(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6198364
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】電源付流量計およびこれを用いた流量通報システム
(51)【国際特許分類】
G01F 1/00 20060101AFI20170911BHJP
G01F 1/115 20060101ALI20170911BHJP
G01F 15/06 20060101ALI20170911BHJP
G01F 15/14 20060101ALI20170911BHJP
G01F 15/18 20060101ALI20170911BHJP
C02F 1/28 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
G01F1/00 G
G01F1/00 Y
G01F1/115
G01F15/06
G01F15/14
G01F15/18
C02F1/28 R
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-89670(P2017-89670)
(22)【出願日】2017年4月28日
【審査請求日】2017年6月23日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000149309
【氏名又は名称】ジョプラックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121418
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 修
(72)【発明者】
【氏名】錦織 隆富
【審査官】
森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0038143(US,A1)
【文献】
特開2004−132878(JP,A)
【文献】
特許第3365414(JP,B2)
【文献】
特許第4432216(JP,B2)
【文献】
特許第5169177(JP,B2)
【文献】
特開平5−57276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F1〜15
C02F1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流体通路が形成された本体と、該本体の一端側に設けられ、前記流体通路の流入口に連通する上流側継手と、前記本体の他端側に設けられ、前記流体通路の流出口に連通する下流側継手と、電力を供給する電源部と、該電源部から本体にかけて設けられた流量等計測部とを有する電源付流量計であって、前記電源部は本体とは別体構成であって、全体形状が略ボックス状となされ、一側が開口した電源部本体と、電源部本体の前記開口を閉止する蓋とを有し、電源部と流量計本体のいずれか一方に一対の係合爪が設けられ、他方には前記係合爪を係止する係止部が設けられて、電源部が本体に着脱自在となされている、電源付流量計。
【請求項2】
一対の係合爪が所定間隔をあけて立設された挿入片と該挿入片の先端部分に設けられた爪体と両挿入片の外面に設けられた操作用突起を有しており、係止部は前記挿入片が入る溝部と、該溝部の先端部分に設けられ、前記爪体を係止するストッパー部を有する、請求項1記載の電源付流量計。
【請求項3】
流量等計測部が、本体の流体通路内で回転する磁石付スクリュと、該磁石付スクリュの回転を検知するセンサ類と、該センサ類のパルスに基づいて流量を計算する流量算出部を有し、該流量算出部および前記センサ類が電源部に設けられている、請求項1または請求項2記載の電源付流量計。
【請求項4】
磁石付スクリュが、合成樹脂製であって、磁石が一体に封入された、請求項3記載の電源付流量計。
【請求項5】
電源部が更に通信モジュールを有し、流量等計測部による流量情報や当該流量計が付設された浄水フィルタの交換時期を前記通信モジュールによって情報端末に送信するようになされている、請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項記載の電源付流量計。
【請求項6】
請求項5記載の電源付流量計と該流量計の通信モジュールから送信される流量情報を受信する情報端末を有する流量通報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池等の電源を有する流量計およびこれを用いて浄水器等における流量や浄水カートリッジの交換時期等の諸情報を通報するための流量通報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
浄水器としては、水道の蛇口に直接的に取り付ける蛇口直結型浄水器やシンクに隣接するハンドシャワー水栓の内部に筒状の浄水カートリッジを一体に組み込んだ水栓内蔵型浄水器の他、システムキッチンのシンク下の収納キャビネット内に設置されるアンダーシンク型浄水器等がある。
【0003】
そして、前述した浄水器のうち、蛇口直結型浄水器は、比較的安価であって、既存の水道蛇口に容易に取り付けることができるため、広く普及しており、また蛇口直結型浄水器の中には、流量を計測表示したり、浄水カートリッジの交換時期を表示する機能を有するものがあり、その場合、計測値のデジタル表示や浄水カートリッジの交換時期を点灯表示するための電源として電池を装填するものが知られている。
【0004】
具体的には、例えば電池をセットする電池装着部と、通水時において信号を発信する流量検出部と、前記電池装着部に装着された電池から電力の供給をうけて前記流量検出部からの信号に基づいて表示部に出力信号を送信する制御部と、該制御部からの出力信号に基づいて点灯する表示部と、表示部による表示を初期表示にリセットするリセットボタンとを備えた浄水器であって、前記制御部が、通水の停止を検知して表示部を消灯させる機能と、電池交換後および/またはリセットボタン操作後に表示部を一定時間点灯させる機能とを有する浄水器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−094046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電源となる前述した電池装着部を有する蛇口直結型浄水器の場合、電池装着部にセットされた電池の交換時期がきた際には、蛇口に取り付けられている浄水器に設けられた電池装着部のカバーを開けて、その中にセットされている電池を取り外して新しい電池と交換するのであるが、この際、蛇口位置での電池交換作業となるため、その交換作業を容易に行うことができる。
【0007】
しかしながら、シンク下の狭隘な収納キャビネット内に設置されるアンダーシンク型浄水器の場合、その流量計の計算部等の電源としての電池の交換は、前記収納キャビネット内で行う必要があるため、その電池交換作業は、前記収納キャビネット内の暗くて狭いスペース内に手を伸ばして行う必要があり、非常に煩雑で手間のかかる作業となる。
【0008】
本発明の目的は、前述した電池交換が行い難い場所に位置する場合でも、この不都合を解消することができる流量計および該流量計からの流量その他の情報を情報端末等に通報することができる流量通報システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の本発明は、内部に流体通路が形成された本体と、該本体の一端側に設けられ、前記流体通路の流入口に連通する上流側継手と、前記本体の他端側に設けられ、前記流体通路の流出口に連通する下流側継手と、電力を供給する電源部と、該電源部から本体にかけて設けられた流量等計測部とを有する電源付流量計であって、前記電源部は本体とは別体構成であって、
全体形状が略ボックス状となされ、一側が開口した電源部本体と、電源部本体の前記開口を閉止する蓋とを有し、電源部と流量計本体のいずれか一方に一対の係合爪が設けられ、他方には前記係合爪を係止する係止部が設けられて、電源部が本体に着脱自在となされているものである。
【0010】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載の電源付流量計について、一対の係合爪が所定間隔をあけて立設された挿入片と該挿入片の先端部分に設けられた爪体と両挿入片の外面に設けられた操作用突起を有しており、係止部は前記挿入片が入る溝部と、該溝部の先端部分に設けられ、前記爪体を係止するストッパー部を有することを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の本発明は、前記請求項1または請求項2記載の電源付流量計について、流量等計測部が、本体の流体通路内で回転する磁石付スクリュと、該磁石付スクリュの回転を検知するセンサ類と、センサ類のパルスに基づいて流量を計算する流量算出部を有し、該流量算出部および前記センサ類が電源部に設けられていることを特徴とする。なお、前記センサ類には磁気センサやリードスイッチ等が含まれる。
【0012】
請求項4記載の本発明は、前記請求項3記載の電源付流量計について、磁石付スクリュが、合成樹脂製であって、磁石が一体に封入されていることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の本発明は、前記請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項記載の電源付流量計について、電源部が更に通信モジュールを有し、流量等計測部による流量情報や当該流量計が付設された浄水フィルタの交換時期を前記通信モジュールによって情報端末に送信するようになされているものである。
【0014】
請求項6記載の本発明は、請求項5記載の電源付流量計と該流量計の通信モジュールから送信される流量情報を受信する情報端末を有する流量通報システムである。
【0015】
なお、本発明において、前記電源としては、電池の他、バッテリ等の電気を供給するものが含まれる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る電源付流量計は、電池等を収納した電源部が本体と別体構成であって、該本体に対して着脱自在となされているため、シンク下の狭隘な収納キャビネット内に設置されるアンダーシンク型浄水器に使用した場合でも、電源部だけを流量計本体から取り外して前記収納キャビネット内から取り出し、シンク上等の作業が行い易い場所で電源部における電池等の交換作業が行えるという利点を有する。
【0017】
また更に、通信モジュールを有する本願の電源付流量計によれば、浄水器の流量をリアルタイムで情報端末に送信することができる。
【0018】
更に、磁石付スクリュが、合成樹脂製であって、磁石が一体に封入されている本願の請求項4記載の流量計によれば、前記磁石が通水によって濡れるのを確実に防止することができるため、該磁石の錆や腐食のおそれが全くないという実用的利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】アンダーシンク型浄水器の設置状況を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る電源付流量計の縦断面図である。
【
図3】同電源付流量計の本体に対する電源部の装着前の状態を示す斜視図である。
【
図4】同電源付流量計の本体に対する電源部の装着後の状態を示す斜視図である。
【
図5】同電源付流量計の電源部装着箇所における横断面図である。
【
図7】電源部をその係合爪方向からみた斜視図である。
【
図8】本発明における磁石付スクリュの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
【0021】
図1に示すように、本実施形態は、キッチンのシンクSの下にある収納キャビネットC内に設置されたアンダーシンク型浄水器Jの上部に取り付けられた流量計1に関する。
【0022】
図2〜
図6に示すように、本実施形態に係る電源付流量計1は、内部に流体通路3が形成された本体2と、該本体2の一端側に設けられ、前記流体通路3の流入口4に連通する上流側継手5と、前記本体2の他端側に設けられ、前記流体通路3の流出口6に連通する下流側継手7と、電力を供給する電源部8と、該電源部8から本体2にかけて設けられた流量等計測部9と、流量等計測部9に接続された実装ユニット21を有するものである。そして、前記電源部8は本体2とは別体構成であって、本実施形態では、電源部8に一対の係合爪11が設けられ、本体2には前記係合爪11を係止する係止部12が設けられて、電源部8が本体2に着脱自在となされている。
【0023】
すなわち、本実施形態では、一対の係合爪11が電源部8の本体2側面において、所定間隔をあけて立設された挿入片13と該挿入片13の先端部分に設けられた鉤状の爪体14と両挿入片13の長さ中央部外面に設けられた操作用突起20を有しており、係止部12は前記挿入片13が入る溝部10と、該溝部10の先端部分に設けられ、前記爪体14を係止するストッパー部15を有している。そして、該ストッパー15はより詳細には、溝部10の最先端寄り部分に架設されたものであって、溝部10の最先端部とストッパー15との間に前記爪体14の進入用開口16が形成されている。
【0024】
図2および
図5に示すように、前記流量等計測部9は、本体2の流体通路3内で回転する磁石17付スクリュ18と、該磁石17付スクリュ18の回転を検知するリードスイッチ19と、リードスイッチ19のパルスに基づいて流量を計算する流量算出部を有し、該流量算出部は前記実装ユニット21に収容され、該実装ユニット21および前記リードスイッチ19が後述の通り、電源部8に設けられている。
【0025】
図2および
図8に示すように、前記磁石17付きスクリュ18は、合成樹脂製であって、流入口4に回転自在に支承された回転軸33の下流側端33aが嵌め入れられる凹所18aと、その外周面に形成された複数の略螺旋状凸条8bと、前記凹所8aの下流側に隣り合って封入された前記磁石17とを有する。そして、磁石17は、当該スクリュ18の成形時において、所謂インサート成形によって一体に封入された状態で当該スクリュ18に保持されている。
【0026】
図1、
図2および
図7に示すように、本実施形態では、前記電源部8における実装ユニット21には通信モジュールが設けられ、実装ユニット21における流量算出部による流量情報を前記通信モジュールによってスマートホンH等の情報端末に送信するようになされている。また、流量算出部では算出した流量の他、該流量に基づく浄水器Jのカートリッジ(図示せず)の交換時期を算出してその情報を前記通信モジュールによってスマートホンH等に送信する場合もある。
【0027】
図2〜
図7に示すように、電源部8は、全体形状が略ボックス状であって、上側が開口した電源部本体8aと、ヒンジ24を介して電源部本体8aに回動自在に取り付けられた蓋25を備え、蓋25における前記ヒンジ24と反対側の部分には、略有底筒状の嵌合凹部26が形成され、これに対応する電源部本体8aには前記嵌合凹部26と嵌め合わされる嵌合凸部27が形成されている。
【0028】
そして、本実施形態では、電源部8の本体8a内に基板28が設けられ、該基板28の上側に電池Dがセットされ、基板28の下側には前述した流量等計測部9における流量算出部に係るマイクロコンピュータと前記通信モジュールが設けられている。
【0029】
また、電源部8の本体8aの下側には小ボックス31が一体に付設されており、該小ボックス31内に前記リードスイッチ19が収容されている。
【0030】
本実施形態では、当該電源付流量計1における流体通路3内に通水が行われると、前記磁石17付スクリュ18が回転し、その回転が前記磁石17を介してリードスイッチ19で検知されると共にその検出値が前記流量算出部に係るマイクロコンピュータに入力されて、流量が算出され、その算出値が前記通信モジュールによって、周辺のスマートホン等の情報端末Hに送信される。また、当該流量計1の本体2に流体通路3内の流体の温度を計測する温度センサ(図示せず)を設けた場合には前記流量情報と共に水温情報が情報端末Hに送信される。また、前述した種々の通信をブルートゥース(登録商標)によるビーコンで行なうようにしても良い。
【0031】
次に、本実施形態に係る電源付流量計における前述した電源部8の着脱要領について説明すると、
図3に示すように、電源部8が流量計本体2から分離した状態においては、本体2の前記両溝部10に電源部8の両挿入片13を差し込んで該挿入片13を下方へスライドさせるだけで、
図4に示すように、両挿入片13の各先端の爪体14が前記ストッパー15を通過して進入用開口16内に嵌まり込む結果、電源部8の装着が完了する。
【0032】
一方、電池Dの交換にあたって、前記電源部8を流量計本体2から取り外す場合には、前記両操作用突起20を流量計本体2側へ押圧するだけで、両挿入片13の流量計本体2側へ移動し、これに伴って前述した爪体14が進入用開口16から外れ、この状態で電源部8を持ち上げることで該電源部8が流量計本体2から分離する。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係る電源付流量計によれば、該流量計の設置場所が狭隘な個所であっても、電源部を本体から取り外して容易に電池等の交換が行えるため、この種流量計の分野で幅広い利用が期待できる。
【符号の説明】
【0034】
1 電源付流量計
2 流量計本体
3 流体通路
4 流入口
5 上側継手
6 流出口
7 下流側継手
8 電源部
9 流量等計測部
11 係合爪
12 係止部
13 挿入片
14 爪体
【要約】
【課題】 電池交換が行い難い場所に位置する場合でも、この不都合を解消することができ、また流量その他の諸情報を情報端末に通報することができるようにする。
【解決手段】 内部に流体通路3が形成された本体2と、該本体2の一端側に設けられ、前記流体通路3の流入口4に連通する上流側継手5と、前記本体2の他端側に設けられ、前記流体通路3の流出口6に連通する下流側継手7と、電力を供給する電源部8と、該電源部8から本体2にかけて設けられた流量等計測部9とを有し、前記電源部8は本体2とは別体構成であって、電源部8と本体2のいずれか一方に一対の係合爪11が設けられ、他方には前記係合爪11を係止する係止部12が設けられて、電源部8が本体2に着脱自在となされている。
【選択図】
図1