特許第6198375号(P6198375)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6198375
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】ゲームプログラムおよびゲームシステム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/54 20140101AFI20170911BHJP
【FI】
   A63F13/54
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-177918(P2012-177918)
(22)【出願日】2012年8月10日
(65)【公開番号】特開2014-33900(P2014-33900A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年7月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100123940
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 辰一
(72)【発明者】
【氏名】辻野 泰之
(72)【発明者】
【氏名】伊野前 幸子
【審査官】 櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−010844(JP,A)
【文献】 特開2007−229241(JP,A)
【文献】 特開2011−092302(JP,A)
【文献】 特開2012−055452(JP,A)
【文献】 特開2012−045201(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/033260(WO,A1)
【文献】 特開2004−298280(JP,A)
【文献】 特開2000−112485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F13/00〜13/98、9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
仮想のゲーム空間を生成するゲーム空間制御手段、
前記ゲーム空間内にプレイヤオブジェクトを生成するとともに、操作情報に基づいて前記プレイヤオブジェクトを前記ゲーム空間内で活動させるプレイヤオブジェクト制御手段、
前記操作情報で操作されないノンプレイヤオブジェクトを複数生成するとともに、各ノンプレイヤオブジェクトをそれぞれ前記ゲーム空間内で活動させるノンプレイヤオブジェクト制御手段、
前記プレイヤオブジェクトの位置を基準とする所定形状の判定エリアを設定し、該判定エリアに存在するノンプレイヤオブジェクトの数に応じた時間範囲で決定されるランダムな時間間隔で繰り返し発生させる音声を発生させる手段であって、前記ノンプレイヤオブジェクトの数が多いほど短い時間を含む範囲を前記時間範囲として設定する音声発生制御手段、
として機能させるゲームプログラム。
【請求項2】
請求項1記載のゲームプログラムを記憶したプログラム記憶部と、前記プログラム記憶部に記憶されたゲームプログラムを実行するコンピュータと、を備えたゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、音響の発生処理を改良したゲームプログラムおよびゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
プレイヤキャラクタが複数の敵キャラクタと戦うビデオゲームは多数存在する。このようなゲームにおいて、プレイヤキャラクタが、多くの敵キャラクタが屯(たむろ)している場所へ入ると、その場所が多くの敵キャラクタによってざわめいていることを演出する音声(以下、ガヤ音と呼ぶ)を発生して、その雰囲気を演出する場合がある。
【0003】
また、プレイヤキャラクタから一定の範囲内に存在する他のキャラクタの音データを抽出して再生することも提案されている(例えば特許文献1参照)。しかし、この方式では、多くの敵キャラクタが近くにいてざわめいている雰囲気をうまく演出することができなかった。
【0004】
そこで、従来のゲームにおけるガヤ音発生処理は、予め設定された特定のエリア(たとえば部屋や洞窟など)をガヤ音発生エリアとして定めておき、このエリアに所定数以上の敵キャラクタが存在するときに、プレイヤキャラクタがこのエリアに入った場合にガヤ音を発生するという処理を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−102051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来のゲームでは、ガヤ音を発生させるエリアが予め設定されているため、敵キャラクタが当該エリアの一方の隅に多数存在し、プレイヤキャラクタが他方の隅に入った場合でもガヤ音が発生する。このように、上記従来のガヤ音の発生制御では、ガヤ音が発生しても、必ずしもプレイヤキャラクタの近くに多くの敵キャラクタが存在するとは限らず、プレイヤキャラクタの居場所に応じた細かいガヤ音の演出ができなかった。また、ガヤ音を発生させるために部屋や洞窟などの特定の場所を設定する必要があった。
【0007】
この発明は、ガヤ音のリアルな演出が可能なゲームプログラムおよびゲームシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の側面によって提供されるゲームプログラムは、コンピュータを、仮想のゲーム空間を生成するゲーム空間制御手段、前記ゲーム空間内にプレイヤオブジェクトを生成するとともに、操作情報に基づいて前記プレイヤオブジェクトを前記ゲーム空間内で活動させるプレイヤオブジェクト制御手段、前記操作情報で操作されないノンプレイヤオブジェクトを複数生成するとともに、各ノンプレイヤオブジェクトをそれぞれ前記ゲーム空間内で活動させるノンプレイヤオブジェクト制御手段、および、前記プレイヤオブジェクトの位置を基準とする所定形状の判定エリアを設定し、該判定エリアに存在するノンプレイヤオブジェクトの数に応じた時間範囲で決定されるランダムな時間間隔で繰り返し発生させる音声を発生させる手段であって、前記ノンプレイヤオブジェクトの数が多いほど短い時間を含む範囲を前記時間範囲として設定する音声発生制御手段、として機能させることを特徴とする。
【0016】
本願発明の第2の側面によって提供されるゲームシステムは、上記ゲームプログラムを記憶したプログラム記憶部と、前記プログラム記憶部に記憶されたゲームプログラムを実行するコンピュータと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、プレイヤオブジェクトの位置を基準として音声の発生が制御されるため、プレイヤオブジェクトの位置に応じて聴こえてくる音のリアルな演出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明が適用されるビデオゲーム機のブロック図である。
図2】この発明におけるガヤ音発生制御について説明する図である。
図3】この発明の実施形態であるゲーム装置におけるガヤ音判定エリアを説明する図である。
図4】ガヤ音の選択に用いられるサウンド選択テーブルを示す図である。
図5】ゲームプログラムに含まれる音データ群を示す図である。
図6】この発明の実施形態であるゲーム装置の機能ブロック図である。
図7】ゲーム装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面を参照してこの発明の実施形態であるゲームプログラム50およびゲーム装置100について説明する。この発明のゲーム装置100は、ゲーム機(ハードウェア)1とゲームプログラム50との協働で実現される。
【0020】
ゲーム装置100で実行されるゲームは、プレイヤ(遊戯者)によって操作されるプレイヤキャラクタPCが敵キャラクタ(モンスター)ECと戦うゲームである。ゲームの雰囲気を演出し、各キャラクタの行動(たとえば走る・攻撃するなど)を音で表すため、ゲームでは様々な音声が発生される。ゲームで発生される音声は、プレイヤキャラクタPCの音声(発する声、歩行音、武器を使うときの攻撃音など)、敵キャラクタECの音声(鳴き声、叫び声、歩行音、攻撃音など)、環境音(風の音、雨の音など)があり、さらに、プレイヤキャラクタPCの近くに複数の敵キャラクタECがいる場合に、プレイヤキャラクタPCに聴こえてくるざわめき音(ガヤ音)も発生される。ガヤ音を発生させることにより、複数の敵キャラクタECの鳴き声をそれぞれ個別に発生させるよりも軽い処理で、プレイヤキャラクタPCの近くに複数の敵キャラクタECが存在することを音声で演出することができる。
【0021】
図1は、ゲーム機(ハードウェア)1のブロック図である。ゲーム機1は、ゲーム機本体10およびコントローラ20からなっている。ゲーム機本体10は、装置全体の動作を制御するCPU30を有している。このCPU30に対してシステムメモリであるROM31、RAM32およびバス33が接続される。ROM31には、ゲーム機1を起動し基本的な機能を実現するためのシステムプログラムが記憶されている。RAM32には、ゲームの進行に応じて各種のデータが記憶される。
【0022】
バス33には、ゲーム画像を合成するグラフィック・プロセッサ・ユニット(GPU)34、ゲーム音声を発生するデジタル・サウンド・プロセッサ(DSP)35、および、I/Oブリッジ36が接続される。GPU34およびDSP35には、デジタルオーディオ・ビデオ信号(AV信号)を外部に出力するためのインタフェースであるHDMIインタフェース(I/F)40が接続されている。HDMIインタフェース40には、外部モニタおよび外部スピーカとして機能するテレビジョン装置(TV)2が接続される。
【0023】
I/Oブリッジ36には、上述のHDMIインタフェース40、ネットワーク通信部41、USBインタフェース42、ハードディスクドライブ(HDD)43、DVD(digital versatile disc)ドライブ44、および、コントローラ20が接続される。
【0024】
コントローラ20は、操作ボタンやアナログスティックなどの複数の操作子を有する操作部22およびI/Oポート21を有している。I/Oポート21はケーブルおよびコネクタを介してゲーム装置本体10のI/Oブリッジ36に接続され、操作部22はI/Oポート21を介してI/Oブリッジ36に接続される。コントローラ20は、たとえば、各種操作子が設けられた中央部および左右翼部を有する略U字形をしている。ユーザは、左右翼部を左右の手で把持し、中央部に設けられた各種操作子を操作する。ユーザは、操作子を操作することによってゲームを制御するとともにプレイヤキャラクタPCを操作する。
【0025】
ネットワーク通信部41は、インターネット等のネットワークを介してサーバ装置や他のゲーム機1と通信する機能部である。ネットワークを介した通信により、ゲーム機1は、他のゲーム機1と協力して同じゲームを実行したり、サーバ装置から新たなゲームプログラム、システムプログラムをダウンロードすることができる。
【0026】
DVDドライブ44にはDVD3などのディスク媒体がセットされる。DVD3にはゲームプログラム50が記憶されている。ゲームプログラム50は、ゲームを実行するためのプログラムのほかゲームを実行するために必要なデータを含んでいる。CPU30は、DVD3からゲームプログラム50を読み取ることによりゲームを実行する。なお、この実施形態では、ゲームプログラム50を記憶した媒体としてDVD3を用いているが、ゲームプログラム50の記憶媒体はこれに限定されない。たとえば、CD、Blu−ray Disc(登録商標)、または、内蔵のハードディスクなどを用いることができる。
【0027】
ハードディスクドライブ43には、ネットワーク通信部41を用いてダウンロードしたゲームプログラム50やセーブデータが記憶される。セーブデータとは、ユーザがゲームを途中まで進めた状態で終了する場合に、その時点での途中経過を記録したデータである。ユーザが、その後ゲームを再開する場合に、このセーブデータを読み込むことにより、前回進めた段階からゲームを再開することができる。
【0028】
USBインタフェース42には、USBコネクタを有する外部メモリが接続される。ゲーム装置本体10は、画像データ、音楽データ、映像データなどが記憶された外部メモリが接続された場合、これらのデータを再生する機能を有する。また、ユーザの操作により、USBインタフェース42に接続された外部メモリにHDD43に保存したセーブデータをコピーすることも可能である。
【0029】
ここで、図2図5を参照して、上述したガヤ音をどのような条件で発生させるかの制御(ガヤ音発生制御)について説明する。この発明では、複数の敵キャラクタECによるざわめき音である「ガヤ音」を、プレイヤキャラクタPCを基準とした所定のエリア(ガヤ音判定エリア)に敵キャラクタECが所定体数以上存在した場合に発生させる。
【0030】
図2は、上記ガヤ音判定エリアに応じたガヤ音発生制御を簡略に説明する図である。本発明のガヤ音発生制御では、図2(A)に示すように、ゲーム空間において、プレイヤキャラクタPCから所定の距離D以内の範囲をガヤ音判定エリアEと定める。図2では、ガヤ音判定エリアEの境界を円周で示しているが、実際のゲーム空間ではガヤ音判定エリアEは三次元に形成され、境界は球状である。
【0031】
図2(B)のサウンド選択テーブルに示すように、このガヤ音判定エリアEに敵キャラクタECが3体〜5体存在する場合には、ガヤ音としてサウンド1が選択され、このサウンド1をDSP35が生成する。また、ガヤ音判定エリアEに敵キャラクタECが6体〜10体存在する場合には、ガヤ音としてサウンド2が選択され、このサウンド2をDSP35が生成する。さらに、ガヤ音判定エリアEに敵キャラクタECが11体以上存在する場合には、ガヤ音としてサウンド3が選択され、このサウンド3をDSP35が生成する。サウンド2はサウンド1よりもざわめきの程度の大きい音であり、サウンド3はサウンド2よりもざわめきの程度の大きい音である。
【0032】
なお、図2の例では、ガヤ音判定エリアEに敵キャラクタがいても2体以下であればガヤ音(サウンド)が発生されない。このように、ガヤ音判定エリアE内に敵キャラクタがいても所定数以下の場合にはガヤ音を発生させないようにしてもよい。
【0033】
図2(A)の例では、ガヤ音判定エリアEに6体の敵キャラクタECが存在しているため、サウンド2が選択される。この場合、CPU30は、サウンド2の波形データをDSP35に転送して、DPS35にサウンド2の音声信号を生成させる。これにより、TV2のスピーカからサウンド2の音声が放音され、プレイヤキャラクタPCの近くに6〜10体程度の敵キャラクタECが存在する雰囲気が演出される。
【0034】
ガヤ音を発生させる場合において、そのガヤ音の音像をゲーム空間のどの位置に定位させるか、または、無定位で発生させるかは任意である。いずれかの位置に定位させる場合には、ガヤ音判定エリアEに存在する何れかの敵キャラクタECの位置に定位させることが好適である。どの敵キャラクタECの位置に定位させるかは、任意であるが、例えば、プレイヤキャラクタPCに最も近い敵キャラクタECを定位位置として選択してもよく、複数の敵キャラクタECの位置からランダムに1つを定位位置として選択してもよい。
【0035】
ユーザの操作などによってプレイヤキャラクタPCは移動する。ガヤ音判定エリアEはプレイヤキャラクタPCを中心としたエリアであるため、図2(C)に示すように、プレイヤキャラクタPCの移動に伴ってガヤ音判定エリアEも移動する。これにより、ガヤ音判定エリアE内に存在する敵キャラクタECの数は、敵キャラクタEC自身の移動によって増減するのに加えて、プレイヤキャラクタPCの移動によっても変化する。
【0036】
このように、ガヤ音を発生するか否か、および、ガヤ音としてどのような音声を発生するかを、プレイヤキャラクタPCの位置を基準としプレイヤキャラクタPCの移動に伴って移動するガヤ音判定エリアE、および、ガヤ音判定エリアEに存在する敵キャラクタECの体数に応じて決定することにより、プレイヤキャラクタPCの近くにいる敵キャラクタECの実際の体数に対応したガヤ音の制御が可能になる。
【0037】
以上、本発明のガヤ音発生制御の簡略に説明したが、この実施形態では、より複雑な方式でガヤ音の発生制御を行う。以下、この実施形態におけるガヤ音の発生制御について説明する。
【0038】
図3は、本実施形態におけるガヤ音判定エリアE1,E2の説明図である。プレイヤキャラクタPCから第1距離D1以内の範囲を第1ガヤ音判定エリアE1と定める。また、第1距離D1より遠く、且つ、第2距離D2以内の範囲を第2ガヤ音判定エリアE2と定める。第1距離D1、第2距離D2は、ゲーム空間GS内の距離で、たとえば15m、30mに設定される。図2の説明で述べたように、第1ガヤ音判定エリアE1、第2ガヤ音判定エリアE2の境界を円周で示しているが、実際のゲーム空間では球状である。
【0039】
図4は、図3に示した第1ガヤ音判定エリアE1および第2ガヤ音判定エリアE2に何体の敵キャラクタECが存在するかの複数の条件C11〜C23のそれぞれに対応して選択されるガヤ音の波形データGS1〜4およびランダムレンジR0,R1を示すサウンド選択テーブルを示す図である。ランダムレンジとは、波形データの繰り返し間隔の時間範囲(レンジ)を示す数値である。すなわち、同じ波形データを同じ間隔(一定間隔)で繰り返すと単調でチープな音になるため、繰り返し間隔をランダムにしてガヤ音に変化をつけている。
【0040】
図5は、ゲームプログラム50に含まれる音データ群を示す図である。この図に示すように、ゲームプログラム50には、プレイヤキャラクタ音データ群(sound data set)510、敵キャラクタ音データ群520、環境音データ群530、および、ガヤ音データ群540が含まれている。それぞれの音データ群は、複数の波形データからなっており、ゲームの場面に応じて、最適な波形データが選択され、その波形データに基づいてゲーム音が発生される。この例では、ガヤ音データ群540は、4つの波形データGS1〜GS4からなっている。
【0041】
波形データGS1〜GS4は、それぞれ数秒程度の短い波形データである。ゲームにおいては、この波形データをランダムな間隔で繰り返し読み出すことにより、持続的なざわめき音であるガヤ音を発生させる。このランダムな間隔の範囲をランダムレンジR1,R2の範囲で決定する。この実施形態では、ランダムレンジR1を2〜5秒、ランダムレンジR0を4〜7秒とする。体数が多いほど、また、ガヤ音判定エリアが近いほど、時間の短いレンジを選択して、ざわめき感を大きくすればよい。ただし、波形データGS1〜GS4の長さが同じでない場合、選択された波形データの長さによってランダムレンジを変更すればよい。
【0042】
第1ガヤ音判定エリアE1に敵キャラクタECが3体〜5体存在する場合(条件C11)には、ガヤ音として波形データGS1が選択され、この波形データGS1に基づく音声がランダムレンジR0の範囲内で決定された間隔で生成される。第1ガヤ音判定エリアE1に敵キャラクタECが6体〜10体存在する場合(条件C12)には、ガヤ音として波形データGS1が選択され、この波形データGS1に基づく音声がランダムレンジR1の範囲内で決定された間隔で生成される。また、第1ガヤ音判定エリアE1に敵キャラクタECが11体以上存在する場合(条件C13)には、ガヤ音として波形データGS2が選択され、この波形データGS2に基づく音声がランダムレンジR1の範囲内で決定された間隔で生成される。
【0043】
また、第1ガヤ音判定エリアE1よりも遠距離の第2ガヤ音判定エリアE2に敵キャラクタECが3体〜5体存在する場合(条件C21)には、ガヤ音として波形データGS3が選択され、この波形データGS3に基づく音声がランダムレンジR0の範囲内で決定された間隔で生成される。第2ガヤ音判定エリアE2に敵キャラクタECが6体〜10体存在する場合(条件C22)には、ガヤ音として波形データGS3が選択され、この波形データGS3に基づく音声がランダムレンジR1の範囲内で決定された間隔で生成される。また、第2ガヤ音判定エリアE2に敵キャラクタECが11体以上存在する場合(条件C23)には、ガヤ音として波形データGS4が選択され、この波形データGS4に基づく音声がランダムレンジR1の範囲内で決定された間隔で生成される。
【0044】
図6はゲーム機1とゲームプログラム50との協働によって実現されるゲーム装置100の機能ブロック図である。ゲーム装置100は、ゲーム空間制御部110、プレイヤキャラクタ制御部111、敵キャラクタ制御部112、環境音制御部120、プレイヤキャラクタ音制御部121、敵キャラクタ音制御部122、ガヤ音制御部123、発音処理部130、および、ゲーム画像生成部131を有している。
【0045】
ゲーム空間制御部110は、仮想の三次元空間であるゲーム空間を作成するとともに、天気の変化や時間・季節の経過等を制御する。環境音制御部120は、生成されているゲーム空間および天気、時間、季節等に応じて適宜環境音を選択し、その環境音を生成するように発音処理部130に指示を送る。
【0046】
プレイヤキャラクタ制御部111は、ユーザの操作によって活動が制御されるプレイヤキャラクタPCを生成してゲーム空間内で活動させる。プレイヤキャラクタ音制御部121は、プレイヤキャラクタPCの動作に応じて、歩行音、武器の音、声などのプレイヤキャラクタPCにまつわる音声(波形データ)を適宜選択し、その音声を生成するように発音処理部130に指示を送る。
【0047】
敵キャラクタ制御部112は、複数の敵キャラクタECを生成してゲーム空間内で活動させる。敵キャラクタ音制御部122は、敵キャラクタECの動作に応じて、歩行音、鳴き声、攻撃音などの敵キャラクタECにまつわる音声を適宜選択し、その音声を生成するように発音処理部130に指示を送る。
【0048】
ガヤ音制御部123は、エリア設定部124、体数カウント部125、および、生成制御部126を有している。エリア設定部124は、プレイヤキャラクタ制御部111からプレイヤキャラクタPCの現在位置を取得し、取得した現在位置に基づき第1ガヤ音判定エリアE1および第2ガヤ音判定エリアE2を設定する。体数カウント部125は、敵キャラクタ制御部112から複数の敵キャラクタECの現在位置を取得し、エリア設定部124によって設定された第1ガヤ音判定エリアE1および第2ガヤ音判定エリアE2の中に存在する敵キャラクタECの体数をカウントする。体数カウント部125のカウント値は生成制御部126に入力される。生成制御部126は、体数カウント部125から入力された各ガヤ音判定エリアE1,E2内の敵キャラクタECのが図4のサウンド選択テーブルに示した条件C11〜C23のいずれを満たしているか(いずれの条件が成立しているか)を判定し、適切なタイミング(ランダムレンジR0/1の範囲で決定された繰り返し間隔のタイミング)にその成立した条件に対応する波形データを用いた音声を生成するように発音処理部130に指示を送る。
【0049】
発音処理部130は、図1のDSP35および図5に示した音データ群510、520、530、540を含み、環境音制御部120、プレイヤキャラクタ音制御部121、敵キャラクタ音制御部122およびガヤ音制御部123から音声の生成を指示されたとき、指示された波形データを用いて音声信号を生成する。また、発音処理部130は、各種のフィルタ機能を備え、生成された音声信号を複数チャンネルのステレオに変換するとともに、各チャンネルごとに音量調整、音質調整、遅延調整等を行う。これにより、音量、音質、定位等が調整される。
【0050】
また、ゲーム画像合成部131は、ゲーム空間制御部110、プレイヤキャラクタ制御部111、および、敵キャラクタ制御部112が生成したゲーム空間GS、プレイヤキャラクタPCおよび敵キャラクタECを所定位置から撮影した二次元画像を生成する。
【0051】
ここで、図7を参照して発音制御部126が実行する。ガヤ音の発音制御動作について説明する。発音制御動作は、サウンド選択テーブルの各条件C11〜C23のそれぞれについて毎フレーム(1/60秒)ごとに実行されるが、図7では、条件C11に対する処理を例にあげて説明する。なお、フレーム周期は1/60秒に限定されない。例えば1/30秒でもよい。また、この処理の実行周期はフレーム単位でなくてもよい。
【0052】
毎フレームごとの動作において、まず、このフレームで条件C11、すなわち、第1ガヤ音判定エリアE1に敵キャラクタECが3体〜5体存在するという条件が満たされているか(成立しているか)を判断する(S1)。条件C11が満たされていない場合には(S11でNO)、フラグF11をリセットして(S20)動作を終了する。条件C11が満たされている場合には(S1でYES)、既にフラグF11がセットされているかを判断する(S2)。フラグF11がセットされていない場合には(S2でNO)、フラグF11をセットするとともに(S3)、発音処理部130に発音を指示するまでの時間を計測するコールタイマT11に1秒をセットする(S4)。
【0053】
フラグF11がセットされている場合には(S2でYES)、コールタイマT11がタイムアップしたか、すなわちコールタイミングになっているかを判定する(S5)。コールタイミングでなければ(S5でNO)、そのまま動作を終了する。コールタイミングになっている場合には(S5でYES)、ガヤ音の定位位置を決定し(S6)、この定位位置でガヤ音(波形データGS1)を生成するよう発音処理部130に指示する(S7)。そして、ランダムレンジR0の時間範囲で次のコールタイミング(ガヤ音生成タイミング)までの間隔をランダムに決定して(S8)、コールタイマT11にセットする(S9)。以上の処理ののち動作を終了する。
【0054】
S6において、ガヤ音の定位位置は、判定対象エリアである第1ガヤ音判定エリアE1に存在するいずれかの敵キャラクタECの位置にすればよい。たとえば、プレイヤキャラクタPCに最も近い敵キャラクタECの位置などである。また、S8におけるこの次のコールタイミングまでの時間は、選択されたランダムレンジR0(4秒〜7秒)の範囲で1/100単位でランダムに決定される。
【0055】
以上は条件C11を例にあげて説明したが、他の条件についても同じ処理動作が実行される。なお、複数の条件(たとえばC11,C22)が同時に満たされた場合、それぞれの条件の発音制御動作をそのまま実行してもよいが、複数のガヤ音が同時に発生されないようにしてもよい。たとえば、一方の条件の成立を無効にして条件不成立として発音制御動作を実行してもよく、両方として条件成立として発音制御動作を実行するが、一方のS7の処理をキャンセルして発音されないようにしてもよい。この場合、プレイヤキャラクタPCに近い条件、すなわち、第1ガヤ音判定エリアE1で成立した条件を優先させてもよい。また、先に成立(継続)している条件を優先してもよい。
【0056】
また、図4のサウンド選択テーブルの各欄で複数の波形データ(GS1など)を指定するようにしてもよい。この場合、複数の波形データの再生順序はどのようであっても、たとえばランダムであってもよい。
【0057】
ゲームに敵キャラクタECが複数種類登場する場合、図2図7で説明したガヤ音制御を、種類を区別せず全て敵キャラクタECとして実行してもよく、いずれか1種類の敵キャラクタECのみについて実行してもよい。
【0058】
また、ゲームに敵キャラクタECが複数種類登場する場合、複数種類の敵キャラクタECについてそれぞれガヤ音制御を実行してもよい。この場合、各敵キャラクタECに対するガヤ音制御をそれぞれ独立して実行してもよいが、条件が複数成立した場合でもガヤ音が複数発生されないように、条件成立のキャンセルまたは発音指示のキャンセル等を行うようにしてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、ガヤ音判定エリアEをプレイヤキャラクタPCを中心とした一定距離D以内のエリアとしているが、ガヤ音判定エリアEはこれに限定されず、図3のE2のように中空(ドーナッツ)状でもよく、歪んだ形状でもよい。たとえば、プレイヤキャラクタPCの向いている方向に長くするなど特定の方向に長く(または短く)してもよい。また、プレイヤキャラクタPCの居る位置や場所によって形状を変化させてもよい。たとえば、プレイヤキャラクタPCが障害物の近くに居る場合には、その障害物の方向にエリアを狭くするなどである。また、開放され音が発散する空間ではエリアを小さくし、洞窟などの反響する空間ではエリアを大きくすることも可能である。
【0060】
また、この実施形態では、敵キャラクタEC、すなわちプレイヤキャラクタPCと闘う相手をガヤ音発生の原因となるオブジェクトとしているが、ガヤ音発生の原因となるオブジェクトは敵キャラクタECに限定されない。たとえば、一緒に競争する他の乗り物などであってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 ゲーム機
3 DVD
50 ゲームプログラム
100 ゲーム装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7