(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第一の実施形態>
第一の実施形態では、
図1に示すように、プレキャスト床版10と鋼桁20とをボルト30を介して接合する接合構造1について説明する。
本実施形態のプレキャスト床版10は、工場等において製造されたコンクリート部材である。
【0018】
プレキャスト床版10には、ボルト30の軸部をねじ込むためのインサート(取付治具)11が埋め込まれている。インサート11は、プレキャスト床版10の下面において開口している。
本実施形態では、インサート11の下端(開口部側の先端)が、不陸調整用板12に当接している。
【0019】
不陸調整用板12は、プレキャスト床版10の鋼桁20と当接する部分に固定された鋼板である。不陸調整用板12には、インサート11の位置に対応してボルト挿通孔(図示せず)が形成されている。
【0020】
不陸調整用板12に形成されたボルト挿通孔は、ボルト30の軸部の外径と同等以上の内径を有している。
なお、不陸調整用板12は必要に応じて配設すればよく、省略してもよい。
【0021】
鋼桁20は、上下一対のフランジ21,21(
図1では上側のフランジ21のみを表示している)とウェブ22とを有した鋼材(H形鋼、I型鋼、溝型鋼等)からなる。
鋼桁20の上側のフランジ21には、インサート11の位置に対応して、ボルト30を挿通するための貫通孔23が形成されている。
【0022】
貫通孔23は、ウェブ22を挟んで対向する位置にそれぞれ形成されている。また、貫通孔23は、ボルト30の軸部の外径よりも大きな内径を有している。
なお、貫通孔23の配置や数は限定されない。
【0023】
上側のフランジ21の上面には、プレキャスト床版10が載置されている。鋼桁20は、ボルト30を介してプレキャスト床版10と接合されている。
【0024】
ボルト30は、フランジ21の貫通孔23および不陸調整用板12のボルト挿通孔を通ってインサート11に螺合されることで、プレキャスト床版10と鋼桁20とを接合している。
本実施形態では、ボルト30として高力ボルトを使用する。
【0025】
なお、ボルト30の頭部とフランジ21との間には支圧板31を介設する。ボルト30の頭部は、支圧板31を介してフランジ21の下面に係止させる。なお、支圧板31に代えてワッシャーを介設してもよい。
【0026】
支圧板31は、貫通孔23よりも大きな外形を有した鋼板からなる。支圧板31には、ボルト30の軸部の外径と同等の内径のボルト挿通孔が形成されている。
【0027】
以上、本実施形態の接合構造1によれば、ボルト30を螺合することによりプレキャスト床版10と鋼桁20との接合が完了するため、早期施工が可能である。
【0028】
また、箱抜き等のプレキャスト床版10を貫通する部分が形成されていないため、プレキャスト床版10を浸透する水みちが形成されるおそれがなく、接合構造1の信頼性の高い。
【0029】
また、インサート11は、プレキャスト床版10の下面から突出することなくプレキャスト床版10に埋め込まれているため、インサート(取付治具)11が他の部材等に接触して破損するおそれがない。
【0030】
プレキャスト床版10の鋼桁20との当接面には、不陸調整用板12が固定されているため、プレキャスト床版10とフランジ21との密着性が優れている。ゆえに、高品質な接合構造1が形成される。
【0031】
支圧板31が配設されているため、ボルト30の軸力が、適切に鋼桁20の上側のフランジ21に作用する。
【0032】
鋼桁20に形成された貫通孔23は、予め拡径されているため、プレキャスト床版10と鋼桁20との水平方向でのずれやインサート11の平面配置誤差等を調整することができる。
【0033】
<第二の実施形態>
第二の実施形態に係る接合構造1は、
図2に示すように、鋼桁20に補強用治具24が設置されている点で、第一の実施形態の接合構造1と異なっている。
なお、第二の実施形態のプレキャスト床版10およびボルト30の構成は、第一の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0034】
鋼桁20は、上下一対のフランジ21,21(
図2では上側のフランジ21のみを表示している)とウェブ22とを有した鋼材からなる。
ウェブ22と上側のフランジ21とで形成される左右二カ所の内隅部には、補強用治具24が取り付けられている。
【0035】
ウェブ22の左右に配設された補強用治具24,24は、ウェブ22を貫通する連結用ボルト32を介して連結されている。
【0036】
補強用治具24は、断面視L字状のアングル材により構成されている。補強用治具24の一方の片24aはフランジ21の下面に当接し、他方の片24bはウェブ22に当接している。
【0037】
補強用治具24は、一方の片24aと他方の片24bとに立設されたリブ24cを有している。なお、リブ24cは、必要に応じて配設すればよく、省略してもよい。
【0038】
補強用治具24の一方の片24aには、フランジ21の貫通孔23の位置に対応して第一ボルト孔が形成されている。第一ボルト孔は、ボルト30の軸部の外径と同等以上の内径を有している。
【0039】
また、補強用治具24の他方の片24bには、第二ボルト孔が形成されている。第二ボルト孔は、連結用ボルト32の軸部の外径と同等以上の内径を有している。
【0040】
ウェブ22には、補強用治具24の第二ボルト孔の位置に対応して、第二貫通孔が形成されている。第二貫通孔は、連結用ボルト32の外径と同等以上の内径を有している。
【0041】
ボルト30は、フランジ21の貫通孔23および補強用治具24の第一ボルト孔を通ってインサート11に螺合されることで、プレキャスト床版10と鋼桁20とを接合している。本実施形態では、ボルト30として高力ボルトを使用する。
なお、ボルト30の頭部と補強用治具24との間には、必要に応じてワッシャーを介設してもよい。
【0042】
連結用ボルト32は、左右の補強用治具24,24の第二ボルト孔およびウェブ22の第二貫通孔に挿通される。連結用ボルト32にナット33を螺合して締着すると、左右の補強用治具24,24でウェブ22が挟持される。
【0043】
以上、本実施形態の接合構造1によれば、接合構造1において鋼桁20の上側のフランジ21の耐力が不足する場合であっても、補強用治具24により耐力が増強されているため、信頼性の高い接合構造1を構成することができる。
【0044】
補強用治具24が配設されているため、ボルト30の軸力が適切に鋼桁20の上側のフランジ21に作用する。
【0045】
この他の第二の実施形態の接合構造1による作用効果は、第一の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0046】
<第三の実施形態>
第三の実施形態に係る接合構造1は、インサート(取付治具)11と鋼桁20との間に支持部材40が介設されている点で、第一の実施形態と異なっている。
本実施形態のプレキャスト床版10は、工場等において製造されたコンクリート部材である。
【0047】
プレキャスト床版10には、
図3に示すように、インサート(取付治具)11が埋め込まれている。インサート11は、プレキャスト床版10の下面において開口している。
本実施形態では、インサート11の下端がプレキャスト床版10の下面と面一となっている。
【0048】
第三の実施形態に係る鋼桁20の詳細は、第一の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0049】
本実施形態の支持部材40は、プレート部41と、内ネジ部42と、外ネジ部43とを備えて構成されていて、鋼桁20の上側のフランジ21の上面に当接している。
支持部材40は、貫通孔23を覆うように配設されている。
【0050】
プレート部41は、支持部材40の下端に設けられてフランジ21に当接する板材である。
プレート部41は、貫通孔23の内径よりも大きな形状を有している。プレート部41の中央には、ボルト30を挿通するためのボルト孔が形成されている。
【0051】
内ネジ部42は、プレート部41の上面に固定された有底の筒状部材からなる。内ネジ部42の内面には、ボルト30の軸部(雄ネジ)に対応した雌ネジ加工が施されている。
鋼桁20の貫通孔23に挿通したボルト30は、内ネジ部42に螺合される。
【0052】
外ネジ部43は、内ネジ部42上に固定された棒状部材である。
外ネジ部43の外面には、雄ネジ加工が施されている。外ネジ部43は、インサート11へ螺合される。
【0053】
外ネジ部43のインサート11への挿入長を調節することで、プレキャスト床版10の下面と鋼桁20との間隔を調節することができる。
【0054】
ボルト30は、フランジ21の貫通孔23に挿通されるとともに、支持部材40の内ネジ部42に螺合される。すなわち、プレキャスト床版10と鋼桁20は、ボルト30と支持部材40を介して接合されている。
本実施形態では、ボルト30として高力ボルトを使用する。
【0055】
なお、ボルト30の頭部とフランジ21との間には支圧板31を介設する。ボルト30の頭部は、支圧板31を介してフランジ21の下面に係止させる。なお、支圧板31に代えてワッシャーを介設してもよい。
支圧板31には、第一の実施形態で示したものと同様のものを使用すればよい。
【0056】
支持部材40により形成されたプレキャスト床版10と鋼桁20との隙間には、無収縮モルタル等からなる充填材50を充填する。なお、充填材50を構成する材料は限定されるものではなく、例えばコンクリートや高強度コンクリート等を使用してもよい。
【0057】
プレキャスト床版10と鋼桁20との隙間の端部(上側のフランジ21の端部)は、パッキン51等により、充填材50の流出が防止されている。なお、パッキン51を構成する材料は限定されないが、本実施形態では発砲樹脂により構成する。また、パッキン51に代えて、型枠を設置してもよい。
【0058】
以上、本実施形態の接合構造1によれば、支持部材40によりプレキャスト床版10と鋼桁20との隙間の高さを調整することが可能なため、何らかの原因により鋼桁20の高さにずれが生じた場合であっても、プレキャスト床版10の上面の高さを所望の高さに設定することができる。
【0059】
また、プレキャスト床版10と鋼桁20の隙間には、充填材50が充填されているため、プレキャスト床版10の下面のコンクリート面に不陸が存在している場合であっても、プレキャスト床版10と鋼桁20との接合性に影響を及ぼすことがない。
【0060】
プレキャスト床版10と鋼桁20との接合性は、ボルト30および支持部材40により確保されるため、充填材の養生が完了する前であっても、次の工程を進めることができ、効率的な施工が可能である。
【0061】
この他の第三の実施形態の接合構造1の作用効果は、第一の実施形態で示した内容と同様なため、詳細の説明は省略する。
【0062】
<第四の実施形態>
第四の実施形態に係る接合構造1は、
図4に示すように、インサート11の下端部が、プレキャスト床版10の下面から突出している点で、第三の実施形態の接合構造1と異なっている。
【0063】
本実施形態のインサート11の下端の突出部分11aの外面には、雄ネジ加工が施されている。
この他のプレキャスト床版10の詳細は、第三の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。また、第四の実施形態に係る鋼桁20の詳細は、第一の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0064】
本実施形態の支持部材40は、プレート部41と、内ネジ部42とを備えて構成されていて、鋼桁20の上側のフランジ21の上面に当接している。
支持部材40は、貫通孔23を覆うように配設されている。
【0065】
プレート部41は、支持部材40の下端に設けられてフランジ21に当接する板材である。
プレート部41は、貫通孔23の内径よりも大きな形状を有している。プレート部41の中央には、ボルト30を挿通するためのボルト孔が形成されている。
【0066】
内ネジ部42は、プレート部41の上面に固定された筒状部材からなる。内ネジ部42の内面には、インサート11の突出部分11aに対応した雌ネジ加工が施されている。
つまり、内ネジ部42は、インサート11の突出部分11aに螺着可能である。
【0067】
なお、インサート11がプレキャスト床版10の下面から突出していない場合には、
図5に示すように、内ネジ部42の内面にボルト30の軸部に対応した雌ネジ加工を施せばよい。こうすることで、支持部材40は、貫通孔23を挿通したボルト30に螺着可能となる。
【0068】
ボルト30は、フランジ21の貫通孔23および支持部材40のプレート部41に挿通されるとともに、インサート11に螺合される。すなわち、プレキャスト床版10と鋼桁20はボルト30によって接合されている。
本実施形態では、ボルト30として高力ボルトを使用する。
【0069】
なお、ボルト30の頭部とフランジ21との間には支圧板31を介設する。ボルト30の頭部は、支圧板31を介してフランジ21の下面に係止させる。なお、支圧板31に代えてワッシャーを介設してもよい。
支圧板31には、第一の実施形態で示したものと同様のものを使用すればよい。
【0070】
ここで、ボルト30は、必ずしも頭部を備えたものである必要はなく、
図5に示すように、全ネジボルト30aを採用してもよい。全ネジボルト30aを使用する場合には、ナット33を全ネジボルト30aに螺着することで、フランジ21に係止させる。
【0071】
プレキャスト床版10と鋼桁20との隙間には、無収縮モルタル等からなる充填材50を充填する。なお、充填材50を構成する材料は限定されるものではなく、例えばコンクリートや高強度コンクリート等を使用してもよい。
【0072】
プレキャスト床版10と鋼桁20との隙間の端部(上側のフランジ21の端部)は、パッキン51等により、充填材50の流出が防止されている。なお、パッキンを構成する材料は限定されないが、本実施形態では発砲樹脂により構成する。また、パッキン51に代えて、型枠を設置してもよい。
【0073】
以上、本実施形態の接合構造1によれば、第三の実施形態で示した内容と同様の作用効果を得ることができる。
【0074】
<第五の実施形態>
第五の実施形態では、
図6に示すように、プレキャスト床版10と鋼桁20とをボルト30および取付治具60を介して接合する接合構造1(以下、単に「接合構造1」という)について説明する。
【0075】
本実施形態のプレキャスト床版10は、工場等において製造されたコンクリート部材である。
プレキャスト床版10と鋼桁20との間には取付治具60が介設されている。
【0076】
取付治具60は、本体部61と本体部61の上面に突設された埋設部62とにより構成されている。
【0077】
本体部61は、上下一対のフランジ63,64とウェブ65とを有する型鋼材により構成されている。なお、符号66はリブである。
【0078】
下フランジ64には、鋼桁20の貫通孔23の位置に対応して、ボルト挿通孔が形成されている。ボルト挿通孔は、ウェブ65を挟んで対向する位置にそれぞれ形成されており、ボルト30の軸部の外径と同等以上の内径を有している。
【0079】
上フランジ63の上面には、埋設部62が一体に固定されている。
本実施形態では、ウェブ65を挟んで対向する位置にそれぞれ埋設部62が立設されている。
【0080】
本実施形態の埋設部62は、孔あき鋼板を上フランジ63の上面に溶接することにより形成されている。なお、埋設部62の構成は限定されるものではなく、例えば、上フランジ63に立設されたスタッドボルトであってもよい。
【0081】
取付治具60は、プレキャスト床版10に埋め込まれた埋設部62によりプレキャスト床版10の下面に固定されている。
【0082】
なお、本実施形態の鋼桁20の詳細は、第一の実施形態で示した鋼桁20と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0083】
ボルト30は、取付治具60のボルト挿通孔と鋼桁20の貫通孔23に挿通される。ボルト30にナット33を螺合することで、取付治具60と鋼桁20とが接合される。
本実施形態では、ボルト30として高力ボルトを使用する。
【0084】
なお、ナット33とフランジ21との間には必要に応じて支圧板31を介設する。ナット33は、支圧板31を介してフランジ21の下面に係止させる。なお、支圧板31に代えてワッシャーを介設してもよい。
【0085】
以上、本実施形態の接合構造1によれば、取付治具60が型鋼材により形成されているため、強度的に優れていて、取付治具60が破損するおそれがない。
【0086】
また、取付治具60の下面により平坦性が確保されているため、取付治具60と鋼桁20との密着性が優れている。ゆえに、高品質な接合構造1が形成される。
【0087】
鋼桁20に形成された貫通孔23は、予め拡幅されているため、プレキャスト床版10と鋼桁20との水平方向でのずれを調整することができる。
なお、取付治具60の下フランジ64のボルト挿通孔の内径を拡幅しておくことで、ずれを調整してもよい。その場合は、下フランジ64の上面に支圧板もしくはワッシャーを設置する。
【0088】
<第六の実施形態>
第六の実施形態に係る接合構造1は、取付治具60と鋼桁20との間に支持部材40が介設されている点で、第五の実施形態と異なっている。
【0089】
本実施形態のプレキャスト床版10の詳細は、第五の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0090】
プレキャスト床版10と鋼桁20との間には取付治具60が介設されている。
本実施形態の取付治具60は、下フランジ64に形成されたボルト挿通孔67が、プレキャスト床版10と鋼桁20との位置のずれを吸収することを可能とするために、ボルト30の軸部の外径よりも大きな内径を有している点で、第五の実施形態で示した取付治具60と異なっている。この他の取付治具60の詳細は、第五の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0091】
本実施形態の鋼桁20は、貫通孔がボルト30の軸部の外径と同等の内径を有している点で、第五の実施形態で示した鋼桁20と異なっている。なお、この他の第六の実施形態に係る鋼桁20の詳細は、第五の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0092】
本実施形態の支持部材40は、プレート部41と、内ネジ部42とを備えて構成されていて、取付治具60の下フランジ64の下面に当接している。
支持部材40は、ボルト挿通孔67の下側を覆うように配設されている。
【0093】
プレート部41は、支持部材40の上端に設けられていて、下フランジ64に当接する板材である。
プレート部41は、ボルト挿通孔67の内径よりも大きな形状を有している。プレート部41の中央にはボルト30を挿通するためのボルト孔が形成されている。
【0094】
内ネジ部42は、プレート部41の下面に固定された筒状部材からなる。内ネジ部42の内面はボルト30の軸部(雄ネジ)に対応した雌ネジ加工が施されている。
【0095】
ボルト30の軸部は、鋼桁20の貫通孔23、支持部材40の内ネジ部42、取付治具60のボルト挿通孔67および支圧板31のボルト挿通孔に挿通される。支圧板31のボルト挿通孔から突出したボルト30の軸部にナット33を螺合することでプレキャスト床版10と鋼桁20とが接合される。
本実施形態では、ボルト30として高力ボルトを使用する。
【0096】
ボルト30に対する支持部材40の高さ位置を調節することで、プレキャスト床版10の下面と鋼桁20との間隔を調節する。
【0097】
なお、ナット33と取付治具60の下フランジ64との間には支圧板31が介設されている。ナット33は、支圧板31を介して下フランジ64の上面に係止されている。
支圧板31には、第一の実施形態で示したものと同様のものを使用すればよい。
【0098】
取付治具60と鋼桁20との隙間には、無収縮モルタル等からなる充填材50を充填する。なお、充填材50を構成する材料は限定されるものではなく、例えばコンクリートや高強度コンクリート等を使用してもよい。
【0099】
取付治具60と鋼桁20との隙間の端部には、型枠52が配設されている。型枠52により充填材50の流出が防止されている。
【0100】
型枠52は、鋼桁20の上側のフランジ21の下面に固定される固定片54と、固定片の側端から立ち上がるせき板片53とを有している。
本実施形態では、型枠52として、アングル材(山型鋼)を使用している。なお、型枠52の構成は限定されない。また、型枠52に代えてパッキンを採用してもよい。
【0101】
型枠52の固定片(アングル材の一方の片)54は、ボルト30とナット34で挟持することにより鋼桁20の上フランジ21の下面に固定されている。一方、型枠52のせき板片(アングル材の他方の片)53は隙間の側面を覆うように配設されている。
【0102】
以上、本実施形態の接合構造1によれば、支持部材40によりプレキャスト床版10と鋼桁20との隙間の高さを調整することが可能なため、何らかの原因により鋼桁20の高さにずれが生じた場合であっても、プレキャスト床版10の上面の高さを所望の高さに設定することができる。
【0103】
プレキャスト床版10と鋼桁20との接合性は、ボルト30により確保されるため、充填材の養生が完了する前であっても、次の工程を進めることができ、効率的な施工が可能である。
【0104】
この他の第六の実施形態の接合構造1の作用効果は、第五の実施形態で示した内容と同様なため、詳細の説明は省略する。
【0105】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
例えば、前記各実施形態で示した各部材の細部の組み合わせ等は適宜変更してもよい。