(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
チップ素体と、前記チップ素体の内部に設けられた貫通電極と、前記貫通電極に対向するように前記チップ素体の内部に設けられた内部電極と、前記チップ素体の両端面にそれぞれ設けられ前記貫通電極に電気的に接続された第1外部端子および第2外部端子と、前記チップ素体の側面に設けられ前記内部電極に電気的に接続された第3外部端子とを有する3端子コンデンサを、ホット側導体パターンとグランド側導体パターンとを有する回路基板に実装してなるノイズフィルタであって、
前記回路基板の表面と裏面とには、互いに対向した位置で前記3端子コンデンサをそれぞれ設け、
前記回路基板の表面に設けた前記3端子コンデンサの第1外部端子および第2外部端子には、前記ホット側導体パターンとグランド側導体パターンとのうちいずれか一方を電気的に接続し、
前記回路基板の裏面に設けた前記3端子コンデンサの第3外部端子には、前記ホット側導体パターンとグランド側導体パターンとのうちいずれか他方を電気的に接続し、
前記回路基板の表面に設けた前記3端子コンデンサの第3外部端子と、前記回路基板の裏面に設けた前記3端子コンデンサの第1外部端子および第2外部端子とは、前記回路基板に設けたビアを用いて電気的に接続し、
前記回路基板の表面に設けた前記3端子コンデンサと前記回路基板の裏面に設けた前記3端子コンデンサとを、前記ホット側導体パターンと前記グランド側導体パターンとの間に電気的に直列接続したことを特徴とするノイズフィルタ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第1の実施の形態によるノイズフィルタについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0014】
まず、
図1ないし
図7を用いて本発明の第1の実施の形態によるノイズフィルタ1について説明する。
図1ないし
図4に、本発明の第1の実施の形態によるノイズフィルタ1を示す。ノイズフィルタ1は、回路基板2、ホット側導体パターン3A,3B、グランド側導体パターン5A,5B、接続用電極4A,4B,6A,6B、ビア7A,7B、3端子コンデンサ11,21等を備えている。なお、以下では、回路基板2の厚さ方向をZ方向とし、回路基板2の表面2Aに沿った横方向および縦方向をX方向およびY方向とする。
【0015】
回路基板2は、例えばエポキシ樹脂等の絶縁性材料を用いて平板状に形成されている。この回路基板2の表面2Aには、2個のホット側導体パターン3A,3Bと、2個の接続用電極4A,4Bとが設けられている。
図1および
図2に示すように、ホット側導体パターン3A,3Bは、Y方向に向けて延びると共に、回路基板2の中央部付近で互いに離間している。これらのホット側導体パターン3A,3Bには、電源電圧が供給される。
【0016】
図2に示すように、接続用電極4A,4Bは、回路基板2でホット側導体パターン3A,3Bが離間した部位の周囲に位置して、ホット側導体パターン3A,3Bを挟んでX方向の一側と他側(
図2中の左側と右側)にそれぞれ配置されている。
【0017】
回路基板2の裏面2Bには、2個のグランド側導体パターン5A,5Bと、2個の接続用電極6A,6Bとが設けられている。グランド側導体パターン5A,5Bは、Y方向に向けて延びると共に、回路基板2の中央部付近で互いに離間している。グランド側導体パターン5A,5Bは、回路基板2でホット側導体パターン3A,3Bと対向した部位に位置して、ホット側導体パターン3A,3Bと略平行に形成されている。これらのグランド側導体パターン5A,5Bには、グランドが接続される。
【0018】
接続用電極6A,6Bは、回路基板2でグランド側導体パターン5A,5Bが離間した部位の周囲に位置して、グランド側導体パターン5A,5Bを挟んでX方向の一側と他側にそれぞれ配置されている。これらの接続用電極6A,6Bは、回路基板2で接続用電極4A,4Bと対向した部位に配置されている。
【0019】
回路基板2には、回路基板2の厚さ方向(Z方向)に貫通するビア7A,7Bが設けられている。
図1に示すように、ビア7A,7Bは、例えば回路基板2を貫通する貫通孔の内側にめっきによって導体を形成した貫通ビアであり、導電性を有する。これらのビア7A,7Bは、回路基板2の表面2Aに設けられた2個の接続用電極4A,4Bと、回路基板2の裏面2Bに設けられた2個の接続用電極6A,6Bとをそれぞれ電気的に接続する。
【0020】
回路基板2の表面2Aと裏面2Bとには、互いに対向し、略直交した状態で積層セラミックコンデンサからなる3端子コンデンサ11,21(以下、表面側3端子コンデンサ11、裏面側3端子コンデンサ21という)が実装されている。表面側3端子コンデンサ11は、チップ素体12、貫通電極13、内部電極14、第1外部端子15、第2外部端子16、第3外部端子17,18等を含んで構成されている。
【0021】
チップ素体12は、誘電体層12A〜12Fとなるセラミックグリーンシートを厚さ方向に積み重ねてプレスし、焼成することによって構成されている。誘電体層12A〜12Fは、例えばチタン酸バリウム(BaTiO
3)系セラミック等の誘電体材料を用いて略直方体状に形成されている。
【0022】
図5に示すように、誘電体層12A,12B間および誘電体層12C,12D間には、チップ素体12の内部を長さ方向(長辺方向)に貫通した貫通電極13がそれぞれ設けられている。この貫通電極13は、略平板状をなしてチップ素体12の長辺に沿って延びている。貫通電極13の長さ方向の一端は、第1外部端子15に電気的に接続され、貫通電極13の長さ方向の他端は、第2外部端子16に電気的に接続されている。
【0023】
また、誘電体層12B,12C間および誘電体層12D,12E間には、各貫通電極13に対向するように略平板状をなす内部電極14がそれぞれ設けられている。この内部電極14は、長さ方向の中央部でチップ素体12の内部を幅方向(短辺方向)に貫通すると共に、貫通電極13に対向するようにチップ素体12の長さ方向に沿って広がっている。これにより、内部電極14は、略十字状に形成されている。
図3に示すように、内部電極14は、幅方向の両端が第3外部端子17,18に電気的に接続されている。ここで、貫通電極13および内部電極14は、例えば導電性金属薄膜によって形成されている。
【0024】
第1外部端子15は、チップ素体12の長さ方向の一端面に設けられ、貫通電極13と電気的に接続されている。また、第2外部端子16は、チップ素体12の長さ方向の他端面に設けられ、貫通電極13と電気的に接続されている。
【0025】
第3外部端子17,18は、第1外部端子15および第2外部端子16が設けられたチップ素体12の両端面と直交する側面にそれぞれ設けられ、内部電極14と電気的に接続されている。ここで、各外部端子15〜18は、例えば導電性金属からなる焼結電極層上にNiめっき層等を形成されてなるものである。
【0026】
一方、回路基板2の裏面2Bには裏面側3端子コンデンサ21が設けられている。裏面側3端子コンデンサ21は、誘電体層22A〜22Fからなるチップ素体22、貫通電極23、内部電極24、第1外部端子25、第2外部端子26、第3外部端子27,28等を含んで構成されている。
【0027】
ここで、裏面側3端子コンデンサ21は、表面側3端子コンデンサ11とほぼ同様に構成されている。従って、裏面側3端子コンデンサ21のチップ素体22、貫通電極23、内部電極24、第1外部端子25、第2外部端子26、第3外部端子27,28は、表面側3端子コンデンサ11のチップ素体12、貫通電極13、内部電極14、第1外部端子15、第2外部端子16、第3外部端子17,18にそれぞれ対応する。このため、これらの詳細な説明は省略する。
【0028】
なお、誘電体層12A〜12F,22A〜22Fの層数、貫通電極13,23の個数、および、内部電極14,24の個数は、
図1ないし
図5に示したものに限らず、仕様等に応じて適宜設定されるものである。また、表面側3端子コンデンサ11と裏面側3端子コンデンサ21は、必ずしも同一である必要なく、例えば貫通電極13,23の個数や内部電極14,24の個数が相違することによって、互いに異なる静電容量を有するものでもよい。
【0029】
次に、回路基板2に対する表面側3端子コンデンサ11と裏面側3端子コンデンサ21との実装状態について説明する。
【0030】
表面側3端子コンデンサ11は、回路基板2の表面2Aに表面実装される。このとき、第1外部端子15、第2外部端子16は、例えば、はんだ8によってホット側導体パターン3A,3Bに接合され、第3外部端子17,18は、例えば、はんだ8によって接続用電極4A,4Bに接合される。これにより、第1外部端子15は一方のホット側導体パターン3Aに電気的に接続され、第2外部端子16は他方のホット側導体パターン3Bに電気的に接続される。また、2個の第3外部端子17,18は接続用電極4A,4Bにそれぞれ電気的に接続される。
【0031】
一方、裏面側3端子コンデンサ21は、回路基板2の裏面2Bに表面実装される。このとき、第1外部端子25、第2外部端子26は、例えば、はんだ8によって接続用電極6A,6Bに接合され、第3外部端子27,28は、例えば、はんだ8によってグランド側導体パターン5A,5Bに接合される。これにより、第1外部端子25は一方の接続用電極6Aに電気的に接続され、第2外部端子26は他方の接続用電極6Bに電気的に接続される。また、2個の第3外部端子27,28はグランド側導体パターン5A,5Bにそれぞれ電気的に接続される。従って、表面側3端子コンデンサ11と裏面側3端子コンデンサ21とは、ホット側導体パターン3A,3Bとグランド側導体パターン5A,5Bとの間に電気的に直列接続される。
【0032】
このとき、表面側3端子コンデンサ11の第3外部端子17と裏面側3端子コンデンサ21の第1外部端子25との間と、表面側3端子コンデンサ11の第3外部端子18と裏面側3端子コンデンサ21の第2外部端子26との間とは、互いに異なるビア7A,7Bを用いて電気的に接続される。具体的には、表面側3端子コンデンサ11の一方の第3外部端子17は、接続用電極4Aを介してビア7Aの上端に電気的に接続される。また、ビア7Aの下端は、接続用電極6Aを介して裏面側3端子コンデンサ21の第1外部端子25に電気的に接続される。
【0033】
これに対し、表面側3端子コンデンサ11の他方の第3外部端子18は、接続用電極4Bを介してビア7Bの上端に電気的に接続される。また、ビア7Bの下端は、接続用電極6Bを介して裏面側3端子コンデンサ21の第2外部端子26に電気的に接続される。この構成により、裏面側3端子コンデンサ21を表面側3端子コンデンサ11の鉛直線上に配置することができ、回路基板2の厚さ寸法程度の短いビア7A,7Bを用いて2個の3端子コンデンサ11,21を直列接続することができる。
【0034】
本実施の形態によるノイズフィルタ1は上述のように構成されるものであり、次にその作動について説明する。
【0035】
例えば、一方のホット側導体パターン3Aに電源側のホットラインを接続し、他方のホット側導体パターン3Bにデバイス(図示せず)側のホットラインを接続する。また、グランド側導体パターン5A,5Bにグランドラインを接続する。これにより、ホット側導体パターン3A,3Bには電源電圧が供給され、グランド側導体パターン5A,5Bはグランド電位に保持される。
【0036】
そして、ホットラインに電源用の直流電流が供給されると、直流電流は、表面側3端子コンデンサ11の一方のホット側導体パターン3A、第1外部端子15、貫通電極13、第2外部端子16、他方のホット側導体パターン3Bを介して各デバイスに供給される。このとき、ホット側導体パターン3A,3Bとグランド側導体パターン5A,5Bとの間は、3端子コンデンサ11,21によって絶縁されているため、直流電流がグランド側導体パターン5A,5Bに流れることはない。
【0037】
一方、
図1ないし
図4に示すように、ホット側導体パターン3A,3Bに高周波のノイズ電流i
ha,i
hb(高周波電流)が供給されると、これらのノイズ電流i
ha,i
hbは、表面側3端子コンデンサ11の貫通電極13から内部電極14に侵入し、2つに分岐して第3外部端子17,18から接続用電極4A,4Bに向けて流れる。第3外部端子17から流出したノイズ電流i
vaは、一方の電流経路として、接続用電極4A、ビア7A、接続用電極6Aを通じて裏面側3端子コンデンサ21の第1外部端子25に向けて流れる。これに対し、第3外部端子18から流出したノイズ電流i
vbは、他方の電流経路として、接続用電極4B、ビア7B、接続用電極6Bを通じて裏面側3端子コンデンサ21の第2外部端子26に向けて流れる。このように、2つの電流経路を介して裏面側3端子コンデンサ21に供給されたノイズ電流i
va,i
vbは、裏面側3端子コンデンサ21の貫通電極23から内部電極24に侵入し、再び2つに分岐してノイズ電流i
ga,i
gbとなって第3外部端子27,28から流出する。これら2つのノイズ電流i
ga,i
gbは、第3外部端子27,28からグランド側導体パターン5A,5Bに向けて流れる。
【0038】
このとき、ノイズフィルタ1の等価回路は
図6に示す通りとなる。
図6において、ホットライン(HOT)は、表面側3端子コンデンサ11の貫通電極13によって接続されているから、直流電流は、表面側3端子コンデンサ11の内部をそのまま通過する。これに対し、表面側3端子コンデンサ11および裏面側3端子コンデンサ21は、ホットライン(HOT)とグランドライン(GND)との間に直列接続されている。このため、ノイズ電流は、ビア7A,7Bを介して、裏面側3端子コンデンサ21に供給され、グランドラインに向けて流れていく。これにより、ノイズフィルタ1は、ホットラインを流れるノイズ電流を除去することができる。
【0039】
以上の構成により、表面側3端子コンデンサ11と裏面側3端子コンデンサ21を回路基板2の両面に配置するので、2個の3端子コンデンサを回路基板の表面のみに設けた場合に比べて、接続線路のインダクタンスを小さくすることができる。これは、回路基板2上で線路を引き回さず、ビア7A,7Bを介して回路基板2の厚さ寸法程度の短い距離で表面側3端子コンデンサ11と裏面側3端子コンデンサ21を接続できるからである。
【0040】
また、ノイズフィルタ1は3端子コンデンサ11,21を用いているので、2端子コンデンサを用いる場合と比べて、コンデンサ内部でのインダクタンスを低下させ、等価直列インダクタンスを小さくすることができる。これは、貫通電極13,23のインダクタンスはT型フィルタのインダクタのように働き、かつ、第3外部端子17,18,27,28は3端子コンデンサ11,21の側面両端に並列的に接続されるので、その結果インダクタンスを小さくできるからである。
【0041】
以上の効果を確認するために、実施の形態によるノイズフィルタ1について、挿入損失を表すSパラメータのS21の周波数特性をシミュレーションによって求めた。その結果を
図7に示す。
図7には、実施の形態によるノイズフィルタ1の結果と対比するために、比較例としてホットラインとグランドラインとの間に既存の2端子コンデンサを直列接続した場合の周波数特性も併せて記載した。なお、比較例による2端子コンデンサの静電容量と、実施の形態による3端子コンデンサ11,21の静電容量とは、同じ値とした。
【0042】
図7に示すように、比較例の2端子コンデンサでは、10MHz付近までは周波数が高くなるに従って挿入損失が増加、即ちノイズの減衰量が増加している。しかしながら、比較例では、10MHz付近を境に、挿入損失が減少、即ちノイズの減衰量が減少する。これは、コンデンサ内部の残留インダクタンスにより等価直列インダクタンスが影響しているためであると考えられる。
【0043】
これに対し、本実施の形態によるノイズフィルタ1でも、10MHz付近を境に、挿入損失が減少しているが、比較例に比べて、挿入損失が全体的に大きくなっている。特に、100MHz以上の高周波帯域においてノイズ低減効果は、比較例に比べて10dB程度改善されることが分かる。このように、ノイズフィルタ1では、接続線路の短縮化および3端子コンデンサ11,21を用いることにより、比較例に比べて、高周波帯域での挿入損失を増加させることができ、高周波に亘ってノイズ低減効果を得ることができる。
【0044】
かくして、第1の実施の形態によれば、ノイズフィルタ1は、表面側3端子コンデンサ11と裏面側3端子コンデンサ21とを電気的に直列接続している。これにより、例えば、表面側3端子コンデンサ11が振動等によりクラックを生じて短絡を起こす場合でも、裏面側3端子コンデンサ21によって、ホット側導体パターン3A,3Bとグランド側導体パターン5A,5Bとの間を絶縁することができ、フェールセーフ機能を実現することができる。同様に、裏面側3端子コンデンサ21が短絡を起こす場合でも、表面側3端子コンデンサ11によってフェールセーフ機能を実現することができる。
【0045】
また、ノイズフィルタ1は、回路基板2の表面2Aと裏面2Bとには、互いに対向した位置で各3端子コンデンサ11,21をそれぞれ設け、表面側3端子コンデンサ11と裏面側3端子コンデンサ21とを回路基板2に設けたビア7A,7Bを用いて電気的に接続している。これにより、回路基板2の両面に設けた2個の3端子コンデンサ11,21を接続線路となるビア7A,7Bによって接続することができる。このため、例えば2個の3端子コンデンサを回路基板の表面のみに設けた場合に比べて、2個の3端子コンデンサ11,21間の接続線路を短くすることができ、接続線路のインダクタンスを小さくすることができる。これに加えて、ノイズフィルタ1は3端子コンデンサ11,21を用いるから、2端子コンデンサを用いた場合に比べて、コンデンサ内部でのインダクタンスを低下させることができる。即ち、3端子コンデンサ11,21は、2端子コンデンサに比べて挿入損失が大きく、ノイズ低減効果が大きい。この結果、ノイズフィルタ1の等価直列インダクタンスを小さくすることができ、高周波に亘ってノイズ低減効果を得ることができる。
【0046】
また、第1の実施の形態によれば、ビア7A,7Bは回路基板2に設けられ、表面側3端子コンデンサ11と裏面側3端子コンデンサ21とを電気的に接続している。この場合、2個の3端子コンデンサ11,21を互いに略直交した状態で配置することによって、表面側3端子コンデンサ11の第3外部端子17と裏面側3端子コンデンサ21の第1外部端子25とを近付けて配置することができると共に、表面側3端子コンデンサ11の第3外部端子18と裏面側3端子コンデンサ21の第2外部端子26とを近付けて配置することができる。このため、裏面側3端子コンデンサ21の第1外部端子25および第2外部端子26に応じた位置に、ビア7A,7Bを設けることによって、表面側3端子コンデンサ11の第3外部端子17と裏面側3端子コンデンサ21の第1外部端子25との間、および、表面側3端子コンデンサ11の第3外部端子18と裏面側3端子コンデンサ21の第2外部端子26との間を容易に接続することができる。この結果、回路基板2の厚さ寸法程度の短いビア7A,7Bを用いて2個の3端子コンデンサ11,21を直列接続することができるから、等価直列インダクタンスを小さくすることができる。
【0047】
また、2個のビア7A,7Bを用いて表面側3端子コンデンサ11と裏面側3端子コンデンサ21とを直列接続するから、3端子コンデンサ11,21間に複数の電流経路を形成することができる。このため、単一のビアを用いて3端子コンデンサ11,21を直列接続した場合に比べて、2個のビア7A,7Bによる合成インダクタンスを小さくすることができる。この結果、等価直列インダクタンスを小さくして、高周波に亘ってノイズ低減効果を得ることができる。
【0048】
さらに、ノイズフィルタ1では、ビア7A,7Bの個数の増加、回路基板2の内層に貫通電極13,23と並列接続されたプレーン(電極層)の挿入、回路基板2の厚さ寸法の低下等のレイアウトの最適化により、表面側3端子コンデンサ11と裏面側3端子コンデンサ21間の等価直列インダクタンスを、さらに低下させることができる。
【0049】
次に、
図8および
図9に、本発明の第2の実施の形態によるノイズフィルタを示す。第2の実施の形態の特徴は、回路基板中にプレーン電極を備えることにある。なお、第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0050】
第2の実施の形態によるノイズフィルタ31は、回路基板32、ホット側導体パターン3A,3B、グランド側導体パターン5A,5B、接続用電極4A,4B,6A,6B、ビア7A,7B、3端子コンデンサ11,21等を備えている。
【0051】
回路基板32は、例えばエポキシ樹脂等の絶縁性材料を用いた絶縁層32A,32Bの間に、プレーン電極32Cが設けられた多層基板で構成されている。また、プレーン電極32Cは、例えば導電性薄膜によって平板状に形成され、各3端子コンデンサ11,21を覆う外形寸法を有し、3端子コンデンサ11,21間に配置されている。さらに、プレーン電極32Cは、回路基板32を貫通して延びるビア7A,7Bの厚さ方向の途中位置に接続されている。これにより、ビア7A,7Bはプレーン電極32Cによって電気的に接続されている。
【0052】
かくして、第2の実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0053】
なお、前記第1,第2の実施の形態では、内部電極14,24は単一の平板状に形成するものとした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば
図10に示す第1の変形例によるノイズフィルタ41のような構成としてもよい。即ち、表面側3端子コンデンサ42では、例えば2個の内部電極43を同一層で幅方向の両端側にそれぞれ配置すると共に、これら2個の内部電極43は互いに接触しないように離間して設けられている。この場合、一方の内部電極43は第3外部端子17に電気的に接続され、他方の内部電極43は第3外部端子18に電気的に接続されている。さらに、裏面側3端子コンデンサ44も内部電極43とほぼ同様な内部電極45を備えている。この場合、一方の内部電極45は第3外部端子27に電気的に接続され、他方の内部電極45は第3外部端子28に電気的に接続されている。
【0054】
また、前記第1,第2の実施の形態では、内部電極14,24は、その両端部を2個の第3外部端子17,18,27,28に接続するものとした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば
図11に示す第2の変形例によるノイズフィルタ51のような構成としてもよい。即ち、表面側3端子コンデンサ52では、第3外部端子17に電気的に接続された内部電極53と、第3外部端子18に電気的に接続された内部電極54とを備える。このとき、内部電極53は、第3外部端子18と接触しないように、第3外部端子18と離間して配置される。同様に、内部電極54は、第3外部端子17から離間して配置される。そして、内部電極53,54は、厚さ方向で異なる位置に配置されると共に、厚さ方向に対して交互に設けられる。さらに、裏面側3端子コンデンサ55も、内部電極53,54とほぼ同様な内部電極56,57を備えている。この場合、内部電極53と同様に、内部電極56は第3外部端子27に電気的に接続され、内部電極57は第3外部端子28に電気的に接続される。
【0055】
なお、前記第1,第2の実施の形態では、表面側3端子コンデンサ11の第1外部端子15および第2外部端子16にホットラインであるホット側導体パターン3A,3Bを電気的に接続し、裏面側3端子コンデンサ21の第3外部端子27,28にグランドラインであるグランド側導体パターン5A,5Bを電気的に接続する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、表面側3端子コンデンサの第1外部端子および第2外部端子にグランドラインを電気的に接続し、裏面側3端子コンデンサの第3外部端子にホットラインを電気的に接続する構成としてもよい。
【0056】
また、前記第1の実施の形態では、表面側3端子コンデンサ11と裏面側3端子コンデンサ21とを略直交した状態で回路基板2の表面2Aと裏面2Bとにそれぞれ配置する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、表面側3端子コンデンサと裏面側3端子コンデンサとを略平行な状態で、回路基板の表面と裏面とにそれぞれ配置する構成としてもよい。このことは、第2の実施の形態においても同様である。
【0057】
また、前記第1の実施の形態では、回路基板2にビア7A,7Bを2個設ける構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、回路基板にビアを1個のみ設ける構成としてもよいし、ビアを3個以上設けて、表面側3端子コンデンサと裏面側3端子コンデンサとを電気的に接続する構成としてもよい。その場合、回路基板上に設けた各導体パターンは、表面側3端子コンデンサと裏面側3端子コンデンサが電気的に直列接続するように配置すればよい。このことは、第2の実施の形態においても同様である。
【0058】
また、前記第1,第2の実施の形態では、3端子コンデンサ11,21の第3外部端子17,18,27,28は、チップ素体12,22の2つの側面にそれぞれ別個に設ける構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、3端子コンデンサのチップ素体の2つの側面に設けた第3外部端子を互いに接続して、全体として共通化した1個の第3外部端子を設けてもよい。