(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6198169
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】継手装置
(51)【国際特許分類】
A47G 29/12 20060101AFI20170911BHJP
F16L 23/024 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
A47G29/12 D
F16L23/024
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-49419(P2017-49419)
(22)【出願日】2017年3月15日
【審査請求日】2017年3月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517091805
【氏名又は名称】仲上 典臣
(74)【代理人】
【識別番号】100151208
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】仲上 典臣
【審査官】
柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−062918(JP,A)
【文献】
実開平07−019195(JP,U)
【文献】
特開平06−323481(JP,A)
【文献】
特開2005−076855(JP,A)
【文献】
特開2012−189122(JP,A)
【文献】
特開2004−028419(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/096042(WO,A1)
【文献】
実開昭58−016488(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/12
F16L 23/024
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
郵便ポスト本体部、前記郵便ポスト本体部を支持する第1支持部、及び、前記郵便ポスト本体部の底部に形成された第1締結部と前記第1支持部の天井部に形成された第2締結部とを締結する締結部材を備える郵便ポストのリニューアルに用いられる継手装置であって、
前記継手装置は、
前記第1支持部と締結可能なように前記第2締結部に対応する位置に形成された第3締結部と、
前記郵便ポスト本体部とは大きさが異なる新規の郵便ポスト本体部へリニューアルする際に該新規の郵便ポスト本体部へと締結可能なように前記新規の郵便ポスト本体部の底部に形成され、前記第1締結部と位置が異なる第4締結部に対応する位置に形成された第5締結部と、
を有する支持部材を備えることを特徴とする継手装置。
【請求項2】
請求項1に記載の継手装置において、
前記支持部材は、
前記第3締結部と、前記第1支持部に接触する接触面とを有する土台部と、
前記第5締結部と、前記新規の郵便ポスト本体部の底部に接触する接触面とを有する第2支持部と、
前記第2支持部と前記土台部との間に設けられ、前記土台部から所定の高さ位置に前記第2支持部を位置させるように延伸する延伸部と、
を有することを特徴とする継手装置。
【請求項3】
請求項1に記載の継手装置において、
前記支持部材は、
前記第3締結部と前記第5締結部とが同一平面上に設けられた平板部を有することを特徴とする継手装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、継手装置に関し、特に、郵便ポストのリニューアルに用いられる継手装置に関する。
【背景技術】
【0002】
郵便ポストの老朽化などに伴い、郵便ポストを古いものから新しいものに入れ替えを行うリニューアル作業がなされている。郵便ポストは、
図5に示されるように、下部が地面2に埋め込まれた第1支持部8の上に郵便ポスト本体部6が載置された構成を有している。従来、郵便ポストのリニューアルには、古い郵便ポストに比較的近い場所に新しい郵便ポストを設置するための支柱部を埋めるために掘削工事がなされている。
【0003】
本発明に関連する技術として、例えば、特許文献1には、投函された郵便物を内部に収容する略箱状の本体部と、この本体部の上面に形成している郵便物を投函するための投函口と、その後端部が本体部に回動可能に軸支されて、前記投函口を開閉自在にする上蓋と、本体部の前面に形成している郵便物を取り出す取出口と、その下端部が本体部に回動可能に軸支されて、前記取出口を開閉自在にする前蓋とを備え、上蓋は、自重で閉まる状態の位置を越えては上向きに回動しないものであることを特徴とする屋外に設置される郵便ポストが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−149197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
古い郵便ポストが設置されてから数十年も経過してリニューアルがなされることが多いため、この古い郵便ポストの周りの環境も大きく変化している。このため、例えば、この古い郵便ポストの近くの地中に水道管などが通っていることがある。
【0006】
このような場合に、古い郵便ポストに比較的近い場所に新しい郵便ポストを設置するために新たな掘削作業を行う際に、水道管などを誤って傷つけてしまい水漏れなどのトラブルを生じさせてしまう虞がある。
【0007】
本発明の目的は、より安全に郵便ポストをリニューアルさせることを可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る継手装置は、郵便ポスト本体
部、前記郵便ポスト本体部を支持する第1支持
部、及び、前記郵便ポスト本体部の底部に形成された第1締結部と前記第1支持部の天井部に形成された第2締結部と
を締結する締結部
材を備える郵便ポストのリニューアルに用いられる継手装置であって、前記継手装置は、前記第1支持部と締結可能なように前記第2締結部に対応する位置に形成された第3締結部と、前記郵便ポスト本体部とは
大きさが異なる新規の郵便ポスト本体部
へリニューアルする際に該新規の郵便ポスト本体部へと締結可能なように前記新規の郵便ポスト本体部の底部に形成され
、前記第1締結部と位置が異なる第4締結部に対応する位置に形成された第5締結部と
、を有する支持部材を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る継手装置において、前記支持部材は、前記第3締結部と、前記第1支持部に接触する接触面とを有する土台部と、前記第5締結部と、前記新規の郵便ポスト本体部の底部に接触する接触面とを有する第2支持部と、前記第2支持部と前記土台部との間に設けられ、前記土台部から所定の高さ位置に前記第2支持部を位置させるように延伸する延伸部と、を有することが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る継手装置において、前記支持部材は、前記第3締結部と前記第5締結部とが同一平面上に設けられた平板部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、古い郵便ポストに連結可能な第1支柱部を利用して新しい郵便ポストに連結することができる。これにより、新しい郵便ポストを設置するために新たな掘削を行う必要がないため、より安全に郵便ポストをリニューアルすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る実施形態の継手装置と第1支柱部との関係を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る実施形態の継手装置を用いて新しい郵便ポスト本体部を設置した後の様子を示す図である。
【
図3】本発明に係る実施形態の変形例である継手装置と第1支柱部との関係を示す斜視図である。
【
図4】本発明に係る実施形態の変形例である継手装置を用いて新しい郵便ポスト本体部を設置した後の様子を示す図である。
【
図5】本発明に係る実施形態において、リニューアル前の古い郵便ポストを示す図である。
【
図6】本発明に係る実施形態の変形例である継手装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0014】
最初に、継手装置10を用いてリニューアルする前の古い郵便ポスト4について説明する。
図5は、リニューアル前の古い郵便ポスト4を示す図である。古い郵便ポスト4は、郵便ポスト本体部6と、郵便ポスト本体部6を支持する第1支持部8と、郵便ポスト本体部6の底部に形成された締結孔部27と第1支持部8の天井部8aに形成された締結孔部24と締結する締結部材21とを備える。
【0015】
地面2は、例えば、アスファルト等を掘削して穴を形成した後に、第1支持部8の下部を当該穴に入れて、その後、セメント、砂、砂利等が配合されたコンクリート材を充填させることにより第1支持部8を立設させた状態で固定している。
【0016】
郵便ポスト本体部6は、中空の略四角柱形状を有しており、上部には郵便物を挿入するための投函口が設けられており、ここでは、2つの投函口が設けられるものとして説明する。郵便ポスト本体部6は、適度な強度を有する材質、例えば、鉄などを用いて構成することができる。
【0017】
第1支持部8は、所定の高さ位置を有する円筒形状を有する部材である。第1支持部8は、適度な強度を有する材質、例えば、鉄などを用いて構成することができる。第1支持部8は、上部に郵便ポスト本体部6を支持するための接触面を有するドーナツ状の天井部8aを有している。
【0018】
第1支持部8の天井部8aには、周方向に所定の間隔で形成された6つの締結孔部24(
図1参照)が形成されている。そして、第1支持部8の天井部8aに形成された締結孔部24に対して、郵便ポスト本体部6の内部空間から締結部材21を締め付けることで郵便ポスト本体部6を第1支持部8に固定している。
【0019】
次に、本発明に係る実施の形態について説明する。
図1は、継手装置10と第1支持部8との関係を示す斜視図である。
図2は、継手装置10を用いて新しい郵便ポスト本体部20を設置した後の様子を示す図である。
【0020】
継手装置10は、古い郵便ポスト4を新しくリニューアルする際に古い郵便ポスト4の第1支持部8を生かしつつ新しい郵便ポスト本体部20を取り付けるために用いる装置である。継手装置10は、土台部12と、第2支持部14と、延伸部16とを備える。継手装置10は、適度な強度を有する材質、例えば、鉄などを用いて構成することができる。
【0021】
土台部12は、第1支持部8に接触する接触面を有する略円盤状の板部材である。土台部12は、第1支持部8と締結可能なように締結孔部24に対応する位置に形成された締結孔部26が形成されている。
【0022】
第2支持部14は、新規の郵便ポスト本体部20の底部に接触する接触面を有する横方向に伸びる略角丸四角形の板部材である。第2支持部14は、郵便ポスト本体部6とは異なる新規の郵便ポスト本体部20と締結可能なように新規の郵便ポスト本体部20の底部に形成された締結孔部28に対応する位置に形成された締結孔部30が形成されている。
【0023】
延伸部16は、第2支持部14と土台部12との間に設けられ、土台部12から所定の高さ位置に14第2支持部を位置させるように延伸する円筒部材である。
【0024】
続いて、上記継手装置10の作用について説明する。継手装置10を用いて古い郵便ポスト4をリニューアルするに際し、最初に郵便ポスト本体部6の図示しない開閉扉を開けて、郵便ポスト本体部6の内部から締結部材21(
図5参照)を緩める。
【0025】
全ての締結部材21を緩めて外すことで、郵便ポスト本体部6を第1支持部8から取り外すことができる。その後、
図1(a)に示されるように、土台部12に形成された6つの締結孔部26と、第1支持部8の締結孔部24とを位置合わせを行いつつ、
図1(b)に示されるように土台部12と天井部8aとを接触させる。
【0026】
そして、図示しない締結部材を用いて締結孔部24,26を締め付けることにより、第1支持部8の上に継手装置10を連結固定することができる。
【0027】
次に、新しい郵便ポスト本体部20を準備し、継手装置10の上部に配置する。そして、郵便ポスト本体部20の締結孔部28と、第2支持部14の締結孔部30との位置合わせを行いつつ、
図2に示されるように、郵便ポスト本体部20と第2支持部14と接触させる。
【0028】
そして、郵便ポスト本体部20の図示しない開閉扉を開けて、郵便ポスト本体部20の内部から締結部材32を締結孔部28,30に対して締め付ける。これにより、郵便ポスト本体部20を継手装置10に対して固定することができる。
【0029】
このように古い郵便ポスト本体部6と新しい郵便ポスト本体部20の大きさが異なって底部に設けられる締結孔部27,28の位置などが異なる場合であっても、継手装置10を用いることで、もともとの第1支持部8を生かしつつ、新しい郵便ポスト本体部20を設置することができる。これにより、新しい郵便ポスト本体部20を設置するために新たな掘削を行う必要がないため、より安全に郵便ポストをリニューアルすることができるという顕著な効果を奏する。
【0030】
次に、継手装置10の変形例である継手装置11について説明する。
図3は、継手装置11と第1支持部9との関係を示す斜視図である。
図4は、継手装置11を用いて新しい郵便ポスト本体部20を設置した後の様子を示す図である。
【0031】
継手装置11は、継手装置10とは異なり、略角丸四角形の平板部材で構成されている。継手装置11には、第1支持部9と締結可能なように締結孔部24に対応する位置に形成された締結孔部27が形成されている。
【0032】
また、継手装置11には、郵便ポスト本体部6とは異なる新規の郵便ポスト本体部20と締結可能なように新規の郵便ポスト本体部20の底部に形成された締結孔部28に対応する位置に形成された締結孔部31が形成されている。
【0033】
平板上の継手装置11には、締結孔部27と締結孔部31とが同一平面上に形成されている。継手装置11は、適度な強度を有する材質、例えば、鉄などを用いて構成することができる。
【0034】
続いて、上記継手装置11の作用について説明する。継手装置11を用いて古い郵便ポスト4をリニューアルするに際し、最初に郵便ポスト本体部6の図示しない開閉扉を開けて、郵便ポスト本体部6の内部から締結部材21(
図5参照)を緩める。郵便ポスト本体部6を取り外すまでは、継手装置10を用いる場合と同じである。
【0035】
その後、
図3(a)に示されるように、継手装置11の6つの締結孔部27と、第1支持部9の締結孔部24とを位置合わせを行いつつ、
図3(b)に示されるように継手装置11と天井部9aとを接触させる。
【0036】
そして、図示しない締結部材を用いて締結孔部24,27を締め付けることにより、第1支持部8の上に継手装置11を連結固定することができる。
【0037】
次に、新しい郵便ポスト本体部20を準備し、継手装置11の上部に配置する。そして、郵便ポスト本体部20の締結孔部28と、継手装置11の締結孔部31との位置合わせを行いつつ、
図4に示されるように、郵便ポスト本体部20と継手装置11と接触させる。
【0038】
そして、郵便ポスト本体部20の図示しない開閉扉を開けて、郵便ポスト本体部20の内部から締結部材32を締結孔部28,32に対して締め付ける。これにより、郵便ポスト本体部20を継手装置11に対して固定することができる。
【0039】
このように、継手装置11を用いることで、継手装置10と同様に、もともとの第1支持部8を生かしつつ、新しい郵便ポスト本体部20を設置することができる。これにより、新しい郵便ポスト本体部20を設置するために新たな掘削を行う必要がないため、より安全に郵便ポストをリニューアルすることができるという顕著な効果を奏する。
【0040】
なお、継手装置10,11ともに、より安全に郵便ポストのリニューアルを行うために用いることが可能であるが、継手装置10は、延伸部16の存在により、郵便ポスト本体部20の高さを高くすることができる。すなわち、古い郵便ポスト本体部6から新しい郵便ポスト本体部20に入れ替える際に高さを変える必要がない場合は、継手装置11を用いればよく、高さを高くした方がよい場合は継手装置10を用いることで高さの調整を行うことができる。
【0041】
また、継手装置10,11は、大きさの異なる郵便ポストのリニューアルに用いられるのであり、色々な規格のものに用いることができるが、例えば、具体的な規格の一例をあげると、継手装置10は、郵便差出箱7号ポストから郵便差出箱13号ポストへリニューアルする際に用いるのが好ましく、継手装置11は、郵便差出箱8号ポストから郵便差出箱13号ポストへリニューアルする際に用いるのが好ましい。また、継手装置10,11のその他の変形例として継手装置13,15,17を用いることもできる。
【0042】
継手装置13は、新しい郵便ポストに締結するための締結孔部30aが形成されるプレート部と、古い郵便ポストに締結するための締結孔部26aが形成される略筒形状を有する筒部とを備えている。継手装置13が用いられる一例として、郵便差出箱旧型8号ポストから郵便差出箱13号ポストへリニューアルする際に用いるのが好ましい。
【0043】
継手装置15は、新しい郵便ポストに締結するための締結孔部30bと古い郵便ポストに締結するための締結孔部26bとが同一平面上に形成された丸型のプレート部を備えている。継手装置15が用いられる一例として、郵便差出箱8号ポストから郵便差出箱10号ポストへリニューアルする際に用いるのが好ましい。
【0044】
継手装置17は、新しい郵便ポストに締結するための締結孔部30cと古い郵便ポストに締結するための締結孔部26cとが同一平面上に形成されたドーナツ型のプレート部を備えている。継手装置17が用いられる一例として、郵便差出箱1号角ポストから郵便差出箱10号ポストへリニューアルする際に用いるのが好ましい。
【符号の説明】
【0045】
2 地面、4 郵便ポスト、6 郵便ポスト本体部、8,9 支持部、8a,9a 天井部、10,11,13,15,17 継手装置、12 土台部、14 支持部、16 延伸部、20 郵便ポスト本体部、21,32 締結部材、24,26,26a,26b,26c,27,28,30,30a,30b,30c,31 締結孔部。
【要約】
【課題】より安全に郵便ポストをリニューアルさせることを可能とすることである。
【解決手段】継手装置10は、郵便ポスト本体部6と、郵便ポスト本体部6を支持する第1支持部8と、郵便ポスト本体部6の底部に形成された締結孔部27と第1支持部8の天井部8aに形成された締結孔部24と締結する締結部材21とを備える郵便ポストのリニューアルに用いられる継手装置であって、第1支持部8と締結可能なように締結孔部24に対応する位置に形成された締結孔部26と、郵便ポスト本体部6とは異なる新規の郵便ポスト本体部20と締結可能なように新規の郵便ポスト本体部20の底部に形成された締結孔部28に対応する位置に形成された締結孔部30とを有する支持部材を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1