特許第6198543号(P6198543)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6198543
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】汎用コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/24 20060101AFI20170911BHJP
【FI】
   A01D34/24 105Z
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-197968(P2013-197968)
(22)【出願日】2013年9月25日
(65)【公開番号】特開2015-62366(P2015-62366A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2016年5月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】舟木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】錦織 将浩
(72)【発明者】
【氏名】布野 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】木村 敦
【審査官】 木村 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−142635(JP,U)
【文献】 特開2001−069834(JP,A)
【文献】 特開2013−081382(JP,A)
【文献】 特開平11−004614(JP,A)
【文献】 実開昭54−108322(JP,U)
【文献】 特開2001−231329(JP,A)
【文献】 実開昭60−046836(JP,U)
【文献】 特開2008−161124(JP,A)
【文献】 特開昭62−171610(JP,A)
【文献】 実開昭54−145621(JP,U)
【文献】 特公平05−026445(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/02−34/408
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の前部に昇降自在に連結される刈取部に、刈取部の対地高さを検出する接地センサを備えた汎用コンバインにおいて、
前記接地センサの位置を、刈取部の対地高さを検出可能な作業位置と、作業位置から上方に退避した収納位置とに切換える駆動手段を備え、機体停止または後進の検出にもとづいて、接地センサの位置を自動的に収納位置に切換えるにあたり、
前記刈取部の対機高さが所定高さ以上のときは、機体停止又は後進を検出しても、接地センサの位置を収納位置に切り換えないことを特徴とする汎用コンバイン。
【請求項2】
機体の前部に昇降自在に連結される刈取部に、刈取部の対地高さを検出する接地センサを備えた汎用コンバインにおいて、
前記接地センサの位置を、刈取部の対地高さを検出可能な作業位置と、作業位置から上方に退避した収納位置とに切換える駆動手段を備え、機体停止または後進の検出にもとづいて、接地センサの位置を自動的に収納位置に切換えるにあたり、
前記駆動手段は、機体停止又は後進の検出にもとづいて、刈取クラッチを自動的に切る刈取クラッチ駆動モータであることを特徴とする汎用コンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取部の対地高さを検出する接地センサを備えた汎用コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
機体の前部に昇降自在に連結される刈取部に、刈取部の対地高さを検出する接地センサを備えた汎用コンバインが知られている。例えば、特許文献1、2に示されるコンバインは、前端側を支点として上下揺動するソリ状の接地センサを備え、刈取部の対地高さに応じた接地センサの上下揺動位置をポテンショメータで検出するように構成されている。
【0003】
また、特許文献1、2に示されるコンバインは、接地センサの上下揺動位置を切換える対地高さ切換レバーを備えており、対地高さ検出が不要な状況では、対地高さ切換レバーの操作にもとづいて、接地センサを接地しない位置に収納することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3822856号公報
【特許文献2】特開2010−246410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に示されるコンバインでは、接地センサを収納すべき状況であっても、対地高さ切換レバーによる収納操作を忘れると、接地センサを破損させてしまう惧れがあった。例えば、作業走行時に刈取部を下げた状態で機体を後進させると、接地センサが地面に引っ掛かって破損する惧れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、機体の前部に昇降自在に連結される刈取部に、刈取部の対地高さを検出する接地センサを備えた汎用コンバインにおいて、前記接地センサの位置を、刈取部の対地高さを検出可能な作業位置と、作業位置から上方に退避した収納位置とに切換える駆動手段を備え、機体停止または後進の検出にもとづいて、接地センサの位置を自動的に収納位置に切換えるにあたり、前記刈取部の対機高さが所定高さ以上のときは、機体停止又は後進を検出しても、接地センサの位置を収納位置に切り換えないことを特徴とする汎用コンバインである。
請求項2の発明は、機体の前部に昇降自在に連結される刈取部に、刈取部の対地高さを検出する接地センサを備えた汎用コンバインにおいて、前記接地センサの位置を、刈取部の対地高さを検出可能な作業位置と、作業位置から上方に退避した収納位置とに切換える駆動手段を備え、機体停止または後進の検出にもとづいて、接地センサの位置を自動的に収納位置に切換えるにあたり、前記駆動手段は、機体停止又は後進の検出にもとづいて、刈取クラッチを自動的に切る刈取クラッチ駆動モータであることを特徴とする汎用コンバインである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、脱穀クラッチが切り状態の場合を路上走行であると判断して接地センサの位置を自動的に収納位置に切換えるので、接地センサの破損を防止できるだけでなく、接地センサの手動収納操作を不要にしてオペレータの操作負担を軽減することができる。しかも刈取部の対機高さが所定高さ以上のときは、機体停止又は後進を検出しても、接地センサの位置を収納位置に切り換えないようにしたので、接地センサの無駄な収納動作を減らし、駆動手段の耐久性を向上させることができる。
また請求項2の発明によれば、脱穀クラッチが切り状態の場合を路上走行であると判断して接地センサの位置を自動的に収納位置に切換えるので、接地センサの破損を防止できるだけでなく、接地センサの手動収納操作を不要にしてオペレータの操作負担を軽減することができる。しかも刈取クラッチ駆動モータを利用して接地センサの位置を切換えるので、接地センサの位置を切換える専用の電動モータを設ける場合に比べてコストダウンが図れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】汎用コンバインの全体側面図である。
図2】汎用コンバインの動力伝達系統図である。
図3】(A)は接地センサを示す概略側面図、(B)は概略平面図である。
図4】(A)は接地センサ位置切換機構を示す側面図、(B)は平面図である。
図5】制御部の入出力を示すブロック図である。
図6】接地センサ制御のフローチャートである。
図7】(A)は第2実施形態に係る接地センサ位置切換機構の前半部分を示す側面図、(B)は平面図である。
図8】(A)は第2実施形態に係る接地センサ位置切換機構の後半部分を示す側面図、(B)は平面図である。
図9】クラッチ制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1において、1は汎用コンバインであって、該汎用コンバイン1は、茎稈を刈り取る刈取部2と、全稈投入される茎稈から穀粒を脱穀して選別する脱穀部3と、選別した穀粒を貯溜する穀粒タンク4と、該穀粒タンク4内の穀粒を機外に排出する排出オーガ5と、脱穀済の排稈を後処理する後処理部6と、オペレータが乗車する運転部7と、クローラ式の走行部8とを備えて構成されている。
【0010】
図2に示すように、汎用コンバイン1は、走行動力及び作業動力を出力するエンジン9を備えており、該エンジン9の動力が、刈取部2、脱穀部3、排出オーガ5、後処理部6及び走行部8に伝達される。エンジン9から脱穀部3に至る動力伝達経路には脱穀クラッチ10が介設され、脱穀部3から刈取部2に至る動力伝達経路には刈取クラッチ11が介設されている。脱穀クラッチ10及び刈取クラッチ11は、いずれもベルトテンション式のクラッチであり、刈脱クラッチ用モータ12の動力で入り/切り動作される。
【0011】
図1図3に示すように、刈取部2は、機体前端部に昇降動作可能に連結されるヘッダ13と、ヘッダ13の前端部で未刈り茎稈を分草するデバイダ14と、未刈り茎稈を刈り取る刈刃15と、未刈り茎稈や刈り取った茎稈を掻込むリール16と、掻き込まれた茎稈を幅方向の所定箇所に集めるオーガ17と、該オーガ17によって集められた茎稈を脱穀部3に向けて搬送し、脱穀部3の扱室3aに全稈投入するフィーダ18と、刈取部2の対地高さを検出する接地センサ19とを備えて構成されている。
【0012】
図3に示すように、接地センサ19は、刈取部2の底部に設けられている。本実施形態の刈取部2は、左右に並ぶ一対の接地センサ19を備えるが、接地センサ19の数は、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。本実施形態の接地センサ19は、ソリ形状を有し、前端部が支軸19aを介して上下揺動自在に支持されており、刈取部2の対地高さに応じて上下揺動する。各接地センサ19には、その上下揺動位置(上下揺動角度)を検出するポテンショメータ(図示せず)が連繋されており、その検出値は、刈取部2の刈高さを自動的に制御する刈高さ自動制御で利用される。
【0013】
汎用コンバイン1の刈高自動制御は、刈高さが低い大豆などの作物に有効であり、通常、刈高さが高い稲、麦などの作物を刈り取る際には使用されない。つまり、大豆を刈り取るとき、刈取部2が地面に突っ込むと、泥を一緒に刈り取って汚粒の原因となるので、これを避けるために刈高自動制御が使用される。そして、大豆の圃場は畝があるため、接地センサ19は幅広なものが使用される。
【0014】
図4に示すように、接地センサ19の支軸19aには、捻りコイルばね20が設けられ、その一端を固定部材21、他端を支軸19aに突設したアーム19bに係止することにより、接地センサ19を下方(接地方向)に付勢している。アーム19bの後方には、下限ストッパピン22aが配置されており、アーム19bが下限ストッパピン22aに当接することにより、接地センサ19の揺動下限位置が規定される。
【0015】
図4に示すように、接地センサ19には、その位置を切換える接地センサ位置切換機構23が連繋されている。本実施形態の接地センサ位置切換機構23は、接地センサ19の揺動下限位置を切換えるように構成されており、具体的には、支軸19aを支点とする回動に応じて下限ストッパピン22aの位置を前後に移動させるストッパアーム22と、第1ロッド24を介してストッパアーム22と連結される回動自在な第1中間アーム25aと、第1中間アーム25a及び第2中間アーム25bを一体的に備える回動自在な中間軸25と、第2ロッド26を介して第2中間アーム25bと連結されるセクタギヤ27と、セクタギヤ27を回転させる接地センサ用モータ28とを備えて構成されている。
【0016】
接地センサ用モータ28は、接地センサ19の位置を切換えるための専用の電動モータであり、接地センサ用モータ28が駆動すると、接地センサ用モータ28の出力ギヤ(図示せず)と噛み合うセクタギヤ27が支軸27aを中心に回転する。そして、セクタギヤ27が回転すると、第2ロッド26、第2中間アーム25b、中間軸25、第1中間アーム25a、第1ロッド24及びストッパアーム22を介して連結される下限ストッパピン22aが前後に移動し、接地センサ19の揺動下限位置が切り換えられる。接地センサ位置切換機構23による接地センサ19の切換位置には、少なくとも、刈取部2の対地高さを検出可能な作業位置(図1及び図3の仮想線位置)と、作業位置から上方に退避した収納位置(図1及び図3の実線位置)とが含まれるが、刈取部2の刈高さや収穫する作物の種類に応じて複数の作業位置を設定することができる。
【0017】
接地センサ位置切換機構23は、接地センサ19毎に設けられるが、一つの接地センサ用モータ28で複数の接地センサ19の位置を同時に切り換えることが好ましい。例えば、本実施形態では、接地センサ19毎に設けられる接地センサ位置切換機構23を中間軸25を介して連結し、一つの接地センサ用モータ28で同時に駆動させるように構成されている。
【0018】
図1及び図5に示すように、運転部7には、オペレータが着座する運転席29、運転席29の前方に配置されるマルチステアリングレバー30、運転席29の左側方に配置される主変速レバー31、図示しないスイッチパネルに設けられる刈脱クラッチ入切スイッチ32、収穫作物設定ダイヤル33、対地高さ設定ダイヤル34などが設けられている。
【0019】
マルチステアリングレバー30は、機体の操向操作具(左右操作)及び刈取部2の昇降操作具(前後操作)に兼用されるジョイスティック式のレバー操作具であり、主変速レバー31は、機体の前進無段変速操作、後進無段変速操作及び機体停止操作が可能なレバー操作具である。
【0020】
刈脱クラッチ入切スイッチ32は、脱穀クラッチ10及び刈取クラッチ11を入り/切り操作するスイッチであり、作業走行時にはON、路上走行時にはOFFに操作される。収穫作物設定ダイヤル33は、収穫する作物の種類を設定する設定具であり、本実施形態では、稲、麦、大豆を設定することができる。対地高さ設定ダイヤル34は、前述した対地高さ制御の目標高さを設定する設定具である。
【0021】
図5に示すように、汎用コンバイン1には、マイコンなどで構成される制御部35が設けられている。制御部35の入力側には、前述した刈脱クラッチ入切スイッチ32、収穫作物設定ダイヤル33、対地高さ設定ダイヤル34の他に、主変速レバー31の操作位置を検出する主変速レバー検出手段36(例えば、ポテンショメータ)、刈取部2の対機高さを検出する刈取部高さ検出手段37(例えば、ポテンショメータ)などが接続される一方、出力側には、前述した刈脱クラッチ用モータ12(第2実施形態の制御対象)や接地センサ用モータ28が接続されている。そして、制御部35は、汎用コンバイン1の状況に応じて接地センサ用モータ28を駆動制御し、接地センサ19の位置切換を行なう。以下、制御部35が実行する接地センサ制御の具体的な処理手順について、図6を参照しながら説明する。
【0022】
図6に示すように、接地センサ制御では、まず、収穫作物設定ダイヤル33の設定位置にもとづいて、収穫する作物の種類を判断する(S11)。具体的には、接地センサ19(刈高さ自動制御)を使用する特定作物(例えば、大豆)であるか否かを判断し、ここで、特定作物以外(例えば、稲や麦)であると判断した場合は、接地センサ19の位置を収納位置に切換えるべく、接地センサ用モータ28を駆動させる(S12)。
【0023】
一方、特定作物であると判断した場合は、刈脱クラッチ入切スイッチ32の操作位置にもとづいて脱穀クラッチ10の入り/切りを判断する(S13)。ここで、脱穀クラッチ10が切り状態の場合は、路上走行であると判断し、接地センサ19の位置を収納位置に切換えるべく、接地センサ用モータ28を駆動させる(S12)。
【0024】
一方、脱穀クラッチ10が入り状態の場合は、作業走行(刈取走行)であると判断し、主変速レバー検出手段36の検出値にもとづいて走行状態を判断する(S14)。ここで、機体が前進走行状態であると判断した場合は、接地センサ19の位置を作業位置に切換えるべく、接地センサ用モータ28を駆動させる(S15)。その際、本実施形態では、接地センサ19の作業位置を、収穫作物設定ダイヤル33及び対地高さ設定ダイヤル34の設定値にもとづいて決定する。
【0025】
一方、走行状態が停止又は後進であると判断した場合は、刈取部高さ検出手段37の検出値にもとづいて刈取部2の対機高さを判断する(S16)。ここで、刈取部2の対機高さが所定高さ以上であると判断した場合は、接地センサ用モータ28を駆動せず、接地センサ19の位置を現状維持とする(S17)。一方、刈取部2の対機高さが所定高さ未満であると判断した場合は、接地センサ19の位置を収納位置に切換えるべく、接地センサ用モータ28を駆動させる(S12)。
【0026】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、機体の前部に昇降自在に連結される刈取部2に、刈取部2の対地高さを検出する接地センサ19を備えた汎用コンバイン1において、接地センサ19の位置を、刈取部2の対地高さを検出可能な作業位置と、作業位置から上方に退避した収納位置とに切換える駆動手段(接地センサ用モータ28)を備え、機体停止又は後進の検出にもとづいて、接地センサ19の位置を自動的に収納位置に切換えるので、接地センサ19の破損を防止できるだけでなく、接地センサ19の手動収納操作を不要にしてオペレータの操作負担を軽減することができる。
【0027】
また、本実施形態では、専用の電動モータ(接地センサ用モータ28)で接地センサ19の位置を切換えるので、様々な条件で接地センサ19の位置を切換えることができる。
【0028】
また、本実施形態では、作業走行と路上走行を判別し、路上走行判別時は、接地センサ19の位置を自動的に収納位置に切換えるので、路上走行時に刈取部2を下げても、接地センサ19が地面に接触して破損することを防止できる。
【0029】
また、本実施形態では、刈取部2の対機高さが所定高さ以上のとき、機体停止又は後進を検出しても、接地センサ19の位置を収納位置に切り換えないようにしたので、接地センサ19の無駄な収納動作を減らし、駆動手段の耐久性を向上させることができる。
【0030】
つぎに、本発明の第2実施形態について、図7図9を参照して説明する。ただし、前記実施形態と共通する部分は、前記実施形態と同じ符号を付与し、説明は省略する。
【0031】
本発明の第2実施形態は、機体停止又は後進の検出にもとづいて、刈取クラッチ11を自動的に切るクラッチ制御を実行するとともに、該クラッチ制御に使用する刈脱クラッチ用モータ12(刈取クラッチ駆動モータ)を利用して接地センサ19の位置を切換える点が前記実施形態と相違している。このような第2実施形態によれば、接地センサ19の位置を切換える専用の電動モータを設ける場合に比べてコストダウンが図れるという利点がある。以下、刈脱クラッチ用モータ12による刈取クラッチ11の入り/切り構造及び接地センサ19の位置切換構造について、図7及び図8を参照して説明する。なお、刈脱クラッチ用モータ12は、脱穀クラッチ10の入り/切りも行なうが、脱穀クラッチ10の入り/切りに関する説明及び図示は省略する。
【0032】
図7に示すように、刈取クラッチ11は、伝動ベルト50にテンションを付与して刈取部2への動力伝動を入りにする入り位置と、伝動ベルト50を弛緩させて刈取部2への動力伝動を切りにする切り位置とに揺動切換操作されるテンションアーム51を備えて構成される。テンションアーム51は、ロッド52と及び弾性伸縮ロッド53を介してセクタギヤ54に連結されており、該セクタギヤ54を刈脱クラッチ用モータ12で駆動させることにより、テンションアーム51の位置が切り換えられる。なお、弾性伸縮ロッド53は、クラッチ切りのときは、圧縮力を受けて最縮状態(ストッパ53aとバネケース53bが当接する状態)を維持し、クラッチ入りのときは、バネ53cの付勢力でロッド52を弾性的に引っ張り、テンションアーム51を入り側に付勢するように構成されている。
【0033】
図8に示すように、第2実施形態でも、ストッパアーム22、第1ロッド24、第1中間アーム25a、中間軸25及び第2中間アーム25bが設けられており、第2中間アーム25bがロッド55を介してロッド52に連結される。このようにすると、刈脱クラッチ用モータ12が刈取クラッチ11を切りにすべく、ロッド52を前方に押したとき、ロッド55、第2中間アーム25b、中間軸25、第1中間アーム25a、第1ロッド24及びストッパアーム22を介して連結される下限ストッパピン22aが前方に移動し、接地センサ19の位置が収納位置に切換えられる。以下、第2実施形態のクラッチ制御について図9を参照して説明する。
【0034】
図9に示すように、クラッチ制御では、まず、刈脱クラッチ入切スイッチ32のON/OFFを判断し(S21)、該判断結果がOFFのときは、セクタギヤ54を初期位置(刈取クラッチ切り、脱穀クラッチ切り)に切換えるべく、刈脱クラッチ用モータ12を駆動させる(S22)。
【0035】
一方、刈脱クラッチ入切スイッチ32がONの場合は、主変速レバー検出手段36の検出値にもとづいて走行状態を判断する(S23)。ここで、機体が停止又は後進状態であると判断した場合は、セクタギヤ54を中間位置(刈取クラッチ切り、脱穀クラッチ入り)に切換えるべく、刈脱クラッチ用モータ12を駆動させる(S24)。
【0036】
一方、機体が前進状態の場合は、刈取部高さ検出手段37の検出値にもとづいて刈取部2の対機高さを判断する(S25)。ここで、刈取部2の対機高さが所定高さ未満であると判断した場合は、セクタギヤ54を終端位置(刈取クラッチ入り、脱穀クラッチ入り)に切換えるべく、刈脱クラッチ用モータ12を駆動させる(S26)。一方、刈取部2の対機高さが所定高さ以上であると判断した場合は、セクタギヤ54を中間位置(刈取クラッチ切り、脱穀クラッチ入り)に切換えるべく、刈脱クラッチ用モータ12を駆動させる(S24)。
【符号の説明】
【0037】
1 汎用コンバイン
2 刈取部
10 脱穀クラッチ
11 刈取クラッチ
12 刈脱クラッチ用モータ
19 接地センサ
23 接地センサ位置切換機構
28 接地センサ用モータ
35 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9