【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)刊行物(第35回情報理論とその応用シンポジウム予稿集 発行者:電子情報通信学会 発行日:平成24年12月11日 398〜403頁 「多方向走査型スイッチングメジアンフィルタの画像の均等領域分割による性能評価」)、(2)学会発表(電子情報通信学会 第35回情報理論とその応用シンポジウム 別府湾ロイヤルホテル 発表日:平成24年12月13日 講演番号5.5.2「多方向走査型スイッチングメジアンフィルタの画像の均等領域分割による性能評価」)
【文献】
横山 靖樹,外3名,多方向走査平均処理と2×2雑音検出器を組み合わせたスイッチングメジアンフィルタ Switching Median Filter Using Multi-Direction Scanning 2 * 2 Noise Detector and Averaging Method,電子情報通信学会論文誌 (J95−A) 第10号 THE IEICE TRANSACTIONS ON FUNDAMENTALS OF ELECTRONICS,COMMUNICATIONS AND COMPUTER SCIENCES (JAPANESE,日本,一般社団法人電子情報通信学会 THE INSTITUTE OF ELECTRONICS,INFORMATION AND COMMUNICATION ENGINEERS,2012年10月,第J95-A巻 第10号,pp.737-750
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
入力画像の雑音を除去する処理を行うためのプログラムであって、前記入力画像を分割して複数の分割画像を得る画像分割手段、前記分割画像ごとに雑音検出用の閾値を設定する閾値設定手段、前記分割画像に対して対応する前記雑音検出用の閾値で雑音検出を行うとともに当該雑音検出の結果に応じて復元処理を行う雑音検出復元手段、としてコンピュータを機能させる画像処理プログラムであって、前記閾値設定手段は、前記入力画像からエッジ成分の抽出を行い、前記エッジ成分を処理して前記分割画像ごとのエッジ指標を求め、対応する前記エッジ指標に応じて前記雑音検出用の閾値を前記分割画像ごとに算出することを特徴とする画像処理プログラム。
前記雑音検出復元手段は、所定の走査態様により、雑音検出処理とメジアンフィルタ処理を順次に並行して実行することを特徴とする請求項1に記載の画像処理プログラム。
前記雑音検出復元手段は、相互に異なる複数の走査態様により前記雑音検出処理及び前記メジアンフィルタ処理をそれぞれ実行し、前記複数の走査態様により出力される複数の復元画像データについて、さらに対応画素ごとの平均化処理を行うことを特徴とする請求項2に記載の画像処理プログラム。
入力画像を分割して複数の分割画像を得る画像分割ステップと、前記複数の分割画像ごとに雑音検出用の閾値を設定する閾値設定ステップと、前記分割画像に対して対応する前記雑音検出用の閾値で雑音検出を行うとともに当該雑音検出の結果に応じて復元処理を行う雑音検出復元ステップと、を具備する画像処理方法であって、前記閾値設定ステップは、前記入力画像からエッジ成分の抽出を行い、前記エッジ成分を処理して前記分割画像ごとのエッジ指標を求め、対応する前記エッジ指標に応じて前記雑音検出用の閾値を前記分割画像ごとに算出することを特徴とする画像処理方法。
入力画像を分割して複数の分割画像を得る画像分割器と、前記分割画像ごとに雑音検出用の閾値を設定する閾値設定器と、前記雑音検出用の閾値に基づいて前記分割画像ごとに雑音検出を行うとともに当該雑音検出の結果に応じて復元処理を行う雑音検出復元器と、を具備する画像処理装置であって、前記閾値設定器は、前記入力画像からエッジ成分の抽出を行い、前記エッジ成分を処理して前記分割画像ごとのエッジ指標を求め、対応する前記エッジ指標に応じて前記雑音検出用の閾値を前記分割画像ごとに算出することを特徴とする画像処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の画像処理装置は、入力画像データ全体にメジアンフィルタを適用し、インパルス性雑音を除去すると同時に雑音でない部分も劣化させる傾向にあった。また、画像の形状的な特徴であるエッジやライン部分を考慮していないためそれらを劣化させていた。
【0009】
本発明は、これらの問題点を補うもので、インパルス性雑音を画像の形状的な特徴を損なうことなしに復元することができる画像処理プログラム、画像処理方法及び画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の画像処理プログラムは、入力画像の雑音を除去する処理を行うためのプログラムであって、前記入力画像を分割して複数の分割画像を得る画像分割手段、前記分割画像ごとに雑音検出用の閾値を設定する閾値設定手段、前記分割画像に対して対応する前記雑音検出用の閾値で雑音検出を行うとともに当該雑音検出の結果に応じて復元処理を行う雑音検出復元手段、としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の画像処理方法は、入力画像を分割して複数の分割画像を得る画像分割ステップと、前記複数の分割画像ごとに雑音検出用の閾値を設定する閾値設定ステップと、前記分割画像に対して対応する前記雑音検出用の閾値で雑音検出を行うとともに当該雑音検出の結果に応じて復元処理を行う雑音検出復元ステップと、を具備することを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明の画像処理装置は、入力画像を分割して複数の分割画像を得る画像分割器と、前記分割画像ごとに雑音検出用の閾値を設定する閾値設定器と、前記雑音検出用の閾値に基づいて前記分割画像ごとに雑音検出を行うとともに当該雑音検出の結果に応じて復元処理を行う雑音検出復元器と、を具備することを特徴とする。
【0013】
上記各発明において、前記入力画像の分割に際しては、前記入力画像を面積的に均等に分割することが好ましい。さらに、前記入力画像の分割数は任意であるが、特に、前記入力画像を平面的に均等に分割する上では縦横をそれぞれ2分割して合計4分割とするか、或いは、この4分割した個々の領域をさらに何回か再帰的に同様に4分割していく(すなわち、16分割、64分割・・・)ことが好ましい。これは、コンピュータの分散処理に適しているため、処理速度の高速化を図ることができるからである。特に、複数のコア(CPU)を備えたコンピュータ等では分散処理の効率化を図ることができ、効果的である。
【0014】
また、前記閾値設定手段(閾値設定ステップ、閾値設定器)は、前記入力画像からエッジ成分を抽出し、前記エッジ成分を処理して前記分割画像ごとにエッジ指標を求め、前記エッジ指標に基づいて雑音検出用の閾値を算出することが好ましい。ここで、前記エッジ成分の抽出及び処理に際しては、前記エッジ指標はエッジ数やエッジ強度と相関のある指標であればよく、特に限定されない。ただし、エッジ成分の抽出の適格性と抽出処理の容易性を考慮すると、前記エッジ指標は、選択入力や入力画像からの算出処理により設定されたエッジ判定用の閾値により、前記エッジ強度を多値化したデータであることが好ましい。ここで、エッジ判定用の閾値は、前記入力画像の濃度値と相関を示す値であることが好ましく、例えば、平均濃度の関数などが考えられる。
【0015】
さらに、前記雑音検出用の閾値の設定に際しては、例えば、コンピュータ操作者による選択操作や入力操作を受け、その選択入力により設定するものでもよい。また、当該閾値を算出する場合には、前記雑音検出用の閾値を、前記エッジ成分としての、抽出されたエッジ数(密度)やエッジ強度と正の相関を有する値とすることが好ましい。これは、一般に、前記エッジ成分が多い(強い)前記分割画像では閾値を高めに設定しないと画像復元時に入力画像を劣化させる虞があり、前記エッジ成分が少ない(弱い)前記分割画像では閾値を低めに設定しないと雑音検出時の検出感度が低くなり雑音除去性能が低下する虞があるからである。なお、雑音検出用の閾値は、上記エッジ判定用の閾値と同様に、1つのみでもよく、複数設けてもよい。一般に、雑音検出用の閾値がn個(nは自然数)設けられる場合には、上記計算した値はn+1個に多値化される。
【0016】
前記雑音検出に際しては、処理対象画素とその近傍画素から計算した値と、前記雑音検出用の閾値とを比較することにより、処理対象画素がインパルス性雑音か否かを判定することが好ましい。インパルス性雑音を検出するためには、例えば、上記雑音検出用の閾値に対する、処理対象画素と、近傍画素(例えば、周囲に隣接する画素)との間の濃度差の大小を判定要素とする場合が考えられる。複数の近傍画素を用いる場合には、濃度差に平均化等の処理を施した上で上記雑音検出用の閾値と比較する。ただし、上記の計算した値は特に限定されず、例えば、上記の計算した値として、例えば、処理対象画素と、α−trimmed meanフィルタの値との差分値を用い、この差分値を上記雑音検出用の閾値と比較してもよい。
【0017】
前記復元処理に際しては、上記雑音検出によって処理対象画素が雑音と判定された場合にその画素値をメジアンフィルタで復元する方法を用いることができる。ただし、復元処理としては、平均値フィルタ、方向性差分フィルタなど、他の方法を用いることもできる。なお、インパルス性雑音を除去する場合には、メジアンフィルタが好ましく、ガウス分布雑音の場合には平均値フィルタが好ましい。また、メジアンフィルタを用いる場合には、異なる走査方向で得られた複数の復元画像データのそれぞれの対応画素を平均化処理して最終的な復元画像データを算出する、多方向走査型スイッチングメジアンフィルタを用いることが望ましい。なお、上記雑音検出の結果がn個の閾値によりn+1個に多値化されたときに、nが2以上である場合には、当該結果の値に応じて、2種類以上の画像復元処理から選択した処理を施すようにしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、処理対象の画像データから雑音を検出し、原画像を最も良好に復元することができる。特に、入力画像の各部の特徴に応じてより的確な雑音検出を行うことができるため、場所によって態様(特徴)が変化する画像についても高品位の出力画像を得ることができる点で有効である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の画像処理プログラムの一実施形態の各処理手段を示すブロック図である。
【
図2】
図1中の「エッジ抽出器と画像分割器および閾値算出器」を構成する処理手段の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図1中の「インパルス性雑音検出器と復元器」を構成する処理手段の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図2の「エッジ抽出器と画像分割器および閾値算出器」による動作説明用フローチャートである。
【
図5】
図3の「インパルス性雑音検出器と第1の復元器および第2の復元器(平均化処理)」の動作説明用フローチャートである。
【
図7】
図6の画像にインパルス性雑音を、雑音量10%、濃度0〜255(全濃度階調)で重畳した劣化画像である。(PSNR:18.42)
【
図8】
図7の画像にエッジ検出処理を適用したエッジ強度画像である。
【
図9】
図7のエッジ強度画像に対し、本発明の雑音検出および復元処理を適用した画像の1つである。画像の左上から水平右方向に走査を繰り返したものである。(PSNR:36.05)
【
図10】
図9同様、
図7の画像に対し、本発明の雑音検出および復元処理を適用した画像の1つである。画像の右上から垂直下方向に走査を繰り返したものである。(PSNR:35.57)
【
図11】
図9同様、
図7の画像に対し、本発明の雑音検出および復元処理を適用した画像の1つである。画像の右下から水平左方向に走査を繰り返したものである。(PSNR:36.03)
【
図12】
図9同様、
図7の画像に対し、本発明の雑音検出および復元処理を適用した画像の1つである。画像の左下から垂直上方向に走査を繰り返したものである。(PSNR:35.83)
【
図13】
図9〜12の画像を平均化処理により統合した本発明の雑音除去した出力画像である。(PSNR:37.41)
【
図14】
図7の画像に対するメジアンフィルタの処理結果の画像である。(PSNR:32.95)
【
図15】
図7の画像に対するプログレッシブスイッチングメジアンフィルタの処理結果の画像である。(PSNR:35.75)
【
図16】画像と雑音検出用の閾値との関係を示す説明図である。
【
図17】分割画像の特徴によって雑音検出用の閾値が異なることを示す説明図である。
【
図18】多方向走査型スイッチングMFにおける走査開始位置及び走査方向の態様(a)〜(h)を示す説明図である。
【
図19】本実施形態で用いられる雑音検出方法と復元方法の概要を示す説明図である。
【
図20】本実施形態で用いることのできる雑音検出方法を示す説明図である。
【
図21】本実施形態の多方向走査型メジアンフィルタによる処理を示す説明図である。
【
図22】
図22(a)は原画像の例、
図22(b)は原画像に対して10%のインパルス性雑音を重畳した入力画像の例、
図22(c)は分割なしの場合の出力画像の例を示す画像表示図である。
【
図23】分割数Nvを変えて処理した出力画像の例として、
図23(a)は4分割(=4
1)、
図23(b)は256分割(=4
4)、
図23(c)は16384(=4
7)を示す画像表示図である。
【
図24】従来方法と実施形態の方法の出力画像のPSNRを雑音重畳率別に示すグラフである。
【
図25】画像の分割数NvとPSNRとの関係を雑音重畳率別に示すグラフである。
【
図26】画像の分割数Nvと雑音検出率NDA及び雑音検出の間違い率NDEとの関係を雑音重畳率別に示すグラフである。
【
図27】異なる実施形態の処理手順の全体構成を示す処理ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に本発明に係る画像処理プログラム、画像処理方法及び画像処理装置の実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の画像処理方法を実行する主体として、また、本発明の画像処理装置を構成する実体としてコンピュータを用い、このコンピュータにより本発明の機能実現手段を実現する画像処理プログラムを構成した場合の例である。ただし、本発明は以下の実施形態に限らず、特定の物理的回路構成を有する装置など、上記画像処理方法を実行し、或いは、上記画像処理装置を構成する、種々の態様の装置を包含するものである。
【0021】
図1は本発明に係る画像処理プログラムの一実施形態のブロック図を示す。この実施形態は、インパルス性雑音が重畳された原画像などを入力画像とし、エッジ抽出をするエッジ抽出処理と、入力画像を均等分割して複数の分割画像を生成する画像分割処理と、各分割画像のエッジ強度量をもとに次のインパルス性雑音を検出するときに利用する雑音検出用の閾値を算出する雑音検出用の閾値の算出処理とによって構成される、一連の処理を実行する事前処理器(事前処理手段)10を有する。また、上記雑音検出用の閾値に基づいて、選択した検出方向からインパルス性雑音を検出するインパルス性雑音検出器(インパルス性雑音検出手段)20を有する。さらに、インパルス性雑音と判定された画素の新たなる値を計算するメジアンフィルタによる第1の復元処理を実行する第1の復元器(第1の復元処理手段)30と、各方向からのインパルス性雑音を除去した復元画像の対応画素の平均化処理である第2の復元処理を行なう第2の復元器(第2の復元処理手段)40とを有する。
【0022】
画像分割処理、エッジ抽出処理およびエッジ強度算出処理を実行する上記の事前処理器(事前処理手段)10は、
図2のブロック図に示すように、入力画像からエッジ情報を抽出するエッジ抽出器(エッジ抽出手段)11と、出力されたエッジ画像に対して設定したエッジ判定用の閾値以上のエッジ強度量に相当するエッジ指標(後述するマーク数Em)を算出するエッジ指標処理器(エッジ指標処理手段)12と、原画像を均等分割する画像分割器(画像分割手段)13と、各分割画像からエッジ情報を基にインパルス性雑音かを判定するときの雑音検出用の閾値Dthを算出する閾値算出器14から構成される。上記エッジ指標処理器12では、エッジ抽出器11によって抽出されたエッジ成分(エッジ強度量)をエッジ判定用の閾値Ethにより2値化して入力画像に対応するエッジ抽出画像を構成する。そして、このエッジ抽出画像を上記原画像と同様に上記画像分割器13により分割して、このエッジ抽出画像の分割画像が備えるエッジ指標を上記原画像の分割画像とともに用いて閾値算出器14において雑音検出用の閾値Dthを算出する。なお、エッジ抽出器11とエッジ指標処理器12は、上述のエッジ抽出及びエッジ処理(エッジ抽出処理手段)を構成する。
【0023】
また、
図1のインパルス性雑音検出器20は、インパルス性雑音を検出するときの検出開始位置と検出方向について以下の態様を選択できるように構成される。この態様は、(ア)左上:水平右方向、(イ)右下:水平左方向、(ウ)右上:垂直下方向、(エ)左下:垂直上方向、(オ)右上:水平左方向、(カ)左下:水平右方向、(キ)左上:垂直下方向、(ク)右下:垂直上方向の8通りである。ここで、インパルス性雑音検出器20における検出開始位置と検出方向の態様は、上記の8通りのうちいずれか1通りであってもよいが、本実施形態では、複数の態様を組み合わせて用いる多方向走査型の雑音検出復元器(雑音検出復元手段)を用いている。このときの複数の態様の組み合わせでは、組み合わせる態様の数をさらに選択することができる。この選択のパターンには、例えば、2、4、8があり、2の場合には向かい合う(ア)と(イ)の2つの態様をセットとし、4の場合には(ア)から(エ)の4つの態様をセットとし、8の場合には(ア)から(ク)の8つの態様をセットとする。上記の(ア)〜(ク)の8つの態様は、
図3に示す雑音検出フィルタ21〜28に対応している。これらの雑音検出フィルタ21〜28は本来的には任意の組み合わせで用いることができ、それらの任意の組み合わせは上記のインパルス性雑音検出器20を構成する。
【0024】
また、
図1の第1の復元器(メジアンフィルタ)30は、上記のインパルス性雑音検出器20で処理対象画素がインパルス性雑音と判定された場合の画素濃度値を復元するために
図3に示すメジアンフィルタ31から38を用いる。これらのメジアンフィルタ31〜38は、上記の雑音検出フィルタ21〜28における検出開始位置と検出方向の態様に対応する復元開始位置と復元方向の態様を備えている。ここで、上記の雑音検出フィルタ21〜28と同様に、メジアンフィルタ31〜38は、いずれか一つが用いられてもよく、或いは、任意に選択される複数の組み合わせで用いられてもよい。本実施形態では、相互に一致する検出開始位置及び検出方向と復元開始位置及び復元方向を有する各態様同士の雑音検出フィルタ21〜28とメジアンフィルタ31〜38が組み合わせて用いられる。なお、後述するように、本実施形態では、
図3に示すように、雑音検出フィルタ21〜28による処理が終了した後にメジアンフィルタ31〜38による処理が行われるのではなく、雑音検出フィルタ21〜28とメジアンフィルタ31〜38が順次に並行して適用される。このため、一体の雑音検出復元フィルタが構成される。この雑音検出復元フィルタの走査開始位置と走査方向は、上記の検出開始位置及び検出方向並びに復元開始位置及び復元方向と一致する。
【0025】
また、
図1の第2の復元器(平均化処理)40は、上記の各方向からの復元画像データを平均化処理することで処理対象画素をより適切な濃度値とするための復元器である。なお、インパルス性雑音検出器20、第1の復元器30及び第2の復元器40は、上述の雑音検出復元器(雑音検出復元手段)を構成する。
【0026】
次に、この実施形態の動作について説明する。
図1および
図2に示す事前処理器10は
図4のフローチャートに従い、入力画像のエッジ成分の抽出と、入力画像の分割と、分割画像ごとのエッジ成分に基づく雑音検出用の閾値の算出とを実行する。事前処理器10は、入力画像データが入力されると(ステップ101)、入力された画像データ全体に対して、差分エッジ抽出オペレータによりエッジ抽出処理をし(ステップ102)、このエッジ抽出データに対して、あるエッジ判定用の閾値Eth以上のエッジ強度の位置をマーク用の値として入力する(ステップ103)。
【0027】
ここで、上記の差分エッジ抽出オペレータによるエッジ抽出処理は、一例として以下のように行われる。画像の中の注目している画素の位置を(i,j)としたとき、注目の画素の濃度値をf(i,j)と表す。ここで、f(i,j+1)は注目画素の右隣の画素の濃度値で、f(i+1,j)は注目画素の下隣の画素の濃度値となる。水平方向の隣同士の画素濃度差(濃度差分)を以下の式1の微分値Fxとして計算し、同様に、垂直方向の隣同士の画素濃度差(濃度差分)を以下の式2の微分値Fyとして計算する。
式1(水平方向の濃度差):Fx=f(i,j+1)−f(i,j)
式2(垂直方向の濃度差):Fy=f(i+1,j)−f(i,j)
そして、上記の式1と式2から以下の式3の値Ei(エッジ強度)を本実施形態のエッジ成分として求める。
式3(エッジ強度):Ei=√(Fx
2+Fy
2)
【0028】
上記のエッジ強度Ei(エッジ強度量)は、入力画像の画像データと同じサイズの別のメモリ領域において、配列データとして、入力画像の画素の座標位置[i,j]に関連づけられた(当該座標位置に対応する座標位置を有する)強度データとして記録され、入力画像全体にわたるエッジ強度Eiの分布がエッジ強度画像として保存される。また、上記エッジ強度Eiの値は、エッジ判定用の閾値Ethによって2値化され、例えばエッジ強度Eiがエッジ判定用の閾値Eth以上であれば「1」とし、エッジ強度Eiがエッジ判定用の閾値Eth未満であれば「0」としたデータが上記のエッジ抽出画像として保存される。ここで、エッジ判定用の閾値Ethは、画像データが例えば256階調の濃度データである場合には、多くの場合、30〜50の間の値に設定される。また、このエッジ判定用の閾値Ethを、画像の濃度値の代表値(例えば、平均濃度値)を変数として変化するように予め設定しておいてもよい。さらに、上記の例ではエッジ判定用の閾値Ethを単一とし、エッジ強度Eiを二値化しているが、一般的には、n個(nは自然数)の閾値Ethを設定することにより、エッジ強度Eiを多値化(n+1値化)してもよい。なお、本実施形態では、上記のようにエッジ成分の抽出方法として差分法(微分値)を用いているが、エッジ成分の抽出方法には、差分法の他に、Roberts法、Sobel法、Prewitt法、零交差法などの公知の種々の手法を用いることができる。
【0029】
次に、入力画像データを所定の態様で複数の領域に分割し、複数の分割画像を生成する。また、上記のステップ103で得られたエッジ抽出画像も上記と同じ態様で上記入力画像の分割に対応する複数の領域に分割する。これらの画像の分割態様は特に限定されるものではないが、本実施形態では、元の画像を縦と横にそれぞれ均等2分割することで均等4分割とし、この均等4分割をさらに各分割領域のそれぞれにおいて繰り返し適用するといったように、均等4分割を指定の回数だけ再帰的に繰り返す(ステップ104)。一般的には、任意の分割回数k(kは自然数)とし、分割画像の数Nv=4
kとすることができる。なお、上記の再帰的な分割態様においては、上記4分割に限らず、6分割(例えば、縦と横の一方が2分割、他方が3分割)や9分割(例えば、縦横それぞれ3分割)なども考えられる。また、均等分割に限らず、予め設定された不均等な態様で分割しても構わない。
【0030】
分割画像の数Nvは、入力画像のエッジ強度Eiの分布や濃度分布の状況に応じて設定することができる。例えば、入力画像の縦及び横の寸法が所定の平坦化用の閾値Fth(平坦化領域として許容される濃度差を示す値)を用いて平坦化したときの平坦化領域の平均画素数Npを算出して、分割画像の数をNv=Np/Tp(Tpは全画素数)とすることができる。また、分割画像の数Nvを選択若しくは入力する画面を表示し、予め若しくは分割処理前に、コンピュータの操作者による分割画像の数Nvの選択操作若しくは入力操作(選択入力)を受け入れるように構成してもよい。この場合には、例えば、画面上に分割画像の数Nvに対応する入力画像の分割態様を示すイメージを表示し、このイメージを見ながら分割画像の数Nvをコンピュータ操作者が選択、修正することができるように構成してもよい。
【0031】
上記のステップ104で得られた各分割画像内について、ステップ103で得られたエッジ強度Eiが閾値Ethを上回る数(すなわち、上記エッジ抽出画像における対応する分割領域(画像)内にある上記「1」の画素数)であるマーク数Emを計算する。このマーク数Emは入力画像の各分割画像内のエッジ成分の数及び強度と相関を有するエッジ指標であるので、マーク数Emが多ければ原画像の各画素間の濃度値の変化が大きい傾向を示し、マーク数Emが小さければ原画像の各画素間の濃度値の変化が少ない傾向を示す。なお、上記マーク数Emは、「1」と「0」の2値に限らず、3値以上に多値化された数であってもよい。この場合には、単にエッジの有無だけでなく、エッジ強度Eiの大きさによってマーク数Emが増減するため、よりエッジ成分の状況を正確に反映した指標とすることができる。また、上記のマーク数Emの代わりに、各分割画像中のエッジ数(密度)やエッジ強度Eiの平均値、中央値、合計値などの各種の代表値をエッジ指標としてもよい。
【0032】
次に、上記のように算出されたマーク数Emを用いて、入力画像のインパルス性雑音の検出を行うための雑音検出用の閾値Dthを算出する(ステップ105)。ここで、
図16に示すように、最適な雑音検出用の閾値Dthは処理画像の特徴、例えば、濃度分布やエッジ強度Eiによって異なる。上記マーク数Emが大きい場合には分割画像中のエッジ成分が多いことから、雑音検出用の閾値Dthを大きくしないと本来の画像データを雑音と誤判定しやすくなり、原画像の劣化をもたらす。また、マーク数Emが少なければ、雑音検出用の閾値Dthを小さくしないとインパルス性雑音の検出不良を招き易くなり、雑音除去性能、或いは、原画像への復元性能が低下する。このため、
図17に示すように、各分割画像における雑音検出用の閾値Dthを、その分割画像のマーク数Emと正の相関を有するように設定する。このような設定態様の一例として、例えば、以下の式4では、雑音検出用の閾値Dthをマーク数Emの一次関数とした場合を示す。
式4(雑音検出用の閾値):Dth=α+β・Em
ここで、α及びβは係数(定数)であり、少なくともβ>0である。このようにすれば、雑音検出用の閾値Dthを好適に設定することができる。
【0033】
なお、上記のフローチャートのステップ101から105のうち、エッジ情報の処理を省略し、ステップ104の入力画像の均等分割だけを行い、インパルス性雑音の検出に用いる雑音検出用の閾値Dthを選択若しくは入力する画面を表示し、予め若しくは雑音検出前に、コンピュータの操作者による雑音検出用の閾値Dthの選択操作若しくは入力操作(選択入力)を受け入れるように構成してもよい。例えば、雑音検出用の閾値Dthを、例えば10から80までの範囲内のいずれかの値を選択的に用いてインパルス性雑音の検出を行なうことも可能である。この場合には、例えば、画面上に雑音検出用の閾値Dthに対応する入力画像の雑音態様を示すイメージを表示し、このイメージを見ながら雑音検出用の閾値Dthをコンピュータ操作者が選択、修正することができるように構成してもよい。
【0034】
次に、
図1および
図3に示すインパルス性雑音検出器20、メジアンフィルタによる第1の復元器30および平均化処理による第2の復元器40の動作は、
図5のフローチャートに従う。まず、雑音検出の検出方向の数NDと検出方向の組み合わせ態様を上記の(ア)〜(ク)の中から選択する(ステップ201)。なお、本発明では特に限定されないが、本実施形態では、インパルス性雑音の検出と、メジアンフィルタによる復元処理とを順次に並行して実施するSMF(スイッチングメジアンフィルタ)を用いるため、雑音検出における検出開始位置及び検出方向と、復元処理における復元開始位置及び復元方向とが一致する態様で処理が実行される。このため、上記の(ア)〜(ク)の態様にそのまま対応する
図18に示す走査開始位置及び走査方向の態様(a)〜(h)を用いる。ここで、図示例では、走査方向の数NDが2の場合にはそれぞれ2つの走査態様の組み合わせ(i)〜(l)の4種を選択でき、走査方向の数NDが4の場合にはそれぞれ4つの走査態様の組み合わせ(m)と(n)を選択でき、走査方向の数NDが8の場合には上記走査態様(a)〜(h)の全てが実行される。
【0035】
図19は、本実施形態で用いられる雑音検出方法と復元方法の概要を示す。このとき、走査開始位置は左上であり、走査方向は水平右方向である例を示している。注目画素x(i)は左上から右側へ走査し、右端で次の行に移行する。一例として、注目画素を含めて4つの画素が属する雑音検出ウインドウ(図示実線の枠)により雑音検出する場合について説明する。ここで、雑音検出オペレータは、図示例では、注目画素が1、同じ行で一つ前(左)の画素が−1、一つ前(上)の行の同じ列の画素が−1、一つ前(上)の行の一つ前(左)の画素が1である。したがって、インパルス性雑音検出器20は、入力画像データについて各検出開始位置から選択された方向に従い、処理対象画素の座標を(i,j)とし、その画素の濃度値をF(i,j)としたとき、以下の式5で表される計算値Dcを計算する(ステップ202)
式5(計算値):Dc=F(i−1,j−1)+F(i,j)−F(i−1,j)−F(i,j−1)
なお、上記計算値Dcは、上述の「処理対象画素とその近傍画素から計算した値」に相当する。
【0036】
次に、上述のように算出した計算値Dcを上記雑音検出用の閾値Dthと比較する(ステップ203)。具体的には、上記の単一の閾値Dthとの比較により計算値Dcを2値化する。これにより、各注目画素がインパルス性雑音か否かを検出できる。例えば、計算値Dcが閾値Dth以上のときは「1」、計算値Dcが閾値Dth未満のときは「0」とする。本実施形態では、注目画素において上記比較結果が「1」の場合に当該注目画素がインパルス性雑音と判定する。
図20には、雑音検出ウインドウ内の周辺画素の濃度値から比較対象となる濃度値を導出し、これと注目画素の濃度値との差分を閾値Dthと比較して2値化する例を示している。なお、本実施形態では、雑音検出にしきい値型フィルタを用いているが、そのときの雑音検出ウインドウの態様(ウインドウ内の画素数、ウインドウ形状、範囲など)や比較の態様(周辺画素との比較態様、例えば、周辺画素の濃度情報の求め方)には
図19や
図20に示すように種々のものが考えられる。
【0037】
メジアンフィルタによる第1の復元器30は、上記ステップ203でインパルス性雑音と判定された場合に動作し、処理対象画素の濃度値をメジアンフィルタにより復元する(ステップ204)。また、インパルス性雑音と判定されなかった場合には処理対象画素の濃度値は維持される。このメジアンフィルタによる復元処理は、例えば、
図19の点線の枠で示すメジアンフィルタ適用ウインドウにて行われる。この適用ウインドウには注目画素を含めて9つの画素が属し、これらの9つの画素の濃度値の中央値を注目画素の濃度値に置き換える。このメジアン適用ウインドウの態様(ウインドウ内の画素数、ウインドウ形状、範囲など)や復元の態様(フィルタの種類等)についても、図示例に限らず、種々のものが考えられる。
【0038】
そして、上述の方法で、雑音検出及び復元処理に関し、各分割画像の全画素に対して、上記ステップ202から204までを最後の画素まで行なったかを判定する(ステップ205)。本実施形態では、上記のように走査開始位置及び走査方向の態様(a)〜(h)のうち複数の態様を組み合わせて用いる多方向走査型スイッチングメジアンフィルタ処理(MSSMF法)を採用しているため、
図21に示すように、ステップ202〜205からなる第1の復元器30による処理(図示では第1ステップ)を選択された複数の態様についてそれぞれ実行する。なお、この第1ステップの処理は、入力画像の全体を上記方法の所定の走査開始位置及び走査方向で走査しながら、分割画像の境界を越えたときに雑音検出用の閾値Dthを変更する(切り替える)ようにして行うことができる。ただし、上記第1ステップの処理を、分割画像ごとに所定の走査開始位置及び走査方向で走査しながら行うことも可能である。
【0039】
最後に、平均化処理による第2の復元器40は、各分割画像についてメジアンフィルタである第1の復元器30により復元された走査態様の数ND個の出力データに対して、
図21に示す第2ステップとして、対応画素ごとの平均化処理を行なうことでより良好な復元を行なう(ステップ206)。
【0040】
なお、ステップ203で使用する雑音検出用の閾値Dthを上記のステップ105で算出した閾値の代りに、上記の選択入力による閾値Dthの決定の説明で示した範囲などの適宜に設定した範囲内の全ての閾値の中から、各分割画像において好適な復元結果を選択して一つの出力画像とすることも可能である。ここで、雑音検出用の閾値Dthを好適化する手法としては、原画像と雑音混入画像からなる学習用の画像を用いて学習したファジイ制御器等を用いて、好適な閾値Dthを求めることが考えられる。例えば、上記学習用の雑音混入画像に上記閾値Dthを適用して得た出力画像を上記原画像と比較することにより雑音除去性能を評価し、その評価結果によって閾値Dthの好適化を行う。この雑音除去性能の評価には、例えば、以下の式6のMSE(画素値fを備えた原画像と画素値gを備えた出力画像の平均二乗誤差)などを用いることができる。
式6(MSE):MSE=1/N×Σ[f(i,j)−g(i,j)]
2
なお、このような閾値の好適化の手法は、雑音検出用の閾値Dthだけでなく、上述のエッジ判定用の閾値Ethの好適化にも用いることができる。
【実施例】
【0041】
次に、本発明の実施形態について説明する。
図6はインパルス性の雑音が重畳していないシミュレーション用の原画像である。
図6の画像にインパルス性雑音を、雑音量10%、濃度0〜255(全濃度階調)で重畳した劣化画像が
図7である。ここで、画像の画質を表す指標であるPSNR(Peak Signal to Noise Ratio:単位はdB)値は「PSNR=18.42」である。ただし、このPSNR値は大きな値ほど画質が良好であることを示す。
【0042】
図8は
図7の画像からエッジ成分を上記差分オペレータにより検出処理したエッジ抽出画像の例である。
【0043】
ここで、
図9〜12は本発明の上記走査方向の数NDを4とし、画像の分割数Nvを4とした場合のインパルス性雑音検出器とメジアンフィルタによる復元の途中経過を示す。
図9は
図7の画像に対し、本発明の雑音検出処理と復元処理(第1ステップ)を適用した途中経過の画像の1つで、画像の左上から水平右方向に走査を繰り返したものである。このとき、「PSNR=36.05」であった。
図10も同様に、本発明の雑音検出処理と復元処理(第1ステップ)を適用した途中経過の画像の1つで、画像の右上から垂直下方向に走査を繰り返したものである。このとき、「PSNR=35.57」であった。
図11も同様に、本発明の雑音検出処理と復元処理(第1ステップ)を適用した途中経過の画像の1つで、画像の右下から水平左方向に走査を繰り返したものである。このとき、「PSNR=36.03」であった。
図12も同様に、本発明の雑音検出処理と復元処理(第1ステップ)を適用した途中経過の画像の1つで、画像の左下から垂直上方向に走査を繰り返したものである。このとき、「PSNR=35.83」であった。
【0044】
図13は
図9〜12の画像を平均化処理(第2ステップ)により統合した本発明の雑音除去処理の出力画像である。なお、このとき、PSNR値は「PSNR=37.41」で良好な値となっている。
【0045】
図14は、本発明と比較するために、
図7の画像に対してメジアンフィルタを適用した処理結果の画像である(この画像では、「PSNR=32.95」である。)。また、
図15も本発明と比較するために、
図7の画像に対してプログレッシブ・スイッチングメジアンフィルタを適用した処理結果の画像である(この画像では「PSNR=35.75」である)。
【0046】
本実施形態の方法と、従来のメジアンフィルタおよびプログレッシブ・スイッチングメジアンフィルタとを同一のインパルス性雑音が重畳する画像に適用した結果、本実施形態のPSNR値は、それぞれ従来方法に比べて約「4.5dB」および「1.7dB」だけ改善されることがわかる。
【0047】
図22及び
図23は、本実施形態の多方向走査型スイッチングMFを用いるときに、
図22(a)の原画像に対して10%のインパルス性雑音を重畳した
図22(b)に示す入力画像について、分割数Nvを変えて処理した場合の出力画像の例を示すものである。ここで、
図22(c)は分割なし、
図23(a)は4分割(=4
1)、
図23(b)は256分割(=4
4)、
図23(c)は16384(=4
7)である。これらの出力画像を見ると、分割数Nvを高めるほど出力画像の画質が向上していることがわかる。
【0048】
図24は、いずれもしきい値型のスイッチングMFである、
1.通常のメジアンフィルタ(MF)、
2.「Z.Wang and D.Zhang:"Progressive Switching Median Filter for the Removal of Impulse Noise from Highly Corrupted Images"IEEE Trans.Circuits & Syst.II CAS II Vol.46,No1,pp.78-80, Jan.1999」に記載された方法(PSM)、
3.「S Zhang and MA Karim:"A New Impulse Detector for Switching Median Filters"IEEE Signal Processing Lett,Vol.9,No.11,pp.360-363, Nov.2002」に記載された方法(ANID)、4.「Y Dong, Raymond H Chan, S Xu:"A Universal Denoising Framework With a New Impulse Detector and Nonlocal Means" IEEE Trans. Image Processing, Vol.16, No.6 pp.1112-1120, April.2007」に記載された方法(R‐EPR)
といった従来の方法に加えて、
5.上述の多方向走査型スイッチングメジアンフィルタ(MSSMF法、分割なし)、
6.本実施形態の方法(MSSMF法「256分割」と、MSSMF法「16384分割」)、
による各出力画像のPSNRを入力画像の雑音重畳率別に示すグラフである。この結果によれば、一般には雑音重畳率が低いほど出力画像のPSNRは高くなるが、本実施形態の方法はいずれの雑音重畳率でも良好な結果を示すことがわかる。
【0049】
図25は、画像の分割数NvとPSNRとの関係を雑音重畳率別に示すグラフである。この結果でも、分割数Nvが増加するほどPSNRが良好になることがわかる。なお、このデータは、異なる12種類の画像に対して実施形態を適用した場合の結果の平均値を示すものである。
【0050】
図26は、画像の分割数Nvと雑音検出率NDA及び雑音検出の間違い率NDEとの関係を雑音重畳率別に示すグラフである。この結果では、分割数Nvが増加するほど雑音検出率NDAは雑音重畳率に拘わらず急激に向上することがわかる。また、分割数Nvが増加するほど雑音検出の間違い率NDEも雑音重畳率に拘わらず向上する。
【0051】
図27には、上記実施形態とは異なる実施形態における処理手順を示す。この実施形態では、入力画像の全体に単一の雑音検出用の閾値Dthを用いて(例えば、原画像を劣化させない程度の、或いは、大きな濃度差を有するインパルス性雑音のみを検出する大き目の閾値を用いて)、上記実施形態と同様の多方向走査型スイッチングメジアンフィルタを適用し、暫定的な雑音除去画像を生成する。その後、この暫定的な雑音除去画像に対して、上述のエッジ情報の解析などの画像の特徴の解析処理を実施し、上述と同様に分割画像ごとの雑音検出用の閾値Dth(図示例では9個)を求める。その後、元の入力画像を上記の分割画像ごとの閾値Dthによって多方向走査型メジアンフィルタ処理によって復元する。この方法では、特に、インパルス性雑音の重畳度が高い場合や、インパルス性雑音が原画像の画素値に対して大きな濃度差を有する場合において、予め暫定的な雑音除去画像を生成しておくことにより、上記のエッジ抽出処理により求められるエッジ指標がインパルス性雑音の影響を受けることを抑制できる。このため、インパルス性雑音に影響されずに分割画像ごとの雑音検出用の閾値Dthをさらに的確に設定できることにより、より高い雑音除去性能が実現可能になることが期待される。
【0052】
以上説明したように、本発明に係る各実施形態では、入力画像を分割し、分割画像ごとに雑音検出用の閾値Dthを設定して雑音検出及び雑音除去処理を実行することにより、高品位の出力画像を得ることができる。特に、分割数Nvを増加させることで、出力画像の品位が大幅に向上する。
【0053】
尚、本発明は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態では画像の画素値として濃度値を用いて説明したが、画素値の表現態様は特に限定されず、例えば、カラー画像の場合にはRGB、色相と明度などというように、画素値としての種々の指標を上記濃度値の代わりに用いることができる。
【符号の説明】
【0054】
10 事前処理器
11 エッジ抽出器
12 エッジ処理器
13 画像分割器
14 閾値算出器
20 インパルス性雑音検出器
21 インパルス性雑音検出器(雑音検出フィルタ、検出開始位置:左上、水平右方向)
22 インパルス性雑音検出器(雑音検出フィルタ、検出開始位置:右下、水平左方向)
23 インパルス性雑音検出器(雑音検出フィルタ、検出開始位置:右上、垂直下方向)
24 インパルス性雑音検出器(雑音検出フィルタ、検出開始位置:左下、垂直上方向)
25 インパルス性雑音検出器(雑音検出フィルタ、検出開始位置:右上、水平左方向)
26 インパルス性雑音検出器(雑音検出フィルタ、検出開始位置:左下、水平右方向)
27 インパルス性雑音検出器(雑音検出フィルタ、検出開始位置:左上、垂直下方向)
28 インパルス性雑音検出器(雑音検出フィルタ、検出開始位置:右下、垂直上方向)
30 第1の復元器(メジアンフィルタ)
31 復元器(メジアンフィルタ、復元開始位置:左上、水平右方向)
32 復元器(メジアンフィルタ、復元開始位置:右下、水平左方向)
33 復元器(メジアンフィルタ、復元開始位置:右上、垂直下方向)
34 復元器(メジアンフィルタ、復元開始位置:右下、垂直上方向)
35 復元器(メジアンフィルタ、復元開始位置:右上、水平左方向)
36 復元器(メジアンフィルタ、復元開始位置:左下、水平右方向)
37 復元器(メジアンフィルタ、復元開始位置:左上、垂直下方向)
38 復元器(メジアンフィルタ、復元開始位置:右下、垂直上方向)
40 第2の復元器(平均化処理)