(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
<レジストパターン形成方法>
本発明のレジストパターン形成方法は、
(1)レジスト膜を形成する工程(以下、「(1)工程」ともいう)、
(2)保護膜形成用組成物を用い、上記レジスト膜上に保護膜を形成する工程(以下、「(2)工程」ともいう)、
(3)上記保護膜が積層されたレジスト膜を、EUV又は電子線の照射により露光する工程(以下、「(3)工程」ともいう)、及び
(4)上記露光されたレジスト膜を現像する工程(以下、「(4)工程」ともいう)
を有するレジストパターン形成方法であって、
上記保護膜形成用組成物が、
[A]重合体、及び
[B]有機溶媒
を含有することを特徴とする。
以下、各工程、保護膜形成用組成物、フォトレジスト組成物について詳述する。
【0023】
[(1)工程]
本工程では、レジスト膜を形成する。このレジスト膜は、通常フォトレジスト組成物を用いて基板上への塗布により形成される。基板としては、例えばシリコンウエハ、アルミニウムで被覆されたウエハ等の従来公知の基板を使用できる。また、例えば特公平6−12452号公報や特開昭59−93448号公報等に開示されている有機系又は無機系の下層反射防止膜を基板上に形成してもよい。なお、上記フォトレジスト組成物については、後で詳述する。
【0024】
塗布方法としては、例えば回転塗布(スピンコーティング)、流延塗布、ロール塗布等が挙げられる。なお、形成されるレジスト膜の膜厚としては、通常0.01μm〜1μmであり、0.01μm〜0.5μmが好ましい。
【0025】
上記フォトレジスト組成物を塗布した後、必要に応じてプレベーク(PB)によって塗膜中の溶媒を揮発させてもよい。PBの加熱条件としては、上記フォトレジスト組成物の配合組成によって適宜選択されるが、通常30℃〜200℃程度であり、50℃〜150℃が好ましい。
【0026】
また、環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するために、例えば、特開平5−188598号公報等に開示されている保護膜をレジスト層上に設けることもできる。
【0027】
[(2)工程]
本工程では、後述の保護膜形成用組成物を用い、上記レジスト膜上に保護膜を形成する。この保護膜は、通常保護膜形成用組成物の塗布により形成され、この際、上記保護膜形成用組成物は、上記レジスト膜の表面を被覆するように塗布される。レジスト膜の表面に上記保護膜を積層させることにより、露光時に発生するOOBの影響を低減することができ、レジストの解像性を向上させ、得られるパターンにおけるナノエッジラフネスを改善することができる。
【0028】
塗布方法としては、上記保護膜形成用組成物が上記レジスト膜の表面を被覆するように塗布される方法であれば特に限定されないが、例えば回転塗布(スピンコーティング)、流延塗布、ロール塗布等が挙げられる。なお、形成される保護膜の膜厚としては、通常0.01μm〜1μmであり、0.01μm〜0.5μmが好ましい。
【0029】
上記保護膜形成用組成物を塗布した後、必要に応じてPBによって塗膜中の溶媒を揮発させてもよい。PBの加熱条件としては、上記保護膜形成用組成物の配合組成によって適宜選択されるが、通常30℃〜200℃程度であり、50℃〜150℃が好ましい。
【0030】
なお、上記保護膜形成用組成物から形成される保護膜は、波長150nm以上350nm以下の光を吸収することが好ましい。このような保護膜としては、例えば、分光エリプソメーター等を用いて上記保護膜の波長150nm以上350nm以下の範囲における光学定数(消衰係数)を測定した場合に、この範囲における消衰係数の最大値が0.3以上であることが好ましく、最大値が0.5以上であることがより好ましい。この消衰係数の最大値は、ピークの極大値であってもピークの極大値でなくてもよく、例えば、上記波長範囲外にピークの極大を有し、このピークの裾野における消衰係数の値が上記波長範囲において上記条件を満たしている場合であってもよい。上記保護膜が波長150nm以上350nm以下の光を吸収することができると、当該レジストパターン形成方法において保護膜形成用組成物から形成される保護膜は、EUV光が発生するOOBの影響を低減することができる。
【0031】
[(3)工程]
本工程では、上記保護膜が積層されたレジスト膜を、EUV又は電子線の照射により露光する。露光量等の露光条件は、用いるフォトレジスト組成物の配合組成や添加剤の種類等に応じて適宜選択することができる。EUVを照射する場合、例えば、所望の領域にアイソラインパターンを有するマスクを介して縮小投影露光を行うことにより、アイソスペースパターンを形成できる。同様にして、ドットパターンを有するマスクを介して縮小投影露光を行うことによりホールパターンを形成することができる。また、露光は所望のパターンのマスクパターンによって2回以上行ってもよい。2回以上露光を行う場合、露光は連続して行うことが好ましい。複数回露光する場合、例えば所望の領域にラインアンドスペースパターンマスクを介して第1の縮小投影露光を行い、続けて第1の露光を行った露光部に対してラインが交差するように第2の縮小投影露光を行う。第1の露光部と第2の露光部とは直交することが好ましい。直交することにより、露光部で囲まれた未露光部においてコンタクトホールパターンを形成することができる。電子線を照射する場合、例えば、照射する電子線を走査することにより露光を行う。
【0032】
当該レジストパターン形成方法においては、上述のように露光工程を複数回有してもよく、これらの複数回の露光においては、同じ放射線(EUV、電子線)を用いても異なる放射線を用いてもよい。
【0033】
また、露光後にポストエクスポージャーベーク(PEB)を行なうことが好ましい。PEBを行なうことにより、上記フォトレジスト組成物中の酸解離性基の解離反応を円滑に進行できる。PEBの加熱条件としては、通常30℃〜200℃であり、50℃〜170℃が好ましい。
【0034】
[(4)工程]
本工程では、上記露光されたレジスト膜を現像する。現像に使用される現像液としては、アルカリ性の水溶液が好ましい。アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア等の無機アルカリ;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。また、このようなアルカリ水溶液には、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。アルカリ水溶液におけるアルカリの濃度は、適当な現像性を得る観点から、0.1質量%以上5質量%以下が好ましい。現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法、シャワー法等の適宜の方法を利用できる。現像時間は、用いるフォトレジスト組成物の組成によって異なるが、好ましくは10秒〜180秒間程度である。このような現像処理に続いて、例えば流水洗浄を30秒〜90秒間行った後、例えば圧縮空気や圧縮窒素で風乾させることによって、所望のパターンを形成できる。
【0035】
現像液には、必要に応じて界面活性剤を適当量添加することができる。界面活性剤としては例えば、イオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。
【0036】
現像方法としては、例えば現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
【0037】
当該レジストパターン形成方法では、(4)工程の後にレジスト膜をリンス液により洗浄するリンス工程を含むことが好ましい。上記リンス工程におけるリンス液としては、水を使用することができる。リンス液として、水を使用することで、発生したスカムを効率よく洗浄することができる。
【0038】
<保護膜形成用組成物>
当該レジストパターン形成方法では、本発明の保護膜形成用組成物を好適に用いることができる。当該保護膜形成用組成物は、EUV又は電子線を用いたレジストパターン形成方法におけるレジスト膜の表面被覆に用いられ、[A]重合体及び[B]有機溶媒を含有する。なお、当該保護膜形成用組成物は、本発明の効果を損なわない限り、[A]重合体、[B]有機溶媒以外にその他の任意成分を含有してもよい。以下、各成分について詳述する。
【0039】
<[A]重合体>
[A]重合体は、保護膜を形成できる重合体であれば特に限定されず、上記レジストパターン形成方法における現像工程で用いられる現像液に溶解するものであれば構わないが、波長150nm以上350nm以下の光を吸収することが好ましい。[A]重合体が波長150nm以上350nm以下の光を吸収することができると、当該保護膜形成用組成物から形成される保護膜は、OOBの影響を低減することができる。その結果、当該保護膜形成用組成物は、本発明のレジストパターン形成方法において、レジストの感度及び解像性を向上し、ナノエッジラフネスをより改善することができる。
【0040】
波長150nm以上350nm以下の範囲の光を吸収する[A]重合体としては、芳香族基及びヘテロ芳香族基のうちの少なくともいずれかを含む構造単位を有することが好ましい。[A]重合体が芳香族基及びヘテロ芳香族基のうちの少なくともいずれかを含む構造単位を有することで、波長150nm以上350nm以下の光を吸収することができるため、当該レジストパターン形成方法は、露光時にEUV光が発生するOOBの影響を低減することができる。
【0041】
上記芳香族基としては、例えば、ベンゼン環を含む基、ナフタレン環を含む基、アントラセン環を含む基等が挙げられる。
【0042】
上記ヘテロ芳香族基としては、例えば、ピロール環を含む基、フラン環を含む基、チオフェン環を含む基、ピリジン環を含む基、ピリミジン環を含む基等が挙げられる。
【0043】
[A]重合体は、芳香族基及びヘテロ芳香族基のうちの少なくともいずれかを含む構造単位を、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、50モル%以上有することが好ましく、60モル%以上有することがより好ましく、70モル%以上有することがさらに好ましく、80モル%以上有することが特に好ましい。[A]重合体が上記構造単位を50モル%以上有することで、当該レジストパターン形成方法は、露光時にEUV光が発生するOOBの影響を効果的に低減することができる。
【0044】
また、[A]重合体としては、上記式(i−1)〜(i−8)で表される基からなる群より選択される少なくとも1種の基を含む構造単位(I)を有することが好ましい。なお、本発明の効果を損なわない限り、[A]重合体は、構造単位(I)以外の構造単位を有してもよい。以下、各構造単位について詳述する。
【0045】
<構造単位(I)>
構造単位(I)は、上記式(i−1)〜(i−8)で表される基からなる群より選択される少なくとも1種の基を含む構造単位である。構造単位(I)としては、これらの基のうちでも上記式(i−1)、(i−2)又は(i−5)で表される基を含む構造単位であることが好ましく、上記式(i−1)又は(i−2)で表される基を含む構造単位であることがより好ましく、上記式(i−1)で表される基を含む構造単位であることがさらに好ましい。以下、上記式(i−1)〜(i−8)で表される基を含む構造単位(I)について詳述する。
【0046】
[上記式(i−1)で表される基を含む構造単位(I)]
構造単位(I)が、上記式(i−1)で表される基を含むことで、波長150nm以上350nm以下の光をより吸収することができるため、当該保護膜形成用組成物から形成される保護膜は、OOBの影響を効果的に低減することが可能となる。また、OGに対する効果も有する。
【0047】
上記式(i−1)中、nは、0〜3の整数である。mは、1≦m≦5+2nを満たす整数である。
【0048】
上記nとしては、0又は1が好ましく、0がより好ましい。上記mとしては、1〜4の整数が好ましく、1又は2がより好ましく、1がさらに好ましい。
【0049】
上記式(i−1)で表される基を含む構造単位(I)としては、上記式(1)で表されることが好ましい。
【0050】
上記式(1)中、R
5は、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Xは、単結合、−(CO)O−又は−(CO)NH−である。m及びnは、上記式(i−1)と同義である。
【0051】
上記式(1)で表される構造単位としては、OOBに対するより優れた効果を有するという観点から、下記式(1−6)で表される構造単位が好ましい。
【0052】
[上記式(i−2)で表される基を含む構造単位(I)]
構造単位(I)が上記式(i−2)で表される基を含むことで、当該保護膜形成用組成物から形成される保護膜は、OOB及びOGに対する優れた効果を有する。
【0053】
上記式(i−2)中、R
A1及びR
A2は、それぞれ独立して、フッ素原子又はアルキル基である。但し、上記アルキル基が有する水素原子の一部又は全部は、フッ素原子で置換されていてもよい。
【0054】
上記R
A1及びR
A2で表されるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、へキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。
【0055】
上記R
A1及びR
A2で表される上記アルキル基が有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されている基としては、例えばトリフルオロメチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ヘキサフルオロブチル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。これらのうち、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等のパーフルオロアルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基がより好ましい。
【0056】
上記式(i−2)で表される基を含む構造単位(I)としては、下記式(2)で表される構造単位であることが好ましい。
【0058】
上記式(2)中、R
6は、水素原子、メチル基、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。R
7は、2価の連結基である。
【0059】
上記R
7で表される2価の連結基としては、例えばメチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,2−プロピレン基、1,1−プロピレン基、2,2−プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、1−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,2−プロピレン基、1−メチル−1,4−ブチレン基、2−メチル−1,4−ブチレン基等の炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基、1,3−シクロブチレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,5−シクロオクチレン基、1,4−ノルボルニレン基、2,5−ノルボルニレン基、1,5−アダマンチレン基、2,6−アダマンチレン基等の炭素数4〜12の2価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。また、上記炭化水素基及び脂環式炭化水素基中のメチレン基(−CH
2−)は、酸素原子、カルボニル基、エステル基で置換されていてもよい。これらのうち、R
7としては炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐状の2価の炭化水素基、ノルボルネン骨格を含む2価の基、又はアダマンタン骨格を含む2価の基が好ましい。
【0060】
上記式(i−2)で表される基を含む構造単位(I)としては、例えば下記式(1−4)、(1−8)、(1−10)、(1−12)、(1−16)〜(1−22)で表される構造単位等が挙げられる。これらのうち、上記式(2)で表される構造単位である下記式(1−16)〜(1−22)で表される構造単位が好ましい。
【0061】
[上記式(i−3)で表される基を含む構造単位(I)]
構造単位(I)が上記式(i−3)で表される基を含むことで、当該保護膜形成用組成物から形成される保護膜は、OOB及びOGに対する優れた効果を奏する。このような構造単位としては、例えば下記式(1−3)、(1−11)及び(1−13)で表される構造単位等が挙げられる。
【0062】
[上記式(i−4)で表される基を含む構造単位(I)]
構造単位(I)が上記式(i−4)で表される基を含むことで、当該保護膜形成用組成物から形成される保護膜は、OOB及びOGに対する優れた効果を奏する。このような構造単位としては、例えば下記式(1−5)及び(1−14)で表される構造単位等が挙げられる。
【0063】
[上記式(i−5)で表される基を含む構造単位(I)]
構造単位(I)が上記式(i−5)で表される基を含むことで、当該保護膜形成用組成物から形成される保護膜は、OOB及びOGに対する優れた効果を有する。
【0064】
上記式(i−5)中、R
A3は、フッ素原子又はアルキル基である。但し、上記アルキル基が有する水素原子の一部又は全部は、フッ素原子で置換されていてもよい。
【0065】
上記R
A3で表されるアルキル基及びフッ素原子で置換されているアルキル基としては、上記R
A1及びR
A2における同様の基についての説明を適用できる。
【0066】
上記式(i−5)で表される基を含む構造単位(I)としては、下記式(3)で表される構造単位であることが好ましい。
【0068】
上記式(3)中、R
8は、水素原子、メチル基、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。R
9は、2価の連結基である。R
10は、炭素数1〜20のフッ素化アルキル基である。
【0069】
上記R
9で表される2価の連結基については、上記R
7で表される2価の連結基の説明を適用できる。
【0070】
上記R
10で表される炭素数1〜20のフッ素化アルキル基としては、例えばトリフルオロメチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ヘキサフルオロブチル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。
【0071】
上記式(i−5)で表される基を含む構造単位(I)としては、例えば下記式(1−7)、(1−15)、(1−23)、(1−24)で表される構造単位等が挙げられる。これらのうち、上記式(3)で表される構造単位である下記式(1−23)及び(1−24)で表される構造単位が好ましい。
【0072】
[上記式(i−6)で表される基を含む構造単位(I)]
構造単位(I)が上記式(i−6)で表される基を含むことで、当該保護膜形成用組成物から形成される保護膜は、OOB及びOGに対する優れた効果を有する。
【0073】
上記式(i−6)中、R
A4は、フッ素原子若しくはフッ素化アルキル基で置換された芳香族基、又はフッ素原子若しくはフッ素化アルキル基で置換されたヘテロ芳香族基である。
【0074】
上記R
A4で表されるフッ素原子若しくはフッ素化アルキル基で置換された芳香族基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等の芳香族基が有する水素原子の一部又は全部が、フッ素原子又はフッ素化アルキル基で置換された基等が挙げられる。
【0075】
上記R
A4で表されるフッ素原子若しくはフッ素化アルキル基で置換されたヘテロ芳香族基としては、例えば、ピリジニル基、フラニル基、チオフェニル等のヘテロ芳香族基が有する水素原子の一部又は全部が、フッ素原子又はフッ素化アルキル基で置換された基等が挙げられる。
【0076】
上記フッ素化アルキル基としては、例えば、フッ素化メチル基、フッ素化エチル基等が挙げられる。これらの中で、フッ素化メチル基が好ましく、トリフルオロメチル基がより好ましい。
【0077】
上記式(i−6)で表される基を含む構造単位(I)としては、例えば下記式(1−1)、(1−2)で表される構造単位等が挙げられる。
【0078】
[上記式(i−7)で表される基を含む構造単位(I)]
構造単位(I)が上記式(i−7)で表される基を含むことで、当該保護膜形成用組成物から形成される保護膜は、OOB及びOGに対する優れた効果を有する。
【0079】
上記式(i−7)中、R
A5及びR
A6は、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基である。但し、上記アルキル基が有する水素原子の一部又は全部は、フッ素原子で置換されていてもよい。
【0080】
上記R
A5及びR
A6で表されるアルキル基としては、それぞれ、例えば上記R
A1及びR
A2で表されるアルキル基として例示した基と同様の基等が挙げられる。
【0081】
上記R
A5及びR
A6としては、水素原子が好ましい。
【0082】
上記式(i−7)で表される基を含む構造単位(I)としては、例えば下記式(1−25)、(1−26)で表される構造単位等が挙げられる。これらのうち、下記式(1−25)で表される構造単位が好ましい。
【0083】
[上記式(i−8)で表される基を含む構造単位(I)]
構造単位(I)が上記式(i−8)で表される基を含むことで、当該保護膜形成用組成物から形成される保護膜は、OOB及びOGに対する優れた効果を有する。
【0084】
上記式(i−8)中、R
A7は、アルキル基である。上記R
A7で表されるアルキル基としては、例えば上記R
A1及びR
A2で表されるアルキル基として例示した基と同様の基等が挙げられる。
【0085】
上記式(i−8)で表される基を含む構造単位(I)としては、例えば下記式(1−9)で表される構造単位等が挙げられる。
【0086】
構造単位(I)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
【0089】
上記式中、R
11は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
【0090】
構造単位(I)を与える単量体としては、例えば下記式で表される化合物等が挙げられる。
【0092】
[A]重合体における構造単位(I)の含有率としては、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましい。[A]重合体が構造単位(I)を上記特定の範囲で含有することで、波長150nm以上350nm以下の光を効率よく吸収することができ、OOBの影響を低減することができる。また、OGに対しても効果を奏する。
【0093】
<その他の構造単位>
[A]重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、構造単位(I)以外にその他の構造単位として下記式(4)で表される構造単位(II)、後述の[C]重合体における式(c−6−1)〜(c−6−3)で表される構造単位等を有してもよい。
【0095】
上記式(4)中、R
12は、水素原子、メチル基、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。R
13は、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のフッ素化炭化水素基又は炭素数3〜10のフッ素化脂環式炭化水素基である。
【0096】
上記R
13で表されるフッ素化炭化水素及びフッ素化脂環式炭化水素基としては、炭素数2〜8の直鎖状又は分岐状のフッ素化炭化水素及び炭素数4〜8のフッ素化脂環式炭化水素基が好ましい。
【0097】
構造単位(II)としては、例えば、下記式(2−1)〜(2−6)で表される構造単位が挙げられる。
【0099】
上記式(2−1)〜(2−6)中、R
12は、上記式(4)と同義である。
【0100】
[A]重合体におけるその他の構造単位としては、下記式(c−6−1)〜(c−6−3)で表される構造単位が好ましく、下記式(c−6−2)、(c−6−3)で表される構造単位がより好ましい。
【0101】
<[A]重合体の合成方法>
[A]重合体は、例えば所定の各構造単位に対応する単量体を、ラジカル重合開始剤を使用し、適当な溶媒中で重合することにより製造できる。例えば、単量体及びラジカル開始剤を含有する溶液を、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法、単量体を含有する溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法、各々の単量体を含有する複数種の溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法等の方法で合成することが好ましい。
【0102】
上記重合に使用される溶媒としては、例えば
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;アセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル類;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール等のアルコール類等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0103】
上記重合における反応温度は、ラジカル開始剤の種類に応じて適宜決定すればよいが、通常40℃〜150℃であり、50℃〜120℃が好ましい。反応時間としては、通常1時間〜48時間であり、1時間〜24時間が好ましい。
【0104】
上記重合に使用されるラジカル開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)等が挙げられる。これらの開始剤は2種以上を混合して使用してもよい。
【0105】
重合反応により得られた重合体は、再沈殿法により回収することが好ましい。すなわち、重合反応終了後、重合液を再沈溶媒に投入することにより、目的の重合体を粉体として回収する。再沈溶媒としては、アルコール類やアルカン類等を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。再沈殿法の他に、分液操作やカラム操作、限外ろ過操作等により、単量体、オリゴマー等の低分子成分を除去して、重合体を回収することもできる。
【0106】
[A]重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(Mw)としては、1,000〜100,000が好ましく、1,000〜50,000がより好ましく、1,000〜30,000がさらに好ましい。[A]重合体のMwを上記特定範囲とすることにより、OOB及びOGの抑制能に優れる保護膜を形成することができる。
【0107】
[A]重合体のMwと数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)としては、通常1〜5であり、1〜3が好ましい。[A]重合体のMw/Mnをこのような特定範囲とすることで、OOB及びOGの抑制能に優れる保護膜を形成することができる。
【0108】
なお、本明細書においてMw及びMnは、GPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本、以上東ソー社製)を用い、流量1.0mL/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、試料濃度1.0質量%、試料注入量100μL、カラム温度40℃の分析条件で、検出器として示差屈折計を使用し、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した値をいう。
【0109】
<[B]有機溶媒>
[B]有機溶媒としては、[A]重合体及びその他の任意成分を溶解できるものであり、かつ、レジスト膜成分を溶出させ難いものであれば特に限定されないが、例えばアルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系有機溶媒、アミド系溶媒、エステル系有機溶媒、炭化水素系溶媒等が挙げられる。
【0110】
アルコール系溶媒としては、例えば
メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、iso−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のモノアルコール系溶媒;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の多価アルコール系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール部分エーテル系溶媒等が挙げられる。これらのうち、4−メチル−2−ペンタノールが好ましい。
【0111】
エーテル系溶媒としては、例えばジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、ブチルエチルエーテル、ブチルプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、tert−ブチル−メチルエーテル、tert−ブチルエチルエーテル、tert−ブチルプロピルエーテル、ジ−tert−ブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、シクロヘキシルエチルエーテル、シクロペンチルプロピルエーテル、シクロペンチル−2−プロピルエーテル、シクロヘキシルプロピルエーテル、シクロヘキシル−2−プロピルエーテル、シクロペンチルブチルエーテル、シクロペンチル−tert−ブチルエーテル、シクロヘキシルブチルエーテル、シクロヘキシル−tert−ブチルエーテル、アニソール、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル等が挙げられる。環状エーテル類としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を挙げることができる。これらのうち、ジイソアミルエーテルが好ましい。
【0112】
ケトン系溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン等のケトン系溶媒が挙げられる。
【0113】
アミド系溶媒としては、例えばN,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
【0114】
エステル系溶媒としては、例えばジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸iso−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等が挙げられる。
【0115】
炭化水素系溶媒としては、例えば
n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、iso−ヘキサン、n−ヘプタン、iso−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、iso−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;
ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、iso−プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、iso−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−iso−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
【0116】
これらのうち、当該保護膜形成用組成物を塗布するレジスト膜からの成分の溶出を起こし難いという観点から、[B]有機溶媒としては、アルコール系溶媒及びエーテル系溶媒が好ましく、エーテル系溶媒及びアルコール系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種の溶媒がより好ましい。さらに、[B]有機溶媒がエーテル系溶媒を含み、このエーテル系溶媒の含有率が20質量%以上であることが特に好ましい。なお、これらの有機溶媒は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0117】
<その他の任意成分>
当該保護膜形成用組成物は、[A]重合体及び[B]有機溶媒以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の任意成分を含有してもよい。その他の任意成分としては、酸拡散制御剤、酸発生剤等が挙げられる。
【0118】
[酸拡散制御剤]
酸拡散制御剤は、レジスト膜中で発生した酸が保護膜を介して未露光部に拡散することを抑制したり、濃度勾配によってレジスト膜中の酸拡散制御剤が保護膜中に拡散してしまうのを抑制する効果を有する。酸拡散制御剤としては、後述するフォトレジスト組成物で使用することができる酸拡散制御剤と同様のものを使用することができる。
【0119】
[酸発生剤]
酸発生剤は、レジスト膜において脱保護反応に寄与すべき酸が保護膜に拡散することにより生ずるレジスト膜中の酸の不足を補う効果を有する。
【0120】
<保護膜形成用組成物の調製方法>
当該保護膜形成用組成物は、例えば[B]有機溶媒中で、[A]重合体及びその他の任意成分を所定の割合で混合することにより調製される。また、当該保護膜形成用組成物は、適当な[B]有機溶媒に溶解又は分散させた状態に調製され使用され得る。得られた混合液は、必要に応じて、孔径0.2μmのメンブランフィルター等でろ過してもよい。
【0121】
<フォトレジスト組成物>
本発明のレジストパターン形成方法に用いられるフォトレジスト組成物としては、従来既知のフォトレジスト組成物を用いることができる。中でも、酸解離性基を含む構造単位を有する重合体(以下、「[C]重合体」ともいう)、及び酸発生体を含有する化学増幅型のフォトレジスト組成物が好ましい。また、上記フォトレジスト組成物としては、酸拡散制御剤、溶媒を含有することがより好ましい。さらに本発明の効果を損なわない限り、上記フォトレジスト組成物は、その他の任意成分を含有してもよい。以下、各成分について詳述する。
【0122】
<[C]重合体>
[C]重合体が有する酸解離性基を含む構造単位としては、酸の作用により解離する基を有するものである限り特に限定されないが、下記式(p−1)で表される構造単位(P−I)及び/又は下記式(p−2)で表される構造単位(P−II)であることが好ましい。また、[C]重合体は、上記構造単位(P−I)及び構造単位(P−II)以外のその他の酸解離性基を有する構造単位(以下、「構造単位(P−III)」ともいう)を有していてもよい。[C]重合体が、このような構造単位を有することで、良好な感度が得られる。さらに、[C]重合体は、酸解離性基を有する構造単位以外に、その他の構造単位としての下記式(c−1−1)〜(c−1−4)で表される構造単位、下記式(c−2−1)〜(c−2−2)で表される構造単位、下記式(c−3−1)〜(c−3−2)で表される構造単位、下記式(c−4−1)〜(c−4−2)で表される構造単位、下記式(c−5−1)〜(c−5−2)で表される構造単位、下記式(c−6−1)〜(c−6−3)で表される構造単位、下記式(c−7−1)〜(c−7−2)で表される構造単位、及び[A]重合体における構造単位(I)のうちの少なくとも1種を含有することが好ましい。以下、各構造単位について詳述する。なお、[C]重合体は、各構造単位を1種のみ有してもよいし、2種以上有してもよい。
【0123】
[構造単位(P−I)]
構造単位(P−I)は下記式(p−1)で表される。
【0125】
上記式(p−1)中、R
14は、水素原子、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基である。R
15〜R
17は、それぞれ独立して、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数6〜22のアリール基又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基である。但し、R
15〜R
17のいずれか2つが互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に2価の脂環式炭化水素基又はそれから誘導される基を形成してもよい。
【0126】
上記R
15〜R
17で表される炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−ブチル基等が挙げられる。
【0127】
上記R
15〜R
17で表される炭素数6〜22のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0128】
上記R
15〜R
17で表される炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。また、これらから誘導される基としては、上記脂環式炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換されている基が挙げられる。
【0129】
上記R
15〜R
17のいずれか2つが互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に形成してもよい2価の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロブタンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基等が挙げられる。また、これらから誘導される基としては、上記脂環式炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換されている基が挙げられる。
【0130】
上記構造単位(P−I)のうち、下記式(p−1−1)〜(p−1−7)で表される構造単位が好ましく、下記式(p−1−2)、(p−1−3)又は(p−1−4)で表される構造単位がさらに好ましい。[C]重合体がこれらの構造単位を含む場合、ナノエッジラフネスに優れたレジストパターンを形成することができる。
【0132】
上記式(p−1−1)〜(p−1−7)中、R
14は、上記式(p−1)と同義である。R
15は、それぞれ独立して、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数6〜22のアリール基である。
【0133】
[構造単位(P−II)]
構造単位(P−II)は下記式(p−2)で表される。
【0135】
上記式(p−2)中、R
18は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基である。R
19〜R
21は、それぞれ独立して、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数6〜22のアリール基、又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基である。但し、R
19〜R
21のいずれか2つが互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に2価の脂環式炭化水素基又はそれから誘導される基を形成してもよい。
【0136】
R
19〜R
21で表される炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基及びR
19〜R
21のいずれか2つが互いに結合して、それらが結合している炭素原子とともに形成してもよい2価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基については、それぞれ、上記式(p−1)におけるR
15〜R
17で表される同様の基の説明を適用することができる。
【0137】
構造単位(P−II)のうち、下記式(p−2−1)で表される構造単位が好ましい。[C]重合体がこれらの構造単位を含むことで、ナノエッジラフネスにさらに優れたレジストパターンを形成することができる。
【0139】
上記式(p−2−1)中、R
18は、上記式(p−2)と同義である。R
19は、それぞれ独立して、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基である。
【0140】
[構造単位(P−III)]
構造単位(P−III)としては、例えば、下記式(p−3−1)〜(p−3−4)で表される構造単位等が挙げられる。
【0142】
[その他の構造単位]
[C]重合体は、下記式(c−1−1)〜(c−1−4)、(c−2−1)〜(c−2−2)、(c−3−1)〜(c−3−2)、(c−4−1)〜(c−4−2)、(c−5−1)〜(c−5−2)、(c−6−1)〜(c−6−3)、(c−7−1)〜(c−7−2)で表される構造単位、上記[A]重合体における構造単位(I)のうちの少なくとも1種の構造単位をさらに有することが好ましい。その他の構造単位としては、これらの構造単位のうち、下記式(c−5−1)〜(c−5−2)、(c−6−1)〜(c−6−3)、(c−7−1)〜(c−7−2)で表される構造単位及び上記構造単位(I)が好ましく、上記構造単位(I)がより好ましい。
【0150】
なお、[C]重合体において、酸解離性基を含む構造単位(P−I)、(P−II)及び(P−III)の含有率の合計としては、[C]重合体を構成する全構造単位に対して、10モル%〜80モル%が好ましく、15モル%〜80モル%がより好ましく、20モル%〜70モル%がさらに好ましい。酸解離性基を含む構造単位の含有率を上記範囲とすることで、感度等の基本特性を十分満足することができる。
【0151】
<[C]重合体の合成方法>
[C]重合体は、例えば所定の各構造単位に対応する単量体を、ラジカル重合開始剤を使用し、適当な溶媒中で重合することにより製造できる。なお、[C]重合体の合成に使用される重合開始剤、溶媒等としては、上記[A]重合体の合成方法において例示したものと同様のものを挙げることができる。
【0152】
上記重合における反応温度としては、通常40℃〜150℃、50℃〜120℃が好ましい。反応時間としては、通常1時間〜48時間、1時間〜24時間が好ましい。
【0153】
[C]重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)としては、1,000〜50,000が好ましく、1,000〜30,000がより好ましく、1,000〜10,000がさらに好ましい。
【0154】
[C]重合体のMwとGPC法によるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)としては、通常1〜3であり、1〜2が好ましい。
【0155】
<酸発生体>
当該フォトレジスト組成物は、[C]重合体と共に酸発生体を含有することが好ましい。酸発生体は、当該レジストパターン形成方法における露光工程において、極端紫外線(EUV)、電子線の照射により酸を発生する化合物である。その酸の作用により[C]重合体中に存在する酸解離性基が解離し、カルボキシ基、フェノール性水酸基等の極性基が発生する。その結果、[C]重合体がアルカリ現像液に易溶性となる。当該レジストパターン形成方法における酸発生体の含有形態としては、後述するような化合物の形態(以下、適宜「酸発生剤」ともいう)でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
【0156】
上記酸発生剤としては、例えばオニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物等が挙げられる。これらのうち、オニウム塩化合物が好ましい。
【0157】
オニウム塩化合物としては、例えばスルホニウム塩(テトラヒドロチオフェニウム塩を含む)、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等が挙げられる。これらのうち、スルホニウム塩が好ましい。
【0158】
スルホニウム塩としては、例えばトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(1−アダマンチル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム6−(1−アダマンチルカルボニルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロヘキサン−1−スルホネート、トリフェニルスルホニウム6−(1−アダマンチルカルボニルオキシ)−1,1,2−トリフルオロブタン−1−スルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(4−オキソ−1−アダマンチルカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1−ジフルオロエタンスルホネート等が挙げられる。
【0159】
これらのうち、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(1−アダマンチル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム6−(1−アダマンチルカルボニルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロヘキサン−1−スルホネート、トリフェニルスルホニウム6−(1−アダマンチルカルボニルオキシ)−1,1,2−トリフルオロブタン−1−スルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(4−オキソ−1−アダマンチルカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1−ジフルオロエタンスルホネートが好ましい。
【0160】
テトラヒドロチオフェニウム塩としては、例えば1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等が挙げられる。これらのうち、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート及び1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネートが好ましい。
【0161】
なお、上記酸発生体が重合体の一部として組み込まれた形態としては、例えば、[C]重合体中に、上記式(c−7−1)、(c−7−2)で表される構造単位を有するもの等が挙げられる。
【0162】
上記フォトレジスト組成物における上記酸発生体の使用量としては、上記酸発生体が酸発生剤である場合の使用量として、レジストとしての感度及び現像性を確保する観点から、[C]重合体100質量部に対して、通常、0.1質量部以上40質量部以下であり、0.5質量部以上30質量部以下が好ましい。酸発生剤の使用量が0.1質量部未満では、感度が低下する傾向があり、一方40質量部を超えると、放射線に対する透明性が低下して、所望のレジストパターンを得られ難くなる傾向がある。上記酸発生体が重合体の一部として組み込まれた形態である場合の含有割合としては、[C]重合体を構成する全構造単位に対して、0.5モル%以上30モル%以下が好ましく、1モル%以上20モル%以下がより好ましい。
【0163】
<酸拡散制御体>
酸拡散制御体は、露光により酸発生体から生じる酸のレジスト膜中における拡散現象を制御し、未露光部における好ましくない化学反応を抑制する効果を奏する成分である。フォトレジスト組成物が酸拡散制御体を含有することで、得られるフォトレジスト組成物の貯蔵安定性がさらに向上し、またレジストとしての解像度がさらに向上する。また、露光から現像処理までの引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた組成物が得られる。なお、酸拡散制御体の本発明におけるフォトレジスト組成物における含有形態としては、遊離の化合物の形態(以下、適宜「酸拡散制御剤」ともいう)でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
【0164】
酸拡散制御剤としては、例えばアミン化合物、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。
【0165】
アミン化合物としては、例えばモノ(シクロ)アルキルアミン類;ジ(シクロ)アルキルアミン類;トリ(シクロ)アルキルアミン類;置換アルキルアニリン又はその誘導体;エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリジノン、2−キノキサリノール、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’’N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。これらのうち、トリエタノールアミンが好ましい。
【0166】
アミド基含有化合物としては、例えばN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−アセチル−1−アダマンチルアミン、イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)等が挙げられる。
【0167】
ウレア化合物としては、例えば尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等が挙げられる。
【0168】
含窒素複素環化合物としては、例えばイミダゾール類;ピリジン類;ピペラジン類;ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、N−(t−アミロキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン、ピペリジンエタノール、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、N−(t−ブトキシカルボニル)−2−ヒドロキシメチルピロリジン、4−メチルモルホリン、1−(4−モルホリニル)エタノール、4−アセチルモルホリン、3−(N−モルホリノ)−1,2−プロパンジオール、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N−(t−ブトキシカルボニル)−2−フェニルベンゾイミダゾール等が挙げられる。これらのうち、N−(t−アミロキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン、N−(t−ブトキシカルボニル)−2−ヒドロキシメチルピロリジン、N−(t−ブトキシカルボニル)−2−フェニルベンゾイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾールが好ましい。
【0169】
また、酸拡散制御剤として、露光により感光し弱酸を発生する光崩壊性塩基を用いることもできる。光崩壊性塩基は、露光部においては酸を発生して[A]重合体の当該現像液に対する不溶性を高めることができる。一方、未露光部ではアニオンによる高い酸捕捉機能が発揮されクエンチャーとして機能し、露光部から拡散する酸を捕捉する。すなわち、未露光部のみにおいてクエンチャーとして機能するため、脱保護反応のコントラストが向上し、結果として解像度をより向上させることができる。光崩壊性塩基の一例として、露光により分解して酸拡散制御性を失うオニウム塩化合物がある。オニウム塩化合物としては、例えば下記式(5)で示されるスルホニウム塩化合物、下記式(6)で表されるヨードニウム塩化合物等が挙げられる。
【0171】
上記式(5)及び式(6)中、R
22〜R
26はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子又は−SO
2−R
Cである。R
Cは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はアリール基である。Z
−は、OH
−、R
27−COO
−、R
D−SO
2−N
−―R
27、R
27−SO
3−又は下記式(7)で示されるアニオンである。R
27は炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアルカリール基である。上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアルカリール基の水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。R
Dは、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有してもいてもよい炭素数3〜20のシクロアルキル基である。上記アルキル基及びシクロアルキル基の水素原子の一部又は全部はフッ素原子で置換されていてもよい。但し、Z
−がR
27−SO
3−の場合、SO
3−が結合する炭素原子にフッ素原子が結合する場合はない。
【0173】
上記式(7)中、R
28は、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基である。uは0〜2の整数である。
【0174】
上記光崩壊性塩基としては、例えば下記式で表される化合物等が挙げられる。
【0176】
当該レジストパターン形成方法に用いられるフォトレジスト組成物における酸拡散制御剤の含有量としては、[C]重合体100質量部に対して、10質量部未満が好ましい。合計使用量が10質量部を超えると、レジストとしての感度が低下する傾向にある。これらの酸拡散抑制剤は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0177】
<溶媒>
当該レジストパターン形成方法に用いられるフォトレジスト組成物は通常溶媒を含有する。上記溶媒は少なくとも[C]重合体、酸発生体、酸拡散制御剤、及び後述するその他の任意成分を溶解できれば特に限定されない。上記溶媒としては、例えばアルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒及びその混合溶媒等が挙げられる。
【0178】
上記溶媒の具体例としては、上述の保護膜形成用組成物が含有する[B]有機溶媒として列挙した有機溶媒と同様のものが挙げられる。これらのうち酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチルが好ましい。これらの溶媒は単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0179】
<その他の任意成分>
当該レジストパターン形成方法に用いられるフォトレジスト組成物は、その他の任意成分として、界面活性剤、脂環式骨格含有化合物、増感剤等を含有できる。なお、上記フォトレジスト組成物は、上記その他の任意成分をそれぞれ1種のみ含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。
【0180】
[界面活性剤]
界面活性剤は、当該レジストパターン形成方法に用いられるフォトレジスト組成物の塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する効果を奏する。
【0181】
[脂環式骨格含有化合物]
脂環式骨格含有化合物は、当該レジストパターン形成方法に用いられるフォトレジスト組成物のドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を改善する効果を奏する。
【0182】
[増感剤]
増感剤は、[B]酸発生体からの酸の生成量を増加する作用を示すものであり、当該レジストパターン形成方法に用いられるフォトレジスト組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を奏する。
【0183】
<フォトレジスト組成物の調製方法>
当該レジストパターン形成方法に用いられるフォトレジスト組成物は、例えば上記溶媒中で[C]重合体、酸発生体、酸拡散制御剤及びその他の任意成分を所定の割合で混合することにより調製できる。また、上記フォトレジスト組成物は、適当な溶媒に溶解又は分散させた状態に調製され使用され得る。
【実施例】
【0184】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0185】
<[A]重合体の合成>
[A]重合体及び後述する[C]重合体の合成に用いた単量体を下記式で示す。
【0186】
【化25】
【0187】
[合成例1]
構造単位(I)を与える上記式(M−1)で表される化合物100g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)2.4g、及びt−ドデシルメルカプタン0.4gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル200gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、6時間重合させた。重合後、プロピレングリコールモノメチルエーテルを減圧留去し、得られた重合体を100gのメチルエチルケトンに溶解した後、2,000gのn−ヘキサン中に滴下して、重合体を凝固精製した。次いで、この重合体に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル150gを加えた後、更に、メタノール150g、トリエチルアミン41g、及び水8gを加えて、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行った。
赤外分光法により、脱アセチル化が定量的に進行しポリp−ヒドロキシスチレンが得られていることを確認した後、溶媒及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた重合体をアセトン150gに溶解した後、2,000gの水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥した。得られた重合体(A−1)は、Mwが15,000、Mw/Mnが2.6であった。
【0188】
[合成例2]
構造単位(I)を与える上記式(M−2)で表される化合物100g、及びAIBN6gを、メチルエチルケトン300gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を78℃に保持して、6時間重合させた。重合後、メチルエチルケトンを減圧留去し、得られた重合体を100gのメチルエチルケトンに溶解した後、2,000gのn−ヘキサン中に滴下して、重合体を凝固させた。次いで、この重合体を300gのn−ヘキサンで2回洗浄し、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥した。得られた重合体(A−2)は、Mwが8,000、Mw/Mnが2.3であった。
【0189】
[合成例3]
構造単位(I)を与える上記式(M−1)で表される化合物30g、(M−2)で表される化合物70g、AIBN2.4g、及びt−ドデシルメルカプタン0.4gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル200gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、6時間重合させた。重合後、プロピレングリコールモノメチルエーテルを減圧留去し、得られた重合体を100gのプロピレングリコールモノメチルエーテルに溶解した後、2,000gのn−ヘキサン中に滴下して、重合体を凝固精製した。次いで、この重合体に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル150gを加えた後、更に、メタノール150g、トリエチルアミン12g、及び水2gを加えて、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行った。
赤外分光法により、脱アセチル化が定量的に進行しポリp−ヒドロキシスチレンが得られていることを確認した後、溶媒及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた重合体をアセトン150gに溶解した後、2,000gの水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥した。得られた重合体(A−3)は、Mwが17,000、Mw/Mnが2.1であった。
【0190】
[合成例4]
構造単位(I)を与える上記式(M−2)で表される化合物70g、(M−9)で表される化合物30g、及びAIBN2.4gを、メチルエチルケトン200gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を78℃に保持して、6時間重合させた。重合後、メチルエチルケトンを減圧留去し、得られた重合体を100gのメチルエチルケトンに溶解した後、2,000gのn−ヘキサン中に滴下して、重合体を凝固精製した。次いで、この重合体を300gのn−ヘキサンで2回洗浄し、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥した。得られた重合体(A−4)は、Mwが9,000、Mw/Mnが2.2であった。
【0191】
[合成例5]
構造単位(I)を与える上記式(M−2)で表される化合物70g、(M−10)で表される化合物30g、及びAIBN2.4gを、メチルエチルケトン200gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を78℃に保持して、6時間重合させた。重合後、メチルエチルケトンを減圧留去し、得られた重合体を100gのメチルエチルケトンに溶解した後、2,000gのn−ヘキサン中に滴下して、重合体を凝固精製した。次いで、この重合体を300gのn−ヘキサンで2回洗浄し、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥した。得られた重合体(A−5)は、Mwが9,000、Mw/Mnが2.2であった。
【0192】
<保護膜形成組成物の調製>
保護膜形成用組成物の調製に用いた[A]重合体以外の各成分を以下に示す。
【0193】
([B]有機溶媒)
B−1:4−メチル−2−ペンタノール
B−2:ジイソアミルエーテル
【0194】
[実施例1]
合成例1で調製した重合体(A−1)100質量部、並びに溶媒(B−1)9,000質量部及び溶媒(B−2)1,000質量部を混合し、得られた混合液を孔径0.20μmのメンブランフィルターを用いてろ過することにより、保護膜形成用組成物(T−1)を調製した。
【0195】
[実施例2〜5]
表1に示す種類、量の各成分を使用した以外は実施例1と同様に操作して、保護膜形成用組成物(T−2)〜(T−5)を調製した。
【0196】
【表1】
【0197】
<フォトレジスト組成物用の[C]重合体の合成>
[合成例6]
上記式(M−3)で表される化合物55g、上記式(M−4)で表される化合物45g、及びAIBN3gを、メチルエチルケトン300gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を78℃に保持して、6時間重合させた。重合後、反応溶液を2,000gのメタノール中に滴下して、共重合体を凝固させた。次いで、この共重合体を300gのメタノールで2回洗浄し、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥した。得られた共重合体(C−1)は、Mwが7,000、Mw/Mnが2.1であった。
13C−NMR分析の結果、化合物(M−3)及び化合物(M−4)に由来する各構造単位の含有比率は、52(モル%):48(モル%)であった。
【0198】
[合成例7]
上記式(M−1)で表される化合物55g、上記式(M−4)で表される化合物45g、AIBN3g、及びt−ドデシルメルカプタン1gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル150gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、16時間重合させた。重合後、反応溶液を1,000gのn−ヘキサン中に滴下して、共重合体を凝固精製した。次いで、この共重合体に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル150gを加えた後、さらに、メタノール150g、トリエチルアミン37g、及び水7gを加えて、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行って、(M−1)に由来する構造単位の脱アセチル化を行った。反応後、溶剤及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた共重合体をアセトン150gに溶解した後、2,000gの水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥した。得られた共重合体(C−2)は、Mwが6,000、Mw/Mnが1.9であり、
13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシスチレンに由来する構造単位及び化合物(M−4)に由来する構造単位の含有比率は、50(モル%):50(モル%)であった。
【0199】
[合成例8〜13]
表2に記載の種類及び配合量の化合物を用いた以外は、合成例7と同様に操作し、重合体(C−3)〜重合体(C−8)を得た。得られた各重合体における上記化合物由来の構造単位の含有比率、Mw及びMw/Mnを表2に合わせて示す。
【0200】
【表2】
【0201】
<フォトレジスト組成物の調製>
フォトレジスト組成物の調製に用いた酸発生体、酸拡散制御剤、溶媒について以下に示す。
【0202】
(酸発生剤)
下記式で表される化合物。
【0203】
【化26】
【0204】
(酸拡散制御剤)
下記式(Q−1)及び(Q−2)で表される化合物。
【0205】
【化27】
【0206】
(溶媒)
PGMEA:酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル
EL :乳酸エチル
【0207】
[調製例1]
合成例6で合成した[C−1]重合体100質量部、酸発生剤(P−1)27質量部、酸拡散制御剤(Q−1)2.6質量部、溶媒として酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGMEA)4,300質量部、及び乳酸エチル(EL)1,900質量部を混合し、得られた混合液を孔径0.20μmのメンブランフィルターでろ過し、フォトレジスト組成物(R−1)を調製した。
【0208】
[調製例2〜8]
表3に記載の種類及び配合量の各成分を用いた以外は、調製例1と同様に操作し、フォトレジスト組成物(R−2)〜(R−8)を調製した。
【0209】
【表3】
【0210】
<評価>
<消衰係数の測定>
東京エレクトロン社製のクリーントラックACT−8を用い、シリコンウエハ上に各保護膜形成用組成物をスピンコートし、110℃で60秒間焼成して膜厚30nmの保護膜を得た。その後、分光エリプソメーターVUV−VASE(J.A.Woollam社製)を用い、波長150nm〜1,000nmにおける光学定数(消衰係数)を算出した。結果を
図1に示す。
【0211】
図1に示す通り、本発明の保護膜形成用組成物から形成された保護膜は、150nm〜350nmに吸収があることがわかった。従って、本発明の保護膜形成用組成物から形成される保護膜をレジスト上に積層すると、EUVを用いる露光の際に同時に発生するOOBをカットすることができる。
【0212】
<レジストパターンの形成>
[実施例6]
東京エレクトロン社製のクリーントラックACT−8内で、シリコンウエハ上に上記調製例1で調製したフォトレジスト組成物(R−1)をスピンコートした後、110℃、60秒の条件でPBを行い、膜厚50nmのレジスト膜を形成した。その後、レジスト膜を形成したシリコンウエハ上に保護膜形成用組成物(T−1)をスピンコートし、110℃、60秒の条件でPBを行い、膜厚30nmの保護膜を形成した。その後、ニコン社製のArF投影露光装置S306Cを用い、NA:0.78、シグマ:0.85、2/3Annularの光学条件にて、マスクパターンを介さずにシリコンウエハ上に露光量5mJ/cm
2にて全面露光を行った。続いて、簡易型の電子線描画装置(日立社製、型式HL800D、出力;50KeV、電流密度;5.0アンペア/cm
2)を用いて電子線を照射し、パターニングを行った。電子線の照射後、同クリーントラックACT−8内で、100℃、60秒の条件でPEBを行った。その後、同クリーントラックACT−8内で、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、23℃で1分間、パドル法により現像した後、純水で水洗し、乾燥して、レジストパターンを形成した。
【0213】
[実施例7〜18並びに比較例1及び2]
表4に記載した保護膜形成用組成物及びフォトレジスト組成物を用いた以外は、実施例6と同様に操作し、各レジストパターンを形成した。このようにして形成されたレジストパターンについて、下記に示す感度、ナノエッジラフネス及び解像度についての各評価を行った。その評価結果を表4に示す。なお、表4中の「−」は、保護膜形成用組成物を用いなかったことを示す。
【0214】
[感度(μC/cm
2)]
線幅150nmのライン部と、隣り合うライン部によって形成される間隔が150nmのスペース部とからなるライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を1対1の線幅に形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量を感度(μC/cm
2)とした。感度が50(μC/cm
2)以下であれば、良好であると判断した。
【0215】
[ナノエッジラフネス(nm)]
上記ライン・アンド・スペースパターン(1L1S)のラインパターンを、高分解能FEB測長装置(S−9220、日立社製)を用いて観察した。基板内の任意の20点を観察し、観察された形状について、
図2及び
図3に示すように、シリコンウエハ1上に形成したレジスト被膜のライン部2の横側面2aに沿って生じた凹凸の最も著しい箇所における線幅と、設計線幅150nmとの差「ΔCD」を測定し、このΔCDの平均値をナノエッジラフネス(nm)とした。ナノエッジラフネス(nm)が15(nm)以下である場合を「AA(極めて良好)」と判断し、15.0(nm)を超え16.5(nm)以下である場合を「A(良好)」と判断し、16.5(nm)を超える場合を「B(不良)」と判断した。なお、
図2及び
図3で示す凹凸は、実際より誇張して記載している。
【0216】
[解像度(nm)]
上記ライン・アンド・スペースパターン(1L1S)について、最適露光量により解像されるラインパターンの最小線幅(nm)を解像度(nm)とした。解像度が100(nm)以下の場合、良好であると判断した。
【0217】
【表4】
【0218】
[アウトガス(OG)]
東京エレクトロン社製のクリーントラックACT−8内で、シリコンウエハ上に上記調製例1で調製したフォトレジスト組成物(R−1)をスピンコートした後、110℃、60秒の条件でPBを行い、膜厚50nmのレジスト膜を形成した。その後、レジスト膜を形成したシリコンウエハ上に実施例1〜5に係る各保護膜形成用組成物をスピンコートし、110℃、60秒の条件でPBを行い、膜厚30nmの保護膜を形成した。ニコン社製のKrF投影露光装置S203Bを用い、NA:0.68、シグマ:0.75、Conventionalの光学条件にて、マスクパターンを介さずにシリコンウエハ上に露光量15mJ/cm
2にて全面露光を行った。なお、保護膜を形成していないものを比較例とした。
このシリコンウエハを、市販の加熱脱離型ガスクロマトグラフィー質量分析計(ジーエルサイエンス社製、SWA−256)を用いて測定することによりアウトガス分析を行った。25℃で60分間の条件で、ウエハ表面から有機物の脱離させ、脱離したアウトガス分は一旦、捕集カラムに集めた後、捕集カラムを200℃で加熱することで、捕集カラムから有機物を再脱離させ、サーマルデソープションコールドトラップインジェクターで、液体窒素を用いて冷却して体積収縮させ、その後、230℃に急速加熱することで捕集したガス成分を一気にガスクロマトグラフィー(JNS−GCMATE GCMS SYSTEM、JEOL社製)に導入して測定した。
アウトガス分析は、下記式で表される化合物(G−1)、(G−2)及び(G−3)について行い、それぞれ化合物の市販品から予め作成した検量線を用いて定量した。その結果を表5に示す。表5中の実施例1〜5のアウトガス量の値は、比較例3のアウトガス量を100としたときの相対値である。アウトガス量が80以下である場合、保護膜形成用組成物のアウトガス抑制効果は、良好であると判断した。
【0219】
【化28】
【0220】
【表5】
【0221】
表4及び表5に示すように、本発明の保護膜を用いた実施例においては、保護膜を用いていない比較例と比べて、ナノエッジラフネスが著しく改善し、解像度も良好であった。また、感度も十分満足すると共に、アウトガスの発生抑制効果を有することがわかった。