特許第6198565号(P6198565)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6198565
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】キースイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/14 20060101AFI20170911BHJP
   H01H 13/52 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   H01H13/14 A
   H01H13/52 F
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-216728(P2013-216728)
(22)【出願日】2013年10月17日
(65)【公開番号】特開2015-79676(P2015-79676A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2016年8月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】西野 武志
【審査官】 山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−076956(JP,A)
【文献】 特開平10−334760(JP,A)
【文献】 特開2011−238562(JP,A)
【文献】 特開2003−297176(JP,A)
【文献】 特開2001−167658(JP,A)
【文献】 実開平04−076224(JP,U)
【文献】 特開2001−357747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/14
H01H 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持板と、
ートップと、
前記キートップを支持し、第1の腕部と、第2の腕部とを有する2つのリンクと、
前記支持板の上に設置され、前記リンクの対を支持するフレームと、
を有し、
前記リンクの各々は、
前記第1の腕部及び前記第2の腕部の一端に設けられ、前記フレームあるいは前記キートップの一方に回動可能に取り付けられる回動軸と、
前記第1の腕部及び前記第2の腕部の他端に設けられ、前記フレームあるいは前記キートップの他方に摺動自在に取り付けられる摺動軸と、
前記第1の腕部に設けられた連結溝と、
前記第2の腕部に設けられ、一方のリンクに設けられた連結溝に摺動可能に取り付けられる連結軸と、
前記第2の腕部に設けられた凹部と、を備え、
前記キートップの表面を押した際、前記連結軸が前記連結溝内を移動し、更に、他方のリンクの前記第1の腕部の回動軸が、前記一方のリンクの前記第2の腕部に設けられた凹部に入ることを特徴とするキースイッチ装置。
【請求項2】
支持板と、
ートップと、
前記キートップを支持する、それぞれ2つの腕部を有する第1リンクと第2リンクと、
前記支持板の上に設置され、前記第1リンク及び前記第2リンクを支持するフレームと、
を有し、
前記第1リンク及び前記第2リンクは、
前記腕部の一端に設けられ、前記フレームあるいは前記キートップの一方に回動可能に取り付けられる回動軸と、
前記腕部の他端に設けられ、前記フレームあるいは前記キートップの他方に摺動可能に取り付けられる摺動軸と、を有し、
前記第1リンクは、前記腕部に設けられた連結軸と、凹部と、を有し、
前記第2リンクは、前記腕部に設けられ、前記連結軸が摺動可能に入る連結溝を有し、
前記キートップの表面を押した際、前記連結軸が前記連結溝内を移動し、更に、前記第2リンクの前記腕部の回動軸が、前記第1リンクの前記腕部に設けられた凹部に入ることを特徴とするキースイッチ装置。
【請求項3】
前記支持板と前記2つのリンク及び前記フレームとの間には、接点部を有するメンブレンスイッチが設けられており、
前記メンブレンスイッチには貫通孔が設けられており、
前記メンブレンスイッチの前記貫通孔において、前記支持板と前記フレームとが接続されていることを特徴とする請求項1またはに記載のキースイッチ装置。
【請求項4】
前記フレームには、前記接点部の上方に位置する部分に貫通孔が設けられており、
前記貫通孔内において、前記メンブレンスイッチと前記キートップとの間には、弾性材料により形成されたアクチュエータが設置されていることを特徴とする請求項3に記載のキースイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キースイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ノート型またはディスクトップ型のパーソナルコンピュータにおいては、情報入力装置としてキーボードが備わっている。キーボードには、入力される文字等に対応して複数のキースイッチが設けられており、入力したい文字等に対応したキースイッチを押すことにより、所定の情報を入力することができる。このようなキースイッチにおいては、小型であることや操作しやすいこと、また、信頼性が高いこと等が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−167658号公報
【特許文献2】特開2002−260483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的なキースイッチは、キートップの下に2つのリンク部材が設けられており、各々のリンク部材にはギアが形成されており、各々のリンク部材におけるギア同士が噛み合っている。キースイッチにおいては、キートップを指等により押した場合には、ギア同士が噛み合っている2つのリンク部材が動作するが、各々のギア同士が噛み合っている状態においてリンク部材が動くため、ギアに力が集中しギア部分が破損等しやすい。このように、ギア部分が破損等すると、キーボードとして使用することができない。また、キートップを押した際に、キートップを押す過程において、2つのリンク部材における噛み合っているギアの位置が変化するため、キートップを押すために必要な力が変動し、キースイッチにおける操作を円滑に行なうことができない場合がある。
【0005】
このため、破損しにくく、長期間安定して使用することができる構造のキースイッチ装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施の形態の一観点によれば、支持板と、キートップと、前記キートップを支持し、第1の腕部と、第2の腕部とを有する2つのリンクと、前記支持板の上に設置され、前記リンクの対を支持するフレームと、を有し、前記リンクの各々は、前記第1の腕部及び前記第2の腕部の一端に設けられ、前記フレームあるいは前記キートップの一方に回動可能に取り付けられる回動軸と、前記第1の腕部及び前記第2の腕部の他端に設けられ、前記フレームあるいは前記キートップの他方に摺動自在に取り付けられる摺動軸と、前記第1の腕部に設けられた連結溝と、前記第2の腕部に設けられ、一方のリンクに設けられた連結溝に摺動可能に取り付けられる連結軸と、前記第2の腕部に設けられた凹部と、を備え、前記キートップの表面を押した際、前記連結軸が前記連結溝内を移動し、更に、他方のリンクの前記第1の腕部の回動軸が、前記一方のリンクの前記第2の腕部に設けられた凹部に入ることを特徴とする。
【0007】
また、本実施の形態の他の一観点によれば、支持板と、前記支持板の上に設置される2つのリンク部材及びフレーム部材と、前記2つのリンク部材の上に設置されるキートップと、を有し、前記リンク部材は、一方の腕部、他方の腕部、前記一方の腕部と前記他方の腕部とを接続する連結部を有し、前記一方の腕部における一方の端部及び前記他方の腕部における一方の端部には、各々回転軸部が設けられており、前記一方の腕部における他方の端部と前記他方の腕部における他方の端部とは、前記連結部により接続されており、前記連結部の両端には、各々摺動軸部が設けられており、前記リンク部材における前記一方の腕部には、連結溝部が設けられており、前記他方の腕部には、連結軸部が設けられており、前記2つのリンク部材を設置した状態においては、前記2つのリンク部材における一方のリンク部材の連結溝部に、前記他方のリンク部材の連結軸部が入っており、前記連結軸部は前記連結溝部内を移動することができるものであって、前記回転軸部は、前記キートップの裏面において回転可能な状態で設置されており、前記摺動軸部は、前記フレーム部材に設けられた案内溝に入れられており、前記キートップの表面を押した際には、前記摺動軸部は、前記案内溝内を移動するとともに、前記連結軸部が連結溝部内を移動するものであることを特徴とする。
【0008】
また、本実施の形態の他の一観点によれば、支持板と、キートップと、前記キートップを支持する、それぞれ2つの腕部を有する第1リンクと第2リンクと、前記支持板の上に設置され、前記第1リンク及び前記第2リンクを支持するフレームと、を有し、前記第1リンク及び前記第2リンクは、前記腕部の一端に設けられ、前記フレームあるいは前記キートップの一方に回動可能に取り付けられる回動軸と、前記腕部の他端に設けられ、前記フレームあるいは前記キートップの他方に摺動可能に取り付けられる摺動軸と、を有し、前記第1リンクは、前記腕部に設けられた連結軸と、凹部と、を有し、前記第2リンクは、前記腕部に設けられ、前記連結軸が摺動可能に入る連結溝を有し、前記キートップの表面を押した際、前記連結軸が前記連結溝内を移動し、更に、前記第2リンクの前記腕部の回動軸が、前記第1リンクの前記腕部に設けられた凹部に入ることを特徴とする。
【0009】
また、本実施の形態の他の一観点によれば、支持板と、前記支持板の上に設置される第1のリンク部材、第2のリンク部材及びフレーム部材と、前記第1のリンク部材及び第2のリンク部材の上に設置されるキートップと、を有し、前記第1のリンク部材は、一方の腕部、他方の腕部、前記一方の腕部と前記他方の腕部とを接続する連結部を有し、前記第2のリンク部材は、一方の腕部、他方の腕部、前記一方の腕部と前記他方の腕部とを接続する連結部を有し、前記一方の腕部における一方の端部及び前記他方の腕部における一方の端部には、各々回転軸部が設けられており、前記一方の腕部における他方の端部と前記他方の腕部における他方の端部とは、前記連結部により接続されており、前記連結部の両端には、各々摺動軸部が設けられており、前記第1のリンク部材における前記一方の腕部及び前記他方の腕部には、連結軸部が設けられており、前記第2のリンク部材における前記一方の腕部及び前記他方の腕部には、連結溝部が設けられており、前記第1のリンク部材と前記第2のリンク部材とを設置した状態においては、前記第1のリンク部材における前記連結軸部が、前記第2のリンク部材における前記連結溝部が入っており、前記連結軸部は前記連結溝部内を移動することができるものであって、前記回転軸部は、前記キートップの裏面において回転可能な状態で設置されており、前記摺動軸部は、前記フレーム部材に設けられた案内溝に入れられており、前記キートップの表面を押した際には、前記摺動軸部は、前記案内溝内を移動するとともに、前記連結軸部が連結溝部内を移動するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、破損しにくく、長期間安定して使用することができる構造のキースイッチ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態におけるキースイッチ装置の分解斜視図
図2】第1の実施の形態におけるキースイッチ装置のリンク部材の斜視図
図3】第1の実施の形態におけるキースイッチ装置のフレーム部材の斜視図
図4】第1の実施の形態におけるキースイッチ装置のキートップの斜視図
図5】第1の実施の形態におけるキースイッチ装置の組立途中の斜視図
図6】第1の実施の形態におけるキースイッチ装置の組立途中の上面図
図7】第1の実施の形態におけるキースイッチ装置の斜視図
図8】第1の実施の形態におけるキースイッチ装置の断面図(1)
図9】第1の実施の形態におけるキースイッチ装置の断面図(2)
図10】第2の実施の形態におけるキースイッチ装置の分解斜視図
図11】第2の実施の形態におけるキースイッチ装置のリンク部材の斜視図
図12】第2の実施の形態におけるキースイッチ装置のフレーム部材の斜視図
図13】第2の実施の形態におけるキースイッチ装置のキートップの斜視図
図14】第2の実施の形態におけるキースイッチ装置の組立途中の斜視図
図15】第2の実施の形態におけるキースイッチ装置の斜視図
図16】第2の実施の形態におけるキースイッチ装置の断面図
図17】第3の実施の形態におけるキースイッチ装置の分解斜視図
図18】第3の実施の形態におけるキースイッチ装置の第1のリンク部材の斜視図
図19】第3の実施の形態におけるキースイッチ装置の第2のリンク部材の斜視図
図20】第3の実施の形態におけるキースイッチ装置の組立途中の斜視図
図21】第3の実施の形態におけるキースイッチ装置の組立途中の上面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0013】
〔第1の実施の形態〕
第1の実施の形態におけるキースイッチ装置について説明する。図1に示されるように、本実施の形態におけるキースイッチ装置は、支持板10の上に、メンブレンスイッチ20が設けられており、メンブレンスイッチ20の上には、ラバーアクチュエータ30及び2つのリンク部材40、フレーム部材60が設置されている。また、2つのリンク部材40の上には、キートップ70が設置されている。
【0014】
支持板10には、フレーム部材60と接続するための開口部11が4つ設けられている。メンブレンスイッチ20は、通常は開いた状態にあるが、押されることにより閉じる。メンブレンスイッチ20には、フレーム部材60と支持板10と接続するための貫通孔21が2ヶ所に設けられている。ラバーアクチュエータ30は、ゴム等の弾性材料により形成されており、指等によりキートップ70が押された後、キートップ70より指等が離れると、復元力により、キートップ70を押される前の元の位置まで戻すことができる。
【0015】
図2に示すように、リンク部材40はコの字状に形成されており、2つの腕部41、42が、連結部43により接続されている構造のものである。尚、図2(a)、(b)、(c)は、リンク部材40を異なる角度から見た斜視図であり、図2(a)及び(b)は、リンク部材40を上面側から見た斜視図であり、図2(c)は、裏面側から見た斜視図である。
【0016】
一方の腕部41の一方の端部及び他方の腕部42の一方の端部には、内側に突き出た回転軸部51が各々設けられており、一方の腕部41の他方の端部と他方の腕部42の他方の端部は、連結部43により接続されている。連結部43の両側の端部、即ち、一方の腕部41及び他方の腕部42が接続されている部分の近傍においては、外側に突き出た摺動軸部52が各々設けられている。
【0017】
また、一方の腕部41の中程には、長細い形状により形成されている連結溝部53が設けられており、他方の腕部42の中程には、外側に突き出た連結軸部54が設けられている。また、他方の腕部42には、一部が凹んでおり、凹部55が形成されている。
【0018】
図3に示すように、フレーム部材60は、中央部分に貫通孔61が設けられており、この貫通孔61に、ラバーアクチュエータ30の一部が入り込むことができるように形成されている。また、フレーム部材60には、支持板10と接続される下側において、4隅に支持板10に接続するための突起部62が設けられており、更に、フレーム部材60の下側には、凹状に形成された軸受部63が4つ設けられている。
【0019】
図4に示されるように、キートップ70には、指等が接触する表面とは反対の裏面に、4つの案内部71が設けられており、各々の案内部71には、キートップ70の表面に平行に延びる案内溝72が設けられている。案内溝72は外側に向かって開いている。また、キートップ70の裏面には、裏面に出っ張った突起部73が4ヶ所に設けられている。尚、キートップ70の裏面に設けられた突起部73は、キートップ70において位置ズレ等が生じないよう、2つのリンク部材40との位置を規制するために設けられている。
【0020】
本実施の形態においては、2つのリンク部材40、フレーム部材60、キートップ70は、プラスチック等の樹脂材料により形成されている。
【0021】
図5及び図6は、本実施の形態におけるキースイッチ装置の組立て途中の状態を示す図である。具体的には、図5は、支持板10の上に、メンブレンスイッチ20が設置され、2つのリンク部材40及びフレーム部材60が設置されている状態の斜視図である。また、図6は、更に、ラバーアクチュエータ30が設置されている状態の上面図である。尚、メンブレンスイッチ20には、中央部分、即ち、フレーム部材60の貫通孔61となる位置に、スイッチとして機能する接点部22が設けられている。
【0022】
2つのリンク部材40は、一方のリンク部材40の一方の腕部41が、他方のリンク部材40の他方の腕部42よりも、外側となっている状態で設置されている。この状態において、2つのリンク部材40は、一方のリンク部材40の一方の腕部41の連結溝部53に、他方のリンク部材40の他方の腕部42の連結軸部54が入り込んでいる。よって、2つのリンク部材40は、一方のリンク部材40の一方の腕部41と、他方のリンク部材40の他方の腕部42とがクロスした状態で設置されている。この状態においては、一方のリンク部材40の一方の腕部41の連結溝部53内を、他方のリンク部材40の他方の腕部42の連結軸部54が自由に移動することができる。尚、一方のリンク部材40の他方の腕部42に設けられた凹部55は、キートップ70が押された際に、他方のリンク部材40の一方の腕部41に設けられた回転軸部51との接触を避けることができるよう形成されている。
【0023】
2つのリンク部材40は、上述した状態で、フレーム部材60により支持板10に接続されている。支持板10には、4つの開口部11が設けられており、支持板10に設けられた4つの開口部11に、メンブレンスイッチ20の貫通孔21を介し、フレーム部材60に設けられた4つの突起部62が各々入り込むことにより設置される。この際、フレーム部材60における軸受部63に、2つのリンク部材40の回転軸部51が各々入り込んでいる。これにより、2つのリンク部材40は、各々の回転軸部51が軸受部63において回転可能な状態で固定される。
【0024】
フレーム部材60の貫通孔61内には、ラバーアクチュエータ30が設置されており、ラバーアクチュエータ30及び2つのリンク部材40の上には、キートップ70が設置されている。キートップ70は、2つのリンク部材40の連結部43の両端に設けられた摺動軸部52が、キートップ70の裏面に設けられた案内部71における案内溝72内に入り込んだ状態で設置されている。
【0025】
次に、図7から図9に基づき本実施の形態におけるキースイッチ装置が指等により押すことによる動作について説明する。図7は、本実施の形態におけるキースイッチ装置の斜視図である。
【0026】
図8は、本実施の形態におけるキースイッチ装置が指等により押されていない状態の断面図である。尚、図8(a)は、図7における一点鎖線7A−7Bにおいて切断した断面図であり、図8(b)は、図7における一点鎖線7C−7Dにおいて切断した断面図であり、図8(b)においては、便宜上、ラバーアクチュエータ30は省略されている。本実施の形態におけるキースイッチ装置が指等により押されていない状態においては、キートップ70は、ラバーアクチュエータ30により、上に持ち上げられている。この状態においては、一方のリンク部材40の一方の腕部41に設けられた連結溝部53に、他方のリンク部材40の連結軸部54が入り込んでおり、図8(a)に示されるように、連結軸部54は連結溝部53の左側に位置している。
【0027】
本実施の形態におけるキースイッチ装置のキートップ70の表面を指等により押すことにより、キートップ70は下がり、2つのリンク部材40が動く。本実施の形態においては、この際、2つのリンク部材40の摺動軸部52がキートップ70の案内溝72内を外側方向に動き、同時に、各々のリンク部材40における一方の腕部41における連結溝部53内を他方の腕部42における連結軸部54が移動する。
【0028】
具体的には、図9に示されるように、各々のリンク部材40における一方の腕部41における連結溝部53内を他方の腕部42における連結軸部54が右側に移動する。この際、各々のリンク部材40における回転軸部51は、フレーム部材60に設けられた軸受部63において回転するのみで、移動することはない。尚、図89は、本実施の形態におけるキースイッチ装置が指等により押された状態の断面図である。図9(a)は、図7における一点鎖線7A−7Bにおいて切断した断面図であり、図9(b)は、図7における一点鎖線7C−7Dにおいて切断した断面図であり、図9(b)においては、便宜上、ラバーアクチュエータ30は省略されている。
【0029】
このように、本実施の形態におけるキースイッチ装置においては、リンク部材40においてギアが形成されていないため、ギア等が破損することがないため、信頼性を高めることができる。また、一方の腕部41における連結溝部53内を他方の腕部42における連結軸部54が移動するため、移動が円滑であり、キートップを押すために必要な力にバラツキが生ずることはなく、円滑にキースイッチ装置を操作することができる。
【0030】
尚、各々のリンク部材40のフレーム部材60により固定されている回転軸部51は移動することなく回転し、キートップ70側に設けられた摺動軸部52がキートップ70の案内溝72内を外側方向に移動する。このため、キートップ70がスライドして移動することはなく、安定的にキートップ70を押すことができる。
【0031】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。図10に示されるように、本実施の形態におけるキースイッチ装置は、支持板10の上に、メンブレンスイッチ20が設けられており、メンブレンスイッチ20の上には、ラバーアクチュエータ30及び2つのリンク部材140、フレーム部材160が設置されている。また、2つのリンク部材140の上には、キートップ170が設置されている。
【0032】
支持板10には、フレーム部材160と接続するための開口部11が4つ設けられている。メンブレンスイッチ20は、通常は開いた状態にあるが、押されることにより閉じる。メンブレンスイッチ20には、フレーム部材160と支持板10と接続するための貫通孔21が2ヶ所に設けられている。ラバーアクチュエータ30は、ゴム等の弾性材料により形成されており、指等によりキートップ170が押された後、キートップ170より指等が離れると、復元力により、キートップ170を押される前の元の位置まで戻すことができる。
【0033】
図11に示すように、リンク部材140はコの字状に形成されており、2つの腕部141、142が、連結部143により接続されている構造のものである。尚、図11(a)、(b)は、リンク部材140を異なる角度から見た斜視図であり、図11(a)は、リンク部材140を一方の腕部141の側から見た斜視図であり、図11(b)は、リンク部材140を他方の腕部142の側から見た斜視図である。
【0034】
一方の腕部141の一方の端部及び他方の腕部142の一方の端部には、内側に突き出た回転軸部151が各々設けられており、一方の腕部141の他方の端部と他方の腕部142の他方の端部は、連結部143により接続されている。連結部143の両側の端部、即ち、一方の腕部141及び他方の腕部142が接続されている部分の近傍においては、外側に突き出た摺動軸部152が各々設けられている。
【0035】
また、一方の腕部141の中程には、長細い形状により形成されている連結溝部153が設けられており、他方の腕部142の中程には、外側に突き出た連結軸部154が設けられている。また、他方の腕部142には、一部が凹んでおり、凹部155が形成されている。
【0036】
図12に示すように、フレーム部材160は、中央部分に貫通孔161が設けられており、この貫通孔161に、ラバーアクチュエータ30の一部が入り込むことができるように形成されている。また、フレーム部材160には、支持板10と接続される裏面において、4隅に支持板10に接続するための不図示の突起部が設けられている。また、フレーム部材160の表面には、4つの案内部162が設けられており、各々の案内部162には、キートップ170の表面に平行に延びる案内溝163が設けられている。案内溝163は外側に向かって開いている。また、フレーム部材160の表面には、表面に出っ張った突起部164が4ヶ所に設けられている。
【0037】
図13に示されるように、キートップ170には、指等が接触する表面とは反対の裏面に、凹状に形成された4つの軸受部171が設けられている。
【0038】
本実施の形態においては、2つのリンク部材140、フレーム部材160、キートップ170は、プラスチック等の樹脂材料により形成されている。
【0039】
図14は、本実施の形態におけるキースイッチ装置の組立て途中の状態を示す図である。具体的には、図14は、支持板10の上に、メンブレンスイッチ20が設置され、2つのリンク部材140及びフレーム部材160が設置されている状態の斜視図である。
【0040】
2つのリンク部材140は、一方のリンク部材140の一方の腕部141が、他方のリンク部材140の他方の腕部142よりも、外側となっている状態で設置されている。この状態において、2つのリンク部材140は、一方のリンク部材140の一方の腕部141の連結溝部153に、他方のリンク部材140の他方の腕部142の連結軸部154が入り込んでいる。よって、2つのリンク部材140は、一方のリンク部材140の一方の腕部141と、一方のリンク部材140の他方の腕部142とがクロスした状態で設置されている。この状態においては、一方のリンク部材140の一方の腕部141の連結溝部153内を、他方のリンク部材140の他方の腕部142の連結軸部154が自由に移動することができる。尚、一方のリンク部材140の他方の腕部142に設けられた凹部155は、キートップ170が押された際に、他方のリンク部材140の一方の腕部141に設けられた回転軸部151との接触を避けることができるよう形成されている。





【0041】
フレーム部材160には、2つのリンク部材140の連結部143の両端に設けられた摺動軸部152が、フレーム部材160に設けられた案内部162における案内溝163内に入り込んだ状態で設置されている。
【0042】
また、キートップ170の裏面に設けられた軸受部171には、2つのリンク部材140の回転軸部151が各々入り込んだ状態で設置されている。これにより、2つのリンク部材140は、各々の回転軸部151が軸受部171において回転可能な状態で固定される。
【0043】
2つのリンク部材140は、上述した状態で、フレーム部材160及びキートップ170と接続されている。
【0044】
尚、支持板10には、4つの開口部11が設けられており、支持板10に設けられた4つの開口部11に、メンブレンスイッチ20の貫通孔21を介し、フレーム部材160に設けられた不図示の突起部が各々入り込むことにより設置されている。
【0045】
フレーム部材160の貫通孔161内には、ラバーアクチュエータ30が設置されており、ラバーアクチュエータ30及び2つのリンク部材140の上には、キートップ170が設置されている。
【0046】
次に、図15及び図16に基づき本実施の形態におけるキースイッチ装置が指等により押されている状態について説明する。尚、図15は、本実施の形態におけるキースイッチ装置の斜視図である。
【0047】
本実施の形態におけるキースイッチ装置が指等により押されていない状態においては、キートップ170は、ラバーアクチュエータ30により、上に持ち上げられている。この状態は、図示はしないが、一方のリンク部材140の一方の腕部141に設けられた連結溝部153に、他方のリンク部材140の連結軸部154が入り込んでおり、連結軸部154は連結溝部153の一方の側に位置している。
【0048】
本実施の形態におけるキースイッチ装置においては、キートップ170の表面を指等により押すことにより、図16に示されるように、キートップ170は下がり、2つのリンク部材140が動く。これにより、2つのリンク部材140の摺動軸部152が、フレーム部材160の案内溝163内を外側方向に動く。この際、同時に、各々のリンク部材140における一方の腕部141における連結溝部153内を他方の腕部142における連結軸部154が移動する。
【0049】
具体的には、各々のリンク部材140における一方の腕部141における連結溝部153内を他方の腕部142における連結軸部154が他方の側に移動する。この際、各々のリンク部材140における回転軸部151は、キートップ170に設けられた軸受部171において回転するのみで、移動することはない。尚、図16(a)は、図15における一点鎖線15A−15Bにおいて切断した断面図であり、図16(b)は、図15における一点鎖線15C−15Dにおいて切断した断面図である。
【0050】
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0051】
〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施の形態について説明する。図17に示されるように、本実施の形態におけるキースイッチ装置は、支持板10の上に、メンブレンスイッチ20、ラバーアクチュエータ30、第1のリンク部材240及び第2のリンク部材340、フレーム部材60が設置されている。また、第1のリンク部材240及び第2のリンク部材340の上には、キートップ70が設置されている。
【0052】
支持板10には、フレーム部材60と接続するための開口部11が4つ設けられている。メンブレンスイッチ20は、通常は開いた状態にあるが、押されることにより閉じる。メンブレンスイッチ20には、フレーム部材60と支持板10と接続するための貫通孔21が2ヶ所に設けられている。ラバーアクチュエータ30は、ゴム等の弾性材料により形成されており、指等によりキートップ70が押された後、キートップ70より指等が離れると、復元力により、キートップ70を押される前の元の位置まで戻すことができる。
【0053】
図18に示すように、第1のリンク部材240はコの字状に形成されており、2つの腕部241、242が、連結部243により接続されている構造のものである。尚、図18(a)、(b)、(c)は、第1のリンク部材240を異なる角度から見た斜視図であり、図18(a)及び(b)は、第1のリンク部材240を上面側から見た斜視図であり、図18(c)は、裏面側から見た斜視図である。
【0054】
第1のリンク部材240において、一方の腕部241の一方の端部及び他方の腕部242の一方の端部には、内側に突き出た回転軸部251が各々設けられている。また、一方の腕部241の他方の端部と他方の腕部242の他方の端部は、連結部243により接続されている。連結部243の両側の端部、即ち、一方の腕部241及び他方の腕部242が接続されている部分の近傍においては、外側に突き出た摺動軸部252が各々設けられている。
【0055】
また、一方の腕部241及び他方の腕部242の中程には、ともに外側に突き出た連結軸部254が設けられており、更には、一部が凹んでいる凹部255が形成されている。
【0056】
また、図19に示すように、第2のリンク部材340はコの字状に形成されており、2つの腕部341、342が、連結部343により接続されている構造のものである。尚、図19(a)、(b)、(c)は、第2のリンク部材340を異なる角度から見た斜視図であり、図19(a)及び(b)は、第2のリンク部材340を上面側から見た斜視図であり、図19(c)は、裏面側から見た斜視図である。
【0057】
第2のリンク部材340において、一方の腕部341の一方の端部及び他方の腕部342の一方の端部には、内側に突き出た回転軸部351が各々設けられている。また、一方の腕部341の他方の端部と他方の腕部342の他方の端部は、連結部343により接続されている。連結部343の両側の端部、即ち、一方の腕部341及び他方の腕部342が接続されている部分の近傍においては、外側に突き出た摺動軸部352が各々設けられている。
【0058】
また、一方の腕部341及び他方の腕部342の中程には、ともに長細い形状により形成されている連結溝部353が設けられている。
【0059】
図20及び図21は、本実施の形態におけるキースイッチ装置の組立て途中の状態を示す図である。具体的には、図20は、支持板10の上に、メンブレンスイッチ20が設置され、第1のリンク部材240及び第2のリンク部材340、フレーム部材60が設置されている状態の斜視図である。図21は、上面図である。
【0060】
第1のリンク部材240及び第2のリンク部材340は、第1のリンク部材240における一方の腕部241及び他方の腕部242が、第2のリンク部材340における一方の腕部341及び他方の腕部342の内側となっている状態で設置されている。この状態において、第2のリンク部材340における一方の腕部341及び他方の腕部342の連結溝部353に、第1のリンク部材240における一方の腕部241及び他方の腕部242の連結軸部54が入り込んでいる。
【0061】
よって、第1のリンク部材240の一方の腕部241と、第2のリンク部材340の他方の腕部342とがクロスし、第1のリンク部材240の他方の腕部242と、第2のリンク部材340の一方の腕部341とがクロスした状態で設置されている。この状態においては、第2のリンク部材340における一方の腕部341及び他方の腕部342の連結溝部353内を、第1のリンク部材240における一方の腕部241及び他方の腕部242の連結軸部254が自由に移動することができる。
【0062】
尚、第1のリンク部材240における一方の腕部241に設けられた凹部255は、キートップ70が押された際に、第2のリンク部材340における他方の腕部342に設けられた回転軸部351と接触しないようにするため形成されている。同様に、第1のリンク部材240における他方の腕部242に設けられた凹部255は、キートップ70が押された際に、第2のリンク部材340における一方の腕部341に設けられた回転軸部351と接触しないようにするため形成されている。
【0063】
第1のリンク部材240及び第2のリンク部材340は、上述した状態で、フレーム部材60により支持板10に接続されている。支持板10には、4つの開口部11が設けられており、支持板10に設けられた4つの開口部11に、メンブレンスイッチ20の貫通孔21を介し、フレーム部材60に設けられた4つの突起部62が各々入り込むことにより設置されている。この際、フレーム部材60における軸受部63に、第1のリンク部材240及び第2のリンク部材340の回転軸部251及び351が各々入り込んだ状態で設置されている。これにより、第1のリンク部材240及び第2のリンク部材340は、各々の回転軸部251及び351が軸受部63において回転可能な状態で固定される。
【0064】
尚、第1のリンク部材240の連結部243の両端に設けられた摺動軸部252及び第2のリンク部材340の連結部343の両端に設けられた摺動軸部352が、キートップ70の裏面に設けられた案内部71の案内溝72内に入り込んでいる。
【0065】
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。また、本実施の形態は、第2の実施の形態にも対応することが可能である。
【0066】
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0067】
10 支持板
11 開口部
20 メンブレンスイッチ
21 貫通孔
22 接点部
30 ラバーアクチュエータ
40 リンク部材
41 一方の腕部
42 他方の腕部
43 連結部
51 回転軸部
52 摺動軸部
53 連結溝部
54 連結軸部
55 凹部
60 フレーム部材
61 貫通孔
62 突起部
63 軸受部
70 キートップ
71 案内部
72 案内溝
73 突起部



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21