特許第6198178号(P6198178)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6198178ダンパ軸体シール装置及びこれを有する廃棄物を熱処理炉へ落下投入供給するためのシュート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6198178
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】ダンパ軸体シール装置及びこれを有する廃棄物を熱処理炉へ落下投入供給するためのシュート
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/24 20060101AFI20170911BHJP
   F16J 15/18 20060101ALI20170911BHJP
   B09B 3/00 20060101ALN20170911BHJP
【FI】
   F16J15/24 ZZAB
   F16J15/18 C
   !B09B3/00 303J
   !B09B3/00 303K
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-74868(P2014-74868)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-197162(P2015-197162A)
(43)【公開日】2015年11月9日
【審査請求日】2016年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084180
【弁理士】
【氏名又は名称】藤岡 徹
(72)【発明者】
【氏名】多々見 俊宏
【審査官】 長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−255444(JP,A)
【文献】 実開昭53−111157(JP,U)
【文献】 特開2002−089818(JP,A)
【文献】 特開平11−063239(JP,A)
【文献】 実開昭56−015854(JP,U)
【文献】 米国特許第05049031(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0192791(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/24
F16J 15/18
B09B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を熱処理炉へ落下投入するためのシュートを開閉するフラップダンパを回動させる軸体がシュートのケーシングを貫通する部分で、軸体の周面の隙間からシュート内のガスが漏出することを防止するダンパ軸体シール装置において、
ダンパ軸体シール装置は、シュート外で該シュートに固定して取り付けられたスタッフィングボックスと、該スタッフィングボックス内に収められ軸体の周面をシールするリング状のグランドパッキンと、該グランドパッキンを上記軸体の軸線方向に圧するようにスタッフィングボックスに取り付けられるパッキン押えとを有し、
スタッフィングボックスは、グランドパッキンを収める円筒部と、軸線方向でシュート側となる一端側で円筒部から半径方向内方に突出しかつ軸体貫通孔が形成された側板部と、反シュート側となる他端側に形成されて円筒部の開口部の周縁から半径外方に張り出すフランジ部とを有し、
上記フランジ部は、周方向複数位置でボルトが植設あるいは取付可能となっていて、該ボルトが軸線方向でフランジ部に対し上記円筒部とは反対側に延出するように設けられ、
上記パッキン押えは、上記スタッフィングボックスの開口部へ上記軸線方向に挿入されることでグランドパッキンを押圧する部分を備える押圧部材と、該押圧部材よりも半径方向に張り出していて該押圧部材に対して軸線方向で当接し上記スタッフィングボックスのフランジ部とボルトにより締結される環板状のフランジ部材とを有し、
上記押圧部材は、周方向の複数位置で弧状をなすように分割された複数の分割部材から成り、各分割部材は上記スタッフィングボックスの円筒部に開口部より大径で、該スタッフィングボックスのフランジ部に設けられた複数のボルトの内接円より小径の外周面をもつ分割フランジ部と、該分割フランジ部から軸線方向で上記スタッフィングボックスの円筒部へ向け突出し該円筒部へ進入可能な押圧部分と、該分割フランジ部に対し上記円筒部とは反対方向に該分割フランジ部から延びるフランジ装着部分とを有し、
上記環板状のフランジ部材は、上記フランジ装着部分に装着された状態で、スタッフィングボックスから延出するボルトが貫通するボルト孔が形成され、該ボルト孔を貫通した該ボルトにナットが螺合されそしてナットを締めつけることで、上記押圧部材の分割フランジ部を軸線方向に押圧することとなっている、
ことを特徴とするダンパ軸体シール装置。
【請求項2】
請求項1のダンパ軸体シール装置を有する、廃棄物を熱処理炉へ落下投入するためのシュート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンパ軸体シール装置及びこれを有する廃棄物を熱処理炉へ落下投入供給するためのシュートに関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物を焼却炉やガス化溶融炉等の熱処理炉へ落下投入供給するためのシュートそしてこのシュート内に回動自在に配されたフラップダンパは、特許文献1に開示されている。特許文献1では、シュート内に上段ダンパと下段ダンパから成る二重ダンパが配設されていて、廃棄物の落下投入の際に、両ダンパが同時期に開くことなく、一方が開となるときには他方が閉となり、他方が開となるときには一方が閉となっている。したがって、少なくともいずれか一つのダンパは閉となっているので、廃棄物の落下投入の際に、熱処理炉内部のガスがシュートを経て炉外へ漏出しないように図られている。
【0003】
通常、フラップダンパは、これを回動させる軸体に取り付けられていて、シュート外に設けられた駆動手段により、上記軸体がシュート外に突出する部分で駆動されることで、フラップダンパを回動させてシュートを開閉している。
【0004】
さらに、通常の場合、フラップダンパは、該フラップダンパが閉状態のときに、シュートの内面に設けられた当接部に対してフラップダンパの周縁が当接するようになっており、この当接によって、フラップダンパが気密性をもたらし、熱処理炉内のガスがシュートの上部からも漏出することがないようになっている。
【0005】
フラップダンパの軸体は、回動駆動を受けるためにシュート内からシュート外へ突出しており、ベアリングユニットにより回動自在に支持されている。軸体がシュートのケーシングを貫通する部分にスタッフィングボックスを設け、軸体の周面と摺接するグランドパッキンが収められ、軸体の周面の隙間からシュート内のガスが漏出することを防止している。該グランドパッキンはパッキン押えで軸線方向に圧せられていて、その圧力により半径方向へ変位して上記軸体との摺接を確実にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−089818
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、グランドパッキンは軸体と摺接して気密性を保つものの、長期間使用後には、摺接圧によって摩耗し隙間が生ずる。もちろん、パッキン押えによりグランドパッキンをさらに押し込むことで、上記隙間を減少させることはできるが、これを何度も繰り返すと、最早減少させることはできなくなる。その場合、グランドパッキンの交換が必要となる。
【0008】
グランドパッキンは、リング状をなしており、パッキン押えを軸体の軸線方向にスタッフィングボックス外へ移動させて、グランドパッキンをスタッフィングボックスから取り出して、新たなグランドパッキンと交換する。このグランドパッキンを取出し可能位置までスタッフィングボックス外へ引き出すには、上記パッキン押えを移動させねばならない。これは装置を軸線方向に大型とすることになり、また保守作業の非能率化を招く。
【0009】
そこで、パッキン押えを直径線で分割形成することで、半径方向に分離する方向に取り外して、グランドパッキンを楽に引き出せるようにすることも提案されている。しかしながら、分割された形式のパッキン押えの場合、グランドパッキンを軸線方向へ圧するようにスタッフィングボックスとボルトで締結する際、分割された二つの半円状のパッキン押えを均しく締めつけることが困難で、不均一だと、グランドパッキンのシール性が周方向で異なってしまい気密性が低下してしまう。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑み、装置を大型化することなく、グランドパッキンの交換作業性が良く、しかも、周方向で均一にグランドパッキンを押圧できるパッキン押えを有するダンパ軸体シール装置、そしてこれを有する廃棄物を熱処理炉へ落下投入するためのシュートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るダンパ軸体シール装置は、廃棄物を熱処理炉へ落下投入するためのシュートを開閉するフラップダンパを回動させる軸体がシュートのケーシングを貫通する部分で、軸体の周面の隙間からシュート内のガスが漏出することを防止している。
【0012】
かかるダンパ軸体シール装置において、本発明では、
ダンパ軸体シール装置は、シュート外で該シュートに固定して取り付けられたスタッフィングボックスと、該スタッフィングボックス内に収められ軸体の周面をシールするリング状のグランドパッキンと、該グランドパッキンを上記軸体の軸線方向に圧するようにスタッフィングボックスに取り付けられるパッキン押えとを有し、
スタッフィングボックスは、グランドパッキンを収める円筒部と、軸線方向でシュート側となる一端側で円筒部から半径方向内方に突出しかつ軸体貫通孔が形成された側板部と、反シュート側となる他端側に形成されて円筒部の開口部の周縁から半径外方に張り出すフランジ部とを有し、
上記フランジ部は、周方向複数位置でボルトが植設あるいは取付可能となっていて、該ボルトが軸線方向でフランジ部に対し上記円筒部とは反対側に延出するように設けられ、
上記パッキン押えは、上記スタッフィングボックスの開口部へ上記軸線方向に挿入されることでグランドパッキンを押圧する部分を備える押圧部材と、該押圧部材よりも半径方向に張り出していて該押圧部材に対して軸線方向で当接し上記スタッフィングボックスのフランジ部とボルトにより締結される環板状のフランジ部材とを有し、
上記押圧部材は、周方向の複数位置で弧状をなすように分割された複数の分割部材から成り、各分割部材は上記スタッフィングボックスの円筒部に開口部より大径で、該スタッフィングボックスのフランジ部に設けられた複数のボルトの内接円より小径の外周面をもつ分割フランジ部と、該分割フランジ部から軸線方向で上記スタッフィングボックスの円筒部へ向け突出し該円筒部へ進入可能な押圧部分と、該分割フランジ部に対し上記円筒部とは反対方向に該分割フランジ部から延びるフランジ装着部分とを有し、
上記環板状のフランジ部材は、上記フランジ装着部分に装着された状態で、スタッフィングボックスから延出するボルトが貫通するボルト孔が形成され、該ボルト孔を貫通した該ボルトにナットが螺合されそしてナットを締めつけることで、上記押圧部材の分割フランジ部を軸線方向に押圧することとなっている、
ことを特徴としている。
【0013】
このような構成の本発明によると、グランドパッキンは、分割された複数のパッキン押えが環板状のフランジ部材により、周方向に均一に軸線方向押圧力を受けることで、グランドパッキンへそのままこの均一押圧力を伝達し、気密性を良好とする。
【0014】
グランドパッキン交換時には、フランジ部材をスタッフィングボックスのフランジ部とのボルトによる締結を解除してから該フランジ部に対して離間するよう軸線方向に移動させる。しかる後、パッキン押えの分割されている押圧部材をスタッフィングボックスより軸線方向に引き出し、スタッフィングボックス外に位置した状態で半径方向に取り外す。かくして、グランドパッキンは、新たなグランドパッキンと交換が自在に行える。
【0015】
本発明に係る廃棄物を熱処理炉へ落下投入するためのシュートは、上記のダンパ軸体シール装置を有する。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明では、ダンパ軸体シール装置におけるパッキン押えを、上記スタッフィングボックスの開口部へ上記軸線方向に挿入されることでグランドパッキンを押圧する部分を備える押圧部材と、該押圧部材よりも半径方向に張り出していて該押圧部材に対して軸線方向で当接し上記スタッフィングボックスのフランジ部とボルトにより締結される環板状のフランジ部材とに別個に設け、上記パッキン押えの押圧部材が弧状をなすように複数に分割形成されていることとしたので、上記環板状のフランジ部材によって、パッキン押えを介して周方向で均一にグランドパッキンを軸線方向に押圧でき、さらには、グランドパッキンを交換する場合には、上記フランジ部材をスタッフィングボックスのフランジ部との締結解除後、若干軸線方向に移動させるだけで、分割形成されているパッキン押えの押圧部材を半径方向に取り外せる結果、グランドパッキンの交換作業が楽にそして簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】熱処理炉の廃棄物落下投入のためのシュートとフラップダンパの部分での断面であり、(A)はダンパ軸体の軸線に対して直角な面での断面図、(B)は(A)におけるB-B線断面図である。
図2図1に示されるパッキン押えの各部材を分離して示す部分断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、熱処理炉の廃棄物落下投入のためのシュートを示しており、図1(A)にて、シュート10は縦長な角筒状に形成されていて上方で廃棄物の投入口(図示せず)につながり、下方で燃焼炉の燃焼室(図示せず)に連通している。
【0019】
上記シュート10内には、高さ方向の中間位置に該シュート10を開閉するフラップダンパ11が設けられている。該フラップダンパ11は、シュート10の周壁をなす四つの側壁のうち一つの側壁10Aの近傍に位置する軸体12により保持されている。
【0020】
上記フラップダンパ11は、板状のダンパ本体11Aと円筒スリーブ状の被支持部11Bとを有していて両者は一体化されている。ダンパ本体11Aは、閉位置となる水平姿勢のとき(図1(A),(B)で実線で示される位置)に、シュート10を閉じるに十分な大きさの四角板状に形成されており、その一辺が円筒スリーブ状の被支持部11Bに溶接等により連結されることで、該被支持部11Bと一体化されている。フラップダンパ11は、この被支持部11Bが軸体12に結合されることにより、該軸体12が回動駆動されることで開位置と閉位置の間を回動できるようになっている。
【0021】
略四角筒のシュート10の周壁を形成する各側壁のうち、図1(A)で左右に見られる対向側壁10A,10Bの一方の側壁10Aに、側方へ突出する突室13が形成されている。上記突室13は、図1(B)に見られるように、上記対向側壁10A,10Bの面に対して直角方向に位置する他の対向側壁10C,10Dからも突出して形成されている。
【0022】
上記フラップダンパ11を支持している軸体12は、上下方向で上記突室13内で該突室13の上部に位置しており、フラップダンパ11が図1(A)に二点鎖線で示される縦向きの開位置にきたときに、該フラップダンパ11が突室13をほぼ塞いで一方の対向側壁10Aの面の延長上に位置するようになる。
【0023】
上記被支持部11Bに結合されたフラップダンパ11の板状のダンパ本体11Aは、図1(A)で実線で示されているように、その下面で紙面に対し直角方向に延びる帯板状の複数のリブ11A−1そして左右に延びる板状のアーム11A−2により補強されている。
【0024】
上記フラップダンパ11を支持し回動力を該フラップダンパ11に伝達する軸体12は、図1(B)に見られるように、軸線方向でシュート10の他方の対向側壁10C,10Dを貫通し、さらに、該対向側壁10C、0Dに取り付けられて上記突室13を形成する壁部13C,13Dに固定支持されたダンパ軸体シール装置20をも貫通している。該軸体12は、該ダンパ軸体シール装置20を貫通した軸端側で、レバーを介して駆動手段(いずれも図示せず)としてのシリンダ装置により回動駆動を受け、フラップダンパ11が開位置と閉位置との間を回動するようになっている。
【0025】
上記ダンパ軸体シール装置20は、他の対向側壁10C,10Dの中央位置での軸線と直角な面に対し対称に設けられているので、以下、一方のダンパ軸体シール装置20についてのみ説明する。
【0026】
ダンパ軸体シール装置20は、図1(B)に軸体12をシールしている使用時が組立状態で断面図として示され、分解斜視図が図2に示されている。
【0027】
ダンパ軸体シール装置20は、シュート10の側壁10Cの外面に取り付けられて突室13を形成する壁部13Cに固定取付けされた略円筒状のスタッフィングボックス21と、該スタッフィングボックス21内の収められシール性の詰め物であるリング状の複数のグランドパッキン22と、該グランドパッキン22に対して軸線方向の押圧力をもたらすパッキン押え23とを有している。
【0028】
スタッフィングボックス21は、軸線方向に延び円筒部24と、軸線方向でシュート側となる円筒部24の一端に形成された側板部25と、円筒部24の他端から半径外方に張り出すフランジ部26とを有している。上記円筒部24の内径は、後述のグランドパッキン22の外径にほぼ等しく形成されている。
【0029】
上記スタッフィングボックス21の円筒部24内には、リング状をなす複数のグランドパッキン22が収められている。リング状を形成したときのグランドパッキン22は、その外径が既述したように上記スタッフィングボックス21の円筒部の内径にほぼ等しく、またグランドパッキン22の内径は軸体12の外径にほぼ等しくなっている。かかるグランドパッキン22は、上記円筒部24内でリング状をなし、側板部25に接するように軸線方向に複数(図では5個)配置され、フランジ部26寄り位置では、後述のパッキン押え23の押圧部材27の一部が円筒部24内へ進入する空間を残している。
【0030】
上記スタッフィングボックス21のフランジ部26には、周方向の複数位置に、軸線方向に延びるボルト26Aが植設もしくはボルト孔へ挿入取付けされている。該ボルト26Aはその先端側に外ねじ面が形成されている。
【0031】
パッキン押え23は、押圧部材27とフランジ部材28とをそれぞれ別部材として有している。
【0032】
押圧部材27は、軸線方向でみたとき、半円状に分割された二つの半部材27Aから成り、両者が合わさって配置されることで環状をなす。半部材27Aは半円筒状部27A−1と、該半円筒状部27A−1の軸線方向中間位置で半径方向に張り出す半円フランジ部27A−2とを有している。半円筒状部27A−1は、軸線方向で半円フランジ部27A−2よりもスタッフィングボックス21側に位置する部分は該スタッフィングボックス21の円筒部24内に進入してグランドパッキン22を軸線方向に押圧する押圧部分27A−1Aを形成し、半円フランジ部27A−2よりも反スタッフィングボックス21側となる部分は後述のフランジ部材28が装着されるフランジ装着部分27A−1Bを形成する。
【0033】
上記半部材27Aの押圧部分27A−1Aの軸線方向長さは、上記スタッフィングボックス21の円筒部24の内径に複数のグランドパッキン22を配したときに、フランジ部26寄りにおける該円筒部24におけるグランドパッキン22の不在部分の軸線方向範囲の長さよりも少なくともグランドパッキン22の締め代ろの分だけ長い。また、上記半円フランジ部27A−2の外径は、周方向の複数位置で軸線方向に延びるボルト26Aに対する内接円よりも小さい。
【0034】
上記押圧部材27を形成する二つの半部材27Aのフランジ装着部分27A−1Bに装着されるフランジ部材28は、環板状をなし、上記スタッフィングボックス21のフランジ部26に周方向の複数位置に設けられたボルト26Aの位置に対応し該ボルト26Aの貫通を許容するボルト孔28Aが穿設されている。該ボルト孔28Aを貫通したボルト26Aの外ねじ面にはナット29が螺合するようになっている。
【0035】
次に、このように構成される本実施形態装置について、その使用要領を説明する。
【0036】
先ず、ダンパ軸体シール装置20は、図1(B)に見られるように組み立てられた状態で、フラップダンパ11の軸体12をシールしている。
【0037】
スタッフィングボックス21内の複数のグランドパッキン22は、ナット29をボルト26Aに対して締めつけることで、環板状のフランジ部材28により、押圧部材27を介して軸線方向に押圧されて、該グランドパッキン22の外径が拡径すると共に内径が縮径する結果、軸体12は上記スタッフィングボックス21内で回動可能状態のもとでシールされる。上記フランジ部材28は環板状なので、押圧部材27が二分割されているにもかかわらず、すべてのナット29を等しく締めることで、押圧部材27は軸線方向の押圧力を周方向で均等にグランドパッキン22に付与する。グランドパッキン22は、上記軸線方向の押圧力を受けると、上述のごとく外径が拡径し内径が縮径して、上述のようにシール状態となる。使用中に、グランドパッキン22が若干摩耗したときには、上記ナット29をさらに締め込む再調整を行うことで、シール性を確保できる。
【0038】
次に、長期間使用後に、再調整してもシール性が確保できないほどにグランドパッキン22が摩耗した場合には、このグランドパッキン22を新たなものに交換する。
【0039】
グランドパッキン22の交換のためには、先ず、ナット29を緩めて外し、フランジ部材28を軸体12上でスタッフィングボックス21から離反するように軸線方向にスライド移動させる。フランジ部材28のスライド移動の後、押圧部材27をスタッフィングボックス21から引き出す。押圧部材27は二つの半部材27Aに二分割されているので、これらの半部材27Aを半径方向に取り出すことで押圧部材27は軸体12から外せる。かくして、グランドパッキン22はスタッフィングボックス21外に引き出され、新たなグランドパッキン22がスタッフィングボックス21内に挿填される。しかる後、押圧部材27の二つの半部材27Aを半径方向で近接させて円形の押圧部材27として押圧部分27A−1Aを上記スタッフィングボックス21内に挿入し、フランジ部材28をもとの位置に戻してからナット29を締めることでグランドパッキン22はシール状態となる。
【0040】
本実施形態では、二分割された押圧部材27の半部材27Aを外すこととしているので作業性が良く、環状のフランジ部材28で周方向で均等に軸線方向押圧力をグランドパッキン22に付与できる。
【符号の説明】
【0041】
10 シュート
11 フラップダンパ
12 軸体
20 ダンパ軸体シール装置
21 スタッフィングボックス
22 グランドパッキン
23 パッキン押え
25 側板部
26 フランジ部
27 押圧部
28 フランジ部材
図1
図2