(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
交流電源から得られた周波数を変換するインバータと、該インバータで駆動される電動機を有する媒体駆動部とを備え、管を介して前記媒体駆動部により媒体を供給する媒体供給装置において、
前記電動機を所定の状態で動作させた場合に、配管抵抗に応じた前記インバータが変換する周波数の変化に対する前記媒体駆動部が供給する媒体量の変化の関係を示す情報を予め記憶する記憶部と、
前記電動機を前記所定の状態で動作させた場合に、前記インバータの周波数を検出する周波数検出部と、
該周波数検出部で検出した周波数及び前記記憶部に記憶した情報に基づいて前記媒体駆動部が供給する媒体量を算出する媒体量算出部と、
所要の媒体量を設定する設定部と、
該設定部で設定した所要の媒体量、前記周波数検出部で検出した周波数及び前記媒体量算出部で算出した媒体量に基づいて、前記インバータが変換する周波数を制御する周波数制御部と
を備えることを特徴とする媒体供給装置。
前記検出部で検出した周波数及び前記記憶部に記憶した情報に基づいて前記管を流れる媒体量を通知する通知部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の媒体供給装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ポンプと金型との間の配管及び金型の管路を含む配管(管)の配管抵抗(圧力損失ともいうことができる)は、配管の長さ及び管径、流量に依存するため、金型を変更した場合、配管抵抗(圧力損失)が変化する。そして、配管抵抗が変化した場合、モータの電流と流量との間には一義的な関係が成立しなくなり、モータの電流値に基づいて媒体の流量を求めることができない。そこで、金型に供給する流量が不足しないように、常に金型温度調節機の最大流量で金型に媒体を供給する方法が行われている。このため、必要以上の多量の媒体を供給しなければならないという問題がある。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、最適な流量の媒体を供給することができる媒体供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る媒体供給装置は、交流電源から得られた周波数を変換するインバータと、該インバータで駆動される電動機を有する媒体駆動部とを備え、管を介して前記媒体駆動部により媒体を供給する媒体供給装置において、前記電動機を所定の状態で動作させた場合に、配管抵抗に応じた前記インバータが変換する周波数の変化に対する前記媒体駆動部が供給する媒体量の変化の関係を示す情報を予め記憶する記憶部と、前記電動機を前記所定の状態で動作させた場合に、前記インバータの周波数を検出する周波数検出部と、該周波数検出部で検出した周波数及び前記記憶部に記憶した情報に基づいて前記媒体駆動部が供給する媒体量を算出する媒体量算出部と、所要の媒体量を設定する設定部と、該設定部で設定した所要の媒体量、前記周波数検出部で検出した周波数及び前記媒体量算出部で算出した媒体量に基づいて、前記インバータが変換する周波数を制御する周波数制御部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明にあっては、記憶部には、電動機を所定の状態で動作させた場合に、配管抵抗に応じたインバータが変換する周波数の変化に対する媒体駆動部が供給する媒体量(例えば、媒体の流量)の変化の関係を示す情報を予め記憶してある。所定の状態とは、例えば、電動機が定トルク領域内で運転(動作)している場合には、電動機のトルクが任意の所定値であることを意味する。また、電動機が定出力領域内で運転(動作)している場合には、電動機の出力(電力)が任意の所定値であることを意味する。所定値は、最大値(例えば、連続最大定格、瞬間最大定格など)でもよく、最大値より小さい値(例えば、90%、80%、70%など)であってもよい。電動機を所定(一定)の状態で動作(運転)させた場合において、配管抵抗が大きい(すなわち、圧力損失が大きい)ときには、媒体は流れにくく、定格内で回転数が制限され流量をあまり大きく流せないため、流量とインバータの周波数とは比較的小さくなる。逆に、配管抵抗が小さい(すなわち、圧力損失が小さい)ときには、媒体は流れやすくなり、定格内で回転数を大きくして流量を増やすことができるため、流量とインバータの周波数とは比較的大きくなる。
【0009】
周波数検出部は、電動機を所定の状態で動作させた場合に、インバータが変換した周波数を検出する。所定の状態は、記憶部に記憶した周波数と媒体量との関係を示す情報を求めた際の電動機の運転状態と同じ状態ということである。また、周波数を検出する場合、例えば、媒体供給装置の負荷である金型がセットされた状態における、媒体駆動部(例えば、ポンプ)と金型との間の配管及び金型の管路を含む配管(管)の配管抵抗(圧力損失)は、ある特定の値に定まっていることになる。
【0010】
媒体量算出部は、周波数検出部で検出した周波数及び記憶部に記憶した情報に基づいて媒体駆動部が供給する媒体量を算出する。すなわち、記憶部に記憶した周波数と媒体量との関係を示す情報において、検出した周波数に対応する流量を特定し、特定した流量を媒体量として算出する。なお、「算出する」は「特定する」と称することもできる。算出された媒体量は、媒体駆動部(例えば、ポンプ)と金型との間の配管及び金型の管路を含む配管(管)の配管抵抗(圧力損失)が、ある特定の値に定まっている状態において、電動機を最大値(最大定格)、あるいは最大値より小さい所定値で運転(動作)させた場合の媒体の流量である。特に、電動機を最大値で運転させた場合には、圧力損失が不明な金型に対して、最大流量がどの程度であるかを把握することができる。
【0011】
周波数制御部は、設定部で設定した所要の媒体量、検出された周波数及び算出された媒体量に基づいて、インバータが変換する周波数を制御する。例えば、周波数と媒体量との間に直線関係があれば、検出された周波数をFm、算出された媒体量をQm、所要の媒体量をQrとすると、周波数制御部は、インバータが変換すべき周波数(運転周波数とも称する)Frを、Fr=(Fm/Qm)×Qrの式により算出して、算出した周波数になるように制御する。
【0012】
これにより、所要の流量Qrを設定した場合、媒体駆動部(例えば、ポンプ)と金型との間の配管及び金型の管路を含む配管(管)の配管抵抗に対して、所要の流量Qrを確保するのに最適な状態で電動機を運転することができるので、所要の流量の媒体を無駄なく供給することができる。また、不要な多量の媒体を供給する必要がないので、省電力化を図ることができる。
【0013】
本発明に係る媒体供給装置は、前記所定の状態は、前記電動機の定トルク領域でのトルクが任意の所定値であることを特徴とする。
【0014】
本発明にあっては、所定の状態は、電動機の定トルク領域でのトルクが任意の所定値である。これにより、インバータの周波数が基底周波数以下で電動機を運転させる定トルク運転において、所要の媒体量を供給することができる。
【0015】
本発明に係る媒体供給装置は、前記所定の状態は、前記電動機の定出力領域での出力が任意の所定値であることを特徴とする。
【0016】
本発明にあっては、所定の状態は、電動機の定出力領域での出力が任意の所定値である。これにより、インバータの周波数が基底周波数以上で電動機を運転させる定出力運転において、所要の媒体量を供給することができる。
【0017】
本発明に係る媒体供給装置は、前記所定値は、前記電動機の最大値であることを特徴とする。
【0018】
本発明にあっては、所定値は、最大値である。所要の媒体量Qrに対して、インバータが変換する周波数(運転周波数Fr)を制御する場合に、媒体量及び周波数がゼロの点と、媒体量がQm及び周波数がFmである点を結ぶ直線もしくは曲線を用いる。直線もしくは曲線のいずれで示すかは、事前にポンプの特性を実測することにより確定することができる。この場合、所定値が最大値であれば、最大値以下の任意の値に対して運転周波数Frを求めることができる。
【0019】
本発明に係る媒体供給装置は、前記電動機のトルク又は該トルクに関連する物理量を検出する検出部と、該検出部で検出したトルク又は該トルクに関連する物理量が最大値より大きい場合、その旨を報知する報知部とを備えることを特徴とする。
【0020】
本発明にあっては、報知部は、検出部で検出したトルク又はトルクに関連する物理量が最大値より大きい場合、その旨を報知する。これにより、最大値を超える状態で電動機を運転することを防止することができる。
【0021】
本発明に係る媒体供給装置は、前記記憶部に記憶した情報から特定の配管抵抗に対応する周波数を特定する特定部と、前記周波数検出部で検出した周波数と前記特定部で特定した周波数との差分が所定の閾値より大きい場合、異常と判定する判定部とを備えることを特徴とする。
【0022】
本発明にあっては、特定部は、記憶部に記憶した情報から特定の配管抵抗に対する周波数を特定する。特定の配管抵抗は、例えば、管を介して媒体供給装置に金型が接続される場合、当該金型を含む配管抵抗である。すなわち、所要の金型を用いる場合の配管抵抗に対するインバータの周波数(当初設定周波数Fdとも称する)を予め特定しておく。そして、実際に当該金型を用いて電動機を運転した場合に、判定部は、周波数検出部で検出した周波数Fmと周波数記憶部に記憶した周波数Fdとの差分ΔFが所定の閾値THより大きい場合、異常と判定する。差分ΔFが閾値THより大きい場合、例えば、配管内の詰まり、配管漏れ、配管に介装したバルブ等の開閉忘れ、媒体駆動部の異常などの異常が発生していると判定することができ、速やかに対処することが可能となる。
【0023】
本発明に係る媒体供給装置は、前記検出部で検出した周波数及び前記記憶部に記憶した情報に基づいて前記管を流れる媒体量を通知する通知部を備えることを特徴とする。
【0024】
本発明にあっては、通知部は、検出部で検出した周波数Fm及び記憶部に記憶した情報に基づいて管を流れる媒体量を通知する。すなわち、記憶部に記憶した周波数と媒体量との関係を示す情報において、検出した周波数Fmに対応する流量を特定し、特定した流量を、管を流れる媒体量として通知する。これにより、実際に使用する金型の圧力損失が不明な場合でも、電動機を所定の状態で動作させた場合における媒体の流量を把握することができる。
【0025】
本発明に係る媒体供給装置は、前記電動機のトルク又は該トルクに関連する物理量を検出する検出部と、前記記憶部に記憶した情報から特定の配管抵抗に対応するトルク又は該トルクに関連する物理量を特定する特定部と、前記検出部で検出したトルク又は該トルクに関連する物理量と前記特定部で特定したトルク又は該トルクに関連する物理量との差分が所定の閾値より大きい場合、異常と判定する判定部とを備えることを特徴とする。
【0026】
本発明にあっては、特定部は、記憶部に記憶した情報から特定の配管抵抗に対するトルク又はトルクに関連する物理量を特定する。特定の配管抵抗は、例えば、管を介して媒体供給装置に金型が接続される場合、当該金型を含む配管抵抗である。すなわち、所要の金型を用いる場合の配管抵抗に対するトルク又はトルクに関連する物理量を予め特定しておく。そして、実際に当該金型を用いて電動機を運転した場合に、判定部は、検出部で検出したトルク又はトルクに関連する物理量と記憶部に記憶したトルク又はトルクに関連する物理量との差分が所定の閾値より大きい場合、異常と判定する。差分が閾値より大きい場合、例えば、配管内の詰まり、配管漏れ、配管に介装したバルブ等の開閉忘れ、媒体駆動部の異常などの異常が発生していると判定することができ、速やかに対処することが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、所要の流量の媒体を供給することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。
図1は本実施の形態の媒体供給装置100の構成の一例を示す説明図である。媒体供給装置100は、例えば、金型温度調節機であるが、これに限定されるものではない。
図1に示すように、媒体供給装置100は、インバータ10、制御部20、ポンプ30、設定部26、表示部27などを備える。また、制御部20は、検出部21、算出部22、周波数制御部23、判定部24、記憶部25などを備える。また、ポンプ30は、電動機としてのモータ31を備える。
【0030】
ポンプ30と、媒体としての液体が供給される金型1との間には、ポンプ30から金型1へ液体を送出するための配管5、金型1からポンプ30へ液体を戻すための配管5を接続してある。ポンプ30から金型1へ液体を送出するための配管5には送媒バルブ3を介装してある。また、金型1からポンプ30へ液体を戻すための配管5には、返媒バルブ4及びタンク2を介装してある。なお、タンク2には、不図示の給水用の配管及び排水用の配管が接続されてある。
【0031】
タンク2は、ヒータ及び熱交換器(不図示)などを備え、金型1から戻った液体の温度を所定の温度に設定することができる。本実施の形態では、液体が供給される装置(負荷)として、金型を一例として説明するが、液体が供給される装置は、金型に限定されるものではなく、液体の流量が変動するような熱交換器、その他の装置も含むものとする。
【0032】
本実施の形態において、金型1は、比較的小さな金型から比較的大きな金型まで種々のものがある。例えば、寸法は比較的小さいものの形状が複雑な成型品には、小さな金型が使用される。複雑な成型品を成形する小さな金型の場合には、射出される樹脂量が少ないため流量は比較的少なくてすむが、金型に設けられた管路が複雑になり、配管抵抗が大きくなるので高圧の液体を供給する必要がある。一方、寸法が大きく形状が単純な成型品には、大きな金型が使用され、射出される樹脂量が大きくなるため、金型の温度を適切な温度に制御するためには、比較的多くの流量の液体を供給する必要がある。また、液体としては、水、油などを使用することができるが、以下の説明では液体の一例として水を使用するものとする。
【0033】
なお、ポンプ30と金型1との間の配管5及び金型1の管路を含む配管(管)の配管抵抗(圧力損失ともいうことができる)は、配管の長さ及び管径、流量に依存するため、配管5及び金型1が変わると配管抵抗も異なる。
【0034】
インバータ10は、50Hz又は60Hzなどの交流電源から供給される周波数(基底周波数)を変換し、変換した周波数の交流電圧をポンプ30のモータ31に出力する。
【0035】
ポンプ30は、ケーシング(容器)内でモータ31の回転により羽根車を高速回転し、水(液体)に作用する遠心力を利用することにより、配管5を介して金型1に水を供給する。
【0036】
検出部21は、モータ31のトルク又はトルクに関連する物理量を検出する。トルクに関連する物理量は、例えば、モータ31のトルク電流又は出力(出力電力)などである。なお、トルクには、実際のトルクを定格トルク(モータ31の固有の一定値)で除算した値であるトルク比(無次元化したもの)も含む。本実施の形態では、モータ31のトルクに関連する物理量は、モータ31のトルクに変換することができるトルク電流、負荷電流又はモータ31の出力電力なども含めることができるものとする。すなわち、モータ31のトルクとは、モータ31のトルクだけでなく、トルクに関連する物理量としてのモータ31のトルク電流、負荷電流又はモータ31の出力電力も含めることができるものとする。
【0037】
なお、検出部21はインバータ10の内部のセンサ(不図示)で物理量を検出する構成でもよく、あるいは、インバータ10とモータ31との間にセンサ211を設け、インバータ10の外部に設けられたセンサ211で物理量を検出するようにしてもよい。
【0038】
インバータ10が変換する周波数とモータ31の回転軸の回転数(「回転速度」とも称する)との関係は、Vf=120×F/Sで表すことができる。ここで、Vfはモータ31の回転軸の回転数で、Sはモータ31の極数で、Fはインバータ10の周波数である。例えば、モータ31が4極であり、インバータ10の周波数Fが50Hzの場合、モータ31の回転軸の回転数Vfは1500rpmとなり、インバータ10の周波数Fが60Hzの場合、モータ31の回転軸の回転数Vfは1800rpmとなる。
【0039】
図2は本実施の形態のインバータ制御されたモータ31の出力特性の一例を示す説明図である。
図2において、横軸はインバータ10の周波数を示し、縦軸はモータ31のトルク(出力トルク)及び出力電力を示す。
図2に示すように、インバータ10の周波数が基底周波数(例えば、50Hz又は60Hz)を境にしてモータ31の出力特性が変わる。基底周波数以下では、定トルク特性(定トルク領域)となり、基底回転数以上では定出力特性(定出力領域)となる。
【0040】
図2中、実線で示すモータ31のトルク曲線(トルク特性)のように、モータ31のトルクは、定トルク領域では一定となり、定出力領域ではインバータ10の周波数が大きくなるにつれて徐々に小さくなる。定出力領域におけるモータ31のトルク曲線上ではモータの出力電力が一定となる。
【0041】
また、
図2中、破線で示すモータ31の電力曲線(出力電力特性)のように、モータ31の出力電力は、定トルク領域ではインバータ10の周波数が大きくなるにつれて徐々に大きくなり、定出力領域では一定となる。
【0042】
図3は本実施の形態のインバータ制御されたモータ31の運転状態の一例を示す説明図である。本実施の形態では、インバータ10は、モータ31を所定の状態で動作(運転)する。所定の状態とは、例えば、モータ31が定トルク領域内で運転(動作)している場合には、モータ31のトルクが任意の所定値であることを意味する。
図3の例では、所定値として、出力トルクが定格値(100%)、定格値の70%の例を挙げているが、トルクの所定値は、これらに限定されるものではない。すなわち、所定値は、最大値(例えば、最大定格値としての連続最大定格又は瞬間最大定格など)でもよく、最大値より小さい値(例えば、最大値の90%、80%、70%など)であってもよい。また、トルクの所定値は、トルク曲線で表される直線又は曲線上の値も含むものとする。
【0043】
また、所定の状態とは、モータ31が定出力領域内で運転(動作)している場合には、モータ31の出力が任意の所定値であることを意味する。
図3の例では、定トルク領域において、出力トルクが定格値(100%)及び定格値の70%で一定であったものが、定出力領域ではインバータ10の周波数が大きくなるにつれて徐々に小さくなる。そして、定出力領域では、モータ31の出力(出力電力)は、定格値(100%)及び定格値の70%で一定となる。なお、出力電力の所定値は、これらに限定されるものではない。すなわち、出力電力の所定値は、最大値(例えば、最大定格値としての連続最大定格又は瞬間最大定格など)でもよく、最大値より小さい値(例えば、最大値の90%、80%、70%など)であってもよい。また、出力電力の所定値は、電力曲線(出力曲線)で表される直線又は曲線上の値も含むものとする。
【0044】
記憶部25には、モータ31を
図3に例示したような所定の状態で動作させた場合に、配管抵抗に応じたインバータ10が変換する周波数の変化に対する媒体駆動部としてのポンプ30が供給する媒体量(例えば、媒体の流量)の変化の関係を示す情報を予め記憶してある。
【0045】
図4はポンプ30の流量・周波数特性の一例を示す説明図である。
図4において、横軸は媒体の流量を示し、縦軸はインバータ10が変換する周波数を示す。
図4に示すチャートは、インバータ10が変換する周波数を任意の周波数に設定し、並列に配置した複数の配管を介してポンプ30と金型とを接続し、モータ31を所定の状態で運転するように、各配管の途中に介装された開閉バルブの開閉度合いを調整することで、配管抵抗(圧力損失)を変化させたときの、インバータ10が変換する周波数とそのときの媒体の流量との関係を示したものである。
図4の例では、モータ31を運転する際の所定の状態として、
図3に例示した状態と同様の、最大値運転の場合(
図4中実線で示す直線)と、最大値の70%運転の場合(
図4中破線で示す直線)とを示す。
【0046】
モータ31を所定(一定)の状態で動作(運転)させた場合において、配管抵抗が大きい(すなわち、圧力損失が大きい)ときには、媒体は流れにくいため、流れやすい金型の場合に比べてインバータの周波数は比較的大きくしなければならない。逆に、配管抵抗が小さい(すなわち、圧力損失が小さい)ときには、媒体は流れやすくなるので、インバータの周波数は比較的小さくすることができる。
【0047】
記憶部25に記憶する、インバータ10が変換する周波数の変化と、ポンプ30が供給する媒体量の変化との関係を示す情報は、
図4に示すような情報である。記憶部25は、
図4に示すような情報を、例えば、LUT(ルック・アップ・テーブル)のような構成で記憶してもよく、また、
図4に示すような関係を演算で求める演算回路を媒体供給装置100に内蔵する構成で記憶することもできる。
【0048】
図4に例示する情報は、例えば、ポンプ30の型式、定格などが変わると異なる。したがって、記憶部25には、採用するポンプ30の型式、定格毎にポンプ30の流量・周波数特性を記憶することができる。
【0049】
図4に示すポンプ30の流量・周波数特性の一例としては、例えば、モータ31を最大値運転とした場合に、媒体の流量がゼロのとき(開閉バルブが全閉)にインバータ10が変換する周波数が47(Hz)、流量が60(l/min)のとき(開閉バルブが全開)にインバータ10が変換する周波数が65(Hz)の如くである。なお、数値は一例であって、これに限定されるものではない。
【0050】
検出部21は、周波数検出部としての機能を有し、モータ31を所定の状態で動作させた場合に、インバータ10が変換した周波数を検出する。所定の状態は、記憶部25に記憶した周波数と媒体量との関係を示す情報を求めた際のモータ31の運転状態と同じ状態ということである。また、検出部21で周波数を検出する場合、例えば、媒体供給装置100の負荷である金型1がセットされた状態におけるポンプ30と金型1との間の配管及び金型の管路を含む配管(管)の配管抵抗(圧力損失)は、モータ31を所定の状態で動作させる限りにおいては、ある特定の値に定まっていることになる。
【0051】
算出部22は、媒体量算出部としての機能を有し、検出部21で検出した周波数及び記憶部25に記憶した情報に基づいてポンプ30が供給する媒体量を算出する。
【0052】
すなわち、記憶部25に記憶した周波数と媒体量との関係を示す情報において、検出した周波数に対応する流量を特定し、特定した流量を媒体量として算出する。なお、「算出する」は「特定する」と称することもできる。算出された媒体量は、ポンプ30と金型1との間の配管及び金型の管路を含む配管(管)の配管抵抗(圧力損失)が、ある特定の値に定まっている状態において、モータ31を最大値(最大定格)、あるいは最大値より小さい所定値で運転(動作)させた場合の媒体の流量である。特に、モータ31を最大値で運転させた場合には、圧力損失が不明な金型に対して、最大流量がどの程度であるかを把握することができる。
【0053】
設定部26は、操作パネル等を備え、ユーザが、金型1に供給する媒体の流量を所要の流量に設定する操作を受け付けることができる。設定部26は、設定される流量を周波数制御部23へ出力する。
【0054】
周波数制御部23は、設定部26で設定した所要の流量(媒体量)、検出部21で検出された周波数及び算出部22で算出された媒体量に基づいて、インバータ10が変換する周波数を制御する。例えば、検出された周波数をFm、算出された媒体量をQm、所要の媒体量をQrとすると、周波数制御部23は、インバータ10が変換すべき周波数(運転周波数とも称する)Frを、Fr=(Fm/Qm)×Qrの式により算出して、算出した周波数になるように制御する。
【0055】
図5は本実施の形態の媒体供給装置100によるインバータ10が変換する周波数の制御方法の一例を示す説明図である。以下の説明では、モータ31の所定の運転状態(動作状態)を、最大値運転の場合として説明する。
図5において、横軸は媒体の流量を示し、縦軸はインバータ10が変換する周波数を示す。
図5中、「最大値運転時の流量・周波数特性」として示す直線は、
図4に例示した「最大値運転の場合」の直線と同じである。すなわち、モータ31の所定の運転状態は、最大値運転である。
【0056】
そして、本実施の形態の媒体供給装置100を設置し、圧力損失が不明な金型1に媒体としての水を供給する場合を考える。検出部21は、モータ31を最大値運転の状態で動作させた場合に、インバータ10が変換した周波数(
図5の最大周波数Fm)を検出する。
【0057】
次に、算出部22は、検出部21で検出した最大周波数Fm及び記憶部25に記憶した情報に基づいてポンプ30が供給する媒体量(
図5の最大流量Qm)を算出(特定)する。すなわち、検出した最大周波数Fmに対応する点Aを、最大値運転時の流量・周波数特性を示す直線上で特定し、点Aに対応する流量を最大流量Qmとして算出(特定)する。
【0058】
周波数と流量とが直線関係にある場合、最大周波数Fm及び最大流量Qmで画定される点Aが特定されると、点Aと原点とを結ぶ線分が特定される。「最大値運転時の流量・周波数特性」として示す直線上では、配管抵抗は変化する。原点と点Aとを結ぶ線分は、配管抵抗が点Aにおける配管抵抗と同一時の流量と周波数との関係を示す。配管抵抗一定時の流量・周波数特性上の周波数をF、流量をQとすると、F=(Fm/Qm)×Qの式が成立する。周波数と流量とが直線関係にない場合、回帰曲線で流量から周波数を導き出すことができる。
【0059】
そして、金型1に供給する所要の流量をQrとすると、インバータ10が変換する運転周波数Frは、Fr=(Fm/Qm)×Qrの式で求めることができる。すなわち、周波数制御部23が、インバータ10が変換する周波数をFrとすべく制御することにより、金型1には流量Qrの媒体を供給することができる。
【0060】
これにより、所要の流量Qrを設定した場合、ポンプ30と金型1との間の配管及び金型の管路を含む配管(管)の配管抵抗に対して、所要の流量Qrを確保するのに最適な状態でモータ31を運転することができるので、所要の流量の媒体を無駄なく供給することができる。また、不要な多量の媒体を供給する必要がないので、省電力化を図ることができる。
【0061】
なお、
図5の例においては、モータ31の所定の運転状態として最大値運転時の場合について説明したが、所定の運転状態は最大値運転時に限定されるものではなく、最大値より小さい値(例えば、最大値の70%、80%、90%など)で運転する場合についても同様に所要の流量を金型1に供給することができる。
【0062】
しかし、所要の媒体量Qrに対して、インバータ10が変換する周波数(運転周波数Fr)を求める場合に、媒体量及び周波数がゼロの点と、媒体量がQm及び周波数がFmである点を結ぶ直線又は曲線を用いるので、所定値が最大定格値であれば、最大定格値以下の任意の値に対して運転周波数Frを求めることができる。
【0063】
また、前述のとおり、所定の状態は、モータ31の定トルク領域でのトルクが任意の所定値であるので、インバータ10の周波数が基底周波数以下でモータ31を運転させる定トルク運転において、所要の媒体量を供給することができる。
【0064】
また、所定の状態は、モータ31の定出力領域での出力が任意の所定値であるので、インバータ10の周波数が基底周波数以上でモータ31を運転させる定出力運転において、所要の媒体量を供給することができる。
【0065】
図6は媒体の温度変化に対して流量を補正する場合の倍率の一例を示す説明図である。媒体の温度に応じた流量の変化を無視することができない場合には、
図6に例示するような倍率を用いて流量を補正することができる。
図6の例では、温度が30℃の流量の倍率を1とし、温度が30℃から変化した場合に、30℃での流量に、変化後の温度の倍率を乗算することにより、変化後の温度での流量を求めることができる。例えば、30℃での流量が55(l/min)である場合、温度が80℃での倍率は、約1.1であるので、温度80℃での流量は、60.5(l/min)(=55×1.1)となる。他の温度についても同様にして流量を求めることができる。なお、
図6に示すようなデータは、記憶部25に記憶しておいてもよく、演算で求めるようにしてもよい。これにより、媒体の温度に関わらず最適な流量を供給することができる。
【0066】
次に、本実施の形態の媒体供給装置100の動作について説明する。
図7は本実施の形態の媒体供給装置100の動作の一例を示すタイムチャートである。
図7において、横軸は時間を示し、縦軸はインバータ10が変換する周波数を示す。
図7に示すように、時刻0において、ユーザが運転スイッチ等(不図示)をオンとすることにより、モータ31を最大値運転すべく運転を開始(起動)する。
【0067】
そして、時刻t1において、モータ31が最大値の運転状態になったとする。制御部20は、時刻t1から時刻t2までの間に、最大周波数Fmを検出し、最大周波数Fmに対応する最大流量Qmを算出(特定)する。また、制御部20は、時刻t1から時刻t2までの間(例えば、5秒程度)において、インバータ10の周波数の変動が、例えば、Fm±1Hzであるか否かを判定し、1Hz以内であれば安定状態になったものとし、「最大値運転」から「周波数指令による運転」に移行する。
【0068】
ユーザが所要の流量として流量Qr1を設定したとし、流量をQr1とするための運転周波数をFr1とすると、時刻t2において、制御部20は、インバータ10が変換する周波数をFmからFr1とすべく制御する。そして、時刻t3において、運転周波数がFr1となると、制御部20は、運転周波数をFr1に維持したままの運転を継続する。これにより、金型1には流量Qr1の媒体を供給することができる。
【0069】
時刻t4において、ユーザが流量の設定をQr2に変更したとすると、制御部20は、インバータ10が変換する周波数をFr1から流量Qr2に対応する周波数Fr2とすべく制御する。そして、時刻t5において、運転周波数がFr2となると、制御部20は、運転周波数をFr2に維持したままの運転を継続する。これにより、金型1には流量Qr2の媒体を供給することができる。以降、同様の動作を行う。
【0070】
また、
図7に示すように、起動時に毎回最大値での運転を行い、現在の圧力損失状態での最大流量Qmを求めることができるので、金型1が変更され圧力損失が変わった場合でも所要の流量を金型1に供給することができる。また、最大値よりも小さい値(例えば、最大値の70%、80%、90%など)で運転する場合についても同様にして所要の流量を金型1に供給することができる。
【0071】
表示部27は、例えば、液晶パネルの如く表示画面、スピーカ、表示灯などを備え、報知部としての機能を有する。表示部27は、検出部21で検出したトルク又はトルクに関連する物理量が最大値(例えば、最大定格値、連続運転での許容値、短時間運転での許容値など)より大きい場合、その旨を、画像、音声又は発光等により報知する。これにより、最大値を超える状態でモータ31を運転することを防止することができる。なお、所定値(例えば、最大値の70%)で運転している場合に、検出部21で検出したトルク又はトルクに関連する物理量が所定値より大きくなった場合に、その旨を、画像、音声又は発光等により報知するようにしてもよい。
【0072】
また、表示部27は、通知部としての機能を有し、検出部21で検出した周波数Fm及び記憶部25に記憶した情報に基づいて配管5(管)を流れる媒体量を通知する。すなわち、記憶部25に記憶した周波数と媒体量との関係を示す情報において、検出した周波数Fmに対応する流量を特定し、特定した流量を、配管5を流れる媒体量として通知する。これにより、実際に使用する金型の圧力損失が不明な場合でも、モータ31を所定の状態で動作させた場合における媒体の流量を把握することができる。
【0073】
図8は本実施の形態の媒体供給装置100による配管系統の異常の有無を判定する方法の一例を示す説明図である。配管系統とは、例えば、
図1の例において、ポンプ30、配管5、送媒バルブ3、返媒バルブ4、タンク2、金型1などを含む。
図8において、横軸は媒体の流量を示し、縦軸はインバータ10が変換する周波数を示す。また、
図8中の直線は、最大値運転時の流量・周波数特性であり、
図5に例示したものと同じである。
【0074】
制御部20は、特定部としての機能を有し、記憶部25に記憶した情報から特定の配管抵抗に対する周波数(特定周波数とも称する)を特定する。特定の配管抵抗は、例えば、配管5を介して媒体供給装置100に金型1が接続される場合、当該金型1を含む配管抵抗である。すなわち、所要の金型1を用いる場合、当該金型1により画定される配管抵抗に対するインバータ10の周波数(特定周波数Fdとも称する)を予め特定しておく。特定周波数Fdは、
図8において、符号Cで示す点に対応する周波数であり、予め特定することができる。
【0075】
そして、実際に金型1を用いてモータ31を運転した場合に、判定部24は、検出部21で検出した周波数Fm(
図8中符号Dで示す点に対応する周波数)と記憶部25に記憶した周波数Fdとの差分ΔFが所定の閾値THより大きい場合、異常と判定する。すなわち、実際に金型1を用いてモータ31を運転した場合、配管抵抗は、前述の特定の配管抵抗と同等であるので、配管系統に異常がなければ、検出部21で検出する周波数は、特定周波数Fdと略等しくなる。したがって、差分ΔFが閾値THより大きい場合、例えば、配管5内の詰まり、配管漏れ、配管5に介装したバルブ等の開閉忘れ、ポンプ31の異常などの異常が発生していると判定することができ、速やかに対処することが可能となる。
【0076】
上述の実施の形態では、媒体として液体を用いた金型温度調節機を一例として説明したが、媒体供給装置が供給する媒体は、液体に限定されるものではなく、例えば、材料供給管を介して粉体を空気輸送する場合にも本実施の形態を適用することができる。この場合には、所要の風量を設定した場合、設定した風量を確保するのに最適な状態でモータ31を運転することができ、所要の風量の空気を供給することができる。
【0077】
また、記憶部25は、特定の配管抵抗に対応するトルク又はトルクに関連する物理量を記憶する機能を有する。制御部20は、記憶部25に記憶した情報から特定の配管抵抗に対するトルク又はトルクに関連する物理量を特定し、判定部24は、検出部21で検出したトルク又はトルクに関連する物理量と制御部20で特定したトルク又はトルクに関連する物理量との差分が所定の閾値より大きい場合、異常と判定するようにしてもよい。
【0078】
トルク又はトルクに関連する物理量の差分が閾値より大きい場合には、例えば、配管内の詰まり、配管漏れ、配管に介装したバルブ等の開閉忘れ、媒体駆動部の異常などの異常が発生していると判定することができ、速やかに対処することが可能となる。
【0079】
上述の実施の形態では、所要の流量を設定した場合、媒体駆動部(例えば、ポンプ)と金型との間の配管及び金型の管路を含む配管(管)の配管抵抗に対して、所要の流量を確保するのに最適な状態でモータを運転すべくインバータが変換する周波数を制御する構成であった。しかし、これに限定されるものではなく、所要の流量に代えて、所要の圧力を設定し、設定した圧力を確保するのに最適な状態でモータを運転すべくインバータが変換する周波数を制御することもできる。すなわち、配管(管)の圧力はモータのトルクと比例し、流量はインバータの周波数に比例するので、本実施の形態のトルクと周波数との関係を代用特定として用いることができる。
【0080】
例えば、所要の圧力を設定し、設定した圧力に対応するトルク値で電動機を動作すべくインバータの周波数を制御する。インバータの周波数が特定されると、特定されたインバータの周波数(特定周波数)に応じて媒体の流量が決定される。また、電動機のトルク値に応じて圧力を求めることができ、圧力を表示させることができる。
【0081】
また、圧力の変化に応じて周波数が変化した場合には、検出した周波数と特定周波数との差分が生じる。そこで、当該差分が所定の閾値よりも大きい場合には、配管内で何等かの異常が発生して圧力が変化したと判定することができるので、かかる場合には、その旨を報知することができる。
【0082】
流量に代えて、圧力を設定して、設定した圧力が所要の圧力に比べて変化することを検出することにより、例えば、複数の金型(例えば、配管抵抗が大、中、小の金型)を接続する場合に、流量を設定したときには、個々の金型に流れる媒体の流量は個別に設定することができないので、配管抵抗が大きい金型に流れる媒体の流量がわからない。しかし、圧力を設定することにより、複数の金型が接続された場合でも、各金型に対する圧力を最適な値とすることができる。また、各金型に対する圧力を管理しているユーザには、管理点を変更する必要がなく、過去のデータ又は経験を生かすことができユーザの利便性を維持することができる。
【0083】
なお、前述の実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせることができる。