特許第6197972号(P6197972)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ラムロックの特許一覧

<>
  • 特許6197972-徘徊通知サーバ及び徘徊通知システム 図000002
  • 特許6197972-徘徊通知サーバ及び徘徊通知システム 図000003
  • 特許6197972-徘徊通知サーバ及び徘徊通知システム 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6197972
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】徘徊通知サーバ及び徘徊通知システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20170911BHJP
   H04M 11/04 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   G08B25/04 K
   H04M11/04
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-500207(P2017-500207)
(86)(22)【出願日】2015年2月18日
(86)【国際出願番号】JP2015054485
(87)【国際公開番号】WO2016132492
(87)【国際公開日】20160825
【審査請求日】2017年7月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512022479
【氏名又は名称】株式会社ラムロック
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(74)【代理人】
【識別番号】100194984
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 圭太
(72)【発明者】
【氏名】藤本 隆二
【審査官】 山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−067383(JP,A)
【文献】 特開2007−226292(JP,A)
【文献】 特開2004−128573(JP,A)
【文献】 特開2005−038299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 19/00
G06Q 10/00−10/10
30/00−30/08
50/00−50/20
50/26−99/00
G08B 19/00−31/00
H04M 3/00
3/16− 3/20
3/38− 3/58
7/00− 7/16
11/00−11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護対象者の住所地及び写真の情報である保護対象者個人情報と、前記住所地を基準とした一定範囲を通知エリアとする通知エリア情報とを記録する保護対象情報記録部と、
前記通知エリア内に住所地を有する人が所有し、前記保護対象情報記録部に記録された前記保護対象者個人情報を受信可能な端末の端末情報を近隣通知先端末として記録すると共に、前記通知エリア内に住所を持たない人が所有し、前記保護対象情報記録部に記録された前記保護対象者個人情報を受信可能な端末の端末情報を外部通知先端末として記録する通知先端末記録部と、
所定の検知機構から保護対象者の徘徊に関する徘徊情報を受信する徘徊情報受信部と、
該徘徊情報受信部が前記徘徊情報を受信した際に、前記近隣通知先端末が前記通知エリア内に位置するか否かを判断して、前記通知エリア内での前記近隣通知先端末の所在に関する情報が所定の条件を満たした場合には、同近隣通知先端末に前記保護対象者個人情報を送信し、前記通知エリア内での前記近隣通知先端末の所在に関する情報が所定の条件を満たさない場合には、同通知エリア内に位置する前記外部通知先端末に前記保護対象者個人情報を送信する徘徊情報送信部とを備える
徘徊通知サーバ。
【請求項2】
前記通知先端末記録部は、複数の前記近隣通知先端末を記録し、
前記所定の条件は、前記通知エリア内に位置する前記近隣通知先端末の数であり、
前記徘徊情報送信部は、前記徘徊情報受信部が前記徘徊情報を受信した際に、前記通知エリア内に位置する前記近隣通知先端末の数を検知し、その数が一定数を下回るときに、同通知エリア内に位置する前記外部通知先端末に前記保護対象者個人情報を送信する
請求項1に記載の徘徊通知サーバ。
【請求項3】
前記通知先端末記録部は、前記近隣通知先端末のうち少なくとも1つを特定の近隣端末として記録し、
前記所定の条件は、前記通知エリア内に前記特定の近隣端末が位置するか否かである
請求項1または請求項2に記載の徘徊通知サーバ。
【請求項4】
前記徘徊情報送信部は、前記通知エリア内での前記近隣通知先端末の所在に関する情報が所定の条件を満たさない場合に、前記通知エリア内に位置する前記外部通知先端末に前記保護対象者個人情報を送信する
請求項1または請求項2に記載の徘徊通知サーバ。
【請求項5】
前記保護対象者個人情報には、保護対象者が過去に行った徘徊に関する情報である徘徊履歴情報が含まれ、
前記徘徊履歴情報は、少なくとも徘徊が確認された場所の情報、または、徘徊を行った時間帯の情報である
請求項1または請求項2に記載の徘徊通知サーバ。
【請求項6】
前記通知エリア情報には、保護対象者が事故に巻き込まれる可能性の高いエリアに関する情報である危険エリア情報が含まれた
請求項1または請求項2に記載の徘徊通知サーバ。
【請求項7】
前記保護対象情報記録部は、前記徘徊情報受信部が前記徘徊情報を受信した時からの時間経過に伴い、前記通知エリアの範囲を広げる
請求項1または請求項2に記載の徘徊通知サーバ。
【請求項8】
前記徘徊情報送信部は、前記通知エリア内に位置する前記外部通知先端末に同外部通知先端末の位置情報と共に前記保護対象者個人情報を送信する
請求項1または請求項2に記載の徘徊通知サーバ。
【請求項9】
保護対象者の発見情報を受信すると共に、前記近隣通知先端末及び前記外部通知端末に前記発見情報を送信する発見情報送受信部を備える
請求項1または請求項2に記載の徘徊通知サーバ。
【請求項10】
保護対象者の住所地の近隣に住所地を有する人が所有する近隣通知先端末と、
保護対象者の住所地の近隣に住所地を持たない人が所有する外部通知先端末と、
保護対象者の住所地及び写真の情報である保護対象者個人情報と、保護対象者の住所地を基準とした一定範囲を通知エリアとする通知エリア情報とを記録する保護対象情報記録部と、前記近隣通知先端末の端末情報及び前記外部通知先端末の端末情報を記録する通知先端末記録部と、所定の検知機構から保護対象者の徘徊に関する徘徊情報を受信する徘徊情報受信部と、該徘徊情報受信部が前記徘徊情報を受信した際に、前記近隣通知先端末が前記通知エリア内に位置するか否かを判断して、前記通知エリア内での前記近隣通知先端末の所在に関する情報が所定の条件を満たした場合には、同近隣通知先端末に前記保護対象者個人情報を送信し、前記通知エリア内での前記近隣通知先端末の所在に関する情報が所定の条件を満たさない場合には、同通知エリア内に位置する前記外部通知先端末に前記保護対象者個人情報を送信する徘徊情報送信部とを有する徘徊通知サーバとを備える
徘徊通知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は徘徊通知サーバ及び徘徊通知システムに関する。詳しくは、徘徊行動をする保護対象者を迅速かつ的確に保護可能な徘徊通知サーバ及び徘徊通知システムに係るものである。
【背景技術】
【0002】
近年、認知症等を原因とする高齢者の徘徊行動や、それに伴う事故の発生、行方不明者数の増加が社会的に大きな問題となっている。特に保護対象者と同居する家族の人数が少ない場合や、保護対象者が独り暮しの場合には、充分に見守ることが難しい現状がある。
【0003】
徘徊行動に対する対策として、携帯端末等を利用して保護対象者の位置情報を取得する監視システムが存在し、例えば、特許文献1に記載の監視システムが提案されている。
【0004】
ここで、特許文献1には、図3に記載の徘徊老人保護システム100が記載されている。このシステムでは、保護対象者に持たせる子機であるブルートゥース通信端末101と、施設内や出入り口に設置した親機であるブルートゥース受信機102で構成される。
【0005】
ブルートゥース受信機102は、ブルートゥース通信端末101との間でブルートゥース通信を行うブルートゥース受信モジュール103と、その内蔵アンテナ104を有している。また、ブルートゥース受信機102はデジタル信号を介して、施設内コンピュータ109とも信号の送受信を行う。
【0006】
また、ブルートゥース受信モジュール3が受信したBDアドレスを識別する制御モジュール105と、BDアドレス表示モジュール106と、端末所持者に対しての声がけや、管理者や介護者等の周囲への通知を行う音声モジュール107とスピーカー108も備えている。
【0007】
徘徊老人保護システム100は、ブルートゥース信号の送受により、ブルートゥース通信端末9を認識して、音声や表示による管理者への通知を行い、無断外出や、徘徊、迷子を未然に防ごうとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013−143123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載されたシステムは、保護対象者が子機の通信端末を身に着けていることが前提となる。例えば、痴呆症状のある人は、身に着けた端末を取り外すことや、衣服に縫い付けたICタグ等であっても着替えてしまうことがあり、検知が不充分になるおそれがある。
【0010】
また、特定の施設内等では有効ではあるが、施設の外部等に出られてしまうとシステムによる検知ができなくなってしまう。また、このシステム専用の受信機を広範囲に設置することは現実的には難しいと考えられえる。
【0011】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、徘徊行動をする保護対象者を迅速かつ的確に保護可能な徘徊通知サーバ及び徘徊通知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の徘徊通知サーバは、保護対象者の住所地及び写真の情報である保護対象者個人情報と、前記住所地を基準とした一定範囲を通知エリアとする通知エリア情報とを記録する保護対象情報記録部と、該保護対象情報記録部に記録された前記保護対象者個人情報を受信可能な通知先端末の端末情報を記録する通知先端末記録部と、所定の検知機構から保護対象者の徘徊に関する徘徊情報を受信する徘徊情報受信部と、該徘徊情報受信部が前記徘徊情報を受信した際に、前記通知先端末が前記通知エリア内に位置するか否かを判断し、同通知エリア内に位置する通知先端末に前記保護対象者個人情報を送信する徘徊情報送信部とを備える。
【0013】
ここで、保護対象情報記録部が、保護対象者の住所地及び写真の情報である保護対象者個人情報と、住所地を基準とした一定範囲を通知エリアとする通知エリア情報とを記録することによって、保護対象者の居住地を中心とした通知エリアを特定することが可能となる。また、保護対象者の外観の情報を通知することが可能となる。なお、ここでいう住所地とは、保護対象者が居住する住宅の所在地だけでなく、保護対象者が通常生活している建物の所在地を含むものであり、例えば、施設や病院等の所在地をも含むものである。
【0014】
また、保護対象情報記録部に記録された保護対象者個人情報を受信可能な通知先端末の端末情報を記録する通知先端末記録部によって、保護対象者の徘徊情報や外観の情報を通知する端末をサーバ上に記録可能となる。なお、通知先端末の端末情報とは、個々の端末を識別可能な情報を含むものを意味する。
【0015】
また、所定の検知機構から保護対象者の徘徊に関する徘徊情報を受信する徘徊情報受信部によって、保護対象者の徘徊の開始を検知可能となる。なお、ここでいう所定の検知機構とは、例えば、保護対象者の居住地の出入り口に設けられた既知のセンサー装置や監視カメラと一体化した監視装置であり、インターネット等を介してサーバに信号を送信可能な装置を意味するものである。
【0016】
また、徘徊情報受信部が徘徊情報を受信した際に、通知先端末が通知エリア内に位置するか否かを判断し、通知エリア内に位置する通知先端末に保護対象者個人情報を送信する徘徊情報送信部によって、通知エリア内に位置する通知先端末に保護対象者の外観の情報と、徘徊の開始を通知することが可能となる。
【0017】
また、上記の目的を達成するために、本発明の徘徊通知サーバは、保護対象者の住所地及び写真の情報である保護対象者個人情報と、前記住所地を基準とした一定範囲を通知エリアとする通知エリア情報とを記録する保護対象情報記録部と、前記通知エリア内に住所地を有する人が所有し、前記保護対象情報記録部に記録された前記保護対象者個人情報を受信可能な端末の端末情報を近隣通知先端末として記録する通知先端末記録部と、所定の検知機構から保護対象者の徘徊に関する徘徊情報を受信する徘徊情報受信部と、該徘徊情報受信部が前記徘徊情報を受信した際に、前記近隣通知先端末が前記通知エリア内に位置するか否かを判断し、同通知エリア内に位置する同近隣通知先端末に前記保護対象者個人情報を送信する徘徊情報送信部とを備える。
【0018】
ここで、保護対象情報記録部が、保護対象者の住所地及び写真の情報である保護対象者個人情報と、住所地を基準とした一定範囲を通知エリアとする通知エリア情報とを記録することによって、保護対象者の居住地を中心とした通知エリアを特定することが可能となる。また、保護対象者の外観を通知することが可能となる。なお、ここでいう住所地とは、保護対象者が居住する住宅の所在地だけでなく、保護対象者が通常生活している建物の所在地を含むものであり、例えば、施設や病院等の所在地をも含むものである。
【0019】
また、通知エリア内に住所地を有する人が所有し、保護対象情報記録部に記録された保護対象者個人情報を受信可能な端末の端末情報を近隣通知先端末として記録する通知先端末記録部によって、保護対象者の住所地の近隣の人の端末を、徘徊情報や外観の情報を通知する端末としてサーバ上に記録可能となる。なお、近隣通知先端末の端末情報とは、個々の端末を識別可能な情報を含むものを意味する。
【0020】
また、所定の検知機構から保護対象者の徘徊に関する徘徊情報を受信する徘徊情報受信部によって、保護対象者の徘徊の開始を検知可能となる。なお、ここでいう所定の検知機構とは、例えば、保護対象者の居住地の出入り口に設けられた既知のセンサー装置や監視カメラと一体化した監視装置であり、インターネット等を介してサーバに信号を送信可能な装置を意味するものである。
【0021】
また、徘徊情報受信部が徘徊情報を受信した際に、近隣通知先端末が通知エリア内に位置するか否かを判断し、通知エリア内に位置する近隣通知先端末に保護対象者個人情報を送信する徘徊情報送信部によって、通知エリア内に位置する近隣通知先端末に保護対象者の外観の情報と、徘徊の開始を通知することが可能となる。
【0022】
また、通知先端末記録部が、通知エリア内に住所を持たない人が所有し、保護対象情報記録部に記録された保護対象者個人情報を受信可能な端末の端末情報を外部通知先端末として記録する場合には、通知先端末の範囲を広げ、徘徊する保護対象者をより保護しやすいものとなる。
【0023】
また、徘徊情報送信部が、徘徊情報受信部が徘徊情報を受信した際に、近隣通知先端末が通知エリア内に位置するか否かを判断し、近隣通知先端末が通知エリア内に位置しない際に、通知エリア内に位置する外部通知先端末に保護対象者個人情報を送信する場合には、より一層、徘徊する保護対象者をより保護しやすいものとなる。
【0024】
また、保護対象情報記録部が、徘徊情報受信部が徘徊情報を受信した時からの時間経過に伴い、通知エリアの範囲を広げる場合には、より一層、徘徊する保護対象者をより保護しやすいものとなる。即ち、時間経過とともに広くなる徘徊の範囲に通知エリアを対応させることが可能となる。
【0025】
通知先端末記録部が、複数の近隣通知先端末を記録し、徘徊情報送信部は、徘徊情報受信部が徘徊情報を受信した際に、通知エリア内に位置する近隣通知先端末の数を検知し、その数が一定数を下回るときに、通知エリア内に位置する外部通知先端末に保護対象者個人情報を送信する場合には、通知アリア内に位置する近隣通知先端末の数を外部通知先端末への通知の条件とすることとなり、効率のよい通知が可能となる。また、例えば、一定の数を超えていた際には、そのまま通知エリア内に位置する複数の近隣通知先端末に通知を行うものとすることができる。
【0026】
また、徘徊情報送信部が、通知エリア内に位置する外部通知先端末に外部通知先端末の位置情報と共に保護対象者個人情報を送信する場合には、外部通知先端末の所有者が自身の位置を知ることができ、保護対象者の探索や発見時の情報送信を行いやすいものとなる。即ち、例えば、外部通知先端末の所有者が通知エリアにおける土地勘がなくても、自身の所在地を知り、保護対象者の住所地との位置関係を把握可能となる。
【0027】
また、保護対象者の発見情報を受信すると共に、近隣通知先端末及び外部通知端末に発見情報を送信する発見情報送受信部を備える場合には、保護対象者の発見情報を各端末に通知可能となる。
【0028】
また、上記の目的を達成するために、本発明の徘徊通知システムは、保護対象者の住所地の近隣に住所地を有する人が所有する近隣通知先端末と、保護対象者の住所地及び写真の情報である保護対象者個人情報と、保護対象者の住所地を基準とした一定範囲を通知エリアとする通知エリア情報とを記録する保護対象情報記録部と、前記近隣通知先端末の端末情報を記録する通知先端末記録部と、所定の検知機構から保護対象者の徘徊に関する徘徊情報を受信する徘徊情報受信部と、該徘徊情報受信部が前記徘徊情報を受信した際に、前記近隣通知先端末が前記通知エリア内に位置するか否かを判断し、同通知エリア内に位置する同近隣通知先端末に前記保護対象者個人情報を送信する徘徊情報送信部とを有する徘徊通知サーバとを備える。
【0029】
ここで、保護対象情報記録部が、保護対象者の住所地及び写真の情報である保護対象者個人情報と、住所地を基準とした一定範囲を通知エリアとする通知エリア情報とを記録することによって、保護対象者の居住地を中心とした通知エリアを特定することが可能となる。また、保護対象者の外観を通知することが可能となる。なお、ここでいう住所地とは、保護対象者が居住する住宅の所在地だけでなく、保護対象者が通常生活している建物の所在地を含むものであり、例えば、施設や病院等の所在地をも含むものである。
【0030】
また、保護対象者の住所地の近隣に住所地を有する人が所有する近隣通知先端末と、近隣通知先端末の端末情報を記録する通知先端末記録部によって、保護対象者の住所地の近隣の人の端末を、徘徊情報や外観の情報を通知する端末としてサーバ上に記録可能となる。なお、近隣通知先端末の端末情報とは、個々の端末を識別可能な情報を含むものを意味する。
【0031】
また、所定の検知機構から保護対象者の徘徊に関する徘徊情報を受信する徘徊情報受信部によって、保護対象者の徘徊の開始を検知可能となる。なお、ここでいう所定の検知機構とは、例えば、保護対象者の居住地の出入り口に設けられた既知のセンサー装置や監視カメラと一体化した監視装置であり、インターネット等を介してサーバに信号を送信可能な装置を意味するものである。
【0032】
また、徘徊情報受信部が徘徊情報を受信した際に、近隣通知先端末が通知エリア内に位置するか否かを判断し、通知エリア内に位置する近隣通知先端末に保護対象者個人情報を送信する徘徊情報送信部によって、通知エリア内に位置する近隣通知先端末に保護対象者の外観の情報と、徘徊の開始を通知することが可能となる。
【0033】
また、上記の目的を達成するために、本発明の徘徊通知システムは、保護対象者個人情報を受信可能な通知先端末と、保護対象者の住所地及び写真の情報である保護対象者個人情報と、保護対象者の住所地を基準とした一定範囲を通知エリアとする通知エリア情報とを記録する保護対象情報記録部と、前記通知先端末の端末情報を記録する通知先端末記録部と、所定の検知機構から保護対象者の徘徊に関する徘徊情報を受信する徘徊情報受信部と、該徘徊情報受信部が前記徘徊情報を受信した際に、前記通知先端末が前記通知エリア内に位置するか否かを判断し、同通知エリア内に位置する同通知先端末に前記保護対象者個人情報を送信する徘徊情報送信部とを有する徘徊通知サーバとを備える。
【0034】
ここで、保護対象情報記録部が、保護対象者の住所地及び写真の情報である保護対象者個人情報と、住所地を基準とした一定範囲を通知エリアとする通知エリア情報とを記録することによって、保護対象者の居住地を中心とした通知エリアを特定することが可能となる。また、保護対象者の外観の情報を通知することが可能となる。なお、ここでいう住所地とは、保護対象者が居住する住宅の所在地だけでなく、保護対象者が通常生活している建物の所在地を含むものであり、例えば、施設や病院等の所在地をも含むものである。
【0035】
また、保護対象情報記録部に記録された保護対象者個人情報を受信可能な通知先端末の端末情報を記録する通知先端末記録部によって、保護対象者の徘徊情報や外観の情報を通知する端末をサーバ上に記録可能となる。なお、通知先端末の端末情報とは、個々の端末を識別可能な情報を含むものを意味する。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係る徘徊通知サーバは、徘徊行動をする保護対象者を迅速かつ的確に保護可能なものとなっている。
また、本発明に係る徘徊通知システムは、徘徊行動をする保護対象者を迅速かつ的確に保護可能なものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明を適用した徘徊通知システムの構成の一例を示す概略図である。
図2】通知エリアの範囲拡大を示す概略図である。
図3】従来の徘徊老人保護システムを示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明を適用した徘徊通知システムの構成の一例を示す概略図である。なお、本発明の構成は以下に示す内容に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0039】
図1に示すように、本発明を適用した徘徊通知システム1は、管理サーバ2と、近隣端末3と、外部端末4とを備えている。管理サーバ2と近隣端末3、管理サーバ2と外部端末4は、それぞれインターネット5を介して接続されている。
【0040】
近隣端末3は、管理サーバ2に登録された保護対象者の住所地を基準とした通知エリアの範囲内に住所地を有する人の端末であり、管理サーバ2との間で情報の送受信が可能なものである。
【0041】
外部端末4は、管理サーバ2に登録された保護対象者の住所地を基準とした通知エリアの範囲内に住所地を持たない人の端末であり、管理サーバ2との間で情報の送受信が可能なものである。
【0042】
近隣端末3及び外部端末4は、例えば、携帯端末やスマートフォン、タブレット等を利用することができる。また、各端末は、既存の位置特定機能を利用可能な端末である。位置特定機能は、例えば、GPS(Global Positioning System)機能や、無線LAN位置情報機能であり、管理サーバ2に端末の位置情報を送信可能となっている。
【0043】
管理サーバ2は、保護対象情報データデータベース6を有している。保護対象情報データデータベース6は、高齢者や痴呆症状のある人を保護対象者として、その住所地と本人の写真情報を含む個人情報を記録している。なお、ここでいう住所地とは、保護対象者が居住する住宅の所在地だけでなく、保護対象者が通常生活している建物の所在地を含むものであり、例えば、施設や病院等の所在地をも含むものである。
【0044】
また、保護対象者の個人情報としては、氏名や年齢、外観上の特徴等、保護対象者の特定につながる個人情報を含むものであってもよい。また、写真情報として、本人の顔写真の他に、後述する検知機構から得られた映像情報を元にした静止画画像を利用することも可能である。検知機構から得られた映像情報を元にした静止画画像を利用すれば、保護対象者が徘徊を開始した際の服装や外観の情報も併せて通知することが可能となる。
【0045】
更に、保護対象者の個人情報としては、保護対象者の徘徊に関する履歴情報を記録することができる。例えば、過去に徘徊が確認された場所や、どのような時間帯に徘徊を行ったか等の履歴情報が記録される。履歴情報を記録しておくことで、各端末に徘徊を通知する際の参考情報として利用可能なものとなる。
【0046】
保護対象情報データデータベース6は、保護対象者の住所地を中心とした一定範囲を、徘徊情報を通知する通知エリアとして記録している。通知エリアの範囲設定は任意の数値や条件で行うことができるが、例えば、住所地から半径500mといった範囲の設定で記録されるものとなる。
【0047】
また、保護対象情報データデータベース6は、時間経過と共に通知エリアの範囲を段階的に広げた拡大通知エリアを記録している。例えば、前述した半径500mが初期の範囲であれば、徘徊の開始から15分経過時には半径1km、30分経過時には半径1.5kmが拡大通知エリアとなるように記録するものとなっている。
【0048】
また、保護対象者の住所地の近辺に危険な箇所がある際には、あらかじめ通知エリアの範囲に含める設定や、危険度の高い場所として目立たせて通知する設定にすることもできる。例えば、鉄道の踏切や駅、海や河川等の保護対象者が事故に巻き込まれやすい箇所を通知エリアに含めるものとなる。
【0049】
ここで、必ずしも、保護対象情報データデータベース6が、時間経過と共に通知エリアの範囲を段階的に広げた拡大通知エリアを記録する必要はない。但し、時間経過と共に通知エリアを拡大させ、保護対象者の発見の効率を高めることができる点から、保護対象情報データデータベース6が、時間経過と共に通知エリアの範囲を段階的に広げた拡大通知エリアを記録することが好ましい。
【0050】
また、管理サーバ2は、近隣端末3及び外部端末4の端末情報を記録する通知先端末情報データベース7を有している。端末情報としては、各端末を認識しうる個別の端末コードの情報や、端末所有者の住所地の情報が含まれている。
【0051】
また、通知先端末情報データベース7では、保護対象情報データデータベース6に記録された全ての保護対象者の個人情報と、近隣端末3及び外部端末4の端末情報を紐付けて記録可能となっている。この結果、通知先端末の所有者と保護対象者とが面識のない間柄であっても、徘徊時の保護の要請が可能となる。
【0052】
また、一方で、通知先端末情報データベース7において、特定の保護対象者の個人情報と、特定の近隣端末3及び外部端末4との端末情報を紐付けることも可能である。
【0053】
管理サーバ2は、保護対象者の家の玄関等に設置された検知機構8から送信される徘徊開始を知らせる徘徊情報を受信する徘徊情報受信部9を有している。検知機構8は、既存の監視装置を利用することができる。
【0054】
検知機構8としては、例えば、人の出入りを検知可能なセンサー機構や、玄関の監視カメラで撮像し、保護対象者が屋外へと出て行った際の映像を取得可能な監視機構が挙げられる。また、徘徊が開始されたと判断された際に、徘徊情報受信部9へとインターネット5を介して徘徊情報を送信可能な機能を有するものである。
【0055】
管理サーバ2は、徘徊情報受信部9が検知機構8から徘徊情報を受信した際に、近隣通知先端末3や外部端末4に、保護対象者の個人情報と徘徊情報を送信する徘徊情報送信部10を有する。
【0056】
徘徊情報送信部10は、徘徊を開始した保護対象者の住所地から設定される一定範囲の通知エリアを基準に、情報の通知を行う複数の近隣端末3を抽出する。また、抽出された近隣端末3の位置情報を受信し、通知エリア内に存在する近隣端末3に対して、保護対象者の個人情報と徘徊情報を送信する。
【0057】
また、徘徊情報送信部10は、徘徊情報受信部9が検知機構8から徘徊情報を受信した際に、外部端末4の位置情報も受信し、通知エリア内に存在する外部端末4を特定する。そして、通知エリア内に位置する近隣端末3が一定数を下回った際に、通知エリア内に存在する外部端末4に保護対象者の個人情報と徘徊情報を送信する。
【0058】
また、ここでの外部端末4への徘徊情報の通知は、通知エリア内に位置する近隣端末3の数以外の条件でも設定可能となっている。例えば、特定の保護対象者を対象として、特定の近隣端末3を設定しておく。そして、その特定の近隣端末3が通知エリア内に位置しない場合に、外部端末4に通知がなされるものであってもよい。更に、通知エリア内に存在する近隣端末3及び外部端末4に同時に徘徊情報を通知するものも採用しうる。
【0059】
ここで、必ずしも、通知エリア内に位置する近隣端末3が一定数を下回った際に、通知エリア内に存在する外部端末4に保護対象者の個人情報と徘徊情報を送信するものとされる必要はない。例えば、複数の近隣端末3が記録され、通知エリア内に一部の近隣端末3が位置する状態で、エリア内の外部端末4に徘徊情報を通知するものとすることもできる。また、近隣端末3の通知エリア内の所在とは無関係に外部端末4に徘徊情報を通知するものとすることもできる。更に、前述したように特定の近隣端末3の通知エリア内の所在の有無を徘徊情報の通知のきっかけとすることも可能である。
【0060】
更に、徘徊情報送信部10は、外部端末4に保護対象者の個人情報と徘徊情報を送信する際に、外部端末4から受信した位置情報も併せて送信可能となっている。位置情報としては、例えば、通知エリアを含む地図情報と、外部端末4の位置情報を合せて表示可能な情報等である。
【0061】
管理サーバ2は、近隣端末3及び外部端末4から、保護対象者を発見した旨の情報を受信する発見情報送受信部11を有している。各端末から、発見情報を受信した際には、発見情報送受信部11を介して、保護対象者が発見された情報を、その他の通知がなされた近隣端末3及び外部端末4へと送信するものとなる。
【0062】
以下、上記までに説明した構成を有する徘徊通知システム1での通知の流れについて説明する。以下に示す通知の流れはあくまで一例であり、適宜変更することができる。
【0063】
まず、保護対象者が自身の住宅から屋外へ出て徘徊を開始する。徘徊は住宅の玄関等に設置された検知機構8が検知し、保護対象者が徘徊を開始した旨及び徘徊開始時の静止画画像を含む徘徊情報を管理サーバ2の徘徊情報受信部9へと送信する。
【0064】
管理サーバ2の徘徊情報受信部9が徘徊情報を受信すると、徘徊情報送信部10は、保護対象者の住所地から設定された通知エリアを基準に、情報の通知を行う近隣端末3を抽出する。そして、抽出された近隣端末3の位置情報を受信し、通知エリア内に存在する近隣端末3に対して、保護対象者の個人情報と徘徊情報を送信する。
【0065】
また、徘徊情報送信部10は、外部端末4の位置情報も受信し、通知エリア内に存在する外部端末4を特定する。そして、通知エリア内に位置する近隣端末3が一定数を下回った際に、通知エリア内に存在する外部端末4に保護対象者の個人情報と徘徊情報を送信する。
【0066】
徘徊情報が通知された近隣端末3及び外部端末4では、徘徊している保護対象者の住所地と本人が確認できる画像情報を受信する。また、外部端末4には、外部端末4が位置する場所とその周辺の地図情報も併せて受信する。ここで、周辺の地図情報は必ずしも含まれる必要はないが、その土地に詳しくない外部端末4の所有者が自身の所在地や周辺の地理を理解しやすくなる点で有効である。
【0067】
近隣端末3及び外部端末4の所有者は、受信した情報を元に、自身の周辺に保護対象者がいないかを確認することができる。
【0068】
また、徘徊が開始された時間からの一定時間の経過と共に、通知エリアの範囲拡大と、近隣端末3及び外部端末4の通知エリア内の所在の確認及び通知がなされる。図2に示すように、徘徊の開始時には、保護対象者の住所地を中心とした半径500mが初期の通知エリアとなる。
【0069】
そして、徘徊の開始から15分経過時には半径1km、30分経過時には半径1.5kmが拡大通知エリアとなる。それぞれのタイミングで通知エリア内における近隣端末3及び外部端末4の通知エリア内の所在の確認がなされ、設定条件に従って、エリア内に位置する近隣端末3や外部端末4に徘徊情報が通知される。
【0070】
近隣端末3または外部端末4の所有者が保護対象者を発見した場合には、インターネット5を介して管理サーバ2にアクセスして、発見した旨の情報を送信する。管理サーバ2では、発見情報送受信部11が発見者からの情報を受信して、保護対象者であることが確認できた場合に、再度、徘徊情報を受信した近隣端末3または外部端末4に対して発見した旨の情報を送信する。
【0071】
このように、本発明を適用した徘徊通知システムでは、保護対象者が徘徊を開始してから迅速な通知を行うことで、発見の効率を高めるものとなっている。即ち、通知エリア内にいる端末の所有者に徘徊の情報を送信することで、周囲の捜索を促し、保護対象者を保護できるものとなっている。
【0072】
以上のように、本発明の徘徊通知サーバは、徘徊行動をする保護対象者を迅速かつ的確に保護可能なものとなっている。
また、本発明の徘徊通知システムは、徘徊行動をする保護対象者を迅速かつ的確に保護可能なものとなっている。
【符号の説明】
【0073】
1 徘徊通知システム
2 管理サーバ
3 近隣端末
4 外部端末
5 インターネット
6 保護対象情報データデータベース
7 通知先端末情報データベース
8 検知機構
9 徘徊情報受信部
10 徘徊情報送信部
11 発見情報送受信部
図1
図2
図3