特許第6198192号(P6198192)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6198192操作レバーおよびリモートコントロール装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6198192
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】操作レバーおよびリモートコントロール装置
(51)【国際特許分類】
   G05G 1/04 20060101AFI20170911BHJP
   B63H 21/22 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   G05G1/04 Z
   B63H21/22 Z
【請求項の数】11
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-41680(P2014-41680)
(22)【出願日】2014年3月4日
(65)【公開番号】特開2015-166225(P2015-166225A)
(43)【公開日】2015年9月24日
【審査請求日】2016年8月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 大志
【審査官】 藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−237399(JP,A)
【文献】 特公平7−478(JP,B2)
【文献】 実開昭50−139606(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 1/00−25/04
B63H 21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントロールボックスの右側面又は左側面のいずれか一方に選択的に取り外し可能に取り付けられ、前記コントロールボックスの前後方向に人為的に回動される操作レバーであって、
前記コントロールボックスに収容された回動部材に連結されるベース部と、当該ベース部から一体的に延出された腕部と、を含むレバー本体と、
前記レバー本体の前記腕部に、当該腕部の長手方向に引き抜き可能に取り付けられ、前記ベース部の反対側に位置されたハンドルを有するとともに、当該ハンドルの端部に人為的に操作されるスイッチが設けられたグリップと、を備え、
前記レバー本体の前記腕部は、前記グリップが前記腕部の右側又は左側のいずれの側からでも選択的に引き抜き可能に取り付けられるように構成され、
前記スイッチから引き出されたケーブルは、前記腕部から前記グリップを引き抜くに足りる長さを有するとともに、前記腕部と前記グリップとの間から前記ベース部を経て前記コントロールボックスに導かれ、
前記ベース部の上に前記ケーブルの中間部分を引き出し可能に収納する収納部が設けられた操作レバー。
【請求項2】
前記収納部は、蛇行状に折れ曲がった通路を有し、当該通路に前記ケーブルの中間部分が挿通された請求項1に記載の操作レバー。
【請求項3】
前記ケーブルは、前記腕部の全長の少なくとも二倍以上の長さを有する請求項1又は請求項2に記載の操作レバー。
【請求項4】
前記レバー本体を中立位置にロックするように構成されたロックレバーをさらに備え、当該ロックレバーは、前記レバー本体の前記腕部に、前記腕部の右側又は左側のいずれの側からでも選択的に取り外し可能に取り付けられた請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の操作レバー。
【請求項5】
前記レバー本体の前記腕部は、互いに間隔を存して向かい合う一対の対向壁と、前記対向壁の間に跨る連結壁と、前記連結壁の一方の面と前記対向壁の内面とで規定された第1の溝部と、前記連結壁の他方の面と前記対向壁の内面とで規定された第2の溝部と、を含み、
前記グリップは、前記第1の溝部又は前記第2の溝部のいずれか一方を覆うように前記腕部に対し長手方向に引き抜き可能に取り付けられ、
前記ロックレバーは、前記第1の溝部又は前記第2の溝部の他方に選択的に取り外し可能に嵌合された請求項4に記載の操作レバー。
【請求項6】
前記腕部は、前記ケーブルが挿通される配線溝を有し、前記配線溝は、前記第1の溝部および前記第2の溝部から外れた位置で前記腕部の長手方向に延びているとともに、前記配線溝の一端が前記腕部の先端に開口され、前記配線溝の他端が前記収納部に連通された請求項5に記載の操作レバー。
【請求項7】
前記グリップは、前記腕部の前記対向壁を覆う一対の外壁と、前記外壁の間に跨るとともに前記第1の溝部又は前記第2の溝部を覆う側壁と、を有し、前記外壁の内面に前記対向壁が摺動可能に嵌合するガイド溝が設けられた請求項5又は請求項6に記載の操作レバー。
【請求項8】
前記ロックレバーは、
前記グリップの前記ハンドルから下方に張り出す握り部と、
前記握り部の反対側の端部に位置され、前記ロックレバーが前記第1の溝部に嵌合された時に、前記コントロールボックスに取り付けたロックホルダーに引っ掛かる第1の角部と、
前記握り部の反対側の端部に形成され、前記ロックレバーが前記第2の溝部に嵌合された時に、前記ベース部を貫通するとともに前記ロックホルダーに引っ掛かる第2の角部と、
を備えた請求項5に記載の操作レバー。
【請求項9】
前記レバー本体の前記ベース部に取り外し可能に取り付けられ、前記収納部を覆うカバーをさらに備えた請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の操作レバー。
【請求項10】
右側面および左側面を有するコントロールボックスと、
前記コントロールボックスの前記右側面又は前記左側面のいずれか一方に選択的に取り外し可能に取り付けられ、前記コントロールボックスの前後方向に人為的に回動される請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載された操作レバーと、
を具備したリモートコントロール装置。
【請求項11】
前記操作レバーは、前記レバー本体を中立位置にロックするロックレバーを含み、当該ロックレバーは、前記レバー本体の前記腕部に対し、前記腕部の右側又は左側のいずれの側からでも選択的に取り外し可能に取り付けられた請求項10に記載のリモートコントロール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コントロールボックスの右側面又は左側面に選択的に取り付けて使用する操作レバーおよび当該操作レバーを備えたリモートコントロール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
船外機を装備した船舶では、例えば操舵室に船外機を遠隔操作するリモートコントロール装置が設置されている。リモートコントロール装置は、船外機に電気的および機械的に接続されたコントロールボックスと、コントロールボックスの側面に取り付けられた操作レバーと、を備えている。
【0003】
操作レバーは、例えば船外機のシフト操作およびスロットル操作を行なうための要素であって、操船者によりコントロールボックスの前後方向に手動で回動されるようになっている。さらに、操作レバーは、その上端部に操船者が把持するハンドルを有し、当該ハンドルの端部に船外機をチルトアップ又はチルトダウンさせるチルトスイッチが設けられている。
【0004】
ところで、この種のリモートコントロール装置は、操船者が右手で操作レバーを操作することを想定して、コントロールボックスを操舵室の右舷内面に据え付けることが多い。コントロールボックスの据付面は、操作レバーの反対側に位置するので、操舵室の右舷内面にコントロールボックスを据え付けた場合、操作レバーはコントロールボックスの左側面に取り付けられる。このため、チルトスイッチは、操船者がハンドルを握った右手の親指で操作し得るように、ハンドルの左端部に設けられている。
【0005】
一方、例えば操舵室の中央部に操縦盤が設けられた船舶では、リモートコントロール装置を操縦盤の右側面に据え付けることがあり得る。操縦盤の右側面にコントロールボックスを据え付けた場合、操作レバーはコントロールボックスの右側面に取り付けられることになり、コントロールボックスに対する操作レバーの向きが左右反転する。
【0006】
この結果、操作レバーの向きに追従してハンドルの向きが左右に反転し、チルトスイッチがハンドルの右端部に位置される。したがって、チルトスイッチがハンドルを握った右手の小指の側に位置してしまい、チルトスイッチの操作性が悪くなる。
【0007】
この対策として、例えば特許文献1に開示されているように、操作レバーを左右対称な形状に形成するとともに、グリップを有するカバーを操作レバーの右側又は左側のいずれの側からでも固定できるようにしたレバー構造が開発されている。
【0008】
特許文献1によると、カバーを操作レバーに対し左右反転させて取り付けることで、例えば操作レバーがコントロールボックスの右側面から左側面に付け替えられたとしても、グリップの向きを一定に保つことができる。
【0009】
このため、グリップの端部に設けられたチルトスイッチを、常にグリップを把持した右手の親指の側に位置させることができる。よって、操作レバーの位置が左右に反転するような状況下においても、チルトスイッチの操作性を良好に維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特公平7−478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に開示された操作レバーでは、チルトスイッチから引き出されたコードは、操作レバーの中間部に開けた開口を通して操作レバーの下部に導かれるとともに、当該操作レバーの下部からコントロールボックスに向けて配線されている。
【0012】
このような構成において、カバーを左右に反転させて操作レバーに組み込む場合、まず操作レバーからカバーを外した後、カバーのグリップからチルトスイッチを取り外す。引き続いて、取り外したチルトスイッチを開口から操作レバーの反対側に移動させて再度グリップに嵌め込んだ後に、カバーを操作レバーに対し左右逆向きの姿勢で取り付ける作業が必要となる。
【0013】
この結果、カバーを反転させるに際して、チルトスイッチを着脱したり、コードの配線経路を変更するといった面倒で手間のかかる作業を余儀なくされ、作業性の面で改善の余地が残されている。
【0014】
本発明の目的は、コントロールボックスに対する操作レバーの向きが左右に反転しても、ハンドルを握った手の親指の側にスイッチを位置させることができ、しかも、グリップにスイッチを取り付けたままの状態でグリップを左右に反転させることができ、グリップの反転時の作業性に優れた操作レバーを得ることにある。
【0015】
本発明の他の目的は、前記操作レバーを有するリモートコントロール装置を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る操作レバーは、コントロールボックスの右側面又は左側面のいずれか一方に選択的に取り外し可能に取り付けられ、前記コントロールボックスの前後方向に人為的に回動される操作レバーであって、当該操作レバーは、レバー本体およびグリップを備えている。
【0017】
前記レバー本体は、前記コントロールボックスに収容された回動部材に連結されるベース部と、当該ベース部から一体的に延出された腕部と、を含む。前記グリップは、前記レバー本体の前記腕部に、当該腕部の長手方向に引き抜き可能に取り付けられ、前記ベース部の反対側に位置されたハンドルを有するとともに、前記ハンドルの端部に人為的に操作されるスイッチが設けられている。
【0018】
前記レバー本体の前記腕部は、前記グリップが前記腕部の右側又は左側のいずれの側からでも選択的に引き抜き可能に取り付けられるように構成されている。前記スイッチから引き出されたケーブルは、前記腕部から前記グリップを引き抜くに足りる長さを有するとともに、前記腕部と前記グリップとの間から前記ベース部を経て前記コントロールボックスに導かれている。前記ベース部の上には、前記ケーブルの中間部分を引き出し可能に収納する収納部が設けられている。
【0019】
本発明の好ましい形態によると、前記収納部は、蛇行状に折れ曲がった通路を有し、当該通路に前記ケーブルの中間部分が挿通されている。
【0020】
本発明の好ましい形態によると、前記ケーブルは、少なくとも前記脚部の全長の二倍以上の長さを有している。
【0021】
本発明の好ましい形態によると、前記操作レバーは、前記レバー本体を中立位置にロックするロックレバーをさらに備えている。当該ロックレバーは、前記レバー本体の前記腕部に、当該腕部の右側又は左側のいずれの側からでも選択的に取り外し可能に取り付けられている。
【0022】
本発明の好ましい形態によると、前記レバー本体の前記腕部は、互いに間隔を存して向かい合う一対の対向壁と、前記対向壁の間に跨る連結壁と、前記連結壁の一方の面と前記対向壁の内面とで規定された第1の溝部と、前記連結壁の他方の面と前記対向壁の内面とで規定された第2の溝部と、を含む。前記グリップは、前記第1の溝部又は前記第2の溝部のいずれか一方を覆うように前記腕部に対し長手方向に引き抜き可能に取り付けられ、前記ロックレバーは、前記第1の溝部又は前記第2の溝部の他方に選択的に取り外し可能に嵌合されている。
【0023】
本発明の好ましい形態によると、前記腕部は、前記ケーブルが挿通される配線溝を有する。前記配線溝は、前記第1の溝部および前記第2の溝部から外れた位置で前記腕部の長手方向に延びている。前記配線溝の一端は、前記腕部の先端に開口され、前記配線溝の他端は、前記収納部に連通されている。
【0024】
本発明の好ましい形態によると、前記操作レバーは、前記収納部を覆うカバーをさらに備えている。カバーは、前記レバー本体の前記ベース部に取り外し可能に取り付けられている。
【0025】
さらに、前記他の目的を達成するため、本発明の一つの形態に係るリモートコントロール装置は、右側面および左側面を有するコントロールボックスと、前記コントロールボックスの前記右側面又は前記左側面のいずれか一方に選択的に取り外し可能に取り付けられ、前記コントロールボックスの前後方向に人為的に回動される前記構成を有する操作レバーと、を備えている。
【0026】
本発明の好ましい形態によると、前記操作レバーは、前記レバー本体を中立位置にロックするロックレバーを含む。当該ロックレバーは、前記レバー本体の前記腕部に対し、前記腕部の右側又は左側のいずれの側からでも選択的に取り外し可能に取り付けられている。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、操作レバーをコントロールボックスの右側面から左側面あるいは左側面から右側面に付け替える場合、レバー本体の腕部からグリップを引き抜いた後、グリップをスイッチおよびケーブルと共に左右に反転させて腕部に取り付ける。これにより、コントロールボックスに対する操作レバーの向きが左右に反転しても、グリップのハンドルの向きを一定に保ち、常にハンドルを握った手の親指の側にスイッチを位置させることができる。
【0028】
さらに、レバー本体の腕部からグリップを引き抜くと、この引き抜きに追従してケーブルがベース部の収納部から繰り出される。このため、レバー本体の腕部からグリップを引き抜く際に、その都度、グリップからスイッチを取り外したり、ケーブルの配線経路を変更する必要はない。よって、ケーブルが引き出されたスイッチをグリップに取り付けたままの状態で、グリップを左右に反転させることができ、グリップの反転時の作業性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施形態に係るリモートコントロール装置を備えた船舶の側面図である。
図2】コントロールボックスの右側面に操作レバーを取り付けた状態を示すリモートコントロール装置の斜視図である。
図3図2に示されたリモートコントロール装置の一部を断面で示す側面図である。
図4図2に示されたリモートコントロール装置のコントロールボックスの斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る操作レバーを分解して示す斜視図である。
図6図5に示す操作レバーのレバー本体を反対側から見た斜視図である。
図7】リモートコントロール装置の操作レバーを図3の矢印F7の方向から見た正面図である。
図8】ワイヤーハーネスを収めるハーネス収納部および配線溝が形成されたレバー本体を示す正面図である。
図9図7のF9−F9線に沿う操作レバーの断面図である。
図10図7のF10−F10線に沿う操作レバーの断面図である。
図11】レバー本体からロックレバーを取り外した状態を示す操作レバーの正面図である。
図12】レバー本体の腕部からグリップを引き抜いた状態を示す操作レバーの正面図である。
図13】レバー本体の腕部にグリップを左右に反転させて取り付ける状態を示す操作レバーの正面図である。
図14】レバー本体の腕部にグリップを取り付けた状態を示す操作レバーの正面図である。
図15】コントロールボックスの左側面に操作レバーを取り付けた状態を示すリモートコントロール装置の斜視図である。
図16図15に示されたリモートコントロール装置の一部を断面で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下本発明の実施の形態を、船舶に適用した図1ないし図16に基づいて説明する。
【0031】
図1は、船舶1の一例を開示している。船舶1は、船体2と、船体2の船尾に取り付けられた船外機3と、を備えている。船体2の中央部には、操舵輪4を有する操縦盤5が設けられている。船外機3は、アクチュエータ6によりチルトダウン位置とチルトアップ位置との間で回動可能となっている。船外機3は、エンジン7によって駆動されるプロペラ8を有している。シフト機構9がエンジン7の動力をプロペラ8に伝える動力伝達経路に設けられている。シフト機構9は、船舶1を前進させる際にプロペラ8を正方向に回転させ、船舶1を後進させる際にプロペラ8を逆回転させる。
【0032】
図1に示すように、操縦盤5は、船外機3のシフト機構9およびエンジン7の燃料供給装置を操作するリモートコントロール装置10を備えている。本実施形態のリモートコントロール装置10は、操船者が右手で操作することを想定して、操縦盤5の右側面5aに据え付けられている。右側面5aは、船体2の右舷内面の側に位置されている。
【0033】
図2ないし図4は、リモートコントロール装置10の外観を示している。リモートコントロール装置10は、コントロールボックス11および操作レバー12を備えている。コントロールボックス11は、左側面11aおよび右側面11bを含むフラットな形状であり、左側面11aの中央部および右側面11bの中央部に夫々円形の開口部14a,14bが形成されている。本実施形態では、コントロールボックス11の左側面11aが操縦盤5の右側面5aに固定されている。
【0034】
図3および図4に示すように、ニュートラルロックホルダー15がコントロールボックス11に取り付けられている。ニュートラルロックホルダー15は、コントロールボックス11の左側面11a又は右側面11bのいずれかに選択的に付け替え可能な要素であって、本実施形態では、コントロールボックス11の右側面11bに固定されている。
【0035】
ニュートラルロックホルダー15は、コントロールボックス11の開口部14a,14bの上半分を取り囲むような形状を有している。具体的には、ニュートラルロックホルダー15は、外面15aを有している。外面15aは、開口部14a,14bと同心の円弧を描くように湾曲されているとともに、コントロールボックス11の右側面11bからコントロールボックス11の側方に向けて張り出している。ニュートラルロックホルダー15の外面15aの頂部には、下向きの凹部16が形成されている。
【0036】
図2に示すように、シフト用回動部材18がコントロールボックス11の内部に収容されている。シフト用回動部材18は、シフトケーブル19を介して船外機3のシフト機構9に接続されているとともに、スロットルケーブル20を介してエンジン7の燃料供給装置に接続されている。
【0037】
シフト用回動部材18は、その中央部にボス部22を有している。ボス部22は、第1の端面23aおよび第2の端面23bを有している。第1の端面23aは、コントロールボックス11の左側面11aの側に位置されている。四角い嵌合穴24aが第1の端面23aに形成されている。嵌合穴24aは、開口部14aからコントロールボックス11の外に露出されている。第2の端面23bは、コントロールボックス11の右側面11bの側に位置されている。四角い嵌合穴24bが第2の端面23bに形成されている。嵌合穴24bは、開口部14bからコントロールボックス11の外に露出されている。
【0038】
操作レバー12は、シフト用回動部材18を回動させる要素であって、コントロールボックス11の右側面11bに取り付けられている。本実施形態の操作レバー12は、コントロールボックス11に対し垂直に起立したニュートラル位置と、ニュートラル位置からコントロールボックス11の前方に向けて回動される第1の操作位置と、ニュートラル位置からコントロールボックス11の後方に向けて回動される第2の操作位置と、に亘って操船者により人為的に操作される。
【0039】
第1の操作位置は、エンジン7をアイドリング状態に保ちつつ船舶1が前進する方向にシフト機構9を切り換えるシフト領域と、船舶1が前進する方向にシフト機構9を保持したまま燃料供給装置のスロットルを開閉するスロットル領域と、を有している。
【0040】
同様に、第2の操作位置は、エンジン7をアイドリング状態に保ちつつ船舶1が後進する方向にシフト機構9を切り換えるシフト領域と、船舶1が後進する方向にシフト機構9を保持したまま燃料供給装置のスロットルを開閉するスロットル領域と、を有している。
【0041】
図5に示すように、操作レバー12は、レバー本体30、グリップ31、ロックレバー32およびカバー33を備えている。
【0042】
レバー本体30は、ベース部34および腕部35を含んでいる。図5および図6に示すように、ベース部34は、円盤状の支持壁36と、支持壁36を取り囲んだ外周壁37と、を備えている。支持壁36は、第1の面36aと、第1の面36aの背後に位置された第2の面36bと、を有する。外周壁37は、支持壁36と直交する方向に延びているとともに、第1の面36aおよび第2の面36bよりも支持壁36の厚み方向に張り出している。
【0043】
図6は、レバー本体30をベース部34の第1の面36aの方向から見た斜視図である。図6に示すように、支持壁36の第1の面36aの中央部に円筒状のボス部39が一体に突出されている。ボス部39は、ニュートラルロックホルダー15の内側に位置されるとともに、当該ボス部39の先端面に角柱状の嵌合突起40が同軸状に形成されている。嵌合突起40は、シフト用回動部材18の嵌合穴24bに取り外し可能に嵌り込んでいる。これにより、レバー本体30のベース部34がコントロールボックス11の右側面11bと向かい合っている。
【0044】
ベース部34の第1の面36aにガイド壁41が形成されている。ガイド壁41は、ボス部39を同軸状に取り囲んでいる。ガイド壁41とボス部39との間には、ニュートラルロックホルダー15が摺動可能に入り込むリング状のガイド溝42が形成されている。さらに、ベース部34の支持壁36にハーネス挿通孔43が形成されている。ハーネス挿通孔43は、ガイド壁41と外周壁37との間に位置するとともに、ボス部39を中心とする円弧を描くように湾曲された開口形状を有している。
【0045】
図5図6および図8に示すように、レバー本体30の腕部35は、ベース部34から一体的に延出されている。具体的に述べると、腕部35は、ベース部34の支持壁36の外周部から支持壁36の径方向に直線的に突出されている。腕部35の幅Wは、ベース部34の直径Dよりも小さい。
【0046】
図6図9および図10に示すように、本実施形態の腕部35は、一対の対向壁44a,44bと連結壁45とで構成されている。対向壁44a,44bは、腕部35の幅方向に互いに間隔を存して向かい合っている。対向壁44a,44bの基端は、ベース部34の外周壁37に滑らかな円弧を描いて一体的に連なっている。連結壁45は、対向壁44a,44bを結合するように、当該対向壁44a,44bの間に跨っている。したがって、本実施形態の腕部35は、H形の断面形状を有している。
【0047】
腕部35は、第1の溝部46aおよび第2の溝部46bを有している。第1の溝部46aは、連結壁45の一方の面と対向壁44a,44bの内面とで規定されて、ベース部34の第1の面36aの側に位置されている。第2の溝部46bは、連結壁45の他方の面と対向壁44a,44bの内面とで規定されて、ベース部34の第2の面36bの側に位置されている。
【0048】
第1の溝部46aおよび第2の溝部46bは、腕部35の長手方向に真っ直ぐに延びているとともに、連結壁45を間に挟んで操作レバー12の左右方向に並んでいる。さらに、第1の溝部46aおよび第2の溝部46bは、互いに対称な形状を有している。したがって、腕部35は、左右対称に形成されている。
【0049】
図3および図8に最もよく示されるように、腕部35の連結壁45の基端とベース部34の支持壁36との間に四角い貫通孔47が形成されている。貫通孔47は、第1の溝部46aおよび第2の溝部46bに開口されている。貫通孔47は、操作レバー12がニュートラル位置に回動された時に、ニュートラルロックロックホルダー15の凹部16と合致する。
【0050】
貫通孔47と隣り合う連結壁45の基端に円柱状のボス部48が形成されている。ボス部48は、第1の端部49a、第2の端部49bおよびねじ孔50を有している。第1の端部49aは、第1の溝部46aに位置されている。第2の端部49bは、第2の溝部46bに位置されている。ねじ孔50は、第1の端部49aの先端面および第2の端部49bの先端面に開口されている。
【0051】
さらに、腕部35の連結壁45は、ベース部34の反対側に位置された先端を有し、当該先端に連結壁45の基端に向けて凹むように切り欠かれたカット部51が形成されている。
【0052】
図5および図8に示すように、レバー本体30のベース部34にハーネス収納部52が設けられている。ハーネス収納部52は、支持壁36の第2の面36bの上に位置されているとともに、支持壁36の中央部よりも腕部35の一方の対向壁44aの側に片寄っている。本実施形態のハーネス収納部52は、蛇行状に折れ曲がった通路53を有する。通路53の一端は、一方の対向壁44aの基端に向けて延びている。通路53の他端は、支持壁36の第2の面36bの上に開口されている。
【0053】
図5および図8に示すように、レバー本体30の腕部35は、配線溝54を備えている。配線溝54は、腕部35の長手方向に沿って直線状に延びている。本実施形態では、配線溝54は、一方の対向壁44aの一側縁部に形成されて、第1の溝部46aおよび第2の溝部46bから外れている。配線溝54の一端は、腕部35の先端のカット部51に開口されている。配線溝54の他端は、ハーネス収納部52を構成する通路53の一端に連通されている。
【0054】
図3および図5に示すように、操作レバー12のグリップ31は、グリップ本体60およびハンドル61を備えている。グリップ本体60は、レバー本体30の腕部35に対し、レバー本体30の右側又は左側のいずれの側からでも腕部35に引き抜き可能に取り付けられている。
【0055】
具体的には、図5図9および図10に示すように、グリップ本体60は、一対の外壁62a,62bおよび側壁63を有している。外壁62a,62bは、腕部35の対向壁44a,44bを外側から覆うように互いに間隔を存して向かい合っている。本実施形態では、外壁62a,62bの内面に対向壁44a,44bが摺動可能に嵌り合うガイド溝64a,64bが形成されている。
【0056】
グリップ本体60の外壁62a,62bは、対向壁44a,44bの一側縁部および他側縁部に重なり合って、当該両側縁部を対向壁44a,44bの全長に亘って連続して覆っている。それとともに、外壁62aの縁部は、配線溝54の少なくとも一部を覆うように配線溝54の上に張り出している。
【0057】
グリップ本体60の側壁63は、外壁62a,62bを結合するように、外壁62a,62bの側縁の間に跨っている。操作レバー12がコントロールボックス11の右側面11bに取り付けられた状態では、グリップ本体60の側壁63は、第1の溝部46aをレバー本体30の左側から覆っている。
【0058】
図2図3および図5に示すように、ハンドル61は、グリップ本体60の先端部に一体に形成されている。ハンドル61は、例えば操船者が右手で把持する要素であって、グリップ本体60と直交するように操作レバー12の左右方向に水平に延びている。ハンドル61は、レバー本体30のベース部34に向けて開口された中空の筒状であって、当該ハンドル61の左端部にスイッチ支持部65が一体に形成されている。スイッチ支持部65は、グリップ本体60の側壁63よりもグリップ本体60の左側に張り出している。
【0059】
図9に示すように、スイッチ支持部65の内面にねじ受け部67が一体に形成されている。ねじ受け部67は、スイッチ支持部65の内面から腕部35の連結壁45に向けて突出されている。固定具としてのねじ68が連結壁45を貫通してねじ受け部67にねじ込まれている。このねじ込みにより、グリップ31がレバー本体30の腕部35に保持されている。グリップ31が腕部35に保持された状態では、カット部51を有する腕部35の先端部がスイッチ支持部65の内側に位置されている。
【0060】
図2に示すように、グリップ31は、スイッチ支持部65の左端面に開口されたスイッチ取り付け口69を有している。スイッチの一例であるチルトスイッチ71がスイッチ取り付け口69に嵌め込まれている。チルトスイッチ71は、船外機3をチルトアップ又はチルトダウンさせるアクチュエータ6を制御する要素であって、操作釦72およびワイヤーハーネス73を備えている。
【0061】
操作釦72は、操船者がハンドル61を把持した右手の親指で操作し得るように、スイッチ取り付け口69から露出されている。ワイヤーハーネス73は、ケーブルの一例であって、チルトスイッチ71から引き出されている。本実施形態では、ワイヤーハーネス73は、グリップ本体60をレバー本体30の脚部35から引き抜くに足りる長さを有している。具体的には、ワイヤーハーネス73は、例えば腕部35の全長の少なくとも二倍以上の長さを有している。
【0062】
図11に示すように、ワイヤーハーネス73は、スイッチ支持部65の内側からカット部51を通して配線溝54に引き回されている。さらに、ワイヤーハーネス73は、配線溝54からハーネス収納部52の通路53を経由してベース部34の第1の面36aの上に導かれた後、ハーネス挿通孔43を通じて操作レバー12の外に引き出されている。
【0063】
すなわち、ワイヤーハーネス73は、レバー本体30のベース34の上を通過する中間部分を有し、当該中間部分がハーネス収納部52の通路53に沿って挿通されている。このため、ワイヤーハーネス73の中間部分は、蛇行状に折れ曲がった形態でハーネス収納部52に引き抜き可能に収納されている。よって、操作レバー12の内側においてワイヤーハーネス73の配線長が十分に確保されている。
【0064】
さらに、ワイヤーハーネス73の引き出し端は、コントロールボックス11の内部に引き回された後、図1に示す中継用ワイヤーハーネス74を介してアクチュエータ6に接続されている。
【0065】
ロックレバー32は、操作レバー12を中立位置にロックするための要素である。図5に示すように、ロックレバー32は、腕部35の長手方向に真っ直ぐに延びたスライド部80と、スライド部80の長手方向に沿う一端に設けられた握り部81と、スライド部80の長手方向に沿う他端に設けられた係合部82と、を備えている。
【0066】
図8および図9に示すように、スライド部80は、レバー本体30の第1の溝部46a又は第2の溝部46bのいずれにもスライド可能に嵌合可能な形状を有している。本実施形態では、スライド部80は、第2の溝部46bにスライド可能に嵌合されて、グリップ本体60の外壁62a,62bの他側縁部の間に介在されている。
【0067】
スライド部80の一側縁部は、配線溝54の一部の上に張り出すことで、配線溝54に沿って配線されたワイヤーハーネス73を覆い隠している。さらに、スライド部80は、第2の溝部46b内に位置されたリブ83a,83bを有している。リブ83a,83bの先端は、第2の溝部46bの底となる連結壁45に摺動可能に接することで、スライド部80を支えている。
【0068】
図5および図7に示すように、スライド部80の他端部に、ガイド孔85が形成されている。ガイド孔85は、スライド部80のスライド方向に沿う長孔である。ガイド孔85は、連結壁45から突出されたボス部48に対応した位置にあり、当該ボス部48の第2の端部49bがガイド孔85に摺動可能に嵌合されている。第2の端部49bの先端面にねじ86を介して平ワッシャ87が固定されている。平ワッシャ87は、ガイド孔85の開口周縁に摺動可能に接触することで、スライド部80を第2の溝部46bに保持している。
【0069】
握り部81は、スライド部80の一端からスライド部80の右側に略水平に延びている。握り部81は、グリップ31のハンドル61の内側に嵌り込むとともに、握り部81の下部がハンドル61の下方に張り出している。
【0070】
係合部82は、スライド部80の他端からスライド部80の左側に略水平に延びているとともに、レバー本体30の貫通孔47を貫通している。係合部82は、第1の角部88aおよび第2の角部88bを有する。第1の角部88aは、スライド部80の真下に位置されて、第2の溝部46bの端部に位置されている。第2の角部88bは、係合部82の先端に位置されて、第1の溝部46aの端部に位置されている。
【0071】
ロックレバー32は、ロック位置とロック解除位置との間でスライド可能となっている。ロック位置では、ロックレバー32の係合部82の第2の角部88bがニュートラルロックホルダー15の凹部16に嵌合し、操作レバー12がニュートラル位置にロックされる。ロック解除位置では、ロックレバー32の係合部82の第2の角部88bがニュートラルロックホルダー15の凹部16から離脱し、操作レバー12のロックが解除される。さらに、ロック位置では、握り部81がグリップ31のハンドル61の下方に進出し、当該握り部81を右手の指先でロック解除方向に容易に操作し得るようになっている。ロックレバー32は、図示しないスプリングにより常にロック位置に向けて付勢されている。
【0072】
図5および図7に示すように、カバー33は、レバー本体30のベース部34に取り外し可能に支持されている。カバー33は、支持壁36と向かい合う円盤状の側壁部91と、ベース部34の外周壁37に被さる周壁部92とを有する。ベース部34のハーネス収納部52、ハーネス収納部52から引き出されたワイヤーハーネス73の中間部分およびハーネス挿通孔43は、カバー33の側壁部91で覆われている。
【0073】
図3および図5に示すように、カバー33は、薄い片部93を有している。片部93は、側壁部91の周縁の一部からロックレバー32のスライド部80の上に張り出すとともに、グリップ本体60の外壁62a,62bの他側縁部の間に介在されている。
【0074】
本実施形態では、ロックレバー32をロック解除位置にスライドさせた時に、片部93がスライド部80のガイド孔85の上部と重なり合う。言い換えると、片部93がガイド孔85の上部を覆い隠す。この結果、ガイド孔85を通じてレバー本体30の腕部35の内側が外から見えることはなく、操作レバー12の外観を良好に維持できる。それとともに、例えば塵埃等の異物がガイド孔85から第2の溝部46bに入り込むのを防止できる。
【0075】
一方、図16に示すように、リモートコントロール装置10を操縦盤5の右側面5aから船体2の右舷内面2aに付け替える場合、コントロールボックス11の右側面11bが右舷内面2aに固定される。このため、操作レバー12およびニュートラルロックホルダー15は、コントロールボックス11の右側面11bから取り外してコントロールボックス11の左側面11aに移し替えることが必要となる。
【0076】
この際、単に操作レバー12を左右に反転させてコントロールボックス11の左側面11aに取り付けると、チルトスイッチ71の操作釦72がハンドル61の右端部に位置されてしまい、操作釦72を右手の親指で操作することができなくなる。
【0077】
そこで、本実施形態では、操作レバー12をコントロールボックス11の右側面11bから左側面11aに移し替えるに当たって、レバー本体30からカバー33、グリップ31およびロックレバー32を取り外し、取り外したグリップ31およびロックレバー32を左右に反転させてレバー本体30に再度組み付けている。
【0078】
具体的には、最初にレバー本体30のベース部34からカバー33を取り外す。カバー33を外すと、図7に示すようにねじ86が露出されるので、ねじ86を緩めてロックレバー32をレバー本体30の第2の溝部46bから取り外す。ロックレバー32を外すと、今度は図11に示すように連結壁45の上のねじ68が露出されるので、ねじ68を緩めてレバー本体30に対するグリップ31の固定を解除する。
【0079】
この後、図12に矢印で示すように、チルトスイッチ71が組み込まれたグリップ31をレバー本体30の腕部35に沿ってスライドさせ、グリップ31をレバー本体30から引き抜く。グリップ31をレバー本体30から引き抜いていくと、ワイヤーハーネス73が引っ張られる。このため、ハーネス収納部52に収納されたワイヤーハーネス73の中間部分がハーネス収納部52の通路53から腕部35の配線溝54に向けて順次繰り出されていく。
【0080】
引き続いて、グリップ31を左右に反転させるとともに、図13に矢印で示すように反転させたグリップ31をレバー本体30の腕部35に差し込む。この際、チルトスイッチ71から引き出されたワイヤーハーネス73がグリップ本体60と腕部35との間に噛み込まれないように注意する。さらに、図14に示すように、ワイヤーハーネス73を配線溝54からハーネス収納部52の通路53を通して支持壁36の第2の面36bの上に導くとともに、ハーネス挿通孔43から操作レバー12の外に引き出す。
【0081】
この後、ねじ68を用いてグリップ31をレバー本体30に保持する。引き続いて、腕部35の第1の溝部46aにロックレバー32のスライド部80を嵌め込み、ねじ86および平ワッシャ87を用いてロックレバー32を第1の溝部46aにスライド可能に保持する。これにより、ロックレバー32の握り部81がグリップ31のハンドル61の内側に入り込むとともに、ロックレバー32の係合部82の第1の角部88aが第1の溝部46aの端部に位置される。
【0082】
最後に、レバー本体30のベース部34にカバー33を取り付け、カバー33の側壁部91でハーネス収納部52やワイヤーハーネス73の中間部分を覆い隠す。
【0083】
このようにして操作レバー12の組み立てが完了したら、操作レバー12の嵌合突起40を、コントロールボックス11の左側面11aに露出されたシフト用回動部材18の嵌合孔24aに嵌め込む。
【0084】
図15および図16は、操作レバー12をコントロールボックス11の左側面11aに取り付けた状態を示している。図15および図16に示すように、グリップ31は、図2と同じ向きでレバー本体30の腕部35に固定され、第2の溝部46aから第1の溝部46bに移し替えられたロックレバー32にしても、図2と同じ向きで腕部35に保持されている。
【0085】
このため、操作レバー12をコントロールボックス11の左側面11aに取り付けた場合でも、グリップ31のハンドル61の向きは、操作レバー12がコントロールボックス11の右側面11bに取り付けられた時と同様となる。したがって、ハンドル61の左端部にチルトスイッチ71の操作釦72が位置される。
【0086】
さらに、図16に示すように、操作レバー12をコントロールボックス11の左側面11aに取り付けた状態において、ロックレバー32がロック位置にスライドされると、係合部82の第1の角部88aがニュートラルロックホルダー15の凹部16に嵌合し、操作レバー12をニュートラル位置にロックする。ロックレバー32がロック位置からロック解除位置にスライドされると、係合部82の第1の角部88aがニュートラルロックホルダー15の凹部16から離脱し、操作レバー12のロックが解除される。
【0087】
本発明の実施形態によれば、操作レバー12がコントロールボックス11の右側面11bから左側面11aあるいは左側面11aから右側面11bに付け替えられたとしても、常にグリップ31のハンドル61の左端部にチルトスイッチ71を位置させることができる。
【0088】
この結果、操船者は右手の親指で操作レバー12を操作することができる。よって、操作レバー12の位置が左右に反転するような状況下においても、チルトスイッチ71の操作性が良好となる。
【0089】
加えて、本発明の実施形態によると、ワイヤーハーネス73の中間部分は、蛇行状に折れ曲がった形態でハーネス収納部52に引き抜き可能に収納されている。このため、レバー本体30の腕部35からグリップ31を引き抜くと、この引き抜きに追従してワイヤーハーネス73がハーネス収納部52から配線溝54に向けて繰り出される。
【0090】
このことから、ワイヤーハーネス73の配線長を操作レバー12の内側において十分に確保することができる。したがって、チルトスイッチ71が設けられたグリップ31をレバー本体30の腕部35に対し左右に反転させる際に、その都度、チルトスイッチ71をグリップ31から取り外したり、ワイヤーハーネス73の配線経路を変更する必要はない。よって、ワイヤーハーネス73が引き出されたチルトスイッチ71をグリップ31に取り付けたままの状態で、グリップ31を左右に反転させることができ、グリップ31の反転時の作業性が向上する。
【0091】
さらに、本発明の実施形態では、レバー本体30の配線溝54は、ロックレバー32がスライド可能に嵌め込まれる第1の溝部46aおよび第2の溝部46bから外れた位置に設けられている。このため、ロックレバー32を第1の溝部46aから第2の溝部46b又は第2の溝部46bから第1の溝部46aに付け替える際に、配線溝54に通されたワイヤーハーネス73が邪魔にならず、ロックレバー32の反転作業を容易に行なうことができる。それとともに、ワイヤーハーネス73がロックレバー32と腕部35との間に噛み込まれることもなく、ワイヤーハーネス73の損傷を回避することができる。
【0092】
以上、本発明の実施形態を説明したが、当該実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。前記新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0093】
例えば、ケーブル収納部は、蛇行状に折れ曲がった通路を有する構成に特定されず、隔壁によって仕切られた一つの室として、当該室内にワイヤーハーネスを無造作に収納するようにしてもよい。
【0094】
さらに、レバー本体の腕部にしても断面H形の形状に限らない。例えば、一対の対向壁の間を複数の横桟で連結することで腕部を梯子形の形態にしたり、あるいは一つの対向壁を省略して腕部の断面形状をT形としてもよい。
【0095】
加えて、操作レバーからロックレバーを省略してもよい。
【0096】
それとともに、リモートコントロール装置は、船外機のような船舶推進器を操作する船舶用に特定されず、例えばレッカー車のクレーン又は建設機械のクレーンを操作する要素としても活用できる。
【符号の説明】
【0097】
10…リモートコントロール装置、11…コントロールボックス、11a…左側面、11b…右側面、12…操作レバー、18…回動部材(シフト用回動部材)、30…レバー本体、31…グリップ、34…ベース部、35…腕部、52…収納部(ハーネス収納部)、61…ハンドル、71…スイッチ(チルトスイッチ)、73…ケーブル(ワイヤーハーネス)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図16