特許第6198497号(P6198497)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6198497
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】核磁気流量計
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/716 20060101AFI20170911BHJP
   G01F 1/74 20060101ALI20170911BHJP
   G01P 5/18 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   G01F1/716
   G01F1/74
   G01P5/18 D
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-147874(P2013-147874)
(22)【出願日】2013年7月16日
(65)【公開番号】特開2014-21118(P2014-21118A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2016年6月27日
(31)【優先権主張番号】10 2012 013 935.7
(32)【優先日】2012年7月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591168600
【氏名又は名称】クローネ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Krohne AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】マルコ レーンデルト ズーテヴェイ
(72)【発明者】
【氏名】オラフ ジャン ポール バウスケ
(72)【発明者】
【氏名】コルネリス ヨハネス ホーヘンドールン
(72)【発明者】
【氏名】アリエル デ グラーフ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン テューニス アールト ポアス
(72)【発明者】
【氏名】ヤン−ヴィレム ラモント
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第5684399(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F1
G01P5
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定管(5)を通流する媒体(6)の流量測定用の核磁気流量計であって、前記測定管(5)を通流する媒体(6)を、前記測定管(5)の長手方向軸線(8)に沿った磁化区間(7)にわたって磁化するための磁化装置(1)を備えており、該磁化装置(1)は、媒体(6)の磁化に用いる磁場(3,4)を形成するために永久磁石(2)を備えており且つ前記測定管(5)の長手方向軸線(8)の方向に相前後して配置された、少なくとも2つの磁化セグメント(9)を有している、核磁気流量計であって、
前記磁化区間(7)の長さにわたって媒体(6)中の磁場強度が異なることがあるとしても、前記磁化区間(7)全体にわたって磁場(3若しくは4)は同じ方向を有している、若しくは全ての磁場(3及び4)が同じ方向を有しており、
前記磁化セグメント(9)はそれぞれ、永久磁石(2)を装備された内側担体(10)と、永久磁石(2)を装備された外側担体(12)とを有しており、前記内側担体(10)は、前記測定管(5)の周囲に配置されていて、前記外側担体(12)は、前記内側担体(10)の周囲に配置されており、媒体(6)中の磁場強度を変化させ、延いては媒体(6)の磁化をも変化させるために、前記内側担体(10)と前記外側担体(12)との間の配向が、前記内側担体(10)又は/及び前記外側担体(12)の、セグメント回転軸線(14)を中心とした回転によって調整可能であることを特徴とする、核磁気流量計。
【請求項2】
前記各磁化セグメント(9)において、前記内側担体(10)と前記外側担体(12)との間の配向が、媒体(6)中の最大磁場強度(3,4)を得るために調整されているか、又は前記内側担体(10)と前記外側担体(12)との間の配向が、媒体(6)中の最小磁場強度(3,4)を得るために調整されている、請求項記載の核磁気流量計。
【請求項3】
前記磁化セグメント(9)のうちの少なくとも1つにおいて、内側担体(10)の磁場(3)と、外側担体(12)の磁場(4)とは、前記内側担体(10)と前記外側担体(12)との間の配向が、媒体(6)中に最小の磁場強度(3,4)が得られるように調整されると、媒体(6)中に磁場は存在しなくなるように形成されている、請求項1又は2記載の核磁気流量計。
【請求項4】
前記磁化セグメント(9)のうちの少なくとも1つにおいて、前記内側担体(10)は、前記測定管(5)に対して定置であり、前記外側担体(12)は、前記セグメント回転軸線(14)を中心として回転可能に支承されている、請求項からまでのいずれか1項記載の核磁気流量計。
【請求項5】
前記磁化セグメント(9)のうちの少なくとも1つにおいて、前記内側担体(10)の両端部は、前記セグメント回転軸線(14)に関して不動に、それぞれセグメント担体(21a,21b)と結合されており、前記外側担体(12)は、前記内側担体(10)と共に、少なくとも1つのラジアル滑り軸受けを形成しており、且つ前記外側担体(12)は、前記セグメント担体(21a,21b)と共に、少なくとも1つのアキシャル滑り軸受けを形成している、請求項からまでのいずれか1項記載の核磁気流量計。
【請求項6】
前記磁化セグメントのうちの少なくとも1つにおいて、前記内側担体(10)又は/及び前記外側担体(12)、好ましくは前記外側担体(12)、を、前記セグメント回転軸線(14)を中心として回転させるために、アクチュエータが設けられている、請求項からまでのいずれか1項記載の核磁気流量計。
【請求項7】
前記磁化セグメント(9)のうちの少なくとも1つにおいて、前記アクチュエータにより少なくとも、媒体(6)中の磁場(3,4)の最小の強さを生ぜしめる前記内側担体(10)と前記外側担体(12)との間の配向と、媒体(6)中の磁場(3,4)の最大の強さを生ぜしめる前記内側担体(10)と前記外側担体(12)との間の配向とが設定可能である、請求項記載の核磁気流量計。
【請求項8】
永久磁石(2)が装備された、少なくとも1つの別の磁化セグメント(9)が設けられており、該別の磁化セグメント(9)の磁気抵抗は、媒体(6)中の磁場強度(3,4)を変化させ、延いては媒体(6)の磁化をも変化させるために調整可能である、請求項1からまでのいずれか1項記載の核磁気流量計。
【請求項9】
前記別の磁化セグメントは、第1の部分セグメントと、第2の部分セグメントとから成り、両部分セグメントは間隔をあけて配置されており、該間隔付与に基づき第1の部分セグメントと第2の部分セグメントとの間に生じるギャップが、調整可能な磁気抵抗を成している、請求項記載の核磁気流量計。
【請求項10】
前記永久磁石(2)は、ハルバッハ配列として配置されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の核磁気流量計。
【請求項11】
媒体(6)中の磁場強度を変化させ、延いては媒体(6)の磁化をも変化させるために、前記磁化装置(1)に、少なくとも1つの電磁石が配置されており、該電磁石の磁場は、前記磁化装置(1)の磁場(3,4)に対して平行に又は逆向きで平行に方向付けられており、前記電磁石により形成される磁場の磁場強度は調整可能である、請求項1から10までのいずれか1項記載の核磁気流量計。
【請求項12】
前記磁化装置(1)又は少なくとも1つの磁化セグメント(9)は、前記測定管(5)の長手方向軸線(8)に沿って可動に配置されており、所定の測定装置に対する前記磁化装置(1)又は前記磁化セグメント(9)の間隔が、前記測定管(5)の長手方向軸線(8)に沿って調整できるようになっていることにより、前記測定装置における媒体(6)の磁化が調整可能である、請求項1から11までのいずれか1項記載の核磁気流量計。
【請求項13】
前記磁化セグメント(9)は、それぞれ異なる長さの部分磁化区間を形成する、請求項1から12までのいずれか1項記載の核磁気流量計。
【請求項14】
前記測定管(5)の長手方向軸線(8)に対して平行なあらゆる任意の線に沿った、前記永久磁石(2)によって形成される媒体(6)中の磁場(3,4)の磁場強度は、前記各磁化セグメント(9)のうちの1つの長さにわたって、又は前記磁化区間(7)にわたって一定である、請求項1から13までのいずれか1項記載の核磁気流量計。
【請求項15】
前記永久磁石(2)によって形成される媒体(6)中の磁場(3,4)は、前記各磁化セグメント(9)のうちの1つの長さにわたって、又は前記磁化区間(7)にわたって均一である、請求項1から14までのいずれか1項記載の核磁気流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定管を通流する媒体の流量測定用の核磁気流量計であって、前記測定管を通流する媒体を、前記測定管の長手方向軸線に沿った磁化区間にわたって磁化するための磁化装置を備えており、該磁化装置は、媒体の磁化に用いる磁場を形成するために永久磁石を備えており且つ前記測定管の長手方向軸線の方向に相前後して配置された、少なくとも2つの磁化セグメントを有している、核磁気流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
核スピンを有する元素の原子核は、核スピンによって惹起される磁気モーメントをも有している。核スピンは、ベクトルで表すことができる回転パルスとして理解され、これに相応して磁気モーメントも、回転パルスのベクトルに対して平行なベクトルで表すことができる。1つの原子核の磁気モーメントのベクトルは、巨視的な磁場が存在している場合、原子核の位置にかけられた巨視的な磁場のベクトルに対して平行に並ぶ。その際に原子核の磁気モーメントのベクトルは、原子核の位置にかけられた巨視的な磁場のベクトルを中心として歳差運動する。歳差運動の周波数はラーモア周波数ωと呼ばれ、磁場の強度の値Bに比例する。ラーモア周波数は、ω=γ・Bに基づき算出される。この場合、γは磁気回転比であり、磁気回転比は、水素原子核に関して最大である。
【0003】
巨視的な磁場が存在する場合に歳差運動する、磁気モーメントを有する原子核の特性を利用する測定方法及び分析方法は、核磁気共鳴測定方法又は核磁気共鳴分析方法と呼ばれる。核磁気共鳴は英語で " nuclear magnetic resonance " である。一般に、様々な周辺条件下で歳差運動する原子核によってセンサコイルに誘起された電圧が出力値として、前記測定方法及び分析方法に用いられる。核磁気共鳴を利用する測定器の一例として、測定管を通って流れる多相媒体の流量を測定し且つこの媒体を分析する、核磁気流量計が挙げられる。
【0004】
核磁気共鳴を利用する分析の前提条件は、分析しようとする媒体の複数の相を励磁して、識別可能な複数の核磁気共鳴を起こすことができる、という点にある。分析は、媒体の個別の相の流速と、多相媒体における個別の相の相対的な割合とを含んでいてよい。核磁気流量計は、例えば油井から採掘された多相媒体の分析に用いることができる。この媒体は主として、原油、天然ガス及び海水、の複数の相から成り、全ての相は水素原子核を有している。
【0005】
油井から採掘された媒体の分析は、いわゆるテストセパレータによっても行うことができる。これらのテストセパレータは、採掘された媒体の少量の部分を取り分けて、媒体の個別の相を互いに分離させて、媒体における個別の相の割合を測定する。しかしながら、テストセパレータは5%未満の原油割合を正確に測定することはできない。どの油井の原油割合も減り続けていて、多数の油井の原油割合は既に5%未満なので、テストセパレータを用いてこれらの油井を経済的に採掘することは、目下不可能である。つまり、原油の割合が極めて少ない油井をも引き続き採掘できるようにするために、相応に正確な流量計が必要とされている。
【0006】
ラーモア周波数ωを算出する前記方程式から、ラーモア周波数ωは、調査しようとする媒体中の巨視的な磁場の磁場強度Bの値に比例しており、これにより、磁場強度の値は、センサコイルに誘起される電圧の周波数にも直接に作用する、ということが直ぐに判る。センサコイルの配向に関する巨視的な磁場の方向も、センサコイルに誘起される電圧に影響を及ぼす。一般に、媒体を通る巨視的な磁場の、理想的な均一な磁場とのずれは、測定の質の低下、延いては不正確な測定結果につながる。
【0007】
媒体中の磁場の所望の公知の勾配は、前記ずれから明確に除外されている。
【0008】
勾配を有する磁場についての考察は省略する。それというのも、以下の構成が勾配を有する磁場に転用可能であることは明白だからである。
【0009】
本発明は、米国公開特許公報第2008/0174309号から公知の核磁気流量計から出発する。前記公報では、磁化装置に属する複数の磁化エレメントが中空円筒状に構成されていて、その内側空間内に均一の磁場を有している。磁化エレメントは、測定管に相前後して配置されていて、磁化エレメントの同心的な長手方向軸線は、測定管の長手方向軸線と合致している。測定管を通流する媒体の磁化は、個々の磁化エレメントの均一な磁場が、互いに平行に又は逆向きで平行に方向付けられることによって、種々様々な形式で調整することができる、つまり可変である。
【0010】
前掲の米国公開特許公報第2008/0174309号の図7には、相前後して配置された6つの磁化セグメントを備えた磁化装置が詳細に示されている。この場合、図7a)に示した構成では、媒体中の個々の磁化セグメントの均一な磁場が、互いに平行に方向付けられるように、全ての磁化セグメントが調整されている。これに対して図7b)に示した構成では、各3つの磁化セグメントが、1つのグループを形成するようにまとめられている。各グループにおいて、磁化セグメントの均一な磁場は、互いに平行に方向付けられている。しかしながら、一方のグループの均一な磁場は、他方のグループの均一な磁場に対して逆向きで平行に方向付けられている。最後に図7c)に示した構成でもやはり、磁化セグメントの2つのグループが形成されているが、一方のグループは4つの磁化セグメントにより形成されていて、他方のグループは2つの磁化セグメントにより形成されている。この場合も、各グループ内の個々の磁化セグメントの均一な磁場は互いに平行に方向付けられているが、一方のグループの個々の磁化セグメントの均一な磁場は、他方のグループの磁化セグメントの均一な磁場に対して逆向きで平行に方向付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国公開特許公報第2008/0174309号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上で詳細に説明した従来技術を起点として本発明の根底を成す課題は、得られる測定結果の質を改良する核磁気流量計を提供する、という点にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題を解決するために本発明による核磁気流量計では、磁化区間の長さにわたって媒体中の磁場強度が異なることがあるとしても、前記磁化区間全体にわたって磁場は同じ方向を有している、若しくは全ての磁場が同じ方向を有しているようにした。
【発明の効果】
【0014】
磁化区間の長さにわたって媒体中の磁場強度が異なっていても、前記磁化区間全体にわたって磁場は同じ方向を有している、若しくは全ての磁場が同じ方向を有していることによる、得られる測定結果の質の改良は、驚くべきことである。本発明に基づき構成されている核磁気流量計は、例えば測定管内の媒体の個々の相の流速及び多相媒体における個別の相の相対的な割合を、例えば上で詳細に説明したように構成された、本発明によらない核磁気流量計よりも、正確に測定する。
【0015】
ここで指摘しておくと、本発明の枠内では第1に核磁気流量計が問題となっているが、本発明による核磁気流量計の本発明による特徴は、核磁気流量計における適用に限定されるものではなく、むしろ他方面に、例えば一般に石油化学工業又は化学工業に適用され得る。
【0016】
もちろん、本発明による核磁気流量計を構成及び改良する種々様々な手段がある。
【0017】
上で本発明に基づき、磁化区間全体にわたり媒体中の磁場が同じ方向を有している、若しくは全ての磁場が同じ方向を有している、と記載してある場合は、前記同じ方向が1つの完全に特定の方向であってよい、ということを云っているのではない。むしろ、磁場若しくは全ての磁場は、これら全てが同じ方向を有するという制約のもとで、1つの任意の方向を有することができる。
【0018】
本発明による核磁気流量計の特に好ましい構成は、補足的に、各磁化セグメントが、複数の永久磁石を装備された内側担体と、複数の永久磁石を装備された外側担体とを有していて、内側担体は、測定管の周囲に配置されていて、外側担体は、内側担体の周囲に配置されており、媒体内の磁場強度を変化させ、延いては媒体の磁化をも変化させるために、内側担体と外側担体との間の配向が、内側担体又は/及び外側担体の、セグメント回転軸線を中心とした回転によって調整可能であり、この場合、通常は、セグメント回転軸線が測定管の長手方向軸線に合致していることを特徴としている。
【0019】
上で説明した、本発明による核磁気流量計の特に好ましい構成では、内側担体又は/及び外側担体の、セグメント回転軸線を中心とした回転によって、内側担体の永久磁石により形成された磁場と、外側担体の永久磁石により形成された磁場との重畳により生ぜしめられる、媒体中の磁場強度が調整できるようになっている。磁化区間にわたり磁場強度を調整することができることによって、測定管を通流する媒体の磁化も調整することができる。
【0020】
上述したように、内側担体と外側担体とが設けられている、本発明による核磁気流量計の特別な構成では、内側担体だけによって形成される磁場強度と、外側担体だけによって形成される磁場強度とは、異なっていてよい。但し、内側担体だけによって形成される磁場強度と、外側担体だけによって形成される磁場強度とは同一であることが好ましい。内側担体と外側担体とが設けられている、上述した核磁気流量計の特に好ましい構成において、本発明の第1の教義に注目すると、2つの調整手段がある。一方の調整手段は、内側担体と外側担体の磁場を「足す」ことであり、その結果生じる磁場は、内側担体により生ぜしめられる磁場強度若しくは外側担体によって生ぜしめられる磁場強度の2倍の磁場強度を有していることを特徴とする。内側担体と外側担体との間の配向が、上述した手段に比べて180°だけずらされている他方の調整手段では、磁場は互いに相殺されるので、媒体中に作用する磁場は存在しない。
【0021】
内側担体と外側担体との間の配向は、内側担体と外側担体の両方を、セグメント回転軸線を中心として回転させることによって実現され得る。しかしながら、好ましくは内側担体は測定管に対して定置で構成されており、外側担体は、内側担体を中心として同心的に配置されていて、セグメント回転軸線を中心として回転可能である。外側担体の、内側担体に対して回転可能な構成は、内側担体の、外側担体に対して回転可能な構成に比べると有利である。なぜならば、内側担体は外側担体によって覆い隠されているので、外側担体の操作は、内側担体の操作よりも簡単に実現され得るからである。
【0022】
外側担体の、セグメント回転軸線を中心として回転可能な支承は、セグメント回転軸線に関する内側担体の両端部が、それぞれセグメント担体に不動に結合されており、外側担体は、セグメント担体と共に、少なくとも1つのアキシャル滑り軸受けを形成している一方で、内側担体と共に、少なくとも1つのラジアル滑り軸受けを形成していることによって実現されていてよい。アキシャル滑り軸受けとラジアル滑り軸受けとに基づき残される外側担体の運動の自由は、外側担体の、セグメント回転軸線を中心とした回転性である。
【0023】
回転可能に支承された外側担体の操作は、アクチュエータによって行うことができる。アクチュエータは、外側担体においてセグメント回転軸線に対して同心的に配置されたリングギヤと、このリングギヤに噛み合うピニオンと、ピニオンを回転させる電動モータとを有していてよい。電動モータの制御によって、電動モータからもたらされたトルクがピニオンを介してリングギヤに伝達され、これにより外側担体が内側担体に対して回転させられる。電動モータとしては、同期モータ、好ましくはステップモータが使用されていてよい。
【0024】
回転可能に支承された外側担体を操作するために、アクチュエータが設けられている場合、このアクチュエータは、媒体中の磁場の最大の強さ及び媒体中の磁場の最小の強さを生ぜしめる配向を設定するようにも形成されていてよい。ステップモータを使用する場合、媒体中の磁場の最大の強さ及び媒体中の磁場の最小の強さを生ぜしめる配向は、周知の初期配向から出発して、所与の回転方向でのステップ数に基づき周知となる。最初の初期配向は、外側担体に設けられた翼と、連れ回りしないライトバリアとによって検出可能であってよい。択一的に、媒体中の磁場の最大の強さ及び媒体中の磁場の最小の強さを生ぜしめる配向も、翼とライトバリアとによって信号化可能であってよい。この場合、ステップモータの使用は必要とされず、例えば同期モータが使用されていてよい。もちろん、内側担体と外側担体との間の別の配向も、上述した手段により再現可能に調整可能であってよい。
【0025】
本発明の別の好ましい構成において、媒体は、複数の永久磁石を装備された、第2タイプの磁化セグメントによって磁化され、この第2タイプの磁化セグメントでは、媒体中の磁場強度を変化させ、延いては媒体の磁化を変化させる磁気抵抗が調整できるようになっている。磁気抵抗の調整は、磁化セグメントが第1の部分セグメントと、第2の部分セグメントとから成っていて、これらの部分セグメントに基づき間隔があけられていることによって実現されていてよい。第1の部分セグメントと、第2の部分セグメントとの間に間隔があいている場合に生じるギャップが、磁化セグメントの磁気抵抗を成しており、磁気抵抗は、ギャップの大きさを介して調整可能である。この場合、ギャップの拡大は、より大きな磁気抵抗を生ぜしめ、より大きな磁気抵抗は、媒体中の磁場強度の低下を生ぜしめる。媒体を通る磁束が、ヨークも通って流れる場合には、磁気抵抗が、前記ヨークにも影響を及ぼす可能性がある。例えば前記ヨークには、磁束が通流するスリットが設けられていてよいので、良好な導磁性を有する充填物をスリットに挿入したり、又は引き出したりすることによって、磁気抵抗を調整することができる。
【0026】
本発明の更に別の好ましい構成において、磁化装置又は少なくとも1つの磁化セグメントは、測定管の長手方向軸線に沿って可動に配置されている。磁化装置又は磁化セグメントの、所定の測定装置に対する間隔を、測定管の長手方向軸線に沿って調整できるようになっていることにより、測定装置における媒体の磁化が調整可能である。このようにして、媒体を様々に磁化して、測定を行うことができる。
【0027】
今まで、前記磁化装置による磁場の形成に関しては、単に永久磁石によって形成されていると記載したに過ぎなかった。永久磁石による磁場の形成のためにとられる特別に好ましい手段は、永久磁石をハルバッハ配列として配置することである。この場合、複数の磁化セグメントにおいて、内側担体の永久磁石と、外側担体の永久磁石の両方共が、ハルバッハ配列として配置されている。この場合、内側担体の外側における内側担体の磁場は、実質的に内側担体の内側空間内に延びている。相応して外側担体の外側における外側担体の磁場は、実質的に外側担体の内側空間内に延びている。
【0028】
ここまでに紹介した本発明による磁化装置では、測定管を通流する媒体の磁化は、専ら永久磁石によって形成された磁場により行われる。媒体中の磁場強度の変更は、外側担体と内側担体とを相対的に回転させることによって行われ、場合によっては磁気抵抗を変化させることにより行われる。この場合、磁場強度の変更は、磁化装置における機械的な変更によって行われる。
【0029】
本発明の択一的な構成において、媒体中の磁場強度を変化させ、延いては媒体の磁化を変化させるために、少なくとも1つの電磁石が、電磁石の磁場が磁化装置の磁場に対して平行に又は逆向きで平行に方向付けられているように、磁化装置に配置されている。これにより、電磁石によって、媒体中に存在する磁場を、電磁石により生ぜしめられた磁場強度だけ低減するか、又は媒体中の磁場強度を、電磁石により生ぜしめられた磁場強度だけ増大することが可能である。したがって、媒体中の磁場強度を変化させるための機械的な変更は、最早不要である。
【0030】
詳細には、本発明による核磁気流量計を構成及び改良する種々様々な手段がある。これについては、請求項1の下位の従属請求項、及び本発明による核磁気流量計に付属する磁化装置の図面に関連する、好ましい実施形態の説明を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1a】3つの磁化セグメントを備えた磁化装置の実施形態を示した図である。
図1b図1aに示した磁化装置を上から見た図である。
図2a図1aに示した磁化装置の複数の磁化セグメントの内の1つを示した図である。
図2b図2aに示した磁化セグメントの分解図である。
図3図2bに示した磁化セグメントの内側磁石担体及び外側磁石担体を示した図である。
図4a図3に示した内側磁石担体の内側空間における磁場を示した図である。
図4b図3に示した外側磁石担体の内側空間における磁場を示した図である。
図5a】内側担体と外側担体との間の第1の配向において、図2aに示した磁化セグメントの内側担体の内側空間に生じる磁場を示した図である。
図5b】内側担体と外側担体との間の第2の配向において、図2aに示した磁化セグメントの内側担体の内側空間に生じる磁場を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、本発明を実施するための形態を図面につき詳しく説明する。
【0033】
本発明は、測定管5を通流する媒体6を、測定管5の長手方向軸線8に沿った磁化区間7にわたって磁化するための磁化装置1を備えた、測定管5を通流する媒体6の測定用の核磁気流量計に関する。本発明において磁化装置1には、媒体6の磁化に用いられる磁場3,4を発生させるために複数の永久磁石2が設けられており、磁化装置1は、測定管5の長手方向軸線8の方向に相前後して配置された、少なくとも2つの磁化セグメント9を有している。このことは図面において十分には示されていない。なぜならば、図面は主として、本発明による核磁気流量計に付属する磁化装置1を示すものだからである。
【0034】
本発明に基づき、媒体6中の磁場3,4は、磁化区間7全体にわたって同じ方向を有している。
【0035】
図面には、本発明による核磁気流量計に付属する磁化装置1の1つの実施形態が示されており、図1aには磁化装置1の全体図が示されている。
【0036】
複数の棒状の永久磁石2(図2a〜図5b参照)が、測定管5を通流する媒体6を通る磁場3,4(図1b及び図3図5b参照)を形成している。地磁気は考慮されていない。磁場3,4による媒体6の貫通は、測定管5の長手方向軸線8に沿って延在する磁化区間7にわたって行われる。当然測定管5は、少なくとも磁化区間7にわたって、磁場に影響を及ぼさない材料から成っている。流動する媒体6の磁化は、磁化区間7の長さと、媒体6の流速とから得られる媒体6の滞留時間にわたって、磁化区間7の範囲で行われる。
【0037】
磁化装置1は、複数の個別の磁化セグメント9からモジュール式に構成されている、即ち、磁化装置1は任意の複数の磁化セグメント9を有していてよい。本実施形態は3つの磁化セグメント9を有している(図1a参照)が、モジュール化の度合に基づいて、より少ない又はより多くの磁化セグメント9を有していてもよい。
【0038】
図示の実施形態において、3つの磁化セグメント9は、それぞれ同じ長さの部分磁化区間を形成しており、これらの部分磁化区間が共に1つの磁化区間7を形成している。永久磁石2により磁化区間7にわたって媒体6中に形成された磁場3,4は、単一の方向しか有していない(図1b参照)。ここで磁化区間7にわたる媒体6中の磁場3,4の単一の方向に言及した場合、方向の変動は排除しない。しかしながら方向の変動は、目標とする測定精度が達成される程度に僅かなものである。例えば磁化区間7の両終端部に生じる磁場3,4のエッジ効果は図示されていない。
【0039】
図2a及び図2bには、3つの各磁化セグメント9のうちの1つが示されており、この場合、図2aは磁化セグメント9を組み立てた状態で示すものであり、図2bは磁化セグメント9の分解図を示すものである。磁化セグメント9は、同心的な内側担体長手方向軸線11を有する、原則として中空円筒形の内側担体10と、同心的な外側担体長手方向軸線13を有する、原則として中空円筒形の外側担体12とを有しており、この場合、外側担体12は、セグメント回転軸線14を中心として回転可能である。
【0040】
内側担体10は主として、原則的に中空円筒形の1つの内側磁石担体15と、2つのディスクリング状のインナリング16a,16bとから成っており、内側担体長手方向軸線11を中心とした内側担体10の内側半径は、測定管5の外側半径よりも大きい。内側磁石担体15内には、複数の棒磁石収容部17が設けられている。各棒磁石収容部17は、内側担体長手方向軸線11に対して平行な軸線を有していて、これらの各軸線に対して同心的に設けられた複数の棒磁石切抜き部18から成っている。棒磁石収容部17は、内側磁石担体15の全長にわたって延在しており、1つの棒磁石収容部17に属する全ての棒磁石切抜き部18は、同一の方形の内側横断面を有している。1つのボディの長さについて言及した場合は、このボディの長手方向軸線に沿った伸長を意味している。棒磁石収容部17には、棒状の永久磁石2が挿入されている。永久磁石2は、内側磁石担体15の一方の端面又は他方の端面から棒磁石収容部17に挿入されるようになっていて、挿入される永久磁石2の長さは、内側磁石担体15の長さに相当する。棒磁石切抜き部18の内側横断面は、永久磁石2の外側横断面に適合されているので、内側磁石担体15が、棒磁石収容部17に挿入された永久磁石2を、永久磁石2がその長手方向軸線を中心として回動しないように方向付けている。内側磁石担体15は、挿入された永久磁石2の、内側担体長手方向軸線11の方向での運動は阻止しないので、挿入された永久磁石2は、この方向に可動である。
【0041】
内側磁石担体15の一方の端面にはインナリング16aが、且つ他方の端面にはインナリング16bが、ねじ締結によって不動に結合されている。内側磁石担体15に結合されたインナリング16aとインナリング16bとは、挿入された永久磁石2の、内側担体長手方向軸線11の方向での運動を阻止する。挿入された永久磁石2は、挿入された永久磁石2と棒磁石切抜き部18との互いに合わされた横断面と、インナリング16a,16bとに基づき、完全に位置固定されている。各インナリング16a,16bの外側に向けられた端面は、内側担体長手方向軸線11に対して垂直な平面内に位置している。インナリング16a,16bの、外側に向けられた同心的な面は、内側磁石担体15が通過することのない、1つの共通の内円円筒面内に位置している。内側磁石担体15と、この内側磁石担体15に結合されたインナリング16a,16bとは、内側担体長手方向軸線11に対して同心的に位置調整されている。
【0042】
外側担体12は主として、原則的に中空円筒形の1つの外側磁石担体19と、2つのディスクリング状のアウタリング20a,20bとから成っている。外側磁石担体19内には複数の棒磁石収容部17が設けられている。各棒磁石収容部17は、外側担体長手方向軸線13に対して平行な軸線を有していて、この軸線に対して同心的に設けられた複数の棒磁石切抜き部18から成っている。棒磁石収容部17は、外側磁石担体19の全長にわたって延在しており、1つの棒磁石収容部17に属する全ての棒磁石切抜き部18は、同一の方形の内側横断面を有している。棒磁石収容部17には、方形で棒状の複数の永久磁石2が挿入されている。これらの永久磁石2は、外側磁石担体19の一方の端面又は他方の端面から棒磁石収容部17に挿入されるようになっていて、挿入される永久磁石2の長さは、外側磁石担体19の長さに相当する。棒磁石切抜き部18の内側横断面は、永久磁石2の外側横断面に適合されているので、外側磁石担体19が、棒磁石収容部17に挿入された永久磁石2を、永久磁石2がその長手方向軸線を中心として回動しないように方向付けている。外側磁石担体19は、挿入された永久磁石2の、外側担体長手方向軸線13の方向での運動は阻止しないので、挿入された永久磁石2は、この方向に可動である。
【0043】
外側磁石担体19の一方の端面にはアウタリング20aが、且つ他方の端面にはアウタリング20bが、ねじ締結によって不動に結合されている。外側磁石担体19に結合されたアウタリング20aとアウタリング20bとは、挿入された永久磁石2の、外側担体長手方向軸線13の方向での運動を阻止する。挿入された永久磁石2は、挿入された永久磁石2と棒磁石切抜き部18との互いに合わされた横断面と、アウタリング20a,20bとに基づき、完全に位置固定されている。各アウタリング20a,20bの外側に向けられた端面は、外側担体長手方向軸線13に対して垂直な平面内に位置している。アウタリング20a,20bの、内側に向けられた同心的な面は、外側磁石担体19が通過することのない、1つの共通の外円円筒面内に位置している。外側磁石担体15と、この外側磁石担体15に結合されたアウタリング20a,20bとは、外側担体長手方向軸線13に対して同心的に位置調整されている。
【0044】
内側担体10の長さは、外側担体12の長さよりも僅かに長く、前記外円円筒面の半径は、前記内円円筒面の半径よりも僅かに大きい。外側担体12が内側担体10の上に覆い被せられて案内されることにより、内側担体10と外側担体12とが組み合わされる。組み合わされた状態で、内側担体長手方向軸線11と、外側担体長手方向軸線13とは合致しており、インナリング16a,16bの外側に向けられた端面は、アウタリング20a,20bの外側に向けられた端面を僅かに越えて突出している。
【0045】
各磁化セグメント9は主として、内側担体10と外側担体12の他に、2つの平らなプレート状のセグメント担体21a,21bを有している。各セグメント担体21a,21bには円形の管用切抜き部22が、測定管5を通して案内するために設けられている。セグメント担体21aはインナリング16aに、ねじ締結によって不動に結合されており、セグメント担体21bはインナリング16bに、ねじ締結によって不動に結合されている。内側担体長手方向軸線11に対して垂直な平面内の、セグメント担体21a,21bの伸長は、前記平面内の、外側担体12の伸長を上回っている。
【0046】
外側担体長手方向軸線13に対して半径方向での、外側担体12の内側担体10に対する運動は、2つのラジアル滑り軸受けによって阻止される。第1のラジアル滑り軸受けは、アウタリング20aの内側に向けられた半径方向の表面と、インナリング16aの外側に向けられた半径方向の表面とによって形成され、第2のラジアル滑り軸受けは、アウタリング20bの内側に向けられた半径方向の表面と、インナリング16bの外側に向けられた半径方向の表面とによって形成される。
【0047】
外側担体長手方向軸線13に沿った軸方向での、外側担体12の内側担体10に対する運動は、2つのアキシャル滑り軸受けによって阻止される。第1のアキシャル滑り軸受けは、アウタリング20aの端面の外側に向けられた表面と、セグメント担体21aの内側に向けられた表面とによって形成され、第2のアキシャル滑り軸受けは、アウタリング20bの端面の外側に向けられた表面と、セグメント担体21bの内側に向けられた表面とによって形成される。
【0048】
唯一残された外側担体12の、内側担体10に対する運動の自由は、外側担体長手方向軸線13を中心とした回転である。セグメント長手方向軸線14は定義により、外側担体長手方向軸線13と合致している。上述した外円円筒面と内円円筒面の半径の僅かな相違は、ラジアル滑り軸受けの機能が保証されているように設定されており、上述した内側担体10と外側担体12の長さの僅かな相違は、アキシャル滑り軸受けの機能が保証されているように設定されている。ラジアル滑り軸受け及びアキシャル滑り軸受けの互いに接触している表面は、内側担体10に対して外側担体12が回転した場合に、摩耗及び回転に必要なトルクが最小限になるように設計されている。
【0049】
図3には、内側磁石担体15と外側磁石担体19とが組み合わされた状態で、挿入された永久磁石2と一緒に示されている。内側磁石担体15の永久磁石2の磁場3と、外側磁石担体19の永久磁石2の磁場4とが重なった結果、内側磁石担体15の円筒形の内側空間内に磁場3,4が生じている。セグメント回転軸線14に対して平行なあらゆる任意の線に沿った、媒体6中の磁場3,4の磁場強度(磁場の強さ)は、磁化セグメント9の長さにわたって一定である。更に、磁場3,4は、磁化セグメント9の長さにわたって均一である。ここで、磁化セグメント9の長さにわたって一定の磁場強度又は磁化セグメント9の長さにわたる、媒体6中の磁場3,4の均一性に言及した場合、磁場強度の変動及び磁場3,4の不均一性を排除してはいない。但し、磁場強度の変動及び不均一性は僅かなものなので、目標とする測定精度は達成される。
【0050】
内側磁石担体15に対する外側磁石担体19の配向(位置関係)は、内側磁石担体15の端面に設けられた配向マーク23aと、外側磁石担体19の端面に設けられた配向マーク23bとによって特徴付けられている。内側磁石担体15の、測定管5からの半径方向の間隔及び外側磁石担体19の、内側磁石担体15からの半径方向の間隔は、できるだけ小さくしてある。この小さな間隔に基づいて、磁場3,4を形成するべき、測定管5も配置されている容積は最小限となり、これに相応して、永久磁石2によってもたらすべき磁束も最小限になる。より大きな半径方向の間隔は、より多くの永久磁石材料を要する可能性がある。
【0051】
図4aには、永久磁石2が挿入された内側磁石担体15を上から見た図が示されている。内側磁石担体15は、挿入された永久磁石2を、ハルバッハ配列が形成されるように方向付けており、ハルバッハ配列の磁場3は、内側磁石担体15の外側で、実質的に内側磁石担体15の円筒形の内側空間に進入するように延びていて、媒体6中では均一である。図4bには、永久磁石2が挿入された外側磁石担体19を上から見た図が示されている。外側磁石担体19もやはり、挿入された永久磁石2を、ハルバッハ配列が形成されるように方向付けており、ハルバッハ配列の磁場4は、外側磁石担体19の外側で、実質的に外側磁石担体19の円筒形の内側空間に進入するように延びていて、媒体6中では均一である。両ハルバッハ配列は、媒体6中の磁場3と磁場4の磁場強度の値が同一であるように、互いに調整されている。磁場3は実質的に、内側磁石担体15の外側空間へは延びないので、外側担体12を回転させるためには、実質的にラジアル滑り軸受け及びアキシャル滑り軸受けの摩擦を克服するだけで済む。
【0052】
図5aには、永久磁石2が挿入された内側磁石担体15と外側磁石担体19とが、第1の配向で互いに方向付けされているところが示されている。磁場3と磁場4とは、互いに平行に方向付けられている。媒体6中では、重畳の結果生じる磁場の磁場強度は、磁場3自体又は磁場4自体の磁場強度の2倍になっている。図5bには、永久磁石2が挿入された内側磁石担体15と外側磁石担体19とが、第2の配向で互いに方向付けされているところが示されている。磁場3と磁場4とは、互いに逆向きで平行に方向付けられている。したがって媒体6中に磁場は存在していない。ここで、媒体6中に磁場が存在しないことを言及した場合は、媒体6中に存在する、低い磁場強度を有する磁場を排除してはいない。但し、残留している磁場強度は低いので、目標とする測定精度は達成される。
【0053】
磁化装置1の3つの磁化セグメント9(図1a参照)は、磁化セグメント9のセグメント回転軸線14が、測定管5の長手方向軸線8と合致するように、互いに位置調整されている。付加的に、内側担体10は、これらの内側担体10の磁場3が平行になるように、互いに配向されている。各外側担体12は、他の外側担体12とは無関係に、測定管5の長手方向軸線8を中心として回転可能であり、各外側担体12の回転は、アクチュエータ(図示せず)によって行われる。これらのアクチュエータは、内側担体10に対する外側担体12の任意の向きを調整することができる。
【0054】
磁化装置1を運転する第1の方法において、3つの外側担体12はアクチュエータによって常に、磁場4が互いに平行になるように、互いに配向されている。したがって、内側担体10に対する3つの外側担体12の回転は、一緒に且つ一様に行われる。内側担体10に対する外側担体12の回転により、媒体6中の磁場3,4は磁化区間7にわたって、ゼロから磁場3又は磁場4自体の磁場強度の2倍の間で、任意の磁場強度に調整される。その結果、流動媒体6の磁化が相応に変化する。媒体6中の磁場3,4は、磁化区間7にわたり、単一の方向しか有さなくなる。付加的に、測定管5の長手方向軸線8に対して平行なあらゆる任意の線に沿った媒体6中の磁場3,4の磁場強度は、磁化区間7にわたって一定である。更に、磁場3,4は、磁化区間7にわたって均一である。
【0055】
磁化装置1を運転する第2の方法において、3つの磁化セグメント9の外側担体12は、互いに無関係に配向されている。この場合、各外側担体12の、内側担体10に対する2つの異なる配向だけが調整されるに過ぎない。第1の配向において、各磁化セグメント9の磁場3と磁場4とは、平行に方向付けられている。媒体6中の磁場3,4の磁場強度は、磁場3自体又は磁場4自体の2倍の磁場強度になる。第2の配向において、磁場3と磁場4とは、逆向きで平行に方向付けられている。媒体6中の磁場3,4はゼロである。この方法により得られる媒体6の磁化では常に、媒体6中の同じ磁場強度で磁化が行われる。媒体6中の磁場3,4は、個々の磁化セグメント9の外側担体12の配向とは関係なく、磁化区間にわたって単一の方向しか有していない。
【符号の説明】
【0056】
1 磁化装置
2 永久磁石
3,4 磁場
5 測定管
6 媒体
7 磁化区間
8 測定管の長手方向軸線
9 磁化セグメント
10 内側担体
11 内側担体長手方向軸線
12 外側担体
13 外側担体長手方向軸線
14 セグメント回転軸線
15 内側磁石担体
16a,16b インナリング
17 棒磁石収容部
18 棒磁石切抜き部
19 外側磁石担体
20a,20b アウタリング
21a,21b セグメント担体
22 管用切抜き部
23a,23b 配向マーク
図1a
図1b
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図5a
図5b