【実施例1】
【0013】
以下、本発明の実施例を図に従って説明する。
図1乃至
図5に示すように連続シートとしての剥離シート1の表面基材シート1aに印刷されたラベル図柄1bのみを切断して剥離基材シート1cにラベル3が粘着したままの状態でラベル形成する
連続シートラベル形成装置5は、剥離シート1に対して所要の張力を付与しながら切断位置へ繰り出させる剥離シート繰出し手段7と、連続剥離シート1の表面基材シート1aに印刷されたラベル図柄1bに沿ってレーザ光を出力してラベル3を切断するレーザ光切断手段9と、剥離シート1を切断位置へ連続的に移送する剥離シート移送手段11及びラベル図柄1bの外形に沿って切断形成されたラベル3が粘着した状態の剥離基材シート1cを巻き取ると共に剥離基材シート1cから剥離されてラベル3が切断除去されたスクラップ表面基材シート1dを巻き取るシート巻取り手段12とから構成される。
【0014】
上記剥離シート1の表面基材シート1aには、多数のラベル図柄1bが移送直交方向に対して一定の間隔をおき、かつ移送方向に対して単列または複数列で印刷される。また、表面基材シート1aにおける移送直交方向の一方端部には、被検知部1eがラベル図柄1bの行位置毎に設けられる。被検知部1eとしては、印刷されたパイロットマークやパイロット孔であってもよい。
【0015】
本例においては、表面基材シート1aに移送直交方向へ所定の間隔をおいて2個で、かつ移送方向に対して2列に配列された多数のラベル図柄1bが印刷されている。
【0016】
剥離シート繰出し手段7は、
連続シートラベル形成装置5の本体フレーム13におけるテーブル13aのシート送り方向上手側下方に配置され、長尺状の剥離シート1が卷回された
原反ロール15が装着される原反支持軸17と、
原反ロール15から繰出された剥離シート1を挟持して張力を付与する張力付与手段としての回転ローラ19a及び押圧ローラ19bとにより構成される。
【0017】
上記原反支持軸17には、ブレーキ機構21が連結され、常には移送方向と同方向へ回転し、繰出された剥離シート1に作用する張力が所定値以上に達した際には空転して剥離シート1に作用する張力を一定に保持する。該ブレーキ機構21としては、磁気粘性流体(以下、MR流体と称する。)を使用し、磁場により粘度を調整して制動するブレーキ、ばね等を使用した機械式ブレーキ等のいずれであってもよいが、MR流体を使用したクラッチにあっては、回転力の伝達が完全に遮断されないため、剥離シート1に対して常に一定の張力を付与することができる。
【0018】
また、押圧ローラ19bは、本体フレーム13に搖動するように支持された搖動アーム19cの一椀部に回転するように支持されると共に該搖動アーム19cの他椀部には、本体フレーム13に取り付けられたエアーシリンダや電磁ソレノイド等の作動部材19dが連結され、作動部材19dの作動により搖動アーム19cを、押圧ローラ19bが回転ローラ19aの外周面に圧接するように付勢し、両者間を通過する剥離シート1を挟持して送り力を付与する。
【0019】
テーブル13aのシート送り方向上手側には、転向ガイド25が設けられ、回転ローラ19a及び押圧ローラ19bにより挟持されて
原反ロール15から繰出された剥離シート1をテーブル13aにおける切断位置に向かうように転向させる。
【0020】
テーブル13aにおける切断位置より移送方向上手側には、移送方向上手から下手に向かって検知ローラ27及びマーク検知器29が順に設けられる。上記検知ローラ27は、剥離シート1における移送直交方向の一方端部に位置するように配置される。該検知ローラ27は、軸端部が支持フレーム31に軸支され、該支持フレーム31には、上下方向に軸線を有して本体フレーム13に昇降するように支持された支持軸33が固定される。該支持フレーム31は、支持軸33に装着された圧縮ばね等の弾性部材35の弾性力により検知ローラ27をテーブル13aの上面に圧接させる。
【0021】
検知ローラ27には、ロータリーエンコーダ等の移送検知器(図示せず)が設けられ、テーブル13a上に支持されて移送される剥離シート1の移送量(移送速度)に応じた検知信号を出力する。そして制御手段(図示せず)は、移送検知器からの検知信号に基づいて剥離シート1の移送量を演算し、後述するレーザ光切断手段9によるレーザ光の出力を制御する信号及び電動モータ43の駆動を制御する信号とする。
【0022】
また、マーク検知器29は、光発光部材及び光受光部材を備えた光学的検知器で、被検知部1eに相対する箇所に設けられる。該マーク検知器29は、テーブル13a面上を移送される剥離シート1の被検知部1eを検知してマーク検知信号を出力する。
【0023】
なお、上記制御手段は、上記マーク検知器29が被検知部1eを検知したタイミングで移送検知器から出力される検知信号をラッチして剥離シート1の移送量を演算する。そして制御手段は、演算された移送量(移送速度)に基づいて後述するレーザ光切断手段9におけるガルバノスキャナ装置65のX軸駆動モータ、Y軸駆動モータ及びZ軸駆動モータの駆動タイミングを決定すると共に電動モータ43の駆動量を決定する。
【0024】
上記テーブル13aの移送方向下手側には、剥離シート移送手段11が設けられる。該剥離シート移送手段11は、送りローラ39及び押圧ローラ41により構成される。上記送りローラ39には、数値制御可能なサーボモータ等の電動モータ43が連結され、上記した移送検知器からの検知信号に基づいて演算される剥離シート1の移送量に基づいて駆動制御される。
【0025】
また、押圧ローラ41は、本体フレーム13に搖動するように支持された搖動アーム45の一椀部に回転可能に軸支される。該搖動アーム45の他椀部には、本体フレーム13に取り付けられたエアーシリンダや電磁ソレノイド等の作動部材47が連結され、上記送りローラ39の外周面に圧接して両者間を通過する剥離シート1を挟持して移送可能にする。
【0026】
上記送りローラ41の移送方向下手側には、シート巻取り手段12の一部を構成する巻取り軸49が設けられ、該巻取り軸49には、巻取りリール51が回り止めされて交換可能に取り付けられる。該巻取りリール51は、後述するレーザ光切断手段9により表面基材シート1aのラベル図柄1bの外形に沿って切断されて形成されるラベル3が貼着されたままで、表面基材シート1aが剥離された剥離基材シート1cを巻き取る。
【0027】
上記巻取り軸49には、パウダークラッチ機構(図示せず)を介して電動モータ53が連結され、一定の張力以下においては、巻取り軸49を巻取り方向へ回転させる一方、上記張力が一定値以上になった際には巻取り軸49に対する回転力の伝達力を変動させる。該電動モータ53のクラッチ機構としては、上記ブレーキ機構21と同様にMR流体を使用し、磁場により粘度を調整して駆動力を継断するクラッチ、ばね等を使用した機械式クラッチ等のいずれであってもよい。
【0028】
上記送りローラ39の移送方向下手側上方には、シート巻取り手段12の一部を構成するスクラップ巻取り軸57は、電動モータ55に連結され、スクラップ巻取りリール59が回り止めされ、かつ交換可能に取り付けられる。該スクラップ巻取りリール59は、剥離基材シート1cから剥離され、ラベル3が抜き取られたスクラップ表面基材シート1dを巻き取る。
【0029】
なお、図中の符号58は、スクラップ巻取りリール59に巻き取られたスクラップ表面基材シート1dの外周面に圧接して巻き締めする押圧ローラで、該押圧ローラ58は、本体フレーム13に搖動するように支持された搖動アーム60の自由端側に回転するように支持される。
【0030】
上記電動モータ55にあっては、搖動アーム60の基端部に角度検知器(図示せず)が設けられ、スクラップ巻取りリール59の径に対応して角度検知器から出力される信号に基づいて電動モータ55の駆動量を可変してスクラップ表面基材シート1dを巻き取るよう制御される。
【0031】
上記マーク検知器29から移送方向下手側へ所定の距離をおいた本体フレーム13には、レーザ光切断手段9がテーブル13aに対して所要の間隔をおいて相対し、かつその照射原点位置が移送される剥離シート1における移送直交方向中間部に位置するように設けられる。該レーザ光切断手段9は、レーザ光を出力するレーザ光発振装置61と、レーザ光発振装置61から出力されるレーザ光を伝播する導波管63と、ガルバノスキャナ装置65により構成される。
【0032】
レーザ光発振装置61は、例えばYAGレーザ発振器、エキシマレーザ発振器、CO2レーザ発振器、ファイバレーザ等のレーザ光発振器及び光学レンズ(いずれも図示せず)により構成され、連続レーザ光を出力する。また、ガルバノスキャナ装置65は、X軸駆動モータに取り付けられたX軸スキャンミラーと、Y軸駆動モータに取り付けられたY軸スキャンミラー及びZ軸駆動モータに取り付けられた集光レンズ(いずれも図示せず)等の公知の構造で構成される。
【0033】
なお、本例のように表面基材シート1aからラベル図柄1bの外形に沿って連続レーザ光を出力してラベル3を切断分離するが、ラベル図柄1bの外形に沿ったミシン目を形成する場合には、パルスレーザ光を出力するようにする。
【0034】
ガルバノスキャナ装置65は、制御手段の記憶手段(図示せず)に予め記憶されたラベル図柄1b外形に対応するパターンデータ及び移送直交方向に対するラベル図柄1bの個数データ等に基づいてX軸駆動モータ及びY軸駆動モータを駆動制御して回転するX軸スキャンミラー及びY軸スキャンミラーによりレーザ光発振装置61から出力されて伝播されたレーザ光をX−Yの二次元方向へスキャンすると共にZ軸駆動モータを駆動制御して集光レンズをZ軸方向へ移動してレーザ光をラベル図柄1bが印刷された表面基材シート1aのみをレーザ光の熱エネルギーにより切断するように収斂する。
【0035】
次に、上記のように構成された
連続シートラベル形成装置5によるラベル3の切断形成作用を説明すると、先ず、剥離シート1は、
連続シートラベル形成装置5において以下のように掛渡されて移送されると共に巻き取られる。
【0036】
原反ロール15から繰出された剥離シート1は、回転ローラ19a及び押圧ローラ19b、転向ガイド25を経てテーブル13a面上に支持された後に、送りローラ39及び押圧ローラ41を経て分離された剥離基材シート1cが巻取りリール51に、また表面基材シート1aがスクラップ巻取りリール59にそれぞれ巻き取られるように掛渡される。(
図2参照)
【0037】
上記の掛渡状態において、
原反ロール15に卷回された剥離シート1は、電動モータ23の駆動に伴って移送方向へ回転する回転ローラ19a及びこれに圧接する押圧ローラ19bにより挟持されながら
原反ロール15から繰出される。
【0038】
このとき、
原反ロール15から繰出される剥離シート1は、ブレーキ機構21により一定の張力が付与された状態で移送されると共に緊急停止時に発生する慣性力により
原反ロール15が空転するのを防止し、緊張状態を保って皺等の発生を防止する。
【0039】
なお、回転ローラ19a及び押圧ローラ19bと
原反ロール15の間の剥離シート1に作用する張力が所定値以上になると、ブレーキ機構21により原反支持軸17に対する電動モータ23の回転駆動力が伝達されるのを制御して剥離シート1に作用する張力を一定にし、該剥離シート1が延伸したり、破断したりするのを防止する。
【0040】
そして回転ローラ19a及び押圧ローラ19bから転向ガイド25を経てテーブル13a面上に支持された剥離シート1は、押圧ローラ41との協働により挟持して電動モータ43の駆動により回転する送りローラ39により所定の送り量で移送される。
【0041】
剥離シート1がテーブル13a面上にて移送される際、剥離シート1の表面基材シート1aに設けられた被検知部1eがマーク検知器29により検知されるタイミングで剥離シート1の移送直交方向端部に圧接して回転する検知ローラ27に設けられた移送検知器から出力される信号をラッチして剥離シート1の移送量(移送速度)を演算し、演算された移送量に基づいてガルバノスキャナ装置65のX軸駆動モータ、Y軸駆動モータ、Z軸駆動モータの駆動開始タイミング(スキャン開始タイミング)を決定する。(
図6参照)
【0042】
即ち、上記マーク検知器29とテーブル13aの切断開始位置が所定の間隔をおいて設定されているため、マーク検知器29から出力されるマーク検知信号を基準に移送検知器から出力される位置検知信号に基づいて演算される剥離シート1の移送速度により表面基材シート1aに印刷されたラベル図柄1bの切断開始箇所が切断開始位置に至るタイミングを演算する。
【0043】
そしてラベル図柄1bの切断開始箇所が切断開始位置に移送されると、剥離シート1の移送に同期してガルバノスキャナ装置65のX軸駆動モータ、Y軸駆動モータ、Z軸駆動モータを記憶手段から読み出されたパターンデータ及びラベル図柄1bの個数データに基づいて駆動制御して出力されるレーザ光をラベル図柄1bの外形に沿ってX−Y軸方向へスキャンすると共に集光レンズをZ軸方向へ移動制御してレーザ光を剥離シート1の表面基材シート1aに収斂するように照射し、その熱エネルギーにより切断してラベル3を形成する。
【0044】
なお、上記したレーザ光の照射時においては、剥離シート1の表面基材シート1aがラベル図柄1bの外形に沿って切断される一方、剥離基材シート1cが被切断状態に保たれるため、切断形成されたラベル3は、剥離基材シート1cに貼着されたままの状態で移送方向下手側へ移送される。
【0045】
そして送りローラ39及び押圧ローラ41を通過した剥離シート1は、表面にラベル3が貼着したままの剥離基材シート1cからラベル3が抜き取られたスクラップ表面基材シート1dが剥離された後、ラベル3が貼着したままの剥離基材シート1cは、電動モータ53により回転駆動される巻取りリール51に、またスクラップ表面基材シート1dは、スクラップ巻取りリール59にそれぞれ巻き取られる。(
図7参照)
【0046】
なお、巻取りリール51に巻き取られるラベル3が貼着したままの剥離基材シート1cに作用する張力が一定値以上になった際には、該電動モータ53のクラッチ機構により巻取り軸49に対する電動モータ53の駆動力の伝達を制御して剥離基材シート1cが破断されるのを防止する。
【0047】
本実施例は、剥離シート1を移送しながらラベル図柄1bの外形に沿ってレーザ光を三次元方向へ走査して表面基材シート1aのみを切断してラベル形成するため、剥離シート1の移送を継断してラベル3を形成する従来の装置に比べてラベル3を効率的に形成することができる。
【0048】
また、切断位置の移送方向上手に設けられた移送検知器からの信号に基づいてレーザ光切断手段9によるレーザ光の走査開始タイミングを決定するため、ラベル図柄1bの外形に沿ってレーザ光を確実に走査させて切断することができ、高品質のラベル3を切断形成することができる。
【0049】
しかも、マーク検知器29により被検知部1eを検知したタイミングで移送検知器からの信号をリセットするため、移送検知器による検知誤差の蓄積を抑制して高い位置精度でレーザ光の走査開始タイミングを決定することができる。
【0050】
本発明は、以下のように変更実施することができる。
1.上記説明は、連続して切断位置に移送される剥離シート1に対してレーザ光を、表面基材シート1aに収斂するように出力して表面基材シート1aからラベル3を抜き出しできるように切断すると共に剥離基材シート1cにラベル3が貼着されたままの状態とする構成としたが、レーザ光を剥離基材シート1cに収斂するように出力して裏面に切断された剥離基材シート1cが一体化した状態でラベル3を形成してもよい。
【0051】
この場合にあっては、例えば切断位置の移送方向下手側に空気噴射部材を設け、剥離シート1に向かって圧縮空気を噴射して剥離シート1から裏面に剥離基材シート1cが粘着した状態のラベル3を分離するように構成する。
【0052】
2.上記説明は、連続シートを剥離シート1とすると共にラベル図柄1bに沿った表面基材シート1aを切断する構成としたが、連続シートとしては、1枚状の紙シート、合成樹脂シートであってもよい。
【0053】
3.上記説明は、剥離シート1を切断位置にて停止することなく連続して移送しながらレーザ光を出力してラベル3を形成する構成としたが、切断位置に対して連続シートを間欠移送し、該切断位置に図柄が位置するように停止した連続シートにレーザ光を出力してラベル3を形成してもよい。
【0054】
この場合にあっては、上記1で述べたように切断位置の移送方向下手側に空気噴射部材を設け、剥離シート1に向かって圧縮空気を噴射して剥離シート1から裏面に剥離基材シート1cが一体化したラベル3を分離したり、切断位置に図柄に一致し、昇降すると共に移送直交方向へ移動する支持板を設け、連続シートからラベルが切断された際にラベルを支持した支持板を下降して連続シートから分離させると共に下降状態で移送直交方向へ移動してラベルを取り出し可能にする。
【0055】
4.上記説明は、剥離シート繰出し手段7にブレーキ機構21、シート巻き取り手段12の一部を構成する巻取り軸49を回転する電動モータ53にクラッチ機構を設け、繰出される剥離シート1、表面基材シート1aが分離された剥離基材シート1cに所定以上の張力が作用して破断するのを回避する構成としたが、合成樹脂シートのように引張強度が高い連続シートとする場合には、クラッチ無しの電動モータとしてもよい。
【0056】
5.上記説明は、マーク検知器29から出力されるマーク検知信号を基準に移送検知器から出力される位置検知信号に基づいて移送速度(移送量)を演算してレーザ光切断手段9におけるガルバノスキャナ装置65のX軸駆動モータ、Y軸駆動モータ及びZ軸駆動モータの駆動タイミングを決定すると共に電動モータ43の駆動量を決定する構成としたが、マーク検知器29からマーク検知信号が出力される毎に移送検知器から出力される位置検知信号をカウントし、該位置検知信号数が所定数に達した際にガルバノスキャナ装置65の駆動タイミングを決定する構成としてもよい。なお、この場合にあっては、電動モータ43を一定の駆動量で駆動して連続シートを定量移送する構成とする。
【0057】
6.上記説明は、集光レンズをZ軸方向へ移動制御して連続シート上にレーザ光を収斂する構成のガルバノスキャナ装置としたが、該ガルバノスキャナ装置としては、集光レンズの代わりにfθレンズを設けて連続シート上にレーザ光を収斂させて走査する構成としてもよい。