(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような多層基板において、複数の電子部品を多層基板の異なる層に内蔵し、複数の電子部品に対して共通の導体パターンに接続する場合、共通の導体パターンと各電子部品とを接続する配線パターンをそれぞれ設ける必要がある。
【0006】
図6は、従来の構成から考えられる部品内蔵基板の配線パターンを示す側面断面図である。
図6に示すように、従来の構成から考えられる部品内蔵基板10Pは、積層体900Pを備える。積層体900Pは、熱可塑性と絶縁性を有する絶縁性基材901,902,903,904,905,906を積層してなる。この際、絶縁性基材903−906は、導体の形成面が基材に対して同じ方向に配置されるように積層されている。
【0007】
絶縁性基材903の表面には、共通の導体パターン931、および、導体パターン932が形成されている。絶縁性基材904の表面には、導体パターン941Pが形成されており、樹脂基板905の表面には、導体パターン951Pが形成されている。絶縁性基材906の表面には、導体パターン961P,962Pが形成されている。
【0008】
積層体900Pの絶縁性基材902の層には、電子部品21が内蔵されている。電子部品21の実装用端子211,212は、絶縁性基材903側に向けられている。実装用端子211は、絶縁性基材903の導体パターン931に重なる位置に設けられた層間接続導体331によって、導体パターン931に接続されている。実装用端子212は、絶縁性基材903の導体パターン932に重なる位置に設けられた層間接続導体332によって、導体パターン932に接続されている。
【0009】
積層体900Pの絶縁性基材905の層には、電子部品22が内蔵されている。電子部品22の実装用端子221,222は、絶縁性基材906側に向けられている。実装用端子221は、絶縁性基材906の導体パターン961Pに重なる位置に設けられた層間接続導体361Pによって、導体パターン961Pに接続されている。
【0010】
このような構成では、電子部品21は、導体パターン931に対して、層間接続導体331のみを介して接続される。一方、電子部品22は、導体パターン931に対して、層間接続導体361P、導体パターン961P、層間接続導体363P、導体パターン951P、層間接続導体351P、導体パターン941P、および、層間接続導体341Pを介して接続される。このように、電子部品22に対する配線が長くなってしまい、伝送損失が増加してしまう。
【0011】
本発明の目的は、複数の電子部品が内蔵された部品内蔵基板において、各電子部品に対する伝送損失を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の部品内蔵基板は、積層体と、積層体の内部に配置され、それぞれ片面に実装用端子が配置された第1の電子部品および第2の電子部品と、を備える。積層体は、片面に第1の導体が形成された第1の絶縁性基材、および、片面に第2の導体が形成された第2の絶縁性基材を含み、片面に導体が形成された熱可塑性の絶縁性基材を複数枚積層して加熱圧着した構成を有する。積層体は、第1の電子部品と第2の電子部品とに接続する共通の導体パターンを備える。
【0013】
共通の導体パターンは、積層方向において、第1の電子部品と第2の電子部品との間に配置されている。
【0014】
第1の絶縁性基材は、第1の導体が形成された主面とは反対側の導体が形成されていない第1非形成面が第1の電子部品に当接されており、第1の電子部品の実装用端子を第1の導体に接続し、第1の導体に重なる位置に形成された層間接続導体を有する。第2の絶縁性基材は、第2の導体が形成された主面とは反対側の導体が形成されていない第2非形成面が第2の電子部品に当接されており、第2の電子部品の実装用端子を第2の導体に接続し、第2の導体に重なる位置に形成された層間接続導体を有する。第1の絶縁性基材は、積層方向において、第1の導体が形成された主面が第1非形成面よりも第2の絶縁性基材側となるように配置されている。第2の絶縁性基材は、積層方向において、第2の導体が形成された主面が第2非形成面よりも第1の絶縁性基材側となるように配置されている。
【0015】
この構成では、共通の導体パターンと第1の電子部品との間の導体長と、共通の導体パターンと第2の電子部品との間の導体長とが、ともに短くなる。
【0016】
また、この発明の部品内蔵基板では、積層方向において、第1の電子部品と第2の電子部品との間の領域には異なる絶縁性基材の片面に形成された導体同士が互いに当接する部分が存在し、導体同士の間には合金層が形成されていることが好ましい。
【0017】
この構成では、導体同士の当接面の接続信頼性を向上することができる。
【0018】
また、この発明の部品内蔵基板では、導体同士が互いに当接する部分は、第1の導体と第2の導体とが互いに当接する部分であることが好ましい。
【0019】
この構成では、第1の導体と第2の導体との当接面の接続信頼性を向上することができる。
【0020】
また、この発明の部品内蔵基板では、第1の導体は、第1の電子部品および第2の電子部品に接続する共通の配線パターンであることが好ましい。
【0021】
この構成では、共通の導体パターンと第1の電子部品との間の導体長と、共通の導体パターンと第2の電子部品との間の導体長とが短くなる。
【0022】
また、この発明の部品内蔵基板の製造方法では、次の各工程を有する。
【0023】
部品内蔵基板の製造方法は、片面に第1の導体が形成された第1の絶縁性基材、および、片面に第2の導体が形成された第2の絶縁性基材を含み、片面に導体が形成された熱可塑性の絶縁性基材を複数枚用意する工程を有する。
【0024】
部品内蔵基板の製造方法は、第1の絶縁性基材における第1の導体に重なる位置に貫通孔を設けて、該貫通孔に導電ペーストを充填する工程を有する。
【0025】
部品内蔵基板の製造方法は、第2の絶縁性基材における第2の導体に重なる位置に貫通孔を設けて、該貫通孔に導電ペーストを充填する工程を有する。
【0026】
部品内蔵基板の製造方法は、第1の絶縁性基材における第1の導体が形成された主面とは反対側の導体が形成されていない第1非形成面と第1の電子部品の実装用端子が露出する面とが当接し、第2の絶縁性基材における第2の導体が形成された主面とは反対側の導体が形成されていない第2非形成面と第2の電子部品の実装用端子が露出する面とが当接し、第1の絶縁性基材における第1の導体が形成された主面が第1非形成面よりも第2の絶縁性基材側となり、第2の絶縁性基材における第2の導体が形成された主面が第2非形成面よりも第1の絶縁性基材側となるように、複数枚の絶縁性基材を積層する工程を有する。
【0027】
部品内蔵基板の製造方法は、積層された複数枚の絶縁性基材を、積層方向に沿って圧力をかけて加熱する工程を有する。
【0028】
この製造方法では、複数の電子部品が内蔵された各電子部品に対する伝送損失が小さな部品内蔵基板を、容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0029】
この発明によれば、基板内での伝送損失を低減した部品内蔵基板を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(第1実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る部品内蔵基板について、図を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る部品内蔵基板の構造を示す側面断面図である。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る部品内蔵基板の接合部の拡大断面図である。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る部品内蔵基板の加熱圧着前の構造を示す側面断面図である。
【0032】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る部品内蔵基板10は、複数の絶縁性基材901−906を積層した積層体900を備える。各絶縁性基材901−906は、膜状の熱可塑性樹脂からなる。熱可塑性樹脂としては、例えば液晶ポリマを主成分とした材料からなる。絶縁性基材901−906は、二面ある膜面の内の片面のみに導体が形成された構成からなる。例えば、絶縁性基材901−906は、片面銅貼りされた熱可塑性樹脂からなる。
【0033】
絶縁性基材901,902,903は同じ面積である。絶縁性基材904,905,906は同じ面積であり、絶縁性基材901,902,903の面積よりも小さい。したがって、積層体900は、絶縁性基材901−906が積層される部分と、絶縁性基材901,902,903が積層される部分とで厚みが異なる。絶縁性基材901−906が積層された部分は殆どフレキ性を有さない。すなわち、絶縁性基材901−906が積層された部分は、部品内蔵基板10のリジッド部である。絶縁性基材901,902,903のみが積層された部分はフレキ性を有する。すなわち、絶縁性基材901−903のみが積層された部分は、部品内蔵基板10のフレキ部である。
【0034】
絶縁性基材902は、本発明の「第3の絶縁性基材」に相当し、絶縁性基材903は、本発明の「第1の絶縁性基材」に相当する。絶縁性基材904は、本発明の「第2の絶縁性基材」に相当し、絶縁性基材905は、本発明の「第4の絶縁性基材」に相当する。絶縁性基材903における2つの主面(積層方向に直交する面)のうち導体が形成されていない面が、本発明の「第1非形成面」に相当する。絶縁性基材904における2つの主面(積層方向に直交する面)のうち導体が形成されていない面が、本発明の「第2非形成面」に相当する。
【0035】
絶縁性基材902における導体の形成面は、絶縁性基材901における導体の非形成面に当接している。絶縁性基材902における導体の非形成面は、絶縁性基材903における導体の非形成面に当接している。絶縁性基材903における導体の形成面は、絶縁性基材904における導体の形成面に当接している。絶縁性基材904における導体の非形成面は、絶縁性基材905における導体の非形成面に当接している。絶縁性基材905における導体の形成面は、絶縁性基材906における導体の非形成面に当接している。
【0036】
このように、絶縁性基材902における導体の非形成面と絶縁性基材903における導体の非形成面とを当接させる構成を備えることによって、絶縁性基材の積層方向における導体パターン921と導体パターン931との距離を、絶縁性基材の厚みを換えることなく調整できる。
【0037】
また、このように積層方向の途中で、絶縁性基板における導体の形成面と導体の非形成面との関係を逆転させて、絶縁性基材を積層することによって、積層体900の積層方向の両端の面に、部品を実装するための導体パターンや、積層体900を実装するための導体パターンを形成することができる。
【0038】
絶縁性基材901における導体の形成面には、導体パターン911,912,913,914が配設されている。この面は、積層体900(部品内蔵基板10)が他の回路基板に実装される実装面であり、導体パターン911,912,913,914は、部品内蔵基板10における外部接続用端子である。
【0039】
積層体900における絶縁性基材901と絶縁性基材902との境界面には、導体パターン921が配設されている。導体パターン921は、絶縁性基材901に配設された層間接続導体311によって、導体パターン914に接続されている。
【0040】
積層体900における絶縁性基材903と絶縁性基材904との境界面には、導体パターン931,932,933が配設されている。導体パターン931は、本発明の「共通の導体パターン」に相当するとともに、本発明の「第1の導体」に相当する。導体パターン932は、電子部品21用のランド導体である。導体パターン933は、この部品内蔵基板10に実装される外部電子部品用のランド導体である。
【0041】
導体パターン931の一部分と導体パターン932は、積層体900のリジッド部内に配置されている。導体パターン931の他部分と導体パターン933は、積層体900のフレキ部に配置されている。
【0042】
導体パターン933は、絶縁性基材903に配設された層間接続導体333および絶縁性基材902に配設された層間接続導体321によって、導体パターン921に接続されている。導体パターン931の一部分と導体パターン933は、部品内蔵基板10に内蔵されない電子部品(
図3における電子部品23参照)が実装されるランド導体である。
【0043】
また、積層体900における絶縁性基材903と絶縁性基材904との境界面には、導体パターン941,942が配設されている。導体パターン941,942は、電子部品22用のランド導体である。導体パターン941は、本発明の「第2の導体」に相当する。
【0044】
積層体900を平面視して、導体パターン941は、導体パターン931に重なっており、導体パターン942は、導体パターン932に重なっている。導体パターン941と導体パターン931は接合しており、導体パターン942と導体パターン932は接合している。この際、
図2に示すように、導体パターン942と導体パターン932との接合面には、合金層990が形成されている。合金層990は、例えば、導体パターン932,942が銅からなる態様において、銅、ニッケル、錫の合金(Cu−Ni−Sn合金)からなる。このような合金層990が形成されることにより、接合面の融点が高くなり、信頼性を向上させることができる。
【0045】
積層体900における絶縁性基材905と絶縁性基材906との境界面には、導体パターン951が配設されている。
【0046】
絶縁性基材906における導体の形成面には、導体パターン961,962が配設されている。導体パターン961,962は、部品内蔵基板10に内蔵されない電子部品(
図3における電子部品24参照)が実装されるランド導体である。導体パターン961は、絶縁性基材906に配設された層間接続導体361によって、導体パターン951に接続されている。
【0047】
電子部品21は、片面に実装用端子211,212を備える。この電子部品21が本発明の「第1の電子部品」に相当する。電子部品22は、片面に実装用端子221,222を備える。この電子部品22が本発明の「第2の電子部品」に相当する。
【0048】
電子部品21,22は、積層体900におけるリジッド部の内部に配置されている。
【0049】
電子部品21は、積層体900における絶縁性基材902の領域に配置されている。電子部品21の実装用端子211,212は、絶縁性基材903側に向いている。実装用端子211,212は、絶縁性基材902,903の境界面に露出している。積層体900を平面視して、実装用端子211は導体パターン931に重なり、実装用端子212は導体パターン932に重なっている。実装用端子211は、絶縁性基材903に配設された層間接続導体331によって、導体パターン931に接続されている。実装用端子212は、絶縁性基材903に配設された層間接続導体332によって、導体パターン932に接続されている。
【0050】
電子部品22は、積層体900における絶縁性基材905の領域に配置されている。電子部品22の実装用端子221,222は、絶縁性基材904側に向いている。実装用端子221,222は、絶縁性基材904,905の境界面に露出している。積層体900を平面視して、実装用端子221は導体パターン941に重なり、実装用端子222は導体パターン942に重なっている。実装用端子221は、絶縁性基材904に配設された層間接続導体341によって、導体パターン941に接続されている。実装用端子222は、絶縁性基材904に配設された層間接続導体342によって、導体パターン942に接続されている。
【0051】
このように、本実施形態の構成では、電子部品21の実装用端子211,212が接続する層間接続導体331,332および導体パターン931,932が配設された絶縁性基材903における導体の形成面は、電子部品22の実装用端子221,222が接続する層間接続導体341,342および導体パターン941,942が配設された絶縁性基材904側に向いている。また、この絶縁性基材904における導体の形成面は、絶縁性基材903側に向いている。
【0052】
共通の導体パターンである導体パターン931は、絶縁性基材903と絶縁性基材904が当接する境界面に配設されている。
【0053】
積層方向において、電子部品21は、実装用端子211,212が導体パターン931側に配置され、電子部品22は、実装用端子221,222が導体パターン931側に配置される。
【0054】
積層体900を平面視して、実装用端子211、実装用端子221、および、導体パターン931の一部は重なっている。
【0055】
このため、導体パターン931と実装用端子211とは、層間接続導体331のみによって接続され、導体パターン931と実装用端子221とは、導体パターン941と層間接続導体341のみによって接続される。これにより、導体パターン931と電子部品21と接続する導体長と、導体パターン931と電子部品22とを接続する導体長を、短くすることができる。したがって、積層体900に内蔵された二個の電子部品21,22に対する高周波信号の伝送損失を低減することができ、伝送損失の低い部品内蔵基板10を実現できる。
【0056】
さらに、
図6に示したように、電子部品22に信号を伝送する配線パターンを、リジッド部における電子部品22の配置領域と別の領域に設けなくてもよい。したがって、リジッド部の面積を小さくでき、部品内蔵基板10を小型に形成することができる。
【0057】
また、本実施形態の構成では、積層体900を平面視して、電子部品21と電子部品22とが重なっているので、リジッド部の面積をさらに小さくすることができる。
【0058】
また、本実施形態の構成では、電子部品21の実装用端子211と電子部品22の実装用端子221とがそれぞれに重なっているので、導体パターン931と電子部品21,22との間の高周波信号の伝送損失をさらに低減することができる。
【0059】
また、本実施形態の構成では、電子部品21の実装用端子211が層間接続導体331によって接続されるランド用の導体パターンが、共通の導体パターンである導体パターン931と兼用されている。したがって、高周波信号の伝送損失をさらに低減することができる。
【0060】
また、本実施形態の構成では、共通の導体パターンである導体パターン931に対して、電子部品21,22がそれぞれに一層の絶縁性基材のみを介して配置されている。したがって、高周波信号の伝送損失をさらに低減することができるとともに、リジッド部の高さ(厚み)を小さくすることができ、部品内蔵基板10を低背にすることができる。
【0061】
なお、本実施形態の構成では、積層方向の両端に、導体が形成されていない絶縁性基材901,906を配置する態様を示した。これらの絶縁性基材901,906は、電子部品21,22や導体パターンの保護用であり、省略することも可能である。
【0062】
このような構成からなる部品内蔵基板10は、例えば、
図3に示すような回路基板に利用できる。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る回路基板の構成を示す側面断面図である。回路基板1は、部品内蔵基板10と外装の電子部品23,24を備える。部品内蔵基板10は、上述の構成を備える。電子部品23は、部品内蔵基板10の導体パターン931,933に実装される。電子部品24は、部品内蔵基板10の導体パターン961,962に実装される。
【0063】
このような構成とすることで、例えば、電子部品23と電子部品21との間での高周波信号の伝送損失と、電子部品23と電子部品22との間での高周波信号の伝送損失を抑制することができる。
【0064】
このような部品内蔵基板10は、次に示すように製造される。
【0065】
まず、片面銅貼りの絶縁性基材902,903,904,905および銅貼りがされていない絶縁性基材901,906を用意する。絶縁性基材901−906は、熱可塑性樹脂からなり、例えば液晶ポリマを主成分とする。
【0066】
絶縁性基材902の導体形成面をパターニング処理等によって、導体パターン921を形成する。絶縁性基材903の導体形成面をパターニング処理することによって、導体パターン931,932,933を形成する。絶縁性基材904の導体形成面をパターニング処理することによって、導体パターン941,942を形成する。絶縁性基材905の導体形成面をパターニング処理することによって、導体パターン951を形成する。
【0067】
絶縁性基材902に対して、絶縁性基材902を厚み方向に貫通する穴82を設ける。絶縁性基材905に対して、絶縁性基材902を厚み方向に貫通する穴85を設ける。
【0068】
絶縁性基材902における導体パターン921が形成されている部分の所定位置において、導体非形成面側から絶縁性基材902を貫通する貫通孔を形成し、導電ペースト321DPを充填する。
【0069】
絶縁性基材903における導体パターン931が形成されている部分の所定位置において、導体非形成面側から絶縁性基材903を貫通する貫通孔を形成し、導電ペースト331DPを充填する。絶縁性基材903における導体パターン932が形成されている部分に、導体非形成面側から絶縁性基材903を貫通する貫通孔を形成し、導電ペースト332DPを充填する。絶縁性基材903における導体パターン933が形成されている部分に、導体非形成面側から絶縁性基材903を貫通する貫通孔を形成し、導電ペースト333DPを充填する。
【0070】
絶縁性基材904における導体パターン941が形成されている部分に、導体非形成面側から絶縁性基材904を貫通する貫通孔を形成し、導電ペースト341DPを充填する。絶縁性基材904における導体パターン942が形成されている部分に、導体非形成面側から絶縁性基材904を貫通する貫通孔を形成し、導電ペースト342DPを充填する。
【0071】
ここで、導電ペーストは、流動性を有する。しかしながら、上述のように、本実施形態の部品内蔵基板10では、各絶縁性基材に設けられた貫通孔の一方端に導体が配置されている。したがって、この導体が貫通孔の底材となり、導電ペーストが貫通孔から漏れ出すことを抑制でき、部品内蔵基板10の製造が容易になるとともに、各層間接続導体の信頼性が向上する。
【0072】
絶縁性基材902の穴82に、電子部品21を挿入する。この際、電子部品21は導体非形成面側に実装用端子211,212が向くように配置される。絶縁性基材905の穴85に、電子部品22を挿入する。この際、電子部品22は導体非形成面側に実装用端子221,222が向くように配置される。
【0073】
次の条件を満たすように、絶縁性基材901−906を積層する。
【0074】
絶縁性基材902の導体非形成面と絶縁性基材903の導体非形成面とが当接する。絶縁性基材903の導体形成面と絶縁性基材904の導体形成面とが当接する。絶縁性基材904の導体非形成面と絶縁性基材905の導体非形成面が当接する。この際、導体パターン931,941の当接面および導体パターン932,942の当接面に接合材を塗布しておく。
【0075】
積層された絶縁性基材901−906を、少なくとも積層方向に圧力がかかる状態で加熱して、一体化する。この際、導電ペースト321DP,331DP,332DP,333DP,341DP,342DPが固化し、層間接続導体321,331,332,333,341,342が形成される。また、接合材が導体パターンと反応することによって、導体パターン931,941の界面におよび導体パターン932,942の界面に合金層が形成される。また、穴82,85に絶縁性樹脂が埋まり込む。これにより、積層体900が実現される。
【0076】
このような製造方法を用いることによって、上述の伝送損失が低い部品内蔵基板10を、容易に製造することができる。
【0077】
(第2実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る部品内蔵基板について、図を参照して説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態に係る部品内蔵基板の構造を示す側面断面図である。
【0078】
図5に示すように、本発明の第2の実施形態に係る部品内蔵基板10Aは、複数の絶縁性基材901A−907Aを積層した積層体900Aを備える。各絶縁性基材901A−907Aは、膜状の熱可塑性樹脂からなる。熱可塑性樹脂としては、例えば液晶ポリマを主成分とした材料からなる。絶縁性基材901A−905Aは、片面銅貼りされた熱可塑性樹脂からなる。絶縁性基材906A,907Aは、導体が形成されていない熱可塑性樹脂である。
【0079】
絶縁性基材901A,902A,903Aは同じ面積である。絶縁性基材904A,905A,906A,907Aは同じ面積であり、絶縁性基材901A,902A,903Aの面積よりも小さい。したがって、積層体900Aは、絶縁性基材901A−907Aが積層される部分と、絶縁性基材901A,902A,903Aが積層される部分とで厚みが異なる。絶縁性基材901A−907Aが積層された部分は殆どフレキ性を有さない。すなわち、絶縁性基材901A−907Aが積層された部分は、部品内蔵基板10のリジッド部である。絶縁性基材901A,902A,903Aのみが積層された部分はフレキ性を有する。すなわち、絶縁性基材901A−903Aのみが積層された部分は、部品内蔵基板10のフレキ部である。部品内蔵基板10Aは、第1の実施形態に係る部品内蔵基板10と異なり、積層方向に直交する方向において、リジッド部の両側にフレキ部が設けられている。
【0080】
絶縁性基材902Aは、本発明の「第3の絶縁性基材」に相当し、絶縁性基材903Aは、本発明の「第1の絶縁性基材」に相当する。絶縁性基材905Aは、本発明の「第2の絶縁性基材」に相当し、絶縁性基材906Aは、本発明の「第4の絶縁性基材」に相当する。
【0081】
絶縁性基材902Aにおける導体の形成面は、絶縁性基材901に当接している。絶縁性基材902Aにおける導体の非形成面は、絶縁性基材903Aにおける導体の非形成面に当接している。絶縁性基材903Aにおける導体の形成面は、絶縁性基材904Aにおける導体の形成面に当接している。絶縁性基材904Aにおける導体の非形成面は、絶縁性基材905Aにおける導体の形成面に当接している。絶縁性基材905Aにおける導体の形成面は、絶縁性基材906Aに当接している。
【0082】
絶縁性基材901Aにおける導体の形成面には、導体パターン911,912,913,914が配設されている。この面は、積層体900A(部品内蔵基板10A)が他の回路基板に実装される実装面であり、導体パターン911,912,913,914は、部品内蔵基板10Aにおける外部接続用端子である。
【0083】
積層体900Aにおける絶縁性基材901Aと絶縁性基材902Aとの境界面には、導体パターン921A,922Aが配設されている。
【0084】
積層体900Aにおける絶縁性基材903Aと絶縁性基材904Aとの境界面には、導体パターン931A,932A,933A、934A,935Aが配設されている。導体パターン931Aは、本発明の「共通の導体パターン」に相当するとともに、本発明の「第1の導体」に相当する。導体パターン932Aは、電子部品21用のランド導体である。導体パターン933A,935Aは、この部品内蔵基板10に実装される外部電子部品用のランド導体や入出力電極として用いられる。導体パターン934Aは、配線用の導体であるとともに、この部品内蔵基板10に実装される外部電子部品用のランド導体を備えている。
【0085】
導体パターン931A,934Aの一部分と導体パターン932Aは、積層体900Aのリジッド部内に配置されている。導体パターン931A,934Aの他部分と導体パターン933A,935Aは、積層体900Aのフレキ部に配置されている。
【0086】
導体パターン933Aは、絶縁性基材903Aに配設された層間接続導体333および絶縁性基材902Aに配設された層間接続導体321によって、導体パターン921Aに接続されている。
【0087】
また、積層体900Aにおける絶縁性基材903Aと絶縁性基材904Aとの境界面には、導体パターン941A,942A,943Aが配設されている。
【0088】
積層体900Aを平面視して、導体パターン941Aは、導体パターン931Aに重なっており、導体パターン942Aは、導体パターン932Aに重なっている。導体パターン943Aは、導体パターン934Aに重なっている。導体パターン941Aと導体パターン931Aは接合しており、導体パターン942Aと導体パターン932Aは接合している。導体パターン943Aと導体パターン934Aは接合している。この際、第1の実施形態と同様に各接合面には、合金層が形成されている。
【0089】
積層体900Aにおける絶縁性基材905Aと絶縁性基材906Aとの境界面には、導体パターン951A,952Aが配設されている。導体パターン951Aは、電子部品22を導体パターン931Aに接続するための配線パターンであるとともに、電子部品22用のランド導体でもある。導体パターン951Aは、本発明の「第2の導体」に相当する。導体パターン952Aは、電子部品22用のランド導体である。
【0090】
導体パターン951Aは、絶縁性基材904Aに配設された層間接続導体341によって、導体パターン931Aに接続されている。導体パターン952Aは、絶縁性基材904Aに配設された層間接続導体342によって、導体パターン943Aに接続されている。
【0091】
電子部品21,22は、積層体900におけるリジッド部の内部に配置されている。
【0092】
電子部品21は、積層体900における絶縁性基材902Aの領域に配置されている。電子部品21の実装用端子211,212は、絶縁性基材903A側に向いている。実装用端子211,212は、絶縁性基材902A,903Aの境界面に露出している。積層体900Aを平面視して、実装用端子211は導体パターン931Aに重なり、実装用端子212は導体パターン932Aに重なっている。実装用端子211は、絶縁性基材903に配設された層間接続導体331によって、導体パターン931Aに接続されている。実装用端子212は、絶縁性基材903に配設された層間接続導体332によって、導体パターン932Aに接続されている。
【0093】
電子部品22は、積層体900Aにおける絶縁性基材906Aの領域に配置されている。電子部品22の実装用端子221,222は、絶縁性基材905A側に向いている。実装用端子221,222は、絶縁性基材905A,906Aの境界面に露出している。積層体900Aを平面視して、実装用端子221は導体パターン951Aに重なり、実装用端子222は導体パターン952Aに重なっている。実装用端子221は、絶縁性基材905Aに配設された層間接続導体351によって、導体パターン951Aに接続されている。実装用端子222は、絶縁性基材905Aに配設された層間接続導体352によって、導体パターン952Aに接続されている。
【0094】
このように、本実施形態の構成では、電子部品21の実装用端子211,212が接続する層間接続導体331,332および導体パターン931A,932Aが配設された絶縁性基材903Aにおける導体の形成面は、電子部品22の実装用端子221,222が接続する層間接続導体351,352および導体パターン951A,952Aが配設された絶縁性基材905A側に向いている。また、この絶縁性基材905A,904Aにおける導体の形成面は、絶縁性基材903A側に向いている。
【0095】
共通の導体パターンである導体パターン931Aは、絶縁性基材903Aと絶縁性基材904Aが当接する境界面に配設されている。
【0096】
積層方向において、電子部品21は、実装用端子211,212が導体パターン931側に配置され、電子部品22は、実装用端子221,222が導体パターン931A側に配置される。
【0097】
そして、積層体900Aを平面視して、電子部品21と電子部品22とは、一部が重なっているだけである。なお、電子部品21と電子部品22とは、積層体900Aを平面視して重なっていなくてもよい。
【0098】
このような構成であっても、第1の実施形態と同様に、積層体900Aに内蔵された二個の電子部品21,22に対する高周波信号の伝送損失を低減することができ、伝送損失の低い部品内蔵基板10Aを実現できる。