(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ロックレバーの回動軸の設置部から前記係止面に向かって延出するロック片は、前記ロックレバーの全回動範囲において、側面視で前記いずれか一方の部材の延在範囲内に収まるように形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用シートの傾動ロック装置。
前記ロックレバーの係止面と前記いずれか他方の部材の被係止面とは、前記ロックレバーの回動軸よりも下方領域で相互に係合することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の車両用シートの傾動ロック装置。
前記ロックレバーは、前記固定フレームに回動可能に軸支され、前記被係止面は前記可動フレームに設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の車両用シートの傾動ロック装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この従来の傾動ロック装置は、ロックレバーがロックスプリングによって付勢され、フック部内の底部付近が断面円形状のストッパピンと係合することでシートバックの前傾方向の回動をロックするものであるため、ロックレバーとストッパピンの製造誤差や組付誤差等により、ロック状態でのフック部とストッパピンの間のガタツキが大きくなり易い。即ち、従来の傾動ロック装置は、各部にある程度の誤差があってもフック部とストッパピンとによる確実なロック作動を得られるように設計しなければならず、ロック状態でのフック部とストッパピンの間のガタツキはある程度以上には小さくすることができない。
【0006】
そこでこの発明は、各部に誤差があってもロック部分でのガタツキを効率的に低減することのできる車両用シートの傾動ロック装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この出願に係る一の形態の車両用シートの傾動ロック装置は、シートクッションに設けられる固定フレームと、シートバックに設けられ、前記固定フレームに回動可能に連結される可動フレームと、前記固定フレームと前記可動フレームのいずれか一方の部材に回動可能に軸支され、前記固定フレームと前記可動フレームのいずれか他方の部材と係合することにより前記可動フレームの回動をロックするロックレバーと、前記ロックレバーを
、前記可動フレームの回動をロックするロック方向に付勢するロックスプリングと、を備え、前記固定フレームに対する前記可動フレームの回動角度が
後傾側の設定角度になったときに、前記ロックレバーが前記いずれか他方の部材の被係止面に係合する車両用シートの傾動ロック装置において、
前記ロックレバーと前記他方の部材には、前記固定フレームに対する前記可動フレームの回動角度が前傾側の所定の角度から前記設定角度まで回動変位する間に、前記ロックレバーを前記ロックスプリングの付勢力に抗して前記ロック方向と逆側に変位させる係止準備機構が設けられ、前記ロックレバーの係止面は、当該ロックレバーの回動中心を中心とした仮想円の円弧に沿った形状であり、前記固定フレームに対する前記可動フレームの回動角度が前記設定角度であるときに、前記ロックレバーのロック方向の回動に伴って前記被係止面との隙間が漸減し、かつ、いずれの面上位置で前記被係止面に押圧状態で接触したときにも、当該被係止面とのなす角度が前記可動フレームの回動を規制し得る角度となる連続面によって形成されていることを特徴とするものである。
これにより、ロック解除状態にある可動フレームが回動操作されて、固定フレームに対する可動フレームの回動角度が設定角度に達し、その状態でロックレバーがロック方向に回動すると、ロックレバーの係止面と被係止面の間の隙間が次第に減少する。この間、ロックレバーの係止面が、被係止面に対し面上のいずれかの位置で押圧状態で接触すると、その時点で回動フレームの傾動がロックされることになる。
【0008】
この出願に係る他の形態の車両用シートの傾動ロック装置は、シートクッションに設けられる固定フレームと、シートバックに設けられ、前記固定フレームに回動可能に連結される可動フレームと、前記固定フレームと前記可動フレームのいずれか一方の部材に回動可能に軸支され、前記固定フレームと前記可動フレームのいずれか他方の部材と係合することにより前記可動フレームの回動をロックするロックレバーと、前記ロックレバーを回動付勢するロックスプリングと、を備え、前記固定フレームに対する前記可動フレームの回動角度が設定角度になったときに、前記ロックレバーが前記いずれか他方の部材の被係止面に係合する車両用シートの傾動ロック装置において、前記ロックレバーの係止面は、当該ロックレバーの回動中心を中心とした仮想円の円弧に沿った形状であり、前記固定フレームに対する前記可動フレームの回動角度が前記設定角度であるときに、前記ロックレバーのロック方向の回動に伴って前記被係止面との隙間が漸減し、かつ、いずれの面上位置で前記被係止面に押圧状態で接触したときにも、当該被係止面とのなす角度が前記可動フレームの回動を規制し得る角度となる連続面によって形成され、前記いずれか一方の部材のシート幅方向外側には前記いずれか他方の部材と前記ロックレバーとが配置され、前記ロックレバーの係止面は、当該ロックレバーの回動軸の設置位置よりもシート幅方向外側に配置されている
ことを特徴とするものである。
この場合、ロックレバーの係止面がロックレバーの回動軸の設置位置よりもシート幅方向外側に配置されていることから、ロックレバーのロック作動時等に係止面の形成領域が、前記いずれか他方の部材の被係止面以外の領域と干渉するのを有効に抑制することができる。
【0009】
例えば、前記いずれか他方の部材の被係止面は、当該いずれか他方の部材の一部をシート幅方向外側に屈曲させた屈曲部分の屈曲線と交差する端面によって形成され、前記ロックレバーには、当該ロックレバーの回動軸の設置位置に対してシート幅方向外側に屈曲する屈曲部が設けられ、前記係止面は、前記ロックレバーの前記屈曲部を挟む前記回動軸と逆側の延出端に設けられるようにしても良い。
この場合、ロックレバーの係止面が前記いずれか他方の部材の屈曲部分の屈曲線から離間した位置において被係止面と当接することになる。前記いずれか他方の部材の屈曲部分の端面は屈曲線に近接する部位では面形状が安定しにくいが、屈曲部分の屈曲線から離間した位置では面形状が安定する。このため、ロックレバーの係止面は安定して被係止面に当接することになる。
【0010】
この出願に係るさらに他の形態の車両用シートの傾動ロック装置は、シートクッションに設けられる固定フレームと、シートバックに設けられ、前記固定フレームに回動可能に連結される可動フレームと、前記固定フレームと前記可動フレームのいずれか一方の部材に回動可能に軸支され、前記固定フレームと前記可動フレームのいずれか他方の部材と係合することにより前記可動フレームの回動をロックするロックレバーと、前記ロックレバーを回動付勢するロックスプリングと、を備え、前記固定フレームに対する前記可動フレームの回動角度が設定角度になったときに、前記ロックレバーが前記いずれか他方の部材の被係止面に係合する車両用シートの傾動ロック装置において、前記ロックレバーの係止面は、当該ロックレバーの回動中心を中心とした仮想円の円弧に沿った形状であり、前記固定フレームに対する前記可動フレームの回動角度が前記設定角度であるときに、前記ロックレバーのロック方向の回動に伴って前記被係止面との隙間が漸減し、かつ、いずれの面上位置で前記被係止面に押圧状態で接触したときにも、当該被係止面とのなす角度が前記可動フレームの回動を規制し得る角度となる連続面によって形成され、前記いずれか一方の部材のシート幅方向外側には前記いずれか他方の部材と前記ロックレバーとが配置され、前記ロックレバーには、前記いずれか一方の部材方向に屈曲する屈曲片が設けられ、前記いずれか一方の部材には、前記ロックレバーがロック方向に最大に変位したときに前記屈曲片が当接して、前記ロックレバーのロック方向の回動変位を規制する第1の回動規制部が設けられ、前記いずれか他方の部材には、前記固定フレームに対する前記可動フレームの回動角度が設定角度であるときに、前記ロックレバーがロック方向に最大に変位した場合に、シート幅方向で前記第1の回動規制部と並列に並ぶ位置で前記屈曲片が当接して、前記ロックレバーのロック方向の回動変位を規制する第2の回動規制部が設けられ
ていることを特徴とするものである。
この場合、固定フレームに対する可動フレームの回動角度が設定角度であるときに、ロックレバーがロック方向に最大に変位すると、ロックレバーの屈曲片が前記いずれか一方の部材側の第1の回動規制部と前記いずれか他方の部材の第2の回動規制部とに当接し、それによってロックレバーの回動変位が規制される。したがって、ロックレバーのロック方向の最大回動を第1の回動規制部と第2の回動規制部の二ヵ所で安定して規制しつつも、構造のコンパクト化を図ることができる。
【0011】
この出願に係るさらに他の形態の車両用シートの傾動ロック装置は、シートクッションに設けられる固定フレームと、シートバックに設けられ、前記固定フレームに回動可能に連結される可動フレームと、前記固定フレームと前記可動フレームのいずれか一方の部材に回動可能に軸支され、前記固定フレームと前記可動フレームのいずれか他方の部材と係合することにより前記可動フレームの回動をロックするロックレバーと、前記ロックレバーを回動付勢するロックスプリングと、を備え、前記固定フレームに対する前記可動フレームの回動角度が設定角度になったときに、前記ロックレバーが前記いずれか他方の部材の被係止面に係合する車両用シートの傾動ロック装置において、前記ロックレバーの係止面は、当該ロックレバーの回動中心を中心とした仮想円の円弧に沿った形状であり、前記固定フレームに対する前記可動フレームの回動角度が前記設定角度であるときに、前記ロックレバーのロック方向の回動に伴って前記被係止面との隙間が漸減し、かつ、いずれの面上位置で前記被係止面に押圧状態で接触したときにも、当該被係止面とのなす角度が前記可動フレームの回動を規制し得る角度となる連続面によって形成され、前記いずれか他方の部材の被係止面は、当該いずれか他方の部材の一部をシート幅方向外側に屈曲させた屈曲部分の屈曲線と交差する端面によって形成され、前記いずれか他方の部材の前記屈曲線を挟む屈曲した領域には一部を部分的に膨出変形させた補強ビードが設けられ
ていることを特徴とするものである。
この場合、前記いずれか他方の部材の前記屈曲線を挟む屈曲した領域が補強ビードによって剛性を高められるため、ロックレバーの係止面と被係止面との間に作用するロック荷重を、前記いずれか他方の部材側で高い剛性をもって支持することが可能になる。
【0012】
この出願に係るさらに他の形態の車両用シートの傾動ロック装置は、シートクッションに設けられる固定フレームと、シートバックに設けられ、前記固定フレームに回動可能に連結される可動フレームと、前記固定フレームと前記可動フレームのいずれか一方の部材に回動可能に軸支され、前記固定フレームと前記可動フレームのいずれか他方の部材と係合することにより前記可動フレームの回動をロックするロックレバーと、前記ロックレバーを回動付勢するロックスプリングと、を備え、前記固定フレームに対する前記可動フレームの回動角度が設定角度になったときに、前記ロックレバーが前記いずれか他方の部材の被係止面に係合する車両用シートの傾動ロック装置において、前記ロックレバーの係止面は、当該ロックレバーの回動中心を中心とした仮想円の円弧に沿った形状であり、前記固定フレームに対する前記可動フレームの回動角度が前記設定角度であるときに、前記ロックレバーのロック方向の回動に伴って前記被係止面との隙間が漸減し、かつ、いずれの面上位置で前記被係止面に押圧状態で接触したときにも、当該被係止面とのなす角度が前記可動フレームの回動を規制し得る角度となる連続面によって形成され、前記いずれか一方の部材には、前記ロックレバーの回動軸を囲繞するボス部が突設され、前記いずれか他方の部材には、前記ボス部と当接して前記可動フレームのシート後方側への倒れを規制する後傾規制部が設けられ、前記後傾規制部は、前記いずれか他方の部材に設けられた切欠き部の内側に形成され
ていることを特徴とするものである。
この場合、可動フレームが後方側に設定量傾動操作されると、前記いずれか他方の部材に設けられた後傾規制部がボス部と当接することによって変位を規制されるようになる。また、後傾規制部が前記いずれか他方の部材に設けられた切欠き部の内側に形成されているため、前記いずれか一方の部材と前記いずれか他方の部材の回動軸とロックレバーの回動軸とを離間させることなく、固定フレームに対する可動フレームの後傾を規制することができる。したがって、装置全体のコンパクト化を図ることができる。
【0013】
前記ロックレバーの回動軸の設置部から前記係止面に向かって延出するロック片は、前記ロックレバーの全回動範囲において、側面視で前記いずれか一方の部材の延在範囲内に収まるように形成されることが望ましい。
この場合、ロックレバーがいずれの回動位置にあっても、ロック片がシート周囲の部材と干渉しにくくなる。
【0014】
また、前記ロックレバーの係止面と前記いずれか他方の部材の被係止面とは、前記ロックレバーの回動軸よりも下方領域で相互に係合するのが望ましい。
この場合、ロックレバーの係止面と前記いずれか他方の部材の被係止面とが、シートの低い位置に配置され、車室内の有効スペースを占有しにくくなる。
【0015】
前記ロックレバーは、前記固定フレームに回動可能に軸支され、前記被係止面は前記可動フレームに設けられるようにすることが望ましい。
この場合、周域への張り出し量が大きくなるロックレバーが固定フレーム側に配置されるため、可動フレーム側にロックレバーを配置する場合に比較して、可動フレームの回動操作時における周囲スペースの占有量を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、固定フレームに対する可動フレームの回動角度が設定角度になり、ロックレバーがロックスプリングの付勢力を受けてロック方向に回動するときに、ロックレバーの係止面と被係止面との隙間が次第に減少し、ロックレバーの係止面が、被係止面に対し面上のいずれかの位置で押圧状態で接触した時点で可動フレームの回動がロックされる構造とされているため、各部に誤差があってもロック部分でのガタツキを効率良く低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、この実施形態の車両用シートの傾動ロック装置1をシート幅方向外側から見た図であり、
図2は、傾動ロック装置1の構成部品を分解して示した図である。また、
図3は、傾動ロック装置1をシート幅方向内側から見た図であり、
図4は、
図3のA−A断面に対応する断面図、
図5は、傾動ロック装置1の一部を後部上方側から見た図である。なお、
図1〜
図3において、矢印UPは鉛直上方を指し、矢印FRは車両の前方を指し、矢印LHは車両の左側方を指すものとする。
図1において、符号2は、車両用シートのシートクッションであり、符号3は、車両用シートのシートバックである。この実施形態では、傾動ロック装置1は右ハンドル車の運転席側のシートの右側側部に設置されている。
【0019】
傾動ロック装置1は、車両用シートのシートクッション2側に一体に取り付けられる固定ブラケット4と、シートバック3側に一体に取り付けられる可動ブラケット5と、を備え、固定ブラケット4と可動ブラケット5がヒンジピン6を介して回動可能に連結されている。また、傾動ロック装置1は、可動ブラケット5を固定ブラケット4に対して起立姿勢の一定傾動角度でロックし、必要に応じて乗員がそのロックを解除するためのロックレバー10を備えている。ロックレバー10は、後に詳述するように固定ブラケット4に回動可能に軸支されている。この実施形態においては、固定ブラケット4と可動ブラケット5が傾動ロック装置1の固定フレームと可動フレームを構成している。ただし、固定フレームや可動フレームは車両用シートの骨格部材(フレーム部材)と共用して構成することも可能である。
固定ブラケット4と可動ブラケット5は剛性の高い金属板によって形成されており、固定ブラケット4は、例えば、シートの前後スライドを可能にする図示しないシートレールのレールアッパの上面等に一体にボルト締結される。なお、
図2中符号34は、固定ブラケット4をシートレールに固定するためのボルトである。また、可動ブラケット5は、例えば、シートバック3の図示しないシートバックフレームの側面等に一体にボルト締結される。
【0020】
固定ブラケット4は、
図2に示すように、レールアッパ等のシートクッション2側の部材に略水平姿勢で取り付けられるベース壁7と、そのベース壁7のシート幅方向外側の端部から略鉛直方向に向かって延出する側壁8と、を備え、その側壁8の上辺と後辺にはベース壁7に連なる補強フランジ9が延設されている。
側壁8は、側面視(シート幅方向から見た側面視)で後端側領域8aの高さが最も高く、その後端側領域8aから前方側に向かって次第に高さが低くなり、ある高さに達した時点から一定高さになっている。以下、側壁8の高さが次第に低くなる領域を傾斜領域8bと呼ぶものとする。
【0021】
図2に示すように、固定ブラケット4の後端側領域8aの上端部の近傍には円形状の貫通孔11が設けられ、その貫通孔11の縁部が、バーリング加工によってシート幅方向外側に略筒状に突出して形成されている。このバーリング加工によって形成された円筒状のボス部12の内側には、ロックレバー10を固定ブラケット4に回動自在に支持させるための回動ピン13(回動軸)が挿通されている。また、このボス部12の外周面は、後に詳述するように固定ブラケット4に対する可動ブラケット5の後傾方向の回動を規制する。
【0022】
可動ブラケット5は、側面視(シート幅方向外側から見た側面視)が略くの字状のベース壁14を備え、そのベース壁14の長尺方向の一端側の縁部がヒンジピン6によって固定ブラケット4に軸支され、ベース壁14の他端側の縁部がシートバック3のシートバックフレーム等にボルト締結されるようになっている。以下、ベース壁14の固定ブラケット4に軸支される領域を基端側領域14aと呼び、シートバック3に締結される領域を先端側領域14bと呼び、ベース壁14の先端側領域14bと基端側領域14aの間の領域を中間部領域14cと呼ぶものとする。
ベース壁14の基端側領域14aには、ヒンジピン6が回動可能に嵌入される軸孔15が設けられるとともに、軸孔15の外側の略半周の外側を取り囲むように、断面略円弧状の補強ビード16がシート幅方向外側に膨出して設けられている。この補強ビード16は、ベース壁14の中間部領域14cの一部にまで達するようにベース壁14の外側縁部に沿って設けられている。
【0023】
ここで、可動ブラケット5は、ベース壁14の基端側領域14aの軸孔15部分がヒンジピン6によって固定ブラケット4に軸支され、ヒンジピン6を中心として車体前後方向に傾動する構造とされているが、可動ブラケット5は、ベース壁14の先端側領域14bが鉛直姿勢より若干後傾側に回動したロック姿勢(
図1に示す姿勢)となったときに、後に詳述する傾動ロックのための機構によってロックされる。以下では、説明の便宜上、可動ブラケット5については、ロック姿勢にあるときにベース壁14の車両前方に位置される側を「前」と呼び、ベース壁14の車両後方に位置される側を「後」と呼ぶものとする。また、特別に断らない限り、ロック姿勢にあるときにベース壁14の鉛直上方側に位置される側を「上」と呼び、逆側を「下」と呼ぶものとする。
【0024】
図6は、可動ブラケット5の一部を破断して示した傾動ロック装置1の右側面図であり、
図7は、可動ブラケット5を後方側上部から見た斜視図である。
これらの図にも示すように、可動ブラケット5は、補強ビード16の下端後方側に、ベース壁14から車幅方向外側に立ち上がる湾曲傾斜壁17が連設されている。この湾曲傾斜壁17は補強ビード16側から後方側に凸に緩やかに湾曲し、その下面側の湾曲面が後に詳述する係止準備機構のガイド面17aを構成するようになっている。なお、湾曲傾斜壁17のシート幅方向の外側端には、ガイド面17aをシート幅方向外側から覆い隠すためのカバーフランジ18が延設されている。
図6においては、カバーフランジ18部分が破断されている。
湾曲傾斜壁17の後部上方側の端面は、ベース壁14に対して略直角に(シート幅方向外側に)立ち上がる平坦面とされ、この実施形態の傾動ロック装置1における被係止面17bを構成している。換言すると、被係止面17bは、可動ブラケット5の一部をシート幅方向外側に屈曲させて形成された湾曲傾斜壁17のうちの、屈曲部分の屈曲線b1(
図7参照)と略直交する平坦な端面によって形成されている。また、湾曲傾斜壁17のうちの被係止面17bに近接する部分の付根部位置(屈曲線b1を挟む屈曲した領域)には、一部をシート幅方向外側に部分的に膨出変形させた補強ビード36が設けられている。
【0025】
また、可動ブラケット5は、ベース壁14の中間部領域14cの後部側下縁に、中間部領域14cの延出方向に沿う切欠き部19が設けられている。この切欠き部19内には、切欠き部19の底面に対して所定の開き角をもって傾斜した傾斜面19a(後傾規制部)が形成されている。この傾斜面19aは、可動ブラケット5が固定ブラケット4に対して後傾側に設定角度回動したときに(ロック姿勢になったときに)固定ブラケット4のボス部12の外周面に当接することにより、可動ブラケット5の後傾側の回動を規制する。
また、可動ブラケット5は、ベース壁14の後縁部のうちの、先端側領域14bから中間部領域14cの一部に跨る範囲と、ベース壁14の前縁部のうちの、中間部領域14cから先端側領域14bの一部に跨る範囲とに、シート幅方向内側に屈曲する補強フランジ20a,20bが設けられている。
【0026】
一方、ロックレバー10は、固定ブラケット4や可動ブラケット5と同様に剛性の高い金属板によって形成され、側面視(シート幅方向外側からの側面視)が略L字状のレバー本体部21のほぼ中心部が回動ピン13によって固定ブラケット4のボス部12に軸支されている。レバー本体部21は、
図2に示すように、回動ピン13の挿入される軸孔22を有している。また、レバー本体部21は、可動ブラケット5の前傾方向の回動をロックするロック片21aと、ロック解除操作用の解除操作片21bと、を有し、これらのロック片21aと解除操作片21bが軸孔22を中心として設定角度離間した方向に延出している。なお、図中29は、解除操作片21bの延出端に屈曲して形成された指掛け部である。
ロックレバー10は固定ブラケット4に対する回動角度が設定角度範囲に規制されている。ロックレバー10は、いずれの回動範囲にある場合にも、レバー本体部21の解除操作片21bが軸孔22(回動ピン13)の上方側に位置されるようになっている。
図1、及び、
図6は、ロックレバー10の解除操作片21bが後方側に回動した状態を示している。なお、ロックレバー10に関しての「前」「後」や「上」「下」は、特別に断らない限りこの状態での「前」「後」や「上」「下」言うものとする。
【0027】
ロック片21aは、シート幅方向外側からの側面視がほぼ長方形状に形成されており、軸孔22の形成部から最も離間した延出端の下縁部には、シート幅方向内側に略直角に屈曲する屈曲片23が延設されている。また、ロック片21aの延出端のうちの屈曲片23の付根部の上側に隣接する部位の端面は、可動ブラケット5の被係止面17bと当接可能な係止面24とされている。この係止面24は、側面視で回動ピン13を中心とする円弧に近い曲面形状に形成されている。この係止面24は、可動ブラケット5側の被係止面17bとともに可動ブラケット5の前傾側の回動をロックするロック機構を構成する。この係止面24の曲面形状の詳細については後に説明する。
【0028】
図4,
図5に示すように、ロック片21aには、ロックレバー10の回動軸である回動ピン13の設置位置(軸孔22)に対してシート幅方向外側に屈曲する屈曲部35が設けられている。このため、ロック片21a上の係止面24は、屈曲部35を挟んで回動ピン13の設置位置よりもシート幅方向外側に設定距離離間した位置に配置されている。固定ブラケット4のシート幅方向外側で回動ピン13を中心として回動変位するロック片21aは、ロックレバー10の全回動範囲において、シート幅方向外側からの側面視で、固定ブラケット4の側壁8の延在領域の範囲内に収まるように形成されている。また、ロック片21a上の係止面24と、可動ブラケット5上の被係止面17bとは、
図6に示すように、ロックレバー10の回動軸である回動ピン13の設置位置よりも下方領域で相互に係合するようになっている。
また、ロック片21aの延出端側の上端面28は、ロック片21aの延出方向に沿ってほぼ直線状に形成され、その上端面28の前端側は曲率半径の小さい円弧を描いて係止面24に連続している。ロック片21aの上端面28は、可動ブラケット5の後傾側の回動操作時に可動ブラケット5のガイド面17aと摺接する被ガイド面を構成している。上端面28は、ガイド面17aとともに係止準備機構を構成する。
【0029】
ところで、固定ブラケット4の側壁8の後端側領域8aには、回動ピン13(ボス部12)を円弧中心とする円弧形状の変位許容孔25が形成されている。この変位許容孔25は、回動ピン13の下方にあって設定角度範囲に亙って側壁8を貫通している。この変位許容孔25には、ロックレバー10の屈曲片23がシート幅方向外側から挿入されている。ロックレバー10は、屈曲片23が変位許容孔25の前後の各端面に当接することにより、回動ピン13を中心とした回動範囲が設定角度範囲に規制される。なお、この実施形態においては、変位許容孔25の前端部25aがロックレバー10のロック方向の回動変位を規制する第1の回動規制部を構成している。
【0030】
また、固定ブラケット4の側壁8の傾斜領域8bには、
図2,
図3に示すように、シート幅方向内側に向かって突出するようにスプリング支持片26が切起こされている。このスプリング支持片26と屈曲片23の先端部には、それぞれ係止溝26a,23aが設けられており、これらの係止溝26a,23aにロックスプリング27の両側の各端部が係止されている。スプリング支持片26は、回動ピン13を中心として揺動する屈曲片23よりも前部上方側に配置されている。ロックスプリング27は、引っ張りばね型のコイルスプリングによって構成され、屈曲片23を常時前部上方側に付勢するようになっている。したがって、ロックレバー10は、外部から荷重が入力されない間は、ロックスプリング27による付勢力を受けて屈曲片23を変位許容孔25の前端部25aに押し当てられている。ロックレバー10のロック片21aは、このとき前方側に最大に回動した状態とされている。なお、ロック片21aは、屈曲片23が変位許容孔25の後端部に当接するときに、後方側に最大に回動した状態となる。
また、屈曲片23には、固定ブラケット4の側壁8のシート幅方向内側位置において、斜め下方に延出する変形規制突起30が形成されている。この変形規制突起30は、側壁8のシート幅方向内側位置において、変位許容孔25の下方側の縁部に臨んでいる。変形規制突起30は、ロックレバー10のロック片21aにシート幅方向外側に向かう過大な押圧力が作用したときに、変位許容孔25の下方側の縁部に当接することにより、ロック片21aのシート幅方向外側方向への変形を規制する。
【0031】
ここで、可動ブラケット5の前傾側の回動を規制するロックレバー10の係止面24の形状と、その規制原理について説明する。
図8は、ロックレバー10と可動ブラケット5の各部を模式的に示した図である。
図8(A),(B)は、いずれも可動ブラケット5の後傾側の回動が
図6に示すように傾斜面19a(後傾規制部)とボス部12の当接によって規制された状態で、ロックレバー10の係止面24と可動ブラケット5側の被係止面17bが接触して可動ブラケット5の前傾側の回動がロックされている状態を示しているが、
図8(B)は、
図8(A)よりも製造誤差や組付誤差等に起因する隙間誤差が大きい場合を示している。
この実施形態の場合、係止面24と被係止面17bの接触位置(ロックレバー10による可動ブラケット5のロック位置)は、ヒンジピン6と回動ピン13の回動中心O1,O2を結ぶ仮想線Lよりも、可動ブラケット5の後傾回動側(図中下方側)に位置されている。
【0032】
ロックレバー10の係止面24は、可動ブラケット5が傾斜面19a(後傾規制部)とボス部12の当接によって後傾側の回動変位を規制される一定位置にあるときに、ロックスプリング27の付勢力によるロックレバー10の回動に伴って係止面24と被係止面17bの間の隙間が漸減し、かつ、いずれの面上位置で被係止面17bに押圧状態で接触したときにも、被係止面17bとのなす角度が可動ブラケット5の回動を規制し得る角度となる連続した曲面によって形成されている。なお、係止面24のこの連続した曲面は、ロックレバー10の回動中心O2を中心とした仮想円cに略沿った円弧面とされている。
即ち、係止面24の曲面は、ロックレバー10の回動中心O2を中心とした一定半径の仮想円cに近似した円弧面ではあるが、厳密には、一定半径の円弧に対しロックレバー10のロック側の回動方向に向かって内側(回動ピン13側)に僅かずつ傾斜する形状とされている。さらに、この係止面24の曲面は、ほぼ平坦な被係止面17bと曲面上のいずれの位置で押圧状態で接触したときにも、その押圧力によって可動ブラケット5の前傾方向の回動を規制し得る形状とされている。
このため、例えば、
図8(A)に示すように回動停止している被係止面17bに対し、ロックレバー10がロックスプリング27の付勢力によって回動ピン13を中心として図中矢印方向に回動すると、ロックレバー10のロック片21aの回動変位に伴って係止面24と被係止面17bの間の隙間が次第に狭まり、係止面24上のある位置で被係止面17bに押圧状態で接触し、この状態で両者が噛み合って可動ブラケット5の前傾方向の回動が規制されることになる。また、
図8(B)に示すように、
図8(A)よりも係止面24と被係止面17bの間の隙間誤差が大きい場合には、ロックレバー10が
図8(A)の場合よりも多く回動して係止面24上のより後方側の位置で被係止面17bに押圧状態で接触する。この場合も、係止面24と被係止面17bが相互に噛み合い、可動ブラケット5の前傾方向の回動が規制されることになる。
【0033】
図9は、可動ブラケット5がほぼ最大に前傾した状態を示す図であり、
図10,
図11は、この状態から可動ブラケット5が後傾規制位置に向かって引き起こし操作されたときの状態を順次示す図である。なお、可動ブラケット5が
図9に示すようにほぼ最大に前傾しているときには、ロックレバー10のロック片21aはロックスプリング27の付勢力を受けて最前端位置に位置されている。
【0034】
図9に示す状態から、
図10,
図11に順次示すように、可動ブラケット5がヒンジピン6を中心として後傾側に回動すると、可動ブラケット5の下縁の湾曲傾斜壁17のガイド面17aが、
図11に示すように、ロックレバー10のロック片21aの上端面28に当接するようになる。こうして、可動ブラケット5が後傾側にさらに回動すると、ガイド面17aが、
図11中の矢印で示すように、ロック片21aを後部下方に押圧し、その結果、ロックレバー10がロックスプリング27の力に抗する方向に回動操作される。このガイド面17aの押圧によるロックレバー10の回動は、ロックレバー10の回動が進んで、湾曲傾斜壁17の端面の被係止面17bがロック片21aの係止面24に臨む位置に達するまで継続する。この間、ロックレバー10のロック片21aはロックスプリング27を伸長しつつ後方側に所定量回動し、つづく係止面24と被係止面17bとの係合に備えられる(以上、係止準備機構の機能)。
【0035】
また、ロックレバー10の係止面24が被係止面17bに臨む位置まで可動ブラケット5が後傾側に回動すると、可動ブラケット5の下縁の傾斜面19aが固定ブラケット4のボス部12に当接し、それによって可動ブラケット5の後傾側の回動が規制される。ロックレバー10は、この状態でロックスプリング27の付勢力を受けて前述のように回動して、
図1,
図6に示すように、係止面24上のいずれかの位置が被係止面17bに押圧状態で接触し可動ブラケット5の前傾方向の回動がロックされる。
この結果、可動ブラケット5は前後方向の回動を規制された状態で固定ブラケット4に対してロックされる。
【0036】
図12は、前後方向の回動をロックされた可動ブラケット5のロックを解除する際の作動を示す図である。
可動ブラケット5のロックを解除する場合には、ロックレバー10の解除操作片21bを、
図12中の矢印で示すようにロックスプリング27の付勢力に抗して前部下方に回動操作する。こうしてロックレバー10が回動操作されると、ロック片21aが可動ブラケット5側の被係止面17bから円弧を描いて後方側に引き抜かれる。このとき、ロック片21a側の係止面24が可動ブラケット5側の被係止面17bから離間することになるが、係止面24は、ロックレバー10がロック解除方向に回動操作されたときに被係止面17bとの隙間が漸増するように設定されているため、被係止面17bとの係合は比較的容易に解除することができる。
【0037】
以上のように、この実施形態の傾動ロック装置1は、ロック解除状態の可動ブラケット5が後傾側に引き起こし操作されて、可動ブラケット5の後傾方向の回動角度が設定角度になり、ロックレバー10がロックスプリング27の付勢力を受けてロック方向に回動するときに、ロックレバー10の係止面24と被係止面17bとの隙間が次第に減少し、ロックレバー10の係止面24が、可動ブラケット5側の被係止面17bに対し面上のいずれかの位置で押圧状態で接触した時点で可動ブラケット5の回動がロックされる構造とされている。このため、ロックレバー10側の係止面24と可動ブラケット5側の被係止面17bとの間に隙間誤差があっても、その隙間誤差に拘わらずロック部分でのガタツキを抑制することができる。
【0038】
また、この傾動ロック装置1においては、ロックレバー10側の係止面24と可動ブラケット5側の被係止面17bとの間の隙間誤差が大きく、ロック作動時に、万が一、ロックレバー10側の係止面24が面上のいずれの位置でも被係止面17bに押圧状態で接触しないことがあっても、係止面24が、ロックレバー10のロック方向の回動に伴って被係止面17bとの隙間が漸減するように形成されているため、ロック部分におけるガタツキを大幅に低減することができる。
【0039】
図13は、係止面24と被係止面17bとの間の隙間誤差が大きく、ロック作動時に、ロックレバー10側の係止面24が面上のいずれの位置でも被係止面17bに押圧状態で接触しないときの状態を示す図である。
このときには、屈曲片23が変位許容孔25の前端部25a(第1の回動規制部)に当接する位置(ロック方向に最大に変位した位置)までロックレバー10が回動する。この実施形態の場合、
図13に示すように、ロックレバー10がロック方向に最大に変位した時点で、屈曲片23の付根部が可動ブラケット5側の湾曲傾斜壁17の被係止面17bに近接した側縁部17cに当接するようになっている。つまり、この実施形態においては、可動ブラケット5が後傾規制位置にあるときに湾曲傾斜壁17の側縁部17cが固定ブラケット4の変位許容孔25の前端部25aとシート幅方向で並列に並ぶように設定されている。湾曲傾斜壁17の側縁部17cは第2の回動規制部を構成している。
したがって、この実施形態の場合、ロックレバー10のロック方向の最大回動を、変位許容孔25の前端部25a(第1の回動規制部)と湾曲傾斜壁17の側縁部17c(第2の回動規制部)の二ヵ所で安定して規制することができる。また、可動ブラケット5が後傾規制位置にあるときには、変位許容孔25の前端部25aと湾曲傾斜壁17の側縁部17cとが相互に近接した位置でシート幅方向で並列に並ぶため、構造のコンパク可を図りつつ、ロックレバー10のロック方向の最大回動を安定して規制することができる。
【0040】
また、この実施形態の傾動ロック装置1は、ロック解除状態の可動ブラケット5が後傾側に引き起こし操作されたときに、可動ブラケット5(傾斜面19a)が固定ブラケット4のボス部12に当接して後傾側の回動を規制され、その状態でロックレバー10の係止面24が可動ブラケット5側の被係止面17bに噛み合って可動ブラケット5の前傾方向の回動が規制されるため、可動ブラケット5を固定ブラケット4に対して引き起こしのワンタッチ操作のみによって容易にロックすることができる。
【0041】
また、この実施形態の傾動ロック装置1においては、可動ブラケット5側の被係止面17bが、ベース壁14からシート幅方向外側に屈曲する湾曲傾斜壁17の屈曲線b1と略直交する端面によって形成され、ロックレバー10のロック片21aに、ロックレバー10の回動軸の設置位置に対してシート幅方向外側に屈曲した屈曲部35が設けられ、係止面24がロックレバー10の回動軸の設置位置よりもシート幅方向外側に配置されているため、ロックレバー10のロック作動時等に係止面24の形成領域が、可動ブラケット5のベース壁14等と干渉するのを有効に抑制することができる。また、可動ブラケット5上の湾曲傾斜壁17の屈曲線b1部分から充分に離間した面形状の安定した位置において、係止面24が被係止面17bと当接することになるため、可動ブラケット5に対するロック状態を安定させることができる。
【0042】
さらに、この実施形態の傾動ロック装置1では、可動ブラケット5側の被係止面17bが、湾曲傾斜壁17の屈曲部分の屈曲線b1と略直交する平坦な端面によって形成され、湾曲傾斜壁17のうちの被係止面17bに近接する部分の付根部位置に、シート幅方向外側に部分的に膨出変形させた補強ビード36が設けられているため、ロックレバー10の係止面24と可動ブラケット5側の被係止面17bとの間に作用するロック荷重を、補強ビード36で補強された湾曲傾斜壁17の剛性の高い部分によって支持することができる。
【0043】
また、この実施形態の傾動ロック装置1の場合、固定ブラケット4にロックレバー10の回動軸(回動ピン13)を囲繞するボス部12が突設され、可動ブラケット5の後傾規制時にボス部12と当接する傾斜面19aが可動ブラケット5の取り欠き部19内に設けられているため、ヒンジピン6と回動ピン13の設置位置を大きく離間させることなく、可動ブラケット5の後傾を適正位置で規制することができる。このため、傾動ロック装置1の全体のコンパク化を図ることができる。
【0044】
また、この実施形態では、ロックレバー10のロック片21aが、ロックレバー10の全回動範囲において、側面視で固定ブラケット4の側壁8の延在範囲内に収まるように形成されているため、ロックレバー10がいずれの回動位置にある場合にも、ロック片21aがシート周囲の部材と干渉するのを抑制することができる。
【0045】
さらに、この実施形態の傾動ロック装置1は、ロックレバー10の係止面24と可動ブラケット5の被係止面17bとが、ロックレバー10の回動軸(回動ピン13)よりも下方領域で相互に係合するように設定されているため、車室内の有効スペースを占有し難くなるという利点がある。
【0046】
また、この実施形態の傾動ロック装置1は、ロックレバー10が固定ブラケット4側に回動可能に軸支され、被係止面17bが可動ブラケット5側に設けられているが、ロックレバー10が可動ブラケット5側に回動可能に軸支され、被係止面17bが固定ブラケット側に設けられるようにしても良い。ただし、この実施形態のように、ロックレバー10が固定ブラケット4側に軸支されるようにした場合には、周域への張り出し量が大きくなるロックレバー10が可動ブラケット5と一体になって大きな範囲を移動しないことになるため、可動ブラケット5の回動操作時における周囲スペースの占有量を小さくすることができる。
【0047】
さらに、この実施形態の傾動ロック装置1においては、ロック解除状態の可動ブラケット5が後傾側に引き起こし操作されるときに、ロックレバー10の係止面24が可動ブラケット5側の被係止面17bと噛み合い可能な位置に達する前に、ロックレバー10が係止準備機構によってロックスプリング27の付勢力に抗する方向に回動操作されるため、つづく、係止面24と被係止面17bとの係合時にロックスプリング27の付勢力を円滑に作用させることができる。
【0048】
特に、この実施形態の傾動ロック装置1においては、係止準備機構が、ロックレバー10側の係止面24に連続するように形成されたロック片21a上の上端面28と、可動ブラケット5側の被係止面17bに連続するように形成され、ロックレバー10側の上端面28に摺動自在に当接するガイド面17aと、によって構成されているため、簡単な構造によって係止準備機構を構成することができる。そして、このような構成とした場合、可動ブラケット5の後傾方向への回動操作のみにより、ロックレバー10のロックスプリング27の力に抗する方向への回動と、係止面24と被係止面17bの適正位置への誘導を同時に行うことができる。
【0049】
さらに、この実施形態の傾動ロック装置1は、ロックレバー10に一体に形成されたロック片21aの係止面24と、可動ブラケット5に一体に形成された湾曲傾斜壁17の端面の被係止面17bとを相互に噛み合わせて、可動ブラケット5の前傾側の回動をロックするようにしているため、別体のストッパピン等を設ける必要がなく、その分、部品定数の削減とそれに伴う製造コストの低減を図ることができる。
【0050】
さらにこの実施形態では、固定ブラケット4の側壁8に、バーリング加工によってシート幅方向外側に突出するボス部12を突設し、このボス部12の外周面に可動ブラケット5の傾斜面19aを当接させることにより、可動ブラケット5の後傾側の回動を規制するようにしているため、部品点数の増加を招くことなく可動ブラケット5の後傾側の回動を規制することができる。したがって、さらなる製造コストの低減を図ることができる。
【0051】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。