特許第6197802号(P6197802)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6197802ロックダウン装置保持工具及び釣合車装置の位置調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6197802
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】ロックダウン装置保持工具及び釣合車装置の位置調整方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/06 20060101AFI20170911BHJP
【FI】
   B66B7/06 D
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-18425(P2015-18425)
(22)【出願日】2015年2月2日
(65)【公開番号】特開2016-141523(P2016-141523A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2016年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】松浦 直樹
【審査官】 大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−166606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/00− 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの釣合車装置に対するロックダウン装置の相対的な位置を保持するための保持工具であって、
前記釣合車装置の筐体に固定されたボルト取付部の上面に支持される上部と、
前記ロックダウン装置が有する突起部の下端を支持する下部と、
前記上部と前記下部とを繋ぐ側部と、
を備え
前記上部、前記下部及び前記側部が一体に形成されたロックダウン装置保持工具。
【請求項2】
前記筐体の面のうち前記ボルト取付部が固定された面には、スイッチが設けられ、
前記突起部の下端は、前記釣合車装置が前記ロックダウン装置に対して上昇移動した場合に上から前記スイッチに接触する部分であり、
前記上部には、前記ボルト取付部に取り付けられた調整ボルトが通る切欠部が形成され、
前記上部は、前記調整ボルトが前記切欠部を通っている状態で、前記調整ボルト及び固定具によって前記ボルト取付部に固定される請求項1に記載のロックダウン装置保持工具。
【請求項3】
エレベーターのロックダウン装置が有する突起部の上端が釣合車装置の筐体に固定されたボルト取付部に取り付けられた調整ボルトの下端に接触するまで前記ロックダウン装置を引き上げる工程と、
上部が前記ボルト取付部の上面に支持され、側部によって前記上部と繋がれた下部が前記突起部の下端を支持するようにロックダウン装置保持工具を取り付ける工程と、
釣合おもりとすれ違う高さまでかごを移動させる工程と、
前記釣合おもりに取り付けられた釣合ロープを締めることで前記釣合車装置を引き上げる工程と、
を備えた釣合車装置の位置調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロックダウン装置保持工具及び釣合車装置の位置調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、釣合車装置及びロックダウン装置を備えたエレベーターが知られている。釣合車装置の筐体の内部には、釣合車が設けられている。釣合車には、エレベーターのかご及び釣合おもりに取り付けられた釣合ロープが巻き掛けられている。ロックダウン装置は、釣合車装置の急激な上昇を阻止する。釣合車装置及びロックダウン装置としては、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−67454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
釣合ロープの伸び等により釣合車装置が下降した場合、釣合車装置を引き上げる必要がある。釣合車装置を引き上げる際にロックダウン装置が作動すると、復帰が非常に困難となる。ロックダウン装置の作動を回避しつつ釣合車装置の位置を調整するためには、長い作業時間又は複数の作業員を要する。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされた。その目的は、誤ってロックダウン装置を作動させることを防止できるロックダウン装置保持工具及び釣合車装置の位置調整方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るロックダウン装置保持工具は、エレベーターの釣合車装置に対するロックダウン装置の相対的な位置を保持するための保持工具であって、釣合車装置の筐体に固定されたボルト取付部の上面に支持される上部と、ロックダウン装置が有する突起部の下端を支持する下部と、上部と下部とを繋ぐ側部と、を備え、上部、下部及び側部が一体に形成されたものである。
【0007】
本発明に係る釣合車装置の位置調整方法は、エレベーターのロックダウン装置が有する突起部の上端が釣合車装置の筐体に固定されたボルト取付部に取り付けられた調整ボルトの下端に接触するまでロックダウン装置を引き上げる工程と、上部がボルト取付部の上面に支持され、側部によって上部と繋がれた下部が突起部の下端を支持するようにロックダウン装置保持工具を取り付ける工程と、釣合おもりとすれ違う高さまでかごを移動させる工程と、釣合おもりに取り付けられた釣合ロープを締めることで釣合車装置を引き上げる工程と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るロックダウン装置保持工具の上部は、釣合車装置の筐体に固定されたボルト取付部の上面に支持される。下部は、ロックダウン装置が有する突起部の下端を支持する。側部は、上部と下部とを繋ぐ。このため、本発明によれば、誤ってロックダウン装置を作動させることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】釣合車装置を備えたエレベーターの一例を示す構成図である
図2】釣合車装置の側面図である。
図3】釣合車装置の正面図である。
図4】本発明の実施の形態1におけるロックダウン装置保持工具の斜視図である。
図5】本発明の実施の形態1におけるロックダウン装置保持工具の三面図である。
図6】本発明の実施の形態1におけるロックダウン装置保持工具の取り付け方法を説明するための第1の図である。
図7】本発明の実施の形態1におけるロックダウン装置保持工具の取り付け方法を説明するための第2の図である。
図8】本発明の実施の形態1におけるロックダウン装置保持工具の取り付け方法を説明するための第3の図である。
図9】本発明の実施の形態1におけるロックダウン装置保持工具の取り付け方法を説明するための第4の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面を参照して、本発明を詳細に説明する。各図では、同一又は相当する部分に同一の符号を付している。重複する説明は、適宜簡略化あるいは省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、釣合車装置を備えたエレベーターの一例を示す構成図である。図1に示すように、エレベーターは、かご1、釣合おもり2及び巻上機3を備えている。かご1及び釣合おもり2は、昇降路内に設けられている。巻上機3には、巻上ロープ4が巻き掛けられている。かご1及び釣合おもり2は、巻上ロープ4によって吊り下げられている。かご1及び釣合おもり2は、巻上機3が駆動することにより昇降される。
【0012】
図1に示すように、エレベーターは、釣合車装置5を備えている。釣合車装置5は、筐体6及び釣合車7を備えている。釣合車7は、筐体6の内部に設けられている。釣合車7には、釣合ロープ8が巻き掛けられている。釣合ロープ8の一端は、かご1に取り付けられている。釣合ロープ8の当該一端は、例えば、かご1の側面の下端付近に取り付けられている。釣合ロープ8の他端は、釣合おもり2に取り付けられている。釣合ロープ8の当該他端は、例えば、釣合おもり2の側面の下端付近に取り付けられている。昇降路内の床面9には、レール10が垂直に固定されている。釣合車装置5は、レール10に沿って上下に移動可能である。
【0013】
図2は、釣合車装置の側面図である。図2に示すように、レール10は、第1レール10a及び第2レール10bを備えている。第2レール10bは、釣合車装置5を挟んで第1レール10aと対向している。釣合車装置5は、複数のガイド部11を備えている。ガイド部11は、筐体6に固定されている。ガイド部11は、第1レール10a又は第2レール10bに対して移動可能である。筐体6は、ガイド部11を介して、レール10に沿って上下移動する。以下、筐体6の外面のうち、第1レール10aに対向する面を「正面」、第2レール10bに対向する面を「背面」と呼ぶ。
【0014】
図2に示すように、レール10には、ロックダウン装置12が取り付けられている。第1レール10aには、第1ロックダウン装置12aが取り付けられている。第2レール10bには、第2ロックダウン装置12bが取り付けられている。第2ロックダウン装置12bは、第1ロックダウン装置12aと同じ高さに取り付けられている。
【0015】
図3は、釣合車装置の正面図である。図3は、図2に示す第1レール10a側から見た釣合車装置5及び第1ロックダウン装置12aを示している。
【0016】
図3に示すように、筐体6の正面には、ボルト取付部13、クワエ金具14及びスイッチ15が設けられている。ボルト取付部13は、例えば、垂直部分で筐体6の正面に固定されているL字状部材の水平部分である。筐体6の正面において、ボルト取付部13は、2つ設けられている。2つのボルト取付部13は、例えば、正面側から見て第1レール10aを中心に左右対称に配置されている。各ボルト取付部13には、調整ボルト16が取り付けられている。つまり、筐体6の正面において、調整ボルト16は、2本設けられている。調整ボルト16は、回転することでボルト取付部13に対して上下方向に移動可能である。クワエ金具14は、ボルト取付部13よりも低い位置に設けられている。クワエ金具14は、例えば、正面側から見て第1レール10aよりも右側に配置されている。スイッチ15は、ボルト取付部13よりも低くクワエ金具14よりも高い位置に設けられている。スイッチ15は、例えば、正面側から見て第1レール10aよりも左側に配置されている。
【0017】
なお、図3に示さない筐体6の背面にも、2つのボルト取付部13、クワエ金具14、スイッチ15及びボルト取付部13に取り付けられた調整ボルト16が設けられている。ただし、筐体6の背面のスイッチ15は、筐体6の正面のスイッチ15よりも高い位置に設けられている。筐体6の背面は、スイッチ15が設けられた位置を除いて、正面と同様に形成されている。以下、筐体6の正面のスイッチ15を「安全SW」とも呼ぶ。また、筐体6の背面のスイッチ15を「予報SW」とも呼ぶ。
【0018】
図3に示すように、第1ロックダウン装置12aは、シュー17、バネ18、コロ19及び突起部20を有している。シュー17及びバネ18は、例えば、正面側から見て第1レール10aよりも右側に配置されている。シュー17は、バネ18によって、右側から第1レール10aに押し付けられている。第1ロックダウン装置12aは、シュー17と第1レール10aとの間に働く摩擦力によって第1レール10aに支持されている。このため、第1ロックダウン装置12aは、上下方向に力を加えることで第1レール10aに対して移動可能である。コロ19は、シュー17よりも低い位置に設けられている。コロ19は、例えば、正面側から見て第1レール10aよりも右側に配置されている。つまり、コロ19は、第1レール10aに対して、シュー17及びクワエ金具14と同じ側に配置されている。突起部20は、例えば、第1ロックダウン装置12aの上端部から左側に突出して形成されている。つまり、突起部20は、第1レール10aに対して、スイッチ15と同じ側に配置されている。左右方向において、突起部20は、ボルト取付部13よりも短い。左右方向において、左側のボルト取付部13の左端は、突起部20の左端よりも左側に位置している。
【0019】
なお、図3に示さない第2ロックダウン装置12bも、第1ロックダウン装置12aと同様に形成されている。第2ロックダウン装置12bは、上下方向に力を加えることで第2レール10bに対して移動可能である。
【0020】
釣合車装置5が下降していくと、調整ボルト16の下端がロックダウン装置12に接触する。このとき、右側の調整ボルト16の下端は、ロックダウン装置12の上端に接触する。また、左側の調整ボルト16の下端は、突起部20の上端に接触する。釣合車装置5の重量が調整ボルト16を介してロックダウン装置12に掛かると、ロックダウン装置12は、第1レール10aに対して下向きに移動する。つまり、ロックダウン装置12は、釣合車装置5が下降する際に、釣合車装置5と一緒に下降する。
【0021】
一方、釣合車装置5が上昇する際には、ロックダウン装置12は移動しない。釣合車装置5が上昇していくと、スイッチ15が突起部20の下端に接触する。つまり、釣合車装置5が上昇していくと、突起部20と接触することでスイッチ15が入る。スイッチ15のうち予報SWは安全SWよりも高い位置にあるため、釣合車装置5が上昇した場合、先に予報SWが入り、その後に安全SWが入る。予報SWが入った場合、例えば、釣合車装置5が上昇したことをエレベーター制御装置等が検知する。安全SWが入った場合、エレベーターは電源OFF状態となる。スイッチ15が入った後、さらに釣合車装置5が上昇すると、クワエ金具14にコロ19が食い込む。クワエ金具14にコロ19が食い込むと、釣合車装置5の上昇が阻止される。
【0022】
釣合ロープ8の伸び等により釣合車装置5が下降した場合、釣合車装置5を上昇させるために位置調整作業が行われる。釣合車装置5の位置調整作業では、かご1の上に乗った作業員が釣合おもり2側で釣合ロープ8を締めることにより、釣合車装置5を引き上げる。従来、ロックダウン装置12の作動を回避しつつ釣合車装置5を引き上げるためには、例えば、釣合ロープ8を締める作業員だけでなく、昇降路内の床面9上においてロックダウン装置12を手動で上昇させる他の作業員が必要であった。また、従来、1人で位置調整作業を実施する作業員は、例えば、釣合ロープ8を少し締めるたびに昇降路内の床面9上に移動してロックダウン装置12の状態を確認していた。
【0023】
図4は、実施の形態1におけるロックダウン装置保持工具の斜視図である。図4に示すように、ロックダウン装置保持工具50は、上部51、側部52及び下部53を備えている。上部51の一端には、U字形の切欠部54が形成されている。上部51の他端は、側部52の一端と垂直に連続している。側部52の他端は、下部53の一端と垂直に連続している。つまり、側部52は、上部51の他端と下部53の一端とを繋いでいる。下部53の上面は、上部51の下面と平行に対向している。上部51、側部52及び下部53は、例えば、一体に形成されている。ロックダウン装置保持工具50は、例えば、1枚の板状部材を2回屈曲させることにより形成されている。ロックダウン装置保持工具50は、例えば、鉄等の材質で形成されている。
【0024】
図5は、実施の形態1におけるロックダウン装置保持工具の三面図である。以下、便宜上、側部52を左側に向けた場合における左右方向の長さを「幅」、前後方向の長さを「奥行き」、上下方向の長さを「高さ」という。
【0025】
図5に示すように、上部51、側部52及び下部53は、奥行きが同一に形成されている。また、上部51、側部52及び下部53は、厚さが同一に形成されている。下部53は、その一端から他端までの幅が、上部51の一端から他端までの幅よりも短く形成されている。切欠部54は、上部51の奥行きの中心よりも手前に形成されている。
【0026】
上部51、側部52及び下部53の奥行きは、例えば、50mmである。上部51、側部52及び下部53の厚さは、例えば、5mmである。上部51の下面の幅は、例えば、40mmである。下部53の上面の幅は、例えば、30mmである。切欠部54の幅は、例えば、20mmである。切欠部54の左端部は、例えば、半径6mmの半円状に形成されている。切欠部54の奥行きは、例えば、12mmである。切欠部54の手前側端部から上部51の手前側端部までの長さは、例えば、10mmである。切欠部54の奥側端部から上部51の奥側端部までの長さは、例えば、28mmである。つまり、切欠部54は、上部51の前後方向において、例えば、手前側10mmの位置から奥側28mmの位置までの範囲に形成されている。
【0027】
図6は、実施の形態1におけるロックダウン装置保持工具の取り付け方法を説明するための第1の図である。図7は、実施の形態1におけるロックダウン装置保持工具の取り付け方法を説明するための第2の図である。図8は、実施の形態1におけるロックダウン装置保持工具の取り付け方法を説明するための第3の図である。図6及び図7は、正面側から見た釣合車装置5及び第1ロックダウン装置12aの拡大図である。図8は、第1ロックダウン装置12aにロックダウン装置保持工具50が取り付けられた状態を示す斜視図である。図6図7及び図8に示すスイッチ15は、安全SWである。以下、図6図7及び図8を参照して、第1ロックダウン装置12aに対するロックダウン装置保持工具50の取り付け方法を説明する。
【0028】
まず、突起部20の上端が調整ボルト16の下端に接触するまで第1ロックダウン装置12aを上昇させる。次に、図6に示すように、側部52を左側に向けた状態で、ロックダウン装置保持工具50を左から右へ移動させる。このとき、図7に示すように、上部51と下部53との間に左側のボルト取付部13及び突起部20を嵌め込むようにしてロックダウン装置保持工具50を配置する。また、このとき、切欠部54に調整ボルト16を通すようにしてロックダウン装置保持工具50を配置する。つまり、ロックダウン装置保持工具50は、第1ロックダウン装置12aの横から挿入するようにして設置される。その後、図8に示すように、調整ボルト16を利用して、上部51を固定具55で左側のボルト取付部13に固定する。固定具55は、例えば、ナット、スペーサー及びワッシャー等である。なお、図6の破線が示すように、ロックダウン装置保持工具50は、取り付けの際に安全SWのケースと干渉しない。
【0029】
調整ボルト16に接触している状態の突起部20の下端から左側のボルト取付部13の上面までの距離は、調整ボルト16を回転させることで調整される。当該距離は、ロックダウン装置保持工具50を取り付ける前に、側部52の内側の高さ以下に調整される。側部52の内側の高さは、下部53の上面から上部51の下面までの高さである。
【0030】
図8に示すように、ロックダウン装置保持工具50が取り付けられると、上部51は、左側のボルト取付部13の上面に支持される。下部53は、突起部20の下端を支持する。側部52は、上部51と下部53とを繋いでいる。このように、第1ロックダウン装置12aは、ロックダウン装置保持工具50により釣合車装置5の正面側と連結される。
【0031】
上部51及び下部53は、例えば、奥行きがボルト取付部13及び突起部20の前後方向における長さに合うように形成されている。上部51は、例えば、ボルト取付部13を有するL字状部材の垂直部分に接触しない範囲で、切欠部54よりも奥側の部分の奥行きが可能な限り長くなるように形成されている。切欠部54は、上部51の前後方向において、ロックダウン装置保持工具50が取り付けられた状態で調整ボルト16が通る位置に形成されている。切欠部54は、奥行きが調整ボルト16の太さ以上となるように形成されている。
【0032】
上部51は、例えば、幅がボルト取付部13の左右方向における長さに合うように形成されている。下部53は、例えば、幅が突起部20の左右方向における長さに合うように形成されている。下部53は、上部51よりも幅が短くなるように形成されている。上部51の幅及び下部53の幅は、例えば、ロックダウン装置保持工具50が取り付けられた状態で、側部52の左端がスイッチ15のケースと干渉しない長さに設定されている。切欠部54は、例えば、ロックダウン装置保持工具50が取り付けられた状態で、半円状の左端部の中心を調整ボルト16の中心軸が通るように形成されている。
【0033】
図9は、実施の形態1におけるロックダウン装置保持工具の取り付け方法を説明するための第4の図である。図9は、背面側から見た釣合車装置5及び第2ロックダウン装置12bの拡大図である。図9に示すスイッチ15は、予報SWである。
【0034】
図9に示すように、予報SWは、調整ボルト16の下端に近い高さに設けられている。ロックダウン装置保持工具50は、第2ロックダウン装置12bに対する取り付けの際には、予報SWのケースと干渉する。このため、第2ロックダウン装置12bに対するロックダウン装置保持工具50の取り付けは、例えば、予報SWのケースを一旦ずらした状態で行われる。予報SWは、例えば、ロックダウン装置保持工具50を取り付けた後に、元の位置に戻される。第2ロックダウン装置12bに対するロックダウン装置保持工具50の取り付け方法は、予報SWとの干渉を避けるための作業を除いて、第1ロックダウン装置12aに対するものと同様である。このようにして、第2ロックダウン装置12bは、図9に示すように、ロックダウン装置保持工具50により釣合車装置5の背面側と連結される。
【0035】
ロックダウン装置保持工具50を用いた釣合車装置の位置調整方法は、例えば、第1工程、第2工程、第3工程及び第4工程を備える。第1工程では、エレベーターのロックダウン装置12が有する突起部20の上端が釣合車装置5の筐体6に固定されたボルト取付部13に取り付けられた調整ボルト16の下端に接触するまで、ロックダウン装置12を引き上げる。第2工程では、上部51がボルト取付部13の上面に支持され、側部52によって上部51と繋がれた下部53が突起部20の下端を支持するように、ロックダウン装置保持工具50を取り付ける。第2工程では、第1ロックダウン装置12a及び第2ロックダウン装置12bのそれぞれに対して1つずつロックダウン装置保持工具50を取り付ける。第3工程では、かご1に乗車し、釣合おもり2とすれ違う高さまでかご1を移動させる。釣合おもり2とすれ違う高さとは、例えば、かご1の上端と釣合おもり2の下端とが並ぶ高さである。第4工程では、かご1の上に登り、釣合おもり2に取り付けられた釣合ロープ8を締めることで釣合車装置5を引き上げる。
【0036】
実施の形態1において、ロックダウン装置保持工具50の上部51は、釣合車装置5の筐体6に固定されたボルト取付部13の上面に支持される。下部53は、ロックダウン装置12が有する突起部20の下端を支持する。側部52は、上部51と下部53とを繋ぐように形成されている。ロックダウン装置保持工具50を用いて釣合車装置5とロックダウン装置12を連結することで、釣合車装置5の上昇に伴ってロックダウン装置12を上昇させることができる。つまり、ロックダウン装置保持工具50は、エレベーターの釣合車装置5に対するロックダウン装置12の相対的な位置を保持する保持工具である。本発明によれば、釣合車装置5を引き上げる際に、誤ってロックダウン装置12を作動させることを防止できる。これにより、例えば、従来2人で行う場合に2時間を要した位置調整作業が、1人で行う場合であっても1時間程度で完了することができる。その結果、釣合車装置5の位置調整作業の効率を向上させることができる。
【0037】
実施の形態1において、筐体6の面のうちボルト取付部13が固定された面には、スイッチ15が設けられている。突起部20の下端は、釣合車装置5がロックダウン装置12に対して上昇移動した場合に上からスイッチ15に接触する部分である。ロックダウン装置保持工具50の上部51には、ボルト取付部13に取り付けられた調整ボルト16が通る切欠部54が形成されている。上部51は、調整ボルト16が切欠部54を通っている状態で、調整ボルト16及び固定具55によってボルト取付部13に固定される。つまり、本発明によれば、釣合車装置5及びロックダウン装置12が元から備えている構成を利用して、釣合車装置5にロックダウン装置12を連結する。このため、本発明によれば、より簡単な構成で、釣合車装置の位置調整作業の効率を向上させるロックダウン装置保持工具50を実現できる。
【0038】
実施の形態1において、ロックダウン装置保持工具50は、例えば、1つの部材から一体に形成される。また、ロックダウン装置保持工具50は、取り付けられる際に、ロックダウン装置12の横から挿入するようにして設置される。このため、本発明によれば、強度が高く取り付けが容易なロックダウン装置保持工具50を実現できる。
【0039】
実施の形態1において、上部51及び下部53は、例えば、奥行きがボルト取付部13及び突起部20の前後方向における長さに合うように形成されている。上部51は、例えば、幅がボルト取付部13の左右方向における長さに合うように形成されている。下部53は、例えば、幅が突起部20の左右方向における長さに合うように形成されている。つまり、ロックダウン装置保持工具50は、ボルト取付部13及び突起部20と接触する面積が可能な限り大きくなるように形成されている。このため、本発明によれば、強度が高いロックダウン装置保持工具50を実現できる。
【0040】
本発明におけるロックダウン装置保持工具50は、実施の形態1で説明したものに限らない。ロックダウン装置保持工具50は、例えば、上部51の幅と下部53の幅とが同一のものでもよい。ロックダウン装置保持工具50は、例えば、上部51の幅が下部53の幅よりも短いものでもよい。ロックダウン装置保持工具50は、例えば、上部51の奥行きと下部53の奥行きとが異なるものでもよい。ロックダウン装置保持工具50は、例えば、切欠部54が形成されていないものでもよい。これらの場合であっても、上部51がボルト取付部13に支持され且つ下部53が突起部20を支持する形状に形成されていれば、ロックダウン装置保持工具50を用いることで、釣合車装置5の上昇に伴ってロックダウン装置12を上昇させることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 かご
2 釣合おもり
3 巻上機
4 巻上ロープ
5 釣合車装置
6 筐体
7 釣合車
8 釣合ロープ
9 床面
10 レール
10a 第1レール
10b 第2レール
11 ガイド部
12 ロックダウン装置
12a 第1ロックダウン装置
12b 第2ロックダウン装置
13 ボルト取付部
14 クワエ金具
15 スイッチ
16 調整ボルト
17 シュー
18 バネ
19 コロ
20 突起部
50 ロックダウン装置保持工具
51 上部
52 側部
53 下部
54 切欠部
55 固定具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9