特許第6197836号(P6197836)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6197836移動式クレーンに備えられたスタンション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6197836
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】移動式クレーンに備えられたスタンション
(51)【国際特許分類】
   B66C 15/00 20060101AFI20170911BHJP
   B66C 23/26 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   B66C15/00 K
   B66C23/26 C
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-147713(P2015-147713)
(22)【出願日】2015年7月27日
(65)【公開番号】特開2017-24889(P2017-24889A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2016年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100109058
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】村山 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】小川 洋平
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−100537(JP,A)
【文献】 特開2005−186773(JP,A)
【文献】 特開2012−210884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 15/00 − 15/06
E04G 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動式クレーンに備えられるブームが載置された状態において、前記ブームの長手方向に、所定の間隔ごとに複数配設された長尺の棒体と、前記複数の棒体の間を、掛け渡される索体と、を有する移動式クレーンに備えられたスタンションであって、
前記棒体には、前記索体が掛け渡されるステイが複数配備されていて、
前記棒体に複数配備されているステイのうち、少なくとも一のステイは、上方に配備されている他のステイに対して、前記棒体の長手方向軸心回りに可変とされていると共に、前記棒体の長手方向に沿って上下方向に移動可能とされている
ことを特徴とする移動式クレーンに備えられたスタンション。
【請求項2】
前記棒体の前記ブーム上での張出状態において、前記他のステイが一方方向を向けて固定されて配備されると共に、前記一のステイが前記棒体の長手方向軸心回りに回転させて所定の方向に向けた上で、当該棒体に固定して配備される
ことを特徴とする請求項1に記載の移動式クレーンに備えられたスタンション。
【請求項3】
前記棒体は、前記ブームに対して張出及び格納自在の構成とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の移動式クレーンに備えられたスタンション。
【請求項4】
前記一のステイは、リング形状であって、前記一のステイのリング面の向く方向が前記ブームの長手方向に対して、沿う方向又は交差する方向に可変とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の移動式クレーンに備えられたスタンション。
【請求項5】
前記一のステイは、上部及び下部が開放されていて、内部に前記棒体が挿通される円筒部材の外周面に、前記棒体の長手方向軸心に対して交差する方向に突出して取り付けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の移動式クレーンに備えられたスタンション。
【請求項6】
前記一のステイは、前記棒体の長手方向軸心回りに回動自在に配備されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の移動式クレーンに備えられたスタンション。
【請求項7】
前記棒体に複数配備されている前記ステイのうち、前記一のステイは、上下方向に長尺であり、当該一のステイ内に前記棒体が内嵌する二重筒状の構成とされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の移動式クレーンに備えられたスタンション。
【請求項8】
前記一のステイは、使用者の腰部に対応した位置に配備されると共に、他のステイは使用者の肩部に対応した位置に配備されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の移動式クレーンに備えられたスタンション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者がブーム上面に搭乗して移動式クレーンの組立・解体作業する際に用いられるものであって、移動式クレーンのブームに備えられたスタンション(手摺り)に関する。
【背景技術】
【0002】
クローラクレーンなどに代表される移動式クレーンは、例えば、数メートルから数十メートルに及ぶ長いブームを備え、このブームに備えられたフック装置などを用いて様々な荷物を吊下する作業(クレーン作業)を行う。
ところで、移動式クレーンは、本体やブームが個別に解体された上でトラックなどに積載されて、作業現場まで輸送される。輸送先の作業現場においては、個別に解体された本体やブームが作業者によって組み立てられる。
【0003】
作業現場において移動式クレーンを組み立てる際には、作業者は地面に載置されたブームの上部(上面)に搭乗することがある。また、解体作業においても、地面などに載置されたブームの上部に作業者が搭乗することがある。
地面に載置されたブームは、高さが作業者の背丈より高く、特に大型の移動式クレーンのブームにおいては高さが数mとなる。ブームの上部で移動式クレーンの組立・解体作業する際には、作業場所が高くなるので、作業者の安全性を確保する必要がある。ブームの上部における作業者の安全性を確保する装置としては、例えばスタンション(手摺り)が挙げられる。スタンションの技術としては、例えば特許文献1、2に開示されている。
【0004】
特許文献1に開示の技術は、ブームに備えられ、且つそのブームから出退可能となっているクレーンブームの作業足場装置であって、クレーンブームの背面に取り付けられる足場板と、前記足場板の側部に配置される支柱と、前記支柱を、前記足場板の上方へ突出した使用位置と、前記足場板の上方への突出量が前記使用位置のときよりも小さくなる格納位置との間で移動可能に支持するブラケットと、前記ブラケットと前記支柱との間に配設され、前記支柱を前記使用位置および前記格納位置にそれぞれ拘束可能な拘束手段と、を具備する。
【0005】
特許文献2に開示の技術は、ブームに着脱可能なクレーンのブーム組立,解体作業用安全装置であって、安全帯を取り付けるロープの連結部が上端側に設けられた支柱と、クレーンのブームの上側メインパイプ間に架け渡されたラチスの隣接するラチス間にUボルトを介して着脱自在にボルト締めされ、上記支柱の立設用取付部が設けられた板状のベース部材とからなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−133671号公報
【特許文献2】特開平8−100537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年では、移動式クレーンの組立・解体作業時の安全性に対する要求が高くなってきている。例えば、ブームの上部で組立・解体作業する作業者の安全性を確保するスタンションを、上記した特許文献1、2など従来の技術より、さらに安全性の高いものにして欲しいといった要望がある。
例えば、スタンション高さを作業者の腰部の高さにした場合、作業者の腰部より上側にはロープが存在せず安全性が低下する虞があるので、その作業者の腰部より上側の安全性を確保して欲しいといった要望がある。
【0008】
また、スタンションの高さを作業者の肩部の高さにした場合、ロープの下側に大きな空間が形成されることとなり、その空間が作業者の下側の安全性を低下させる原因となるので、その作業者の下側の安全性を確保して欲しいといった要望がある。
また、安全帯には、フルハーネス型(作業者の胴部の他に腿部や肩部にもベルトを通すタイプ)と胴ベルト型があり、現場の規則や作業者の準備したベルトによって、スタンション高さを変更したいといった要望もある。
【0009】
そこで本発明は、上記問題点に鑑み、移動式クレーンの組立・解体作業時に、載置されたブームの上部において、作業者がより安全性を確保することができる移動式クレーンに備えられたスタンションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明のかかる移動式クレーンに備えられたスタンションは、移動式クレーンに備えられるブームが載置された状態において、前記ブームの長手方向に、所定の間隔ごとに複数配設された長尺の棒体と、前記複数の棒体の間を、掛け渡される索体と、を有する移動式クレーンに備えられたスタンションであって、前記棒体には、前記索体が掛け渡されるステイが複数配備されていることを特徴とする。
【0011】
好ましくは、前記ステイのうち、少なくとも1つのステイは、前記棒体の長手方向軸心回りに可変とされているとよい。
好ましくは、前記棒体に複数配備されている前記ステイのうち、一のステイは、前記棒体の長手方向軸心回りに可変とされているとよい。
好ましくは、前記一のステイは、リング形状であって、前記一のステイのリング面の向く方向が前記ブームの長手方向に対して、沿う方向又は交差する方向に可変とされているとよい。
【0012】
好ましくは、前記一のステイは、上部及び下部が開放されていて、内部に前記棒体が挿通される円筒部材の外周面に、前記棒体の長手方向軸心に対して交差する方向に突出して取り付けられているとよい。
好ましくは、前記一のステイは、前記棒体の長手方向軸心回りに回動自在に配備されているとよい。
【0013】
好ましくは、前記棒体に複数配備されている前記ステイのうち、前記一のステイは、上下方向に長尺であり、当該一のステイ内に前記棒体が内嵌する二重筒状の構成とされているとよい。
好ましくは、前記一のステイは、使用者の腰部に対応した位置に配備されると共に、他のステイは使用者の肩部に対応した位置に配備されているとよい。
また、本発明にかかる移動式クレーンに備えられたスタンションの最も好ましい形態は、移動式クレーンに備えられるブームが載置された状態において、前記ブームの長手方向に、所定の間隔ごとに複数配設された長尺の棒体と、前記複数の棒体の間を、掛け渡される索体と、を有する移動式クレーンに備えられたスタンションであって、前記棒体には、前記索体が掛け渡されるステイが複数配備されていて、前記棒体に複数配備されているステイのうち、少なくとも一のステイは、上方に配備されている他のステイに対して、前記棒体の長手方向軸心回りに可変とされていると共に、前記棒体の長手方向に沿って上下方向に移動可能とされていることを特徴とする。
また好ましくは、前記棒体の前記ブーム上での張出状態において、前記他のステイが一方方向を向けて固定されて配備されると共に、前記一のステイが前記棒体の長手方向軸心回りに回転させて所定の方向に向けた上で、当該棒体に固定して配備されるとよい。
また好ましくは、前記棒体は、前記ブームに対して張出及び格納自在の構成とされているとよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の移動式クレーンに備えられたスタンションによれば、移動式クレーンの組立・解体作業時に、載置されたブームの上部において、作業者がより安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】組立及び分解作業時における移動式クレーンの概略を示した図であり、ブームが略水平方向に設置された状態を示した図である。
図2】本発明の実施形態にかかる移動式クレーンに備えられたスタンションを模式的に示した図であり、ブームの側方に配備された棒体の張出状態を示す図である。
図3A】本発明の実施形態にかかるスタンションを構成する棒体の上部を拡大した側面図である。
図3B】本発明の実施形態にかかるスタンションを構成する棒体の上部を拡大した平面図である。
図3C】スタンションを構成する一のステイの取り付け角度を変更した場合の平面図である。
図4】本発明の実施形態にかかるスタンションの構成を模式的に示した図である。
図5】スタンションを構成する一のステイを模式的に示した図である。
図6】スタンションを構成する棒体の格納状態を示した図である。
図7】本発明の実施形態にかかるスタンションの第1変形例を示した図である。
図8A】本発明の実施形態にかかるスタンションの第2変形例を示した図であり、棒体の張出状態を示した図である。
図8B】本発明の実施形態にかかるスタンションの第2変形例を示した図であり、棒体の格納状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
本実施形態では、移動式クレーン1のブーム6の側方に備えられ、且つ作業者がブーム6の上部で移動式クレーン1の組立・分解作業するときに、作業者の安全性を確保するスタンションについて説明する。しかしながら、その前に、スタンションが備えられている移動式クレーン1について、ラチスブーム式のクローラクレーンを例に挙げて説明する。
【0017】
図1は、組立・解体作業時の状態のラチスブーム式のクローラクレーン1の概略を示した図であるので、クローラクレーン1を構成する一部の部材を省略して描いている。
図1に示すように、本実施形態における移動式クレーン1(以下、単にクレーンと呼ぶ。)は、ラチスブーム6を備えたラチスブーム式のクローラクレーンであり、上部旋回体2と、上部旋回体2を旋回自在に下から支持するとともに、走行を行う下部走行体4とを備えている。
【0018】
下部走行体4には、地面や路面を走行可能とする、金属製の帯体を環状に形成してなる無限軌道(クローラ5)が、左右方向の両端にそれぞれ備えられ、上部旋回体2を旋回自在に下から支持し、且つ長手方向軸心回りに旋回させる旋回手段3が、中央上部に備えられている。
上部旋回体2には、フック装置などを吊りロープを介して吊り下げる長尺のブーム6が、左右方向中央の前方に備えられていて、そのブーム6に対して略平行となるように張り渡された主巻ワイヤロープを巻き取る主巻ドラム7がブーム6の後方に備えられている。
【0019】
なお、ラチスブーム式のクローラクレーン1などの大型のクレーンに備えられた長尺のブーム6は、複数のセグメントごとに分割されている。クレーン1の組立時には、作業者によって複数のセグメントが連結されて、長尺のブーム6として組み立てられる。一方、クレーン1の解体時には、作業者によってセグメントごとに分解されて、輸送用のトラックなどに積載される。
【0020】
また、上部旋回体2には、上記のブーム6を操作する操作ユニットが内部に配備されたキャブ8(運転室)が、左右方向一方側(右側)の前方に備えられていて、エンジンなどクレーン1を駆動させる装置を内部に格納するエンジンガード9が、キャブ8の後方に備えられている。上部旋回体2には、上部にブーム6に対して交差方向に伸びるマスト10が配備されていて、後方にカウンタウェイト台車11が配備されている。
【0021】
ところで、クレーン1の組立・解体作業時、すなわちブーム6のセグメントの連結・分解作業を行うときには、ブーム6のセグメントごとに、その上部(上面)にスタンション12(手摺り)が備えられている。
ここで、ブーム6の上部とは、図2に示すように、地面や路面など床面上に対して、略水平載置された状態のブーム6の上側を指し示す。また、図2の紙面貫通方向を、ブーム6の左右(幅)方向とし、図2の左右方向をブーム6の前後方向(長手方向)とする。
【0022】
なお、以下の本実施形態を説明する上で、複数のセグメントに分解されたブーム6のうち、1つのセグメントを例に挙げて説明する。また、本実施形態のスタンション12は、ブーム6の右側方(ブーム6の基端側から見て右側)に備えられているものを例示して、説明する。なお、本実施形態のスタンション12は、ブーム6の左側方、或いは両側に備えられていても適用可能である。
【0023】
また、本実施形態においては、ブーム6内部に格納自在とされたスタンション12を例示して説明するが、ブーム6に対して着脱可能とされたスタンション12であっても、本実施形態の技術は適用可能である。
このスタンション12は、ブーム6の上部で組立・分解作業を行っている作業者の安全性を確保するためのものである。
【0024】
本実施形態にかかるスタンション12は、ブーム6の右側方に備えられていて、ブーム6に対して上下方向に移動自在とされたものである。ブーム6の組立・分解作業を行うときには、スタンション12を構成する棒体13が、ブーム6の上部から上方に突出するように張り出され(棒体13の張出状態)、ブーム6の組立・分解作業を終えると、棒体13がブーム6の内部に格納される(棒体13の格納状態)。
【0025】
なお、本実施形態にかかる格納自在とされたスタンション12は、ブーム6が地面や路面に載置された状態で機能するものであり、クレーン作業中には格納された上で張出動作しないようにロックされている。
図2図3に示すように、本実施形態のスタンション12は、ブーム6のセグメントごとに備えられているものであり、ブーム6の長手方向に所定の間隔ごとに複数配設された長尺の棒体13と、両端部にフック15,17が備えられ、複数の棒体13の間をフック15,17を介して掛け渡される索体14,16(ロープ体)とを有し、この棒体13には、フック15,17が掛け止めされるリング状のステイが複数配備されている。
【0026】
つまり、本実施形態のスタンション12は、索体14,16が2本張られた2段式の手摺り(安全柵)とされている。なお、本実施形態においては、2段式の手摺りとしているが、複数本索体を張って、多段式の手摺りとしてもよい。
なお、本実施形態の索体14,16(紐体)及びフック15,17は、当業者常法のものであり、ロープ、チェーンなどクレーン1の組立・解体作業を行う際に、安全が確保できるものであれば、特に限定しない。
【0027】
棒体13は、上端と下端が開放された円筒形状のパイプ材で形成されたポールであり、張出状態とした際、上部がおよそ作業者の肩部に対応する位置となるような長さとされている。すなわち、棒体13の長さは、作業者の腰部に対応する一のステイ18と、作業者の肩部に対応する他のステイ21(共に詳細は後述)とが棒体13に配備されるため、張出状態の棒体13が固定される部位(下部)を含めて、作業者の身長程度のものとされている。
【0028】
この棒体13の下部(基端側)には、棒体13の張出状態を維持するためのピン26が挿入される貫通孔が形成されている。
また、棒体13の長手方向中途部には、棒体13の張出状態の際、一のステイ18が取り付けられた円筒部材20を、その長手方向中途部において支持するためのピン26が挿入される貫通孔が複数形成されている。なお、棒体13の長手方向中途部の貫通孔は、棒体13の格納状態の際にも、棒体13を固定するために用いられる。
【0029】
棒体13の上部(先端側)には、第2索体16に備えられたフック17を受け止めする他のステイ21が取り付けられている。以降、一のステイ18を「中間ステイ」、他のステイ21を「上部ステイ」と呼ぶこともある。
ところで、ブーム6の右側方の上部には、棒体13を上下方向に案内すると共に、張出・格納状態を維持するブラケット23が、棒体13と同数配設されている。
【0030】
このブラケット23は、棒体13を内挿して上下方向に案内する円筒部材24(以降、ブラケット部材と呼ぶ)と、このブラケット部材24が取り付けられ、ブーム6に固定される基台25とを有している。
ブラケット部材24は、内周径が棒体13の外周径と略同じとされていて、長さが棒体13と比して短尺とされている。ブラケット部材24は、棒体13の張出状態のとき、棒体13の下部を安定して支持し、且つ棒体13の格納状態のとき、棒体13が下方に落下しないように支持するものである。このブラケット部材24の外周面には、孔が形成されていて、その孔に棒体13の張出・格納状態を維持するためのピン26が挿入される。
【0031】
基台25は、所定の広さを有する板片であって、一方側の平面にブラケット部材24が溶接などにて固定されている。
このブラケット23は、基台25の一方の平面に固定されたブラケット部材24が、ブーム6右側方の外側に位置し、且つ長手方向の軸心が上下方向を向くように、ブーム6右側方にボルトなどの締結具28を介して取り付けられる。
【0032】
さて、図2図4に示すように、上部ステイ21(他のステイ)は、上段に張られる第2索体16の両端部に備えられたフック17を受け止めするフック受け具であり、ブーム6の側面視で、クレーン1の組立・解体作業を行う作業者の肩部近傍に来るように配備される。この上部ステイ21は、棒体13の張出状態において、一方方向を向けて固定されて配備されるものである。
【0033】
本実施形態においては、上部ステイ21は、短尺で小径とされた円柱状の棒材を、U字状に湾曲させた上で、湾曲部位が棒体13の上部に位置するように、直線状の部位を棒体13の上部外周面に取り付けて、リング形状としたものである。
すなわち、U字状に湾曲された上部ステイ21は、ブーム6の上部から上方に向けて突出するように、棒体13の上部外周面の一方側から、向き合う他方側へ掛け渡して取り付けられたものである。
【0034】
上部ステイ21の向きは、棒体13の張出状態において、リング形状の内側を含む平面(リング面22)が、ブーム6の一方方向を向いている。
具体的には、図3Aの左側及び右側の図に示すように、1つのセグメントに着目した場合、ブーム6の後端部側及び前端部側の上部ステイ21においては、ブーム6の側面視でU字状に湾曲された湾曲部位が上方へ突出するように、且つリング面22がブーム6の左右方向を向いた状態で固定配備される。
【0035】
言い換えれば、図3Bの左側及び右側の図に示すように、この上部ステイ21は、ブーム6の平面視でリング面22を貫通する交差軸心30(二点鎖線)がブーム6の前後方向に対して略直交するように、固定配備されているともいえる。
一方で、図3Aの中央の図に示すように、ブーム6の前後方向中途部の棒体13に配備された一又は複数の上部ステイ21においては、ブーム6の側面視でU字状に湾曲された湾曲部位が上方へ突出するように、且つリング面22がブーム6の前後方向を向いた状態で、固定配備される。
【0036】
言い換えれば、図3Bの中央の図に示すように、この上部ステイ21は、ブーム6の平面視でリング面22を貫通する交差軸心30(二点鎖線)がブーム6の長手方向に沿うように、固定配備されているともいえる。
まとめると、上部ステイ21は、「リング面22がブーム6の前後方向を向く」、或いは、「リング面22がブーム6の左右方向を向く」のいずれか一方方向を向けて、棒体13の上部に固定配備される。
【0037】
図2〜5に示すように、中間ステイ18(一のステイ)は、第1索体14の両端部に備えられたフック15を受け止めするフック受け具であり、ブーム6の側面視で、クレーン1の組立・解体作業を行う作業者の腰部近傍に来るように配備される。
この中間ステイ18は、棒体13の張出状態において、棒体13の上部で固定配備される上部ステイ21に対して、棒体13の長手方向中途部において、その長手方向軸心回りに様々な方向を向かせて配備することができるものである。すなわち、本実施形態の中間ステイ18は、配備位置(棒体13の長手方向軸心回りの角度)が可変とされているものである。
【0038】
図5に示すように、本実施形態の中間ステイ18は、上部及び下部が開放されていて、内部に棒体13が(挿通)内挿される円筒部材20(以降、ステイ台と呼ぶ)の外周面に取り付けられている。このステイ台20は、棒体13が内挿されることで、棒体13に沿って上下方向に移動可能とされている。
中間ステイ18は、上部ステイ21と同様、短尺で小径とされた円柱状の棒材を、U字状に湾曲させてリング形状とした部材である。中間ステイ18は、湾曲部位がステイ台20の径外方向に突出するように、ステイ台20の外周面に接して取り付けられている。すなわち、U字状に湾曲された中間ステイ18は、棒体13に配備された際に、その棒体13の長手方向軸心に対して交差する方向に突出して、ステイ台20の外周面に取り付けられているものである。
【0039】
また、ステイ台20の外周面には、孔27が対面する位置に2つ形成されている。すなわち、この孔27は、ステイ台20の外周面を貫通するように形成したものである。
中間ステイ18が取り付けられたステイ台20は、孔27の軸心と棒体13の貫通孔の軸心とを合わせられた貫通状の孔にピン26が挿入されて、棒体13の長手方向中途部において支持される。
【0040】
中間ステイ18の向きは、棒体13の張出状態において、リング形状の内側を含む平面(リング面19)が、棒体13の長手方向軸心回りに可変とされている。すなわち、中間ステイ18の突出方向を、棒体13の長手方向軸心回りにリング面19の向く角度を変えて配備することができる。
具体的には、図3Aの左側の図に示すように、1つのセグメントに着目した場合、ブーム6の後端部側の中間ステイ18は、ブーム6の側面視でU字状に湾曲された湾曲部位側が前方に向けて張り出し、且つリング面19がブーム6の左右方向を向いた状態で配備(支持)される。
【0041】
すなわち、図3Bの左側の図に示すように、ブーム6の後端部側の中間ステイ18は、ブーム6の平面視で湾曲部位側がブーム6の前後方向に沿った状態で、且つ前方向を向いて配備されているともいえる。
また、図3Aの右側の図に示すように、ブーム6の前端部側の中間ステイ18は、ブーム6の側面視でU字状に湾曲された湾曲部位側が後方に向けて張り出し、且つリング面19がブーム6の左右方向を向いた状態で配備される。
【0042】
すなわち、図3Bの右側の図に示すように、ブーム6の前端部側の中間ステイ18は、ブーム6の平面視で湾曲部位側がブーム6の前後方向に沿った状態で、且つ後方向を向いて配備されているともいえる。
1つのセグメントに着目した場合、これらブーム6の後端部側及び前端部側の中間ステイ18は、ブーム6の平面視でリング面19を貫通する交差軸心29(一点鎖線)がブーム6の前後方向に対して略直交するように、配備されているともいえる。つまり、ブーム6の後端部側及び前端部側の中間ステイ18は、互いに対面するように配備される。
【0043】
一方で、図3Aの中央の図に示すように、ブーム6の前後方向中途部の棒体13に配備された一又は複数の中間ステイ18においては、U字状に湾曲された湾曲部位が右外方向へ張り出し、且つリング面19がブーム6の前後方向を向いた状態で配備(支持)される。
言い換えれば、図3Bの中央の図に示すように、一又は複数の中間ステイ18は、ブーム6の平面視でリング面19を貫通する交差軸心29(一点鎖線)がブーム6の前後(長手)方向に沿うように、配備されているともいえる。
【0044】
加えて、中間ステイ18は、図3Cに示すような配備の仕方も可能である。すなわち、本実施形態の中間ステイ18は、様々な方向に張り出して配備(支持)することができるものである。
例えば、図3Cの左側の図に示すように、1つのセグメントに着目した場合、ブーム6の後端部側の中間ステイ18は、湾曲部位側がブーム6の右外側に張り出すような状態で配備(棒体13に対するステイ台20の回動位置を設定)することができる。この場合、リング面19がブーム6の斜め右後方向を向いた状態となる。
【0045】
すなわち、ブーム6の後端部側の中間ステイ18は、ブーム6の平面視で湾曲部位側が斜め右前方に向けて突出した状態で配備することができる。
一方、図3Cの右側の図に示すように、ブーム6の前端部側の中間ステイ18は、ブーム6の後端部側の中間ステイ18に対応するように、湾曲部位側がブーム6の右外側に張り出すような状態で配備(棒体13に対するステイ台20の回動位置を設定)することができる。この場合、リング面19がブーム6の斜め右前方向を向いた状態となる。
【0046】
すなわち、ブーム6の前端部側の中間ステイ18は、ブーム6の平面視で湾曲部位側が斜め右後方に向けて突出した状態で配備することができる。
これらブーム6の後端部側及び前端部側の中間ステイ18は、1つのセグメントに着目した場合、ブーム6の平面視でリング面19を貫通する交差軸心29(一点鎖線)がブーム6の前後方向及び左右方向に対して沿わない方向で、配備(支持)することができる。
【0047】
なお、図3Cの中央の図に示すように、ブーム6の前後方向中途部の棒体13に配備された一又は複数の中間ステイ18においては、ブーム6の平面視でU字状に湾曲された湾曲部位が右外方向へ張り出し、且つリング面19がブーム6の前後方向を向いた状態で配備(支持)される。
まとめると、中間ステイ18は、その張り出し方向を棒体13の長手方向軸心回りに任意の方向に向けて、棒体13の長手方向中途部に配備される。
【0048】
以上述べたように、スタンション12を、棒体13に中間ステイ18及び上部ステイ21を配備し、その各ステイ18,21にそれぞれ索体14,16を張って2段式とすることで、ブーム6の上部において作業者がより安全性を確保して、クレーン1の組立・解体作業を行うことができる。
また、中間ステイ18を、図3A図3Bに示すような配備、すなわち湾曲部位がブーム6の前後方向に沿う状態(リング面19がブーム6の左右方向を向く状態)で配備することで、中間ステイ18の張り出し方向と、第1索体14の引っ張り方向とがほぼ同じ軸線上の方向で、かつ相対する方向(引っ張り合う状態)となるので、湾曲部位にかけられたフック15を確実に受け止めることができる。
【0049】
また、中間ステイ18の張り出し方向を、ブーム6の前後方向に対して斜め交差する方向(リング面19がブーム6の左右方向に対して斜め交差する方向)とする、すなわち棒体13の上下方向軸心回りに可変とすることができるので、クレーン1の組立・解体作業の状況に応じて、中間ステイ18の配備位置を変更することが可能である。
例えば、図3Cに示すように、ブーム6の前端部及び後端部の中間ステイ18を、ブーム6の外側に張り出すように配備することで、第1索体14を、ブーム6の中途部に配備されたステイ台20に対して、一定の距離を空けて通すことができる。つまり、第1索体14とブーム6の中途部のステイ台20とが当接しないようになる。
[作動態様]
以下に、上記した本実施形態のスタンション12の作動態様について、説明する。
【0050】
本実施形態のスタンション12の使用を説明するに際しては、まず、クレーン1の組立・解体作業を行う前の状態、つまりスタンション12の格納状態から始めることとする。
図6に示すように、本実施形態のスタンション12は、セグメントごとに搬送され、セグメントごとに地面などに載置されたブーム6の右側方内部に棒体13が格納されており、その棒体13の長手方向中途部の貫通孔の軸心と、ブラケット部材24に形成されている孔の軸心とが合わせられた上で、その孔にピン26が挿入されている状態である。
【0051】
なお、中間ステイ18は、その下端面がブラケット部材24の上端面に接していて、下方へ落ち込まないように支持されている。つまり、この支持状態が、中間ステイ18の格納状態である。
ここで、クレーン1の組立作業を行う作業者は、棒体13の長手方向中途部の貫通孔とブラケット部材24の貫通孔とが合わせられて挿入されているピン26を取り外して、棒体13を上方へ持ち上げる。そして、棒体13の下部(基端側)に形成されている貫通孔の軸心とブラケット部材24の孔の軸心とを合わせて、その合わせた孔にピン26を挿入して、棒体13をブラケット部材24に固定して張出状態とする。
【0052】
すべての棒体13をブーム6の上方に突出した張出状態とすると、中間ステイ18(リング面19)を長手方向中途部で任意の方向に向けた上で、中間ステイ18が取り付けられたステイ台20の孔27の軸心と、棒体13の長手方向中途部の貫通孔の軸心とを合わせて、その合わせた孔27にピン26を挿入して、中間ステイ18を支持する。中間ステイ18の張り出し方向は、図3Bのようにしてもよく、図3Cのようにしてもよい。
【0053】
この張出作業をすべてのセグメントごとに、ブーム6に備えられた棒体13に対して行う。
棒体13の張出作業を終えると、ロープなどの索体14,16を張ってゆく。まず、ブーム6の前後方向中途部に一又は複数配設された、棒体13に配備されている中間ステイ18に第1索体14を通し、ブーム6の前端部側及び後端部側の棒体13に配備されている中間ステイ18に、第1索体14の両端部に備えられたフック15を掛ける。
【0054】
続いて、ブーム6の前後方向中途部の一又は複数配設された、棒体13に配備されている上部ステイ21に第2索体16を通し、ブーム6の前端部側及び後端部側の棒体13に配備されている上部ステイ21に、第2索体16の両端部に備えられたフック17を掛ける。
この第1索体14、第2索体16を張る作業をすべてのセグメントごとに行って、クレーン1の組立・解体作業を行える状態とする(図2参照)。
【0055】
一方で、本実施形態におけるスタンション12の張出状態から格納状態とする場合、フック15,17を介して張られた索体14,16を各ステイから取り外す。そして、中間ステイ18を固定しているピン26を取り外して、その中間ステイ18を下方へ移動させておく。
棒体13の下部(ブラケット部材24)の貫通孔に挿入されているピン26を取り外して、棒体13を降ろす。降ろした棒体13の長手方向中途部の貫通孔の軸心と、ブラケット部材24の貫通孔の軸心とを合わせて、その貫通孔にピン26を挿入して、棒体13をブラケット部材24に固定して格納状態とする(図6参照)。
【0056】
上で述べた本発明のスタンション12においては、第1索体14に作業者の腰部に取り付けられた安全帯がフックを介して掛けられ、第2索体16に作業者の肩部に取り付けられた安全帯がフックを介して掛けられる。
このように、作業者の腰部に取り付けられた安全帯と、肩部に取り付けられた安全帯の2つの安全帯を掛け止めすることができる、本発明のスタンション12を用いることで、クレーン1の組立・解体作業を行う作業者の安全性を、さらに向上させることができる。
【0057】
また、中間ステイ18を上下方向に可動式にすることで、棒体13の格納時におけるブーム6上面への突き出し量を減らすことができる。それ故、ブーム6を輸送するときの輸送高さへの影響を少なくする、すなわちブーム6の輸送高さを低くすることができる。また、クレーン作業時に吊りロープが、中間ステイ18及び上部ステイ21などに引っ掛かる危険性を減らすことができる。
[第1変形例]
次に、上記した本実施形態のスタンション12の第1変形例について、図を参照して説明する。
【0058】
図7に示すように、本実施形態の第1変形例にかかるスタンション12は、棒体13の長手方向中途部において、中間ステイ18を棒体13の長手方向軸心回りに回動自在に支持している点に特徴があり、この中間ステイ18の配備(支持)方法のみに着目して、説明する。
なお、本変形例のスタンション12の構成は、上で述べた実施の形態(図2図6参照)と同じであるので、説明を省略する。
【0059】
本変形例では、まず中間ステイ18が取り付けられたステイ台20を、棒体13の長手方向中途部に形成された貫通孔より上に位置するように移動させて、その棒体13の貫通孔にステイ台20の直径の長さよりも長尺のピン26を挿入する。挿入された長尺のピン26の外周面にステイ台20の下面側を当接させて、ステイ台20(中間ステイ18)の下側から、棒体13の長手方向軸心回りに回動自在に支持する。
【0060】
このように、中間ステイ18を棒体13の長手方向中途部において、その棒体13の長手方向軸心回りに回動自在に配備することで、例えば、1つのセグメントに着目した場合、ブーム6の前端部及び後端部側に配備された中間ステイ18にフック15が掛けられて、第1索体14が張られたとき、この中間ステイ18は第1索体14の引っ張り方向を向いて、第1索体14の長さが最短となるように回転することとなり、第1索体14の張力で固定されるようになる。
【0061】
すなわち、本変形例においては、中間ステイ18が棒体13の長手方向軸心回りに回転することにより、自動的に中間ステイ18の張り出し方向と、第1索体14の引っ張り方向とがほぼ同じ軸線上の方向で、かつ相対する方向(引っ張り合う状態)となるので、湾曲部位にかけられたフック15を確実に受け止めることができる。
[第2変形例]
さらに、上記した本実施形態のスタンション12の第2変形例について、図を参照して説明する。
【0062】
図8A図8Bに示すように、本実施形態の第2変形例にかかるスタンション12は、中間ステイ18が上下方向に長尺である点、及び、この中間ステイ18内に棒体13が内嵌する点に特徴があり、これら中間ステイ18及び棒体13に着目して説明する。
なお、本変形例のスタンション12を構成する他の部材に関しては、上で述べた第1実施形態(図2図6参照)と同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0063】
本変形例の中間ステイ18は、上端と下端が開放された円筒形状のパイプ材で形成された部材であり、張出状態とした際、作業者の腰部に対応する位置となるように形成されている。
この中間ステイ18は、上部ステイ21が配備されている棒体13よりも、上下方向に長尺な部材である。中間ステイ18は、ブラケット部材24の内部に貫通状に挿入されるものであり、外周径がブラケット部材24の内周径とほぼ同じ径又は若干小さい径とされている。また、中間ステイ18の下部(基端側)には、中間ステイ18の張出状態を維持するためのピン26が挿入される貫通孔が形成されている。
【0064】
一方で、本変形例の棒体13は、第1実施形態で述べたものよりも短尺とされた部材である。棒体13の上下方向の長さは、例えば、本変形例の中間ステイ18の約1/2程度の長さ(本変形例の中間ステイ18の上部から中途部までに亘る程度の長さ)とされていてもよい。すなわち、本変形例の棒体13は、上部ステイ21が作業者の肩部に位置するようになる程度の長さであることが望ましい。
【0065】
棒体13の下部(基端側)には、棒体13の張出状態を維持するためのピン26が挿入される貫通孔が形成されている。
すなわち、本変形例においては、図8Aに示すように、棒体13が中間ステイ18内を挿通し、且つ中間ステイ18がブラケット部材24内を挿通する構成とされているので、スタンション12を張出状態とする際、中間ステイ18と棒体13を上方に持ち上げると、棒体13と中間ステイ18が伸びるように備えられることとなる。
【0066】
一方で、図8Bに示すように、スタンション12を格納状態とする際、本変形例の中間ステイ18と棒体13を下方に降ろすと、中間ステイ18と棒体13が縮むように収められることとなる。
まとめると、本変形例の中間ステイ18及び棒体13、すなわち本変形例におけるスタンション12は、伸縮自在な二重筒状の構成(テレスコピック)となっている。
【0067】
このように、伸縮自在な構成とされたスタンション12によれば、格納状態としたときに中間ステイ18の下方に空間ができるので、ブーム6をトラックなどで作業現場へ輸送するときに、スタンション12がトラックの荷台側方に備えられている衝立などに干渉することを回避することができる。また、本変形例によれば、載置されたブームの上下方向高さが比較的低いものであっても、ブーム6下方の部材に干渉することを回避することができる。
【0068】
なお、今回開示された各実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
例えば、本発明のスタンション12は、例示した移動式クレーン1(ラチスブーム式のクローラクレーン)の他に、様々な種類のクレーン、すなわち建設機械に備えることが可能な技術である。
【0069】
また、各ステイ18,21、特に中間ステイ18においては、棒材をU字状に湾曲させたものとして説明したが、そのU字形状及び部材は一例を示したものであり、索体14,16に備えられたフック15,17を受け止めできる形状及び部材であれば、特に限定はしない。
今回開示された各実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
【符号の説明】
【0070】
1 移動式クレーン(クローラクレーン)
2 上部旋回体
3 旋回手段
4 下部走行体
5 クローラ
6 ブーム
7 主巻ドラム
8 キャブ(運転室)
9 エンジンガード
10 マスト
11 カウンタウェイト台車
12 スタンション(手摺り)
13 棒体
14 第1索体
15 フック
16 第2索体
17 フック
18 一のステイ(中間ステイ)
19 リング面
20 円筒部材(ステイ台)
21 他のステイ(上部ステイ)
22 リング面
23 ブラケット
24 円筒部材(ブラケット部材)
25 基台
26 ピン
27 孔
28 締結具
29 交差軸心(一のステイ)
30 交差軸心(他のステイ)
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B