(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、照度差ステレオ法の適用には、測定対象物の測定面が拡散反射(ランバート反射)すること、また、形状変化が線型的であることが条件となる。測定面の形態がこの条件から離れるほど、照度差ステレオ法による測定データの誤差は大きくなる。
【0007】
本技術の目的は、照度差ステレオ法を用いた測定の精度を向上させることができる3次元測定装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本技術に係る3次元測定装置は、高さ測定部と、3次元形状測定部と、補正部とを具備する。
前記高さ測定部は、測定対象物の所定位置の高さ、または、高さ変位を測定するように構成される。
前記3次元形状測定部は、照度差ステレオ法により前記測定対象物の3次元形状を測定するように構成される。
前記補正部は、前記高さ測定部で得られたデータに基づき、前記3次元形状測定部で得られたデータを補正するように構成される。
【0009】
この3次元測定装置は、前記高さ測定部で得られた高精度のデータに基づき、照度差ステレオ法による測定で得られたデータを補正するので、照度差ステレオ法を用いた測定の精度を向上させることができる。
【0010】
前記3次元形状測定部は、3以上の光源によってそれぞれ個別に光が照射された測定対象物を含む領域を撮像デバイスで撮影することにより、3以上の画像を取得するように構成された照度差ステレオ画像取得部を含んでもよい。これにより、照度差ステレオ法による3次元形状の測定が可能となる。
【0011】
前記3次元測定装置は、画像取得部と、画像処理部とをさらに具備してもよい。
【0012】
前記画像取得部は、前記3以上の光源による照射方向を含む光が照射された前記測定対象物を前記撮像デバイスで撮影することにより、前記測定対象物を含む画像を取得するように構成されてもよい。
【0013】
前記画像処理部は、前記画像取得部で得られた前記測定対象物を含む画像内の複数の領域を抽出するように構成されてもよい。画像処理部は、測定対象物を含む画像を複数の領域に区分することにより、それらの領域に基づいた、高さ測定部および/または3次元形状測定部による測定が可能となり、測定精度を高めることができる。
【0014】
前記高さ測定部は、前記画像処理部で得られた前記複数の領域を横断する線に沿って、前記測定対象物の高さを測定してもよい。なお、測定点として2点以上あれば線分を構成でき、測定点として3点以上あれば面を構成できるので、より精度を高めることができる。
【0015】
前記3次元形状測定部は、前記画像処理部により抽出された領域ごとに、前記3次元形状を測定してもよい。
【0016】
前記補正部は、前記高さ測定部で得られたデータと前記3次元形状測定部で得られたデータとの差に基づき、前記3次元形状測定部で得られたデータを補正してもよい。これにより、補正部は、前記高さ測定部で得られたデータと前記3次元形状測定部で得られたデータとの誤差を求め、この誤差に基づき補正を行うことができる。
【0017】
前記補正部は、前記3次元形状測定部で得られたデータから前記差の分を除去してもよい。
【0018】
前記高さ測定部は、変位計を有してもよい。変位計を用いることにより、高さ測定部による測定精度が向上する。
【0019】
本技術の他の形態に係る3次元測定装置は、3以上の光源と、撮像デバイスと、高さ測定部と、3次元形状測定部と、補正部とを具備する。
前記撮像デバイスは、測定対象物を撮影可能である。
前記高さ測定部は、前記測定対象物の所定位置の高さ、または、高さ変位を測定するように構成される。
前記3次元形状測定部は、前記3以上の光源および前記撮像デバイスを用いて、照度差ステレオ法により前記測定対象物の3次元形状を測定するように構成されている。
前記補正部は、前記高さ測定部で得られたデータに基づき、前記3次元形状測定部で得られたデータを補正するように構成される。
【0020】
前記3次元測定装置は、前記測定対象物である基板を保持する保持部と、前記保持部上に配置され、前記撮像デバイスおよび前記3以上の光源を一体的に支持する支持部と、前記保持部と前記支持部とを相対的に移動させる移動機構とをさらに具備してもよい。
【0021】
本技術に係る3次元測定方法は、測定対象物の所定位置の高さ、または、高さ変位を測定することを含む。
照度差ステレオ法により前記測定対象物の3次元形状が測定される。
前記高さまたは高さ変位測定で得られたデータに基づき、前記3次元形状の測定で得られたデータが補正される。
【0022】
本技術に係る3次元測定のためのプログラムは、3次元測定装置に、以下の各ステップを実行させる。それらのステップは、測定対象物の所定位置の高さ、または、高さ変位を測定するステップと、照度差ステレオ法により前記測定対象物の3次元形状を測定するステップと、前記高さまたは高さ変位測定で得られたデータに基づき、前記3次元形状の測定で得られたデータを補正するステップである。
【0023】
本技術に係る基板の製造方法は、基板上に、部品を実装または半田を形成することを含む。
前記基板上の前記部品または前記半田の、所定位置の高さ、または、高さ変位が測定される。
照度差ステレオ法により前記部品または前記半田のの3次元形状が測定される。
前記高さまたは高さ変位測定で得られたデータに基づき、前記3次元形状の測定で得られたデータが補正される。
【発明の効果】
【0024】
以上、本技術によれば、照度差ステレオ法を用いた測定の精度を向上させることができる。
【0025】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら、本技術の実施形態を説明する。
【0028】
1.3次元測定装置が適用される検査装置の構成
【0029】
1)検査装置の構成
図1は、本技術に係る3次元測定装置が適用される検査装置を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す検査装置100を実装基板の搬送方向で見た図である。
【0030】
この検査装置100は、例えば実装機により実装基板等の基板に電子部品が実装された後、基板上の電子部品の実装の状態を検査する装置である。
【0031】
検査装置100は、基板1を搬送方向(X方向)に沿って搬送し、搬送されている基板1を所定の位置に停止させる搬送部10を有する。検査装置100は、停止目標位置に停止された基板1を下方から支持するバックアップ部20を有する。
【0032】
検査装置100は、バックアップ部20に支持された基板1に光を照射する照明部32と、光が照射された基板1を撮影する撮像デバイス31とを有する撮像ユニット30と、撮像ユニット30をXおよびY方向に移動させる移動機構40とを有する。
【0033】
検査装置100による検査対象となる基板1は、例えば、平面視で矩形の形状を有している。基板1上には、複数のアライメントマーク3が設けられる(
図1参照)。
図1では、アライメントマーク3が基板1の対角線上の角部の近傍に設けられた場合の一例が示されている。
【0034】
搬送部10は、基板1を両側から挟みこむようにして基板1を搬送方向に沿ってガイドする2つのガイド11を有する。各ガイド11は、基板1の搬送方向に長い形状を有する板状の部材である。各ガイド11の下側には、それぞれ、ガイド11を下方から支持する複数の脚部12が設けられている。各ガイド11は、この脚部12を介して、検査装置100の基台(図示せず)上に取り付けられる。
【0035】
バックアップ部20
は、昇降可能に構成されたバックアッププレート21と、このバックアッププレート21上に立設された複数の支持ピン22とを有する。
【0036】
各ガイド11の内側の側面には、正逆回転が可能なコンベアベルト13がそれぞれ設けられる。搬送部10は、このコンベアベルト13の駆動により基板1を検査処理が行われる所定位置(バックアップ部20が配置される位置)まで搬送したり、検査が終了した基板1を搬出したりすることが可能とされる。
【0037】
各ガイド11は、上端部が内側に向けて折り曲げられるように形成されている。ガイド11の上端部は、バックアップ部20によって基板1が上方に移動されたときに、基板1を上側に当接することにより、当該上端部およびバックアップ部20で基板1の両側を挟むことが可能である。このようにして基板1は保持され、保持された状態で撮像ユニット30による検査処理が行われる。この場合、搬送部10あるいはバックアップ部20は、基板を保持する「保持部」として機能する。
【0038】
図3は、Z方向で見た撮像ユニット30の概略的な図である。撮像ユニット30の照明部32は、その頂部に開口が形成されたドーム形状のドーム部材32aと、ドーム部材32aの内側に配置された3以上の照明(光源)32bとを有する。1つの照明32bは、例えば、1つまたは複数のLED(Light Emitting Diode)によって構成される。照明32bは、例えば8個設けられ、撮像ユニット30の主光軸(Z方向)を中心とした円周上に配置されている。これらの照明32bは、例えば等角度間隔で位置している。
【0039】
ドーム部材32aは、撮像デバイス31および複数の照明32bを一体的に支持する「支持部」として機能する。
【0040】
撮像デバイス31は、照明部32のドーム部材32aの上側において、ドーム部材32aに設けられた開口の位置に固定されており、その主光軸が基板1の検査面に対して垂直となるように配置される。撮像デバイス31は、CCDセンサ(CCD:Charge Coupled Device)、あるいはCMOSセンサ(CMOS:Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子と、結像レンズ等の光学系とを有する。
【0041】
撮像デバイス31は、後述する制御部15の制御に応じて、基板1上のアライメントマーク3を撮像したり、基板1の検査面を撮像したりする。撮像デバイス31の撮影領域は、例えば、35mm×35mm程度とされる。撮像デバイス31により基板1の検査面が撮像されるとき、撮像デバイス31は、移動機構40によってXおよびY軸方向に移動し、検査する必要がある基板1上の領域を複数回に分けて撮像する。また、撮像デバイス31は、後述するように、後述する測定対象物の3次元測定時に利用される。
【0042】
図に示す例では、撮像ユニット30の数が1つである場合が示されているが、撮像ユニット30の数は、2以上であってもよい。
【0043】
検査装置100は、撮像ユニット30と一体的に移動可能に設けられたレーザ変位計33を備える。例えばレーザ変位計33は、撮像デバイス31の側部に取り付けられている。レーザ変位計33は、基板1上の測定対象物である電子部品の所定位置における高さ、または、高さ変位を測定する
。
【0044】
2)検査装置の電気的構成
図4は、検査装置100の電気的な構成を機能的に示すブロック図である。
【0045】
検査装置100は、制御部15、画像処理部16、画像記憶部17を備える。また、上検査装置100は、述した移動機構40、レーザ変位計33、撮像デバイス31および照明部32を備える。
【0046】
画像処理部16は、制御部15による制御にしたがって、撮像デバイス31で得られた基板1上の画像を処理する。画像記憶部17は、画像処理部16により処理された画像データを記憶する。
【0047】
制御部15は、例えばCPU(Central Processing Unit)およびRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のコンピュータに用いられるハードウェア要素を少なくとも備える、制御部15は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のPLD(Programmable Logic Device)、その他ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のデバイスにより実現されてもよい。
【0048】
制御部15は、複数の照明32bを個別にONおよびOFFすることが可能である。制御部15は、例えば少なくとも1つの照明32bを点灯することもできるし、8個すべての照明32bを同時に点灯することもできる。
【0050】
図5は、基板の製造方法の一部である、検査装置100による動作を示すフローチャートである。
【0051】
制御部15は、搬送部10によって搬入された基板1上に撮像ユニット30を移動させ、基板1上のアライメントマークを撮像デバイス31により撮影する。これにより、基板1と撮像ユニット30とが相対的に位置決めされる(ステップ101)。またこれにより、検査装置100のシステム内で統一された座標系が決定される。
【0052】
制御部15は、照明32bを1つずつ個別に点灯させ、一定の位置にある撮像デバイス31を用いて、基板1上の所定の領域をその点灯の切り替えごとに撮影する(ステップ102)。
【0053】
所定の領域(撮影領域PA)とは、
図6に示すように、基板1の実装面P1上に実装された、測定対象となる例えば1以上の電子部品P2を含む領域である。
【0054】
測定対象となる電子部品が複数存在する場合は、それに応じて撮影領域PAが複数となる場合もある。あるいは、撮像デバイス31は、複数の電子部品P2を含む1つの領域を1つの撮影領域PAとして撮影してもよいし、基板1の全体を1つの撮影領域PAとして撮影してもよい。すなわち、測定対象となる電子部品の数、大きさ、配置、撮像デバイス31が有する画角や解像度によって、撮影領域PAが適宜設定され得る。
【0055】
ステップ102により、制御部15は、8個の異なる方向の光による測定対象物の8個の撮影領域PAの画像を取得する(ステップ103)。説明の便宜上、以下ではそれら複数の画像を「画像A」とする。これら複数(8個)の画像は、照度差ステレオ法による3次元形状の測定のための計算に利用される。この場合、制御部15は「照度差ステレオ画像取得部」として機能する。
【0056】
制御部15は、撮影した画像Aを、画像処理部16を介して画像記憶部17に記憶する。画像Aは、カラー画像でもよいし、グレースケール画像でもよい。
【0057】
また、制御部15はすべての照明32bを点灯した状態、つまり8個の照明32bの照射方向を含む光を測定対象物に照射した状態で、撮像デバイス31を用いて、測定対象物を撮影する(ステップ104)。これにより、制御部15は測定対象物を含む撮影領域PAの1つの画像を取得する(ステップ105)。この場合、制御部15は「画像取得部」として機能する。説明の便宜上、以下では、その1つの画像を「画像B」とする。
【0058】
画像Bは、必ずしも8つのすべての照明32bの照射による画像でなくてもよく、8つのうち例えば光軸を中心点とした点対称位置にある所定数の照明32bの照射による画像であってもよい。
【0059】
制御部15は、撮影した画像Bを、画像処理部16を介して画像記憶部17に記憶する。画像Bは、カラー画像でもよいし、グレースケール画像でもよく、画像Aのそれらの選択と同じものとすることが好ましい。
【0060】
制御部15は、画像処理部16により画像Bを解析する。
図6は、上記したように所定の領域PAの画像(例えば画像B)の例を示す。この例では、電子部品P2は抵抗等の受動素子である。画像処理部16は、画像Bのピクセル値(輝度値)に基づくエッジ処理等により、画像Bから複数の領域を抽出する(ステップ106)。この複数の領域は、撮影領域PA内にある対象物の材質の違いで区分された領域となる。すなわち、材質の違いにより、照明光の反射率および反射方向など、反射の形態が異なるからである。
【0061】
図7は、ステップ106により得られた領域の分類を説明するための図である。領域(1)は基板1の表面(実装面)P1、領域(2)および(4)は電子部品P2の電極部、領域(3)は電子部品P2の樹脂パッケージ部である。
【0062】
次に制御部15は、移動機構40の動作を制御することにより、それらの抽出された複数の領域(1)〜(4)を横断するように、撮像ユニット30に支持されたレーザ変位計33を移動させる。
【0063】
制御部15は、レーザ変位計33をこのように走査しながら、このレーザ変位計33を用いて、電子部品P2の実装面P1からの高さを測定する(ステップ107)。すなわち、制御部15は、その電子部品P2の高さ(つまり高さ変位)を測定する。この場合、レーザ変位計33および制御部15は「高さ測定部」として機能する。
【0064】
図8は、測定対象物の測定面Rと空間の座標系との関係を示す。制御部15は、ステップ106で抽出した領域ごとに、照度差ステレオ法を用いて、それら領域ごとの勾配フィールドC(p,q)を生成する(ステップ108)。p=δz/δx、q=δz/δyである。この場合、少なくとも制御部15は、「3次元形状測定部」として機能する。
【0065】
具体的には、制御部15は、既知の各照明32bの相対位置および既知の各照明32bによる照射方向を用いて、抽出された各領域(1)〜(4)内の輝度値等に基づき、それら領域ごとにp=δz/δx、q=δz/δyを計算する。測定点は、例えば
図6に示す線分上で、領域ごとに少なくとも1つの点(ピクセル)とされる。
【0066】
ステップ108で得られた勾配フィールドp、qのデータが、実装面P1を含む電子部品P2の形状を示す。
図9は、その勾配フィールドp、qのデータに基づく曲線を示す。この曲線形状が、各領域(1)〜(4)に対応した形状を有する。
【0067】
次に、制御部15は、レーザ変位計33で得られたデータに基づき、勾配フィールドp、qを補正する(ステップ109)。この場合、制御部15は「補正部」として機能する。領域ごとに分断された
図6に示す線上における、レーザ変位計33での測定データ(pm、qm)と、これらに対応する勾配フィールド(p、q)との差(誤差)を取ったものの集合を、それぞれ(ep、eq)とする(以下の式を参照)。nは測定回数、つまり測定点の数である。
【0069】
点列ep
1..n、eq
1..nに基づき算出した近似式をそれぞれe(x)、e(y)とし、制御部15は、下記の式を用いて勾配フィールドC(p,q)を補正する。補正された勾配フィールドをp
f、q
fとする。すなわち、補正された勾配フィールドp
f、q
fは、照度差ステレオ法による3次元形状の測定のデータから上記誤差の分を除去した値を表している。
【0071】
上記の近似式e(x)、e(y)を求めるための近似方法は特に限定されないが、例えば、平均法、バイリニア法、あるいはn次近似(例えば2次近似)等が適用され得る。
【0072】
補正された勾配フィールドp
f、q
fは、例えば
図10に示すように、
図9に示すものと比べ、その高さ情報が補正された曲線を示す。
【0074】
本実施形態に係る検査装置100は、レーザ変位計33で得られた高精度なデータに基づき、照度差ステレオ法による測定で得られたデータを補正するので、照度差ステレオ法を用いた測定の精度を向上させることができる。
【0075】
特に、異なる複数の材質を含む領域は、それぞれ異なる反射率を有するため、照度差ステレオ法を適用すると高精度な3次元形状のデータは得られない。しかし、レーザ変位計33で得られた高精度なデータを用いることにより、測定対象物が異なる複数の材質を持っていても、照度差ステレオ法による測定データの精度を高めることができる。
【0076】
例えば、1次元レーザ変位計を用い、これを2次元領域全体内で走査することにより3次元形状を測定する方法に比べ、本実施形態に係る3次元測定によれば、高速に3次元形状を測定することができる。また、2次元レーザ変位計などの高価な測定器を用いる必要もないので、安価に3次元形状の測定が可能になる。
【0077】
本技術の3次元測定の方法を検査装置100に適用することにより、従来の検査装置100による検査項目に加え、この3次元形状の測定による検査が可能となる。したがって、1台の検査装置100で多様な検査処理を実現することができ、製品の信頼性を高めることができる。
【0079】
本技術は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態を実現することができる。
【0080】
上記実施形態に係る検査装置100は、特に、基板1上に実装された電子部品の状態を検査するものであったが、例えば基板1上に形成された半田の状態を検査するものであってもよい。その場合、半田の状態を検査する検査装置は、その3次元形状の測定のデータを用いて、半田の体積を算出するようにしてもよい。
【0081】
測定対象物としては、上記のように受動素子でなくてもよく、能動素子も含む様々なものに本技術を適用可能である。
【0082】
あるいは、3次元測定装置が検査装置100に適用されるのではなく、3次元測定装置が3次元測定の単独の機能を持つ装置であってもよい。例えば本技術は、医療分野や他の産業分野で利用される3次元測定装置に適用されてもよい。
【0083】
図6に示したように、レーザ変位計33を走査する方向はX方向であったが、XおよびYの両方向の成分を含む走査方向であってもよい。これにより、測定点の数を多くすることができ、計算の正確性を高めることができる。あるいは、1つの測定対象物内で複数の方向の線に沿って走査が行われてもよい。
【0084】
図6に示した例では、撮像デバイス31による撮影領域PAが、1つの電子部品P2の画像を含む領域であった。しかし、例えばその撮影領域が複数の電子部品の画像を含む場合、制御部15は、その複数の電子部品の相対配置、姿勢、向き等に応じた、変位計の走査処理のアルゴリズムを持っていてもよい。これにより、検査の時間効率を上げることができる。
【0085】
上記実施形態では、レーザ変位計が用いられたが、光干渉を利用した変位計や、超音波を利用した変位計、接触式の変位計等であってもよい。変位計に限られず、例えば光切断法など、例えば少なくとも1次元状の光を測定対象物に照射してその光の反射状態を検出できるセンサがあれば、どのような機器であってもよい。
【0086】
図5に示したステップ102(および103)と、ステップ104(および105)の順序は逆であってもよい。
【0087】
あるいは、これらステップ102および104は、それぞれ照明光の波長を変えて同時に行われてもよい。この場合、例えば画像Aを取得するための撮影は可視光が用いられ、画像Bを取得するための撮影は赤外線が用いられることにより、それらを同時に撮影することができる。この場合、撮像デバイスはそれら異なる波長の光をそれぞれ検出することが可能なイメージセンサを備える必要がある。
【0088】
あるいは、画像処理部16が、ステップ102(および103)で得られた画像Aを処理することにより、画像Bを生成してもよい。この場合、ステップ104および105は不要となる。
【0089】
上記実施形態は、撮像ユニットが、搬送部10に保持された基板に対して移動する構成であったが、撮像ユニットが固定であり、基板を保持する保持部が撮像ユニットに対して移動する構成であってもよい。
【0090】
上記実施形態では、光源となる照明32bの数は8個であったが、少なくとも3個あればよく、9個以上であってもよい。
【0091】
上記実施形態では、撮像ユニット30にレーザ変位計33が一体的に支持されていたが、これらを個別に移動させる機構を検査装置が備えていてもよい。
【0092】
上記実施形態では、レーザ変位計33としての高さ測定部は、電子部品の複数の領域(1)〜(4)を横断するようにして、高さ変位を測定した。このような測定方法に限られず、高さ測定部は、例えばそれら領域ごとに少なくとも1点ずつの測定点で高さを測定してもよい。
【0093】
以上説明した各形態の特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。
【0094】
本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)
測定対象物の所定位置の高さ、または、高さ変位を測定するように構成された高さ測定部と、
照度差ステレオ法により前記測定対象物の3次元形状を測定するように構成された3次元形状測定部と、
前記高さ測定部で得られたデータに基づき、前記3次元形状測定部で得られたデータを補正するように構成された補正部と
を具備する3次元測定装置。
(2)
(1)に記載の3次元測定装置であって、
前記3次元形状測定部は、3以上の光源によってそれぞれ個別に光が照射された測定対象物を含む領域を撮像デバイスで撮影することにより、3以上の画像を取得するように構成された照度差ステレオ画像取得部を含む
3次元測定装置。
(3)
(2)に記載の3次元測定装置であって、
前記3以上の光源による照射方向を含む光が照射された前記測定対象物を前記撮像デバイスで撮影することにより、前記測定対象物を含む画像を取得するように構成された画像取得部と、
前記画像取得部で得られた前記測定対象物を含む画像内の複数の領域を抽出するように構成された画像処理部と
をさらに具備する3次元測定装置。
(4)
(3)に記載の3次元測定装置であって、
前記高さ測定部は、前記画像処理部で得られた前記複数の領域を横断する線に沿って、前記測定対象物の高さを測定する
3次元測定装置。
(5)
(3)または(4)に記載の3次元測定装置であって、
前記3次元形状測定部は、前記画像処理部により抽出された領域ごとに、前記3次元形状を測定する
3次元測定装置。
(6)
(1)から(5)のうちいずれか1つに記載の3次元測定装置であって、
前記補正部は、前記高さ測定部で得られたデータと前記3次元形状測定部で得られたデータとの差に基づき、前記3次元形状測定部で得られたデータを補正する
3次元測定装置。
(7)
(6)に記載の3次元測定装置であって、
前記補正部は、前記3次元形状測定部で得られたデータから前記差の分を除去する
3次元測定装置。
(8)
(1)から(7)のうちいずれか1つに記載の3次元測定装置であって、
前記高さ測定部は、変位計を有する
3次元測定装置。
(9)
3以上の光源と、
測定対象物を撮影可能な撮像デバイスと、
前記測定対象物の所定位置の高さ、または、高さ変位を測定するように構成された高さ測定部と、
前記3以上の光源および前記撮像デバイスを用いて、照度差ステレオ法により前記測定対象物の3次元形状を測定するように構成された3次元形状測定部と、
前記高さ測定部で得られたデータに基づき、前記3次元形状測定部で得られたデータを補正するように構成された補正部と
を具備する3次元測定装置。
(10)
(9)に記載の3次元測定装置であって、
前記測定対象物である基板を保持する保持部と、
前記保持部上に配置され、前記撮像デバイスおよび前記3以上の光源を一体的に支持する支持部と、
前記保持部と前記支持部とを相対的に移動させる移動機構と
をさらに具備する3次元測定装置。
(11)
測定対象物の所定位置の高さ、または、高さ変位を測定し、
照度差ステレオ法により前記測定対象物の3次元形状を測定し、
前記高さまたは高さ変位測定で得られたデータに基づき、前記3次元形状の測定で得られたデータを補正する
3次元測定方法。
(12)
基板上に、部品を実装または半田を形成し、
前記基板上の前記部品または前記半田の、所定位置の高さ、または、高さ変位を測定し、
照度差ステレオ法により前記部品または前記半田の3次元形状を測定し、
前記高さまたは高さ変位測定で得られたデータに基づき、前記3次元形状の測定で得られたデータを補正する
基板の製造方法。