特許第6198688号(P6198688)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6198688プローブ並びに光干渉断層画像生成装置及びゼロ点補正方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6198688
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】プローブ並びに光干渉断層画像生成装置及びゼロ点補正方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20170911BHJP
   A61B 1/24 20060101ALI20170911BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   A61B1/00 526
   A61B1/24
   G01N21/17 620
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-147150(P2014-147150)
(22)【出願日】2014年7月17日
(65)【公開番号】特開2016-22076(P2016-22076A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2016年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141598
【氏名又は名称】株式会社吉田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】鹿熊 秀雄
【審査官】 樋熊 政一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−217753(JP,A)
【文献】 特開2012−217752(JP,A)
【文献】 特開2012−213433(JP,A)
【文献】 特開2012−024551(JP,A)
【文献】 特開2011−240155(JP,A)
【文献】 特開2008−194108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
G01N 21/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測光を被写体に照射して前記被写体から反射して戻って来た散乱光を回収する光干渉断層画像生成装置に使用されるプローブであって、
前記計測光の照射方向を変化させるガルバノミラーから成る走査手段を備え、
前記走査手段は、前記計測光を反射する反射鏡を、前記被写体に向けて反射させて前記被写体に当たって前記散乱光として戻って来る状態と、
前記計測光を前記プローブ内で乱反射させる状態と、に切り換えるアクチュエータを備えていることを特徴とするプローブ。
【請求項2】
前記アクチュエータは、非撮影時に、前記反射鏡を、当該反射鏡で反射した前記計測光が当該反射鏡に戻らない角度に回動させていることを特徴とする請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記走査手段は、前記プローブのハウジング内に導入された前記計測光を反射させる第1ガルバノミラーと、
前記第1ガルバノミラーで反射した前記計測光を前記ハウジングの先端部に配置されたノズルに向けて反射する第2ガルバノミラーと、を備え、
前記アクチュエータは、非撮影時に、少なくとも前記第1ガルバノミラー、あるいは、前記第2ガルバノミラーを、当該第1ガルバノミラー、あるいは、当該第2ガルバノミラーに前記計測光が戻らない角度に回動させていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプローブ。
【請求項4】
前記反射鏡を、当該反射鏡で反射した前記計測光が当該反射鏡に戻らない角度に傾けた状態で前記光干渉断層画像生成装置の画像データをゼロ点補正するスイッチを設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のプローブ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のプローブを有し、
前記計測光を前記プローブ内で乱反射させる状態のバックグランドデータを取得し、前記計測光を反射する反射鏡を、前記被写体に向けて反射させて前記被写体に当たって前記散乱光として戻って来る状態で取得した計測データから前記バックグランドデータを差し引いてゼロ点補正することを特徴とする光干渉断層画像生成装置。
【請求項6】
前記反射鏡を、当該反射鏡で反射した前記計測光が当該反射鏡に戻らない角度に傾けた状態のバックグランドデータを取得するフットコントローラを設けたことを特徴とする請求項5に記載の光干渉断層画像生成装置。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の前記プローブを利用したゼロ点補正方法であって、
前記計測光を前記プローブ内で乱反射させる状態のバックグランドデータを取得し、前記計測光を反射する反射鏡を、前記被写体に向けて反射させて前記被写体に当たって前記散乱光として戻って来る状態で計測データから、前記バックグランドデータを差し引いてゼロ点補正することを特徴とするゼロ点補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光のコヒーレント(干渉性)を利用して物体内部の断層像を撮像する光干渉断層画像生成装置に使用されるプローブ並びに光干渉断層画像生成装置及びゼロ点補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯科用の光干渉断層画像生成装置(Optical Coherence Tomography:以下、OCT装置という。)は、光源から照射されたレーザ光を計測光と参照光とに分配し、計測光をプローブ(ハンドピース)から口腔内組織に照射すると共に、参照光を参照ミラーに照射する。さらに、OCT装置は、口腔内組織から反射して戻って来た散乱光をプローブで回収し、散乱光と参照ミラーからの反射光とを光合波器で合成させて、その干渉光を解析して断層画像を生成している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されたOCT装置用のプローブ(診断プローブ部)は、表示画面上に写る画像データのノイズ(像)をソフト的に除去するゼロ点補正を行う際に、シャッタによって計測光を遮断するためのシャッタ機構を内設している。ゼロ点補正は、シャッタを閉じて計測光の光路を遮断した状態のバックグランドデータを取得して、プローブで測定した測定データからバックグランドで発生するノイズを差し引いてゼロ点取得を行って、画像が鮮明に写るように調整することである。
【0004】
シャッタ機構は、サーキュレータから送られて来た計測光と、被写体に計測光が当たって反射した散乱光と、がプローブを通過するのを遮断する装置である。そのシャッタ機構は、プローブのグリップ部内のコリメータレンズと、走査手段収納部内の走査手段との間に介在されている。
【0005】
シャッタ機構以外に、被写体からの反射信号を全て遮断し、レファレンスからの信号のみを受ける状態を作り出す方法としては、計測光が被写体や、他の対象物に当たらないように、プローブを、空気中に向けて計測光を照射して被写体から反射して来る光が戻って来ない状態を作り出すことが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−217753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に記載されているプローブは、シャッタ機構をプローブのハウジングに内設したことによって、シャッタ機構を設けた分だけ、部品点数及び組付工数が増加して、構造が複雑になると共に、コストアップを招くという問題点があった。
【0008】
また、前記したシャッタ機構以外に被写体からの反射信号を全て遮断する手段を備えた従来のプローブは、空気中に向けて照射すると、誤って患者に対してレーザを照射する可能性があった。
【0009】
そこで、本発明は、そのような問題を解消すべく発明されたものであって、ゼロ点補正を容易に行えるようにすることが可能なプローブ並びに光干渉断層画像生成装置及びゼロ点補正方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明に係るプローブは、計測光を被写体に照射して前記被写体から反射して戻って来た散乱光を回収する光干渉断層画像生成装置に使用されるプローブであって、前記計測光の照射方向を変化させるガルバノミラーから成る走査手段を備え、前記走査手段は、前記計測光を反射する反射鏡を、前記被写体に向けて反射させて前記被写体に当たって前記散乱光として戻って来る状態と、前記計測光を前記プローブ内で乱反射させる状態と、に切り換えるアクチュエータを備えていることを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、プローブは、例えば、被写体を撮影しない非撮影時に、アクチュエータが、計測光をプローブ内で乱反射させる状態に切り換えることができる。これにより、プローブから照射した計測光が被写体で反射して反射鏡に戻らないようにすることができる。このため、非撮影時にコリメータから計測光(レーザ光)が照射されても、プローブから外部にレーザ光が漏れることなく安全であり、かつ、表示画面上に写る画像データのノイズ(像)をソフト的に除去するゼロ点補正を容易に行うことが可能な状態にすることができる。
また、プローブは、例えば、撮影時に、アクチュエータが、計測光を反射する反射鏡を、被写体に向けて反射させて被写体に当たって散乱光として戻って来る状態に切り換えることによって、被写体を撮影することが可能な状態にすることができる。
このように、プローブは、アクチュエータによって反射鏡を回動させて、計測光が反射鏡に戻らない状態と、計測光が反射鏡に戻る状態とに切り換えることができるので、計測光を遮断させるシャッタが不要であるため、部品点数の削減とコストダウンを図ることができると共に、プローブ内の構造を簡素化することができる。
【0012】
また、前記アクチュエータは、非撮影時に、前記反射鏡を、当該反射鏡で反射した前記計測光が当該反射鏡に戻らない角度に回動させていることが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、アクチュエータは、非撮影時に、走査手段の反射鏡を、計測光が反射鏡に戻らない角度に回動させることによって、プローブから照射した計測光が被写体で反射して反射鏡に戻らない状態にすることができる。このため、ゼロ点補正を容易に行える状態にすることができる。
【0014】
また、前記走査手段は、前記プローブのハウジング内に導入された前記計測光を反射させる第1ガルバノミラーと、前記第1ガルバノミラーで反射した前記計測光を前記ハウジングの先端部に配置されたノズルに向けて反射する第2ガルバノミラーと、を備え、前記アクチュエータは、非撮影時に、少なくとも前記第1ガルバノミラー、あるいは、前記第2ガルバノミラーを、当該第1ガルバノミラー、あるいは、当該第2ガルバノミラーに前記計測光が戻らない角度に回動させていることが好ましい。
【0015】
このような構成によれば、プローブのアクチュエータは、非撮影時に、少なくとも第1ガルバノミラー、あるいは、第2ガルバノミラーの反射鏡を、計測光が反射鏡に戻らない角度に傾けた状態にすることによって、照射した計測光を戻らなくすることができる。このため、非撮影時には、ゼロ点補正を容易に行うことができる。
【0016】
また、前記反射鏡を、当該反射鏡で反射した前記計測光が当該反射鏡に戻らない角度に傾けた状態で前記光干渉断層画像生成装置の画像データをゼロ点補正するスイッチを設けていることが好ましい。
【0017】
このような構成によれば、プローブに設けられたスイッチは、操作することにより、光干渉断層画像生成装置の画像データのゼロ点補正が行われるので、ゼロ点補正を容易に行うことができる。
【0018】
本発明に係る光干渉断層画像生成装置は、前記計測光を前記プローブ内で乱反射させる状態のバックグランドデータを取得し、前記計測光を反射する反射鏡を、前記被写体に向けて反射させて前記被写体に当たって前記散乱光として戻って来る状態で取得した計測データから前記バックグランドデータを差し引いてゼロ点補正することを特徴とする。
【0019】
このような構成によれば、光干渉断層画像生成装置は、照射した計測光が被写体に当たって戻って来た散乱光の計測データから、計測光をプローブ内で乱反射させて取得したバックグランドデータを差し引いてゼロ点補正を行うことによって、さらに画像が鮮明に写るように調整することができる。
【0020】
また、前記反射鏡を、当該反射鏡で反射した前記計測光が当該反射鏡に戻らない角度に傾けた状態のバックグランドデータを取得するフットコントローラを設けていることが好ましい。
【0021】
このような構成によれば、光干渉断層画像生成装置は、バックグランドデータを取得する際に、術者は手を使わずに、フットコントローラを足で操作することによって取得できるので、ゼロ点補正を容易に行うことができる。
【0022】
また、本発明に係るゼロ点補正方法は、前記計測光を前記プローブ内で乱反射させる状態のバックグランドデータを取得し、前記計測光を反射する反射鏡を、前記被写体に向けて反射させて前記被写体に当たって前記散乱光として戻って来る状態で計測データから、前記バックグランドデータを差し引いてゼロ点補正することを特徴とする。
【0023】
このような構成によれば、ゼロ点補正方法は、照射した計測光が被写体に当たって戻って来た散乱光の計測データから、プローブ内で乱反射させて取得した計測光のバックグランドデータを差し引いてゼロ点補正を行うことにより、特別な構成部品を増設することなくゼロ点補正を容易に行うことができるため、プローブ内の構造を複雑化させることがない。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ゼロ点補正を容易に行うことができるプローブ並びに光干渉断層画像生成装置及びゼロ点補正方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係るプローブの外観図である。
図2】本発明の実施形態に係るプローブのハウジング半体を取り外した状態を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係るプローブのハウジング半体を取り外した状態を示す斜視図である。
図4】非撮影時のプローブの一部を示す図であり、(a)はハウジング半体を取り外した状態を示す要部斜視図、(b)は計測光の光軸を示す要部断面図である。
図5】撮影時のプローブの一部を示す図であり、(a)はハウジング半体を取り外した状態を示す要部斜視図、(b)は計測光の光軸を示す要部断面図である。
図6】本発明の実施形態に係る光干渉断層画像生成装置の第1変形例を示す外観図である。
図7】(a)は図6に示すフットスイッチの拡大斜視図、(b)は背面側から見たフットスイッチの拡大斜視図である。
図8】光干渉断層画像生成装置の表示装置の画面の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図1図6を参照しながら本発明の実施形態を説明する。本発明の実施形態に係るプローブを説明する前に、図6を参照してプローブ1(診断プローブ部)が使用されるOCT装置100(光干渉断層画像生成装置)について説明する。
なお、便宜上、図1に示すプローブ1(診断プローブ部)の状態において、ノズル40が配置される方向を「前」、筒体20が配置される方向を「後」、鉛直上方側を「上」、鉛直下方側を「下」、幅方向を「左」、「右」として説明する。
【0027】
≪OCT装置≫
図6に示すOCT装置100は、歯科患者の歯牙(前歯部)、臼歯、口腔内組織等の被写体(サンプル)の断層画像を撮影するための撮影装置として用いられる。OCT装置100は、光のコヒーレントを利用して被写体の断層画像を撮影する装置である。OCT装置100は、プローブ1と、光学ユニット200と、制御ユニット300(制御装置)と、撮影した断層画像を映す表示装置400と、を主に備えている。OCT装置100では、光学ユニット200内で光源から照射されたレーザ光を計測光と参照光とに分配している。計測光は、プローブ1から被写体に照射され、被写体で反射されて戻って来た散乱光をプローブ1で回収している。また、参照光は、光学ユニット200内の参照ミラーに照射される。そして、光学ユニット200で散乱光と参照ミラーからの反射光とを光合波器で合成させた干渉光を制御ユニット300で解析して断層画像を生成している。なお、OCT装置100は、表示装置400の表示画面上に写る画像データのノイズ(像)をソフト的に除去するゼロ点補正を行うことができる機能を備えている。
【0028】
また、OCT装置100の制御装置(図示省略)は、プローブ1の外部にレーザ光が漏れないようにしてゼロ点補正を行える状態にする非撮影時のモードと、プローブ1から被写体に向けて照射された計測光が被写体に当たって散乱光として戻って来る状態にする撮影時のモードと、に切り換えるガルバノミラー制御回路を備えている。ガルバノミラー制御回路は、図2及び図3に示す走査手段70のアクチュエータ72b,73bを駆動させる制御回路である。
【0029】
≪プローブ≫
図2及び図3に示すように、プローブ1は、レーザ光を二次元走査する走査手段70(ガルバノミラー)を有し、光学ユニット200(図6参照)からのレーザ光(計測光)を被写体に導いて照射すると共に、被写体内で散乱して反射して戻って来た散乱光を受光して光学ユニット200に導く診断プローブ部である。プローブ1は、計測光及び散乱光の光路が設けられるハウジング10と、ハウジング10の基端部10eに設けられた筒体20と、ハウジング10の先端部10fに連結されたノズル支持体30と、ノズル支持体30に外嵌された撮影用のノズル40と、ハウジング10に内設されたフレーム本体50と、ハウジング10内の中央部の基端部10e側寄りの位置に配置されたコリメータレンズ60と、ハウジング10内の略中央部に配置された走査手段70と、ハウジング10内の先端部10f側に配置された集光レンズ80と、ゼロ点補正をする/しないを選択するスイッチ90(図1参照)と、を主に備えている。
【0030】
プローブ1は、撮影する際、術者がハウジング10を手(図示省略)に持って、ノズル40の先端部を口腔内組織の表面に当接させて、光学ユニット200(図6参照)からハウジング10内に導入された計測光を、ノズル40の先端部から口腔内組織に照射し、口腔内組織から反射して戻って来た散乱光を、ノズル40で回収して光学ユニット200に伝送するように構成されている。
なお、本実施形態では、プローブ1の一例として直視撮影用のノズル40(前歯用ノズル)を備えたものを例に挙げて説明する。
【0031】
≪ハウジング≫
図2及び図3に示すように、ハウジング10は、フレーム本体50、コリメータレンズ60、走査手段70、集光レンズ80等の構成部品を覆ったり、ノズル支持体30及びスイッチ90(図1参照)を支持したりする中空のケース体から成る。ハウジング10は、計測光が導入される基端部10e側に形成された計測光導入部10aと、ノズル40等が配置される先端部10f側に形成された集光レンズ収納部10bと、走査手段70が収納される走査手段収納部10cと、ノズル支持体30が挿入される開口部10dと、を有している。ハウジング10は、中央部を縦断面して左右に二分した形状の2つのケース半体11,12(図1参照)を合致させて成る。ハウジング10は、例えば、計測光導入部10a内に導入された計測光の走査手段70までの光軸Laと、走査手段70から集光レンズ収納部10bの先端に形成された開口部10dまでの計測光の光軸Ldとが、同じ前後方向に向けて配置されるようにストレート形状に形成されている。
【0032】
計測光導入部10aは、不図示の光ファイバや、ケーブル等が設けられる部分であり、角筒状に形成されている。
集光レンズ収納部10bは、走査手段70で反射した計測光を集光して被写体に照射するための集光レンズ80が収納される部位であり、略円筒形状に形成されている。
【0033】
走査手段収納部10cは、ハウジング10の略中央部に配置された走査手段70が収納される部位であり、計測光導入部10aと集光レンズ収納部10bと間に形成されている。ハウジング10の走査手段収納部10cの側面には、反射鏡72a,73aを計測光が戻らない角度に傾けた状態のときに、ゼロ点補正を行うか否かを選択するスイッチ90(図1参照)のスイッチノブ90a,90bが設けられている。
【0034】
≪筒体≫
図2及び図3に示すように、筒体20は、先端側が、計測光導入部10aの基端部10e内に内嵌された略円筒形状の部材である。筒体20には、プローブ1と光学ユニット200(図6参照)及び制御装置(図示省略)とを電気的に接続するケーブルと、光学ユニット200に光学的に接続された光ファイバと、が挿通されている。
【0035】
≪ノズル支持体≫
ノズル支持体30は、ノズル40をハウジング10に支持させるための部材であり、略円筒形状に形成されている。なお、ノズル支持体30は、連結部材によって、ハウジング10の先端部10fにノズル40を着脱自在に取り付けることができるものであればよく、その構造は特に限定されない。
【0036】
≪ノズル≫
ノズル40は、走査手段70からの計測光を被写体に照射して散乱光を回収する略筒状の部材であり、基端部がノズル支持体30に挿入されている。ノズル40は、例えば、前歯を撮影するのに使用される直視撮影用ノズルから成る。なお、ノズル40は、直視撮影用ノズルであっても、臼歯を撮影するのに使用される側視撮影用ノズルであってもよく、着脱して側視撮影用ノズルに交換可能になっている。
【0037】
≪フレーム本体≫
フレーム本体50は、コリメータレンズ60、走査手段70、及び集光レンズ80を保持する厚板部材であり、ハウジング10の内壁にねじ止めされている。フレーム本体50は、ハウジング10の形状に合わせて、側面視して略ストレート形状に形成されている。
【0038】
≪コリメータレンズ≫
図2及び図3に示すように、コリメータレンズ60は、光ファイバ(図示省略)から計測光導入部10a内に導入された計測光を受光して平行光に収束させるレンズである。コリメータレンズ60は、コリメータ61と、コリメータホルダ62と、コリメータブラケット63と、コリメータ61固定用のホルダ締結具64と、コリメータホルダ62固定用のブラケット締結具65と、コリメータブラケット63固定用のフレーム締結具(図示省略)と、を備えている。
なお、コリメータレンズ60は、光軸方向の位置、及び光軸Laに対する傾きが調整可能であると共に、計測光の光路長及び光軸Laの傾きを調整することができる。
【0039】
≪走査手段≫
図2及び図3に示すように、走査手段70は、ハウジング10内に導入された計測光の照射方向を変化させる装置であり、ハウジング10内の光軸方向の略中央部に配置された2つのガルバノミラー(第1ガルバノミラー72、及び第2ガルバノミラー73)を備えて構成されている。走査手段70は、ハウジング10内に導入された計測光を反射させるミラー71と、ミラー71で反射された計測光を反射させる第1ガルバノミラー72と、第1ガルバノミラー72で反射した計測光をノズル40に向けて反射する第2ガルバノミラー73と、から主に構成されている。
【0040】
<ミラー>
ミラー71は、計測光の光路に対してミラー面を45度に傾けた状態で、ハウジング10の走査手段収納部10c内の下側部位に固定されている。ミラー71は、ミラー面を有する鏡面体71aと、鏡面体71aを保持するミラーケース71bと、を備えている。
鏡面体71aは、ハウジング10内に導入されてコリメータレンズ60を透過した計測光の光軸Laを光軸Lbに90度変換するように、光軸Laに対してミラー面を上向きに45度に傾けて配置されている。
【0041】
<第1ガルバノミラー及び第2ガルバノミラー>
図2及び図3に示すように、第1ガルバノミラー72は、ミラー71で反射した上向きの計測光の光軸Lbを横方向に90度変換する反射鏡72aを有するガルバノミラー(「ガルバノスキャナ」ともいう)から成る。
第2ガルバノミラー73は、第1ガルバノミラー72で変換した光軸Lcの向きに対して前方向に90度相違する向きに光軸Ldを変換するガルバノミラーから成る。
第1ガルバノミラー72及び第2ガルバノミラー73(走査手段70)は、計測光を反射する反射鏡72a,73aと、反射鏡72a,73aを回転させるアクチュエータ72b,73bと、先端に反射鏡72a,73aを有するアクチュエータ72b,73bの回転軸72c,73cに設けられたエンコーダ(図示省略)と、アクチュエータ72b,73b及びエンコーダ(図示省略)と制御装置(図示省略)とを接続するためのコネクタ72d,73dと、アクチュエータ72bを保持するガルバノミラーホルダ72eと、を備えている。
【0042】
反射鏡72a,73aは、計測光を反射させるガノラバミラー本体である。第1ガルバノミラー72の反射鏡72aは、撮影時に、ミラー71からの計測光を第2ガルバノミラー73に向けて反射させる。第2ガルバノミラー73の反射鏡73aは、撮影時に、第1ガルバノミラー72からの計測光を集光レンズ80に向けて反射させる。
【0043】
アクチュエータ72b,73bは、反射鏡72a,73aを回転駆動させるための動力源であり、例えば、小型の電動モータから成る。アクチュエータ72b,73bは、ドライバ及びコントローラ機能を備えた制御装置(図示省略)に接続されている。アクチュエータ72b,73bは、非撮影時に、図4(a)、(b)に示すように、制御装置(図示省略)からの駆動信号で駆動されて反射鏡72a,73aを回動させ、計測光が反射鏡72a,73aに戻らない角度の状態に切り換えられている。
また、アクチュエータ72b,73bは、撮影時に、図5(a)、(b)に示すように、制御装置(図示省略)からの駆動信号で駆動されて反射鏡72a,73aを回動させ、計測光が被写体に向けて照射されて、被写体に当たった反射された散乱光がプローブ1に戻る角度の状態に切り換えられる。
【0044】
また、図2及び図3に示す第1ガルバノミラー72のアクチュエータ72bは、反射鏡72aの鏡面をA方向を軸として回動させて、光軸Lbに対する角度を調節する角度調整機能を備えている。
第2ガルバノミラー73のアクチュエータ73bは、反射鏡73aの鏡面をV方向を軸として回動させて、光軸Lcに対する角度を調節する角度調整機能を備えている。
【0045】
なお、アクチュエータ72b,73bは、非撮影時に、少なくとも第1ガルバノミラー72の反射鏡72a、または、第2ガルバノミラー73の反射鏡73aのどちらか一方を、計測光が反射鏡72a,73aに戻らない角度の状態に反射鏡72a,73aを回動させて切り換えていればよい。以下、非撮影時に、第2ガルバノミラー73のアクチュエータ73bが、反射鏡73aを計測光が戻らない角度の状態に回動させて切り換える場合を例に挙げて説明する。
【0046】
回転軸72c,73cは、アクチュエータ72b,73bによって回転駆動される軸であり、基端部に反射鏡72a,73aの傾き位置を検出するデジタルエンコーダ(図示省略)が設けられている。回転軸72c,73cは、前端側にガルバノミラーが固定され、基端側にアクチュエータ72b,73bが配置されている。
なお、前記エンコーダ(図示省略)は、回転軸72c,73cの回動角度を検出する装置であり、前記デジタルエンコーダ以外に、回転軸72c,73cの回動角度を検出する位置センサであっても構わない。
【0047】
コネクタ72d,73dは、一方が制御装置(図示省略)に電気的に接続されたケーブルの他方に取り付けられた相手側コネクタが装着される部位である。
第1ガルバノミラー72のガルバノミラーホルダ72eは、アクチュエータ72bの基端側を保持する部材であり、フレーム本体50にねじ止めされている。
【0048】
≪集光レンズ≫
図2及び図3に示すように、集光レンズ80は、レンズ本体81と、レンズ収納体82と、から構成されて、ハウジング10の集光レンズ収納部10bの先端寄りの位置内に収容されている。また、集光レンズ80の集光点を光軸方向に位置(距離)を調節できる集光点調整機構の機能を備えている。このため、集光レンズ80を光軸方向に移動させて、集光レンズ80と被写体(前歯部)との間の距離を調整することによって、被写体に対する計測光の集光点を調整することができる。集光レンズ80は、走査手段70による走査光を集光すると共に、計測光を被写体に集光させて照射するレンズである。
【0049】
≪スイッチ≫
スイッチ90(図1参照)は、反射鏡73aを、この反射鏡73aで反射した計測光が反射鏡73aに戻らない角度に傾けた状態で、OCT装置100(図6参照)の画像データをゼロ点補正するための指令信号を出す開閉器である。図1に示すように、スイッチ90は、例えば、ハウジング10に並設された二つのスイッチノブ90a,90bを備えて成る。スイッチノブ90a,90bは、ゼロ点補正を行う、行わないの「YES/NO」を選択する操作を行うノブであり、スイッチノブ90aが「YES」用、スイッチノブ90bが「NO」用である。
【0050】
[作用]
次に、プローブ1の作用を、歯部や歯肉等の口腔内組織である被写体を撮影する場合を例に挙げて説明する。
【0051】
まず、術者は、プローブ1で患者の前歯等の被写体を撮影する前に、データ収録前の表示画面上に写る画像データの校正であるゼロ点補正を行う。光学系のノイズ等をバックグラウンドデータとして計測する初期化して画像データのノイズ(像)を除去するゼロ点補正を行う場合は、図6に示すOCT装置100の表示装置400の画面上に表示された不図示の計測スイッチ(メジャースイッチ)をマウス500、または、キーボードスイッチ600で操作する。すると、計測スイッチから制御装置(制御ユニット300)にスイッチ信号が送られて、制御装置は、駆動信号を図2及び図3に示す第2ガルバノミラー73のアクチュエータ73bに送り、アクチュエータ73bを回転駆動させて、反射鏡73aを、反射鏡73aで反射した計測光が戻らない角度に傾けた非撮影時のモードの状態にする。
【0052】
第2ガルバノミラー73の反射鏡73aを、計測光が戻らない角度の非撮影時のモードに切り換えた場合は、この状態で計測光を照射したとしても、図4(a)、(b)に示すように、反射鏡73aに当たって反射された計測光が、ハウジング10の内壁面に向けて反射されて、さらに、その内壁面で乱反射される。プローブ1内で乱反射した計測光は、一瞬のうちに弱い光になる。このため、反射鏡73aで反射された計測光は、集光レンズ80及びノズル40に向けて反射されるのが僅かで、前歯等の被写体に当たったとしても、ノズル40及び集光レンズ80を介して第2ガルバノミラー73の反射鏡73aに戻ってこない状態になっている。
【0053】
なお、計測光が被写体に当たって戻って来た散乱光が後記するゼロ点補正に影響するためには、散乱光が出射口に戻る必要がある。しかし、計測光の出射口の大きさが光ファイバのコア径の100μm以下と同じで小さいため、戻ることは有り得ない。
【0054】
よって、非撮影時のモードのとき、プローブ1内で乱反射した計測光は、ゼロ点補正に影響することがない。また、プローブ1内に送られた計測光は、非撮影時のモードのときに、不用意に計測光(レーザ光)を照射したとしても、プローブ1から外部に照射されることも無い。
【0055】
術者は、OCT装置100(図6参照)をこのような非撮影時のモードの状態にしてから図1に示すスイッチノブ90aを押圧操作すると、スイッチ90からOCT装置100の制御装置(制御ユニット300)に画像データをゼロ点補正するための指令信号が出されてゼロ点補正が行われる。ゼロ点補正では、プローブ1の反射鏡73a(図2及び図3参照)を、計測光が戻らない角度に傾けた状態にして、プローブ1内で乱反射させる状態のバックグランドデータを取得し、被写体に向けて反射させて被写体に当たって散乱光として戻って来る状態のデータ、すなわち、計測データから、前記バックグランドデータを差し引いてゼロ点補正を行う。このように、バックグラウンドデータを収録データから差し引くことにより、バックグランドで発生するノイズの影響を緩和させる校正を行うことができる。
【0056】
また、被写体を撮影する場合、術者は、OCT装置100(図6参照)を駆動させた後、図1に示すプローブ1の走査手段収納部10c、あるいは、計測光導入部10aを握ってノズル40の先端を前歯に当接させる。術者が駆動スイッチ(図示省略)をONさせてOCT装置100(図6参照)を駆動させると、OCT装置100は、駆動信号が制御装置(図示省略)に送られて、制御装置は、第2ガルバノミラー73のアクチュエータ73bを駆動させて、反射鏡73aの回転軸73cを撮影時の通常の状態位置まで回動させて、プローブ1を撮影可能な撮影時のモードに切り換える。
【0057】
この撮影時のモードの状態で計測光を照射すると、図5(a)、(b)に示すように、プローブ1内の入った計測光は、ミラー71の鏡面体71a(図2及び図3参照)、第1ガルバノミラー72の反射鏡72a、及び、第2ガルバノミラー73の反射鏡73aによって集光レンズ80の中心の角度方向に向けて反射されてノズル40から被写体に向けて照射される。
【0058】
OCT装置100(図6参照)は、被写体に当たって反射して戻って来た散乱光をノズル40の先端部で回収して光学ユニット200(図6参照)に伝送し、散乱光と参照ミラーからの反射光とを光合波器で合成させて、その干渉光を解析して断層画像を生成する。
【0059】
このようにプローブ1は、表示装置400の計測スイッチ(図示省略)を操作することによって、走査手段70の第2ガルバノミラー73のアクチュエータ73bを駆動させて、反射鏡73aを、この反射鏡73aで反射した計測光が戻らない角度に回動させて非撮影時のモードに強制的に切り換える。そして、スイッチ90のスイッチノブ90aを操作すれば、容易にゼロ点補正を行うことができる。
【0060】
このように構成されたプローブ1は、シャッタ機構等の計測光を遮断する装置を設ける必要がないので、ハウジング10内の構造を簡素化することができるため、装置全体を小型化することが可能である。
【0061】
[第1変形例]
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論である。
図6は、本発明の実施形態に係るプローブの第1変形例を示す図であり、光干渉断層画像生成装置の外観図である。図7の(a)は図6に示すフットスイッチの拡大斜視図、(b)は背面側から見たフットスイッチの拡大斜視図である。図8は、光干渉断層画像生成装置の表示装置の画面の一例を示す説明図である。
【0062】
また、スイッチ90(図1参照)の一例として、ハウジング10に設けた場合を説明したが、例えば、図6及び図7(a)、(b)に示すようなフットコントローラ(スイッチ90A)であってもよい。
【0063】
図6に示すように、スイッチ90Aは、術者の両手が塞がっていてもスイッチ操作が可能な足踏み式のスイッチノブ91Aを有するフットコントローラであり、赤外線送信部94Aと赤外線受信部210とから成る赤外線センサスイッチの機能も備えている。スイッチ90Aは、反射鏡73aを、この反射鏡73aで反射した計測光が反射鏡73aに戻らない角度に傾けた状態で、OCT装置100の表示装置400の画像データをゼロ点補正するための開閉器である。
スイッチ90Aは、例えば、OCT装置100の光学ユニット200あるいは制御ユニット300の赤外線受信部210に無線、または、有線で通信可能に接続されている。赤外線受信部210は、実施形態のスイッチ90と同じスイッチ機能を果たす装置であり、赤外線送信部94Aからの赤外線のスイッチ信号を受信する受光IC等を備えて構成されている。
【0064】
図7(a)、(b)に示すように、スイッチ90Aは、例えば、前記スイッチノブ91Aと、術者の足の爪先を挿入する部位を有するスイッチケース92Aと、スイッチケース92Aに設けられたスイッチ用電源93Aと、スイッチケース92Aに先端部が露出した状態に設けられたスイッチ用電源93Aと、赤外線送信部94Aと、を備えている。
【0065】
スイッチノブ91Aは、二段踏込式のフットスイッチのノブであり、足踏み操作の踏込量によって、ゼロ点補正を行う、行わないの「YES/NO」が選択される。スイッチノブ91Aは、例えば、一段目のポジションまで踏込操作が行われても、二段目のポジションまで踏込操作が行われない場合、ゼロ点補正をしない「NO」のスイッチ信号を発する。また、スイッチノブ91Aは、二段目のポジションまで踏込操作が行われた場合、ゼロ点補正をする「YES」のスイッチ信号を発する。
【0066】
スイッチケース92Aは、縦断面視して略コ字状に形成されたケース体であり、床面に配置される。スイッチケース92Aには、底面部にスイッチノブ91Aが設けられ、上端部前側にスイッチ用電源93Aが設けられ、上端部背面側に赤外線送信部94Aが設けられている。
スイッチ用電源93Aは、例えば、小型のリチウム電池等から成る。
【0067】
図7(b)に示す赤外線送信部94Aは、例えば、LEDを備えて構成されている。赤外線送信部94Aは、上方向にのみ情報を送信可能にスイッチケース92Aに設けられると共に、スイッチ90Aの近傍でのみ発信した赤外線が赤外線受信部210で受信されて駆動されるようになっている。赤外線送信部94Aと赤外線受信部210は、術者等の検出対象物が近づくとON,OFFする近接センサを構成している。
【0068】
表示装置400には、図8に示すように、ゼロ点補正を「する/しない(YES/NO)」の選択を画面上で行える選択スイッチ410が表示されるようになっている。選択スイッチ410は、表示装置400の画面上に表示された「YES」をマウス500、または、キーボードスイッチ600で選択操作すると、「ゼロ点補正をする」のスイッチ信号を制御装置(制御ユニット300)に発して、ゼロ点補正が行われるように指令する。
【0069】
この他、ゼロ点補正を「する/しない(YES/NO)」を選択するためには、二段踏込式のスイッチノブ91Aを2段目のポジションまで踏込操作することによっても、「YES」を選択することができる。なお、スイッチノブ91Aは、1段目の操作をしても、1段目の操作をした後、所定時間(例えば、5秒)以内に2段目のポジションまで操作されなければ、「ゼロ点補正しない」の判定になるようにしてもよい。
【0070】
このように構成されたOCT装置100は、術者がプローブ1を手に持ちながら作業を行っていても、足をスイッチ90Aの上部の予め設定した感応距離以下に近付ければ、赤外線送信部94Aから照射された赤外線が足で反射されて赤外線受信部210で受信される。赤外線受信部210は、赤外線を受信すると、アクチュエータ72b,73bを駆動させて、反射鏡73aを非撮影時のモードに切り換え、ゼロ点補正が行える状態にする。
また、フットコントローラのスイッチ90Aのスイッチノブ91Aを足踏み操作することによって、ゼロ点補正を行う、行わないの「YES/NO」の選択を行って、ゼロ点補正をすることができる。
【0071】
また、前記実施形態のプローブ1に設けたスイッチ90を操作しても、フットコントローラのスイッチ90Aと同様に、ゼロ点補正を「する/しない(YES/NO)」の選択を行えるようにしてもよい。
【0072】
また、フットコントローラの二段踏込式のスイッチ90Aは、一般的な一段踏込式スイッチであってもよい。この場合、スイッチ90Aは、一段踏み込むと、ゼロ点補正をする「ON」の状態になるようにする。
【0073】
[第2変形例]
また、スイッチ90は、前記フットコントローラのスイッチ90Aと同様に、ノブが1つの二段式の押釦スイッチであってもよい。この場合、二段式の押釦スイッチは、押圧操作した操作量によって、ゼロ点補正の「YES/NO」を決定する。二段式の押釦スイッチは、例えば、ノブを一段目のポジションまで押圧操作しても、二段目のポジションまで押圧操作しない場合、ゼロ点補正をしない「NO」のスイッチ信号を発する。また、二段式の押釦スイッチは、ノブを二段目のポジションまで押圧操作をした場合、ゼロ点補正をする「YES」のスイッチ信号を発する。
【0074】
また、スイッチ90は、スイッチノブが1つであっても、スイッチポジションが複数ある開閉器であれば、押釦スイッチ以外に、シーソースイッチやスライドスイッチ等であっても構わない。
また、スイッチ90は、一般的な一段式押釦スイッチであってもよい。この場合、スイッチ90は、一段押圧操作すると、ゼロ点補正をする「ON」の状態になるようにする。
また、スイッチ90は、ハウジング10であれば、走査手段収納部10c以外の場所に設置しても構わない。
【0075】
[第3変形例]
前記実施形態では、プローブ1の一例として、図2及び図3に示すように、ミラー71と、第1ガルバノミラー72と、第2ガルバノミラー73とを備えた走査手段70を例に挙げて説明したが、プローブ1は、プローブ1のハウジング10内に導入された計測光を反射させる第1ガルバノミラー72と、第1ガルバノミラー72で反射した計測光をノズル40に向けて反射する第2ガルバノミラー73と、から構成された走査手段70を備えたものであっても構わない。つまり、走査手段70は、ミラー71を備えていないものであっても構わない。
【0076】
この場合も、前記実施形態と同様に、プローブ1は、第1ガルバノミラー72、及び第2ガルバノミラー73は、反射鏡72a,73aの回転軸72c,73cを回転させて、ミラー面の角度を調整する角度調整機能を備えたアクチュエータ72b,73bを有している。
【0077】
また、前記実施形態では、スイッチ90(図1参照)を操作したときに、第2ガルバノミラー73のアクチュエータ73bを駆動させて、反射鏡73aを計測光が戻らない角度に傾かせる場合を例に挙げて説明したが、第1ガルバノミラー72のアクチュエータ72bを駆動させて、反射鏡72aを傾かせてもよい。また、第1ガルバノミラー72及び第2ガルバノミラー73のアクチュエータ72b,73bを駆動させて、反射鏡72a,73aの両方を傾かせてもよい。
【0078】
[その他の変形例]
また、アクチュエータ72b,73bは、その一例として、反射鏡72a,73aの回転軸72c,73cを回動させる電動モータを例に挙げて説明したが、反射鏡72a,73aの鏡面の角度あるいは向きを変えることができる駆動源や、駆動機構であれば、その駆動方式は特に限定されない。アクチュエータ72b,73bは、例えば、ステッピングモータ、サーボモータ、リニアモータ等の電気式アクチュエータや、油圧制御によって駆動される油圧モータ等の油圧式アクチュエータや、空気圧制御によって駆動される空気圧モータ等の空気圧式アクチュエータや、超音波制御によって駆動される超音波モータ等の超音波式アクチュエータ等であっても構わない。
【0079】
また、アクチュエータ72b,73bは、撮影時あるいは非撮影時に、リンク機構、スライド機構、歯車機構、シリンダ機構、ソレノイド等によって、反射鏡72a,73a(第1ガルバノミラー72、第2ガルバノミラー73)の位置を移動させることにより、反射鏡72a,73aで反射した計測光が反射鏡72a,73aに戻らない位置に移動させる機構であってもよい。
【0080】
前記実施形態及び変形例では、プローブ1の一例として、前歯(切歯)を被写体とし、ストレート形状のハウジング10の先端に直視撮影用のノズル40を備えたものを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
プローブ1は、被写体を臼歯として側視撮影用ノズル(臼歯用ノズル)に交換して使用しても構わない。
【符号の説明】
【0081】
1 プローブ
10 ハウジング
40 ノズル
70 走査手段
72 第1ガルバノミラー(ガルバノミラー)
72a,73a 反射鏡
72b,73b アクチュエータ
73 第2ガルバノミラー(ガルバノミラー)
90 スイッチ
90A スイッチ(フットコントローラ)
100 OCT装置(光干渉断層画像生成装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8