(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本実施の形態における電動アシスト車であるモータ付き自転車の一例を示す外観図である。このモータ付き自転車1は、モータ駆動装置を搭載している。モータ駆動装置は、二次電池101と、モータ駆動制御器102と、トルクセンサ103と、ペダル回転センサ104と、モータ105と、操作パネル106とを有する。
【0018】
二次電池101は、例えば供給最大電圧(満充電時の電圧)が24Vのリチウムイオン二次電池であるが、他種の電池、例えばリチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル水素蓄電池などであっても良い。
【0019】
トルクセンサ103は、クランク軸に取付けられたホイールに設けられており、運転者によるペダルの踏力を検出し、この検出結果をモータ駆動制御器102に出力する。また、ペダル回転センサ104は、トルクセンサ103と同様に、クランク軸に取付けられたホイールに設けられており、回転に応じた信号をモータ駆動制御器102に出力する。
【0020】
モータ105は、例えば周知の三相直流ブラシレスモータであり、例えばモータ付き自転車1の前輪に装着されている。モータ105は、前輪を回転させるとともに、前輪の回転に応じてローターが回転するように、ローターが前輪に連結されている。さらに、モータ105はホール素子等の回転センサを備えてローターの回転情報(すなわちホール信号)をモータ駆動制御器102に出力する。
【0021】
操作パネル106は、例えばアシストの有無に関する指示入力等をユーザから受け付けて、当該指示入力をモータ駆動制御器102に出力する。また、操作パネル106は、変速機の変速比(ギア比とも呼ぶ)を表す信号をモータ駆動制御器102に出力するものとする。
【0022】
このようなモータ付き自転車1のモータ駆動制御器102に関連する構成を
図2に示す。モータ駆動制御器102は、制御器1020と、FET(Field Effect Transistor)ブリッジ1030とを有する。FETブリッジ1030には、モータ105のU相についてのスイッチングを行うハイサイドFET(S
uh)及びローサイドFET(S
ul)と、モータ105のV相についてのスイッチングを行うハイサイドFET(S
vh)及びローサイドFET(S
vl)と、モータ105のW相についてのスイッチングを行うハイサイドFET(S
wh)及びローサイドFET(S
wl)とを含む。このFETブリッジ1030は、コンプリメンタリ型スイッチングアンプの一部を構成している。
【0023】
また、制御器1020は、演算部1021と、ペダル回転入力部1022と、車速入力部1024と、可変遅延回路1025と、モータ駆動タイミング生成部1026と、トルク入力部1027と、AD入力部1029とを有する。
【0024】
演算部1021は、操作パネル106からの入力(例えばギア比、オン/オフ等)、車速入力部1024からの入力、ペダル回転入力部1022からの入力、トルク入力部1027からの入力、AD入力部1029からの入力を用いて以下で述べる演算を行う。その上で、モータ駆動タイミング生成部1026及び可変遅延回路1025に対して出力を行う。なお、演算部1021は、メモリ10211を有しており、メモリ10211は、演算に用いる各種データ及び処理途中のデータ等を格納する。さらに、演算部1021は、プログラムをプロセッサが実行することによって実現される場合もあり、この場合には当該プログラムがメモリ10211に記録されている場合もある。
【0025】
車速入力部1024は、モータ105が出力するホール信号から現在車速(モータ駆動輪速度とも呼ぶ)を算出して、演算部1021に出力する。ペダル回転入力部1022は、ペダル回転センサ104からの、ペダル回転位相角等を表す信号を、ディジタル化して演算部1021に出力する。トルク入力部1027は、トルクセンサ103からの踏力に相当する信号をディジタル化して演算部1021に出力する。AD(Analog-Digital)入力部1029は、二次電池101からの出力電圧をディジタル化して演算部1021に出力する。また、メモリ10211は、演算部1021とは別に設けられる場合もある。
【0026】
演算部1021は、演算結果として進角値を可変遅延回路1025に出力する。可変遅延回路1025は、演算部1021から受け取った進角値に基づきホール信号の位相を調整してモータ駆動タイミング生成部1026に出力する。演算部1021は、演算結果として例えばPWMのデューティー比に相当するPWM(Pulse Width Modulation)コードをモータ駆動タイミング生成部1026に出力する。モータ駆動タイミング生成部1026は、可変遅延回路1025からの調整後のホール信号と演算部1021からのPWMコードとに基づいて、FETブリッジ1030に含まれる各FETに対するスイッチング信号を生成して出力する。
【0027】
なお、モータ駆動の基本動作については、国際公開第2012/086459号パンフレット等に記載されており、本実施の形態の主要部ではないので、ここでは説明を省略する。
【0028】
次に、本実施の形態の概要について説明する。本実施の形態では、ペダル入力トルクのオフセット値の較正や、ノイズなどにより本来ペダル入力トルクがゼロとならなければならないにも拘わらずペダル入力トルクが検出される場合に当該ペダル入力トルクを除去する又はモータ駆動を停止させるタイミングとして、惰性走行中というタイミングを利用する。惰性走行中は、フリーホイールによって、ペダル回転させていたとしても当該ペダル回転による入力トルクがペダル駆動輪側には伝達されない状態となっている。このような状態では、トルクセンサ103では、本来ペダル入力トルクは検出されないはずである。従って、このような状態であれば、ペダル入力トルクのオフセット値を較正するのに適している。また、惰性走行中に、ペダル入力トルクが検出されるというのは、運転者が意図して入力したトルクではなく、ノイズその他の問題によって生じたものであるから、このような誤検出されたペダル入力トルクについてはキャンセルするか又はこのようなペダル入力トルクに応じたモータ駆動を行わせないことが好ましい。
【0029】
本実施の形態において、惰性走行中であるか否かについては、
図3に示すような形で決定する。
図3は、左から右に時間が経過する様子を表しており、(a)は、トルクセンサ103から出力されるペダル入力トルクの時間変化を表し、(b)は、車速(ペダル駆動輪速度とも呼ぶ)及びペダル回転換算速度(=ペダル回転速度×ギア比)の時間変化を表し、(c)は、惰性走行中であるか否かを表す判定フラグの状態の時間変化を表す。
【0030】
(a)に示すようにペダル入力トルクがほぼ継続する前半部分では、(b)に示すように車速が徐々に上昇する。時刻t1までは、車速とペダル回転換算速度とはおよそ一致した形で上昇することになるが、ペダル入力トルクが入力されないようになると、車速は徐々に減少するが、ペダル回転が抑えられているので、ペダル回転換算速度は急激に減少する。そして、時刻t2になると、ペダル回転換算速度<車速×α(1以下の係数。但し、ここでは約0.5)という関係が成り立つようになる。なお、この不等式を変形すれば、ペダル回転換算速度/車速<αとなる。
【0031】
このような関係が成り立つようになると、タイマを起動して猶予時間T(例えばペダル回転が数回分の4乃至5秒程度)を計測する。この間に上記のような関係を継続して満たしていれば、時刻t3(=t2+T)で、判定フラグをオンに設定し、上で述べたようなペダル入力トルクのオフセット値の較正や誤検出入力トルクのキャンセルなどの処理を行うことを可能にする。なお、判定フラグをオフにするタイミングは、ペダル回転換算速度=車速となったタイミング(
図3(c)では時刻t4)であり、その間にペダル回転換算速度が上昇したとしても、この条件を満たさなければ、判定フラグはオンのままになる。
【0032】
なお、αや猶予時間Tは、センサの誤差やギア比の誤差などを考慮した上で、惰性走行中であることを確実に検出するためのマージンとして設定される。αを小さくするのであれば、猶予時間Tを短くしても良い。一方、αを大きくするのであれば、猶予時間Tを長くする方が好ましい。従って、一例としては、
図4に示すようなαと猶予時間Tとの関係が想定される。
図4において横軸はαを表し、縦軸は猶予時間Tを表す。このようにαがゼロに近づくほど猶予時間Tは短く設定され、αが1になれば、猶予時間Tは予め定められた最大値Tmaxとなる。なお、αが十分に小さい値になれば猶予時間Tをゼロにする場合もある。また、正確なギア比が取得できる場合、センサの測定値がある程度以上の信頼性がある場合には、ペダル回転換算速度<車速という条件を用いる場合もある。
【0033】
次に、このような惰性走行判定処理、ペダル入力トルクのオフセット値校正処理、誤検出ペダル入力トルクのキャンセル処理などを行う演算部1021の機能ブロック図を
図5に示す。演算部1021は、換算処理部1201と、判定部1202と、判定フラグ1203と、オフセット較正部1204と、オフセット値格納部1205と、トルク較正部1206と、アシストトルク演算部1207と、PWMコード生成部1208とを有する。判定フラグ1203は、指示部として機能し、アシストトルク演算部1207とPWMコード生成部1208とは、モータの駆動制御部として動作する。
【0034】
換算処理部1201は、ペダル回転入力部1022からのペダル回転入力から、ペダル回転速度を算出すると共に、当該ペダル回転速度にギア比を乗じて、ペダル回転換算速度を算出する。判定部1202は、車速とペダル回転換算速度とが、惰性走行中を表す所定の条件を満たしているか否かを判定し、惰性走行中であると判定する場合には、判定フラグ1203をオンに設定する。一方、惰性走行中である状態から脱したと判定した場合には、判定部1202は、判定フラグ1203をオフに設定する。なお、判定フラグ1203は、実装の一例であって、判定部1202の判定結果を、オフセット較正部1204やトルク較正部1206に指示する他の回路構成を採用することで指示部を構成しても良い。
【0035】
オフセット較正部1204は、判定フラグ1203及びペダル回転入力に基づき、ペダル入力トルクのオフセット値を較正する処理を実行し、較正後のオフセット値をオフセット値格納部1205に格納する。なお、較正処理自体については、例えば所定期間内における平均値を採用するなど様々な方法が存在するが、ここではいずれの方法であっても良いので、詳細な説明については省略する。
【0036】
さらに、トルク較正部1206は、判定フラグ1203及びペダル回転入力に基づき、オフセット値格納部1205に格納されているオフセット値を用いてペダル入力トルクの較正及び誤検出ペダル入力トルクの除去処理などを行う。若しくは、トルク較正部1206は、条件が満たされていればモータ駆動を停止させるようにしても良い。
【0037】
アシストトルク演算部1207は、トルク較正部1206からのペダル入力トルク(ゼロの場合もある)及び車速入力部1024からの車速などに基づき所定の演算を行う。つづいて、PWMのデューティー比に関係するデューティーコードを、PWMコード生成部1208に出力する。このアシストトルク演算部1207の演算については、例えば国際公開第2012/086458号パンフレット等に詳細に述べられているような演算である。簡単に述べれば、ペダル入力トルクを所定のルールに従ってデューティー比に相当する第1のデューティーコードに変換する。車速を所定のルールに従ってデューティー比に相当する第2のデューティーコードに変換する。これら第1及び第2のデューティーコードを加算することで、PWMコード生成部1208に出力すべきデューティーコードを算出する。
【0038】
場合によっては、アシストトルク演算部1207は、トルク較正部1206からの停止指示に応じて、PWMコード生成部1208に対してモータ駆動を停止させる指示を出力する。PWMコード生成部1208は、アシストトルク演算部1207からモータ駆動を停止させる指示を受け付けると、モータ駆動タイミング生成部1026等に対してモータを停止するための信号を出力する。なお、アシストトルク演算部1207が、直接モータを停止させる指示を出力するようにしても良い。
【0039】
次に、本実施の形態に係る演算部1021による処理内容について
図6乃至
図8を用いて説明する。
【0040】
まず、換算処理部1201は、ペダル回転入力部1022からのペダル回転入力からペダル回転速度を算出し、さらに例えば操作パネル106等から入力されたギア比をペダル回転速度に乗ずることで、ペダル回転換算速度を算出する(
図6:ステップS1)。また、判定部1202は、例えば車速入力部1024からの車速に対して係数αを乗ずることで基準速度を算出する(ステップS3)。なお、車速×αではなく、車速−βのような形で基準速度を算出するようにしても良い。なお、ペダル回転換算速度<車速−βという条件となるので、β<車速−ペダル回転換算速度というように変形される。
【0041】
その後、判定部1202は、判定フラグ1203がオンになっているか判断する(ステップS5)。なお、初期的には判定フラグ1203及び内部フラグである猶予時間フラグについては、オフに設定されているものとする。
【0042】
判定フラグ1203がオフになっている場合には、判定部1202は、基準速度(=車速×α)>ペダル回転換算速度となっているか否かを判断する(ステップS7)。この条件が満たされていない場合には、処理はステップS17に移行する。すなわち、判定部1202は、猶予時間フラグをオフに設定する(ステップS17)。なお、猶予時間フラグが既にオフになっている場合には、何もせずによい。このステップは、一旦猶予時間フラグがオンに設定されて(例えば
図3の時刻t2)時間の計測が開始された場合においても、猶予時間Tが経過する前にステップS7の条件を満たさなくなる場合には、元の状態に戻すために実行される。そして処理は、端子Bを介して
図7の処理に移行する。
【0043】
一方、ステップS7の条件が満たされている場合には、判定部1202は、猶予時間フラグがオンとなっているか否かを判断する(ステップS9)。猶予時間フラグが既にオンになっている場合には、処理は端子Cを介して
図7の処理に移行する。
【0044】
一方、猶予時間フラグがオンではない場合には、判定部1202は、猶予時間フラグをオンに設定する(ステップS11)。そして処理は端子Aを介して
図7の処理に移行する。
【0045】
また、判定フラグがオンになっている場合には(ステップS5:Yesルート)、判定部1202は、ペダル回転換算速度が車速以上となっているか否かを判断する(ステップS13)。この条件を満たしていない場合には、処理は端子Bを介して
図7の処理に移行する。一方、この条件を満たしている場合には(
図3の時刻t4)、判定部1202は、判定フラグ1203をオフに設定し(ステップS15)、さらに猶予時間フラグもオフに設定する(ステップS17)。そして、処理は端子Bを介して
図7の処理に移行する。
【0046】
図7の処理の説明に移行して、端子Aの後に、判定部1202は、時間計測を開始する(ステップS19)。そして、判定部1202は、計測時間が猶予時間T(閾値に相当する)に達したか判断する(ステップS21)。計測時間が猶予時間Tに達していない場合には、処理はステップS25に移行する。一方、計測時間が猶予時間Tに達した場合には、判定部1202は、判定フラグ1203をオンに設定する(ステップS23)。
【0047】
そして、判定部1202は、操作パネル106などから処理終了が指示されたか否かを判断する(ステップS25)。処理終了が指示されていない場合には、処理は端子Dを介して
図6のステップS1に戻る。一方、処理終了が指示された場合には、処理を終了する。
【0048】
以上のようにすれば、惰性走行中には、判定フラグ1203はオンに設定され、惰性走行中という状態から脱した場合には、判定フラグ1203はオフに設定されるようになる。
【0049】
次に、オフセット較正部1204の処理について
図8を用いて説明する。オフセット較正部1204は、ペダル回転入力部1022からのペダル回転入力から、ペダル回転中であるか否かを判断する(
図8:ステップS31)。ペダル回転中でなければ、処理はステップS35に移行する。
【0050】
一方、ペダル回転中であれば、オフセット較正部1204は、判定フラグ1203がオンになっているか判断する(ステップS33)。判定フラグ1203がオンになっている場合には、オフセット較正部1204は、オフセット較正処理を実行し、較正後のオフセット値をオフセット値格納部1205に格納する(ステップS35)。オフセット較正処理については、上で述べたように様々な方法があり、いずれの方法でも良いので、ここでは詳細な説明については省略する。一方、判定フラグ1203がオフであれば、処理はステップS37に移行する。
【0051】
そして、オフセット較正部1204は、処理終了が指示されたか判断する(ステップS37)。そして処理終了が指示されていない場合には、処理はステップS31に戻る。一方、処理終了が指示された場合には、処理を終了する。
【0052】
このようにすれば、ペダル回転が検出されない場合、及び判定フラグ1203がオンに設定されている場合に、オフセット較正処理を行うことになる。すなわち、走行中でも、ペダル入力トルクが本来ゼロのタイミングにてオフセット較正処理を行うことができるようになる。
【0053】
次に、
図9を用いてトルク較正部1206の処理について説明する。
【0054】
まず、トルク較正部1206は、オフセット値格納部1205に格納されているオフセット値を、ペダル入力トルク(センサ値)から差し引いて、較正後のペダル入力トルクを算出する(ステップS41)。
【0055】
そして、トルク較正部1206は、較正後ペダル入力トルクが正の値となっているか否かを判断する(ステップS43)。較正後ペダル入力トルクがゼロ以下であれば、トルク較正部1206は、ペダル入力トルクをゼロにクリアして、アシストトルク演算部1207に出力するか、アシストトルク演算部1203等に対してモータ駆動を停止させるように指示を出力する(ステップS51)。ペダル入力トルクをゼロにクリアして、アシストトルク演算部1207に出力する場合には、アシストトルク演算部1207は、ペダル入力トルクがゼロであるものとして例えば車速に基づき所定の演算を行って、PWMのデューティー比に関係するデューティーコードを、PWMコード生成部1208に出力する。また、PWMコード生成部1208は、デューティーコードに対して、AD入力部1029からのバッテリ電圧/基準電圧(例えば24V)を乗じてPWMコードを生成し、モータ駆動タイミング生成部1026に出力する。このようにして、モータ駆動が制御される。そして処理はステップS53に移行する。
【0056】
一方、較正後のペダル入力トルクが正の値となっている場合には、トルク較正部1206は、ペダル回転中であるか否かを、ペダル回転入力から判断する(ステップS45)。ペダル回転中ではない場合には、較正後のペダル入力トルクが適切ではないので、処理はステップS51に移行する。
【0057】
一方、ペダル回転中であれば、トルク較正部1206は、判定フラグ1203がオフになっているか否かを判断する(ステップS47)。判定フラグ1203がオンである場合には、惰性走行中であるから、処理はステップS51に移行する。
【0058】
一方、判定フラグ1203がオフであれば、較正後のペダル入力トルクをアシストトルク演算部1207に出力する。そうすると、アシストトルク演算部1207は、トルク較正部1206からの較正後のペダル入力トルク及び車速などに基づき所定の演算を行って、PWMのデューティー比に関係するデューティーコードを、PWMコード生成部1208に出力する。また、PWMコード生成部1208は、デューティーコードに対して、AD入力部1029からのバッテリ電圧/基準電圧(例えば24V)を乗じてPWMコードを生成し、モータ駆動タイミング生成部1026に出力する。このようにして、モータ駆動が制御される(ステップS49)。
【0059】
そして、トルク較正部1206は、処理終了が指示されたか判断する(ステップS53)。そして処理終了が指示されていない場合には、処理はステップS41に戻る。一方、処理終了が指示された場合には、処理を終了する。
【0060】
このようにすれば、較正後のペダル入力トルクが正の値を有しており且つペダル回転が検出されたとしても、判定フラグ1203がオンとなっていれば惰性走行中であるから、較正後のペダル入力トルクをクリアしたりモータ駆動を停止することが適切な処理となる。
【0061】
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、モータ回転速度が遅いとセンサからのデータ入力もばらつきが大きくなり、マージンを大きくすべきであり、モータ回転速度が速いとセンサからのデータ入力も安定的で正確になるため、例えば係数αをモータ回転速度に応じて設定するようにしても良い。
図10の例では、モータ回転速度が遅いほどαが大きく設定され、モータ回転速度が早いほどαが小さく設定される。
【0062】
また、モータ駆動制御器102の一部又は全部については専用の回路で実現される場合もあれば、マイクロプロセッサがプログラムを実行することで上記のような機能が実現される場合もある。
【0063】
この場合、モータ駆動制御器102は、
図11に示すように、RAM(Random Access Memory)4501とプロセッサ4503とROM(Read Only Memory)4507とセンサ群4515とがバス4519で接続されている。本実施の形態における処理を実施するためのプログラム及び存在している場合にはオペレーティング・システム(OS:Operating System)は、ROM4507に格納されており、プロセッサ4503により実行される際にはROM4507からRAM4501に読み出される。なお、ROM4507は、閾値その他のパラメータをも記録しており、このようなパラメータも読み出される。プロセッサ4503は、上で述べたセンサ群4515を制御して、測定値を取得する。また、処理途中のデータについては、RAM4501に格納される。なお、プロセッサ4503は、ROM4507を含む場合もあり、さらに、RAM4501を含む場合もある。本技術の実施の形態では、上で述べた処理を実施するための制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能なリムーバブル・ディスクに格納されて頒布され、ROMライタによってROM4507に書き込まれる場合もある。このようなコンピュータ装置は、上で述べたプロセッサ4503、RAM4501、ROM4507などのハードウエアとプログラム(場合によってはOSも)とが有機的に協働することにより、上で述べたような各種機能を実現する。