特許第6197809号(P6197809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6197809-表面実装インダクタ 図000002
  • 特許6197809-表面実装インダクタ 図000003
  • 特許6197809-表面実装インダクタ 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6197809
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】表面実装インダクタ
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/29 20060101AFI20170911BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   H01F15/10 D
   H01F17/04 F
   H01F15/10 F
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2015-37831(P2015-37831)
(22)【出願日】2015年2月27日
(65)【公開番号】特開2016-162802(P2016-162802A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2016年6月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 環
(72)【発明者】
【氏名】佐々森 邦夫
【審査官】 池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−266954(JP,A)
【文献】 特開平11−219827(JP,A)
【文献】 特開2015−088639(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0116070(US,A1)
【文献】 特開2003−109824(JP,A)
【文献】 特開2005−285901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/29
H01F 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻軸の両端に円形状の鍔を有するドラム型コアと、
前記ドラム型コアを収納する円形状の孔を有する、平面視略正方形状のリング型コアと、
前記ドラム型コアの前記巻軸に巻回された巻線と、
前記リング型コアの側面に対向する位置に配置されるコの字状に折り曲げられた一対の金属端子と、を有し
前記金属端子は、前記巻線と、前記リング型コアの内部で接続され、
前記金属端子は両端に離間して配置された複数の爪部を有し、
前記爪部は、前記孔の内壁に沿って折り曲げられて、
前記リング型コアの孔の内壁と前記ドラム型コアの鍔の外周との間に挿入され、
前記リング型コアの前記金属端子が対向して配置された側面と隣接する側面から延在する上下端面がともに、前記ドラム型コアの対向する鍔面より低く、
前記対向する鍔面の間の距離は、前記上下端面の間の距離よりも長くなっていることを特徴とする表面実装インダクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラム型コアとドラム型コアを収納するリング型コアとからなるインダクタに関する。
【0002】
DC/DCコンバータ等のチョークコイル用として、巻線したドラム型コアをリング型コアの孔に収納した、閉磁路構造のインダクタが用いられている。このようなインダクタは、直流重畳電流の値を高めるために、ドラム型コアとリング型コアとの間に数100μm程度の空隙を設け、磁気飽和し難くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−243192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したインダクタにおいて、ドラム型コアとリング型コアとの位置は接着剤等により固定されるが、量産時にドラム型コアとリング型コアとの相対位置の精度を、工程作業時間を短くしつつ、高めることは困難であり、空隙の間隔にばらつきが生じる。
【0005】
一般的に空隙の間隔が小さいと、インダクタはインダクタンス値が増加するとともに直流重畳特性が低下する。そのため、ばらつきを考慮して製品仕様を低く見積もっている。
しかし、このばらつきが大きく、鍔の外周がリング型コアの孔の内壁に接触した場合は、インダクタンス値が著しく増加するとともに直流重畳特性も著しく低下する。その結果、製品仕様を大きく外れて不良の原因となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の表面実装インダクタは、
巻軸の両端に鍔を有するドラム型コアと、
前記ドラム型コアを収納する孔を有するリング型コアと、
前記リング型コアの側面の対向する位置に配置されるコの字状に折り曲げられた一対の金属端子とからなり、
前記金属端子は両端に離間して配置された複数の爪部を有し、
前記爪部は、前記孔の内壁に沿って折り曲げられて、
前記ドラム型コアの孔の内壁と前記リング型コアの鍔の外周との間に挿入されている
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、量産時の不良が少ない表面実装インダクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の表面実装インダクタの斜視図である。
図2】本発明の表面実装インダクタの分解斜視図である。
図3】本発明の表面実装インダクタの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の表面実装インダクタの一実施例を説明する。
図1は、本発明の表面実装インダクタの一実施例を示す斜視図であり、図2は分解斜視図である。図において、金属端子の配置された対向する側面の方向をx軸方向、x軸方向と直交する対向する側面の方向をy軸方向、高さ方向をz軸方向とする。
【0010】
図1および図2に示すように、面実装インダクタ10は、巻軸21の両端に鍔22、22を有するドラム型コア20と、
ドラム型コア20の巻軸21に巻回された巻線50と、
平面視で角部が面取りされた正方形で、ドラム型コア20を収納するための上下の端面を貫通する孔31が設けられたリング型コア30と、
金属板を断面がコの字形状に折り曲げ、リング型コア30の対向する側面に配置された一対の金属端子40、40とからなる。
【0011】
金属端子40は、両端にそれぞれ2つの爪部41、41が離間して設けられ、リング型コア30の側面に嵌め込まれている。そして、爪部41が、孔31の内壁に沿って折り曲げられて、ドラム型コアとリング型コアの間の空隙11に爪部41が挟み込まれる。
【0012】
リング型コア30において、
金属端子が対向して配置された側面を側面32a、側面32aと隣接する側面を32bとすると、
側面32a、32aから延在する端面33a、33aと、
側面32b、32bから延在する、端面33a、33aより高さの低い、端面33b、33bとが、上下の端面にそれぞれ設けられ、端面33aと端面33bとの間には段差34が設けられている。
【0013】
巻線50の端末51、51は、金属端子40、40にそれぞれはんだ付け等されて、電気的に接続される。
【0014】
リングコア30の側面32aと側面32bの高さが異なっており、側面32aの高さT32aはドラム型コアの高さT20と略同じであり、側面32bの高さはドラム型コア20の巻軸の長さをT21より短い。
【0015】
図3は、面実装インダクタ10の断面図であり、図3(a)は、図1においてA−Aで示した縦断面図であり、図3(b)は、図1においてB−Bで示した縦断面図である。
【0016】
図3(a)および図3(b)に示すように、面実装インダクタ10は、x軸方向が空隙11に爪部41が挟み込まれているので、x軸方向のずれに対してドラム型コア20とリング型コア30とが接触することがなく、y軸方向がリング型コアの側面の端部の鍔面より低くなっているので、y軸方向に対しては、ドラム型コア20とリング型コア30とが接触することがない。
その結果、たとえ、ドラム型コアとリング型コアとの相対位置がずれても、ドラム型コアとリング型コアが接触することがない面実装インダクタとすることができ、量産時の不良の少ない表面実装インダクタを提供することができる。
【0017】
なお、爪部は離間して複数配置されているので、ドラム型コアとリング型コアの相対位置がy軸方向にずれたとしても、安定して、x軸方法のずれを抑制することができる。
また、端面33bの面積が少ないと、ドラム型コア20とリング型コア30と大きくずれた場合に接触する可能性があるので、端面33aは面積がなるべく広い方が望ましい。
【符号の説明】
【0018】
10 面実装インダクタ
11 空隙
20 ドラム型コア
21 巻軸
22 鍔
30 リング型コア
31 孔
32a、32b 側面
33a、33b 端面
34 段差
40 金属端子
41 爪部
50 巻線
51 端末
図1
図2
図3