【実施例】
【0048】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、もちろん、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。実施例、比較例中の部、%は特に断らない限り、それぞれ質量部、質量%を示し、塗工量、部数、混合割合等はすべて固形分で示した。
【0049】
<実施例1>
「下塗り剤層の形成」
基材として、ポリプロピレンフィルム(帯電防止剤としてアルキルジエタノールアミン0.1部含む、厚さ30μm)を使用した。基材の片面にコロナ処理を施し、該基材のコロナ処理面(JIS−K6768−1977に準じる方法による濡れ指数:42dyn/cm)に下塗り剤として、セラック(商品名:セラックBN−W25A、岐阜セラック製造所製、イソプロピルアルコールにて濃度2.5%に希釈)をバー塗工により1.0g/m
2塗工した後、120℃のオーブンで1分間乾燥することにより下塗り剤層を形成した。
【0050】
「剥離シートの製造」
続いて、上記下塗り剤層の表面に、付加反応型熱硬化型シリコーン剥離剤(商品名:KS847、信越化学工業株式会社製)をバー塗工により0.2g/m
2塗工した後、140℃のオーブンで30秒間硬化することにより剥離剤層を形成し、剥離シートを得た。
【0051】
<実施例2>
「下塗り剤層の形成」
基材として、ポリビニルアルコールフィルム(日本合成社製、商品名:「ハイセロンC−800」、厚さ33μm)を使用した。基材の光沢面に下塗り剤として、セラック(商品名:FSP No.232(濃度32%)、興洋化学製、イソプロピルアルコールにて濃度2.5%に希釈)をバー塗工により1.0g/m
2塗工した後、120℃のオーブンで1分間乾燥することにより下塗り剤層を形成した。
【0052】
「剥離シートの製造」
続いて、上記下塗り剤層の表面に、付加反応型熱硬化型シリコーン剥離剤(商品名:KS847T、信越化学工業株式会社製)をバー塗工により0.3g/m
2塗工した後、140℃のオーブンで30秒間硬化することにより剥離剤層を形成し、剥離シートを得た。
【0053】
<実施例3>
「下塗り剤層の形成」
基材として、多層構造を有し延伸処理されたポリプロピレン系合成紙(商品名:「ユポSGS80」、ユポコーポレーション社製、厚さ:80μm)を使用した。光沢面にコロナ処理を施し、当該基材のコロナ処理面(JIS K 6768:1977に準じる方法による濡れ指数:42dyn/cm)に下塗り剤として精製ラノリン(吉川製油社製、酸価:0.3、ケン化価:93、水酸基価:36、融点:42℃、ノルマルヘプタンにて濃度2.5%に希釈)をバー塗工により7.5g/m
2塗工した後、120℃のオーブンで1分間乾燥することにより下塗り剤層を形成した。
【0054】
「剥離シートの製造」
続いて、上記下塗り剤層の表面に、付加反応型熱硬化型シリコーン剥離剤(商品名:KS847T、信越化学工業株式会社製)をバー塗工により0.3g/m
2塗工した後、140℃のオーブンで30秒間硬化することにより剥離剤層を形成し、剥離シートを得た。
【0055】
<実施例4>
「下塗り剤層の形成」
基材として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:「E5000」、東洋紡績社製、厚さ:50μm)を使用した。基材片面に帯電防止剤層としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(90部)とアルキルジエタノールアミン(10部)の混合物のトルエン溶液をバー塗工により1.2g/m
2塗工した後、120℃のオーブンで1分間乾燥した。
上記塗工層表面に実施例1と同様のセラックを下塗り剤として用い、バー塗工により3.0g/m
2塗工した後、120℃のオーブンで2分間乾燥することにより下塗り剤層を形成した。
【0056】
「剥離シートの製造」
続いて、上記下塗り剤層の表面に、付加反応型熱硬化型シリコーン剥離剤(商品名:KS847T、信越化学工業株式会社製)をバー塗工により0.3g/m
2塗工した後、140℃のオーブンで30秒間硬化することにより剥離剤層を形成し、剥離シートを得た。
【0057】
<実施例5>
「下塗り剤層の形成」
けん化度99.95モル%、重合度2400のポリビニルアルコール100部にグリセリン(可塑剤)10部および水170部を含浸させたものを溶融混練し、脱泡後、Tダイから金属ロール上に溶融押出し、製膜した。その後、乾燥・熱処理して得られたフィルムを、温度60℃、湿度80%RHの温風と接触させる工程、引き続いて温度55℃、湿度40%RHの温風と接触させる工程の両工程を通した合計の所要時間で9秒間かけて通過させて調湿し、厚さ40μm、水分率4.2%のポリビニルアルコールフィルムを得た。
上記ポリビニルアルコールフィルムの表面に下塗り剤として、セラック(商品名:FSP No.232(濃度32%)、興洋化学製、イソプロピルアルコールにて濃度2.5%に希釈)をバー塗工により1.0g/m
2塗工した後、120℃のオーブンで1分間乾燥することにより下塗り剤層を形成した。
【0058】
「剥離シートの製造」
続いて、上記下塗り剤層の表面に、付加反応型熱硬化型シリコーン剥離剤(商品名:KS847、信越化学工業株式会社製)をバー塗工により0.2g/m
2塗工した後、140℃のオーブンで30秒間硬化することにより剥離剤層を形成し、剥離シートを得た。
【0059】
<実施例6>
「下塗り剤層の形成」
白色の鯨ロウ240gを55℃で加温溶融し、ショ糖脂肪酸エステル10gと55℃の温水10kgを加えてよく混合した後、TKホモミキサー(東京特殊機化工業社製)で10分間攪拌して水中油型に乳化して、下塗り剤塗液を得た(濃度2.4%)。
次に、実施例1と同じポリプロピレンフィルム(帯電防止剤としてアルキルジエタノールアミン0.1質量部含む、厚さ30μm)の表面に上記下塗り剤(鯨ロウ)塗液をバー塗工により1.0g/m
2塗工した後、120℃のオーブンで1分間乾燥することにより下塗り剤層を形成した。
【0060】
「剥離シートの製造」
続いて、上記下塗り剤層の表面に、付加反応型熱硬化型シリコーン剥離剤(商品名:KS847、信越化学工業株式会社製)をバー塗工により0.2g/m
2塗工した後、140℃のオーブンで30秒間硬化することにより剥離剤層を形成し、剥離シートを得た。
【0061】
<実施例7>
「下塗り剤層の形成」
実施例1と同じポリプロピレンフィルム(帯電防止剤としてアルキルジエタノールアミン0.1部含む、厚さ30μm)の表面にミツロウ(商品名:「脱臭精製ミツロウ高酸」、セラリカ野田社製、イソプロピルアルコールにて濃度2.5%に希釈)をバー塗工により2.0g/m
2塗工した後、120℃のオーブンで1分間乾燥することにより下塗り剤層を形成した。
【0062】
「剥離シートの製造」
続いて、上記下塗り剤層の表面に、付加反応型熱硬化型シリコーン剥離剤(商品名:KS847、信越化学工業株式会社製)をバー塗工により0.2g/m
2塗工した後、140℃のオーブンで30秒間硬化することにより剥離剤層を形成し、剥離シートを得た。
【0063】
<実施例8>
実施例2において、実施例2と同じ下塗り剤を塗工、乾燥して下塗り剤層を形成して、その下塗り剤層表面に紫外線硬化型シリコーン剥離剤(商品名:「シリコリースUV POLY200」、荒川化学社製)100部にカチオン重合型光開始剤(商品名:「シリコリースUV CATA211」、荒川化学社製)5部を混合して得た剥離剤をフレキソ印刷機で塗工し、高圧水銀紫外線照射装置にて紫外線照射量80mJ/cm
2の条件で硬化して剥離剤層を設け、本発明の剥離シートを得た。この剥離剤層の塗工量は、固形分質量で1.0g/m
2であった。
【0064】
<比較例1>
「剥離シートの製造」
実施例1と同じポリプロピレン基材にコロナ処理を施したものを使用し、該基材のコロナ処理面(JIS−K6768−1977に準じる方法による濡れ指数:42dyn/cm)に、付加反応型熱硬化性シリコーン剥離剤(商品名:KS847、信越化学工業株式会社製)をバー塗工により0.2g/m
2塗工した後、140℃のオーブンで30秒間硬化することにより剥離剤層を形成し、剥離シートを得た。
【0065】
<比較例2>
「剥離シートの製造」
実施例3と同じポリプロピレン系合成紙基材〔商品名:ユポ(SGS80)〕の光沢面にコロナ処理を施したものを使用し、該基材のコロナ処理面(JIS−K6768−1977に準じる方法による濡れ指数:42dyn/cm)に、付加反応型シリコーン系剥離剤(商品名:KS847、信越化学工業株式会社製)をバー塗工により0.2g/m
2塗工した後、140℃のオーブンで30秒間硬化することにより剥離剤層を形成し、剥離シートを得た。
【0066】
<比較例3>
「下塗り剤層の形成」
下塗り剤として水溶性ポリエステル樹脂(商品名:プラスコートZ−221、互応化学工業株式会社製)をバー塗工により1g/m
2塗工した以外は実施例1と同様にして下塗り剤層を形成した。
【0067】
「剥離シートの製造」
上記下塗り剤層の上に、実施例1と同様にして剥離剤層を形成し、剥離シートを得た。
【0068】
<比較例4>
「下塗り剤層の形成」
下塗り剤としてシランカップリング剤(商品名:X−92−185、信越化学工業株式会社製)をバー塗工により0.2g/m
2塗工した以外は実施例1と同様にして下塗り剤層を形成した。
【0069】
「剥離シートの製造」
この下塗り剤層の上に、実施例1と同様にして剥離剤層を形成し、剥離シートを得た。
【0070】
<比較例5>
「剥離シートの製造」
実施例4と同じポリエチレンテレフタレートフィルム基材(商品名:E5000)に実施例6と同じ帯電防止層を設けたものを使用し、該基材の帯電防止層を設けた面に、付加反応型シリコーン系剥離剤(商品名:KS847、信越化学工業株式会社製)をバー塗工により0.2g/m
2塗工した後、140℃のオーブンで30秒間硬化することにより剥離剤層を形成し、剥離シートを得た。
【0071】
(評価)
上記のようにして得られた剥離シートの下塗り剤層の基材もしくは基材に塗工されたシリコーン硬化阻害物質を含む層に対する密着性、剥離剤層の剥離剤の硬化性及び下塗り剤層との密着性を評価し、これらの結果を表1に示した。
【0072】
試験1:「下塗り剤層の基材もしくはシリコーン硬化阻害物質含有層に対する密着性」
実施例1〜8及び比較例1〜5で得られた剥離シートを試料とした。得られた各試料を用い、以下の基準で密着性評価を行った。
(密着性:下塗り剤層表面を指で強く5往復擦った時の下塗り剤層の脱落程度を評価)
◎:脱落がまったく無く、密着性がきわめて優れる。
○:脱落が無く、密着性が十分である。
×:脱落が有り、密着性が不十分である。
【0073】
試験2:「剥離剤の硬化性及び下塗り剤層との密着性」
剥離剤の硬化性及び下塗り剤層との密着性は、指こすり法により以下の基準で評価を行った。
(硬化性:シリコーン剥離層表面を指で軽く擦った後の表面状態を目視評価)
◎:擦った跡がまったく残らず、硬化が極めて優れる。
○:擦った跡が残らず、硬化は十分である。
×:擦った跡が残り、硬化が不十分である。
(密着性:シリコーン剥離層表面を指で強く5往復擦った時の剥離剤層の脱落程度を評価)
◎:脱落がまったく無く、密着性が極めて優れる。
○:脱落が無く、密着性が十分である。
×:脱落が有り、密着性が不十分である。
【0074】
「総合評価」
総合的な評価として以下の基準で評価を行った。
(基準)
◎:実用性極めて良好
○:実用性良好
×:実用性不十分
【0075】
【表1】