72.5質量部を用いて、ビーズミルにより処理して、顔料分散液(a−2)を調製した。
【0211】
<バインダー樹脂の合成>
合成例17
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部を仕込んで窒素置換した。80℃に加熱して、同温度で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部、メタクリル酸20質量部、スチレン10質量部、ベンジルメタクリレート5質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート23質量部、N−フェニルマレイミド12質量部、こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)15質量部及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6質量部の混合溶液を1時間かけて滴下し、この温度を保持して2時間重合した。その後、反応溶液の温度を100℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、バインダー樹脂溶液(固形分濃度33質量%)を得た。得られたバインダー樹脂は、Mwが12,200、Mnが6,500であった。このバインダー樹脂を「バインダー樹脂(B1)」とする。
【0212】
移染性評価用の着色組成物の調製
調製例19
(A)着色剤として顔料分散液(a―1)30.5質量部、顔料分散液(a−2)25.0質量部、(B)バインダー樹脂としてバインダー樹脂(B1)溶液26.3質量部、(C)重合性化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(日本化薬株式会社製、商品名KAYARAD DPHA)を9.9質量部、光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(商品名イルガキュア369、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)を1.8質量部及びNCI−930(株式会社ADEKA製)0.1質量部、フッ素系界面活性剤としてメガファックF−554(DIC株式会社製)0.05質量部、並びに溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを混合して、固形分濃度20質量%の緑色着色組成物(G)を調製した。
【0213】
<着色組成物の調製及び評価>
実施例1
(A)着色剤として重合体溶液(A−1)7.2質量部、(B)バインダー樹脂としてバインダー樹脂(B1)溶液9.9質量部、(C)重合性化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(日本化薬株式会社製、商品名KAYARAD DPHA)を15.4質量部、光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(商品名イルガキュア369、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)を1.8質量部及びNCI−930(株式会社ADEKA製)0.1質量部、フッ素系界面活性剤としてメガファックF−554(DIC株式会社製)0.05質量部、並びに溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを混合して、固形分濃度20質量%の着色組成物(S−1)を調製した。
【0214】
耐熱性の評価
着色組成物(S−1)を、ナトリウムイオンの溶出を防止するSiO
2膜が表面に形成されたソーダガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後、90℃のホットプレートで2分間プレベークを行って、膜厚2.5μmの塗膜を形成した。
次いで、この基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して、各塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を400J/m
2の露光量で露光した。その後、これらの基板に対して、23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm
2(ノズル径1mm)で吐出することにより、90秒間シャワー現像を行った。その後、この基板を超純水で洗浄し、風乾した後、更に200℃のクリーンオーブン内で30分間ポストベークを行うことにより、基板上にドットパターンを形成した。
得られたドットパターンについて、カラーアナライザー(大塚電子(株)製MCPD2000)を用い、C光源、2度視野にて、CIE表色系における色度座標値(x,y)及び刺激値(Y)を測定した。
次いで、上記基板を230℃で90分間追加ベークをした後に、色度座標値(x,y)及び刺激値(Y)を測定し、追加ベーク前後での色変化、即ちΔE
*abを評価した。その結果、ΔE
*abの値が2.0未満の場合を「◎」、2.0以上4.0未満の場合を「○」、4.0以上6.0未満の場合を「△」、6.0以上の場合を「×」として評価した。評価結果を表3に示す。なお、ΔE
*ab値が小さい程、耐熱性が良好であると言える。
【0215】
耐溶剤性の評価
着色組成物(S−1)を、ナトリウムイオンの溶出を防止するSiO
2膜が表面に形成されたソーダガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後、90℃のホットプレートで2分間プレベークを行って、膜厚2.5μmの塗膜を形成した。
次いで、この基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して、各塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を400J/m
2の露光量で露光した。その後、これらの基板に対して、23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm
2(ノズル径1mm)で吐出することにより、90秒間シャワー現像を行った。その後、この基板を超純水で洗浄し、風乾した後、更に230℃のクリーンオーブン内で30分間ポストベークを行うことにより、基板上にドットパターンを形成した。得られたドットパターンについて、カラーアナライザー(大塚電子(株)製MCPD2000)を用い、C光源、2度視野にて、CIE表色系における色度座標値(x,y)及び刺激値(Y)を測定した。
その後、上記基板を、80℃のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに40分浸漬した。浸漬後のドットパターンについて、色度座標値(x、y)及び刺激値(Y)を測定し、浸漬前後での色変化、即ちΔE
*abを評価した。その結果、ΔE
*abの値が3.0未満の場合を「○」、3.0以上5.0未満の場合を「△」、5.0以上の場合を「×」として評価した。評価結果を表3に示す。なお、ΔE
*ab値が小さい程、耐溶剤性が良好であると言える。
【0216】
移染性の評価
緑色着色組成物(G)を、ナトリウムイオンの溶出を防止するSiO
2膜が表面に形成されたソーダガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後、90℃のホットプレートで2分間プレベークを行って、膜厚2.4μmの塗膜を形成した。
次いで、この基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプを用い、各塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を400J/m
2の露光量で露光した。その後、これらの基板に対して、23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm
2(ノズル径1mm)で吐出することにより、90秒間シャワー現像を行った。その後、この基板を超純水で洗浄し、風乾した後、更に230℃のクリーンオーブン内で30分間ポストベークを行うことにより、基板上に緑色硬化膜(T−1)を形成した。得られた緑色硬化膜(T−1)について、カラーアナライザー(大塚電子(株)製MCPD2000)を用い、C光源、2度視野にて、CIE表色系における色度座標値(x,y)及び刺激値(Y)を測定した。
次に、着色組成物(S−1)を緑色硬化膜(T−1)上にスピンコーターを用いて塗布した後、90℃のホットプレートで2分間プレベークを行って、膜厚2.5μmの塗膜を形成した。次いで、この基板を室温に冷却したのち、これらの基板に対して、23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm
2(ノズル径1mm)で吐出することにより、90秒間シャワー現像を行った。その後、この基板を超純水で洗浄し、風乾した。着色組成物(S−1)の塗布から風乾するまでの一連の工程を「(工程−1)」とする。(工程−1)後の緑色硬化膜(T−1)について、色度座標値(x、y)及び刺激値(Y)を測定し、(工程−1)前後の刺激値変化、即ちΔYを評価した。その結果、ΔYの値が0.2未満の場合を「○」、0.2以上0.7未満の場合を「△」、0.7以上の場合を「×」として評価した。評価結果を表3に示す。なお、ΔY値が小さい程、移染性が抑制されていると言える。
【0217】
実施例2〜14及び比較例1〜2
実施例1において、着色剤、バインダー樹脂溶液の種類及び量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして着色組成物(S−2)〜(S−16)を調製した。そして、得られた着色組成物について、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表3に示す。
【0218】
【表3】