特許第6197723号(P6197723)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6197723
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】剥離シート
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20170911BHJP
   C09J 7/02 20060101ALN20170911BHJP
【FI】
   B32B27/00 L
   B32B27/00 101
   !C09J7/02 Z
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-64913(P2014-64913)
(22)【出願日】2014年3月27日
(65)【公開番号】特開2015-110315(P2015-110315A)
(43)【公開日】2015年6月18日
【審査請求日】2016年6月20日
(31)【優先権主張番号】特願2013-228911(P2013-228911)
(32)【優先日】2013年11月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 伸久
(72)【発明者】
【氏名】大橋 聡
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 諭
【審査官】 横島 隆裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−001117(JP,A)
【文献】 特開2001−220562(JP,A)
【文献】 特開平09−011674(JP,A)
【文献】 特開2000−326470(JP,A)
【文献】 特開2006−316144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
C09J 7/00−7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン剥離剤の硬化阻害物質が含まれているプラスチックフィルム基材の片面に、動物ワックスを含む下塗り剤層と、前記下塗り剤層表面に付加反応型熱硬化型シリコーン、紫外線硬化型シリコーン、電子線硬化型シリコーンから選択される少なくとも1種の硬化層からなる剥離層が順次積層されていることを特徴とする剥離シート。
【請求項2】
シリコーン剥離剤の硬化阻害物質を含有する層が塗工形成されているフィルム基材の前記塗工層表面に、動物ワックスを含む下塗り剤層と、前記下塗り剤層表面に付加反応型熱硬化型シリコーン、紫外線硬化型シリコーン、電子線硬化型シリコーンから選択される少なくとも1種の硬化層からなる剥離層が順次積層されていることを特徴とする剥離シート。
【請求項3】
前記下塗り剤層に含まれる動物ワックスが、昆虫ワックス、鯨ワックス、羊毛ワックスから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の剥離シート。
【請求項4】
前記下塗り剤層に含まれる動物ワックスがセラックであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の剥離シート。
【請求項5】
前記下塗り剤層の塗工量が、乾燥質量で0.1〜10.0g/m2であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の剥離シート。
【請求項6】
前記剥離剤層の塗工量が、乾燥質量で0.05〜3.0g/m2であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の剥離シート。
【請求項7】
前記フィルム基材がポリオレフィン系フィルム、ポリプロピレン系合成紙、ポリエステル系フィルム、ポリビニルアルコール系フィルムから選択される1種であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の剥離シート。
【請求項8】
前記硬化阻害物質が硫黄、有機硫黄化合物、有機錫化合物、アミン化合物、有機燐化合物、有機過酸化物、グリセリン、グリコール類、テトラヒドロフルフリル誘導体から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の剥離シート。
【請求項9】
前記硬化阻害物質が可塑剤又は帯電防止剤であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の剥離シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーン剥離剤の硬化阻害物質が含まれるフィルムもしくは該シリコーン剥離剤の硬化阻害物質を含有する層が塗工されたフィルムの該塗工面と、シリコーン剥離層との中間に、該基材と該シリコーン剥離層の両方に対して密着性に優れる下塗り剤層を設けたことを特徴とする剥離シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、剥離シートは、ポリオルガノシロキサン等の粘着物質に対して剥離性を有するシリコーン剥離剤からなる剥離層を基材シート上に形成させることにより製造され、シール、ラベル等の各種用途に用いられている。従来より、剥離シート用基材としては、ポリエチレンラミネート紙、グラシン紙等の紙が使用されてきたが、近年は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコールなどを原料とするプラスチックフィルムが広く利用されつつある。プラスチックフィルムは、紙と比較して、特に機械的強度、透明性、寸法安定性、平滑性、コストなどの点で優れるため、その需要は年々増加傾向にある。
【0003】
また、シリコーン剥離剤は、一般にその硬化手段の違いにより、熱硬化型、紫外線硬化型、電子線硬化型などが知られている。熱硬化型シリコーン剥離剤は、比較的低温(100℃前後)で硬化が進むため、取り扱いが容易であるという利点があり、現在最も広く使用されている。
【0004】
前記熱硬化型シリコーン剥離剤は、その硬化メカニズムによって分類でき、主に縮合反応型、付加反応型の2種類がある。中でも付加反応型の熱硬化型シリコーン(以下、「付加反応型シリコーン」という)は縮合反応型の熱硬化型シリコーンと比較して、反応時間が短い、剥離剤面と接触する粘着剤面への移行量が少ない、粘着性物質に対する剥離抵抗力を重剥離から軽剥離まで容易に制御できる等の利点が多い反面、使用する基材の種類が制約されるという欠点がある。
【0005】
一般に、付加反応型シリコーンは、分子中に珪素原子に結合したビニル基を含有するポリジメチルオルガノシロキサンと分子中に珪素原子に結合した水素を有するポリジメチルオルガノシロキサンを白金触媒を用いて加熱して硬化させて得られる。しかしながら、ここで用いられる白金触媒は、硫黄、有機硫黄化合物、有機錫化合物、アミン化合物、有機燐化合物、有機過酸化物といった、付加反応型シリコーンの硬化を阻害する物質(以下、「シリコーン硬化阻害物質」という)に触れると触媒作用を失い、硬化反応が十分に進行しないという硬化阻害現象を引き起こす。
【0006】
熱硬化型シリコーンをフィルムやポリエチレンラミネート紙等の熱に影響を受け易い基材に塗工する場合、硬化時の熱の影響により、収縮、しわ、発泡、カール等が発生し易く、また加工後の塗工面の光沢が低下し易いという問題がある。
【0007】
これに対し、紫外線硬化型シリコーンは、基本的に波長200〜400nmの紫外線のエネルギーにより硬化する方式であるため、熱硬化型シリコーンに比較しエネルギー効率が高く、基材に対してはエネルギーの付与率が小さいため、耐熱性の低いプラスチックフィルム等へのシリコーン塗工、あるいは高級ラベルに見られる高光沢なシリコーン面の形成が可能である。
【0008】
紫外線硬化方式は、装置がコンパクトで価格も比較的安価であり、装置の大きさに対する生産性に優れるため、近年、剥離紙用シリコーンにおけるその使用比率が高まってきている。
剥離紙用シリコーンにおける紫外線硬化型の位置づけは、その手軽さにより特殊用途の少量多品種向きであり、電子線硬化方式が特定品種大量生産向きであるのと対照的である。
なお、紫外線硬化型シリコーンの硬化機構は、主に以下の4種が提案されている。
【0009】
<アクリルシリコーン>
−R−OCOCH=CH基を有するシリコーンに光重合開始剤を加えたものであり、Rの種類により多数の化合物が適用可能である。
光重合開始剤は、一般の紫外線硬化樹脂に用いられるものと同じでよく、硬化特性も同様であり、1μm以下の薄膜であると酸素により硬化が阻害される。アクリル基は極性が高く、表面張力も高くなりがちであり、この型のシリコーンは一般に剥離力は重い。
【0010】
<メルカプト−ビニル付加重合型>
メルカプト基と不飽和二重結合を有するシロキサンに、光重合開始剤を加え架橋反応させる。
この型のシリコーンもSiとSHの結合基、Siとビニル基の結合基の種類により、数種の組合せが適用可能である。また、比較的酸素阻害を受け難いが、剥離力は重く、非移行にもなり難い。その他、この型はメルカプト基を含有するため、臭気の問題もある。
【0011】
<付加反応型>
熱硬化型シリコーンの付加反応型と同じ白金系触媒を用いたもので、反応機構は熱硬化型と同様である。メルカプト−ビニル付加重合に比較して硬化性はやや劣るが、酸素阻害は全くなく、0.1μm以下の薄膜でも硬化し、非移行で剥離力の軽いものが得られる。
【0012】
<カチオン重合型>
エポキシ基を有するシロキサンにオニウム塩触媒を添加したものであり、紫外線により分解してルイス酸を生成させることにより、エポキシ基を重合させる型である。
なお、この型は硬化性もよく、酸素阻害もなく、剥離力の軽いものが得られる。
【0013】
紫外線硬化型シリコーンの形態は、通常無溶剤型であるが、フィルムに0.5μm以下の薄膜に塗工するために溶剤型としたものもある。この場合、溶剤型シリコーンと同様に塗工し、低温の乾燥機で溶剤を乾燥させた後、紫外線を照射するが、この型はフィルムへの密着性もよく、フィルム基材を用いた剥離シートの製造には適している。
【0014】
近年、電子線照射装置はコンパクトで自己遮蔽型のエレクトロカーテン型が開発され、剥離紙への適用も検討されている。電子線は熱や紫外線に比較してエネルギー密度が大きく、剥離紙に応用されたとき、高速硬化による生産性向上、低温硬化による耐熱性の低いプラスチックフィルムへの塗工あるいは高光沢な高級ラベルの製造等が期待されている。
電子線硬化にはラジカル重合性基を有するシリコーンが好適であるが、照射量を多くすれば全く官能基を持たないシリコーンでも硬化させることができる。現在実用化されている電子線硬化型シリコーンは、その大部分がアクリル基含有シリコーンである。
【0015】
一方、ポリオレフィンフィルムやポリオレフィン系合成紙には有機燐化合物系の酸化防止剤やアミン化合物系の帯電防止剤が微量含有され、これらが表面にブリードしてシリコーン硬化阻害物質としてシリコーン剥離層へ移行することで、シリコーン剥離層の硬化が不十分となったり、基材とシリコーン剥離層との密着性が低下するなどの問題が生じ得る。また、帯電防止剤等のシリコーン硬化阻害物質を含有する層を塗工したシートにシリコーン剥離層を設ける場合にも、同様にシリコーン剥離層の硬化阻害現象を引き起こす。
【0016】
このような欠点を克服する手段として、シリコーン硬化阻害成分含有量が少ないポリエステルフィルムを基材として使用する、通常用いられる以上の過剰の白金触媒を添加する、あるいは前記基材または前記帯電防止剤層等に含有されるシリコーン硬化阻害物質のシリコーン剥離層への移行を防ぐ目的で、基材あるいは塗工層の上にアクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等からなる下塗り剤層を設ける等の方法が提案されている(特許文献1)。
【0017】
しかしながら、ポリエステルフィルムはポリオレフィンフィルムに比べて高価であり、また、通常用いられる以上の過剰の白金触媒を使用するのでは経済性や作業性の点で不利である。上記下塗り剤層を設ける方法は、下塗り剤層と基材との密着性が不十分であるおそれがあり、さらに、シリコーン剥離剤を溶剤で希釈して用いる場合、かかる溶剤によって下塗り剤層自体が侵食されるおそれがあるため、いずれの方法も十分満足のゆくものではなかった。
【0018】
また、フィルム基材の片面に、α−オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体を含む下塗り剤層と、該下塗り剤層上に付加反応型熱硬化型シリコーンの硬化層からなる剥離層が順次積層された剥離シートが開示されているが、シリコーン剥離剤の密着性の点で不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開平11−969号公報
【特許文献2】特開2007−1117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、上記要望に応えるべく、基材や基材の上に塗工された層に含まれるシリコーン硬化阻害物質のシリコーン剥離層への移行を防止でき、かつ基材やシリコーン硬化阻害物質含有塗工層とシリコーン剥離層との密着性及びトルエン、ヘキサン等の剥離剤希釈溶剤耐性にも優れる動物ワックスからなる下塗り剤層を有する剥離シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者らは前記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、シリコーン硬化阻害物質が含まれるフィルムの少なくとも片面もしくは該シリコーン硬化阻害物質を含有する層が塗工されたフィルムの該塗工面に特定の動物ワックスからなる下塗り剤層を設け、さらに、その下塗り剤層の表面に付加反応型熱硬化型シリコーン剥離剤、紫外線硬化型シリコーン剥離剤、電子線硬化型剥離剤から選択される少なくとも1種の剥離層を設けることにより前記課題を解決した剥離シートが得られることを見出し、以下に記載する本発明を完成させるに至った。
【0022】
(1)シリコーン剥離剤の硬化阻害物質が含まれているフィルム基材の片面に、動物ワックスを含む下塗り剤層と、前記下塗り剤層表面に付加反応型熱硬化型シリコーン、紫外線硬化型シリコーン、電子線硬化型シリコーンから選択される少なくとも1種の硬化層からなる剥離層が順次積層されている剥離シート。
【0023】
(2)シリコーン剥離剤の硬化阻害物質を含有する層が塗工形成されているフィルム基材の前記塗工層表面に、動物ワックスを含む下塗り剤層と、前記下塗り剤層表面に付加反応型熱硬化型シリコーン、紫外線硬化型シリコーン、電子線硬化型シリコーンから選択される少なくとも1種の硬化層からなる剥離層が順次積層されている剥離シート。
【0024】
(3)前記下塗り剤層に含まれる動物ワックスが、昆虫ワックス、鯨ワックス、羊毛ワックスから選択される少なくとも1種である(1)又は(2)に記載の剥離シート。
【0025】
(4)前記下塗り剤層に含まれる動物ワックスがセラックである(1)〜(3)のいずれか1項に記載の剥離シート。
【0026】
(5)前記下塗り剤層の塗工量が、乾燥質量で0.1〜10.0g/mである(1)〜(4)のいずれか1項に記載の剥離シート。
【0027】
(6)前記剥離剤層の塗工量が、乾燥質量で0.05〜3g/mである(1)〜(5)のいずれか1項に記載の剥離シート。
【0028】
(7)前記フィルム基材がポリオレフィン系フィルム、ポリプロピレン系合成紙、ポリエステル系フィルム、ポリビニルアルコール系フィルムから選択される1種である(1)項〜(6)項のいずれか1項に記載の剥離シート。
【0029】
(8)前記硬化阻害物質が硫黄、有機硫黄化合物、有機錫化合物、アミン化合物、有機燐化合物、有機過酸化物、グリセリン、グリコール類、テトラヒドロフルフリル誘導体から選択される少なくとも1種である(1)〜(7)のいずれか1項に記載の剥離シート。
【0030】
(9)前記硬化阻害物質が可塑剤又は帯電防止剤である(1)〜(8)のいずれか1項に記載の剥離シート。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、基材もしくは基材に塗工された層に含まれるシリコーン剥離剤の硬化阻害物質が剥離層へ移行することによって発生するシリコーン剥離剤の硬化阻害現象や、基材とシリコーン剥離剤との密着性の低下現象等の問題がなく、広範な種類の粘着剤に対して対応可能な剥離シートが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の剥離シートに使用されるシリコーン剥離剤の硬化阻害物質を含有する基材としては各種公知のものが特に制限無く使用され、例えば、ポリオレフィンフィルム、合成紙等が挙げられる。当該基材の具体例としてはポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリビニルアルコールフィルムなどが挙げられるが、かかるプラスチック成型物は用途に応じて射出成型機により成型された各種成形物や、シート状、フィルム状に成型されたものを使用することができる。
【0033】
なお、基材中に含有されているシリコーン剥離剤の硬化阻害物質としては、帯電防止剤や可塑剤が挙げられ、具体的には、硫黄、有機硫黄化合物、有機錫化合物、アミン化合物、有機燐化合物、有機過酸化物、『可塑剤 −その理論と応用−』(株式会社幸書房、昭和48年3月1日初版第1刷発行)371〜377頁に記載のグリセリン、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、プロピレングリコール、2,3−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール類、テトラヒドロフルフリル誘導体が挙げられる。
【0034】
また、前記基材としてコロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、易接着コート処理などの表面加工が施されたものを使用してもよい。合成紙としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂などの熱可塑性ポリオレフィン樹脂を主原料とし、これに無機質又は有機質の充填剤と少量の添加剤を配合した組成物を溶融、混練後、押出し機のスロットダイから押出して成膜し、さらに2軸延伸して製造した内部紙化法によるフィルム状またはテープ状の多層構造を有する合成紙が例示できる。
【0035】
シリコーン剥離剤の硬化阻害物質を含む層を塗工するための基材としては各種公知のものが特に制限なく使用でき、例えば、前記基材に加えて、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルムが挙げられるが、かかるプラスチック成型物は用途に応じて射出成型機により成型された各種成形物や、シート状、フィルム状に成型されたものを使用することができ、また、これらはコロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、易接着コート処理などの表面加工が施されたものを使用してもよい。
【0036】
上記基材に塗工されているシリコーン剥離剤の硬化阻害物質を含む層としては、例えば、シランカップリング剤と帯電防止剤等のシリコーン剥離剤の硬化阻害物質との混合物を含有する層や該帯電防止剤単独品を含有する層等が挙げられる。
【0037】
シリコーン剥離剤の硬化阻害物質となる帯電防止剤としては、例えば、アルキルエチレンジアミン等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。また、シランカップリング剤としては、一分子中にアルコキシ基、アセトキシ基、ハロゲンおよびアミノ基、メタクリル基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基をそれぞれもつもので、東レ・ダウコーニング社製のSH6020、SH6023、SZ6030、SZ6032、SZ6300、SH6040や、信越化学工業社製のKBC1003、KBE1003、KBM1003、KBM503、KBN402、KBM603、KBE903等が挙げられる。
【0038】
本発明において、前記基材表面に動物ワックスを含む下塗り剤層を形成する必要がある。ここで、ワックスとは長鎖の脂肪酸と長鎖アルコールのエステルであり、動物ワックス、植物ワックス、石油ワックス、鉱物ワックス、合成ワックスが挙げられる。本発明においては、シリコーン剥離剤の硬化阻害現象や、基材とシリコーン剥離剤との密着性の低下現象等を抑制する観点から前記ワックスのなかでも動物ワックスを用いる必要がある。
【0039】
動物ワックスとしては、例えば昆虫ワックス(蜜ワックス等)、鯨ワックス、羊毛ワックス等が挙げられるが、シリコーン剥離剤の硬化阻害現象や、基材とシリコーン剥離剤層との密着性の低下現象等を抑制する観点から昆虫ワックスが好ましく、昆虫ワックスのなかでもセラックが特に好ましい。
【0040】
本発明において用いられるセラックとは、体長約0.6〜0.7mmのラックカイガラ虫が分泌する樹脂状物質を精製したものである。ラックカイガラ虫は亜熱帯地方のインド、タイが二大産地であり、その他、中国、インドネシア、ミャンマー、ベトナム等に分布している。ラックカイガラ虫の飼育はまめ科植物、くわ科植物にラックカイガラ虫のついた小枝をくくり付けることにより行われ、ラックカイガラ虫が樹液を吸った後に樹脂状物を出し、それが空気により固化して枝に樹脂層を形成する。これを粉砕後水洗して精製したものが使用される。
【0041】
精製法としては熱溶融法、ソーダ法、溶剤抽出法等がある。熱溶融法とは、枝についた樹脂を粉砕、水洗した後、樹脂を木綿袋に入れ、袋より搾り出したものを薄く引き延ばす方法である。ソーダ法とは、同じく粉砕、水洗した樹脂をソーダ灰、または苛性ソーダ溶液に溶解し、溶解液より夾雑物を除き、ついで希酸溶液で析出、水洗、乾燥する方法である。溶剤抽出法は、粉砕、水洗した樹脂をアルコール系溶剤にて溶解、ろ過した後、溶剤を回収して精製する方法である。
【0042】
本発明に使用されるセラックは精製方法により、その成分はやや異なるが、通常アレウリチン酸、ジャラール酸、ラクシジャラール酸を基幹樹脂酸成分とし、この樹脂酸のカルボキシル基と該他の樹脂酸中の水酸基がエステル結合したものを主体としたものである。その他にワックス成分としてミリシリアルコール、セリルアルコール、ラクセリルアルコール等とリグノセル酸、ラクセル酸、ステアリン酸、パルミチン酸等との混合エステルが混在し、また、ラッカイン酸、エリスロラクシン、デソキシエリスロラクシン等が含まれている。本発明で使用される樹脂の精製法としては、純度、品質の面から溶剤抽出法が好ましい。
【0043】
この樹脂は無味、無臭、無毒であり、環境に対しても悪影響のない樹脂である。なお、特に性能に支障のない限り、セラック塗液中には濡れ剤、防腐剤、消泡剤等、各種の助剤を配合することができる。また、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン等の顔料も性能に支障のない限り適宜使用可能である。
【0044】
下塗り剤の塗工方法としては、通常の塗工機、例えば、バーコーター、ロールコーター、多段ロールコーター、オフセットグラビアコーター、ダイレクトグラビアコーター、スロットダイコーター、カーテンコーター等によって塗工することができる。下塗り剤の塗工量としては、乾燥質量で0.1〜10.0g/m、好ましくは、0.2〜5.0g/mが適当である。因みに、塗工量が0.1g/m未満では下塗り層としての効果に乏しく、また、10.0g/mを超えることは経済性の面から必要性に乏しい。
【0045】
本発明の剥離シートの下塗り剤層表面に塗工する剥離剤としては、付加反応型熱硬化型シリコーン剥離剤、紫外線硬化型シリコーン剥離剤(ラジカル重合型シリコーン剥離剤、カチオン重合型シリコーン剥離剤、メルカプト−ビニル付加重合型シリコーン剥離剤、付加反応型シリコーン剥離剤)、電子線硬化型シリコーン剥離剤(ラジカル重合型シリコーン剥離剤、アクリルシリコーン剥離剤)から選択される少なくとも1種が使用できる。
設備投資を少なくする観点から、紫外線硬化型シリコーン剥離剤が好ましく用いられる。
【0046】
剥離剤には、必要に応じて、他の紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、光重合開始剤、架橋剤、染料、顔料、湿潤剤、消泡剤、分散剤、帯電防止剤、レベリング剤、潤滑剤等の各種助剤を配合してもよい。
【0047】
剥離剤の塗工方法としては、通常の塗工機、例えば、バーコーター、多段ロールコーター、エアーナイフコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター等によって塗工することができる。
剥離剤の塗工量としては、乾燥質量で0.05〜3g/m、好ましくは、0.2〜1.5g/mが適当である。因みに、塗工量が0.05g/m未満では剥離層としての効果に乏しく、また、3g/mを超えることは経済性の面から必要性に乏しい。
また、剥離剤を硬化させる装置としては、熱風ドライヤー、遠赤外線ドライヤー、紫外線照射装置(例えば、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ等が挙げられる。さらに、オゾンの少ないオゾンレスタイプもあり、如何なるものを用いてもよい。
紫外線照射装置としては、一般には出力30W/cm以上のランプが複数本並列されて使用されることが多い。電子線照射装置としては、スキャン(走査)方式、エリアビーム方式、自己遮蔽タイプ等が挙げられる。
【実施例】
【0048】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、もちろん、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。実施例、比較例中の部、%は特に断らない限り、それぞれ質量部、質量%を示し、塗工量、部数、混合割合等はすべて固形分で示した。
【0049】
<実施例1>
「下塗り剤層の形成」
基材として、ポリプロピレンフィルム(帯電防止剤としてアルキルジエタノールアミン0.1部含む、厚さ30μm)を使用した。基材の片面にコロナ処理を施し、該基材のコロナ処理面(JIS−K6768−1977に準じる方法による濡れ指数:42dyn/cm)に下塗り剤として、セラック(商品名:セラックBN−W25A、岐阜セラック製造所製、イソプロピルアルコールにて濃度2.5%に希釈)をバー塗工により1.0g/m塗工した後、120℃のオーブンで1分間乾燥することにより下塗り剤層を形成した。
【0050】
「剥離シートの製造」
続いて、上記下塗り剤層の表面に、付加反応型熱硬化型シリコーン剥離剤(商品名:KS847、信越化学工業株式会社製)をバー塗工により0.2g/m塗工した後、140℃のオーブンで30秒間硬化することにより剥離剤層を形成し、剥離シートを得た。
【0051】
<実施例2>
「下塗り剤層の形成」
基材として、ポリビニルアルコールフィルム(日本合成社製、商品名:「ハイセロンC−800」、厚さ33μm)を使用した。基材の光沢面に下塗り剤として、セラック(商品名:FSP No.232(濃度32%)、興洋化学製、イソプロピルアルコールにて濃度2.5%に希釈)をバー塗工により1.0g/m塗工した後、120℃のオーブンで1分間乾燥することにより下塗り剤層を形成した。
【0052】
「剥離シートの製造」
続いて、上記下塗り剤層の表面に、付加反応型熱硬化型シリコーン剥離剤(商品名:KS847T、信越化学工業株式会社製)をバー塗工により0.3g/m塗工した後、140℃のオーブンで30秒間硬化することにより剥離剤層を形成し、剥離シートを得た。
【0053】
<実施例3>
「下塗り剤層の形成」
基材として、多層構造を有し延伸処理されたポリプロピレン系合成紙(商品名:「ユポSGS80」、ユポコーポレーション社製、厚さ:80μm)を使用した。光沢面にコロナ処理を施し、当該基材のコロナ処理面(JIS K 6768:1977に準じる方法による濡れ指数:42dyn/cm)に下塗り剤として精製ラノリン(吉川製油社製、酸価:0.3、ケン化価:93、水酸基価:36、融点:42℃、ノルマルヘプタンにて濃度2.5%に希釈)をバー塗工により7.5g/m塗工した後、120℃のオーブンで1分間乾燥することにより下塗り剤層を形成した。
【0054】
「剥離シートの製造」
続いて、上記下塗り剤層の表面に、付加反応型熱硬化型シリコーン剥離剤(商品名:KS847T、信越化学工業株式会社製)をバー塗工により0.3g/m塗工した後、140℃のオーブンで30秒間硬化することにより剥離剤層を形成し、剥離シートを得た。
【0055】
<実施例4>
「下塗り剤層の形成」
基材として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:「E5000」、東洋紡績社製、厚さ:50μm)を使用した。基材片面に帯電防止剤層としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(90部)とアルキルジエタノールアミン(10部)の混合物のトルエン溶液をバー塗工により1.2g/m塗工した後、120℃のオーブンで1分間乾燥した。
上記塗工層表面に実施例1と同様のセラックを下塗り剤として用い、バー塗工により3.0g/m塗工した後、120℃のオーブンで2分間乾燥することにより下塗り剤層を形成した。
【0056】
「剥離シートの製造」
続いて、上記下塗り剤層の表面に、付加反応型熱硬化型シリコーン剥離剤(商品名:KS847T、信越化学工業株式会社製)をバー塗工により0.3g/m塗工した後、140℃のオーブンで30秒間硬化することにより剥離剤層を形成し、剥離シートを得た。
【0057】
<実施例5>
「下塗り剤層の形成」
けん化度99.95モル%、重合度2400のポリビニルアルコール100部にグリセリン(可塑剤)10部および水170部を含浸させたものを溶融混練し、脱泡後、Tダイから金属ロール上に溶融押出し、製膜した。その後、乾燥・熱処理して得られたフィルムを、温度60℃、湿度80%RHの温風と接触させる工程、引き続いて温度55℃、湿度40%RHの温風と接触させる工程の両工程を通した合計の所要時間で9秒間かけて通過させて調湿し、厚さ40μm、水分率4.2%のポリビニルアルコールフィルムを得た。
上記ポリビニルアルコールフィルムの表面に下塗り剤として、セラック(商品名:FSP No.232(濃度32%)、興洋化学製、イソプロピルアルコールにて濃度2.5%に希釈)をバー塗工により1.0g/m塗工した後、120℃のオーブンで1分間乾燥することにより下塗り剤層を形成した。
【0058】
「剥離シートの製造」
続いて、上記下塗り剤層の表面に、付加反応型熱硬化型シリコーン剥離剤(商品名:KS847、信越化学工業株式会社製)をバー塗工により0.2g/m塗工した後、140℃のオーブンで30秒間硬化することにより剥離剤層を形成し、剥離シートを得た。
【0059】
<実施例6>
「下塗り剤層の形成」
白色の鯨ロウ240gを55℃で加温溶融し、ショ糖脂肪酸エステル10gと55℃の温水10kgを加えてよく混合した後、TKホモミキサー(東京特殊機化工業社製)で10分間攪拌して水中油型に乳化して、下塗り剤塗液を得た(濃度2.4%)。
次に、実施例1と同じポリプロピレンフィルム(帯電防止剤としてアルキルジエタノールアミン0.1質量部含む、厚さ30μm)の表面に上記下塗り剤(鯨ロウ)塗液をバー塗工により1.0g/m塗工した後、120℃のオーブンで1分間乾燥することにより下塗り剤層を形成した。
【0060】
「剥離シートの製造」
続いて、上記下塗り剤層の表面に、付加反応型熱硬化型シリコーン剥離剤(商品名:KS847、信越化学工業株式会社製)をバー塗工により0.2g/m塗工した後、140℃のオーブンで30秒間硬化することにより剥離剤層を形成し、剥離シートを得た。
【0061】
<実施例7>
「下塗り剤層の形成」
実施例1と同じポリプロピレンフィルム(帯電防止剤としてアルキルジエタノールアミン0.1部含む、厚さ30μm)の表面にミツロウ(商品名:「脱臭精製ミツロウ高酸」、セラリカ野田社製、イソプロピルアルコールにて濃度2.5%に希釈)をバー塗工により2.0g/m塗工した後、120℃のオーブンで1分間乾燥することにより下塗り剤層を形成した。
【0062】
「剥離シートの製造」
続いて、上記下塗り剤層の表面に、付加反応型熱硬化型シリコーン剥離剤(商品名:KS847、信越化学工業株式会社製)をバー塗工により0.2g/m塗工した後、140℃のオーブンで30秒間硬化することにより剥離剤層を形成し、剥離シートを得た。
【0063】
<実施例8>
実施例2において、実施例2と同じ下塗り剤を塗工、乾燥して下塗り剤層を形成して、その下塗り剤層表面に紫外線硬化型シリコーン剥離剤(商品名:「シリコリースUV POLY200」、荒川化学社製)100部にカチオン重合型光開始剤(商品名:「シリコリースUV CATA211」、荒川化学社製)5部を混合して得た剥離剤をフレキソ印刷機で塗工し、高圧水銀紫外線照射装置にて紫外線照射量80mJ/cmの条件で硬化して剥離剤層を設け、本発明の剥離シートを得た。この剥離剤層の塗工量は、固形分質量で1.0g/mであった。
【0064】
<比較例1>
「剥離シートの製造」
実施例1と同じポリプロピレン基材にコロナ処理を施したものを使用し、該基材のコロナ処理面(JIS−K6768−1977に準じる方法による濡れ指数:42dyn/cm)に、付加反応型熱硬化性シリコーン剥離剤(商品名:KS847、信越化学工業株式会社製)をバー塗工により0.2g/m塗工した後、140℃のオーブンで30秒間硬化することにより剥離剤層を形成し、剥離シートを得た。
【0065】
<比較例2>
「剥離シートの製造」
実施例3と同じポリプロピレン系合成紙基材〔商品名:ユポ(SGS80)〕の光沢面にコロナ処理を施したものを使用し、該基材のコロナ処理面(JIS−K6768−1977に準じる方法による濡れ指数:42dyn/cm)に、付加反応型シリコーン系剥離剤(商品名:KS847、信越化学工業株式会社製)をバー塗工により0.2g/m塗工した後、140℃のオーブンで30秒間硬化することにより剥離剤層を形成し、剥離シートを得た。
【0066】
<比較例3>
「下塗り剤層の形成」
下塗り剤として水溶性ポリエステル樹脂(商品名:プラスコートZ−221、互応化学工業株式会社製)をバー塗工により1g/m塗工した以外は実施例1と同様にして下塗り剤層を形成した。
【0067】
「剥離シートの製造」
上記下塗り剤層の上に、実施例1と同様にして剥離剤層を形成し、剥離シートを得た。
【0068】
<比較例4>
「下塗り剤層の形成」
下塗り剤としてシランカップリング剤(商品名:X−92−185、信越化学工業株式会社製)をバー塗工により0.2g/m塗工した以外は実施例1と同様にして下塗り剤層を形成した。
【0069】
「剥離シートの製造」
この下塗り剤層の上に、実施例1と同様にして剥離剤層を形成し、剥離シートを得た。
【0070】
<比較例5>
「剥離シートの製造」
実施例4と同じポリエチレンテレフタレートフィルム基材(商品名:E5000)に実施例6と同じ帯電防止層を設けたものを使用し、該基材の帯電防止層を設けた面に、付加反応型シリコーン系剥離剤(商品名:KS847、信越化学工業株式会社製)をバー塗工により0.2g/m塗工した後、140℃のオーブンで30秒間硬化することにより剥離剤層を形成し、剥離シートを得た。
【0071】
(評価)
上記のようにして得られた剥離シートの下塗り剤層の基材もしくは基材に塗工されたシリコーン硬化阻害物質を含む層に対する密着性、剥離剤層の剥離剤の硬化性及び下塗り剤層との密着性を評価し、これらの結果を表1に示した。
【0072】
試験1:「下塗り剤層の基材もしくはシリコーン硬化阻害物質含有層に対する密着性」
実施例1〜8及び比較例1〜5で得られた剥離シートを試料とした。得られた各試料を用い、以下の基準で密着性評価を行った。
(密着性:下塗り剤層表面を指で強く5往復擦った時の下塗り剤層の脱落程度を評価)
◎:脱落がまったく無く、密着性がきわめて優れる。
○:脱落が無く、密着性が十分である。
×:脱落が有り、密着性が不十分である。
【0073】
試験2:「剥離剤の硬化性及び下塗り剤層との密着性」
剥離剤の硬化性及び下塗り剤層との密着性は、指こすり法により以下の基準で評価を行った。
(硬化性:シリコーン剥離層表面を指で軽く擦った後の表面状態を目視評価)
◎:擦った跡がまったく残らず、硬化が極めて優れる。
○:擦った跡が残らず、硬化は十分である。
×:擦った跡が残り、硬化が不十分である。
(密着性:シリコーン剥離層表面を指で強く5往復擦った時の剥離剤層の脱落程度を評価)
◎:脱落がまったく無く、密着性が極めて優れる。
○:脱落が無く、密着性が十分である。
×:脱落が有り、密着性が不十分である。
【0074】
「総合評価」
総合的な評価として以下の基準で評価を行った。
(基準)
◎:実用性極めて良好
○:実用性良好
×:実用性不十分
【0075】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上、詳しく説明した通り、この発明によって、基材もしくは基材に塗工された層に含まれるシリコーン硬化阻害物質がシリコーン剥離層へ移行することのなく、広範な種類の粘着剤に対して対応可能な剥離シートが提供される。