(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
酸化物半導体層にチャネルが形成されるトランジスタは、その電気特性を十分に維持するためには、水素、水分等を該酸化物半導体層より極力排除することが重要である。
【0009】
とくに、表示装置の画素部と、該画素部の外側に設けられる駆動回路部の双方に酸化物半導体層にチャネルが形成されるトランジスタを用いる場合、駆動方法にも依存するが、画素部よりも駆動回路部に用いるトランジスタの方が、電気的負荷が大きいため、駆動回路部に用いるトランジスタの電気特性が重要となる。
【0010】
また、酸化物半導体層にチャネルが形成されるトランジスタを、画素部及び駆動回路部に用いる表示装置では、高温高湿環境下の信頼性試験において、駆動回路部に用いるトランジスタ(駆動トランジスタともいう)の劣化が問題になっている。該駆動トランジスタの劣化原因としては、トランジスタの凹凸の低減のために設けられる有機材料から放出されうる水分等が外部へ放出することができず、酸化物半導体層へ入り込み、該酸化物半導体層のキャリア密度が増加するためである。
【0011】
また、上記駆動トランジスタの劣化原因の一つとして、表示装置外部から浸入する水分が、駆動トランジスタの酸化物半導体層に入り込み、該駆動トランジスタが劣化する。
【0012】
そこで、本発明の一態様は、酸化物半導体層にチャネルが形成されるトランジスタを、画素部及び駆動回路部に用いる表示装置において、該トランジスタの電気特性の変動を抑制すると共に、信頼性を向上させることを課題の一とする。とくに、本発明の一態様は、駆動回路部のトランジスタに用いる酸化物半導体層への水素、水分の入り込みを抑制し、電気特性の変動を抑制すると共に、信頼性を向上させることを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
水分等の不純物が放出されうる有機材料を有する絶縁層を駆動トランジスタ上に形成しない。
【0014】
以下に、本発明の種々の態様について説明する。
本発明の一態様は、画素部と、前記画素部の外側に設けられる駆動回路部と、を有し、前記画素部は、画素トランジスタと、前記画素トランジスタを覆う無機材料で形成される第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層上に設けられ、且つ有機材料で形成される第2の絶縁層と、前記第2の絶縁層上に設けられ、且つ無機材料で形成される第3の絶縁層と、を有し、前記駆動回路部は、前記画素トランジスタに信号を供給する駆動トランジスタと、前記駆動トランジスタを覆う前記第1の絶縁層と、を有し、前記駆動回路部において、前記第2の絶縁層は形成されていないことを特徴とする表示装置である。
【0015】
また、上記の本発明の一態様において、前記駆動回路部は、前記第1の絶縁層上に形成される前記第3の絶縁層を有するとよい。
【0016】
また、上記の本発明の一態様において、前記駆動回路部において、前記第1の絶縁層は前記第3の絶縁層と接するとよい。
【0017】
また、上記の本発明の一態様において、前記駆動回路部の外側に設けられる非表示領域を有し、前記非表示領域は、前記第1の絶縁層を有し、前記非表示領域において、前記第2の絶縁層は形成されていないとよい。
【0018】
また、上記の本発明の一態様において、前記画素トランジスタ及び前記駆動トランジスタそれぞれは、酸化物半導体層にチャネルが形成されるとよい。
【0019】
また、上記の本発明の一態様において、前記画素トランジスタ及び前記駆動トランジスタそれぞれは、ゲート電極と、前記ゲート電極上に形成されたゲート絶縁層と、前記ゲート電極上に形成された、前記ゲート絶縁層上に位置する酸化物半導体層と、前記酸化物半導体層上に形成されたソース電極及びドレイン電極と、を有するとよい。
【0020】
また、上記の本発明の一態様において、前記画素部は、前記第1の絶縁層下に形成され、前記ゲート絶縁層上に形成された層を有し、当該層は、前記駆動回路部と前記画素部との境界近傍に沿って形成されているとよい。
【0021】
また、上記の本発明の一態様において、前記層は、前記ソース電極と同一層によって形成されているとよい。
【0022】
また、上記の本発明の一態様において、前記酸化物半導体層は、酸化インジウム、酸化スズ、及び酸化亜鉛の群から選択された少なくとも一つの酸化物を含む層であるとよい。
【0023】
また、上記の本発明の一態様において、前記酸化物半導体層は、In−Ga−Zn系酸化物半導体層であるとよい。
【0024】
また、上記の本発明の一態様において、前記酸化物半導体層は、結晶部を含み、前記結晶部は、c軸が前記酸化物半導体層の被形成面の法線ベクトルに平行な方向に揃うとよい。
【0025】
また、上記の本発明の一態様において、前記第1の絶縁層は、酸素または窒素を含むシリコン膜であるとよい。
【0026】
また、上記の本発明の一態様において、前記第1の絶縁層は、酸化シリコン膜と、窒化シリコン膜との積層構造であるとよい。
【0027】
また、上記の本発明の一態様において、前記第1の絶縁層は、酸化窒化シリコン膜と、窒化シリコン膜との積層構造であるとよい。
【0028】
また、上記の本発明の一態様において、前記窒化シリコン膜は、前記酸化窒化シリコン膜に形成された鬆を覆うとよい。
【0029】
また、上記の本発明の一態様において、前記第2の絶縁層はアクリル系樹脂材料であるとよい。
【0030】
また、上記の本発明の一態様において、前記第3の絶縁層は、窒素を含むシリコン膜であるとよい。
【0031】
本発明の一態様は、画素部と、前記画素部の外側に設けられる駆動回路部と、を有し、前記画素部は、画素トランジスタと、前記画素トランジスタを覆う酸素を含むシリコン膜からなる第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層上に設けられ、且つアクリル系樹脂材料からなる第2の絶縁層と、前記第2の絶縁層上に設けられ、且つ窒素を含むシリコン膜からなる第3の絶縁層と、を有し、前記駆動回路部は、前記画素トランジスタに信号を供給する駆動トランジスタと、前記駆動トランジスタを覆う前記第1の絶縁層と、を有し、前記駆動回路部において、前記第2の絶縁層は形成されていないことを特徴とする表示装置である。
【0032】
また、上記の本発明の一態様において、前記画素部において、前記第2の絶縁層上に形成された第1の電極と、前記第1の電極上に形成された前記第3の絶縁層と、前記第3の絶縁層上に形成された第2の電極と、を有するとよい。
【0033】
また、本発明の一態様は、上述した表示装置を有する電子機器である。
【発明の効果】
【0034】
本発明の一態様を適用することで、酸化物半導体層にチャネルが形成されるトランジスタを、画素部及び駆動回路部に用いる表示装置において、該トランジスタの電気特性の変動を抑制すると共に、信頼性を向上させることができる。とくに、本発明の一態様を適用することで、駆動回路部のトランジスタに用いる酸化物半導体層への水素、水分の入り込みを抑制し、電気特性の変動を抑制すると共に、信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0037】
[実施の形態1]
本実施の形態では、半導体装置の一形態を、
図1を用いて説明する。
【0038】
図1(A)に表示装置の一形態として、表示装置の上面図を示す。
図1(B)は、
図1(A)におけるX1−Y1の断面図に相当する。
【0039】
図1(A)に示す表示装置において、第1の基板102上に設けられた画素部104と、画素部104の外側に隣接し、該画素部104に信号を供給する駆動回路であるゲートドライバ回路部106及びソースドライバ回路部108を囲むようにして、シール材(図示せず)が設けられ、第2の基板(図示せず)によって封止されている。よって画素部104と、ゲートドライバ回路部106と、ソースドライバ回路部108とは、第1の基板102とシール材と第2の基板によって、表示素子と共に封止されている。
【0040】
また、
図1(A)においては、第1の基板102上のシール材によって囲まれている領域とは異なる領域に、画素部104、ゲートドライバ回路部106、ソースドライバ回路部108と電気的に接続されている図示せぬFPC端子部(FPC:Flexible printed circuit)が設けられている。また、FPC端子部には、FPC(図示せず)が接続され、画素部104、ゲートドライバ回路部106、及びソースドライバ回路部108に与えられる各種信号、及び電位がFPCにより供給されている。
【0041】
また、
図1(A)においては、ゲートドライバ回路部106及びソースドライバ回路部108を画素部104と同じ第1の基板102に形成している例を示しているが、この構成に限定されない。例えば、ゲートドライバ回路部106のみを第1の基板102に形成し、別途用意されたソースドライバ回路が形成された基板(例えば、単結晶半導体膜、多結晶半導体膜で形成された駆動回路基板)を、第1の基板102に実装する構成としても良い。
【0042】
また、
図1(A)においては、ゲートドライバ回路部106は画素部104の両側に2列配置する構成について例示しているが、この構成に限定されない。例えば、画素部104の片側にのみゲートドライバ回路部106を配置する構成としても良い。
【0043】
なお、別途形成した駆動回路基板の接続方法は、特に限定されるものではなく、COG(Chip On Glass)方法、ワイヤボンディング方法、或いはTAB(Tape Automated Bonding)方法などを用いることができる。
【0044】
このように、トランジスタを含む駆動回路の一部または全体を、画素部104と同じ第1の基板102上に一体形成し、システムオンパネルを形成することができる。
【0045】
また、駆動回路であるゲートドライバ回路部106に、駆動トランジスタが形成されている。ゲートドライバ回路部106は、画素部104の各画素に含まれるトランジスタに信号を供給することができる。
【0046】
なお、ゲートドライバ回路部106における駆動トランジスタは、各種信号の制御、及び昇圧等を行うために、高い電圧が必要となる。具体的には、10V〜30V程度の電圧が必要となる。
【0047】
また、画素部104に、画素トランジスタが形成されている。
【0048】
図1(A)に示す表示装置の構成をより具体的に説明するため、
図1(A)におけるX1−Y1の断面図に相当する
図1(B)を用いて、ゲートドライバ回路部106、及び画素部104の構成について、以下説明を行う。
【0049】
なお、
図1(B)に示す表示装置においては、表示素子として液晶素子を用い、その駆動モードは、垂直配向(VA)モードを用いた一態様について説明する。
【0050】
まず、ゲートドライバ回路部106と画素部104上に設けられる層構造について、説明を行う。
【0051】
ゲートドライバ回路部106は、駆動トランジスタ上に第1の無機材料(例えばSiON)で形成される絶縁層120と、絶縁層120上に第2の無機材料で形成される第1の絶縁層(SiN)122と、が設けられており、画素部104は、画素トランジスタ上に絶縁層120と、絶縁層120上に第1の絶縁層122と、第1の絶縁層122上に設けられ、有機材料(例えばアクリル系樹脂)で形成される第2の絶縁層124と、が設けられている。
【0052】
すなわち、ゲートドライバ回路部106は、第2の絶縁層124が形成されない、または第2の絶縁層124が形成された後、第2の絶縁層124を除去し第1の絶縁層122が第2の絶縁層124より露出した構造である。
別言すれば、ゲートドライバ回路部106は、第1の絶縁層122上に第2の絶縁層124が形成されていない、または第1の絶縁層122が第2の絶縁層124によって覆われていない。
【0053】
第2の絶縁層124は、表示装置を構成するトランジスタ等の凹凸を低減するために、平坦性の高い有機材料で形成される。トランジスタ等の凹凸を低減することにより、表示装置の画質を向上させることができる。しかしながら、当該有機材料は加熱等により、水素、水分、または有機成分をガスとして放出してしまう。
【0054】
例えば、トランジスタに用いる半導体層に、シリコン系半導体材料であるシリコン膜を用いるトランジスタにおいては、上述の水素、水分、または有機成分のガスが大きな問題になる可能性が低い。しかし、本発明の一態様においては、半導体層に酸化物半導体層を用いるため、有機材料により形成される第2の絶縁層124から放出される水素、水分、または有機成分のガスによって駆動トランジスタが劣化する。
【0055】
そこで、本実施の形態に示すように、高い平坦性が要求される画素部104に設けられる第1の絶縁層122の上方には、有機材料により形成される第2の絶縁層124が形成され、駆動トランジスタを有するゲートドライバ回路部106、ソースドライバ回路部108及び
図1(A)に示すパネル外周端(非表示領域)に設けられる第1の絶縁層122の上方には、有機材料により形成される第2の絶縁層124が形成されない、または第2の絶縁層124が形成された後、第2の絶縁層124を除去した構造とする。これにより、第2の絶縁層124から放出される水分等のガスが、ゲートドライバ回路部106及びソースドライバ回路部108の駆動トランジスタの内部に取り込まれるのを抑制することができる。
【0056】
次に、
図1(B)に示すゲートドライバ回路部106及び画素部104の詳細について、以下説明を行う。
【0057】
ゲートドライバ回路部106において、第1の基板102と、第1の基板102上に形成されたゲート電極層110と、ゲート電極層110上に形成されたゲート絶縁層112と、ゲート絶縁層112上に形成された半導体層114と、ゲート絶縁層112、及び半導体層114上に形成されたソース電極層116及びドレイン電極層118と、を含む駆動トランジスタが形成されている。
【0058】
また、ゲートドライバ回路部106において、駆動トランジスタ上、より詳しくはゲート絶縁層112、半導体層114、ソース電極層116、及びドレイン電極層118上に絶縁層120と、絶縁層120上に第1の絶縁層122と、が形成されている。
【0059】
絶縁層120または第1の絶縁層122は、駆動トランジスタの保護膜としての機能を有する。
【0060】
また、第1の絶縁層122上には、無機材料(例えばSiN)で形成される第3の絶縁層128と、第3の絶縁層128上に設けられた第1の配向膜132と、第1の配向膜132上に設けられた液晶層164と、液晶層164上に設けられた第2の配向膜162と、第2の配向膜162上に設けられた有機絶縁層(OC)158と、有機絶縁層158上に設けられた第2の基板152が形成されている。
【0061】
画素部104において、第1の基板102と、第1の基板102上に形成されたゲート電極層110と、ゲート電極層110上に形成されたゲート絶縁層112と、ゲート絶縁層112上に形成された半導体層114と、ゲート絶縁層112、及び半導体層114上に形成されたソース電極層116及びドレイン電極層118と、を含む画素トランジスタが形成されている。
【0062】
また、画素部104において、画素トランジスタ上、より詳しくはゲート絶縁層112、半導体層114、ソース電極層116、及びドレイン電極層118上に絶縁層120と、絶縁層120上に第1の絶縁層122と、第1の絶縁層122上に第2の絶縁層124と、が形成されている。
【0063】
絶縁層120または第1の絶縁層122は、画素トランジスタの保護膜としての機能を有し、第2の絶縁層124は、画素トランジスタのソース電極層116、及びドレイン電極層118等の凹凸を低減するための平坦化膜としての機能を有する。
【0064】
さらに、画素部104において、第2の絶縁層124上には、共通電極層126が形成されている。また、第2の絶縁層124及び共通電極層126上には、無機材料(例えばSiN)で形成される第3の絶縁層128が形成されている。また、絶縁層120、第1の絶縁層122、第2の絶縁層124及び第3の絶縁層128に、画素トランジスタのドレイン電極層118に達する開口部が設けられており、該開口部、及び第3の絶縁層128上に画素電極層130が形成されている。
【0065】
なお、共通電極層126と、第3の絶縁層128と、画素電極層130により容量素子が形成されている。共通電極層126、第3の絶縁層128、及び画素電極層130を、それぞれ、可視光において、透光性を有する材料により形成することで、画素部の開口率を損ねることなく大きな容量を確保することができるので、好適である。
【0066】
また、画素電極層130上には、第1の配向膜132と、第1の配向膜132上に設けられた液晶層164と、液晶層164上に設けられた第2の配向膜162と、第2の配向膜162上に設けられた対向電極層160と、対向電極層160上に設けられた有機絶縁層158と、有機絶縁層158上に設けられた有色層(CF)154及び遮光層(BM)156と、有色層154及び遮光層156上に設けられた第2の基板152が形成されている。
【0067】
なお、画素電極層130と、第1の配向膜132と、液晶層164と、第2の配向膜162と、対向電極層160と、により表示素子である液晶素子が形成されている。
【0068】
ここで、
図1(A),(B)に示す表示装置の他の構成要素について、以下詳細な説明を行う。
【0069】
第1の基板102及び第2の基板152としては、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスなどのガラス材料を用いる。量産する上では、第1の基板102及び第2の基板152は、第8世代(2160mm×2460mm)、第9世代(2400mm×2800mm、または2450mm×3050mm)、第10世代(2950mm×3400mm)等のマザーガラスを用いることが好ましい。マザーガラスは、処理温度が高く、処理時間が長いと大幅に収縮するため、マザーガラスを使用して量産を行う場合、作製工程の加熱処理は、好ましくは600℃以下、さらに好ましくは450℃以下、さらに好ましくは350℃以下とすることが望ましい。
【0070】
ゲート電極層110としては、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いて形成することができる。また、ゲート電極層110は、単層構造でも、二層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タンタル膜または窒化タングステン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、チタン膜と、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造等がある。また、アルミニウムに、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素の膜、または複数組み合わせた合金膜、もしくは窒化膜を用いてもよい。
【0071】
ゲート絶縁層112としては、例えば酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜などを用いればよく、積層または単層で設ける。
【0072】
また、ゲート絶縁層112を積層構造とし、第1の窒化シリコン膜として、欠陥が少ない窒化シリコン膜とし、第1の窒化シリコン膜上に、第2の窒化シリコン膜として、水素放出量及びアンモニア放出量の少ない窒化シリコン膜を設け、第2の窒化シリコン膜上に酸化絶縁層を設けることで、ゲート絶縁層112として、欠陥が少なく、且つ水素及びアンモニアの放出量の少ないゲート絶縁層112を形成することができる。この結果、ゲート絶縁層112に含まれる水素及び窒素が、半導体層114への移動を抑制することが可能である。例えば、ゲート絶縁層112として、50nmの酸化シリコン膜と、325nmの窒化シリコン膜との積層構造を用いることができる。
【0073】
また、ゲート絶縁層112に窒化シリコン膜を用いることで、以下の効果を得ることができる。窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜と比較して比誘電率が高く、同等の静電容量を得るのに必要な膜厚が大きいため、ゲート絶縁層を物理的に厚膜化することができる。よって、トランジスタの絶縁耐圧の低下を抑制、さらには絶縁耐圧を向上させて、トランジスタの静電破壊を抑制することができる。
【0074】
ゲート絶縁層112の厚さは、5nm以上400nm以下、より好ましくは10nm以上450nm以下、より好ましくは50nm以上400nm以下とするとよい。
【0075】
半導体層114は、酸化物半導体を用い、少なくともインジウム(In)若しくは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。または、InとZnの双方を含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすため、それらと共に、スタビライザーの一または複数を有することが好ましい。
【0076】
スタビライザーとしては、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、またはジルコニウム(Zr)等がある。
【0077】
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、In−Zn系金属酸化物、Sn−Zn系金属酸化物、Al−Zn系金属酸化物、In−Ga系金属酸化物、In−Ga−Zn系金属酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系金属酸化物、In−Sn−Zn系金属酸化物、Sn−Ga−Zn系金属酸化物、Al−Ga−Zn系金属酸化物、Sn−Al−Zn系金属酸化物、In−Hf−Zn系金属酸化物、In−Sn−Ga−Zn系金属酸化物、In−Hf−Ga−Zn系金属酸化物、In−Al−Ga−Zn系金属酸化物、In−Sn−Al−Zn系金属酸化物、In−Sn−Hf−Zn系金属酸化物、In−Hf−Al−Zn系金属酸化物を用いることができる。
【0078】
なお、ここで、例えば、In−Ga−Zn系金属酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。
【0079】
また、酸化物半導体として、InMO
3(ZnO)
m(m>0、且つ、mは整数でない)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Fe、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素または複数の金属元素を示す。また、酸化物半導体として、In
2SnO
5(ZnO)
n(n>0、且つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
【0080】
また、半導体層114として用いることのできる酸化物半導体層としては、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である。このように、エネルギーギャップの広い酸化物半導体層を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0081】
また、半導体層114として用いる酸化物半導体層は、例えば非単結晶を有してもよい。非単結晶は、例えば、CAAC(C Axis Aligned Crystal)、多結晶、微結晶、非晶質部を有する。なお、CAACを有する酸化物半導体を、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)と呼ぶ。
【0082】
酸化物半導体膜は、例えばCAAC−OSを有してもよい。CAAC−OSは、例えば、c軸配向し、a軸または/およびb軸はマクロに揃っていない場合がある。
【0083】
酸化物半導体膜は、例えば微結晶を有してもよい。なお、微結晶を有する酸化物半導体を、微結晶酸化物半導体と呼ぶ。微結晶酸化物半導体膜は、例えば、1nm以上10nm未満のサイズの微結晶(ナノ結晶ともいう。)を膜中に含む。
【0084】
酸化物半導体膜は、例えば非晶質部を有してもよい。なお、非晶質部を有する酸化物半導体を、非晶質酸化物半導体と呼ぶ。非晶質酸化物半導体膜は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さない。または、非晶質酸化物半導体膜は、例えば、完全な非晶質であり、結晶部を有さない。
【0085】
なお、酸化物半導体膜が、CAAC−OS、微結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体の混合膜であってもよい。混合膜は、例えば、非晶質酸化物半導体の領域と、微結晶酸化物半導体の領域と、CAAC−OSの領域と、を有する。また、混合膜は、例えば、非晶質酸化物半導体の領域と、微結晶酸化物半導体の領域と、CAAC−OSの領域と、の積層構造を有してもよい。
【0086】
なお、酸化物半導体膜は、例えば、単結晶を有してもよい。
【0087】
酸化物半導体膜は、複数の結晶部を有し、当該結晶部のc軸が被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃っていることが好ましい。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。そのような酸化物半導体膜の一例としては、CAAC−OS膜がある。
【0088】
CAAC−OS膜は、完全な非晶質ではない。なお、CAAC−OS膜中に含まれる結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさであることが多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)による観察像では、CAAC−OS膜に含まれる結晶部と結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC−OS膜には粒界(グレインバウンダリーともいう。)は確認できない。そのため、CAAC−OS膜は、粒界に起因する電子移動度の低下が抑制される。
【0089】
CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、c軸がCAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃い、かつab面に垂直な方向から見て三角形状または六角形状の原子配列を有し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸及びb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、80°以上100°以下、好ましくは85°以上95°以下の範囲も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、−10°以上10°以下、好ましくは−5°以上5°以下の範囲も含まれることとする。なお、酸化物半導体層を構成する酸素の一部は窒素で置換されてもよい。
【0090】
なお、CAAC−OS膜において、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の形成過程において、酸化物半導体層の表面側から結晶成長させる場合、被形成面の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、CAAC−OS膜へ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部が非晶質化することもある。
【0091】
CAAC−OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃うため、CAAC−OS膜の形状(被形成面の断面形状または表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。また、結晶部は、成膜したとき、または成膜後に加熱処理などの結晶化処理を行ったときに形成される。従って、結晶部のc軸は、CAAC−OS膜が形成されたときの被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃う。
【0092】
CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
【0093】
また、CAAC−OS膜を成膜するために、以下の条件を適用することが好ましい。
【0094】
成膜時の不純物混入を低減することで、不純物によって結晶状態が崩れることを抑制できる。例えば、成膜室内に存在する不純物濃度(水素、水、二酸化炭素および窒素など)を低減すればよい。また、成膜ガス中の不純物濃度を低減すればよい。具体的には、露点が−80℃以下、好ましくは−100℃以下である成膜ガスを用いる。
【0095】
また、成膜ガス中の酸素割合を高め、電力を最適化することで成膜時のプラズマダメージを軽減すると好ましい。成膜ガス中の酸素割合は、30体積%以上、好ましくは100体積%とする。
【0096】
半導体層114に用いる酸化物半導体層の厚さは、1nm以上100nm以下、更に好ましくは3nm以上85nm以下とすることが好ましい。
【0097】
半導体層114に用いる酸化物半導体層において、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×10
18atoms/cm
3以下、さらに好ましくは2×10
16atoms/cm
3以下であることが望ましい。アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、酸化物半導体と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電流の上昇の原因となるためである。
【0098】
また、半導体層114に用いる酸化物半導体層において、二次イオン質量分析法により得られる水素濃度を、5×10
18atoms/cm
3未満、好ましくは1×10
18atoms/cm
3以下、より好ましくは5×10
17atoms/cm
3以下、さらに好ましくは1×10
16atoms/cm
3以下とすることが好ましい。
【0099】
酸化物半導体層に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水となると共に、酸素が脱離した格子(あるいは酸素が脱理した部分)には欠損が形成されてしまう。また、水素の一部が酸素と結合することで、キャリアである電子が生じてしまう。これらのため、酸化物半導体層の成膜工程において、水素を含む不純物を極めて減らすことにより、酸化物半導体層の水素濃度を低減することが可能である。このため、水素をできるだけ除去された酸化物半導体層をチャネル領域とすることにより、しきい値電圧のマイナスシフトを抑制することができると共に、電気特性のばらつきを低減することができる。また、トランジスタのソース及びドレインにおけるリーク電流を、代表的には、オフ電流を低減することが可能である。
【0100】
ソース電極層116及びドレイン電極層118としては、導電材料として、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンからなる単体金属、またはこれを主成分とする合金を単層構造または積層構造として用いる。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、タングステン膜上にチタン膜を積層する二層構造、銅−マグネシウム−アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、そのチタン膜または窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、そのモリブデン膜または窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。
【0101】
なお、本実施の形態では、ソース電極層116及びドレイン電極層118を半導体層114上に設けたが、ゲート絶縁層112と半導体層114の間に設けても良い。
【0102】
絶縁層120または第1の絶縁層122としては、半導体層114として用いる酸化物半導体層との界面特性を向上させるため、無機材料の酸化物絶縁層を用いることが好ましく、例えば酸素または窒素を含むシリコン膜を用いてもよい。絶縁層120または第1の絶縁層122としては、厚さ150nm以上400nm以下の酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜等を用いることができる。また、絶縁層120としては、酸化物絶縁層を用い、第1の絶縁層122としては窒化物絶縁層を用いてもよい。例えば、絶縁層120として、酸化窒化シリコン膜を用い、第1の絶縁層122として、窒化シリコン膜を用いることができる。より具体的には、絶縁層120として酸化窒化シリコン膜300nmを用い、第1の絶縁層122として窒化シリコン膜150nm用いる構造などである。このとき窒化シリコン膜は、トランジスタの半導体層114への水分浸入を防止するブロック層としての機能を有する。このブロック性を高めるため窒化シリコン膜は高温で成膜されることが好ましく、例えば基板温度350℃での成膜が考えられる。このサンプルの薄膜トランジスタ断面を走査型電子顕微鏡で観察すると、ソースドレイン電極の段差被覆部分について、下層の酸化窒化シリコン膜の部分に鬆があっても、その上層の窒化シリコン膜には第2の絶縁層まで通じるような鬆がなく良好に被覆されていることが観察できる。また高温で成膜する場合は、半導体層114として用いる酸化物半導体層から酸素が脱離し、キャリア濃度が上昇する現象が発生することがあるため、このような現象が発生しない温度が上限となる。
【0103】
第2の絶縁層124としては、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂等の、耐熱性を有する有機材料を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁層を複数積層させることで、第2の絶縁層124を形成してもよい。第2の絶縁層124を用いることにより、トランジスタ等の凹凸を平坦化させることが可能となる。
【0104】
共通電極層126及び画素電極層130としては、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す。)、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いることができる。
【0105】
第3の絶縁層128としては、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜などの無機材料を用いることができる。
【0106】
第1の配向膜132及び第2の配向膜162としては、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂等の、耐熱性を有する有機材料を用いることができる。
【0107】
液晶層164としては、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等の液晶材料を用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。
【0108】
また、本実施の形態においては、液晶素子は、垂直配向(VA)モードを用いた表示装置について例示したが、これに限定されない。例えば、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro−cell)モード、OCB(Optical Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モードなどを用いることができる。
【0109】
また、上述した垂直配向モードとしては、いくつか挙げられるが、例えば、MVA(Multi−Domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モードなどを用いることができる。また、画素(ピクセル)をいくつかの領域(サブピクセル)に分け、それぞれ別の方向に分子を倒すよう工夫されているマルチドメイン化あるいはマルチドメイン設計といわれる方法を用いてもよい。
【0110】
また、
図1(A),(B)においては、図示していないが、偏光部材、位相差部材、反射防止部材などの光学部材(光学基板)などを適宜設けても良い。例えば、偏光基板及び位相差基板による円偏光を用いてもよい。また、光源としてバックライト、サイドライトなどを用いてもよい。
【0111】
また、画素部104における表示方式は、プログレッシブ方式やインターレース方式等を用いることができる。また、カラー表示する際に画素で制御する色要素としては、RGB(Rは赤、Gは緑、Bは青を表す)の三色に限定されない。例えば、RGBW(Wは白を表す)、又はRGBに、イエロー、シアン、マゼンタ等を一色以上追加したものがある。なお、色要素のドット毎にその表示領域の大きさが異なっていてもよい。ただし、開示する発明はカラー表示の表示装置に限定されるものではなく、モノクロ表示の表示装置に適用することもできる。
【0112】
また、第2の基板152上には、スペーサ(図示せず)が形成されており、第1の基板102と第2の基板152との間隔(セルギャップともいう)を制御するために設けられている。なお、セルギャップにより、液晶層164の膜厚が決定される。なお、スペーサとしては、絶縁層を選択的にエッチングすることで得られる柱状のスペーサ、球状のスペーサ等の任意の形状のスペーサを用いればよい。
【0113】
また、有色層154は、所謂カラーフィルタとして機能する。有色層154としては、特定波長帯域の光に対して透過性を示す材料を用いればよく、染料や顔料を含有した有機樹脂膜等を用いることができる。
【0114】
また、遮光層156は、所謂ブラックマトリクスとして機能する。遮光層156としては、隣接する画素間の放射光を遮光できればよく、金属膜、及び黒色染料や黒色顔料を含有した有機樹脂膜等を用いることができる。
【0115】
また、有機絶縁層158としては、有色層154に含まれるイオン性物質が液晶層164中に拡散しないように設ける。ただし、有機絶縁層158は、この構成に限定されず、設けない構成としても良い。
【0116】
また、シール材としては、熱硬化型樹脂、または紫外線硬化型の樹脂等を用いることができる。なお、シール材の封止領域においては、第1の基板102と第2の基板152との間に、ゲート絶縁層112と、絶縁層120と、第1の絶縁層122を設ける構成を例示したがこれに限定されない。例えば、シール材の封止領域を、ゲート絶縁層112と、絶縁層120と、第1の絶縁層122と、第3の絶縁層128と、を設ける構成としてもよい。
【0117】
以上が本発明の一態様における表示装置であり、該表示装置に用いる酸化物半導体層にチャネルが形成されるトランジスタの電気特性の変動を抑制すると共に、信頼性を向上させることができる。とくに、駆動回路部のトランジスタに用いる酸化物半導体層への水素、水分の入り込みを抑制し、電気特性の変動を抑制すると共に、信頼性を向上させることができる。
【0118】
また、本発明の一態様としては、上述した表示装置を有する電子機器に適用してもよい。
【0119】
[実施の形態2]
本実施の形態では、表示装置の一形態を、
図2(A)を用いて説明する。
図2(A)は、
図1(A)におけるX1−Y1の断面に相当する図であり、
図1(B)と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0120】
図2(A)に示す表示装置は、
図1(B)に示す画素部104における第2の絶縁層124上に形成された共通電極層126が形成されていない。
【0121】
本実施の形態においても実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0122】
[実施の形態3]
本実施の形態では、表示装置の一形態を、
図2(B)を用いて説明する。
図2(B)は、
図1(A)におけるX1−Y1の断面に相当する図であり、
図1(B)と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0123】
図2(B)に示す表示装置は、画素部104におけるゲート絶縁層112上に形成された層117を有し、この層117はゲートドライバ回路部106及びソースドライバ回路部それぞれと画素部104との境界近傍に沿って形成されている。
【0124】
層117は、ソース電極層116及びドレイン電極層118と同一工程によって形成された同一層であるとよい。これにより、フォトリソグラフィ工程でのマスク枚数を増加させることなく、層117を形成することができる。
【0125】
このように層117を、ゲートドライバ回路部106及びソースドライバ回路部それぞれと画素部104との境界近傍に形成することにより、ゲートドライバ回路部106及びソースドライバ回路部にトランジスタ等の凹凸を低減するための第2の絶縁層124を形成しないことに起因する当該境界近傍に生じる段差を抑制することができる。つまり、当該境界近傍で画素部104側の平坦性が悪くなるのを抑制することができる。
【0126】
別言すれば、ゲートドライバ回路部106及びソースドライバ回路部に第2の絶縁層124を形成しないことによって当該境界近傍に与えられる平坦性への影響を小さくすることができる。それにより、当該境界近傍の画素部104の表示品質の低下を抑制できる。
【0127】
本実施の形態においても実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0128】
[実施の形態1〜3の変形例]
本変形例による表示装置は、実施の形態1〜3における画素トランジスタ及び駆動トランジスタを
図3(A)、(B)に示すトランジスタに変更したものである。
【0129】
図3(A)、(B)は、
図1、
図2に示す表示装置の画素部、及び駆動回路部に用いることのできるトランジスタの断面図を示している。
【0130】
図3(A)に示すトランジスタは、第1の基板102と、第1の基板102上に形成されたゲート電極層110と、ゲート電極層110上に形成されたゲート絶縁層112と、ゲート絶縁層112上に形成され、ゲート電極層110に重畳する位置に形成された半導体層114と、半導体層114上に形成され、少なくとも半導体層114のチャネルが形成される領域に形成されたチャネル保護層(例えばSiON層)140と、ゲート絶縁層112、半導体層114、及びチャネル保護層140上に形成されたソース電極層116、及びドレイン電極層118と、を有する。
【0131】
また、
図3(A)に示すトランジスタ上、より詳しくは、ゲート絶縁層112、チャネル保護層140、ソース電極層116、及びドレイン電極層118上に形成された絶縁層120と、絶縁層120上に形成された第1の絶縁層122と、を設ける構成としてもよい。
【0132】
図3(B)に示すトランジスタは、第1の基板102と、第2の基板102上に形成されたゲート電極層110と、ゲート電極層110上に形成されたゲート絶縁層112と、ゲート絶縁層112上に形成され、ゲート電極層110に重畳する位置に形成された半導体層114と、半導体層114上に形成され、少なくとも半導体層114のチャネルが形成される領域、及び半導体層114の外周部の領域に形成されたチャネル保護層(例えばSiON層)140a、140b、140cと、ゲート絶縁層112、半導体層114、及びチャネル保護層140a、140b、140c上に形成されたソース電極層116、及びドレイン電極層118と、を有する。
【0133】
また、
図3(B)に示すトランジスタ上、より詳しくは、チャネル保護層140a、140b、140c、ソース電極層116、及びドレイン電極層118上に形成された絶縁層120と、絶縁層120上に形成された第1の絶縁層122と、を設ける構成としてもよい。
【0134】
図3(A)、(B)に示すように、半導体層上にチャネル保護層を設ける構成とすることで、ソース電極層、及びドレイン電極層を加工する際に半導体層に与えられるダメージを軽減することができる。また、
図3(B)に示すように、チャネル保護層が半導体層114の外周部の領域を覆う構造とすることで、外部から浸入しうる不純物に対して、半導体層を保護することができるため、好適な構造である。
【0135】
このように、
図1、
図2に示す表示装置の画素部、及び駆動回路部にチャネル保護層を有する構造のトランジスタを適用してもよい。