(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6198513
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】埋設式ガス栓
(51)【国際特許分類】
F16K 27/00 20060101AFI20170911BHJP
F16L 55/00 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
F16K27/00 B
F16K27/00 Z
F16K27/00
F16L55/00 Z
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-164138(P2013-164138)
(22)【出願日】2013年8月7日
(65)【公開番号】特開2015-31398(P2015-31398A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年6月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151977
【氏名又は名称】株式会社藤井合金製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】仁科 雅雄
【審査官】
山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】
実開平04−008874(JP,U)
【文献】
特開2006−052758(JP,A)
【文献】
実開平05−050265(JP,U)
【文献】
特開2005−127470(JP,A)
【文献】
実開平02−087181(JP,U)
【文献】
欧州特許出願公開第00699858(EP,A1)
【文献】
特開2012−211689(JP,A)
【文献】
特開2013−036565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00−27/12
F16L 5/00
F16L 55/00
F17C 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁板又は床板に形成された開口内に埋め込まれると共に前記開口に向かって開放する有底のケーシングと、
前記ケーシング内に前記開口に向かって突出するように収容され且つソケットが接続されるプラグ筒と、前記プラグ筒に対して直角方向に連通すると共に前記ケーシングの外側にてガス配管が接続される配管接続部とを備えた略L字状のガス栓本体と、
前記壁板又は床板の表面に添設されて前記開口を閉塞すると共に前記プラグ筒に対応する位置に前記ソケットが挿入可能な窓部が開放している化粧板とからなる埋設式ガス栓において、
前記ケーシングの底壁に、前記プラグ筒の基端部が挿通可能な孔部が形成され、
前記プラグ筒は、前記ケーシングの外側から前記孔部に挿通させた状態にて、前記底壁に対して回動自在で且つ抜け止め状態に保持されるようにしたことを特徴とする埋設式ガス栓。
【請求項2】
請求項1に記載の埋設式ガス栓において、前記プラグ筒のうち、前記ケーシングの底壁の外側に位置する基部に前記孔部よりも大径な大径部を設けると共に、前記ケーシングの内側に突出している胴部に係止リングを抜け止め状態に外嵌させ、
前記底壁は、前記大径部と前記係止リングとで前記ケーシングの内外から挟圧されるようにしたことを特徴とする埋設式ガス栓。
【請求項3】
請求項2に記載の埋設式ガス栓において、
前記係止リングには雌ネジを設け、前記プラグ筒の基端部近傍の胴部に、前記係止リングが螺合可能な雄ネジを形成したことを特徴とする埋設式ガス栓。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の埋設式ガス栓において、
前記孔部は丸孔とし、その周縁と前記プラグ筒の胴部との間を気密状態にシールする環状のシール部材が設けられていることを特徴とする埋設式ガス栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、壁裏又は床下に埋設させる形式の埋設式ガス栓に関する。
【背景技術】
【0002】
床下に埋設させる埋設式ガス栓として、例えば、
図5に示すものが知られている。このものは、ガス栓(2)と、ガス栓(2)のプラグ筒(20)に装着されるソケット(43)の取り外し装置(56)とが矩形箱型のケーシング(41)内に並列状態に収容されているもので、ケーシング(41)を床板(5)に形成した開口(50)内に埋め込んで使用される。ケーシング(41)は、その上方開放端から外方へ張り出しているフランジ片(40)が開口(50)の周縁に係止しており、床板(5)の表面には、フランジ片(40)全体を覆う大きさ形状の化粧板(51)が添設される。
【0003】
同図に示すガス栓(2)は、略L字状のガス栓本体(21)の一端にプラグ筒(20)が、他端に配管接続部(図示せず)を突設させたものであり、開口(50)に向かって直立するプラグ筒(20)に並列するように、ソケット取り外し装置(56)がセットされている。そのため、ガス栓(2)は、ケーシング(41)内にて、ソケット取り外し装置(56)用のスペースが空くように、底壁(4)の中心よりも偏った所定箇所に、ガス栓本体(21)に突設させた複数の突出片(22)(22)がネジ止めされて固定されている。
なお、配管接続部は、ケーシング(41)の周側壁を貫通する方向に突出するため、ケーシング(41)の周側壁には、図示しないが、配管接続部を外部側方へ突出させるための切欠が形成されている。
【0004】
プラグ筒(20)の先端に対応する化粧板(51)の所定位置には、ソケット(43)を挿通させるための円形の窓部(52)が開放していると共に、窓部(52)を閉塞する方向に付勢させた開閉蓋(54)が設けられている。又、化粧板(51)の裏側には、窓部(52)に続く筒部(53)が連設されている。
開閉蓋(54)は、筒部(53)の外周面の所定位置に、コイルバネ(図示せず)を介して回動自在に取り付けられており、閉塞姿勢にある開閉蓋(54)の一辺を筒部(53)内へ押し込むことにより、開閉蓋(54)は前記閉塞姿勢から90度回動して、
図5に示すような開放直立姿勢となる。
【0005】
プラグ筒(20)の基端部には、ソケット取り外し装置(56)としての揺動レバー(23)が揺動自在に取り付けられており、直立姿勢にある開閉蓋(54)の下方に、揺動レバー(23)の操作端部(23b)が位置するようにセットされる。これにより、開閉蓋(54)を直立姿勢のまま筒部(53)内へ押し込むと、同図の二点鎖線に示すように、開閉蓋(54)の操作部(55)によって操作端部(23b)が下方へ押され、揺動レバー(23)が揺動し、他端の押圧端部(23a)が上方へ持ち上げられてソケット(43)の先端の進退筒(43a)を押圧することとなって、ソケット(43)はプラグ筒(20)から取り外される。ソケット(43)をプラグ筒(20)から取外したあと、開閉蓋(54)を閉塞方向に倒せば、開閉蓋(54)は、前記コイルバネの付勢力によって、閉塞方向に回動させられ、窓部(52)が閉塞される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−127470号公報
【特許文献2】実開平05−50265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来のものでは、ガス栓(2)は、プラグ筒(20)に対して配管接続部が直角に延長している略L字状体であると共に、ケーシング(41)の底壁(4)の中心よりも偏った所定箇所にネジ止めにより固定される構成であるから、床板(5)の下方に予め配設されているガス配管の接続端部の方向に応じて、ガス栓(2)の向きが決定されると、ガス栓(2)を固定させるケーシング(41)の、開口(50)に対する向きが決定してしまう。そして、ガス栓(2)のプラグ筒(20)に窓部(52)を、プラグ筒(20)に装着されている揺動レバー(23)の操作端部(23b)に直立姿勢の開閉蓋(54)を、各々対応させなければならないため、ケーシング(41)の向きが決まれば、化粧板(51)の向きも決定されてしまう。
【0008】
このように、従来のものでは、ガス配管の接続端部の方向に応じてガス栓(2)の向きが決まると、ケーシング(41)及び化粧板(51)の方向がそれぞれ決まってしまうため、ケーシング(41)や化粧板(51)の向きを自由に設定することができない。このため、例えば、開閉蓋(54)の閉塞方向の近くに壁や家具等が位置する場合、開閉蓋(54)の開閉作業やプラグ筒(20)へのソケット(43)の取付け、取外し作業がやり難くなってしまうといった問題がある。
【0009】
本発明は、『壁板又は床板に形成された開口内に埋め込まれると共に前記開口に向かって開放する有底のケーシングと、
前記ケーシング内に前記開口に向かって突出するように収容され且つソケットが接続されるプラグ筒と、前記プラグ筒に対して直角方向に連通すると共に前記ケーシングの外側にてガス配管が接続される配管接続部とを備えた略L字状のガス栓本体と、
前記壁板又は床板の表面に添設されて前記開口を閉塞すると共に前記プラグ筒に対応する位置に前記ソケットが挿入可能な窓部が開放している化粧板とからなる埋設式ガス栓』において、壁板又は床板の裏側におけるガス配管の向きに応じてガス栓の向きが決定されても、ケーシング及び化粧板の向きを自由に設定することができる埋設式ガス栓を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために講じた本発明の埋設式ガス栓は、『前記ケーシングの底壁に、前記プラグ筒の基端部が挿通可能な孔部が形成され、
前記プラグ筒は、前記ケーシングの外側から前記孔部に挿通させた状態にて、前記底壁に対して回動自在で且つ抜け止め状態に保持されるようにしたことを特徴とする』ものである。
【0011】
上記手段によれば、略L字状のガス栓のプラグ筒をケーシングの底壁に設けた孔部に外側から挿入させると、前記プラグ筒はケーシングの底壁から内側へ突出すると共に、配管接続部はケーシングの底壁よりも外側にて前記底壁に沿って配設される態様となり、この状態にて、プラグ筒の基端部は底壁に対して回転自在で且つ抜け止め状態に取り付けられる。
壁板又は床板の裏側に位置するケーシングの外側に予め配管されているガス配管の接続端部が位置する方向に、ガス栓の配管接続部が向くように、ガス栓の向きが決定されるが、プラグ筒はケーシング内で回動自在であるから、向きが固定されたガス栓のプラグ筒に対してケーシングを回動させることができ、ガス栓に対するケーシングの向きを自由に設定して開口に取り付けることができる。ケーシングの向きに応じて化粧板を所定の向きに取り付けることができる。
【0012】
上記埋設式ガス栓において、好ましくは、『前記プラグ筒のうち、前記ケーシングの底壁の外側に位置する基部に前記孔部よりも大径な大径部を設けると共に、前記ケーシングの内側に突出している胴部に係止リングを抜け止め状態に外嵌させ、
前記底壁は、前記大径部と前記係止リングとで前記ケーシングの内外から挟圧されるようにした』ことを特徴とするものである。
このものでは、係止リングと大径部が、プラグ筒をケーシングの底壁に設けた孔部に対して抜け止め状態に固定する抜け止め手段として機能し、ケーシングの底壁を係止リングと大径部とで挟圧させることにより、ケーシングに対するガス栓の向きを固定することができる。
【0013】
上記埋設式ガス栓において、『前記係止リングには雌ネジを設け、前記プラグ筒の基端部近傍の胴部に、前記係止リングが螺合可能な雄ネジを形成した』ものでは、係止リングを緩めれば、ガス栓はケーシング内にて回動自在となり、係止リングを締め付ければ、係止リングと大径部とで、ケーシングの底壁が強く挟圧されることにより、ガス栓はケーシング内にて固定される。
【0014】
さらに、上記埋設式ガス栓において、好ましくは、『前記孔部は丸孔とし、その周縁と前記プラグ筒の胴部との間を気密状態にシールする環状のシール部材が設けられている』ことである。
シール部材を設けておくことにより、ケーシングの内外の気密性が確保され、壁板や床板の裏側の冷気が室内に侵入する不都合を防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
壁板又は床板の裏側に設けられたガス配管の、開口に対する位置や向きによってガス栓の配管接続部の向きが決定したり、ガス配管がフレキ管の場合にその腰の強さがガス栓の向きに影響を及ぼしたりする場合があっても、ガス栓の向きに係らず、開口に対するケーシング及び化粧板の向きを適切な方向に設定することができるから、開口の位置と、壁板又は床板との距離や家具の設置状況を考慮しながら開口に対するケーシング及び化粧板の向きを自由に設定することができる。これにより、施工性に優れ、使い勝手のよいガス栓を提供することができる。
【0016】
また、ケーシングの底壁に設けた孔部の周辺を、プラグ筒に設けた係止リングと大径部とで挟圧できるようにしたものでは、ガス栓の向きとケーシングの向きをそれぞれ所定の向きに設定した状態で、ガス栓をケーシング内にしっかりと固定することができるので、振動等でガス栓ががたつく不都合がない。特に、ネジの締め付けを利用したものでは、ケーシングに対するガス栓の固定度合いは確実となり、ネジを緩めればガス栓またはケーシングを相対的に回動することが可能となるから、さらに、施工性や使い勝手の良さは向上する。
【0017】
さらに、孔部を丸孔とした場合、円筒形であるプラグ筒の胴部との間に、環状のシール部材を設けておくことで、シール性が良く、プラグ筒とケーシングが相互に回動しても、機密性能が変わらず、壁板又は床板の裏側の冷気が室内に流れ込むことがない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態における埋設式ガス栓の開閉蓋を開けた状態の断面図(
図2のX−X断面図)である。
【
図2】本発明の実施の形態における埋設式ガス栓の開閉蓋を開けた状態の平面図である。
【
図3】本発明の実施の形態における埋設式ガス栓のケーシングの取り付け過程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本願発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
この実施の形態のガス栓(100)は、
図1に示すように、略L字状のガス栓本体(1)の一端(1a)にプラグ筒(10)が内嵌され、他端(1b)に配管接続部(11)が外嵌されて、全体として略L字状に構成されている。
【0020】
このガス栓(100)を収容するケーシング(31)は、床板(5)に形成された略矩形の開口(50)内に落とし込み可能な上方開放の略矩形の箱体であって、その上方開放端縁からは、
図1及び
図2に示すように、開口(50)の周縁に係止させるための略正方形状の外形を有するフランジ片(32)が四方に張り出している。また、ケーシング(31)の底壁(3)の中心よりも一方の側壁に近い所定箇所に、プラグ筒(10)が回動可能に差し込み可能な孔部(30)が形成されている。
【0021】
孔部(30)の直径は、プラグ筒(10)の基端部よりも大径で且つプラグ筒(10)が内嵌しているガス栓本体(1)の一端(1a)の外径よりも小径に設定されており、プラグ筒(10)を、ケーシング(31)の底板(3)の外側(裏側)から、孔部(30)内に差し込むと、ガス栓(100)は、ケーシング(31)の底板(3)に対して、回動自在で且つ上方へ抜け止め状態となる。
なお、この状態にて、ケーシング(31)内に突出しているプラグ筒(10)の基端部外周に、雄ネジ部(10a)が形成されており、これに螺合可能な雌ネジを有するナット部(10b)が別途用意されている。
【0022】
上記したガス栓(100)をケーシング(31)に収容させた状態で床板(5)内に取り付けるには、まず、床板(5)の所定位置に開口(50)を形成し、この開口(50)から、予め床下に配管されているガス配管(6)を室内に引き出して、室内にて、ガス栓(100)の配管接続部(11)にガス配管(6)を接続する。
そして、ケーシング(31)の底壁(3)の外側からプラグ筒(10)を孔部(30)に差込んでケーシング(31)内に突出させ、孔部(30)の周縁外面に、ガス栓本体(1)の一端(1a)を当接させた状態にて、プラグ筒(10)の基端部に設けた雄ネジ部(10a)に、ナット部(10b)を、環状のシール部材(12)を介して螺合させる。
なお、ナット部(10b)は、ガス栓(100)がケーシング(31)の底壁(3)に対して内外に抜け止め状態で且つ回動可能となる程度に緩く設定しておく。
【0023】
孔部(30)は、上記したように、底壁(3)の中心から一方の側壁側に偏って設けられているから、孔部(30)からプラグ筒(10)をケーシング(31)内に突出させると、プラグ筒(10)は、ケーシング(31)内にて中心よりも一方の側壁寄りに突出することとなり、他方の側壁側には、比較的広い空間が形成されることとなる。この空間内に、プラグ筒(10)に接続させるソケット(図示せず)を取り外すためのソケット取り外し装置(13)がセットされる。
ケーシング(31)内におけるソケット取り外し装置(13)の位置に応じて、開口(50)及びケーシング(31)のフランジ片(32)の全体を被覆するように床面(5)の表面に添設させる化粧板(33)の向きが決定される。
すなわち、ケーシング(31)の向きに従って、化粧板(33)の向きが決定されることとなる。
【0024】
上記したように、プラグ筒(10)をケーシング(31)内にて回動自在となるように仮止めした状態で、ケーシング(31)ごと、開口(50)内に落とし込む。このとき、ガス配管(6)の接続端部の位置や向き又は、フレキ管の場合、その腰の強さ等に応じて、ガス栓(100)の配管接続部(11)の向きは所定の方向に決定される。ガス栓(100)のプラグ筒(10)は、ケーシング(31)の底壁(3)に対して回動自在であるから、ケーシング(31)は、ガス栓(100)の向きに係らず、プラグ筒(10)の周囲を回動させて、その向きを自由に設定することができる。
【0025】
そこで、床板(5)の開口(50)の位置と、それを取り巻く壁や家具の配置等の位置関係から、プラグ筒(10)に対するソケット取り外し装置(13)を設置する位置を決定し、ケーシング(31)内にて、ソケット取り外し装置(13)を設置する側に多くの空間が設けられるように、ケーシング(31)の向きを設定し、フランジ片(32)を開口(50)の周縁部に係止させる。
【0026】
この実施の形態のケーシング(31)は、フランジ片(32)と係止金具(35)とで床板(5)を表裏から挟み込み、締付けボルト(34)で締め付けることにより、開口(50)の周縁部分を挟圧することにより固定される構成とする。この構成は、実開平05−50265号公報(特許文献2)に開示されている。
【0027】
具体的には、
図3に示すように、2本の締付けボルト(34)(34)をフランジ片(32)の相互に対抗する位置に設けた2つの貫通孔(32a)(32a)に各々貫通させて、各締付けボルト(34)(34)の先端部近傍に、係止金具(35)をそれぞれ螺合させておく。
なお、
図3及び
図4に示すように、貫通孔(32a)(32a)が形成されている両側壁の所定位置に、係止金具(35)が通過可能な抜け窓(36)が形成されている。
【0028】
係止金具(35)付きの締付けボルト(34)(34)を、フランジ片(32)の貫通孔(32a)に挿通させた状態で、ケーシング(31)を開口(50)内に落とし込むには、係止金具(35)の外側端が開口(50)内を挿通可能となるように、締付けボルト(34)(34)を内側に傾斜させる。このとき、締付けボルト(34)(34)をケーシング(31)内に逃がすために、
図3、
図4に示すように、抜け窓(36)とその中央から上下方に連通する逃がし溝(31a)が形成されている。
尚、締付けボルト(34)が螺合する係止金具(35)は、略矩形の板状体であり、ケーシング(31)側の長辺中央には凸部(35a)が突設されている。
【0029】
図3の二点鎖線に示すように、係止金具(35)(35)を抜け窓(36)(36)からケーシング(31)内に収容するとともに締付けボルト(34)(34)を逃がし溝(31a)(31a)に収容しながら、ケーシング(31) を、開口(50)内に挿入していく。フランジ片(32)を開口(50)の周縁に係止させた状態にて、各締付けボルト(34)(34)を逃がし溝(31a)(31a)から脱出させて締め付けると、係止金具(35)(35)が、その凸部(35a)を抜け窓(36)に連続して形成されている逃がし溝(31a)内に沿って上昇する。これにより、締付けボルト(34)の締め付けに対して係止金具(35)が供回りすることなく、床板(5)の下面に到達するまで上昇していく。
【0030】
締付けボルト(34)の最終締付け状態にて、床板(5)は、係止金具(35)とフランジ片(32)とで表裏から挟圧されることとなり、ケーシング(31) は開口(50)内に固定されることとなる。
この状態で、ナット部(10b)をプラグ筒(10)の基端部の雄ネジ部(10a)に螺合させる。ナット部(10b)を強く締め付けることにより、ケーシング(31)とガス栓(100)とが固定される。
【0031】
そして、ケーシング(31)内の前記空間内にソケット取り外し装置(13)を収容する。
ソケット取り外し装置(13)は、
図1及び
図2に示すように、プラグ筒(10)の胴部基端部近傍に回動自在に装着させる略U字状の金属板製の揺動レバー(14)と、これを揺動操作する操作部として機能する開閉蓋(15)と、これらを具備し且つケーシング(31)内に固定される略矩形のケース体(16)とからなり、ケース体(16)は、その四隅に設けた支持筒(17)に固定ボルト(18)をそれぞれ挿通させると共に、ケーシング(31)の底壁(3)の四隅に設けたネジ孔に螺合させることにより固定される構成となっている。
また、開閉蓋(15)は、ケース体(16)の対向する両側面に、コイルバネ(25)を介して開閉自在に且つ、ケース体(16)の上方開放部を閉塞する方向に付勢された状態に設けられている。
【0032】
揺動レバー(14)は、
図5に示した従来のものとほぼ同様な構成であり、プラグ筒(10)の基端部近傍に具備させた支持軸(24)を揺動支点として、ケーシング(1)の深さ方向に揺動自在であり、プラグ筒(10)にソケット(図示せず)を装着させると、前記ソケットの先端の進退筒によって押圧端部(14a)(14a)が奥へ押され、連結端部(14b)が上昇する方向に揺動レバー(14)が揺動する。
【0033】
プラグ筒(10)に装着されたソケットを取外すには、開閉蓋(15)を直立させると共にケーシング(1)内へ押し込む。開閉蓋(15)が内方に押されることにより、揺動レバー(14)の連結端部(14b)が奥へ押されて、揺動レバー(14)が揺動し、押圧端部(14a)(14a)がソケットの進退筒を解除方向に押す。これにより、ソケットの前記ロック状態が解除され、ソケットをプラグ筒(10)から取り外すことができる。
【0034】
上記したように、ガス栓(100)の向きに合わせてケーシング(31)を開口(50)内に収容すると共に、ケーシング(31)内にソケット取り外し装置(13)を収容固定した後に、フランジ片(32)全体を包囲するように、化粧板(33)を床板(5)の表面に添設させる。
この化粧板(33)の中央部には、ケース体(16)の開放部を閉塞させた状態にある開閉蓋(15)がちょうど嵌め込まれる大きさの窓部(33a)が開放しており、ソケット取り外し装置(13)の開閉蓋(15)は、化粧板(33)の開閉蓋としても機能することとなる。
【0035】
この実施の形態のものでは、ガス栓(100)の向きに係らず、ケーシング(31)を床板(5)の開口(50)内に適切な向きで収容固定することができるから、ソケット取り外し装置(13)の開閉蓋(15)を使い勝手の良い箇所に突出させることができる。
また、ケーシング(31)の底壁(3)に設けた孔部(30)とプラグ筒(10)の外周面とは、環状のシール部材(12)で気密状態にシールしているから、床板(5)の下方の冷気が化粧板(33)の窓部(33a)から室内に流れ込む不都合もない。
尚、上記実施の形態では、床板埋設式のガス栓(100)について説明したが、壁板にでも同様に設置可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0036】
(1) ・・・・・・ガス栓本体
(10)・・・・・・プラグ筒
(11)・・・・・・配管接続部
(3) ・・・・・・底壁
(30)・・・・・・孔部
(31)・・・・・・ケーシング
(33)・・・・・・化粧板
(33a) ・・・・・窓部
(5) ・・・・・・床板
(50)・・・・・・開口
(6) ・・・・・・ガス配管