特許第6198452号(P6198452)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6198452
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】中間媒体式気化器
(51)【国際特許分類】
   F17C 9/02 20060101AFI20170911BHJP
   F28F 21/08 20060101ALI20170911BHJP
   F28F 1/12 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   F17C9/02
   F28F21/08 G
   F28F1/12 F
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-98193(P2013-98193)
(22)【出願日】2013年5月8日
(65)【公開番号】特開2014-219047(P2014-219047A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2015年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】江頭 慎二
(72)【発明者】
【氏名】松田 治幸
【審査官】 佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05186252(US,A)
【文献】 特開平11−183074(JP,A)
【文献】 特開2009−052724(JP,A)
【文献】 米国特許第03986340(US,A)
【文献】 江頭慎二,中間媒体式LNG気化器:IFVの新規展開,R&D 神戸製鋼技報,日本,株式会社神戸製鋼所,2009年 8月21日,第59巻,第2号,p.90-93
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 9/02
F28F 1/12
F28F 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水が流れる伝熱管を有し、該伝熱管内の海水と該伝熱管外の液状の中間媒体との間での熱交換によって前記中間媒体の少なくとも一部を蒸発させる中間媒体蒸発部と、
低温液化ガスが流れる伝熱管を有し、前記中間媒体蒸発部で蒸発した中間媒体を凝縮させることにより、前記伝熱管内の低温液化ガスを気化させる液化ガス気化部と、を備え、
前記中間媒体蒸発部の前記伝熱管は、チタン製又はチタン合金製であり、前記伝熱管の外周面には、外面の間隙を通して外部に連通する空洞部分を有する溝が形成され、当該溝は前記外面の間隙の幅よりもその奥側の前記空洞部分の幅の方が広い形状を有しており、
前記中間媒体蒸発部には前記伝熱管に海水を流入させるための海水入口室が隣接し、当該海水入口室には前記海水を前記伝熱管内で気化したガスと熱交換させることなく当該海水入口室に導入する導入管が接続され、
前記液化ガス気化部の前記伝熱管は、ステンレス製のフィン付き管によって構成され、当該フィン付き管のフィンは当該管の軸方向に並ぶように設けられており、
前記液化ガス気化部は、前記伝熱管内で気化したガスが流入する出口室を有し、当該出口室には、当該出口室から流出したガスを加熱することなく利用側に供給する導出管が接続されている中間媒体式気化器。
【請求項2】
前記液化ガス気化部において、低温液化ガスが0℃以上の温度に加熱される請求項1に記載の中間媒体式気化器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化天然ガス(以下、LNGと称する。)等の低温液体をプロパン等の中間媒体を用いて加温、気化する中間媒体式気化器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1及び2に開示されているように、LNG等の低温液体をコンパクトな構造で連続気化する装置として、熱源流体に加えて中間媒体を用いる中間媒体式気化器が知られている。特許文献1に開示されている中間媒体式気化器は、図5に示すように、中間媒体蒸発器E1と、LNG蒸発器E2と、NG(天然ガス)加温器E3と、を備えている。また、気化器には、熱源流体としての海水が通る経路として、入口室50、多数本の伝熱管52、中間室54、多数本の伝熱管56及び出口室58が、この順に設けられている。伝熱管52はNG加温器E3内に、また伝熱管56は中間媒体蒸発器E1内にそれぞれ配置されている。中間媒体蒸発器E1内には、海水の温度よりも沸点の低い中間媒体(例えばプロパン)Mが収容されている。
【0003】
LNG蒸発器E2は、入口室62及び出口室64と、両室62,64を連通する多数本の伝熱管63とを備えている。各伝熱管63は略U字状をなし、中間媒体蒸発器E1内の上部に突き出ている。出口室64は、NG導管66を介してNG加温器E3内に連通している。
【0004】
このような気化器において、熱源流体である海水は、入口室50、伝熱管52、中間室54及び伝熱管56を通って出口室58に至るが、伝熱管56を通る海水は、中間媒体蒸発器E1内の液状中間媒体Mと熱交換して当該中間媒体Mを蒸発させる。
【0005】
一方、気化対象であるLNGは、入口室62から伝熱管63に導入される。この伝熱管63内のLNGと中間媒体蒸発器E1内の蒸発中間媒体Mとの熱交換により、当該中間媒体Mが凝縮するとともに、その凝縮熱を受けてLNGが伝熱管63内で蒸発し、NGとなる。このNGは、出口室64からNG導管66を通じてNG加温器E3内に導入され、このNG加温器E3内の伝熱管52を流れる海水との熱交換によってさらに加熱された後、利用側に供給される。
【0006】
ところで、海水を熱源として、管外の冷媒を沸騰させるための沸騰用伝熱管が、下記特許文献3に開示されている。この特許文献3に開示された沸騰用伝熱管は、チタン製又はステンレス製の内管と、銅製又はアルミニウム製の外管とを備えた二重管によって構成されている。そして、外管の外周面には、転造加工によって突起部が形成されている。この構成では、内管がチタン製又はステンレス製となっていため、耐海水性に優れており、しかも、外管が銅製又はアルミニウム製となっているため、転造加工性に優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−227200公報
【特許文献2】特開2001−200995号公報
【特許文献3】特開2012−2374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1及び2には、中間媒体蒸発器の伝熱管の材質について何ら記載されていない。しかしながら、この伝熱管のように、内部を海水が流れる伝熱管については、耐海水性を考慮して、一般的に、チタン製又はステンレス製の伝熱管が採用される。チタン製又はステンレス製の伝熱管については、加工コストが高くなるため、ベア管(フィン無し管)が採用される。しかし、ベア管では伝熱性能が高くないため、中間媒体蒸発器の伝熱管として、特許文献3に開示された伝熱管と同様の構成を有する伝熱管を採用することが考えられる。特許文献3に開示された伝熱管は、チタン製又はステンレス製の内管と、銅製又はアルミニウム製の外管とを備えた二重管構造に構成されるとともに、外管に突起部が形成されている。これにより、転造加工性を確保しつつ耐海水性をも担保することができる。しかしながら、特許文献3に開示された二重管構造の伝熱管では、内管と外管とが異種金属で構成されているため、内管と外管とが異なる線膨張係数を有している。このため、内管内を流れる海水と、外管の外側の熱媒体との間で熱交換が行われる際に、内管と外管との間で剥離が生じ、伝熱性能が思惑通りに向上しないという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、前記従来技術を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、耐海水性を担保しつつ、伝熱性能を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するため、本発明は、海水が流れる伝熱管を有し、該伝熱管内の海水と該伝熱管外の液状の中間媒体との間での熱交換によって前記中間媒体の少なくとも一部を蒸発させる中間媒体蒸発部と、低温液化ガスが流れる伝熱管を有し、前記中間媒体蒸発部で蒸発した中間媒体を凝縮させることにより、前記伝熱管内の低温液化ガスを気化させる液化ガス気化部と、を備え、前記中間媒体蒸発部の前記伝熱管は、チタン製又はチタン合金製であり、前記伝熱管の外周面には、外面の間隙を通して外部に連通する空洞部分を有する溝が形成され、当該溝は前記外面の間隙の幅よりもその奥側の前記空洞部分の幅の方が広い形状を有しており、前記中間媒体蒸発部には前記伝熱管に海水を流入させるための海水入口室が隣接し、当該海水入口室には前記海水を前記伝熱管内で気化したガスと熱交換させることなく当該海水入口室に導入する導入管が接続され、前記液化ガス気化部の前記伝熱管は、ステンレス製のフィン付き管によって構成され、当該フィン付き管のフィンは当該管の軸方向に並ぶように設けられており、前記液化ガス気化部は、前記伝熱管内で気化したガスが流入する出口室を有し、当該出口室には、当該出口室から流出したガスを加熱することなく利用側に供給する導出管が接続されている中間媒体式気化器である。
【0011】
本発明では、中間媒体蒸発部の伝熱管がチタン製又はチタン合金製であるため、伝熱管内に海水が流れるとしても、腐食し難い。したがって耐海水性を担保することができる。しかも、この伝熱管は、一体形成品であって従来のような二重管と異なるため、内管と外管との間で剥離が生ずるようなことはない。このため、伝熱管壁での伝熱性能が悪化することもない。さらに、中間媒体蒸発部の伝熱管の外周面には、外面の間隙を通して外部に連通する空洞部分を有する溝が形成されている。したがって、中間媒体蒸発部での伝熱性能を向上することができる。
【0012】
前記液化ガス気化部の前記伝熱管は、ステンレス製のフィン付き管によって構成されているため、伝熱管において中間媒体の接触面積を増大させることができる。したがって、液化ガス気化部においても伝熱性能を向上することができる。
【0013】
前記液化ガス気化部は、前記伝熱管内で気化したガスが流入する出口室を有しており、前記出口室には、該出口室から流出したガスを加熱することなく利用側に供給する導出管が接続されているので、液化ガス気化部で気化したガスが、導出管を通して利用側に供給される。すなわち、中間媒体蒸発部の伝熱管として、外周面に外面の間隙を通して外部に連通する空洞部分を有する溝が形成された構成の伝熱管が採用されるとともに、液化ガス気化部の伝熱管としてフィン付き管が採用されることにより、導出管でさらに加温する必要のない程度の温度まで、液化ガス気化部において低温液化ガスを加熱することができる。したがって、従来のように加温器(NG加温器)を設ける必要がないため、中間媒体蒸発部の伝熱管にかかるコスト及び液化ガス気化部の伝熱管にかかるコストの上昇分を吸収することができ、従来の装置に比べ、トータルとしてコスト削減を図ることができる。
【0014】
前記液化ガス気化部において、低温液化ガスが0℃以上の温度に加熱されてもよい。この態様では、低温液化ガスが、導出管でさらに加温する必要のない程度の温度(0℃以上)まで液化ガス気化部において加熱される。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、耐海水性を担保しつつ、伝熱性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る中間媒体式気化器の構成を概略的に示す図である。
図2】前記気化器に設けられた中間媒体蒸発器の伝熱管の外観の一部を模式的に示す図である。
図3】前記伝熱管を部分的に示す断面図である。
図4】前記気化器に設けられたLNG蒸発器の伝熱管を模式的に示す断面図である。
図5】従来の中間媒体式気化器の構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係る中間媒体式気化器(以下、単に気化器と称する)10は、中間媒体を介して、熱源流体である海水の熱を低温液化ガスであるLNG(液化天然ガス)に伝え、LNGを気化する装置である。気化器10は、中間媒体蒸発部である中間媒体蒸発器E1と、液化ガス気化部であるLNG蒸発器E2と、を備えている。気化器10は、中空状の本体部11を備えており、この本体部11は中間媒体蒸発器E1のシェルとして機能する。
【0019】
中間媒体蒸発器E1の一方には入口室(水室)14が隣接し、他方における下側部には出口室18が隣接している。中間媒体蒸発器E1には、多数の伝熱管20が設けられている。伝熱管20は、本体部11における下側部内に配置されている。伝熱管20は、本体部11の側壁のうち、入口室14との仕切壁として機能する入口側壁11aと、出口室18との仕切壁として機能する出口側壁11bとの間に架け渡されている。この伝熱管20は、一方向に直線状に延びる形状を有するが、この形状に限られるものではない。
【0020】
入口室14は、入口側管板11aとの間に間隔をおいて配置された外側壁14aと、入口側管板11a及び外側壁14aを接続する接続壁14dと、を備えている。外側壁14aには、海水を導入する導入管22が接続されている。導入管22には、図略のポンプ等が設けられており、海からくみ上げられた海水が入口室14内に導入される。すなわち、本実施形態の気化器10では、図5に示す従来の中間媒体式気化器と異なり、NG加温器が設けられていないため、入口室14に導入される前の海水がNGを加温するのに用いられることはない。なお、導入管22は、外側壁14aに接続される構成に限られない。
【0021】
出口室18は、出口側管板11bとの間に間隔をおいて配置された外側壁18aと、出口側管板11b部及び外側壁18aを接続する接続壁18dと、を備えている。接続壁18dには、海水を排出する排出管24が接続されている。なお、排出管24は、接続壁18dに接続される構成に限られず、外側壁18aに接続される構成であってもよい。
【0022】
本体部11中の中間媒体蒸発器E1内には、海水の温度よりも沸点の低い中間媒体(例えばプロパン)Mが収容されている。中間媒体Mは、全ての伝熱管(海水が流れる伝熱管)20よりも上側に液面が位置する程度に収容されている。
【0023】
出口室18の上方には、LNGの入口室32と、NGを導出する出口室34とが設けられている。入口室32及び出口室34は、出口側管板11bとともに本体部11の他方側の側壁を構成する管板11cを介して中間媒体蒸発器E1の上側部に隣接している。出口室34は、入口室32の上側に隣接するように形成されている。入口室32には、LNGを導入するための供給管36が接続されている。出口室34には、NGを導出するための導出管38が接続されている。NGは、導出管38を通して利用側に供給される。
【0024】
LNG蒸発器E2は、前記入口室32と、前記出口室34と、入口室32と出口室34とを連通する多数の伝熱管40と、を備えている。伝熱管40は、本体部11内における上側部に配置されている。各伝熱管40は略U字状をなしており、本体部11内の上側部に突き出た状態で、伝熱管40の両端部が管板11cに固定されている。伝熱管40は、中間媒体Mの液面よりも上方に配置されている。
【0025】
本実施形態の気化器10では、海水が導入管22を通して入口室14に導入される。この海水は中間媒体蒸発器E1の伝熱管20内に流入し、伝熱管20内を流れる海水は、液状の中間媒体Mと熱交換される。この熱交換によって、液状の中間媒体Mを沸騰させ、中間媒体Mを気化させる。
【0026】
一方、気化対象であるLNGは、供給管36を通して入口室32に導入される。このLNGは、入口室32からLNG蒸発器E2の伝熱管40に流入する。伝熱管40内のLNGと中間媒体蒸発器E1内(本体部11内)のガス状の中間媒体Mとの熱交換により、当該中間媒体Mが伝熱管40外で凝縮するとともに、その凝縮熱を受けてLNGが伝熱管40内で気化し、NGとなる。このNGは、出口室34から導出管38を通じて利用側に供給される。すなわち、LNG蒸発器E2で気化したNGは、加熱されることなくそのままの温度で利用側に供給される。LNG蒸発器E2においては、NGは例えば0℃以上の温度に加熱される。なお、LNG蒸発器E2において、NGは0℃以上の温度にまで加熱されるものに限られない。LNG蒸発器E2から排出されるNGの温度は、利用側での要求に応じて適宜変更が可能であり、0℃未満であってもよい。この場合でも、LNG蒸発器E2から導出されたNGを更に加熱することなく、利用側に供給することが可能である。
【0027】
ここで、中間媒体蒸発器E1に設けられた伝熱管20の構成について説明する。伝熱管20は、チタン製又はチタン合金製であり、図2に示すように、外周面に網目状の溝20a,20bが形成されている。すなわち、伝熱管20の外周面には、伝熱管20の長手方向(軸方向)に延びる多数の溝20aと、周方向に延びる多数の溝20bとが形成されている。そして、隣り合う溝間の部位が、凸部20cとして形成されている。多数の凸部20cは、軸方向及び周方向に配列されている。なお、本実施形態では、長手方向の溝20aと周方向の溝20bとが形成された構成となっているが、これに限られるものではない。例えば、長手方向に延びる多数の溝20aのみが設けられて、周方向の溝20bが設けられない構成であってもよい。また、周方向に延びる多数の溝20bのみが設けられて、長手方向の溝20aが設けられない構成であってもよい。すなわち、溝20a,20bは網目状に形成されていなくてもよい。
【0028】
このような凸部20cは、転造加工された後、外面を押しつぶすことによって形成することができる。したがって、図3に示すように、凸部20cの外端面は、およそ平らな形状となっており、隣り合う凸部20c間の溝20a,20bは、外面側の間隙20dの幅よりも奥側の空洞部分20eの幅の方が広い形状になりやすい。したがって、凸部20c間の溝20a,20bは、外部に開口したトンネル構造の溝となっている。すなわち、凸部20c間には、外面の間隙20dを通して外部に連通する空洞部分20eを有する溝20a,20bが設けられている。このような形状に形成されることにより、沸騰を促進することができる。
【0029】
LNG蒸発器E2に設けられた伝熱管40は、図4に示すように、フィン付き管によって構成されている。この伝熱管40は、U字状に形成されているため、直線部に多数のフィン40aが軸方向に並ぶように設けられた構成となっている。中間媒体蒸発器E1の伝熱管20の外周面に凸部20cが形成されており、しかもLNG蒸発器E2の伝熱管40がフィン付き管によって構成されているので、従来に比べ、例えば約2倍の伝熱性能を得ることができる。
【0030】
なお、伝熱管40は、内面に凹凸が形成されていない構成となっているがこれに限られない。伝熱管40の内面に凹凸が形成されていてもよい。この構成では、より熱交換性能を向上することができる。また、伝熱管40内に、図略の伝熱促進体が配置されていてもよい。この伝熱促進体は、例えば、螺旋状に形成されたテープ(ツイストテープ)、湾曲した複数の板状体を並べたもの、ワイヤインサート、線状体を編み込んだ構成のもの等であり、伝熱管40内での液化天然ガスの乱流を促進させる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態では、中間媒体蒸発器E1の伝熱管20がチタン製又はチタン合金製であるため、伝熱管20内に海水が流れるとしても、腐食し難い。したがって耐海水性を担保することができる。しかも、この伝熱管20は、一体形成品であって従来のような二重管と異なるため、内管と外管との間で剥離が生ずるようなことはない。このため、伝熱管壁での伝熱性能が悪化することもない。さらに、中間媒体蒸発器E1の伝熱管20の外周面には、空洞部分20eを有する溝20a,20bが外部に連通するように形成されている。したがって、中間媒体蒸発器E1での伝熱性能を向上することができる。
【0032】
しかも本実施形態では、LNG蒸発器E2の伝熱管40がフィン付き管によって構成されているため、伝熱管40において中間媒体Mの接触面積を増大させることができる。したがって、LNG蒸発器E2においても伝熱性能を向上することができる。
【0033】
また本実施形態では、LNG蒸発器E2で気化したガスが、更なる加熱を要することなく導出管38を通して利用側に供給される。すなわち、中間媒体蒸発器E1の伝熱管20として、空洞部分20eを有する溝20a,20bが外周面に形成された構成の伝熱管20が採用されるとともに、LNG蒸発器E2の伝熱管40としてフィン付き管が採用されることにより、導出管38でさらに加温する必要のない程度の温度まで、LNG蒸発器E2においてLNG(低温液化ガス)を加熱することができる。したがって、従来のように加温器(NG加温器)を設ける必要がないため、中間媒体蒸発器E1の伝熱管20にかかるコスト及びLNG蒸発器E2の伝熱管40にかかるコストの上昇分を吸収することができ、従来の装置に比べ、トータルとしてコスト削減を図ることができる。また、本実施形態では、NG加温器が省略された構成となっているため、気化器10の設置面積が、従来の構成に比べて小さくなっている。したがって、例えばスペースが限られた船上に設置される場合にも有効となる。
【0034】
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、前記実施形態では、LNG蒸発器E2に設けられた伝熱管40がフィン付き管によって構成されているが、この構成に限られるものではない。LNG蒸発器E2の伝熱管40は、ベア管(フィン無し管)によって構成されていてもよい。
【0035】
また前記実施形態では、NG加温器が省略された構成としたが、これに限られるものではない。導出管38にNG加温器が設けられていて、導出管38においてNGがさらに加温される構成であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
E1 中間媒体蒸発器
E2 LNG蒸発器
M 中間媒体
10 中間媒体式気化器
11 本体部
11a 入口側管板
11b 出口側管板
11c 管板
14 入口室
18 出口室
20 伝熱管
20a 溝
20b 溝
20d 間隙
20e 空洞部分
22 導入管
24 排出管
32 入口室
34 出口室
36 供給管
38 導出管
40 伝熱管
40a フィン
図1
図2
図3
図4
図5