特許第6198167号(P6198167)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6198167
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】圧力解放密閉キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/16 20060101AFI20170911BHJP
【FI】
   B65D51/16 310
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-564456(P2016-564456)
(86)(22)【出願日】2015年5月5日
(65)【公表番号】特表2017-508684(P2017-508684A)
(43)【公表日】2017年3月30日
(86)【国際出願番号】IN2015000192
(87)【国際公開番号】WO2015170337
(87)【国際公開日】20151112
【審査請求日】2016年7月14日
(31)【優先権主張番号】2231/CHE/2014
(32)【優先日】2014年5月5日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】516071572
【氏名又は名称】サンドラム ファスナーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUNDRAM FASTENERS LIMITED
(74)【復代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100099597
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 賢二
(74)【代理人】
【識別番号】100119208
【弁理士】
【氏名又は名称】岩永 勇二
(74)【代理人】
【識別番号】100124235
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100124246
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 和光
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100145171
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】キショル クマル,オトラ ナラシマル
(72)【発明者】
【氏名】パルザサアラティ,ガジェンドラン
(72)【発明者】
【氏名】マノハル レディ,イル
(72)【発明者】
【氏名】クマレサン,ナラヤナスワミ
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭58−005056(JP,Y2)
【文献】 米国特許第3082905(US,A)
【文献】 特開昭63−033267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
B60K 11/00−15/10
F01P 1/00−11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)中央開口部を有し、中空かつ回転可能な筐体に動作可能に接続され、前記筐体との間に介在空間を有する回転プラットフォームと、
(ii)前記プラットフォームの上に配置され、第1の基準部と第2の基準部を含み、前記第1の基準部と前記第2の基準部の間に介在空間を有する傾斜板と、
(iii)近位端と遠位端を有し、前記中央開口部を貫通して配置され、前記遠位端がバルブ手段に接続され、前記バルブ手段を引き上げるように配置された可動プランジャと、
(iv)密閉キャップがタンクに装着された際に前記傾斜板の前記第1の基準部と前記第2の基準部の間に配置されるガイドスタッドを有し、前記プランジャの前記近位端に枢設された可動式圧力解放部材と、を備え、
(v)前記可動式圧力解放部材は、前記密閉キャップが前記タンクから取り外される際に、前記筐体及び前記回転プラットフォームの回転に伴って前記ガイドスタッドと共に前記傾斜板の上を回転し、前記プランジャにより前記バルブ手段を引き上げるように配置されている
ことを特徴とするタンク用圧力解放密閉キャップ。
【請求項2】
複数のラッチが、前記筐体の凹部に対応するように前記プラットフォームの上に配置された請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記傾斜板の前記第1の基準部は、前記回転プラットフォームの表面と略同一平面にある請求項1に記載のキャップ。
【請求項4】
前記第1の基準部と前記第2の基準部の間の前記傾斜板は、周方向に勾配がある請求項1に記載のキャップ。
【請求項5】
前記傾斜板は、金属、合金又はポリマからなる請求項1に記載のキャップ。
【請求項6】
前記可動式圧力解放部材は、レバーである請求項1に記載のキャップ。
【請求項7】
前記ガイドスタッドは、金属、合金又はポリマからなる請求項1に記載の圧力解放キャップ。
【請求項8】
前記筐体を含まない請求項1に記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や発電機の、放熱器のタンク又はサージタンクを塞ぎ、動作中に、タンク内の過剰圧力状態を解放する圧力解放密閉キャップに関する。本発明は、特に、キャップがタンクから完全に取り外される前に、タンク内の過剰圧力を制御しながら解放するように、間接的に作動するように構成された、圧力解放部材を備えた圧力解放密閉キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や発電機のエンジン用の放熱器の冷却水タンク内では、異常な圧力や温度状態が相当に強まることが少なくない。更に、これらの車両のエンジンには、大気中に熱を放出できる表面が少ない。そこで、このような過度の熱の蓄積の問題を食い止めるため、加圧冷却システムが採用されている。加圧冷却システムには、冷却水タンク又はサージタンクを有する放熱器が含まれている。タンクには、密閉キャップに覆われた開口部が設けられ、タンクに対する冷却水の充填又は除去が容易に行える。放熱器の加圧タンクは、密閉キャップ又はバルブを備えていることが多く、取り外してタンクの圧力を解放したり、冷却水を補水したりすることができるようになっている。
【0003】
放熱器から密閉キャップを取り外そうとする際に冷却水が高温かつ加圧下にある場合は常に、より慎重に注意を払って放熱器から密閉キャップを取り外す必要がある。注意を払わなければ、加圧された高温の冷却水が放熱器の排出口から突然放出し、キャップを取り外している人物やその近くにいる人達が重度の火傷を負ってしまう可能性がある。具体的には、高温の冷却水の突然の放出が激しくなると、密閉キャップを急に慌てて取り外した際に、筒口から密閉キャップが弾丸のように発射する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、タンクから過剰圧力を解放する二重のOリング付き密閉キャップが放熱器/サージタンクに採用されている。この二重のOリング付き密閉キャップは手作業で排出口から取り外されるものである。しかし、密閉キャップを急速に取り外した場合、密閉キャップの開栓又は取り外しが早すぎると、放熱器のタンクから高温の冷却水が放出される事故が起こりかねない。つまり、かかる公知の二重のOリング付き密閉キャップでは、高温の冷却水が入ったタンク内で高まった残留陽圧を、タンク内の陽圧と外気圧とが一致するまで制御しながら徐々に解放することは、特に二重のOリング付き密閉キャップを急速に取り外す場合には常に制限的な要因となる。
【0005】
別の公知の金属製密閉キャップでは、回転不能なレバーがキャップ上面に配置されており、使用者によって直接垂直に引き上げられることで、キャップが排出口から取り外される前にタンクから過剰圧力を解放する。このような構成では、利用可能なキャップ表面領域が限られていることを考慮すると、自動車の放熱器とエンジン系の高温となった表面に使用者が晒されることなくレバーを持ち上げるためには、使用者側で相当の努力が必要となる。この公知の金属製密閉キャップの構成では、キャップが誤って回転することがないように、放熱器の排出口に係止されたタブが設けられている。
【0006】
米国特許第5108001号には、キャップシェルと通気弁アクチュエータの間の差動運動に応じて通気弁を開き、補給孔から通気させる最初の回転駆動装置を有する車両用ガス系又は冷却水系タンクの補給孔用の圧力解放通気性密閉キャップが開示されている。この開示では、保持部が押し下げられることで密封されていた通気弁が開き、圧力を解放する。また、カムを元の位置に保持するために、付勢バネが用いられている。
【0007】
従って、使用者が間接的に操作でき、圧力解放密閉キャップが取り外される前に自動車車両の放熱器のタンクから過剰圧力を制御及び調整しながら解放する、圧力解放部材を備えた圧力解放密閉キャップを提供することは、非常に有利といえる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の主たる目的は、間接的に作動され、自動車や発電機の放熱器のタンク又はサージタンク内の過剰圧力を制御しながら解放する、上下に可動でかつ回転可能な、圧力解放部材を備えた圧力解放キャップを提供することにある。
【0009】
本発明の目的は、最小の労力で開くことができ、自動車又は発電機の放熱器とエンジン系の高温となった表面に使用者を晒すことなく、圧力解放部材を間接的に持ち上げられる、圧力解放キャップを提供することにある。
【0010】
本発明の別の目的は、使用者が間接的に操作でき、圧力解放キャップが取り外される前に、自動車車両又は発電機の放熱器のタンクから過剰圧力を制御及び調整しながら解放する、圧力解放部材を備えた圧力解放キャップを提供することにある。
【0011】
本発明の更に別の目的は、圧力解放流路が改善された圧力解放キャップを提供することにある。
【0012】
他の目的及び利点は、添付の特許請求の範囲及び図面と併せた以下の詳細な説明から当業者には明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明に係る圧力解放キャップの断面図であり、平常位置にある圧力解放部材を示す。
図2図2は、本発明に係る圧力解放キャップの上面斜視図であり、円形ガイドを示す。
図3図3は、本発明に係る圧力解放キャップの上面斜視図であり、円形ガイド近傍に位置する圧力解放部材を示す。
図4図4は、本開示の圧力解放密閉キャップの断面図であり、圧力解放位置にある圧力解放部材を示す。
図5図5は、本発明に係る圧力解放キャップの部分拡大断面図であり、増加した圧力解放流路の面積を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、自動車の放熱器のタンク又はサージタンク、又は発電機のタンクを塞ぐ圧力解放密閉キャップを提供する。密閉キャップは、回転可能な筐体に接続され、傾斜板を有する回転プラットフォームを含む。傾斜板は円形の勾配面であり、略平坦な第1の基準部と最急勾配である第2の基準部を有する。上下に可動且つ回転可能なプランジャが、ガイドスタッドを有する可動式圧力解放部材とバルブ手段とに接続される。ガイドスタッドは、密閉キャップがタンクに装着された際に傾斜板の上の第1の基準部と第2の基準部の間に位置する。ガイドスタッドは、筐体の回転に伴って傾斜板の上を回転するように配置され、密閉キャップがタンクから外されると同時にバルブ手段を持ち上げて過剰圧力を解放する。圧力解放部材は間接的に作動され、タンクから過剰圧力を制御されながら徐々に解放する。
【0015】
図1に示すように、本発明の圧力解放密閉キャップは、適切な内形及び外形を有する筐体1を備える。筐体1の内形は、筐体1の内部に回転プラットフォーム2を収容するように中空となっている。筐体の内形には、間隔をあけて配置された複数の凹部が設けられている。筐体1の外形は、好ましくは円形状として示されているが、この形状に限定されない。例えば、筐体1の形状は、多角形であってもよい。筐体1の外形には複数の突出部が設けられ、キャップの取り付け及び取り外しの際に使用者が容易に筐体1を把持できるようになっている。また、筐体1は、キャップの上蓋を構成する。筐体1の材料は、好ましくはナイロンであるが、他の熱可塑性材料を適宜使用することもできる。
【0016】
添付図面のうち、図1と共に図2を参照し、圧力解放密閉キャップの筐体1に囲まれた回転プラットフォーム2の特徴を以下に説明する。回転プラットフォーム2は、筐体1に合致する形状(円形)を有しており、筐体1内に配置される。回転プラットフォーム2と筐体1の間に介在空間が設けられている。回転プラットフォーム2の上面には、複数のロック用ラッチ又は突起3が設けられている。ロック用ラッチ3は、回転プラットフォーム2の上に間隔をもって配置されている。ロック用ラッチ3は、適切な表面形状を有しており、筐体1の凹部に入り込んで係合するように配置されたラチェット形状であることが好ましい。この例示的態様では、回転プラットフォーム2は、ロック用ラッチ3と筐体1の凹部とのロック構造により筐体1に接続される。回転プラットフォーム2に対するロック構造は、回転プラットフォーム2が筐体1の回転に伴って正逆回転できるようになっている。なお、回転プラットフォーム2を圧入、締まり嵌め又はスナップフィット構造などの他の係止手段によって回転可能に筐体1に接続することでも、筐体1と回転プラットフォーム2が正逆回転運動することができることは、理解可能である。筐体1の材料は、好ましくはナイロンであるが、他の熱可塑性材料を適宜使用することもできる。回転プラットフォーム2の内側部分はネジ形状となっており、タンクの補給孔又は排出口のネジ形状と一体化されるようになっている。回転プラットフォーム2は、タンクの排出口の開口部を封止するために使用される。回転プラットフォーム2には、後述するように中央開口部4が設けられており、プランジャを通過させるようになっている。
【0017】
傾斜板5が回転プラットフォーム2の上面に配置されている。傾斜板5は、回転プラットフォーム2の上面と略同一平面の第1の基準部6の最緩勾配から始まり、周方向に勾配しながら回転プラットフォーム2の表面に沿って延び、最急勾配となる第2の基準部7で終わる周方向の勾配を有する。
【0018】
タンク内で高まった過剰圧力を徐々に調整しながら解放するために、傾斜板5の勾配の高さは、圧力解放密閉キャップのプランジャによって動く垂直距離に基づき決定される。つまり、傾斜板5の勾配の高さは、タンク内に充満した残留陽圧がキャップを取り外す前に確実に完全排除されるように決定される。勾配は、キャップが徐々に取り外され、それと同時にバルブ装置が徐々にスムーズに開放されてタンクから圧力を解放するように適切に構成される。つまり、取り外し時のキャップの回転運動は、同時にタンクから過剰圧力の除去を促進する。
【0019】
介在空間8は、傾斜板5の第1の基準部6と第2の基準部6の間に配置されている。介在空間8は、キャップの取り付け時に可動式圧力解放部材のパーキング領域として機能し、キャップが確実かつ完全にタンクを封止するようになっている。
【0020】
傾斜板5は、回転プラットフォーム2に一体的かつ永久的に固定される。傾斜板5と回転プラットフォームの一体的接続は、モールド又は接着により行うことができる。あるいは、傾斜板5を着脱可能に回転プラットフォーム2に接続することもできる。
【0021】
特に図2に示す傾斜板5は、ステンレス鋼、合金鋼、アルミニウム、黄銅、複合金属、合金などの適切な金属、ポリマ、好ましくは耐熱・耐摩耗性ポリマから形成することができる一層構造である。また、傾斜板5の表面を耐摩耗性コーティングで適宜被覆することもできる。
【0022】
あるいは、最上層に耐摩耗性コーティングが施され、他の層の材料は耐摩耗性が段階的に異なるといったように、各層が異なる耐摩耗性を示す多層傾斜板を設けてもよい。多層傾斜板の場合、適切な支持構造及び/又は緩衝構造を多層傾斜板の層間に設けることができる。
【0023】
可動プランジャ9は、回転プラットフォーム2の中央開口部4を貫通し、可動プランジャ9の縦軸に沿って昇降移動できるように配置される。また、可動プランジャ9は、その縦軸を中心に回転運動する。図1に示すように、可動プランジャ9の近位端にピン穴10が設けられており、後述するバルブ手段がプランジャ9の遠位端に接続される。プランジャ9の上下動により、バルブ手段が円滑に閉鎖及び開放される。
【0024】
図1及び図3に示すように、圧力解放部材11が、回転プラットフォーム2に取り付けられる。可動式圧力解放部材11は、薄肉部12と中空厚肉部13を有する細長い構造を備える点で有利である。中空厚肉部13は、開口部15を有する複数の側壁14を備えており、これら側壁14は介在空間によって分離されている。あるいは、中空厚肉部13は、側壁14間に介在通路を有する中実ブロックとすることもできる。
【0025】
開口部15を通過するようにリベット16が配置される。可動プランジャ9は、ピン穴10とリベット16により圧力解放部材11に接続される。圧力解放部材11は、リベット16を中心にヒンジで動くようになっており、リベット16は圧力解放部材11の上下動及び回転運動の支点又は回転軸として機能する。
【0026】
本発明では、圧力解放部材11は、レバーとして例示されている。しかし、ハンドルやリングなどの他の適切な装置を適宜使用することもできる。
【0027】
ガイドスタッド17は、圧力解放部材11の、好ましくは薄肉部12の内面に接続される。また、ガイドスタッド17は、薄肉部12の遠位端に配置することができる。ガイドスタッド17は、硬質材料又は可撓性材料のいずれかからなる。ガイドスタッド17は、金属、合金又はポリマからなる。ガイドスタッド17は端部が平滑であり、回転プラットフォーム2上を滑らかに動くことができる。
【0028】
可動式圧力解放部材11は、キャップの取り付け時にガイドスタッド17が、回転プラットフォーム2の第1の基準部6と第2の基準部7の間の介在空間8にあり、キャップが完全にタンクを密封するように、可動プランジャ9に接続される。
【0029】
可動式圧力解放部材11が円滑に回転及び昇降するように、回転プラットフォーム2の上面と筐体1の内面の間に介在空間が設けられている。可動式圧力解放部材11は、ガイドスタッド17と共に、傾斜板5の所定の上り経路に沿って回転する。
【0030】
本発明の範囲には、可動プランジャ9に接続された可動式圧力解放部材11が、筐体1の上面から回転プラットフォーム2に設けられた窓又は開口部を貫通して上昇するように配置できることも含まれる。
【0031】
主バルブ手段又は装置がバルブ収容部18内に組み込まれ、蓋19で覆われている。バルブ収容部18の外面は、大きさと直径の異なる二重のOリング20及び21の収容に適した形状となっている。Oリングは、タンクの補給孔又は排出口からの漏れを防ぐために、バルブ収容部18の表面上に設けられる。
【0032】
主バルブ装置は、可動プランジャ9の周囲に配置されており、ゴムブッシュ22、主バルブ・スプリング23及び保持部24を含む。主バルブ・スプリング23は、可動プランジャ9の周囲に取り付けられ、その一端が付勢されて保持部24に当接している。主バルブ・スプリング23はシステム圧力増加を促し、システム圧力が所定の制限値を超えると、バルブ・スプリング23が圧縮され、これにより主バルブが開いてシステム圧力が排出される。その後、システム圧力が下がると、バルブ・スプリング23は元の位置に戻る。
【0033】
可動真空バルブ用リベット25は、一端が保持部保護体22に固定され、他端が真空バルブ・スプリング26に接続されている。可動真空バルブ用リベット25は、ガスケット型保持部カバー27を貫通する。中央開口部を有する中空部材である保持部カバー27は、保持部カバーの底面が保護ガスケット28の上面に当接するように保護ガスケット28に取り付けられる。保持部保護体22は、真空バルブ用リベット25と接触する保護ガスケット28の下方にある。保持部保護体22は、保持部カバー27に取り付けられたガスケット28と接触する漏れ止めビードを有する。バルブ収容部18の内部に位置する保持部24は、保持部カバー27に直接当接する。主バルブ・スプリング23は、可動プランジャ9に取り付けられた保持部24の窪み側に載置される。アイレット29は、ガスケット28と共に保持部カバー27を支えており、真空バルブ用リベット25を通過させる開口部を有する。保持カバー27は、中央に開口を有する凸状のドーム形状となっている。真空バルブ・スプリング26は、真空バルブ用リベット25と保持部24の間に保持される。システム内の真空が大気圧を下回り、これにより真空バルブが開放されると、真空バルブ・スプリング26が収縮する。
【0034】
可動式圧力解放部材11は、回転の際にはこれに伴って回転するように構成され、また、圧力解放キャップを取り外す際には、回転プラットフォーム2の回転に伴って徐々に垂直に上昇し、可動プランジャ9を同時に持ち上げるようにも構成されている。
【0035】
次に、図4を参照し、本発明の圧力解放密閉キャップにより、改善された圧力解放流路を介してタンク内で高まった異常な圧力を制御下及び調整下で開放する場合について説明する。圧力解放密閉キャップは、タンクの補給孔にキャップをねじって締めることにより、放熱器のタンクに装着される。この工程中、ガイドスタッド17は、密閉キャップが完全にタンクを封止するように介在空間8に位置する。キャップをタンクの補給孔から取り外す必要がある場合は、常にキャップをねじって外し、これに伴う筐体1の回転運動により、回転プラットフォーム2と可動式圧力解放部材11がガイドスタッド17と共に回転運動する。つまり、ガイドスタッド17は、滞留した空間8から移動し、傾斜板に沿って進む。
【0036】
タンク内で高まった過剰圧力を徐々に調整しながら解放するために、傾斜板5の勾配の高さは、圧力解放密閉キャップのプランジャによって動く垂直距離に基づき決定される。つまり、傾斜板5の勾配の高さは、タンク内に充満した残留陽圧がキャップを取り外す前に確実に完全排除されるように決定される。勾配は、キャップが徐々に取り外され、それと同時にバルブ装置が徐々にスムーズに開放されてタンクから圧力を解放するように適切に構成される。つまり、取り外し時のキャップの回転運動は、同時にタンクから過剰圧力の除去を促進する。圧力解放密閉キャップが所望の回転数だけ回されると、可動プランジャ9が、徐々に垂直に上昇する。可動プランジャ9の上昇は、使用者が直接手作業で圧力解放部材11を持ち上げることなく行われる。可動プランジャ9の上昇により、図4に示すように、圧力解放キャップのバルブ装置が引き上げられ、タンク内で高まった陽圧が解放される。同時に、過剰圧力又は陽圧は、二重のOリングの動きによってバルブ収容部18の穿孔からも解放される。換言すれば、本発明の圧力解放安全キャップでは、回転駆動により内部圧力を解放する。圧力解放とキャップの取り外しが同時に行われる。圧力解放部材11は、圧力解放密閉キャップの取り外しが完了するまで上昇する。このように、本発明の可動式圧力解放部材11を採用することにより、圧力解放キャップが最終的にタンクから取り外される前に、タンク内の圧力が制御されながら徐々に外気圧と等しくされる。
【0037】
次に、図5を参照し、圧力解放密閉キャップの改善された圧力流路に係る実施の形態について説明する。本発明の圧力解放密閉キャップにおいては、可動式圧力解放部材11は主バルブ・スプリング23により保持されるため、可動式圧力解放部材11を元の位置又はその静止位置に保持するための別のバネを使用していない。
【0038】
上述の実施形態では、筐体1を有する圧力解放キャップが示されている。しかし、筐体1を有さない圧力解放キャップもまた本発明の範囲内で実施することができる。
【0039】
本発明の圧力解放キャップを使用することにより、キャップが取り外される前に、タンク内にある残留陽圧が完全に除去される。圧力解放部材の操作は間接的であり、使用者に求められる労力は非常に少ない。
【0040】
圧力解放キャップの取り外し前にタンクの内圧と外気圧を均一化することにより、急な状況においても、キャップが強烈に飛び出したり高温の液体が漏出したりする危険が防止される。
【0041】
圧力解放キャップの取り付け中では、圧力解放部材は、バルブ装置が封止されるように、傾斜板の上の所望の位置に位置づけられる。
【符号の説明】
【0042】
1 筐体
2 回転プラットフォーム
3 ロック用ラッチ
4 中央開口部
5 傾斜板
6 第1の基準部
7 第2の基準部
8 介在空間
9 可動プランジャ
10 ピン穴
11 可動式圧力解放部材
12 薄肉部
13 中空厚肉部
14 側壁
15 開口部
16 リベット
17 ガイドスタッド
18 バルブ収容部
19 蓋
20 Oリング
21 Oリング
22 ゴムブッシュ
23 主バルブ・スプリング
24 保持部
25 真空バルブ用リベット
26 真空バルブ・スプリング
27 保持部カバー
28 保護ガスケット
29 アイレット
図1
図2
図3
図4
図5