(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コンロに設けた固定部に固定される固定側支持体に、サーミスタを備える当接体を設けた移動側支持体を上下動自在に設けると共に、前記当接体を上方向に付勢する付勢手段を備え、当該コンロで加熱される調理容器の底面に当接した前記当接体が、前記移動側支持体の上下動可動範囲において前記調理容器の上下動に追随して上下して常時前記調理容器の底面に当接するように構成されるコンロ用の温度検出装置において、
前記固定側支持体と前記移動側支持体との間に設けられたコイルばねによって、前記移動側支持体の下方への移動に伴い前記移動側支持体を上方に向けて付勢する上方付勢手段と、
前記固定側支持体に具備する第1の磁性体と前記移動側支持体に具備する第2の磁性体との磁気的吸引力によって、前記移動側支持体の下方への移動に伴い前記移動側支持体を下方に向けて付勢する下方付勢手段とを備え、
前記付勢手段が前記上方付勢手段と前記下方付勢手段とによって構成され、
前記コイルばねによる上方への付勢力と前記磁気的吸引力による下方への付勢力との合成力が前記付勢手段による付勢力となり、
前記コイルばねが、圧縮されるにしたがってそのばね定数が増加する円錐コイルばねであることを特徴とするコンロ用の温度検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなコンロ用の温度検出装置は、例えば五徳に載置される調理容器の底部に当接体を当接させることで調理容器の温度を検出するものであるから、調理容器の上下動に追随して、サーミスタを備える当接体が上下して常時前記調理容器の底面に適切に当接する必要があるため、当接体を上方向に付勢するコイルばねとしては、当接体がその上下動可動範囲の最も上方に位置する場合にも当接体が確実に調理容器の底部に当接するような自由長とばね定数とを有するコイルばねが用いられることになる。
【0007】
しかしながら、特許文献1のコンロ用の温度検出装置では、当接体がその上下動可動範囲の最も上方に位置する場合と、当接体がその上下動可動範囲の最も下方に位置する場合とで比較した場合、当接体が下方に位置するほど当接体の下方への移動距離に対して直線的にコイルばねによる付勢力が大きくなるものであるから、当接体がその上下動可動範囲の最も上方に位置する場合にも当接体が確実に調理容器の底部に当接するようなばね定数のコイルばねを用いたときには、当接体がその上下動可動範囲の最も下方に位置する場合にはコイルばねによる付勢力が大きくなりすぎて、たとえば、アルミニウム製で小径軽量の雪平鍋などを調理容器として用いた場合に、当接体によって調理容器が持ち上げられ、調理容器が五徳上の適切位置に載置されず調理容器が傾いてしまう不都合が生じるおそれがある。
【0008】
これに対し、当接体がその上下動可動範囲の最も下方に位置する場合にはコイルばねによる付勢力が大きくなりすぎないようなばね定数のコイルばねを用いたときには、当接体によって調理容器が持ち上げられて調理容器が五徳上の適切位置に載置されず調理容器が傾いてしまう、という不都合は生じないものの、当接体がその上下動可動範囲の最も上方近傍に位置する場合に、コイルばねによる付勢力が小さすぎて、当接体がその上下動可動範囲の最も上方に戻ることができず、当接体がその上下動可動範囲の最も上方に位置する場合に当接体が調理容器の底部に適切に当接することができず、調理容器底部の温度を適切に検出できない不都合が生じるおそれがある。
【0009】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、当接体の上下動可動範囲において、当接体が確実に当該コンロで加熱される調理容器の底部に当接し、しかも、当接体がその上下動可動範囲の最も下方に位置する場合にも、当接体によって調理容器が持ち上げられて調理容器が傾いてしまう不都合が抑制されたコンロ用の温度検出装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、本発明のうち、請求項1によるコンロ用の温度検出装置は、コンロに設けた固定部に固定される固定側支持体に、サーミスタを備える当接体を設けた移動側支持体を上下動自在に設けると共に、前記当接体を上方向に付勢する付勢手段を備え、当該コンロで加熱される調理容器の底面に当接した前記当接体が、前記移動側支持体の上下動可動範囲において前記調理容器の上下動に追随して上下して常時前記調理容器の底面に当接するように構成されるコンロ用の温度検出装置において、前記固定側支持体と前記移動側支持体との間に設けられたコイルばねによって、前記移動側支持体の下方への移動に伴い前記移動側支持体を上方に向けて付勢する上方付勢手段と、前記固定側支持体に具備する第1の磁性体と前記移動側支持体に具備する第2の磁性体との磁気的吸引力によって、前記移動側支持体の下方への移動に伴い前記移動側支持体を下方に向けて付勢する下方付勢手段とを備え、前記付勢手段が前記上方付勢手段と前記下方付勢手段とによって構成され、前記コイルばねによる上方への付勢力と前記磁気的吸引力による下方への付勢力との合成力が前記付勢手段による付勢力とな
り、前記コイルばねが、圧縮されるにしたがってそのばね定数が増加する円錐コイルばねであるように構成される点を特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、移動側支持体の下方への移動に伴い移動側支持体を上方に向けて付勢する上方付勢手段の付勢力が、固定側支持体と移動側支持体との間に設けられたコイルばねによって付勢されて生じるものであるので、移動側支持体の下方への移動に伴い増加することになり、また、移動側支持体の下方への移動に伴い移動側支持体を下方に向けて付勢する下方付勢手段の付勢力が、固定側支持体に具備する第1の磁性体と移動側支持体に具備する第2の磁性体との磁気的吸引力によって付勢されて生じるものであるので、移動側支持体の下方への移動に伴い増加することになる。
【0012】
そして、上方付勢手段のコイルばねによる上方への付勢力と下方付勢手段の磁気的吸引力による下方への付勢力との合成力の変化量は、移動側支持体の下方への移動に伴い増加する上方向への付勢力の変化量と移動側支持体の下方への移動に伴い増加する下方向への付勢力の変化量とを加えた値となる。
【0013】
したがって、移動側支持体の下方への移動に伴う前記付勢手段(上方付勢手段+前記下方付勢手段)による上方向への付勢力の増加を極力抑制することができ、当接体がその上下動可動範囲の最も下方に位置する場合にも、上方向への付勢力の増加を抑制することができて、当接体によって調理容器が持ち上げられて調理容器が傾いてしまう不都合の抑制が可能となる。
【0014】
つまり、当接体がその上下動可動範囲の最も上方に位置するときの前記付勢手段(上方付勢手段+前記下方付勢手段)による上方向への付勢力を適切に設定すれば、当接体が確実に当該コンロで加熱される調理容器の底部に当接することになり、そして、当接体がその上下動可動範囲の最も下方に位置する場合にも、上方向への付勢力の増加を抑制することができる。
【0015】
要するに、請求項1に記載の発明によれば、当接体の上下動可動範囲において、当接体が確実に当該コンロで加熱される調理容器の底部に当接し、しかも、当接体がその上下動可動範囲の最も下方に位置する場合にも、当接体によって調理容器が持ち上げられて調理容器が傾いてしまう不都合が抑制されたコンロ用の温度検出装置とすることが可能となる。
【0016】
また、請求項1のコンロ用の温度検出装置
は、前記コイルばねが、圧縮されるにしたがってそのばね定数が増加する円錐コイルばねである点を特徴とする。
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、上方付勢手段において付勢力を生じせしめるコイルばねが、圧縮されるにしたがってそのばね定数が増加する円錐コイルばねであるので、移動側支持体の下方への移動に伴う上方付勢手段による上方向への付勢力の増加分の増加特性と、移動側支持体の下方への移動に伴う下方付勢手段による下方向への付勢力つまり第1の磁性体と第2の磁性体との磁気的吸引力の増加分の増加特性とを同様の増加特性とすることが可能で、当接体がその上下動可動範囲の最も下方に位置する場合にも、上方向への付勢力の増加及び減少を抑制することができ、当接体の上下動可動範囲において、当接体が一層確実に当該コンロで加熱される調理容器の底部に当接し、しかも、当接体がその上下動可動範囲の最も下方に位置する場合にも、当接体によって調理容器が持ち上げられて調理容器が傾いてしまう不都合
が抑制されたコンロ用の温度検出装置とすることが可能となる。
【0018】
つまり、圧縮されるにしたがってそのばね定数が増加する円錐コイルばねによる上方向への付勢力は、当接体の下方への移動量に対して直線的に増加するのではなく、当接体の下方への移動量を横軸とし円錐コイルばねによる上方向への付勢力を縦軸として、円錐コイルばねによる上方向への付勢力と当接体の下方への移動量との関係を図示した場合、下に凸となる曲線となる。
【0019】
一方、下方付勢手段による下方向への付勢力つまり第1の磁性体と第2の磁性体との磁気的吸引力も当接体の下方への移動量に対して直線的に増加するのではなく、当接体の下方への移動量を横軸とし第1の磁性体と第2の磁性体との磁気的吸引力を縦軸として、第1の磁性体と第2の磁性体との磁気的吸引力による下方向への付勢力を負の値として当接体の下方への移動量との関係を図示した場合、上に凸となる曲線となる。
【0020】
そして、前記付勢手段(上方付勢手段+前記下方付勢手段)による上方向への付勢力は、下に凸となる曲線で表される力と上に凸となる曲線で表される力とを加えた力であるから、移動側支持体の下方への移動に伴う前記付勢手段(上方付勢手段+前記下方付勢手段)による上方向への付勢力の増加を一層抑制することができ、当接体がその上下動可動範囲の最も下方に位置する場合にも、上方向への付勢力の増加を一層抑制することができて、当接体によって調理容器が持ち上げられて調理容器が傾いてしまう不都合の一層の抑制が可能となる。
【0021】
要するに、
請求項1に記載の発明によれば、当接体がその上下動可動範囲の最も下方に位置する場合にも、上方向への付勢力の増加を一層抑制することができて、当接体によって調理容器が持ち上げられて調理容器が傾いてしまう不都合
の抑制が可能となる。
【0022】
請求項2に記載の発明によるコンロ用の温度検出装置は、
請求項1に記載のコンロ用の温度検出装置において、前記第1の磁性体と前記第2の磁性体とが直列に配列されて含まれる磁気回路を構成し、この磁気回路の磁気抵抗を検出する磁気抵抗検出手段を備える点を特徴とする。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、第1の磁性体と第2の磁性体とが直列に配列されて含まれる磁気回路を構成し、この磁気回路の磁気抵抗を検出する磁気抵抗検出手段を備えることで、この磁気抵抗検出手段によって検出した磁気回路の磁気抵抗値によって、移動側支持体の上下方向の位置を検出することが可能となり、当該コンロで加熱される調理容器の存在を検出することが可能となる。
【0024】
つまり、第1の磁性体と第2の磁性体とが直列に配列されて含まれる磁気回路の磁気抵抗は、移動側支持体の移動に伴い変化することになるから、磁気抵抗検出手段を備えてこの磁気回路の磁気抵抗を検出することで、第2の磁性体を具備する移動側支持体の上下方向の位置を検出することが可能となり、当接体を設けた移動側支持体の上下方向の位置を検出することで、当接体を押し下げる調理容器の存在を検出することが可能となるのである。
【発明の効果】
【0025】
本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、当接体の上下動可動範囲において、当接体が確実に当該コンロで加熱される調理容器の底部に当接し、しかも、当接体がその上下動可動範囲の最も下方に位置する場合にも、当接体によって調理容器が持ち上げられて調理容器が傾いてしまう不都合が抑制されたコンロ用の温度検出装置とすることが可能となる。
【0026】
請求項1に記載の発明によれば、当接体がその上下動可動範囲の最も下方に位置する場合にも、上方向への付勢力の増加
を抑制することができて、当接体によって調理容器が持ち上げられて調理容器が傾いてしまう不都合
の抑制が可能となる。
【0027】
請求項2に記載の発明によれば、磁気抵抗検出手段によって検出した磁気回路の磁気抵抗値によって、移動側支持体の上下方向の位置を検出することが可能となり、当該コンロで加熱される調理容器の存在を検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明のコンロ用の温度検出装置を備えるガステーブルコンロを示す斜視図
【
図2】
コンロ用の温度検出装置の第一実施形態において、移動側支持体がその上下動可動範囲における最も上方に位置する場合を示す側断面図
【
図3】
コンロ用の温度検出装置の第一実施形態において、移動側支持体がその上下動可動範囲における最も下方に位置する場合を示す側断面図
【
図4】
コンロ用の温度検出装置の第三実施形態において、移動側支持体がその上下動可動範囲における最も上方に位置する場合を示す側断面図
【
図5】
コンロ用の温度検出装置の第三実施形態において、移動側支持体がその上下動可動範囲における最も下方に位置する場合を示す側断面図
【
図6】従来のコンロ用の温度検出装置において、移動側支持体がその上下動可動範囲における最も上方に位置する場合を例示する側断面図
【
図7】従来のコンロ用の温度検出装置において、移動側支持体がその上下動可動範囲における最も下方に位置する場合を例示する側断面図
【
図8】第一実施形態、第三実施形態における上方への付勢力FUと下方への付勢力FSと付勢力Fとの関係を示す図
【
図9】第二実施形態における上方への付勢力FUと下方への付勢力FSと付勢力Fとの関係を示す図
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明にかかるコンロ用の温度検出装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。
本発明にかかるコンロ用の温度検出装置を備えるコンロとしての卓上設置式のガステーブルコンロAは、
図1に示すようにガスコンロ本体01の上面がトッププレート02で覆われており、円筒状の外形を有するブンゼン式の左バーナ(コンロバーナ)31および右バーナ(コンロバーナ)32の2口のガスバーナを備えており、トッププレート02に形成したバーナ用開口34を介して、夫々のガスバーナの外周に形成された炎孔部33をトッププレート02の上方に突出させている。
【0030】
ガステーブルコンロAにおいて、ガスコンロ本体01の前の側面07に設けた前面パネル40には、左バーナ(コンロバーナ)31の点消火操作を行うための左点消火操作部41および右バーナ(コンロバーナ)32の点消火操作を行うための右点消火操作部42が設けられており、ガステーブルコンロA内には、左点消火操作部41および右点消火操作部42の操作に基づいて、図示しないガスバルブの開閉および図示しないイグナイタの発停により左バーナ(コンロバーナ)31および右バーナ(コンロバーナ)32の点消火の制御を行うように構成されている。
【0031】
図1に示すように、左バーナ(コンロバーナ)31および右バーナ(コンロバーナ)32の外周には、ガステーブルコンロAによって加熱される調理容器を載置する五徳05が夫々配設され、左バーナ(コンロバーナ)31および右バーナ(コンロバーナ)32の中心に設けた左センサ用開口部51、右センサ用開口部52を下から上方向に貫通して、左センサ(温度検出装置)61、右センサ(温度検出装置)62が配設されている。
【0032】
上述のように、ガステーブルコンロAには、ガステーブルコンロAによって加熱される調理容器の温度を検出する温度検出装置として、左センサ(温度検出装置)61および右センサ(温度検出装置)62を備えるものであるが、左センサ(温度検出装置)61と右センサ(温度検出装置)62とは同様に構成されるので、以下の温度検出装置に関する説明においては、左センサ(温度検出装置)61についての説明を行い、特に右センサ(温度検出装置)62についての説明を要する場合を除き、右センサ(温度検出装置)62についての説明は省略する。
【0033】
〔第一実施形態〕
第一実施形態では、
図2、
図3に示すように、左センサ(温度検出装置)61は、円筒状の固定側支持体71を備え、固定側支持体71はガスコンロ本体01内の固定部(図示せず)に固定される。サーミスタ73を備える当接体74をその上端に設けた円筒状の移動側支持体72が、固定側支持体71に外挿されて固定側支持体71に対して上下にスライド移動自在に設けられている。
また、固定側支持体71と移動側支持体72との間には、移動側支持体72の下方への移動に伴い移動側支持体72を上方に向けて付勢する上方付勢手段83としてのコイルばね91を備える。
【0034】
さらに、固定側支持体71には第1の磁性体(第一実施形態では永久磁石)87を具備し、移動側支持体72には第2の磁性体(第一実施形態では永久磁石)88を具備する。
【0035】
そして、第1の磁性体(第一実施形態では永久磁石)87と第2の磁性体(第一実施形態では永久磁石)88との磁気的吸引力によって、移動側支持体72の下方への移動に伴い移動側支持体72を下方に向けて付勢し、第1の磁性体(第一実施形態では永久磁石)87と第2の磁性体(第一実施形態では永久磁石)88とによって下方付勢手段84とを構成する。
【0036】
当接体74を上方向に付勢する付勢手段81が、上方付勢手段83と下方付勢手段84とによって構成され、上方付勢手段83としてのコイルばね91による上方への付勢力FUと第1の磁性体(第一実施形態では永久磁石)87と第2の磁性体(第一実施形態では永久磁石)88との間の磁気的吸引力による下方への付勢力FSとの合成力が付勢手段81による付勢力Fとなる。
【0037】
なお、
図8に示すように、第一実施形態において、コイルばね91による上方への付勢力FUは、移動側支持体72の下方への移動量に対して直線的に増加し、また、第1の磁性体(第一実施形態では永久磁石)87と第2の磁性体(第一実施形態では永久磁石)88との間の磁気的吸引力による下方への付勢力FSは、移動側支持体72の下方への移動量に対して上に凸となる曲線となり、コイルばね91による上方への付勢力FUと第1の磁性体(第一実施形態では永久磁石)87と第2の磁性体(第一実施形態では永久磁石)88との間の磁気的吸引力による下方への付勢力FSとの合成力、つまり、付勢手段81による付勢力Fは、移動側支持体72の下方への移動量に対して上に凸となる曲線となるものの、コイルばね91のみによる上方への付勢力FUと較べて横に平坦な曲線となり、当接体74がその上下動可動範囲の最も上方に位置する
図2の状態から、当接体74がその上下動可動範囲の最も下方に位置する
図3の状態に移動した場合にも、上方向への付勢力Fの増加が抑制されている。
【0038】
なお、
図8において、上方への付勢力FUを正の値で表し、下方への付勢力FSを負の値で表し、付勢手段81により上方向に付勢する付勢力Fを正の値で表しており、当接体74がその上下動可動範囲の最も上方に位置する状態からの移動側支持体72の下方への移動量をストロークとして表している。
【0039】
移動側支持体72がその上下動可動範囲における最も上方に位置する
図2の状態では、当接体74から垂下形成された筒体78の下端に具備する折り曲げ部82の上面が、固定側支持体71の上端に形成された折り曲げ部80の下端面側の固定側支持体71に止着され筒体78に対して上下にスライド移動自在に構成されるワッシャ79の下面と当接することで、移動側支持体72の
図2以上の上方向の移動が規制される。
【0040】
〔第二実施形態〕
第二実施形態では、第一実施形態における移動側支持体72を上方に向けて付勢する上方付勢手段83としてのコイルばね91が、圧縮されるにしたがってそのばね定数が増加する円錐コイルばねで構成される。その他の構成は、第一実施形態と同様である。
【0041】
円錐コイルばねは、円筒状の外形を有する通常のコイルばねと異なり特性が非線形で、圧縮させるに伴いばね定数が増加するため、この第二実施形態では、
図9に示すように、コイルばね(第二実施形態では円錐コイルばね)91による上方への付勢力FUは、移動側支持体72の下方への移動量に対して第一実施形態のように直線的に増加せず下に凸となる曲線となる。
【0042】
また、第1の磁性体(第二実施形態でも永久磁石)87と第2の磁性体(第二実施形態でも永久磁石)88との間の磁気的吸引力による下方への付勢力FSは、第一実施形態と同様、移動側支持体72の下方への移動量に対して上に凸となる曲線となる。
【0043】
したがって、コイルばね91による上方への付勢力FUと第1の磁性体(永久磁石)87と第2の磁性体(永久磁石)88との間の磁気的吸引力による下方への付勢力FSとの合成力、つまり、付勢手段81による付勢力Fは、移動側支持体72の下方への移動量に対してほぼ平坦にすることができ、第一実施形態における付勢手段81による付勢力Fと較べてさらに平坦にすることが可能で、当接体74がその上下動可動範囲の最も上方に位置する状態から、当接体74がその上下動可動範囲の最も下方に位置する状態に移動した場合にも、上方向への付勢力Fの増加が第一実施形態と較べて一層抑制されている。
【0044】
なお、
図9においても
図8と同様に、上方への付勢力FUを正の値で表し、下方への付勢力FSを負の値で表し、付勢手段81による上方向に向かう付勢力Fを正の値で表しており、当接体74がその上下動可動範囲の最も上方に位置する状態からの移動側支持体72の下方への移動量をストロークとして表している。
【0045】
〔第三実施形態〕
第三実施形態では、
図4、
図5に示すように、左センサ(温度検出装置)61は、円筒状の固定側支持体71を備え、固定側支持体71はガスコンロ本体01内の固定部(図示せず)に固定される。サーミスタ73を備える当接体74をその上端に設けた円筒状の移動側支持体72が、固定側支持体71に挿入されて固定側支持体71に対して上下にスライド移動自在に設けられている。
また、固定側支持体71と移動側支持体72との間には、移動側支持体72の下方への移動に伴い移動側支持体72を上方に向けて付勢する上方付勢手段83としてのコイルばね91を備える。
【0046】
さらに、固定側支持体71には第1の磁性体(第三実施形態では強磁性体から成るコア)87を具備し、移動側支持体72には第2の磁性体(第三実施形態では強磁性体から成るプランジャ)88を具備し、第1の磁性体(強磁性体から成るコア)87の下に永久磁石77が当接している。
【0047】
また、永久磁石77の端面の内、第1の磁性体87と当接する端面と反対側の端面から第2の磁性体(強磁性体から成るプランジャ)88の側面にかけてヨーク85が配設されており、
第1の磁性体(強磁性体から成るコア)87及び第2の磁性体(強磁性体から成るプランジャ)88及び永久磁石77及びヨーク85によって、磁気回路が構成されている。つまり、この磁気回路には第1の磁性体87と第2の磁性体88とが直列に配列されて含まれる。なお、第2の磁性体(強磁性体から成るプランジャ)88の側面とヨーク85との間には第1ギャップ75が存在し、第2の磁性体(強磁性体から成るプランジャ)88の上下動を容易にしている。
【0048】
第1の磁性体87と第2の磁性体88とは第2ギャップ76を隔てて離間しており、上記磁気回路に含まれる永久磁石77の起磁力による磁束が第2ギャップ76に存在し、この磁束によって第2ギャップ76を減少させようとする力、つまり、第1の磁性体87と第2の磁性体88との間に生じる磁気的吸引力によって、移動側支持体72の下方への移動に伴い移動側支持体72を下方に向けて付勢する下方への付勢力FSが生じる。
【0049】
そして、第1の磁性体(強磁性体から成るコア)87と第2の磁性体(強磁性体から成るプランジャ)88との磁気的吸引力によって、移動側支持体72の下方への移動に伴い移動側支持体72を下方に向けて付勢し、第1の磁性体(強磁性体から成るコア)87と第2の磁性体(強磁性体から成るプランジャ)88とによって下方付勢手段84とを構成する。
【0050】
当接体74を上方向に付勢する付勢手段81が、上方付勢手段83と下方付勢手段84とによって構成され、上方付勢手段83としてのコイルばね91による上方への付勢力FUと第1の磁性体(第一実施形態では永久磁石)87と第2の磁性体(第一実施形態では永久磁石)88との間の磁気的吸引力による下方への付勢力FSとの合成力が付勢手段81による付勢力Fとなる。
【0051】
なおこの第三実施形態においても、
図8に示すように、コイルばね91による上方への付勢力FUは、移動側支持体72の下方への移動量に対して直線的に増加し、また、と第1の磁性体87と第2の磁性体88との間の磁気的吸引力による下方への付勢力FSは、移動側支持体72の下方への移動量に対して上に凸となる曲線となり、コイルばね91による上方への付勢力FUと第1の磁性体87と第2の磁性体88との間の磁気的吸引力による下方への付勢力FSとの合成力、つまり、付勢手段81による付勢力Fは、移動側支持体72の下方への移動量に対して上に凸となる曲線となるものの、コイルばね91のみによる上方への付勢力FUと較べて横に平坦な曲線となり、当接体74がその上下動可動範囲の最も上方に位置する
図4の状態から、当接体74がその上下動可動範囲の最も下方に位置する
図5の状態に移動した場合にも、上方向への付勢力Fの増加が抑制されている。
【0052】
なおこの第三実施形態においても、移動側支持体72がその上下動可動範囲における最も上方に位置する
図4の状態では、当接体74から垂下形成された筒体78の下端に具備する折り曲げ部82の上面が、固定側支持体71の上端に形成された折り曲げ部80の下端面側の固定側支持体71に止着され筒体78に対して上下にスライド移動自在に構成されるワッシャ79の下面と当接することで、移動側支持体72の
図4以上の上方向の移動が規制される。
【0053】
図4、
図5に示すように、第三実施形態では、さらに、移動側支持体72の下方への移動に伴う第2ギャップ76のギャップ長が変化したときに、上記磁気回路の磁気抵抗を検出する磁気抵抗検出手段86を備える。具体的には、ヨーク85が貫通する巻き線を磁気抵抗検出手段86として備え、上記磁気回路の磁気抵抗が変化したときに、上記巻き線のインダクタンスが変化することによって、記磁気回路の磁気抵抗を検出する。さらに具体的には、たとえば、上記巻き線に交流成分を含む信号を印加したときに上記巻き線に通流される電流を検出するように構成されている。
【0054】
磁気抵抗検出手段86を備えるから、移動側支持体の上下方向の位置を検出することが可能となり、ガステーブルコンロAで加熱される調理容器の存在を検出することが可能となる。
【0055】
上述した本発明に対し、従来のコンロ用温度検出装置では、
図6、
図7に示すように、当接体74を設けた移動側支持体72と固定側支持体71との間に設けたコイルばね91によって移動側支持体72を上方向に付勢するものであるから、その上下動可動範囲における最も上方に位置する
図6の状態から、移動側支持体72がその上下動可動範囲における最も下方に位置する
図7の状態に向けて移動側支持体72が移動する距離に対して、移動側支持体72を上方向に付勢する付勢力が直線的に増加するものであるから、当接体74がその上下動可動範囲の最も上方に位置する
図6の場合にも当接体74が確実に調理容器の底部に当接するようなばね定数のコイルばね91を用いたときには、当接体74がその上下動可動範囲の最も下方に位置する
図7の場合にはコイルばね91による付勢力が大きくなりすぎて、たとえば、アルミ製で小径の軽量の雪平鍋を調理容器として用いた場合に、当接体74によって調理容器が持ち上げられ、調理容器が五徳05上の適切位置に載置されず調理容器が傾いてしまう不都合が生じるおそれがある。
〔別実施形態〕
【0056】
上記実施形態では、本発明によるコンロ用温度検出装置をガステーブルコンロAに適用した場合を例示したが、本発明は、ガスドロップインコンロや電気コンロにも適用可能であ
る。