(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6198082
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】アレルギーを抑制する海ブドウ抽出物、その調製方法及び応用
(51)【国際特許分類】
A61K 36/05 20060101AFI20170911BHJP
A61K 8/97 20170101ALI20170911BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20170911BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20170911BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20170911BHJP
A61Q 1/04 20060101ALI20170911BHJP
A61Q 1/10 20060101ALI20170911BHJP
A61Q 1/12 20060101ALI20170911BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20170911BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20170911BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20170911BHJP
【FI】
A61K36/05
A61K8/97
A61Q5/02
A61Q5/12
A61Q1/00
A61Q1/04
A61Q1/10
A61Q1/12
A61Q1/14
A61P37/08
A23L33/105
【請求項の数】16
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-9799(P2016-9799)
(22)【出願日】2016年1月21日
(65)【公開番号】特開2017-128540(P2017-128540A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2016年1月21日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 [掲載日] 2015年7月23日 [掲載アドレス] https://www.facebook.com/eastgreentw [掲載アドレス] http://www.bioclub.com.tw/visitorProductDetail.asp?no=3475 (刊行物等) [博覧会名] 台北国際美容健康・美容医療展示会(台湾) [開催日] 2015年7月23日〜2015年7月26日まで
(73)【特許権者】
【識別番号】517279768
【氏名又は名称】妍禾生醫科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼▲ユ▼林
(72)【発明者】
【氏名】▲頼▼惠敏
(72)【発明者】
【氏名】李宗翰
(72)【発明者】
【氏名】謝威永
(72)【発明者】
【氏名】沈▲繍▼慈
(72)【発明者】
【氏名】李▲増▼澎
【審査官】
渡邊 倫子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−139116(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第2015−0129492(KR,A)
【文献】
特開2004−010559(JP,A)
【文献】
特開2005−139074(JP,A)
【文献】
特開2011−012040(JP,A)
【文献】
特開2009−051791(JP,A)
【文献】
Biosci Biotechnol Biochem., Vol.76 No.3, 2012, p.501-505
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00
A61K 8/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステップ1:海ブドウに純水を加えて粉砕してスラリー化するが、このときの海ブドウと純水の重量比は、海ブドウ1に対して純水1〜20の割合で、均一に混和してスラリー状の海ブドウを得、
ステップ2:スラリー状の海ブドウを継続して攪拌し、攪拌の温度は20〜100℃、攪拌する時間は30〜120分間とし、
ステップ3:一回目のろ過を行い、一回目のろ過を経て液体の海ブドウ抽出物を得る、という手順で行う、アレルギー抑制用海ブドウ抽出物の抽出方法。
【請求項2】
ステップ1における海ブドウは、生の海ブドウ、乾燥海ブドウまたは粉末状海ブドウである、請求項1に記載の海ブドウ抽出物の抽出方法。
【請求項3】
ステップ2において、攪拌の温度が60〜90℃である、請求項1に記載の海ブドウ抽出物の抽出方法。
【請求項4】
ステップ2において、攪拌の温度は、85℃である、請求項1に記載の海ブドウ抽出物の抽出方法。
【請求項5】
ステップ2において、攪拌する時間が60〜105分間である、請求項1に記載の海ブドウ抽出物の抽出方法。
【請求項6】
ステップ2において、攪拌する時間は、90分間である、請求項1に記載の海ブドウ抽出物の抽出方法。
【請求項7】
ステップ3における一回目のろ過は5μm及び1μmのフィルターを用いて行なう、請求項1に記載の海ブドウ抽出物の抽出方法。
【請求項8】
ステップ3において、一回目のろ過の後、さらに二回目のろ過を行い、この二回目のろ過は薄膜ろ過とする、請求項1に記載の海ブドウ抽出物の抽出方法。
【請求項9】
この薄膜ろ過処理の第1層薄膜はEW膜、第2層薄膜はPW膜、第3層薄膜はDK膜である、請求項8に記載の海ブドウ抽出物の抽出方法。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのうち、いずれかの海ブドウ抽出物の抽出方法によって得た、アレルギー抑制用海ブドウ抽出物。
【請求項11】
請求項10に記載のアレルギー抑制用海ブドウ抽出物の有効量、及び化粧品学上、食品学上または薬学上、許容可能な賦形剤を含む化粧品、食品または医薬組成物。
【請求項12】
この海ブドウ抽出物の有効量が1mg/ml以上である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
この海ブドウ抽出物の有効量が4mg/mlである、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
請求項11に記載の組成物である化粧品組成物の存在形態が、クリーム、多相エマルジョン、無水組成物、水性分散液、オイル、ミルク、バルサム、フォーム、ローション、ジェル、クリームジェル、水性アルコール溶液、水性グリコール溶液(hydroglycolic solution)、ヒドロゲル、リニメント、血清(Sera)、石鹸、シャンプー、コンディショナー、血清(Serums)、軟膏、ムース、ポマード、粉末、バー型、ペンシル型、スプレー、エアロゾル、カプセル、ゼラチンカプセル、軟カプセル、硬カプセル、錠剤、糖衣錠、顆粒、咀嚼錠、溶液、懸濁液、乳液、シロップ、莢膜多糖、ゼリー及びゼラチンから成る調合物の群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
請求項11に記載の組成物である化粧品組成物が、コンシーラー、メークアップファンデーション、メークアップリムーバルローション、メークアップリムーバルミルク、アイシャドー、口紅、リッププロテクター、リップグロス及びパウダーといった製品の中に組み込まれている、請求項11に記載の組成物。
【請求項16】
請求項14に記載の組成物であるシャンプーの成分配合が、界面活性剤10〜50%、エモリエント剤0.3〜2%、海ブドウ抽出物0.01〜0.1%、増粘剤0〜2%、フレグランス0.1〜1%、防腐剤0.3〜1%、その他は水とする、請求項14に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海ブドウ抽出物、特にアレルギーを抑制し、アレルギーを起こさせない海ブドウ抽出物、その調製方法及び応用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アレルギーは、人体の免疫系異常により、環境中の物質(アレルゲンともいう)に対して過度に反応する現象であり、身体に侵入したアレルゲンはIgE抗体と結合する。このとき、肥満細胞が刺激されてヒスタミンなどの炎症性物質を放出し、身体組織に炎症反応を起こさせる。アレルギーの症状はヒスタミンが放出される身体の部位によって異なり、鼻水、涙、かゆみ、呼吸困難、皮膚のカサカサ感といった症状があり、重大な場合にはショックにより死に至ることもある。アレルギー体質の人にアレルギーが起きると、通常は抗ヒスタミンなどの薬物を用いてアレルギーの症状を緩和させるのだが、アレルギーの薬は一般的に一定の副作用をともなうことから、天然の植物または植物から抽出したアレルギー抑制成分を用いてアレルギー活性を抑制することに、多くの人が関心を寄せている。
【0003】
海ブドウは緑藻に属しており、海藻抽出多糖類を豊富に含むのみならず、ゼロ脂肪、低カロリーで、そのプチプチした食感はキャビアを連想させ、日本人や専門家の間では最適のナチュラルな保健用食品と見られており、日本料理の高級食材でもある。海ブドウに含まれる大量の微量元素は抗加齢の効能があるため、海ブドウ抽出物は世界化粧品協会から、合法的に使用可能な化粧品原料に指定されている。
【0004】
過去においては、海ブドウ抽出技術のほとんどは、アルコールまたは他の有機溶剤で抽出しており、台湾特許番号I484966の海ブドウ抽出物の抽出方法によると、海ブドウの粉をアルコールで粗抽出し、さらにヘキサン、エチルアセテートで中の有効成分を分離するもので、この有効成分は抗腫瘍の働きをもつ。韓国特許番号KR101252149においては、水及びC1-C4アルコールで海ブドウ抽出物を調製しており、この抽出物は抗酸化、抗炎症、保湿といった効果をもつ。従来の技術で得た海ブドウ抽出物はいずれもアレルギー抑制の効果は具備しておらず、しかも有機溶剤で海ブドウ抽出物を抽出しているので、少量の残留有機溶剤が人体に危害をもたらさないとも限らない。
【0005】
従来の海ブドウ抽出技術は、ほとんどが有機溶剤を用いており、少量の残留有機溶剤が人体の健康に危害をもたらす可能性があり、溶剤によって化学極性が異なるので、抽出能力も異なってくる。有機溶剤を用いないという前提のもとに、アレルギー防止の効能をもつ海ブドウ抽出物をいかにして抽出するか、というのが本発明が解決しようとする重要課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の技術の不備と欠点を踏まえ、本発明は天然物で安全な海ブドウ抽出物を提供し、有機溶剤で抽出するのではなく、特定の温度と時間のもとに、水で海ブドウを抽出して、さらに薄膜ろ過して、海ブドウの中にあってアレルギーを抑制する活性成分を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は海ブドウ抽出物の抽出方法を提供することであり、
ステップ1:海ブドウに純水を加えて粉砕してスラリー化するが、このときの海ブドウと純水の重量比は、海ブドウ1に対して純水1〜20の割合で、均一に混和してスラリー状の海ブドウを得る、
ステップ2:スラリー状の海ブドウを継続して攪拌し、攪拌の温度は20〜100℃、攪拌する時間は30〜120分間とする、
ステップ3:一回目のろ過を行い、一回目のろ過を経て液体の海ブドウ抽出物を得る、
という手順を含む。
【0008】
前記の目的を達成するため、ステップ1における海ブドウは、生の海ブドウ、乾燥海ブドウ、または粉末状海ブドウとする。
【0009】
前記の目的を達成するため、ステップ2においては、攪拌の温度は60〜90℃、理想的には85℃、そして攪拌する時間は60〜105分間、理想的には90分間とする。
【0010】
前記の目的を達成するため、ステップ3における一回目のろ過は5μm及び1μmのフィルターを用いる。
【0011】
前記の目的を達成するため、一回目のろ過の後、さらに二回目のろ過を行い、この二回目のろ過は薄膜ろ過とし、この薄膜ろ過処理の第1層薄膜はGE社製EW膜、第2層薄膜はGE社製PW膜、第3層薄膜はGE社製DK膜とする。
【0012】
本発明のもうひとつの目的は、アレルギーを抑制する海ブドウ抽出物を得ることであり、前記の海ブドウ抽出物の抽出方法によって得られる。
【0013】
本発明のもうひとつの目的は、有効量のアレルギー防止海ブドウ抽出物、及び化粧品学上、食品学上、または薬学上、許容可能な賦形剤を含む組成物を得ることであり、この組成物は、化粧品組成物、食品組成物または医薬組成物である。
【0014】
前記の目的を達成するため、海ブドウ抽出物の有効量は1mg/ml以上、理想的には、海ブドウ抽出物の有効量は4mg/mlとする。
【0015】
前記の目的を達成するため、この化粧品組成物の存在形態は、クリーム、多相エマルジョン、無水組成物、水性分散液、オイル、ミルク、バルサム、フォーム、ローション、ジェル、クリームジェル、水性アルコール溶液、水性グリコール溶液(hydroglycolic solution)、ヒドロゲル、リニメント、血清(Sera)、石鹸、シャンプー、コンディショナー、血清(Serums)、軟膏、ムース、ポマード、粉末、バー型、ペンシル型、スプレー、エアロゾル、カプセル、ゼラチンカプセル、軟カプセル、硬カプセル、錠剤、糖衣錠、顆粒、咀嚼錠、溶液、懸濁液、乳液、シロップ、莢膜多糖、ゼリー及びゼラチンから成る調合物の群から選択されるものとする。
【0016】
前記の目的を達しするため、この化粧品組成物は、コンシーラー、メークアップファンデーション、メークアップリムーバルローション、メークアップリムーバルミルク、アイシャドー、口紅、リッププロテクター、リップグロス及びパウダーといった製品に組み込んでもよい。
【0017】
前記の目的を達成するため、このシャンプーの成分配合は、界面活性剤10〜50%、エモリエント剤0.3〜2%、海ブドウ抽出物0.01〜0.1%、増粘剤0〜2%、フレグランス0.1〜1%、防腐剤0.3〜1%、その他は水とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】アレルギー誘導反応の結果、細胞がカルシウムイオノフォアA23187に刺激されて脱顆粒化し、β- hexosaminidaseを放出するとき、海ブドウ抽出物がβ- hexosaminidase放出量に与える影響
【発明を実施するための形態】
【0019】
本文書に用いる技術的、科学的用語は、別途定義されている場合を除き、その用語が属する分野で通常の技能を有する者が共有する認識に基づいて解釈する。
以下、実施例を挙げて本発明の詳細説明を行うが、以下の実施例をもって本発明に制限を加えるべきではない。
【0020】
実施例1
一、海ブドウ抽出物調製方法(I)
海ブドウの乾燥粉80gと純水1600gを取り、海ブドウの乾燥粉はクビレズタ(Caulerpa lentillifera)のものを用い、粉砕して均一になるまで混合し(温度約85℃、時間約90分間)、その後、5μm及び1μmのフィルターでろ過し、液体の海ブドウ抽出物(I)を得てから、さらに薄膜ろ過を行う。第1層薄膜はGE社製EW膜を用い、この精密フィルター(Microfiltration)で大き目の雑質を除去し、第2層薄膜はGE社製PW膜を用い、この限外フィルター(Ultrafiltration)で微細な雑質を除去し、第3層薄膜はGE社製DK膜を用い、このナノフィルター(Nanofiltration)で塩を除去し、薄膜ろ過後に冷凍乾燥して、海ブドウエキス(I)を得る。前記のクビレズタは、イチイヅタ(Caulerpa taxifolia)など、他の種類の海ブドウに置き換えてもよい。
【0021】
二、海ブドウ抽出物(I)はアレルギーを引き起こさない
細胞には刺激剤(A23187(-))を用いず、海ブドウ抽出物(I)と海ブドウエキス(I)のみを加えてβ- hexosaminidaseの放出を観察する(
図1)。海ブドウ抽出物(I)の単独使用、海ブドウエキス(I)の単独使用と、対照群とを比較すると、海ブドウ抽出物(I)と海ブドウエキス(I)の単独使用では、β- hexosaminidaseの放出は増加しておらず、海ブドウ抽出物(I)と海ブドウエキス(I)そのものはアレルギーを引き起こさないことがわかる。
【0022】
三、アレルギー誘導実験
カルシウムイオノフォアA23187に刺激された細胞がアレルギー反応媒体のβ-hexosaminidase(β-ヘキソサミニダーゼ)を放出するとき、β-hexosaminidaseの濃度を酵素免疫測定法(enzyme-linked immunosorbent assay、ELISA)で測定した
図1の対照群の結果から、A23187の刺激はβ-hexosaminidase放出を誘導するのがわかる。
【0023】
四、海ブドウ抽出物(I)のアレルギー抑制
図2の結果によると、海ブドウ抽出物(I)はA23187の刺激(A23187(+)群)に誘導されたβ-hexosaminidaseの放出を抑制しており、海ブドウ抽出物(I)濃度2mg/mlのときはβ-hexosaminidase放出を8%抑え、海ブドウ抽出物(I)濃度4mg/mlのときはβ-hexosaminidase放出を25%抑えた。β-hexosaminidase放出に対する海ブドウエキス(I)の抑制効果はより顕著であり、海ブドウエキス(I)濃度1mg/mlのときはβ-hexosaminidase放出を45%抑制し、海ブドウエキス(I)濃度4mg/mlのときはβ-hexosaminidase放出を82%抑制しており、しかも細胞生存率に対する影響もなかった(
図1)。
【0024】
五、海ブドウエキス(I)の化粧品への応用
一定量の純水を50〜60℃に加熱し、順次、界面活性剤を加え、攪拌して均一になるまで混合する。加熱を停止し、温度が20℃まで下がってから、海ブドウエキス(I)、オレンジ精油、アニス酸ナトリウムを加え、攪拌して均一になるまで混合し、海ブドウエキス(I)を含むムースシャンプーを得る。ムースシャンプーの配合比率は表1のとおりである。
表1、海ブドウエキス(I)を含むムースシャンプー配合比率
【0025】
六、海ブドウ抽出物(I)入り化粧品の臨床試験
米国食品薬品管理局(Food and Drug Administration、FDA)認証ラボであるAMA Laboratories Inc.に対し、海ブドウエキス(I)を含むムースシャンプー(配合は表1参照)の皮膚刺激性とアレルギー反応の臨床試験を依頼した。この臨床試験は、被験者52人、臨床試験を最後まで行った被験者50人、被験者の年齢範囲20-68歳で、性別、人種は表2に示してある。
【0026】
表2、海ブドウエキス(I)を含むムースシャンプー治験の被験者統計資料
【0027】
臨床試験方法としては、表1に示すムースシャンプーを水で10倍に希釈し、希釈ムースシャンプー0.2mlを取って半通気性のある低アレルギー性の絆創膏に施し、被験者の背中の肩甲骨下側の皮膚、中心線の右側または左側に貼り、貼付した部分を湿らせたり直射日光に当てたりしないよう被験者に指示し、24時間後に被験者は自宅で絆創膏を剥がし、毎週月水金、連続三週間、この手順を繰り返して、合計9回の貼付を行い、不良反応が出れば、赤く腫れたり、水腫の出た範囲を測定した。この結果が表3に示されており、臨床試験を終えた被験者50人は、海ブドウエキス(I)を含むムースシャンプーに対し、いずれもアレルギー反応を示しておらず、この海ブドウエキス(I)を含むムースシャンプーは皮膚刺激性がなく、アレルギーを引き起こさないことを示している。
【0028】
表3、海ブドウエキス(I)を含むムースシャンプーの臨床試験結果
C:白人、H:ヒスパニック系、A:アジア系、F:女性、M:男性、0:反応無し、Dc:中途辞退
【0029】
実施例2
生の海ブドウ1.5kgと純水1.5kgを取り、海ブドウはクビレズタ(Caulerpa lentillifera)を用い、粉砕して均一になるまで混合し(温度約85℃、時間約30分間)、その後、5μm及び1μmのフィルターでろ過し、液体の海ブドウ抽出物(II)を得てから、さらに薄膜ろ過を行う。第1層薄膜はGE社製EW膜を用い、この精密フィルター(Microfiltration)で大き目の雑質を除去し、第2層薄膜はGE社製PW膜を用い、この限外フィルター(Ultrafiltration)で微細な雑質を除去し、第3層薄膜はGE社製DK膜を用い、このナノフィルター(Nanofiltration)で塩を除去し、薄膜ろ過後に冷凍乾燥して、海ブドウエキス(II)を得る。前記のクビレズタは、イチイヅタ(Caulerpa taxifolia)など、他の種類の海ブドウに置き換えてもよい
【0030】
図3の結果によると、海ブドウエキス(II)はA23187の刺激(A23187(+)群)に誘導されたβ-hexosaminidaseの放出を抑制しており、海ブドウエキス(II)濃度1mg/mlのときはβ-hexosaminidase放出を40%抑制し、海ブドウエキス(II)濃度2mg/mlのときはβ-hexosaminidase放出を60%抑制し、海ブドウエキス(II)濃度4mg/mlのときはβ-hexosaminidase放出を80%抑制している。
【0031】
実施例3
生の海ブドウ1.5kgと純水1.5kgを取り、海ブドウの乾燥粉はクビレズタ(Caulerpa lentillifera)のものを用い、粉砕して均一になるまで混合し(温度約25℃、時間約60分間)、その後、5μm及び1μmのフィルターでろ過し、海ブドウ抽出物(III)を得てから、さらに薄膜ろ過を行う。第1層薄膜はGE社製EW膜を用い、この精密フィルター(Microfiltration)で大き目の雑質を除去し、第2層薄膜はGE社製PW膜を用い、この限外フィルター(Ultrafiltration)で微細な雑質を除去し、第3層薄膜はGE社製DK膜を用い、このナノフィルター(Nanofiltration)で塩を除去し、薄膜ろ過後に冷凍乾燥して、海ブドウエキス(III)を得る。前記のクビレズタは、イチイヅタ(Caulerpa taxifolia)など、他の種類の海ブドウに置き換えてもよい。
【0032】
図3の結果によると、海ブドウエキス(III)はA23187の刺激(A23187(+)群)に誘導されたβ-hexosaminidaseの放出を抑制しており、海ブドウエキス(III)濃度1mg/mlのときはβ-hexosaminidase放出を33%抑制し、濃度2mg/mlのときはβ-hexosaminidase放出を56%抑制し、濃度4mg/mlのときはβ-hexosaminidase放出を75%抑制している。