【文献】
無料お見積りフォーム | 塗装バンク,[online],スカイジャパンライフ株式会社,2016年 8月10日,[平成29年3月2日検索], インターネット,URL,http://web.archive.org/web/20160810013840/http://tosou-bank.jp/estimate/
【文献】
屋根の形状と塗装面積,[online],おい川塗装店,2012年 5月 9日,[平成29年3月2日検索], インターネット,URL,http://web.archive.org/web/20120509094114/http://www.oikawatosouten.jp/yanetosou/roof_area.html
【文献】
埼玉県三郷市の外壁塗装専門店住まいるペインター|シミュレーター,[online],イハシ不動産コンサルティング株式会社,2016年 7月25日,[平成29年3月2日検索], インターネット,URL,http://web.archive.org/web/20160725184235/http://www.smile-painter.com/simulation.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、インターネットを利用して種々の情報を簡便に取得することが可能になっている。このような状況の下、塗装工事の依頼主においても、インターネットを介してより簡便に見積額を入手し、依頼の可否を検討したいという要望がある。しかしながら、上記の従来の面積積算システムの場合、実際の塗装面の画像を生成するためには建築物の図面、静止画像、又は動画像が必要になるため、このような情報を用意しなければならず、煩雑な手間を要するという問題がある。また、仮にそのような情報を容易に用意することができたとしても、塗装工事の発注の可否を検討している段階で図面等の詳細な情報を提供することは、工事の依頼主にとって見積額の依頼を躊躇する原因になるという問題もある。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、建築物の塗装費用の見積額を、従来に比して簡便に取得することができる塗装見積システム及び塗装見積方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様の塗装見積システムは、建築物の塗装費用の見積額を算出する塗装見積システムにおいて、見積対象の建築物の延べ床面積を取得する延べ床面積取得手段と、前記延べ床面積取得手段によって取得された延べ床面積に基づいて、塗装面積を推定する塗装面積推定手段と、
前記見積対象の建築物の築年数を取得する築年数取得手段と、前記見積対象の建築物の塗装歴が不明であるか否かを示す塗装歴情報を取得する塗装歴取得手段と、前記塗装歴取得手段によって取得された塗装歴情報に基づいて前記塗装歴が不明であると判定された場合に、前記築年数取得手段によって取得された築年数から所定年数を減じて得た値を、前記見積対象の建築物に係る前回塗装からの経過期間と推定する経過期間推定手段と、前記経過期間推定手段によって推定された前回塗装からの経過期間に基づいて、加算費用を特定する加算費用特定手段と、前記塗装面積推定手段によって推定された塗装面積
及び前記加算費用特定手段によって特定された加算費用に基づいて、塗装費用の見積額を算出する見積額算出手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記態様において、前記見積対象の建築物が設置されている地域を取得する地域取得手段と、地域毎に定められた人件費単価を記憶する人件費単価記憶手段とをさらに備え、前記見積額算出手段は、前記地域取得手段によって取得された地域に係る人件費単価を前記人件費単価記憶手段から取得し、取得した人件費単価にさらに基づいて、前記見積額を算出するように構成されていてもよい。
【0010】
また、前記態様において、和風及び洋風を含む建築物のタイプと塗装面積との関係を記憶する関係記憶手段と、前記見積対象の建築物のタイプを取得するタイプ取得手段とをさらに備え、前記塗装面積推定手段は、前記タイプ取得手段によって取得されたタイプと塗装面積との関係を前記関係記憶手段から取得し、取得した関係にさらに基づいて、前記塗装面積を推定するように構成されていてもよい。
【0011】
また、前記態様において、塗装工事の時期を特定する時期特定手段をさらに備え、前記見積額算出手段は、前記時期特定手段によって特定された塗装工事の時期にさらに基づいて、前記見積額を算出するように構成されていてもよい。
【0012】
また、前記態様において、塗装工事の需給状況を特定する需給状況特定手段をさらに備え、前記見積額算出手段は、前記需給状況特定手段によって特定された塗装工事の需給状況にさらに基づいて、前記見積額を算出するように構成されていてもよい。
【0013】
本発明の一の態様の塗装見積方法は、コンピュータを用いて、建築物の塗装費用の見積額を算出する塗装見積方法において、前記コンピュータが、見積対象の建築物の延べ床面積を取得するステップと、取得した延べ床面積に基づいて、塗装面積を推定するステップと、
前記見積対象の建築物の築年数を取得するステップと、前記見積対象の建築物の塗装歴が不明であるか否かを示す塗装歴情報を取得するステップと、取得した塗装歴情報に基づいて前記塗装歴が不明であると判定した場合に、取得した築年数から所定年数を減じて得た値を、前記見積対象の建築物に係る前回塗装からの経過期間と推定するステップと、推定した前回塗装からの経過期間に基づいて、加算費用を特定するステップと、推定した塗装面積
及び特定した加算費用に基づいて、塗装費用の見積額を算出するステップとを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る塗装見積システム及び塗装見積方法によれば、塗装費用の見積額を従来に比して簡便に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す各実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0017】
[塗装見積システムの構成]
図1は、本発明の実施の形態に係る塗装見積システム及びその通信先の構成を示すブロック図である。本実施の形態の塗装見積システムは、
図1における塗装見積サーバ1により構成されている。この塗装見積サーバ1は、塗装工事の見積を希望する各ユーザ側に設けられているユーザ装置2,2,…と、インターネット等の通信ネットワーク3を介して通信可能に接続されている。ユーザ装置2,2,…は、例えばパーソナルコンピュータ、携帯電話機及びタブレット端末等の通信機能を有する装置で構成される。
【0018】
[塗装見積サーバの構成]
以下、上述した塗装見積サーバ1の詳細な構成について説明する。
図2は、本実施の形態の塗装見積サーバ1の構成を示すブロック図である。
図2に示すとおり、コンピュータ(塗装見積サーバ)1は、CPU11、ROM12、RAM13、ハードディスク14、通信インタフェース(I/F)15、ディスプレイ16、及び入力部17を備えており、これらの各要素はバス18によって接続されている。
【0019】
CPU11は、RAM13にロードされた各種のコンピュータプログラムを実行する。これにより、コンピュータ1が本実施の形態の塗装見積サーバとして機能することになる。
【0020】
ROM12は、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、又はEEPROM(Electrically Erasable PROM)等によって構成されており、CPU11にて実行されるコンピュータプログラム及びその実行の際に用いられるデータ等が記憶されている。
【0021】
RAM13は、SRAM又はDRAMなどによって構成されている。このRAM13は、ハードディスク14に記憶されている各種のコンピュータプログラムの読み出し等に用いられる。また、CPU11が各種のコンピュータプログラムを実行するときに、CPU11の作業領域としても利用される。
【0022】
ハードディスク14には、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなど、CPU11に実行させるための各種のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータ等が予めインストールされている。また、このハードディスク14には、塗装工事の見積の基礎となる情報及び見積結果からなる見積情報が格納される見積情報データベース(DB)14A、塗装工事の対象である建築物の延べ床面積から塗装面積を算出するための面積変換情報14B、後述する家タイプに応じて塗装面積を調整するための家タイプ調整情報14C、塗装を行う職人の人件費単価に関する人件費単価情報14D、特別に加算する必要がある費用に関する加算費用情報14E、塗料の価格に関する塗料価格情報14F、並びに各種の諸費用に関する諸費用情報14Gが格納されている。各データベース及び情報の詳細については後述する。
【0023】
さらに、ハードディスク14には、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)などのマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、各種のコンピュータプログラムが当該オペレーティングシステム上で動作するものとする。
【0024】
通信I/F15は、通信ネットワーク3を介して塗装見積サーバ1が外部の装置と通信するためのインタフェース装置である。塗装見積サーバ1は、この通信I/F15を介して、ユーザ装置2,2,…との間で各種のデータを送受信する。
【0025】
ディスプレイ16は、LCD等で構成される出力装置であり、CPU11から与えられた画像データに応じた映像信号にしたがって画像(画面)を表示する。また、入力部17は、キーボード及びマウスで構成された入力装置である。オペレータが入力部17を使用することによって、塗装見積サーバ1に対する入力を行うことができる。
【0026】
以下、ハードディスク14に設けられている各データベース及び情報の詳細について説明する。
(A)見積情報DB14A
図3は、見積情報DB14Aのレイアウトの一例を示す図である。
図3に示すとおり、見積情報DB14Aは、各見積を識別するための見積IDが格納される見積IDフィールド101、塗装の対象物が格納される対象物フィールド102、建築物の延べ床面積が格納される延べ床面積フィールド103、建築物の築年数が格納される築年数フィールド104、塗装の対象物についての塗装歴が格納される塗装歴フィールド105、前回の塗装からの経過年数が格納される経過年数フィールド106、建築物の階数が格納される階数フィールド107、建築物の家タイプ(和風・洋風・和モダン等)が格納される家タイプフィールド108、建築物が設けられている都道府県が格納される地域フィールド109、使用される塗料の種類(シリコン・ウレタン・アクリル・フッ素等)が格納される塗料種類フィールド110、使用される塗料の色数(1色・2色・3色等)が格納される色数フィールド111、屋根材の種類(和瓦・洋瓦・スレート等)が格納される屋根材フィールド112、及び見積結果である見積額が格納される見積額フィールド113を少なくとも有している。この見積情報DB14Aに蓄積される見積情報は、後述する塗装見積処理においてユーザによって入力された情報及び当該情報に基づいて算出された見積額を用いて生成され、見積情報DB14Aに登録される。
【0027】
本実施の形態において、上記の対象物フィールド102には、外壁及び屋根の何れかが格納される。なお、同一の建築物について、外壁及び屋根の両方が塗装される場合があり、その場合は外壁及び屋根のそれぞれについて見積情報が生成される。
【0028】
また、上記の塗装歴フィールド105には、塗装歴の有無に加えて、不明であることを示す情報も格納される。ユーザにおいて塗装歴の有無の判断ができない場合、不明であることを示す情報が塗装歴フィールド105に格納される。なお、このように塗装歴が不明である場合、塗装見積サーバ1は、建築物の築年数に基づいて塗装歴の有無及び前回の塗装からの経過年数を推定する。例えば、築年数が10年以上である場合は塗装歴が有りと推定した上で、築年数−10年で得られる年数(例えば、築年数が15年である場合は5年(=15年−10年))が前回の塗装からの経過年数であると推定する。
【0029】
(B)面積変換情報14B
面積変換情報DB14Bは、建築物の延べ床面積から塗装面積を算出するための情報であり、塗装の対象物(外壁・屋根)毎に規定されている。本実施の形態の場合、外壁については、延べ床面積に所定の係数(例えば1.5以上2.0以下の範囲にある所定値)を乗ずることによって塗装面積を算出するため、当該係数が面積変換情報DB14Bに相当する。また、屋根については、延べ床面積/階数に所定の係数(例えば1.1以上1.3以下の範囲にある所定値)を乗ずることによって塗装面積を算出するため、当該係数が面積変換情報DB14Bに相当する。これらの係数の値は、過去の実績値等に応じて決定される。また、延べ床面積が100m
2未満の場合は1.8とし、100m
2以上の場合は1.7とする等、延べ床面積の値に応じて当該係数が異なる値を採るようにしてもよい。さらに、屋根については、屋根材の種類に応じて異なる値の係数を採用するようにしてもよい。
【0030】
(C)家タイプ調整情報14C
家タイプ調整情報14Cは、面積変更情報14Bを用いて算出された塗装面積を建築物の家タイプに応じて調整するための情報である。本実施の形態の場合、特定の家タイプの場合は上記の算出された塗装面積に所定の係数(例えば0.8以上1.2以下の範囲にある所定値)を乗ずることによって塗装面積の調整が行われ、それ以外の家タイプの場合は上記の算出された塗装面積をそのまま採用する。この係数の値は、過去の実績値等に応じて決定され、塗装の対象物(外壁・屋根)によって異ならせてもよく、同一であっても構わない。また、延べ床面積が100m
2未満の場合は0.9とし、100m
2以上の場合は0.8とする等、当該係数が延べ床面積の値に応じて異なる値を採るようにしてもよい。
【0031】
(D)人件費単価情報14D
人件費単価情報14Dは、塗装を行う職人の人件費単価に関する情報である。本実施の形態の場合、この人件費単価は都道府県別に定められている。そのため、人件費単価情報14Dを参照することにより、都道府県毎の人件費単価を取得することができる。
【0032】
(E)加算費用情報14E
加算費用情報14Eは、塗装工事において特別に加算する必要がある費用に関する情報である。本実施の形態の場合、前回の塗装からの経過年数が所定年数を超える場合、外壁については目地処理及び下地処理を行い、屋根については下地処理を行うこととし、それらの処理に要する費用を特別に加算する。そのため、加算費用情報14Eには、前回の塗装からの経過年数がどの程度の場合にこれらの目地処理及び下地処理を行うのかを示す情報(例えば、当該経過年数が10年以上である場合に目地処理を、15年以上である場合に下地処理を、それぞれ行う等)、及びそれらの処理を行う場合の費用が含まれている。この場合の費用は、塗装面積毎に定められている(例えば、塗装面積が150m
2以上160m
2未満の場合の目地処理は○○円、下地処理は○○円等)。
【0033】
(F)塗料価格情報14F
塗料価格情報14Fは、外壁又は屋根に塗装される塗料の価格に関する情報である。本実施の形態の場合、外壁用の下塗り・上塗り塗料として、シリコン・ウレタン・フッ素・アクリル等の塗料が、屋根用の下塗り・上塗り塗料として、シリコン・ウレタン・フッ素等の塗料が、それぞれ用いられる。塗料価格情報14Fでは、これらの各塗料の価格が塗装可能面積と対応付けられて規定されている。
【0034】
(G)諸費用情報14G
諸費用情報14Gは、上記の人件費単価情報14D、加算費用情報14E、及び塗料価格情報14Fにて規定されている費用以外の各種の費用に関する情報である。具体的には、足場・洗浄・養生・飛散防止ネット・廃材処分・各種手数料等に関する費用が諸費用情報14Gに規定されている。なお、これらの費用は、塗装面積毎に定められている(例えば、塗装面積が150m
2以上160m
2未満の場合は○○円等)。また、足場等に関する費用は、建築物の階数によっても変動する(例えば、3階建ての場合は2階建てよりも所定費用だけ高くなる等)。
【0035】
[塗装見積システムの動作]
次に、上述したように構成された本実施の形態の塗装見積システムの動作について、フローチャート等を参照しながら説明する。
【0036】
図4は、塗装見積サーバ1及びユーザ装置2によって実行される塗装見積処理の手順を示すフローチャートである。
塗装工事の見積を希望するユーザは、塗装見積サーバ1に対してアクセスするようユーザ装置2に指示する。この指示を受け付けたユーザ装置2は、
図4に示すとおり、塗装見積サーバ1に対して見積要求を送信する(S101)。
【0037】
塗装見積サーバ1は、ユーザ装置2から見積要求を受信した場合(S201)、塗装工事の見積に必要な情報(以下、「見積必要情報」という)を入力するための入力画面情報をユーザ装置2に対して送信する(S202)。ユーザ装置2は、入力画面情報を受信した場合(S102)、その入力画面情報を用いて、見積必要情報の入力画面を表示画面上に表示する(S103)。
【0038】
図5は、見積必要情報の入力画面の表示例を示す図である。
図5に示すとおり、この入力画面1001には、塗装工事の対象となる建築物の延べ床面積、階数、地域(都道府県)、築年数、及び家のタイプを入力するための入力欄が設けられている。家のタイプについては、和風・洋風・和モダンの何れかを選択可能なチェックボックスが設けられている。また、入力画面1001には、外壁に関する情報を入力するためのものとして、前回の塗装からの経過年数、塗料の種類、外壁の目地、及び色数を入力するための入力欄が設けられている。塗料の種類については、シリコン・ウレタン・フッ素・アクリルの何れかを選択可能なチェックボックスが、外壁の目地についてはあり・なしの何れかを選択可能なチェックボックスが、外壁の色数については1色・2色・3色の何れかを選択可能なチェックボックスが、それぞれ設けられている。さらに、入力画面1001には、屋根に関する情報を入力するためのものとして、前回の塗装からの経過年数、塗料の種類、及び屋根材の種類を入力するための入力欄が設けられている。塗料の種類については、シリコン・ウレタン・フッ素の何れかを選択可能なチェックボックスが、屋根材の種類については、和瓦・洋瓦・スレート・不明の何れかを選択可能なチェックボックスが、それぞれ設けられている。
【0039】
なお、上記の前回の塗装からの経過年数の入力欄には、塗装歴がある場合は当該経過年数が、塗装歴がない場合はそのことを示す情報(「なし」等)が、それぞれ入力される。また、前回の塗装からの経過年数が分からない場合、不明である旨の情報が当該入力欄に入力される。
【0040】
ユーザは、入力画面1001に対して各情報を入力する。ここで、建築物の延べ床面積、階数、地域、築年数、及び家のタイプの入力は必須となっている。他方、外壁のみの塗装を希望している場合は屋根に関する情報の入力は不要であり、同様に屋根のみの塗装を希望している場合は外壁に関する情報の入力が不要となる。ユーザ装置2は、ユーザによって入力された各情報から構成される見積必要情報を受け付けると(S104)、入力画面1001における送信ボタン1002がクリックされたときに、その見積必要情報を塗装見積サーバ1に対して送信する(S105)。
【0041】
塗装見積サーバ1は、ユーザ装置2から送信された見積必要情報を受信した場合(S203)、その見積必要情報に含まれている延べ床面積、階数、家タイプ及び屋根材の種類、面積変換情報14B、並びに家タイプ調整情報14Cを用いて、塗装面積を推定する(S204)。詳述すると、塗装見積サーバ1は、当該延べ床面積に、外壁に係る面積変換情報14B(所定の係数)を乗ずることによって塗装面積を算出し、それを外壁における塗装面積の推定値とする。例えば、延べ床面積が100m
2であり、面積変換情報14Bが1.8である場合、180m
2が塗装面積の推定値となる。また、塗装見積サーバ1は、見積必要情報に含まれている家タイプと家タイプ調整情報14Cとを参照し、今回の見積における塗装面積の調整の要否を判定する。例えば、見積必要情報に含まれている家タイプが「和風」であって、家タイプが和風の場合には0.8を乗ずることが家タイプ調整情報14Cに規定されているときは、上述した塗装面積の推定値に0.8を乗ずることによって塗装面積の調整を行う。例えば、上述した塗装面積の推定値が180m
2である場合、これに0.8を乗じて得た144m
2が調整後の塗装面積となる。
【0042】
また、上記のS204において、屋根における塗装面積の推定を行う場合、塗装見積サーバ1は、延べ床面積/階数に屋根に係る面積変換情報14B(所定の係数)を乗ずることによって塗装面積を算出する。例えば、延べ床面積が100m
2、階数が2であり、面積変換情報14Bが1.2である場合、60m
2が塗装面積の推定値として算出される。なお、面積変換情報14Bの示す値が屋根材の種類に応じて異なっている場合は、見積必要情報に含まれている屋根材の種類について定められた値を用いて塗装面積の推定値が算出される。
【0043】
次に、塗装見積サーバ1は、見積必要情報に含まれている地域(都道府県)、及び人件費単価情報14Dを用いて、今回の塗装工事における職人の人件費単価を特定した上で、その人件費単価に必要な工数を乗ずることによって人件費を特定する(S205)。ここで、必要な工数は、S204にて推定された塗装面積に基づいて決定される(例えば、塗装面積が150m
2以上160m
2未満の場合の工数は○○等)。
【0044】
次に、塗装見積サーバ1は、S204にて推定された塗装面積、見積必要情報に含まれている前回の塗装からの経過年数及び外壁の目地の有無、並びに加算費用情報14Eを用いて、今回の塗装工事における加算費用を特定する(S206)。ここで、前回の塗装からの経過年数が不明である場合、塗装見積サーバ1は、上述したように築年数に基づいて当該経過年数を推定する。このS206によって、外壁における目地処理及び下地処理の要否、並びに屋根における下地処理の要否が判定され、処理が必要と判定された場合はその処理に要する費用である加算費用が、塗装面積の推定値に基づいて特定される。
【0045】
次に、塗装見積サーバ1は、S204にて推定された塗装面積、見積必要情報に含まれている塗料の種類、及び塗料価格情報14Fを用いて、今回の塗装工事における塗料価格を特定する(S207)。また、塗装見積サーバ1は、S204にて推定された塗装面積、見積必要情報に含まれている階数、及び諸費用情報14Gを用いて、今回の塗装工事における諸費用を特定する(S208)。
【0046】
塗装見積サーバ1は、上記のS205乃至S208によって特定された費用を合計することにより見積額を算出し(S209)、見積IDを採番した上で、その見積IDと算出した見積額と見積必要情報とを含む見積情報を見積情報DB14Aに登録する(S210)。そして、塗装見積サーバ1は、当該見積額を含む見積結果画面情報をユーザ装置2に対して送信する(S211)。
【0047】
ユーザ装置2は、塗装見積サーバ1から送信された見積結果画面情報を受信した場合(S106)、その見積結果画面情報を用いて、見積結果情報の出力画面を表示画面上に表示する(S107)。
【0048】
図6は、見積結果情報の出力画面の表示例を示す図である。
図6に示すとおり、この出力画面2001においては、見積必要情報の他、見積結果である見積額が示されている。これにより、ユーザは、塗装工事の見積額を確認することができる。
【0049】
以上のように、本実施の形態では延べ床面積に基づいて塗装面積を推定し、その塗装面積に基づいて見積額を算出している。そのため、従来のように塗装対象物の画像等の詳細な情報を提供する必要はなく、ユーザは見積額を容易に得ることができる。
【0050】
なお、本実施の形態の場合、塗装面積の推定は、過去の実績値等に基づいて行われるため、高精度な推定値を得ることができる。そのため、当該推定値に基づいて得られる見積額も極めて高い精度のものといえる。従来では、正確な見積額を得るためには現地調査が不可欠であったが、本実施の形態によれば、このように高い精度の見積額が得られるため、現地調査は不要となる。
【0051】
(その他の実施の形態)
上述した実施の形態では、見積結果情報の出力画面に見積額のみが示されているが、その算定根拠を併せて示すようにしてもよい。この場合の算定根拠としては、例えば、推定された塗装面積及び加算費用の有無等が挙げられる。
【0052】
また、上述した実施の形態では、見積額の算出にあたって塗装工事の時期が考慮されていないが、当該時期に基づいて見積額の調整を行うようにしてもよい。この場合、例えば、塗装見積サーバ1が、繁忙時期及び非繁忙時期で異なる値の時期係数を記憶しておき、塗装工事の時期に応じていずれかの値を選択し、その値を上記のS209によって算出された見積額に乗じたり、S205によって特定された人件費に乗じたりすることによって、見積額の調整を行うようにすればよい。ここで、時期係数の値を、塗装工事の時期が繁忙時期に該当する場合は見積額が高くなるように、反対に非繁忙時期に該当する場合は見積額が低くなるように設定することによって、より精度の高い見積額を得ることが可能になる。このように繁忙時期及び非繁忙時期の両方に対応するのではなく、いずれか一方のみに対応するようにしても構わない。なお、塗装工事の時期の特定については、様々な手法を採用することができる。例えば、塗装見積サーバ1が、ユーザによってユーザ装置2に入力された塗装工事の希望時期を当該ユーザ装置2から取得し、その希望時期を塗装工事の時期として特定するようにしてもよく、また、本システムに対して見積依頼を行った日から所定期間経過した時期を塗装工事の時期として特定してもよい。
【0053】
また、上述した実施の形態では、見積額の算出にあたって需給状況が考慮されていないが、当該需給状況に基づいて見積額の調整を行うようにしてもよい。この場合、例えば、塗装見積サーバ1が、塗装工事の依頼数等の需給状況に応じて異なる値をとる需給係数を記憶しておき、その値を上記のS209によって算出された見積額に乗じたり、S205によって特定された人件費に乗じたりすることによって、見積額の調整を行うようにすればよい。需給係数の値は、塗装工事の依頼数、見積の依頼数、塗装工事を行う職人の数、及び/又は塗料や必要資材等の供給量等に応じて決定される。塗装見積サーバ1は、オペレータによって入力された値を需給係数の値として用いてもよく、また、上記の塗装工事の依頼数等を管理しておき、その値に基づいて算出した値を需給係数の値として用いてもよい。このように、需給係数を用いることによって、需給バランスをも考慮した見積額を得ることが可能になる。
【0054】
また、上述した実施の形態では、単一のコンピュータ1aによって塗装見積サーバ1の機能が実現されているが、例えば複数のコンピュータによる分散システムによって塗装見積サーバ1の機能が実現されていてもよく、様々な態様が想定される。
塗装見積サーバ1は、見積対象の建築物の延べ床面積を含む見積必要情報をユーザ装置2から受信し(S203)、その延べ床面積に基づいて、塗装面積を推定する(S204)。その後、塗装見積サーバ1は、推定した塗装面積に基づいて、塗装費用の見積額を算出し(S209)、その見積額を含む情報をユーザ装置2に対して送信する(S211)。