(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態1>
実施形態1を
図1ないし
図11によって説明する。本実施形態に係る電池配線モジュール20(配線モジュールの一例)は、
図1に示すように、正極12A及び負極12Bの電極12を有する複数個(本実施形態では12個)の単電池11(蓄電素子の一例)を並べてなる単電池群10(蓄電素子群の一例)に取り付けられるものである。
【0024】
本実施形態の電池配線モジュール20を単電池群10に取り付けてなる電池モジュールMは、例えば、電気自動車又はハイブリッド自動車等の、車両(図示せず)の駆動源として使用される。単電池群10を構成する複数の単電池11は、電池配線モジュール20によって、異なる単電池11の正極12Aと負極12Bとを電気的に接続することにより、直列に接続されている。以下の説明においては、
図2におけるX方向を前方とし、X方向と反対方向を後方とする。また、
図2におけるY方向を右方とし、Y方向と反対方向を左方とする。さらに、
図2におけるZ方向を上方とし、Z方向と反対方向を下方とする。
【0025】
(単電池11)
単電池11は、ケースの内部に図示しない発電要素を収容してなり、扁平な直方体形状をなしている。単電池11の上面11Aには、
図1に示すように、発電要素と電気的に接続された正極12Aおよび負極12Bが設けられている。以下、正極12Aおよび負極12Bを総括するときは電極12という。
【0026】
電極12は、金属端子13と、上方に向かって丸棒状に突出する電極ポスト14と、金属端子13をケースに固定する丸ねじ15と、を備える。金属端子13は、側面視略Z字型に構成されている。より詳細には、金属端子13は、単電池11のケースに固定される固定片13Aと、固定片13Aから直角に折れ曲がり、ケースから離れる方向に延びる接続片13Bと、接続片13Bに連続して固定片13Aと平行に延びる端子片13Cとを有している。固定片13Aおよび端子片13Cには貫通孔が設けられている。固定片13Aの貫通孔を丸ねじ15が貫通し、端子片13Cの貫通孔を電極ポスト14が貫通する。なお、電極ポスト14の表面には、ねじ山が形成されている(図示せず)。
【0027】
複数個の単電池11は、隣り合う単電池11の電極12の極性が異なるように(正極12Aと負極12Bとが交互に配されるように)並べられている。電極ポスト14は、後述するバスバー21(接続部材の一例)の端子貫通孔22に挿通され、ナット18を螺合させることによりバスバー21に固定されるようになっている。
【0028】
また、単電池11の上面11Aの略中央には、単電池11の内部で発生したガスを外部に排出するガス排出部16が形成されている。
【0029】
(セパレータ17)
図1および
図11に示すように、各単電池11は、隣り合う単電池11との間に配されたセパレータ17によって、間隔を空けて配されている。セパレータ17は、絶縁性の合成樹脂からなる。セパレータ17は、隣り合う単電池11の間に配されて各単電池11を離隔する仕切り壁17Aと、この仕切り壁17Aの上下の端縁部から
図11中の左右方向(X軸方向)に延出された延出壁17Bと、を備える。これらの仕切り壁17Aと延出壁17Bとの間に囲まれた空間内に、各単電池11が収容されている。なお、延出壁17Bのうち、単電池11の上面11Aに対向する延出壁17Bは一部切り欠かれており、金属端子13およびガス排出部16が外部に露出するように設定されている(
図1参照)。
【0030】
また、仕切り壁17Aのうち高さ方向における2箇所には、
図11中左側(X軸方向)に向けて突出する一対のリブ17Cが平行に設けられている。これらのリブ17Cが単電池11の側面と当接することにより、単電池11と仕切り壁17Aとの間に所定のクリアランスが設けられている。なお、単電池群10の端部に配されるセパレータ17には、外側に向けて延びる延出壁17Bおよびリブ17Cは設けられていない。
【0031】
(電池配線モジュール20)
電池配線モジュール20は、単電池群10の上面10A(電極面)の略中央に取り付けられる。
【0032】
電池配線モジュール20は、
図2および
図3に示すように、単電池11の電極12に接続される複数のバスバー21と、バスバー21を保持するバスバー保持部32を有する樹脂プロテクタ30と、バスバー21に重ねられて電気的に接続される電圧検知端子50と、電圧検知端子50に接続される検知電線55と、単電池11の内部で発生したガスを外部に排出するダクト70と、を備える。
【0033】
(バスバー21)
バスバー21は、銅、銅合金、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等からなる金属製の板材を所定の形状にプレス加工することにより形成され、全体として略長方形状をなしている。バスバー21の表面には、スズ、ニッケル等の金属がメッキされていてもよい。
【0034】
図3に示すように、バスバー21には、電極12の電極ポスト14が挿通される円形状をなす一対の端子貫通孔22,22が、バスバー21を貫通して形成されている。これらの端子貫通孔22は、電極ポスト14の径よりも若干大きく設定されている。端子貫通孔22内に電極ポスト14が貫通された状態でナット18が螺合されて、ナット18と金属端子13の端子片13Cとの間にバスバー21が挟まれることにより、電極12とバスバー21とが電気的に接続される。
【0035】
バスバー21には、各端子貫通孔22,22と並んで、一対のスリット23,23がバスバー21の長辺に沿って形成されている。このスリット23は、後述する電圧検知端子50をバスバー21に係止するためのものである。
【0036】
また、バスバー21の一対の長辺のうち、スリット23が形成されている側の長辺の両端付近の縁部には、それぞれ、バスバー21を後述する連結ユニット31に対して抜け止めするための抜止突部24,24が、板面から突出するように形成されている。これらの抜止突部24は、上方から見て三角形状に形成されている。
【0037】
また、バスバー21の一対の長辺の長さ方向の中央端縁部には、方形状に切り欠かれた凹部25が形成されている。これらの凹部25のうち、抜止突部24が設けられている長辺と反対側の長辺に設けられる凹部25(図示せず)には、後述する連結ユニット31の係止突部(図示せず)が係止されるようになっている。
【0038】
(樹脂プロテクタ30)
絶縁樹脂材料からなる樹脂プロテクタ30は、複数の連結ユニット31をバスバー21によって連結してなり、単電池11の並び方向(X軸方向)に細長い形状をなしている。
【0039】
(連結ユニット31)
連結ユニット31は、
図2および
図3に示すように、上方に開口すると共にバスバー21を収容し保持する一対のバスバー保持部32A、32Bと、後述する電圧検知端子50に接続される検知電線55を収容する電線収容溝40と、を備える。一対のバスバー保持部32A、32Bのうち一方側の32Aには、後述する電圧検知端子50がバスバー21とともに収容され、他方側の32Bには、バスバー21のみが収容される。以下、32Aおよび32Bを総括するときはバスバー保持部32と表記する。なお、
図2において右側の樹脂プロテクタ30における前後の両端部には、バスバー保持部32Aまたは32Bを1つだけ有した端部連結ユニット31A,31Bが配置されている。
【0040】
各バスバー保持部32は、周壁33と、一対のバスバー保持部32A、32Bの間に位置する隔壁34とにより囲まれており、各バスバー保持部32は概ねバスバー21の略半分が収容される大きさに形成されている。
【0041】
図3に示すように、連結ユニット31の各バスバー保持部32にバスバー21の略半分が保持されている。複数の連結ユニット31のうち、一の連結ユニット31とその隣に位置する連結ユニット31とは、一枚のバスバー21を介して相互に連結されている。隣り合うバスバー21は、隔壁34によって互いに絶縁状態に離隔される。
【0042】
バスバー保持部32の底部は、バスバー21の周縁部が載置される載置部38(
図7参照)を残して下方に開口されている。また隔壁34には、
図2および
図3に示すように、バスバー保持部32内に収容されたバスバー21の上側に配されて、載置部38とともにバスバー21を保持する機能を有する2対の保持突部35,36が、各バスバー保持部32の内部に向かって突出形成されている。
【0043】
バスバー保持部32の周壁33には、バスバー挿入口37が形成されており、ここからバスバー保持部32内にバスバー21を挿入可能とされている(
図2参照)。
【0044】
また連結ユニット31には、後述する電圧検知端子50に接続される検知電線55が収容される電線収容溝40が、一対のバスバー保持部32A、32Bの並び方向(X軸方向)に沿って設けられている。この電線収容溝40内には、複数の検知電線55が収容可能である。この電線収容溝40の一対の溝壁部40A,40Bのうち、バスバー保持部32側の溝壁部40Aの一部と、バスバー保持部32Aの周壁33の一部はともに切り欠かれており、電線収容溝40とバスバー保持部32Aとの間に位置して後述する電圧検知端子50のバレル部(図示せず)を保持する溝状のバレル保持部41と連通状態とされている。
【0045】
一方、電線収容溝40の、バスバー保持部32側とは反対側の溝壁部40Bの外面上端付近には、電線収容溝40の一部を上方から覆って検知電線55のはみ出しを防止する複数の蓋部42が、ヒンジ42Aを介して開閉回動可能に設けられている。これら蓋部42の先端(縁部)のうち、バレル保持部41に対応する部分には、バスバー保持部32Aに向けて張り出す張出部42Bが形成されており、バレル保持部41を上方から閉塞可能としている。張出部42Bの下面には、押さえ部42B1が突出形成されている(
図6参照)。
【0046】
また、蓋部42の先端面のうち、隔壁34に対応する部分には、隔壁34に向けて突出するとともに下側に向けて延びる係合爪42Cが設けられている。この係合爪42Cが、バスバー保持部32側の溝壁部40Aの外面に設けられた係合孔43に係合されることにより、蓋部42が、電線収容溝40の一部をその開放面(上面)側から閉塞するようになっている。
【0047】
さらに、バスバー保持部32の周壁33のうち、電線収容溝40側に位置する部分の外面には、後述する電子制御ユニット60の係止片64が係止可能な係止孔44(係止部の一例)が設けられている。これら係止孔44は、バスバー21のみが収容されるバスバー保持部32Bの外面に設けられている。
【0048】
係止孔44は、周壁33の外面からコ字形状の孔壁44Aが延出成形されることにより、角孔状とされている。
図7に示すように、孔壁44Aの上面は、周壁33の上面より下方側に設定され、孔壁44Aの下面は、周壁33の下面より上方側に設定されている。また、孔壁44Aの上面の内縁には面取り部44A1が形成されている。
【0049】
係止孔44の左右方向(Y軸方向)の長さは、
図7に示すように、後述する電子制御ユニット60の係止片64の爪部64Dが挿入可能、かつ、孔壁44Aの下面に係止可能な長さに設定されている。また、係止孔44の前後方向(X軸方向)の長さは、
図6に示すように、同じく後述する係止片64の幅狭部64Bを挿入可能、かつ、係止孔44内で前後方向に移動可能なクリアランスCを有する長さに設定されている。ただし、幅広部64Aは挿入不可能な長さとされている。
【0050】
隣り合う連結ユニット31は、バスバー21に対して連結方向(X軸方向)において相対的に移動可能とされており、これにより、複数の単電池11の電極12間における製造公差、及び、組み付け公差を吸収することができるようになっている。
【0051】
(電圧検知端子50)
連結ユニット31の一方側のバスバー保持部32A内には、バスバー21に重ねられて、単電池11の電圧を検知するための電圧検知端子50が配される。電圧検知端子50は、銅、銅合金、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属板材を所定の形状にプレス加工してなる。電圧検知端子50の表面は、スズ、ニッケル等の金属によってメッキされていてもよい。
【0052】
本実施形態においては、
図3に示すように、電圧検知端子50は略五角形をなす端子本体部51と、この端子本体部51に延設されて検知電線55の芯線と接続されるバレル部(図示せず)とを備える。
【0053】
端子本体部51の中央付近には、電極ポスト14が挿通される端子挿通孔52がバスバー21の端子貫通孔22と重なるように形成されており、その径は電極ポスト14の径よりも若干大きく、かつ、バスバー21の端子貫通孔22よりも若干大きく設定されている。また、端子本体部51には、上述したバスバー21のスリット23に差し込んで電圧検知端子50を係止するための差入部53が、バレル部の反対側の端縁部に設けられている。
【0054】
電圧検知端子50は、ナット18とバスバー21との間に挟まれることにより、電極12に電気的に接続される。バレル部に接続された検知電線55の反対側の端部は、後述する電子制御ユニット60に接続され、この電子制御ユニット60により、各単電池11の電圧が検知される。
【0055】
(電子制御ユニット60)
上述した連結ユニット31を連結した一対の樹脂プロテクタ30,30の間には、電子制御ユニット60が配される。
図4に示すように、電子制御ユニット60は、略直方体状のケース61の内部に、マイクロコンピュータ、素子等が搭載された検出回路基板68を収容してなり、単電池11の電圧・電流・温度等を検出して、各単電池11の監視制御等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0056】
ケース61は、下面が開口した略矩形の箱状の上側ケース62と、上面が開口した略矩形の箱状の下側ケース63とからなり、上側ケース62に設けた係合片62Aを下側ケースに設けた係合突部63Aに係合させることにより互いに組み付け状態とされている。
【0057】
下側ケース63のうち、前後方向(X軸方向)に沿った長手方向の側面の両端縁付近には、外側に向けて張り出すとともに下側に向けて突出した係止片64(係止手段の一例)が設けられている。係止片64は、前後方向(X軸方向)に沿った面において逆T字形状をなしており、以下、その上部を幅広部64A、下部を幅狭部64B、幅広部64Aおよび幅狭部64Bの間の段差部分を段部64Cとよぶこととする。幅狭部64Bの下端には、左右方向(Y軸方向)における内側に向けて突出する爪部64Dが設けられている(
図7参照)。
【0058】
この係止片64が、上述した樹脂プロテクタ30(連結ユニット31)の係止孔44(係止手段の一例)内に係止することにより、電子制御ユニット60が樹脂プロテクタ30と一体化されるようになっている。
【0059】
また、
図4に示すように、下側ケース63の底部からは、前後方向(X軸方向)に沿って一対の板状の取付部65が互いに反対側に向けて延出形成されており、これらの各取付部65に一対の取付孔65Aが設けられている。これら取付孔65Aは、前後方向(X軸方向)に沿う長孔状とされている。
【0060】
さらに、ケース61の前面には、検知電線55の端末に接続されたコネクタ(図示せず)と嵌合可能なコネクタ部66が設けられている。
【0061】
(ダクト70)
一対の樹脂プロテクタ30,30の間であって、かつ、電子制御ユニット60の下方には、単電池11内で発生したガスを外部に排気するダクト70が設けられている。ダクト70は合成樹脂材料からなり、長板状の天板部71と、天板部71のうち前後方向(X軸方向)に沿った両側縁部から下方に向けて延びる一対の側壁部72と、一対の側壁部72の両下端縁部から外側に向けて天板部71と平行に延びる突当部73とを有した、断面略凹形状をなしている。天板部71の前後方向の長さは、単電池群10の並び方向の長さと同等とされている。
【0062】
また、天板部71の上面には、電子制御ユニット60の取付孔65A内に貫通される2対の丸棒状の取付突部74が、上方に向かって突出形成されている。この取付突部74の外周面にはネジ溝が設けられており、ここにナット75が螺合されることにより、電子制御ユニット60とダクト70とが一体化されるようになっている。
【0063】
単電池11のガス排出部16から排出されたガスは、ダクト70により形成された通気空間を通して電池モジュールMの外部に排出される。
【0064】
(電池配線モジュール20の組立方法)
次に、電池配線モジュール20の組み立て方法について説明する。
【0065】
まず、所定の個数の連結ユニット31を用意し、バスバー挿入口37からバスバー保持部32内にバスバー21挿入し、複数の連結ユニット31を連結状態とする(
図4参照)。この状態において、形成された樹脂プロテクタ30は連結ユニット31の連結方向(X軸方向)において伸張可能とされており、単電池群10に取り付ける際に公差吸収可能となっている。
【0066】
次に、電圧検知端子50のバレル部(図示せず)を検知電線55の端部にかしめ付けた状態とし、連結ユニット31に形成された2つのバスバー保持部32A,32Bのうち、バレル保持部41と連結された一方のバスバー保持部32A内に、電圧検知端子50を上方から収容して、バスバー21に重ね合わせる。この時、電圧検知端子50の差入部53をバスバー21のスリット23内に差し込み、係止状態とする。電圧検知端子50のバレル部は、連結ユニット31のバレル保持部41内に、検知電線55とともに保持される。また、連結ユニット31のバレル保持部41から導出された検知電線55は、電線収容溝40内に導入され、収容される。その後、蓋部42を回動させて係合爪42Cを係合孔43内に挿入し、電線収容溝40の開放面(上面)を閉塞する。
【0067】
次に、上記のようにして組み立てられた一対の樹脂プロテクタ30の間に、電子制御ユニット60を取り付ける。具体的には、
図4に示すように、一対の樹脂プロテクタ30の上方から電子制御ユニット60を近づけ、電子制御ユニット60の2対の係止片64を樹脂プロテクタ30の係止孔44内に挿入する。すると、
図7に示すように、係止片64の爪部64D下面が孔壁44Aの面取り部44A1にガイドされつつ係止孔44内に進み、奥方まで進んだところで爪部64Dが孔壁44Aの下面に係止する。これにより、係止片64が係止孔44内に抜け止め状態とされ、一対の樹脂プロテクタ30と電子制御ユニット60とが一体化される(
図5ないし
図7参照)。
【0068】
この時、電子制御ユニット60は、樹脂プロテクタ30に対し、前後方向(X軸方向)において移動可能なクリアランスCを有している。すなわち、
図6に示すように、係止孔44のX軸方向の内径は係止片64の幅狭部64BのX軸方向の長さよりも大きく設定されているから、電子制御ユニット60は樹脂プロテクタ30に対して、連結ユニット31の連結方向(X軸方向)に沿った方向に上記クリアランスCの範囲内で移動可能に取り付けられている。
【0069】
なおこの時、係止孔44のX軸方向の内径は、係止片64の幅広部64Aが挿入不可能な長さに設定されているから、段部64Cが孔壁44Aの上面に突き当たることにより、係止片64の係止孔44内への過度な挿入は規制されるようになっている。
【0070】
次に、一体化された一対の樹脂プロテクタ30および電子制御ユニット60に、ダクト70を取り付ける。具体的には、
図8に示すように、一体化された樹脂プロテクタ30および電子制御ユニット60の下方側からダクト70を近づけ、取付突部74を電子制御ユニット60の取付部65に形成された取付孔65A内に挿入する。この時、取付孔65Aは連結ユニット31の連結方向(X軸方向)に沿った長孔状とされているので、樹脂プロテクタ30に連結方向(X軸方向)における連結公差が生じている場合でも、取付突部74を取付孔65A内に確実に挿入することができる。そして、上方側からナット75を締め付ける。これにより、電池配線モジュール20が完成する(
図2参照)。
【0071】
このようにして組み立てられた本実施形態の電池配線モジュール20は、電極12を上に向けた状態で並べられた単電池群10の上面側に取り付けられる。すなわち、
図1に示すように、電池配線モジュール20を単電池群10の上面10Aに載置し、電極12の電極ポスト14をバスバー21(および電圧検知端子50)の端子貫通孔22(および挿通孔52)に挿通させる。そして、電極ポスト14にナット18を螺合させることにより、隣り合う正極および負極の電極12を接続させて、電池モジュールMが完成する(
図9および
図10参照)。
【0072】
(本実施形態の作用、効果)
以下、本実施形態の作用および効果について説明する。
【0073】
本実施形態においては、連結ユニット31の連結方向(X軸方向)、すなわち、単電池11の並び方向について伸張可能(公差吸収可能)とされた樹脂プロテクタ30に対して電子制御ユニット60を取り付けた場合でも、電子制御ユニット60は樹脂プロテクタ30に対して単電池11の並び方向について上記クリアランスCの範囲内で移動可能とされているから、樹脂プロテクタ30は電子制御ユニット60に伸張を規制されることなく、単電池群10に対して公差吸収可能な状態のまま取り付け可能である。
【0074】
また、電子制御ユニット60は樹脂プロテクタ30に対しては移動可能に取り付けられる一方、ダクト70に対しては固定された状態とされているから、電池配線モジュール20全体を安定した状態で取り扱うことができる。
【0075】
<実施形態2>
次に、実施形態2を
図12ないし
図14によって説明する。なお、以下においては実施形態1と異なる構成についてのみ説明するものとし、実施形態1と同様の構成には同一符号を付すこととし、重複する説明を省略する。
【0076】
本実施形態においては、ダクト80の構成が上記実施形態1とは異なる。ダクト80は、
図12に示すように、長板状の天板部81と、天板部81のうち前後方向(X軸方向)に沿った両側縁部から下方に向けて延びる一対の側壁部82と、一対の側壁部82の両下端縁部から外側に向けて天板部81と平行に延びる突当部83とを有するとともに、突当部83の両側縁部の前後方向の端部において、突当部83からさらに左右方向(Y軸方向)に張り出して延出形成された一対の取付部86を有する。取付部86には、板面を貫通する取付孔87が設けられている。また、天板部81の上面には、2対の丸棒状の取付突部84が上方に向かって突出形成されている。
【0077】
天板部81の前後方向の長さは、単電池群10の前後方向の長さよりも長く設定されており、
図14に示すように、電池配線モジュール100(ダクト80)が単電池群10の上面10Aに設置された場合に、取付部86が単電池群10から前後方向に突出するように設定されている。
【0078】
一方、
図13に示すように、単電池群10の前後方向における端面には、板状の取付板90がセパレータ17に対して一体的に固定されている。取付板90の上端縁には、板面から垂直に、かつ、単電池群10の上面10Aと平行に前後方向に沿って延出された一対の第1固定部91が設けられており、これら第1固定部91に一対の第1固定孔91Aが形成されている。第1固定孔91Aの孔壁には、図示しないネジ溝が設けられている。
【0079】
さらに、取付板90の下端縁には、板面から垂直に、かつ、単電池群10の底面と平行に前後方向に沿って延出された二対の第2固定部92が設けられており、これら第2固定部にそれぞれ第2固定孔92Aが形成されている。
【0080】
上記構成のダクト80を、一体化された一対の樹脂プロテクタ30および電子制御ユニット60に取り付ける場合には、上記実施形態1と同様に、ダクト80の取付突部84を電子制御ユニット60の取付部65に形成された取付孔65A内に挿入し、ナット85を締め付ける(
図13参照)。これにより、樹脂プロテクタ30、電子制御ユニット60、およびダクト80が一体化された電池配線モジュール100が完成する。
【0081】
そして、このようにして組み立てられた本実施形態の電池配線モジュール100を単電池群10の上面10Aに載置し、電極12の電極ポスト14をバスバー21(および電圧検知端子50)の端子貫通孔22(および挿通孔52)に挿通させる。そして、電極ポスト14にナット18を螺合させることにより、隣り合う正極および負極の電極12を接続させる。
【0082】
さらに、重ね合わされた取付部86の取付孔87および第1固定部91の第1固定孔91Aの孔内にボルト88をねじ込むことにより、電池配線モジュール100と単電池群10とをより強固に固定する。このようにして、電池モジュールmが完成する(
図14参照)。
【0083】
本実施形態の電池配線モジュール100によれば、上記実施形態1と同様の効果に加え、電池配線モジュール100をより安定的に単電池群10に取り付けることができる。
【0084】
<実施形態3>
次に、実施形態3を
図15ないし
図25によって説明する。なお、以下においては実施形態1と異なる構成についてのみ説明するものとし、実施形態1と同様の構成には同一符号を付すこととし、重複する説明を省略する。
【0085】
本実施形態の電池配線モジュール120は、
図9に示すように、電圧検知バスバー150(上記実施形態の電圧検知端子)に、電子制御ユニット160に接続するための接続片154が一体的に設けられており、この接続片154は公差吸収部156を有することを特徴としている。
【0086】
(バスバー21)
バスバー21は、スリット23が設けられていないところだけが上記実施形態1とは異なっており、その他は上記実施形態1と同形状とされている。
【0087】
(樹脂プロテクタ130)
樹脂プロテクタ130は、複数の連結ユニット131をバスバー21によって連結してなり、単電池11の並び方向(X軸方向)に細長い形状をなしている。また、一対の樹脂プロテクタ130A、130Bは、後述する電子制御ユニット160の下側ケース170により互いに連結されている(
図17および
図23参照)。
【0088】
(連結ユニット131)
連結ユニット131は、
図16および
図19に示すように、バスバー21を収容し保持する一対のバスバー保持部132、132を備えてなる。各バスバー保持部132は、概ねバスバー21の略半分が収容される大きさとされている。各バスバー保持部132には、バスバー21のみ、または、後述する電圧検知バスバー150がバスバー21とともに収容される。なお、
図17において右手前側の第2樹脂プロテクタ130Bにおける前後方向(X軸方向)の両端部には、バスバー保持部132を1つだけ有した端部連結ユニット131A,131Bが配置されている。
【0089】
連結ユニット131は、
図16における奥側の内側壁135と、手前側の外側壁136と、内側壁135および外側壁136をそれぞれの中央部分において連結する絶縁壁134と、が略H形状に配されるとともに、底部にバスバー21の周縁部が載置される載置部133を備えてなる。各バスバー保持部132は、上下方向(Z軸方向)および一側方(X軸方向)に向けて開放された形態をなしている。
【0090】
より詳細に説明すると、内側壁135の両側縁部には、外側壁136に向けて絶縁壁134と平行に延びる係止壁137が設けられている。係止壁137のY軸方向の幅は、絶縁壁134のY軸方向の幅の1/5程度とされており、バスバー保持部132内に挿入されたバスバー21の凹部125内に係止可能とされている。また、外側壁136の両側縁部には、内側壁135に向けて斜めに延出された斜壁138が設けられており、これにより、連結ユニット131の外側壁136側の角部は面取り形状をなしている。一対のバスバー保持部132、132は、係止壁137、内側壁135、絶縁壁134、外側壁136、および斜壁138により囲まれた各領域である。
【0091】
これらの壁のうち、係止壁137、絶縁壁134、外側壁136、および斜壁138の上面は、全て面一とされている。一方、内側壁135の上面はこれらの壁よりも高くなるように設定されている。なお、これらの壁は、全て、電池配線モジュール120が単電池群10に装着された状態において電極12の電極ポスト14の上端部よりも高くなるように設定されており、電極ポスト14を保護する機能を有している。
【0092】
絶縁壁134には、
図18および
図19に示すように、バスバー保持部132内に収容されたバスバー21の上側に配されて、載置部133とともにバスバー21を保持する機能を有する2つの保持突部139、139が、各バスバー保持部132の内側に向けて突出形成されている。
【0093】
また、絶縁壁134および係止壁137には、バスバー保持部132内に収容された電圧検知バスバー150の上側に配されて、バスバー21とともに電圧検知バスバー150を保持する機能を有する3つの保持片140が設けられている。保持片140は、絶縁壁134に2つ、係止壁137に1つが、各バスバー保持部132の内側かつ斜め下側に向けて延出形成されている。
【0094】
外側壁136と、底部(載置部133)との間には、
図16に示すように、バスバー挿入口145が形成されている。本実施形態では、バスバー挿入口145は、バスバー21を、バスバー保持部132の外側壁136側から、内側壁135側に向けて挿入可能に設けられている。
【0095】
内側壁135は、上述したように、他の壁部よりも上面が高くなるように、すなわち、高さ寸法が高く設定されている。
図18に示すように、内側壁135の上端は、バスバー保持部132とは反対側に向けてL字形状に屈曲されており、後述する下側ケース170の押さえ片181および受け片182の間に挟持される被挟持部142とされている。また、内側壁135のうち、絶縁壁134との交差部分より上方側には、絶縁壁134の壁厚よりも広い幅のスリット143が、上下方向(Z軸方向に)に延びるように設けられている。このスリット143は、内側壁135の上端まで設けられており、被挟持部142の一部を切り欠いている。
【0096】
さらに各バスバー保持部132には、バスバー保持部132内に収容された後述する電圧検知バスバー150の接続片154の公差吸収部156に沿って延びる一対の支持壁144が設けられている。一対の支持壁144は、絶縁壁134および係止壁137の内壁面から垂直方向に、すなわち、内側壁135に沿う方向に延設されており、これら支持壁144と内側壁135との間の隙間S1の距離は、電圧検知バスバー150の接続片154の厚みよりやや広い程度に設定されている。接続片154の公差吸収部156は、この隙間S1に収容されることにより内側壁135に沿った状態で安定的に保持され、バスバー保持部132側に倒れ込むことが防止されるようになっている(
図19参照)。また、各バスバー保持部132内において並んで配されたこれら一対の支持壁144の間の距離は、電圧検知バスバー150の本体部151と接続片154との境界部分が収容可能な長さに設定されている。
【0097】
なお、支持壁144の上面は、絶縁壁134および係止壁137の上面と面一とされている。また、一対の支持壁144の対向端面の上端角部は、内側壁135側に向けて斜め下側に切り欠かかれており、後述する電圧検知バスバー150の接続片154を隙間S1内に案内するための案内面144Aとされている。
【0098】
上述した連結ユニット131の各バスバー保持部132には、
図18および
図19に示すように、バスバー21の略半分が保持される。複数の連結ユニット131のうち、一の連結ユニット131とその隣に位置する連結ユニット131とは、一枚のバスバー21を介して相互に連結されている。隣り合うバスバー21は、絶縁壁134によって互いに絶縁状態に離隔される。
【0099】
バスバー21がバスバー保持部132に保持された状態において、係止壁137はバスバー21の凹部25に係止される係止部として作用している。なお、係止壁137とバスバー21の凹部25との間には、連結ユニット131の連結方向(X軸方向)においてクリアランスが形成されており(
図19参照)、これにより、隣り合う連結ユニット131は、バスバー21に対して連結方向(X軸方向)において相対的に移動可能とされている。すなわち、複数の単電池11の電極12間における製造公差、及び、組み付け公差を吸収することができるようになっている。
【0100】
図17において左奥に配された第1樹脂プロテクタ130Aは、複数(6つ)の連結ユニット131をバスバー21によりX軸方向に一列に連結して構成されている。一方、
図17において右手前に配された第2樹脂プロテクタ130Bは、第1樹脂プロテクタ130Aよりも1つ少ない数(5つ)の連結ユニット131が連結されるとともに、X軸方向における両端部に端部連結ユニット131A,131Bが連結されており、第1樹脂プロテクタ130Aとは連結ユニット131が単電池11の一個分の幅寸法だけずれるように構成されている。
【0101】
(電圧検知バスバー150)
樹脂プロテクタ130(連結ユニット131)の所定のバスバー保持部132内には、単電池11の電圧を検知するための電圧検知バスバー150が配される。電圧検知バスバー150は、銅、銅合金、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属板材を所定の形状に打ち抜き加工するとともに、プレス加工することにより形成されている。電圧検知バスバー150の表面は、スズ、ニッケル等の金属によってメッキされていてもよい。
【0102】
本実施形態において電圧検知バスバー150は、
図22に示すように、バスバー21の約半分の大きさの略八角形をなしてバスバー21に重ねられる本体部151と、後述する検出回路基板190に接続される接続片154とを一体的に備える。
【0103】
本体部151の中央付近には、電極ポスト14が挿通される端子挿通孔152がバスバー21の端子貫通孔22と重なるように形成されており、その径は電極ポスト14の径よりも若干大きく、かつ、バスバー21の端子貫通孔22よりも若干大きく設定されている。また本体部151の一縁部からは、バスバー保持部132の外側壁136の内側に圧接して本体部151をバスバー保持部132内に安定的に保持するための圧接片153が延設されている。圧接片153は、本体部151の一縁部より小さい幅を有して本体部151から延出されるとともに、先端を上方側に向けてL字形状に屈曲させることにより形成されている。
【0104】
また、本体部151のうち圧接片153の反対側の縁部からは、後述する検出回路基板190に接続する接続片154が延設されている。接続片154は、本体部151から垂直方向に立ち上がる基端部155と、基端部155の上縁の一部から延出された公差吸収部156と、公差吸収部156の上端においてL字形状に屈曲されて本体部151と平行に延びる引出部157と、引出部157から垂直に立ち上がり後述する検出回路基板190に接続される接続部158と、を有する。
【0105】
上述した基端部155と本体部151との境界部分の両端には、一対の切欠き159が設けられており、上述した一対の支持壁144を逃がすことが可能とされている。
【0106】
また、公差吸収部156は、2つの屈曲部を有して略Z形状に打ち抜き形成されており、この公差吸収部156が撓み変形することで、X軸方向の公差を吸収できるようになっている。
【0107】
電圧検知バスバー150は、本体部151がナット18とバスバー21との間に挟まれることにより、電極12に電気的に接続される。
【0108】
一方、接続片154の引出部157のうち接続部158寄りの領域は、複数の電圧検知バスバー150を所定の位置に並べるための合成樹脂製の位置決め部材185に、インサート成形により一体化されている。位置決め部材185から導出された接続部158は、後述する電子制御ユニット160の検出回路基板190の所定位置に貫通され、はんだ付けにより接続されるようになっている。
【0109】
(電子制御ユニット160)
上述した連結ユニット131をバスバー21により連結した一対の樹脂プロテクタ130A、130Bの間には、
図15に示すように、電子制御ユニット160が配される。電子制御ユニット160は、略直方体状のケース161の内部に、マイクロコンピュータ、素子等が搭載された検出回路基板190を収容してなり(
図25参照)、単電池11の電圧・電流・温度等を検出して、各単電池11の監視制御等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0110】
ケース161は、下面が開口した略矩形の箱状の上側ケース162と、略矩形の板状の下側ケース170とからなる。
【0111】
上側ケース162のうち、前後方向(X軸方向)に沿う一対の側壁163の下端縁には、下側ケース170の押さえ片181を逃がすための複数の切欠き164が設けられている。
【0112】
また上側ケース162のうち、前壁165および後壁には、後述するコネクタ部192を逃がすための逃がし部166が設けられているとともに、逃がし部166の両側に、後述する下側ケース170の係止突部176に係止するための一対の係止片167が設けられている。
【0113】
一方、
図17に示すように、下側ケース170は矩形の板状の底部171を有し、底部171には、左右方向(Y軸方向)の中央部において前後方向(X軸方向)に沿って浅く窪んだ窪み部172が設けられている。底部171の前後の端縁部からは、前後方向(X軸方向)に沿って窪み部172と同幅の一対の板状の第1固定部173が互いに反対側に向けて延設されており、これらの第1固定部173には一対の固定孔174が並んで設けられている。
【0114】
また底部171の前後の両端縁部には、底部171の板面から垂直方向に立ち上がる一対の第2固定部175がそれぞれ設けられている。第2固定部175は、窪み部172の側壁172Aをまたぐ位置に設けられている。第2固定部175のうち、窪み部172の側壁172Aより外側に位置する部分の外面には係止突部176が設けられており、上側ケース162に設けられた係止片167がこの係止突部176に係止されることにより、上側ケース162と下側ケース170とが互いに組み付け状態とされる。また、第1固定部173の両側縁部からは、第2固定部175の外面と連なる三角形状の補強壁177が、第1固定部173の板面から立ち上がるように設けられている。
【0115】
図18に示すように、底部171のうち、前後方向(X軸方向)に沿って延びる一対の側縁部の上面には、前後方向の全域にわたって延びる突き当てリブ180がそれぞれ設けられているとともに、これらの突き当てリブ180の上面からは、外側に向けてL字形状に立ち上がる複数の押さえ片181が等間隔で設けられている。これらの押さえ片181は、下側ケース170と樹脂プロテクタ130とが組み付けられた際に、隣り合う連結ユニット131の内側壁135の間の隙間S2に対応する位置に、その隙間S2の幅より幅広に形成されている。
【0116】
また、底部171のうち、前後方向(X軸方向)に沿って延びる一対の側面からは、底部171よりやや低い位置において外側に向けて延びる複数の受け片182が延出されている。受け片182は、下側ケース170と樹脂プロテクタ130とが組み付けられた際に、連結ユニット131の被挟持部142に対応する位置に、被挟持部142の幅より狭い幅で設けられている。
【0117】
図18に示すように、受け片182のうち、下側ケース170と樹脂プロテクタ130とが組み付けられた際にスリット143に対応する部分は切り欠かれており(受け片182は形成されておらず)、その切り欠かれた部分に、係止片183が延設されている。係止片183は底部171の側縁部から外側に向けて、受け片182とほぼ平行に、かつ、受け片182より突出長さがやや長く形成されており、その先端部の上面には、上方に向けて突出する係止突部183Aが設けられている。この係止突部183Aが、上述した樹脂プロテクタ130(連結ユニット131)のスリット143の上端縁部に係止することにより、下側ケース170と樹脂プロテクタ130とが一体化されるようになっている(
図20参照)。
【0118】
なお、係止片183の幅は、スリット143の幅よりも狭く設定されており、これにより、係止片183とスリット143とは単電池11の並び方向(X軸方向)にクリアランスを有して係止されるようになっている(
図21参照)。すなわち、下側ケース170と樹脂プロテクタ130とは、X軸方向において相対的に移動可能とされており、公差吸収可能となっている。
【0119】
また、これら押さえ片181と受け片182とは、上下方向において重ならないように、互いにずれた位置に配されている。
【0120】
検出回路基板190は、表面にプリント配線技術により図示しない導電回路が形成されているとともに、適所に複数の貫通孔191が設けられている(
図22参照)。これらの貫通孔191の一部は、電圧検知バスバー150の接続部158を貫通させるためのものであり、貫通孔191を貫通した接続部158は、例えば半田付け等公知の手法により導電回路に接続されるようになっている。また、検出回路基板190の裏面には、検出回路基板190の導電回路を相手側コネクタ(図示せず)に接続するためのコネクタ部192が、前後方向に向けて開口するように一体に設けられている。
【0121】
(ダクト195)
図15に示すように、ダクト195は上記実施形態1のダクト70と同形状であって、天板部196の上面に2対の丸棒状の取付突部199が、上方に向かって突出形成されている。この取付突部199の外周面にはネジ溝(図示せず)が設けられており、ここにナット18が螺合されることにより、電子制御ユニット160とダクト195とが一体化されるようになっている。
【0122】
(電池配線モジュール120の組立方法)
次に、本実施形態の電池配線モジュール120の組み立て方法について説明する。
【0123】
まず、所定の個数の連結ユニット131を用意し、バスバー挿入口145からバスバー保持部132内にバスバー21挿入し、複数の連結ユニット131を連結状態とする(
図16参照)。バスバー21は、端部が保持突部139および保持片140に上方側から係止されるとともに、抜止突部24が外側壁136の内面の下端に係止することにより、バスバー保持部132内に抜け止め状態で保持される(
図18および
図19参照)。
【0124】
また、凹部25内に隣り合う連結ユニット131の各係止壁137が係止されることにより、隣り合う連結ユニット131が連結される。この時、互いに連結された連結ユニット131は、凹部25と係止壁137との間にクリアランスが設けられていることにより、その連結方向(X軸方向)において伸張可能とされる。すなわち、複数の連結ユニット131により形成された樹脂プロテクタ130は、単電池群10に取り付ける際に、X軸方向において公差吸収可能とされている。
【0125】
次に、上記のようにして組み立てられた一対の樹脂プロテクタ130A、130Bの間に、電子制御ユニット160の下側ケース170を取り付ける。具体的には、
図17に示すように、下側ケース170の両側方から一対の樹脂プロテクタ130A、130Bを近づけ、下側ケース170の押さえ片181と受け片182との間に樹脂プロテクタ130の被挟持部142を挟み込むようにして組み付ける(
図18参照)。この時、下側ケース170の係止片183が弾性変形しながら連結ユニット131のスリット143内に挿入され、先端の係止突部183Aがスリット143の上端を通過したところで弾性復帰することにより、スリット143の上端縁部に係止した状態とされる(
図20参照)。これにより、
図23に示すように、下側ケース170と一対の樹脂プロテクタ130A、130Bとが一体化される。
【0126】
この時、下側ケース170は、樹脂プロテクタ130に対し、前後方向(X軸方向)において移動可能なクリアランスを有している。すなわち、
図21に示すように、スリット143のX軸方向の幅は係止片183のX軸方向の幅よりも大きく設定されているから、下側ケース170は樹脂プロテクタ130に対して、連結ユニット131の連結方向(X軸方向)に沿った方向に上記クリアランスの範囲内で移動可能に取り付けられている。
【0127】
上述したように、樹脂プロテクタ130と下側ケース170とを組み付ける一方、
図22に示すように、複数の電圧検知バスバー150の接続片154を一体化した位置決め部材185を、検出回路基板190の下方側から重ね合わせる。そして、電圧検知バスバー150の接続部158を検出回路基板190の所定の貫通孔191に貫通させ、はんだ付けを行うことにより、電圧検知バスバー150と検出回路基板190とを接続する(
図23参照)。
【0128】
次に、このようにして検出回路基板190と一体化され、接続された電圧検知バスバー150の本体部151を、下側ケース170と一体化された樹脂プロテクタ130(連結ユニット131)の複数のバスバー保持部132のうち、所定のバスバー保持部132内に上方から収容して、バスバー21に重ね合わせる。この時、
図24に示すように、電圧検知バスバー150の接続片154の基端部155および公差吸収部156の一部は、内側壁135と支持壁144との間に形成された隙間S1内に収容する。
【0129】
一方、電圧検知バスバー150の本体部151は、圧接片153により外側壁136の内面に圧接しつつバスバー保持部132内に収容される。またこの時、本体部151は、その下面によりバスバー保持部132の保持片140を弾性変形させつつ挿入され、保持片140の下端を通過したところで、弾性復帰した保持片140により上方側への抜け止めがなされる。このように、電圧検知バスバー150の本体部151は、バスバー21に重ねられた状態において、安定した抜け止め状態とされる(
図19参照)。
【0130】
また、電圧検知バスバー150がバスバー21に重ね合わされた状態において、電圧検知バスバー150の接続片154は、その公差吸収部156が支持壁144により内側壁135の内面に沿った状態とされるとともに、引出部157が被挟持部142の上面に重ね合わされた状態とされている(
図24参照)。
【0131】
また、検出回路基板190の下面に設けられたコネクタ部192は、下側ケース170の窪み部172の上面に重ね合わされるとともに、位置決め部材185が窪み部172の両側に重ね合わされる。これにより、検出回路基板190が下側ケース170の底部171に載置された状態とされる(
図25参照)。
【0132】
次に、検出回路基板190の上方から上側ケース162を近づけ、下側ケース170に組み付ける。具体的には、上側ケース162の係止片167を下側ケース170の係止突部176に係止させることにより、上側ケース162と下側ケース170とが一体化され、検出回路基板190が内部に収容された電子制御ユニット160が完成する。また、樹脂プロテクタ130と電子制御ユニット160とが一体化された電池配線モジュール120が完成する(
図15参照)。
【0133】
なおこの時、電子制御ユニット160は、上述したように、下側ケース170が樹脂プロテクタ130に対し、前後方向(X軸方向)において移動可能なクリアランスを有しているから、上記クリアランスの範囲内で前後方向に相対的に移動可能に取り付けられている。
【0134】
次に、電極12を上に向けた状態で並べられた単電池群10の上面10Aに、ガス排出部16を覆うようにダクト195を配し、上方側から電池配線モジュール120を取り付ける。具体的には、電池配線モジュール120をダクト195の上方側から近づけ、下側ケース170の第1固定部173の固定孔174内にダクト195の取付突部199を貫通させる。また同時に、バスバー21および電圧検知バスバー150の端子貫通孔22および端子挿通孔152内に電極ポスト14を貫通させる。そして、取付突部199および電極ポスト14にナット18を螺合させることにより、ケース161とダクト195を固定するとともに隣り合う正極および負極の電極12を接続させて、電池モジュールが完成する。
【0135】
(本実施形態の作用、効果)
以下、本実施形態の作用および効果について説明する。
【0136】
本実施形態の電池配線モジュール120によれば、電子制御ユニット160は、下側ケース170の係止片183が樹脂プロテクタ130(連結ユニット131)のスリット143に対してクリアランスを有しており、単電池11の並び方向について移動可能に一体的に取り付けられている。したがって、樹脂プロテクタ130は電子制御ユニット160に移動を規制されることなく、単電池群10に対して公差吸収可能に取り付け可能である。
【0137】
また、電圧検知バスバー150と電子制御ユニット160との接続を、電圧検知バスバー150に一体に設けられた接続片154により行う構成であるが、接続片154は、単電池11の並び方向について公差吸収可能な公差吸収部156を有しているから、電圧検知バスバー150および電子制御ユニット160の相対的な移動が接続片154によって規制されることがない。
【0138】
また、公差吸収部156は、本体部151とともに板材を打ち抜き加工することにより形成される構成であるから、容易に製造可能である。
【0139】
さらに、複数の電圧検知バスバー150は、接続片154を所定位置に並べて保持可能な位置決め部材185によって検出回路基板190に対して一括に取り付けられる構成であるから、組み立て作業性に優れる電池配線モジュール120を得ることができる。
【0140】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0141】
(1)上記実施形態では、電子制御ユニット60、160および樹脂プロテクタ30、130を係止片64、183および係止孔44、スリット143により係止する構成を示したが、係止手段は上記実施形態に限るものではない。
【0142】
(2)また上記実施形態では、電子制御ユニット60、160のケース61、161に係止片64、183を設け、樹脂プロテクタ30、130に係止孔44、スリット143を設ける構成としたが、ケース61、161に係止孔またはスリットを設け、樹脂プロテクタ30、130に係止片を設ける構成としてもよい。
【0143】
(3)上記実施形態では、ダクト70,80を一体に備える電池配線モジュール20,100を示したが、ダクトは必ずしも備えなくてもよい。あるいは、
図26に示すように、ダクト80を予め単電池群10側に取り付けておき、電池配線モジュール110を、ダクト80が取り付けられた状態の単電池群10に取り付ける構成としてもよい。
【0144】
(4)上記実施形態3では、電圧検知バスバー150の公差吸収部156は2つの屈曲部を有して略Z形状に打ち抜かれた板材からなる構成としたが、公差吸収部156の形態は上記実施形態に限るものではなく、適宜変更することができる。
【0145】
(5)上記実施形態3では、複数の電圧検知バスバー150の接続片154を位置決め部材185と一体的に形成し、検出回路基板190に一括に取り付ける構成としたが、位置決め部材185は必ずしも必要ではなく、ひとつずつ別個に取り付ける構成とすることもできる。