特許第6197886号(P6197886)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6197886
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】駐車支援システム
(51)【国際特許分類】
   G01C 3/06 20060101AFI20170911BHJP
   G01S 5/16 20060101ALI20170911BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20170911BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20170911BHJP
   B60W 30/06 20060101ALI20170911BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20170911BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20170911BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20170911BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20170911BHJP
【FI】
   G01C3/06 110V
   G01S5/16
   B60L11/18 C
   B60M7/00 X
   B60W30/06
   B60R21/00 628D
   B60R11/02 Z
   H02J50/10
   H02J50/90
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-559673(P2015-559673)
(86)(22)【出願日】2014年1月30日
(86)【国際出願番号】JP2014052108
(87)【国際公開番号】WO2015114776
(87)【国際公開日】20150806
【審査請求日】2016年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】塚本 幸紀
【審査官】 三好 貴大
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−15549(JP,A)
【文献】 特開平2−234012(JP,A)
【文献】 特開2012−93195(JP,A)
【文献】 特開平11−118420(JP,A)
【文献】 特開2011−182608(JP,A)
【文献】 特開2011−188679(JP,A)
【文献】 特開平7−190717(JP,A)
【文献】 特開2010−226945(JP,A)
【文献】 特開2012−165498(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0190971(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 3/00− 3/32
G01B 11/00−11/30
G01S 7/48− 7/51
17/00−17/95
B60L 11/18
B60R 21/00
B60W 30/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電コイルを有する駐車位置に設けられ、光を発する光源と、
受電コイルを有する車両に互いに離間して搭載され、前記光源から発せられた光を位置検出素子を用いてそれぞれ受光する少なくとも2つの受光部と、
前記少なくとも2つの受光部に対する光の入射角をそれぞれ算出する入射角算出部と、前記少なくとも2つの受光部に対する光の入射角から、前記駐車位置と前記車両との距離を算出する距離算出部と、
前記車両が前記駐車位置に接近したことを検知する検知部とを備え、
前記検知部により前記車両が前記駐車位置に接近したことを検知したときに前記光源の光量を低減することを特徴とする駐車支援システム。
【請求項2】
前記少なくとも2つの受光部のそれぞれが、前記光源からの光を集光するレンズを有し、
前記少なくとも2つの受光部のそれぞれにおいて、前記位置検出素子の受光面の位置を、前記レンズの焦点距離よりも離れた位置に設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の駐車支援システム。
【請求項3】
前記光源を複数個有し、
前記複数個の光源が択一的に点灯する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の駐車支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、車両の駐車を支援する駐車支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の駐車支援システムとして、目的とする駐車位置と車両との距離を測定することにより、駐車位置に対する車両の位置を検出するものが知られている。このようなシステムとしては、ソナーなどの送信波の跳ね返りを利用するものが一般的である(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許5137139号
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、送信波の跳ね返りを利用するシステムでは、送信波を反射する対象物の形状や向きにより反射波を受信可能な範囲が変化する。また、対象物以外の物体が送信波を反射して誤検知する可能性がある。
【0005】
上記問題点を鑑み、本発明は、車両が駐車位置に駐車する際に、駐車位置に対する車両の位置を精度良く検出することができる駐車支援システムを提供することを目的とする。
【0006】
本発明の態様に係る駐車支援システムは、駐車位置に設けられた光源から発せられた光を複数の位置検出素子を用いて受光し、複数の位置検出素子に対する光の入射角をそれぞれ算出し、光の入射角に基づいて駐車位置と車両との距離を算出し、車両が駐車位置に接近したことを検知したときに光源の光量を低減することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、車両が駐車位置に駐車する際に、駐車位置に対する車両の位置を精度良く検出することができる駐車支援システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の第1の実施の形態に係る駐車支援システムの一例を示す概略図である。
図2図2は、本発明の第1の実施の形態に係る距離算出方法を説明するための概略図である。
図3図3は、本発明の第1の実施の形態に係る受光部の一例を示す概略図である。
図4図4(a)は、車両が駐車位置から離れている様子を示す概略図である。図4(b)は、車両が駐車位置に接近した様子を示す概略図である。
図5図5は、本発明の第1の実施の形態に係る駐車支援方法の一例を示すフローチャートである。
図6図6(a)は、車両が光源から離れている様子を示す概略図である。図6(b)は、車両が光源に接近した様子を示す概略図である。
図7図7(a)及び図7(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る受光部のPSDがレンズの焦点距離にある場合の概略図である。
図8図8(a)及び図8(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る受光部のPSDがレンズの焦点距離からずれている場合の概略図である。
図9図9は、本発明の第2の実施の形態に係る光の入射位置の補正方法を説明するための概略図である。
図10図10は、本発明の第3の実施の形態に係る駐車支援システムの一例を示す概略図である。
図11図11は、本発明の第3の実施の形態に係る光源の配置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る駐車支援システムは、図1に示すように、受電コイル2を有する車両1が、送電コイル3が設けられた駐車位置に駐車する際に利用されるものである。車両1が駐車位置に駐車すると、図1に示すように送電コイル3と受電コイル2とが対峙し、送電コイル3と受電コイル2との間で非接触で電力を送電又は受電する非接触給電を行うことができる。
【0010】
本発明の第1の実施の形態に係る駐車支援システムは、地上側にそれぞれ設けられた光源11、光量制御部12及び接近検知装置13と、車両1側にそれぞれ設けられた2つ(第1及び第2)の受光部21,22、入射角算出部23、距離算出部24及び車両制御部25を備える。また、地上側及び車両1側には、双方向で通信を行うための無線通信部10,20がそれぞれ設けられている。
【0011】
光源11は、送電コイル3を有する駐車位置に設けられている。光源11としては、例えば赤外線発光ダイオード(LED)が使用可能であり、光量の大小を切り替え可能なものが用いられる。ここで、「光量」とは、光束を時間で積算したものであり、その単位はルーメン秒[lm・s]が用いられる。光源11の光量は、車両1の位置の検出範囲や第1及び第2の受光部21,22の性能等により適宜設定可能である。
【0012】
光源11は、例えば光量の異なる2種類のLEDを有し、それらを切り替えて使用することにより、光量の大小を切り替えてもよい。或いは、1つのLEDに流す電流値又は印加する電圧値を変化させたり、1つのLEDの点灯と点滅とを切り替えたり、1つのLEDの点滅間隔を変化させることにより、光量の大小を切り替えてもよい。光源11は、図2に示すように、車両1が接近してくる方向に対して所定の範囲A1で光を照射する。
【0013】
第1及び第2の受光部21,22は、図2に示すように、車両1の対向する側面に互いに離間して取り付けられている。車両1における第1及び第2の受光部21,22の位置と、第1及び第2の受光部21,22間の距離とは固定されており既知である。
【0014】
なお、第1及び第2の受光部21,22を取り付ける位置は、車両1が駐車位置に駐車する際に、光源11からの光を第1及び第2の受光部21,22で同時に受光可能な位置であれば特に限定されない。第1及び第2の受光部21,22は、例えば車両1の前端部又は後端部に、車幅方向に互いに離間して取り付けられていてもよい。なお、本発明の実施の形態においては、少なくとも2つの受光部を車両1に取り付けていればよいのであって、車両1に取り付けられる受光部の数は特に限定されない。光源11からの光を受けやすい位置に3つ又は4つ以上の複数の受光部を配置して、そのうち少なくとも2つの受光部を用いて後述するように車両1の位置を算出してもよい。
【0015】
第1の受光部21は、レンズ31と、レンズ31と離間して配置された位置検出素子(PSD;Position Sensitive Detector)32とを有する。また、第2の受光部22は、レンズ33と、レンズ33と離間して配置されたPSD34とを有する。第1及び第2の受光部21,22のPSD32,34の受光面は、車幅方向に平行に、同一平面上に配置されている。
【0016】
次に、図3を用いて第1の受光部21の具体的な構成を説明する。なお、第2の受光部22の具体的な構成も、第1の受光部21と同様である。図3において、x軸方向は車両前後方向を示し、y軸方向は車幅方向を示し、z軸方向は鉛直方向を示す。
【0017】
第1の受光部21のレンズ31は、光源11から発せられた光をPSD32上に集光する。レンズ31としては、例えば可視光を遮光する樹脂が使用可能である。なお、レンズ31の代わりにピンホールを用いてもよい。
【0018】
車両前後方向(x軸方向)において、PSD32の受光面は、レンズ31の焦点距離dの位置に配置されている。また、車幅方向(y軸方向)において、PSD32の幅αの中央とレンズ31の中央とが一致するように配置されている。レンズ31の焦点距離d及びPSD32の受光面の中心位置P4は固定されており既知である。なお、例えばこのPSD32上の中心位置P4を、車両1における第1の受光部21の位置として設定可能である。
【0019】
PSD32は、抵抗体及びフォトダイオードからなり、光の入射位置にキャリアが発生し電流が流れる。PSD32は、車幅方向(y軸方向)に2つの出力端子を有しており、その出力電流I1,I2の比I1/I2により、PSD32上の光の入射位置(重心位置)P1を算出することができる。なお、本発明の実施の形態においては、車幅方向(y軸方向)の両端に2つの出力端子を有する1次元型のPSD32を用いて説明するが、車幅方向(y軸方向)及び鉛直方向(z軸方向)のそれぞれの両端に4つの出力端子を有する2次元型のPSDを用いることもできる。
【0020】
図1に示した入射角算出部23、距離算出部24及び車両制御部25は、中央演算処理装置(CPU)や、RAM、ROM、ハードディスク等の記憶手段からなるコンピュータで構成することができる。入射角算出部23は、図3に示した第1の受光部21からの出力電流I1,I2の比I1/I2から、PSD32上の光の入射位置P1を算出する。入射角算出部23は更に、レンズ31の中心位置P4及びレンズ31の焦点距離dを記憶手段から読み出して、PSD32上の光の入射位置P1と中心位置P4との距離xと、レンズ31の焦点距離dとから、PSD32上の光の入射角φ1を算出する。
【0021】
入射角算出部23は、図2に示した第2の受光部22についても第1の受光部21と同様に、PSD34上の光の入射位置P2を算出し、更にPSD34上の光の入射角φ2を算出する。
【0022】
距離算出部24は、第1及び第2の受光部21,22の位置を記憶手段から読み出し、第1及び第2の受光部21,22の位置と、入射角算出部23により算出された光の入射位置P1,P2とから、図2に示した光の入射位置P1,P2間の距離Lを算出する。距離算出部24は更に、入射角算出部23により算出された光の入射角φ1,φ2と、光の入射位置P1,P2間の距離Lとから、三角測量の原理により、光の入射位置P1,P2に対する光源11の相対的な位置P0を算出する。
【0023】
距離算出部24は更に、記憶手段から車両1の位置P3を読み出して、車両1の位置P3と光源11の位置P0との距離r及び車両1の向きθを算出する。ここで、車両1の位置P3は、例えば第1及び第2の受光部21,22の位置から等距離の位置であり、予め設定されている。なお、第1及び第2の受光部21,22のいずれかの位置を車両1の位置として設定してもよい。
【0024】
車両1の向きθは、光源11の位置P0と車両1の位置P3とを結ぶ線分と車幅方向とがなす角度である。なお、光源11の位置P0と車両1の位置P3とを結ぶ線分と車両前後方向とがなす角度を車両1の向きとしてもよい。
【0025】
車両制御部25は、例えば距離算出部24により算出された車両1と駐車位置との距離r及び車両1の向きθを表示部に表示させることにより、駐車位置に対する車両1の位置を運転者に通知することができる。また、車両制御部25は、距離算出部24により算出された車両1と駐車位置との距離r及び車両1の向きθに基づいて、車両1を制御し自動運転を行ってもよい。
【0026】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る光源11の光量の制御方法について説明する。車両1と駐車位置との距離rを光源11の位置P0を基点として所定の範囲で検知する場合、所定の範囲内の遠い場所でも検知可能な光量で光源11から発信すると、車両1が光源11に近づいた場合に、第1及び第2の受光部21,22で光が飽和して検知ができなくなる可能性がある。この課題を解決するため、本発明の第1の実施の形態においては以下のように光源11の光量を制御する。
【0027】
図1に示した接近検知装置13は、車両1が駐車位置に接近したことを検知する。接近検知装置13は、駐車位置の地中に埋設された埋め込みコイル(ループコイル)14と、埋め込みコイル14に接続された検知部15を備える。埋め込みコイル14は、車両1が接近するとそのインダクタンスが変化する。検知部15は、埋め込みコイル14のインダクタンスを測定し、インダクタンスの変化から車両1が駐車位置に接近したことを検知する。
【0028】
光量制御部12は、中央演算処理装置(CPU)や、RAM、ROM、ハードディスク等の記憶手段からなるコンピュータで構成することができる。光量制御部12は、接近検知装置13による検知結果に応じて光源11の光量を制御する。
【0029】
図4(a)に示すように、車両1が駐車位置から離れており、接近検知装置13により車両1の接近が検知されない場合、光量制御部12は、光源11を相対的に大きい光量で発光させる。一方、図4(b)に示すように、車両1が駐車位置へ接近し、接近検知装置13により車両1の接近が検知された場合、光量制御部12は、光源11の光量を低減させ、光源11を相対的に小さい光量で発光させる。図4(a)及び図4(b)では、光源11からの光の照射範囲A1,A2を斜線の領域でそれぞれ示している。
【0030】
例えば、光源11が光量の異なる2種類のLEDを有しており、車両1の接近検知前は光量が大きいLEDを点灯させておき、車両1の接近検知後は光量が小さいLEDの点灯へ切り替えてもよい。また、光源11の光量を低減するために、1つのLEDを点灯から点滅へ切り替えてもよく、或いは1つのLEDの点滅間隔を変化させてもよく、LEDの電流値又は電圧値を低減して調光してもよい。
【0031】
次に、図5のフローチャートを参照しながら、本発明の第1の実施の形態に係る駐車支援方法の一例を説明する。
【0032】
まず、ステップS11において、車両1が駐車を開始すると、車両1に搭載された無線通信部20から地上側の無線通信部10へ無線起動要求が送信される。ステップS21において、地上側の無線通信部10が無線起動要求を受信すると、ステップS22において光源11が発光を開始し、発光状態を維持する。このときの光源11の光量は、光量制御部12により相対的に大きい量に制御される。また、ステップS21において地上側の無線通信部10が無線起動要求を受信すると、ステップS23において、接近検知装置13も起動する。
【0033】
一方、車両1側では、ステップS12において、光源11から発せられた光を第1及び第2の受光部21,22が受光する。入射角算出部23が、第1及び第2の受光部21,22のPSD32,34上の光の入射位置P1,P2に基づいて、光の入射角φ1,φ2をそれぞれ算出する。距離算出部24が、PSD32,34上の光の入射位置P1,P2及び光の入射角φ1,φ2に基づいて、車両1の駐車位置に対する距離r及び車両1の向きθを算出する。このステップS12の処理は所定の間隔で繰り返し継続的に行うことができる。
【0034】
ステップS13において、車両1は駐車位置に徐々に接近する。車両1が所定の位置まで接近すると、ステップS24において、地上側の接近検知装置13が、車両1が駐車位置に接近したことを検知する。
【0035】
ステップS25において、接近検知装置13により車両1が駐車位置に接近したことを検知した場合、光量制御部12が光源11の光量を低減する。
【0036】
ステップS14において、ステップS12と同様に、車両1側において、光源11から発せられた光を第1及び第2の受光部21,22が受光する。入射角算出部23が、光の入射位置P1,P2に基づいて光の入射角φ1,φ2をそれぞれ算出する。距離算出部24が、光の入射角φ1,φ2に基づいて、車両1の駐車位置に対する距離r及び車両1の向きθを算出する。このステップS14の処理は所定の間隔で繰り返し継続的に行うことができる。
【0037】
ステップS14において距離算出部24により算出された距離r及び向きθが所定の条件となった時点で、ステップS15において駐車を完了する。
【0038】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態に係る駐車支援システムによれば、2つのPSD32,34に対する光の入射角φ1,φ2をそれぞれ算出し、この光の入射角φ1,φ2に基づいて車両1の駐車位置に対する距離r及び向きθを算出することにより、車両1の位置を精度良く検出することができる。この結果、目的とする駐車位置に精度良く駐車することができ、駐車中の車両1の受電コイル2と、駐車位置に設けられた送電コイル3との間で、非接触給電を行うことができる。
【0039】
更に、従来の送信波の跳ね返りを利用したシステムと比較して、対象物の形状や方向で受信可能なエリアが変化したり、対象物以外の物体に反射して誤検知したりすることがないので、駐車位置に対する車両1の位置を安定して検出することができる。
【0040】
更に、車両1の駐車位置への接近に応じて光源11の光量を低下させることにより、車両1が駐車位置に接近したときにも第1及び第2の受光部21,22における光の飽和を抑制でき、駐車位置に対する車両1の位置を安定して検出することができる。
【0041】
なお、本発明の第1の実施の形態においては、第1及び第2の受光部21,22を有する場合を説明したが、3つ以上の受光部を有していてもよい。その場合、3つ以上の受光部のうち任意の2つの受光部を用いて、車両1の位置を検出することができる。また、第1及び第2の受光部21,22のセットを複数有していてもよい。例えば、車両1の前端部及び後端部に第1及び第2の受光部21,22を1セットずつ取り付けていてもよい。
【0042】
また、本発明の第1の実施の形態においては、接近検知装置13が車両1の接近の有無を検知し、その検知結果に基づいて光源11の大小の光量を切り替える場合を説明したが、これに限定されない。例えば、接近検知装置13が2段階以上で車両1の接近を検知し、車両1が接近するにつれて光源11の光量を2段階以上で段階的に低減してもよい。
【0043】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る駐車支援システムは、第1及び第2の受光部21,22の構成が、本発明の第1の実施の形態に係る駐車支援システムと異なる。
【0044】
図6(a)に、車両1が駐車位置から遠い様子を示し、図6(b)に、車両1が駐車位置に近い様子を示す。図6(a)及び図6(b)に示すように、車両1と駐車位置との距離に応じて、光源11からの光の水平方向に対する角度(俯角)θが変化する。
【0045】
以下において、第1及び第2の受光部21,22のうち、代表して第1の受光部21の構成を説明する。図7(a)〜図9のそれぞれにおいて、x軸方向は車両前後方向を示し、y軸方向は車幅方向を示し、z軸方向は鉛直方向を示す。光源11からの光の俯角が大きくなると、図7(a)及び図7(b)に示すように、鉛直方向(z軸方向)においてレンズ31で集光した結像位置がPSD32の受光面から外れてしまい、PSD32の受光面で受光することができなくなる可能性がある。
【0046】
そこで、本発明の第2の実施の形態においては、図8(a)及び図8(b)に示すように、第1の受光部21のPSD32の受光面を、レンズ31の焦点距離dよりも車両前後方向(x軸方向)に離れた距離d1の位置にずらして配置する。PSD32をずらして配置することにより、光源11からの光はPSD32上では結像しないものの、光源11からの光をPSD32の受光面で受光することができる。この結果、2つの出力電流の比から、光の入射位置(重心位置)P5を算出することができる。
【0047】
図9に示すように、PSD32をレンズ31の焦点距離dからずらして配置したときの光の入射位置P5は、PSD32をレンズ31の焦点距離dに配置したときの光の入射位置P1に対して差分(誤差)d2が生じている。この差分d2を計算にて補正することにより、PSD32をレンズ31の焦点距離dに配置したときの光の入射位置P1を算出することができる。第2の受光部22においても同様に、PSD34をレンズ33の焦点距離からずらした位置に設定する。
【0048】
本発明の第2の実施の形態に係る駐車支援システムの他の構成は、本発明の第1の実施の形態に係る駐車支援システムの構成と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
【0049】
本発明の第2の実施の形態に係る駐車支援システムによれば、2つのPSD32,34に対する光の入射角φ1,φ2をそれぞれ算出し、この光の入射角φ1,φ2に基づいて車両1の駐車位置に対する距離r及び向きθを算出することにより、車両1の位置を精度良く検出することができる。この結果、目的とする駐車位置に精度良く駐車することができ、駐車中の車両1の受電コイル2と、駐車位置に設けられた送電コイル3との間で、非接触給電を行うことができる。
【0050】
更に、従来の送信波の跳ね返りを利用したシステムと比較して、対象物の形状や方向で受信可能なエリアが変化したり、対象物以外の物体に反射して誤検知したりすることがないので、駐車位置に対する車両1の位置を安定して検出することができる。
【0051】
更に、車両1の駐車位置への接近に応じて光源11の光量を低下させることにより、車両1が駐車位置に接近したときにも第1及び第2の受光部21,22における光の飽和を抑制でき、駐車位置に対する車両1の位置を安定して検出することができる。
【0052】
更に、第1及び第2の受光部21,22のPSD32、34を、レンズ31の焦点位置よりも離れた距離の位置にずらして配置することにより、仮想的にPSD32、34の受光面を広げることができる。したがって、車両1が駐車位置に接近して俯角が大きくなった場合でも、駐車位置に対する車両1の位置を安定して検出することができる。
【0053】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る駐車支援システムは、図10に示すように、複数個(2個)の光源11a,11bを有する点が、本発明の第1の実施の形態に係る駐車支援システムと異なる。
【0054】
図10において、白線L1,L2の間が目的とする駐車位置である。光源11a,11bは、図10及び図11に示すように、例えば駐車位置の輪留め41,42にそれぞれ埋設されている。光源11a,11bの配置位置は、駐車位置の近傍であれば特に限定されない。光源11a,11bは、光量制御部12により択一的に点灯するように制御される。光源11a,11bは、例えば交互に点灯してもよく、各点灯時間は適宜設定可能である。図10及び図11では、光源11a,11bからの光の照射範囲A1,A2を斜線の領域でそれぞれ示している。
【0055】
入射角算出部23及び距離算出部24は、例えば光量制御部12から無線通信部10,20を介して複数個の光源11a,11bの制御情報を得て、光源11a,11bのうちのいずれが点灯しているのかを判断する。そして、点灯している光源との関係で、入射角φ1,φ2を算出し、車両1と駐車位置との距離及び向きを算出する。
【0056】
本発明の第3の実施の形態に係る駐車支援システムの他の構成は、本発明の第1の実施の形態に係る駐車支援システムの構成と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
【0057】
本発明の第3の実施の形態に係る駐車支援システムによれば、2つのPSD32,34に対する光の入射角φ1,φ2をそれぞれ算出し、この光の入射角φ1,φ2に基づいて車両1の駐車位置に対する距離r及び向きθを算出することにより、車両1の位置を精度良く検出することができる。この結果、目的とする駐車位置に精度良く駐車することができ、駐車中の車両1の受電コイル2と、駐車位置に設けられた送電コイル3との間で、非接触給電を行うことができる。
【0058】
更に、従来の送信波の跳ね返りを利用したシステムと比較して、対象物の形状や方向で受信可能なエリアが変化したり、対象物以外の物体に反射して誤検知したりすることがないので、駐車位置に対する車両1の位置を安定して検出することができる。
【0059】
更に、車両1の駐車位置への接近に応じて光源11a,11bの光量をそれぞれ低下させることにより、車両1が駐車位置に接近したときにも第1及び第2の受光部21,22における光の飽和を抑制でき、駐車位置に対する車両1の位置を安定して検出することができる。
【0060】
更に、複数の光源11a,11bを用いて択一的に点灯させることにより、複数の位置から第1及び第2の受光部21,22に光を照射することができるので、車両1の位置の検出率及び検出精度を向上させることができる。
【0061】
なお、本発明の第3の実施の形態では2個の光源11a,11bを有する場合を説明したが、3個以上の光源を有していてもよい。3個以上の光源を有する場合には、全ての光源を順番に周期的に点灯させたり、或いは車両1の位置に応じて選択的に光源を点灯させたりしてもよい。
【0062】
以上、第1〜第3の実施の形態に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
【符号の説明】
【0063】
1…車両
2…受電コイル
3…送電コイル
10,20…無線通信部
11,11a,11b…光源
12…光量制御部
13…接近検知装置
14…埋め込みコイル
15…検知部
21,22…受光部
23…入射角算出部
24…距離算出部
25…車両制御部
31,33…レンズ
32,34…位置検出素子(PSD)
41,42…輪留め
図1
図2
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図10
図11