特許第6198504号(P6198504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6198504電源の最大電力点を追跡するための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6198504
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】電源の最大電力点を追跡するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/67 20060101AFI20170911BHJP
【FI】
   G05F1/67 A
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-155545(P2013-155545)
(22)【出願日】2013年7月26日
(65)【公開番号】特開2014-81919(P2014-81919A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2016年4月7日
(31)【優先権主張番号】12188687.3
(32)【優先日】2012年10月16日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161115
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100166235
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・ボワイエ
(72)【発明者】
【氏名】ナディーヌ・シャパラン
【審査官】 高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−085312(JP,A)
【文献】 国際公開第03/065564(WO,A1)
【文献】 特開2011−170835(JP,A)
【文献】 特開平09−062387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42 − 7/98
G05F 1/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源の最大電力点を追跡するための装置であって、
‐前記電源によって提供される第1の電圧において、前記電源によって提供される電圧の変化に対する、前記電源によって提供される電力の導関数を推定する手段と、
‐前記電源が前記第1の電圧を提供するときに前記電源によって提供される電流を推定する手段と、
‐前記電源によって提供される前記電力の前記推定導関数から、および、前記推定電流から、電圧ステップ値を決定する手段と、
‐前記第1の電圧に前記決定された電圧ステップを加えた値に等しい第2の電圧値に前記電源の電圧を変更するために、前記電源の電圧を制御する手段と
を備える、装置。
【請求項2】
前記電圧ステップは、前記電源によって提供される前記電力の前記推定導関数を前記推定電流で除算したものを1から減算したものの対数を前記電源の公称特性に依存するパラメータによって除算したものから決定されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記パラメータは、さらに1と2との間に含まれる係数に依存することを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記パラメータは次式によって決定され、
【数1】
ただし、
mp0は、前記電源の公称特性における最大電力における電流であり、
sc0は、前記電源の公称特性における短絡電流であり
mp0は、前記電源の公称特性における最大電力における電圧であり、
oc0は、前記電源の公称特性における開回路での電圧である、
ことを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記電源によって提供される電圧の変化に対する、前記電源によって提供される前記電力の前記導関数は、
前記第1の電圧における前記電源によって提供される前記電力から、および
別の電圧における前記電源によって提供される前記電力から、
推定されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記電源によって提供される電圧の変化に対する、前記電源によって提供される前記電力の前記導関数は、
‐前記第1の電圧、および、前記電源によって提供される電圧が前記第1の電圧であるときの第1の時刻において前記電源によって提供される第1の電力、
‐第3の電圧値、および、前記電源によって提供される電圧が前記第3の電圧値であるときの第2の時刻において前記電源によって提供される第2の電力、ならびに、
‐前記第1の電圧、および、前記電源によって提供される電圧が前記第1の電圧であるときの第3の時刻において前記電源によって提供される第3の電力、
から推定されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記最大電力点を追跡するための装置はエネルギー変換装置に含まれることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記決定された電圧ステップ値が第1の所定の正の値より大きい場合、前記決定された電圧ステップは前記第1の所定の正の値にセットされるか、または、
前記決定された電圧ステップ値が第2の所定の負の値より小さい場合、前記決定された電圧ステップは前記第2の所定の負の値にセットされる、
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記電源によって提供される前記電力の前記推定導関数を前記推定電流で除算したものが1より大きい場合、前記決定された電圧ステップは、前記第1の電圧を決定するために用いられる前記電源によって提供される前記電力の前記推定導関数の符号を有する所定の値にセットされることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
電源の最大電力点を追跡するための方法であって、
前記方法は、
‐前記電源によって提供される第1の電圧において、前記電源によって提供される電圧の変化に対する、前記電源によって提供される電力の導関数を推定するステップと、
‐前記電源が前記第1の電圧を提供するときに前記電源によって提供される電流を推定するステップと、
‐前記電源によって提供される前記電力の前記推定導関数から、および、前記推定電流から、電圧ステップ値を決定するステップと、
‐前記第1の電圧に前記決定された電圧ステップを加えた値に等しい第2の電圧値に前記電源の電圧を変更するために、前記電源の電圧を制御するステップと
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源(光電池または電池アレイまたは燃料電池等)の最大電力点を追跡するための装置に広く関する。
【背景技術】
【0002】
光電池は、太陽エネルギーを電気エネルギーに直接変換する。光電池によって生成された電気エネルギーは、時間をかけて抽出可能であり、電力として使用可能である。光電池によって提供される直接の電力は、エネルギー変換装置(DC−DCアップ/ダウンコンバータ回路、DC/ACインバータ回路、その両方、等)に提供される。
【0003】
しかしながら、光電池の電流−電圧特性のため、その出力電力は、光電池から引き出される電流に対して非線形に変化する。電力−電圧曲線は、光放射レベルおよび動作温度等の気候的変動(climatic variations)に伴って変化する。
【0004】
電流−電圧特性は、Ipv=Isc(L)-Io(T)(exp(Vpv/Vbr)-1) としてモデル化される。ただし、Iscは放射照度Lにおける光電池の短絡電流であり、Ioは温度Tにおける電池のボディダイオード電流であり、Vbrは光電池(PV)の降伏電圧であり、これは放射照度に対して独立であり電池温度に対する変動が小さい。
【0005】
光電池または電池アレイを動作させるための近最適点は、電流−電圧曲線において電力が最大となる領域またはその近傍にある。この点は最大電力点(Maximum Power Point, MPP)と呼ばれる。
【0006】
最大電力点の位置は未知であるが、計算モデルまたは探索アルゴリズムを介して位置を特定することができる。
【0007】
したがって、光電池または電池アレイを最大電力点において動作するよう維持するために、最大電力点追跡技法が必要となる。
【0008】
電力−電圧曲線は気候的変動に伴って変化するので、最大電力点も気候的変動に伴って変化する。
【0009】
このため、任意の時点で最大電力点が特定可能であることが必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
最大電力点追跡アルゴリズムが最大電力点を追跡するために固定された電圧ステップを用いる場合、固定された電圧ステップを用いることはいくつかの問題を生じる。電圧ステップが大きい場合、最大電力点値の周辺における大きな振動により、電源によって提供される電力の喪失が発生する。電圧ステップが小さい場合、最大電力点値への収束は遅くなる。
【0011】
本発明は、最大電力点の追跡を提供することを可能にする装置において、気候的変動に対して頑強であり、かつ摂動サイクルの持続時間の増加を抑制するものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的のために、本発明は、電源の最大電力点を追跡するための装置であって、
‐前記電源によって提供される第1の電圧において、前記電源によって提供される電圧の変化に対する、前記電源によって提供される電力の導関数を推定する手段と、
‐前記電源が前記第1の電圧を提供するときに前記電源によって提供される電流を推定する手段と、
‐前記電源によって提供される前記電力の前記推定導関数から、および、前記推定電流から、電圧ステップ値を決定する手段と、
‐前記第1の電圧値に前記決定された電圧ステップを加えた値に等しい第2の電圧値に前記電源の電圧を変更するために、前記電源の電圧を制御する手段と
を備える、装置に関する。
【0013】
また、本発明は、電源の最大電力点を追跡するための方法であって、
前記方法は、
‐前記電源によって提供される第1の電圧において、前記電源によって提供される電圧の変化に対する、前記電源によって提供される電力の導関数を推定するステップと、
‐前記電源が前記第1の電圧を提供するときに前記電源によって提供される電流を推定するステップと、
‐前記電源によって提供される前記電力の前記推定導関数から、および、前記推定電流から、電圧ステップ値を決定するステップと、
‐前記第1の電圧値に前記決定された電圧ステップを加えた値に等しい第2の電圧値に前記電源の電圧を変更するために、前記電源の電圧を制御するステップと
を備える、方法にも関する。
【0014】
したがって、電圧ステップは、第1の電圧と最大電力点に対応する電圧との電圧差分にほぼ等しい。結果として、装置はより速く最大電力点に収束する。このため、最大電力点の追跡は気候的変動に対して頑強である。
【0015】
特定の特徴によれば、前記電圧ステップは、前記電源によって提供される前記電力の前記推定導関数を前記推定電流で除算したものを1から減算したものの対数を前記電源の公称特性に依存するパラメータによって除算したものから決定される。
【0016】
したがって、パラメータが降伏電圧分の1(one over the breakdown voltage)にセットされた場合、決定されたステップは、第1の電圧と最大電力点に対応する電圧との間の電圧差分に等しい。装置は1ステップで最大電力点に収束可能である。最大電力点の取得スピードは大きく短縮される。気候センサを必要とせず、任意の気候条件(L,T)について最大電力点への直接の収束が取得可能であることに留意すべきである。
【0017】
特定の特徴によれば、前記パラメータは、さらに1と2との間に含まれる係数に依存する。
【0018】
したがって、電池温度の未知の変動により降伏電圧が微小な変動を経験する場合があるが、降伏電圧を小さく見積もることができる。これは、装置が1より多いステップで最大電力点に収束することにつながる。最大電力点の周辺の振動を最小化することができる。
【0019】
特定の特徴によれば、前記パラメータは次式によって決定され、
【数1】
ただし、
mp0は、前記電源の公称特性における最大電力における電流であり、
sc0は、前記電源の公称特性における短絡電流であり
mp0は、前記電源の公称特性における最大電力における電圧であり、
oc0は、前記電源の公称特性における開回路での電圧である。
【0020】
したがって、電源のセットアップの際に、電源の降伏電圧を容易に決定することができる。降伏電圧は放射照度条件とは独立であるので、本提案の方法は任意の放射照度条件において効果的である。降伏電圧は温度条件に対する変動が小さいので、本提案の方法は任意の電池温度において効果的である。
【0021】
特定の特徴によれば、前記電源によって提供される電圧の変化に対する、前記電源によって提供される前記電力の前記導関数は、
前記第1の電圧における前記電源によって提供される前記電力から、および
別の電圧における前記電源によって提供される前記電力から、
推定される。
【0022】
したがって、静的な放射照度条件において、電圧に対する電力の正確な導関数を決定することができる。
【0023】
特定の特徴によれば、前記電源によって提供される電圧の変化に対する、前記電源によって提供される前記電力の前記導関数は、
‐前記第1の電圧値、および、前記電源によって提供される電圧が前記第1の電圧値であるときの第1の時刻において前記電源によって提供される第1の電力、
‐第3の電圧値、および、前記電源によって提供される電圧が前記第3の電圧値であるときの第2の時刻において前記電源によって提供される第2の電力、ならびに、
‐前記第1の電圧値、および、前記電源によって提供される電圧が前記第1の電圧であるときの第3の時刻において前記電源によって提供される第3の電力、
から推定される。
【0024】
したがって、傾斜した放射照度条件において、電圧に対する電力の正確な導関数を決定することができる。電源の最大電力点を追跡するための本方法は、傾斜した条件のもとで効果的である。
【0025】
特定の特徴によれば、前記最大電力点を追跡するための装置はエネルギー変換装置に含まれる。
【0026】
したがって、エネルギー変換装置は、動的な気候条件において非常に高速な追跡能力をもって、電源を最大電力点へと動作させることができる。
【0027】
特定の特徴によれば、前記決定された電圧ステップ値が第1の所定の正の値より大きい場合、前記決定された電圧ステップは前記第1の所定の正の値にセットされるか、または、
前記決定された電圧ステップ値が第2の所定の負の値より小さい場合、前記決定された電圧ステップは前記第2の所定の負の値にセットされる。
【0028】
したがって、雑音の多い電力測定により最大電力点までの距離を決定する際に誤りが生じる場合に、電圧ステップは制限され、第2の電圧と最大電力点に対応する電圧との間の差分が縮小される。結果として、電力ロスが最小化される。
【0029】
特定の特徴によれば、前記電源によって提供される前記電力の前記推定導関数を前記推定電流で除算したものが1より大きい場合、前記決定された電圧ステップは、前記第1の電圧値を決定するために用いられる前記電源によって提供される前記電力の前記推定導関数の符号を有する所定の値にセットされる。
【0030】
したがって、雑音の多い電力測定により最大電力点までの距離を決定する際に誤りが生じる場合に、電圧ステップは制限され、第2の電圧と最大電力点に対応する電圧との間の差分が縮小される。結果として、電力ロスが最小化される。
【0031】
本発明の特徴は、以下の実施形態の例の記載を読むことによってより明確となる。この記載は、添付の図面を参照して作成されている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】電源の出力電圧に伴う電源の出力電流の変動を表す曲線の例である。
図2】本発明が実施可能であるエネルギー変換システムの例である。
図3a】本発明の第1実現モードによる電源の最大電力点を追跡するためのアルゴリズムの例である。
図3b】本発明による電圧ステップ値を決定するためのアルゴリズムの例である。
図4】本発明の第2の実現モードによる電源の最大電力点を追跡するためのアルゴリズムの例である。
図5】異なる気候条件および本発明の第1実現モードによって取られた電力測定点における光電池または電池アレイの電力変動対電圧を表す複数の曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、電源の出力電圧に伴う電源の出力電流の変動を表す曲線である。
【0034】
図1の水平軸上に電圧値が示されている。各電圧値は、ヌル値と開路電圧VOCとの間に含まれる。
【0035】
図1の垂直軸上に電流値が示されている。各電流値は、ヌル値と短絡電流ISCとの間に含まれる。
【0036】
たとえば、電源PVが光起電性アレイである場合、任意の照明レベルおよび光起電性アレイ温度において、光起電性アレイが動作可能な無数の電流−電圧ペア(または動作点)が存在する。しかしながら、所与の照明レベルおよび光起電性アレイ温度において、単一の最大電力点が存在する。
【0037】
図2は、本発明が実施可能であるエネルギー変換システムの例である。
【0038】
エネルギー変換システムは、エネルギー変換装置Conv(DC−DCステップダウン/ステップアップコンバータ、DC/ACコンバータ(インバータとも呼ばれる)、その両方、等)に接続された電源PV(光電池または電池アレイまたは燃料電池等)によって構成される。エネルギー変換装置Convの出力は負荷Loに電気エネルギーを提供する。
【0039】
エネルギー変換装置Convは、少なくとも1つのスイッチSを備える。
【0040】
電源PVは、負荷Loに対して意図される電流を提供する。電源PVによって提供される電流Iinおよび電圧Vinは、負荷Loによって利用される前に、エネルギー変換装置Convによって、出力電流Ioutおよび出力電圧Voutへと変換される。
【0041】
本発明によれば、エネルギー変換システムは、さらに制御装置20を備える。
【0042】
制御装置20は、連続する電力測定から、調整電圧値を決定する。調整電圧値は、電源PVによって提供されるエネルギーを最大化する入力電圧値の推定値である。
【0043】
制御装置20によって用いられる連続する電力測定は、エネルギー変換装置Convの入力または出力において実現可能であることに留意すべきである。
【0044】
制御装置20は、調整電圧値Vpvrefに従ってデューティサイクルを制御することにより、エネルギー変換装置Convの入力電圧を制御する。
【0045】
デューティサイクルは、エネルギー変換装置ConvのスイッチSの少なくとも1つについて、ON/OFF状態を駆動する。
【0046】
制御装置20は、たとえば、バス201によって互いに接続されるコンポーネントに基づくアーキテクチャと、図3a、3bまたは4に開示されるアルゴリズムに関連するプログラムによって制御されるプロセッサ200とを有する。
【0047】
一変形例では、プロセッサ200は、以下に開示されるプロセッサ200によって実行される動作と同じ動作を実行する1つまたはいくつかの専用集積回路の形式のもとで実施されることに留意すべきである。
【0048】
バス201は、プロセッサ200は、読み出し専用メモリROM202、ランダムアクセスメモリRAM203、アナログ・デジタル変換器ADC206、およびインタフェース205へとリンクする。
【0049】
読み出し専用メモリROM202は、図3a、3bまたは4に開示されるアルゴリズムに関連するプログラムの命令を含む。このプログラムは、制御装置20に電源が投入されるときに、ランダムアクセスメモリRAM203に転送される。
【0050】
RAMメモリ203は、変数を収容することを意図するレジスタと、図3a、3bまたは4に開示されるアルゴリズムに関連するプログラムの命令とを含む。
【0051】
アナログ・デジタル変換器206は、エネルギー変換装置Convの入力および出力に接続され、エネルギー変換装置Convの入力および出力における電圧および電流を2進情報に変換する。
【0052】
プロセッサ200は、インタフェースモジュール205を介し、エネルギー変換装置Convによって適用されるべきデューティサイクルDを転送する。
【0053】
本発明によれば、制御装置20は、
‐電源によって提供される第1の電圧において、電源によって提供される電圧の変化に対する、電源によって提供される電力の導関数を推定する手段と、
‐電源が第1の電圧を提供するときに電源によって提供される電流を推定する手段と、
‐電源によって提供される電力の推定導関数から、および、推定電流から、電圧ステップ値を決定する手段と、
‐第1の電圧値に決定された電圧ステップを加えた値に等しい第2の電圧値に電源の電圧を変更するために、電源の電圧を制御する手段と
を備える。
【0054】
図3aおよび図3bは、本発明の第1実現モードによる電源の最大電力点を追跡するためのアルゴリズムの例である。
【0055】
より正確には、本アルゴリズムは制御装置20のプロセッサ200によって実行される。
【0056】
図3aのステップS300において、プロセッサ200は、電源PVの公称特性(nominal characteristics)における最大電力における電流Imp0、電源PVの公称特性における短絡電流Isc0、電源PVの公称特性における最大電力における電圧Vmp0、電源の公称特性における開回路での電圧voc0、および、1と2との間に含まれる所定値である係数coeffを取得する。
【0057】
これらの電流値および電圧値は、電源の製造者によって提供される。これらの電流値および電圧値は、ROMメモリ202に格納されるか、または電源PVおよびエネルギー変換装置Convをインストールする技術員によって格納される。
【0058】
係数coeffは、ROMメモリ202に格納される。
【0059】
次のステップS301において、プロセッサ200は、本発明に従い、パラメータParamを取得する。
【0060】
パラメータParamは、次式によってプロセッサ200により決定される。
【0061】
【数2】
【0062】
一変形例では、パラメータParamは、プロセッサ200によって計算される代わりに、電源PVおよびエネルギー変換装置Convをインストールする技術員によってRAMメモリ203に格納されることに留意すべきである。
【0063】
次のステップS302において、プロセッサ200は、Idxと表される変数が1に等しいか否かをチェックする。
【0064】
エネルギー変換装置Convの初期化において、変数Idxは1にセットされるということに留意すべきである。
【0065】
変数Idxが1に等しい場合、プロセッサ200はステップS303に移動する。そうでない場合、プロセッサ200はステップS305に移動する。
【0066】
ステップS303において、プロセッサ200は、電源PVによって提供される電圧を電圧値Vに等しい電圧値Vvrefに制御しており、電圧Vにおける電流Iinの測定に進むためにアナログ・デジタル変換器ADC206に指令する。
【0067】
本アルゴリズムの最初の実行では、プロセッサ200はメモリ203において電圧Vの初期値を読み出す。
【0068】
たとえば、Vの初期電圧はヌル値またはVOC0に等しい。
【0069】
電圧Vおよび電圧Iinの値から、プロセッサ200は、電圧値Vにおいて電源PVによって提供される電力値P1を決定する。
【0070】
次のステップS304において、プロセッサ200は電圧値Vverfを電圧値Vにセットし、電源PVによって提供される電圧を、インタフェース206およびスイッチSを介して電圧値Vvrefに制御する。
【0071】
本アルゴリズムの最初の実行では、プロセッサ200はメモリ203において電圧Vの初期値を読み出す。
【0072】
たとえば、Vの初期電圧は、初期電圧Vに、メモリ203において読み出される所定の電圧ステップΔVABを加えたものに等しい。たとえば、所定の電圧ステップΔVABは1ボルトにセットされる。
【0073】
次のステップS304において、プロセッサ200は変数Idxを2にステップする。
【0074】
その後、プロセッサ200はステップS314に移動し、所定時間Δtだけ待機する。この所定時間は、たとえば1秒に等しい。この所定時間は、最大電力点追跡アルゴリズムの実行の周期性を表す。
【0075】
その後、プロセッサ200はステップS302に戻る。
【0076】
ステップS305において、プロセッサ200は、Idxと表される変数が2に等しいか否かをチェックする。
【0077】
変数Idxが2に等しい場合、プロセッサ200はステップS306に移動する。そうでない場合、プロセッサ200はステップS309に移動する。
【0078】
ステップS306において、プロセッサ200は、電源PVによって提供される電圧を、インタフェース206およびスイッチSを介して、電圧値Vに等しい電圧値Vvrefに制御しており、電圧Vにおける電流Iinの測定に進むためにアナログ・デジタル変換器ADC206に指令する。
【0079】
電圧Vおよび電圧Iinの値から、プロセッサ200は、電圧値Vにおいて電源PVによって提供される電力値P2を決定する。
【0080】
次のステップS307において、プロセッサ200は、電圧値Vvrefを電圧値Vにセットし、電源PVによって提供される電圧を、インタフェース206およびスイッチSを介し、電圧値Vvrefに制御する。
【0081】
次のステップS308において、プロセッサ200は変数Idxを3にステップする。
【0082】
その後、プロセッサ200は、上述のステップS314に移動する。
【0083】
ステップS309において、プロセッサ200は、電源PVによって提供される電圧を、インタフェース206およびスイッチSを介して、電圧値Vに等しい電圧値Vvrefに制御しており、電圧Vにおける電流Iinの測定に進むためにアナログ・デジタル変換器ADC206に指令する。
【0084】
電圧Vおよび電圧Iinの値から、プロセッサ200は、電圧値Vにおいて電源PVによって提供される電力値P3を決定する。
【0085】
次のステップS310において、プロセッサ200は、最大電力点の追跡に用いるべき電圧ステップ値ΔVを計算する。
【0086】
この電圧ステップ値は、電源によって提供される電力の推定導関数から、および、推定電流から計算される。
【0087】
電圧ステップ値の計算は、図3bを参照して開示される。
【0088】
次のステップS311において、プロセッサ200は変数VをV+ΔVにセットし、変数VをV+ΔVにセットする。
【0089】
次のステップS312において、プロセッサ200は、電圧値Vvrefを電圧値Vにセットする。
【0090】
次のステップS313において、プロセッサ200は、変数Idxを1にセットする。
【0091】
その後、プロセッサ200は上述のステップS314に移動する。
【0092】
図3bは、本発明による電圧ステップ値を決定するためのアルゴリズムの例である。
【0093】
ステップS315において、プロセッサ200は変数PをPの値にセットし、PとPとの平均値Pを決定する。
【0094】
=(P+P)/2
【0095】
次のステップS316において、プロセッサ200は、次式に従い、ステップS315において決定された電力値PおよびPから、電源PVによって提供される電流の推定電流値Iを決定する。
【0096】
I=(PA/VA+PB/VB)/2
【0097】
次のステップS317において、プロセッサ200は、次式に従い、電力の導関数の推定値を決定する。
【0098】
dP/dV=(PA−PB)/(VA−VB)
【0099】
次のステップS318において、プロセッサ200は、電源PVによって提供される電力の推定導関数を推定電流値で除算したものが1より小さいか否かをチェックする。
【0100】
電源PVによって提供される電力の推定導関数を推定電流値で除算したものが1より小さい場合、プロセッサ200はステップS320に移動する。そうでない場合、プロセッサ200はステップS319に移動する。
【0101】
ステップS320において、プロセッサ200は、電源PVによって提供される電力の推定導関数を推定電流で除算したものを1から減算したものの対数を電源PVの公称特性に依存するステップS301で決定されるパラメータParamによって除算したものから、最大電力点を追跡するために適用すべき電圧ステップΔVを決定する。
【0102】
より正確には、電圧ステップΔVは次式によって決定される。
【0103】
ΔV=ln(1−dP/dV/I)/Param
【0104】
測定に影響をおよぼすなんらかのノイズが存在する場合、電源PVによって提供される電力の推定導関数を推定電流値で除算したものが1より小さくなる可能性がある。そのようなケースを考慮に入れるために、ステップS318のチェックは、ステップS320における電圧ステップΔVの計算に誤差が発生するかもしれないということを回避する。
【0105】
次のステップS321において、プロセッサ200は、ステップS320において決定された電圧ステップΔVが第1の所定値よりも大きいか否かをチェックする。
【0106】
ステップS320において決定された電圧ステップΔVが第1の所定値よりも大きい場合、プロセッサ200はステップS322に移動する。そうでない場合、プロセッサ200はステップS324に移動する。
【0107】
たとえば、第1の所定値は、5ボルトと15ボルトとの間に含まれる。
【0108】
たとえば、第1の所定値は10ボルトに等しい。
【0109】
ステップS324において、プロセッサ200は、ステップS320において決定された電圧ステップΔVが第2の所定値よりも小さいか否かをチェックする。
【0110】
ステップS320において決定された電圧ステップΔVが第2の所定値よりも小さい場合、プロセッサ200はステップS325に移動する。そうでない場合、プロセッサ200は図3aのステップS311に移動する。
【0111】
たとえば、第2の所定値は、マイナス5ボルトとマイナス15ボルトとの間に含まれる。
【0112】
たとえば、第2の所定値はマイナス10ボルトに等しい。
【0113】
ステップS319において、プロセッサ200は電圧ステップΔVを第3の所定値にセットする。第3の所定値はたとえば5ボルトであり、その符号は電源によって提供される電力の推定導関数dP/dVの符号と同一である。
【0114】
ステップS322において、プロセッサ200は電圧ステップΔVを第1の所定値にセットし、図3aのステップS311に移動する。
【0115】
ステップS325において、プロセッサ200は電圧ステップΔVを第2の所定値にセットし、図3aのステップS311に移動する。
【0116】
図4は、本発明の第2の実現モードによる電源の最大電力点を追跡するためのアルゴリズムの例である。
【0117】
より正確には、本アルゴリズムは制御装置20のプロセッサ200によって実行される。
【0118】
ステップS400において、プロセッサ200は、電源PVの公称特性における最大電力における電流Imp0、電源PVの公称特性における短絡電流Isc0、電源PVの公称特性における最大電力における電圧Vmp0、電源PVの公称特性における開回路での電圧voc0、および、1と2との間に含まれる所定値である係数coeffを取得する。
【0119】
これらの電流値および電圧値は、電源の製造者によって提供される。これらの電流値および電圧値は、電源PVおよびエネルギー変換装置Convをインストールする技術員によって、ROMメモリ202に格納されるかまたはRAMメモリ203に格納される。
【0120】
係数coeffは、ROMメモリ202に格納される。
【0121】
次のステップS401において、プロセッサ200は、本発明に従い、パラメータParamを取得する。
【0122】
パラメータParamは、次式によってプロセッサ200により決定される。
【0123】
【数3】
【0124】
一変形例では、パラメータParamは、プロセッサ200によって計算される代わりに、電源PVおよびエネルギー変換装置Convをインストールする技術員によってRAMメモリ203に格納されることに留意すべきである。
【0125】
次のステップS402において、プロセッサ200は、電源PVによって提供される電圧を、インタフェース206およびスイッチSを介して、電圧値Vvrefに制御しており、電圧Vvrefにおける電流Iinの測定に進むためにアナログ・デジタル変換器ADC206に指令する。
【0126】
本アルゴリズムの最初の実行では、プロセッサ200はメモリ203において電圧Vvrefの初期値を読み出す。
【0127】
たとえば、Vvrefの初期電圧はヌル値またはVOC0に等しい。
【0128】
電圧Vvrefおよび電圧Iinの値から、プロセッサ200は、電圧値Vvrefにおいて電源PVによって提供される電力値Pを決定する。
【0129】
次のステップS403において、プロセッサ200は変数IをIinの値にセットし、変数Iを記憶する。
【0130】
次のステップS404において、プロセッサ200は、次式によって電力の推定導関数を決定する。
【0131】
dP/dV=(P−Pprevious)/(ΔVprevious)
【0132】
ただし、ΔVpreviousは、本アルゴリズムによって決定された直前の電圧ステップであり、Ppreviousは、本アルゴリズムによって決定された直前の電力Pである。
【0133】
本アルゴリズムの最初の実行では、ΔVpreviousは所定値に等しい。たとえばこの所定値は1ボルトに等しい。
【0134】
次のステップS405において、プロセッサ200は、電源PVによって提供される電力の推定導関数を電流Iで除算したものが1より小さいか否かをチェックする。
【0135】
電源PVによって提供される電力の推定導関数を電流値Iで除算したものが1より小さい場合、プロセッサ200はステップS407に移動する。そうでない場合、プロセッサ200はステップS406に移動する。
【0136】
ステップS407において、プロセッサ200は、電源PVによって提供される電力の推定導関数を推定電流で除算したものを1から減算したものの対数を電源PVの公称特性に依存するパラメータParamによって除算したものから、最大電力点を追跡するために適用すべき電圧ステップΔVを決定する。
【0137】
より正確には、電圧ステップΔVは次式によって決定される。
【0138】
ΔV=ln(1−dP/dV/I)/Param
【0139】
測定に影響をおよぼすなんらかのノイズが存在する場合、電源によって提供される電力の推定導関数を推定電流値で除算したものが1より小さくなる可能性がある。そのようなケースを考慮に入れるために、ステップS405のチェックは、ステップS407における電圧ステップΔVの計算に誤差が発生するかもしれないということを回避する。
【0140】
次のステップS408において、プロセッサ200は、変数VrefをVref+ΔVにセットする。
【0141】
次のステップS409において、プロセッサ200は、変数ΔVpreviousを、ステップS407またはステップS406で決定されたΔVの値にセットし、Ppreviousを、ステップS402で測定されたPの値にセットする。
【0142】
その後、プロセッサ200はステップS410に移動し、所定時間Δtだけ待機する。この所定時間は、たとえば1秒に等しい。この所定時間は、最大電力点追跡アルゴリズムの実行の周期性を表す。
【0143】
所定時間Δtが終了すると、プロセッサ200は上述のステップS402に戻る。
【0144】
ステップS406において、プロセッサ200は電圧ステップΔVを所定値にセットする。この所定値はたとえば5ボルトであり、その符号は電源によって提供される電力の推定導関数dP/dVの符号と同一である。
【0145】
その後、プロセッサは上述のステップS408に移動する。
【0146】
図5は、異なる気候条件および本発明の第1の実現モードによって取られた電力測定点における光電池または電池アレイの電力変動対電圧を表す複数の曲線を示す。
【0147】
水平軸上に、電源PVによって提供される電圧が示されている。
【0148】
電源PVによって提供される電力を表す垂直軸が示されている。
【0149】
3本の異なる曲線が、電源PVの最大電力点の変動を示す。
【0150】
ラベルIdx1によってマークされた第1の曲線は、図3aのアルゴリズムのステップS303における電力測定に対応する。
【0151】
ラベルIdx2によってマークされた第2の曲線は、図3aのアルゴリズムのステップS306における電力測定に対応する。
【0152】
ラベルIdx3によってマークされた第3の曲線は、図3aのアルゴリズムのステップS309における電力測定に対応する。
【0153】
図3bのアルゴリズムのステップS315において決定される電力値PAおよびPBが示されている。
【0154】
電力P1およびP3が測定される電圧VAと、電力P2が測定される電圧VBとが示されている。
【0155】
当然に、本発明の範囲から逸脱することなく、上述の発明の実施形態に対して多数の変更を加えることができる。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5