特許第6198721号(P6198721)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6198721HCV感染症を治療するのに有用な置換されたアリファン、シクロファン、ヘテラファン、ヘテロファン、ヘテロ−ヘテラファンおよびメタロセン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6198721
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】HCV感染症を治療するのに有用な置換されたアリファン、シクロファン、ヘテラファン、ヘテロファン、ヘテロ−ヘテラファンおよびメタロセン
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20170911BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20170911BHJP
   C07D 471/08 20060101ALI20170911BHJP
   C07D 491/113 20060101ALI20170911BHJP
   C07F 17/02 20060101ALI20170911BHJP
   A61K 31/4178 20060101ALI20170911BHJP
   A61K 31/4184 20060101ALI20170911BHJP
   A61K 31/422 20060101ALI20170911BHJP
   A61K 31/427 20060101ALI20170911BHJP
   A61K 31/439 20060101ALI20170911BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20170911BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20170911BHJP
   A61K 31/555 20060101ALI20170911BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20170911BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20170911BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   C07D401/14CSP
   C07D403/14
   C07D471/08
   C07D491/113
   C07F17/02
   A61K31/4178
   A61K31/4184
   A61K31/422
   A61K31/427
   A61K31/439
   A61K31/4545
   A61K31/496
   A61K31/555
   A61K45/00
   A61P31/14
   A61P43/00 121
【請求項の数】39
【全頁数】122
(21)【出願番号】特願2014-512183(P2014-512183)
(86)(22)【出願日】2012年5月29日
(65)【公表番号】特表2014-518882(P2014-518882A)
(43)【公表日】2014年8月7日
(86)【国際出願番号】US2012039835
(87)【国際公開番号】WO2012166716
(87)【国際公開日】20121206
【審査請求日】2015年5月21日
(31)【優先権主張番号】61/490,881
(32)【優先日】2011年5月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/504,905
(32)【優先日】2011年7月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/567,216
(32)【優先日】2011年12月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504378685
【氏名又は名称】アキリオン ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワイルズ ジェイソン アラン
(72)【発明者】
【氏名】ワン チウピン
(72)【発明者】
【氏名】橋本 彰宏
(72)【発明者】
【氏名】パイス ゴドウィン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ダウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン シアンジュー
(72)【発明者】
【氏名】ガダシャンダ ベンカト
(72)【発明者】
【氏名】パドケ アヴィナーシュ
(72)【発明者】
【氏名】デシュパンデ ミリンド
【審査官】 清水 紀子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−221349(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/050146(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/117704(WO,A1)
【文献】 国際公開第2002/060926(WO,A1)
【文献】 国際公開第2003/099274(WO,A1)
【文献】 特表2010−540549(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/059937(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/068760(WO,A1)
【文献】 TAKIZAWA, M. et al.,Dyes and Pigments,2011年,Vol.89, No.3,p.254-9,Available online 24 March 2010
【文献】 LINDNER E. et al.,J. Organometallic Chem.,2002年,Vol.660,p.78-84
【文献】 BUDA, M. et al.,J. Electroanalytical Chem.,2000年,Vol.484,p.164-71
【文献】 TECILLA P. et al.,J. Am. Chem. Soc.,1990年,Vol.112,p.9408-10
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C07F 17/02
A61K 31/33−31/555
A61K 45/00
A61P 1/00−43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】

T−R−J−W−A−W−J−R−T;
T−R−J−A−J−R−T;
T−R−J−A−J−R−T;
T−R−J−W−A−J−R−T;
T−R−J−W−A−J−R−T;または
T−R−J−A−J−R−T
の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[式中、
Tは、出現する毎に独立に選択され、Tであり、ここで、kは1または2であり;
は、−Y−Zであり、ここで、Yは、Rに共有結合されており、Yは、オキソで置換されていてもよいC〜Cアルキレンであり;Zは、5または6員の複素環基であり、Tのそれぞれは、(i)C〜Cアルカノイル、C〜Cアルキルエステル、C〜Cアルケニルエステルから選択される少なくとも1つの置換基で置換されており;
は、出現する毎に独立に、モノ−C〜Cヒドロカルビルカルバメートで置換されたC〜Cアルカノイル、およびウレアまたはモノ−もしくはジ−C〜Cアルキルウレアで置換されたC〜Cアルカノイルから選択され、Tのそれぞれは、シアノ、(C〜Cアルコキシ)C〜Cアルキル、C〜Cアルキル、(C〜Cチオアルキル)C〜Cアルキル、フェニル、およびC〜Cハロアルキルから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく;
Rは、出現する毎に独立に、1つまたは2つの窒素原子を含み残りの環原子が炭素である4〜6員環、ここでRは、飽和であるか、1つの不飽和結合を含み、メチレンまたはエチレン橋で架橋されていても、またはフェニルに縮合されていてもよいもの;および
1つの窒素原子を含み残りの環原子が炭素である6〜10員の縮合またはスピロ二環式環系、ここで6〜10員の二環式環は、飽和であるか、1つの不飽和結合を含むものから選択され;
各Rは、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキレン、およびC〜Cアルキルスルホニルから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく;
は、フェニル、またはN、OおよびSから独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜6員のヘテロアリール基であり;
は、N、OおよびSから独立に選択される1〜4個のヘテロ原子を含む8〜10員のヘテロアリール基であり;
Wは、出現する毎に独立に選択され、フェニルまたはアルキニル基であり;
Aは、
【化1】
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もしくは
【化2】
[この文献は図面を表示できません]

であり;または
Aは、式
【化3】
[この文献は図面を表示できません]

であり;または
Aは、式
【化4】
[この文献は図面を表示できません]

の基である。]
【請求項2】
請求項1に記載の化合物または塩であって、Wが、フェニルであることを特徴とする化合物または塩。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物または塩であって、Jが、
【化5】
[この文献は図面を表示できません]

であることを特徴とする化合物または塩。
【請求項4】
請求項1に記載の化合物または塩であって、Jが、ベンゾイミダゾール基であることを特徴とする化合物または塩。
【請求項5】
請求項1に記載の化合物または塩であって、各Rが、
【化6】
[この文献は図面を表示できません]

【化7】
[この文献は図面を表示できません]

【化8】
[この文献は図面を表示できません]

【化9】
[この文献は図面を表示できません]

【化10】
[この文献は図面を表示できません]

【化11】
[この文献は図面を表示できません]

【化12】
[この文献は図面を表示できません]

【化13】
[この文献は図面を表示できません]

【化14】
[この文献は図面を表示できません]

【化15】
[この文献は図面を表示できません]

【化16】
[この文献は図面を表示できません]

【化17】
[この文献は図面を表示できません]

【化18】
[この文献は図面を表示できません]

【化19】
[この文献は図面を表示できません]

および
【化20】
[この文献は図面を表示できません]

(これらのそれぞれは、C〜Cアルキルで置換されていてもよい)から独立に選択されることを特徴とする化合物または塩。
【請求項6】
請求項5に記載の化合物または塩であって、各Rが、
【化21】
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【化22】
[この文献は図面を表示できません]

および
【化23】
[この文献は図面を表示できません]

から独立に選択されることを特徴とする化合物または塩。
【請求項7】
請求項1に記載の化合物または塩であって、Tが、(C〜Cチオアルキル)C〜Cアルキルで置換されていてもよい、モノ−C〜Cヒドロカルビルカルバメートで置換されているC〜Cアルカノイルであることを特徴とする化合物または塩。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物または塩であって、式
T−R−J−A−J−R−T[式中、
Aは、
【化24】
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の基であり;
は、N、OおよびSから独立に選択される1または2個のヘテロ原子を含む8〜10員のヘテロアリール基であり;
各Rは、独立に、1つまたは2つの窒素原子を含み残りの環原子が炭素である独立に選択される8〜10員の二環式環系であり、8〜10員の二環式環は、飽和であるか、1つの不飽和結合を含み;
各Rは、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキレン、およびC〜Cアルキルスルホニルから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく;
TはTである]のものであることを特徴とする化合物または塩。
【請求項9】
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
【化25】
[この文献は図面を表示できません]

【化26】
[この文献は図面を表示できません]

【化27】
[この文献は図面を表示できません]

【化28】
[この文献は図面を表示できません]

【化29】
[この文献は図面を表示できません]

【化30】
[この文献は図面を表示できません]

【化31】
[この文献は図面を表示できません]

【化32】
[この文献は図面を表示できません]

【化33】
[この文献は図面を表示できません]

【化34】
[この文献は図面を表示できません]

【化35】
[この文献は図面を表示できません]

【化36】
[この文献は図面を表示できません]

または
【化37】
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であることを特徴とする化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】

【化38】
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の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項11】

【化39】
[この文献は図面を表示できません]

の、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項12】

【化40】
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の化合物または塩を、薬学的に許容される担体と一緒に含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項13】
請求項12に記載の医薬組成物であって、少なくとも1種のさらなる活性薬剤を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項14】
それを必要とする患者におけるC型肝炎感染症を治療するための、請求項12または13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
【化41】
[この文献は図面を表示できません]

【化42】
[この文献は図面を表示できません]

【化43】
[この文献は図面を表示できません]

または
【化44】
[この文献は図面を表示できません]

であることを特徴とする化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
【化45】
[この文献は図面を表示できません]

であることを特徴とする化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
【化46】
[この文献は図面を表示できません]

【化47】
[この文献は図面を表示できません]

【化48】
[この文献は図面を表示できません]

【化49】
[この文献は図面を表示できません]

【化50】
[この文献は図面を表示できません]

【化51】
[この文献は図面を表示できません]

【化52】
[この文献は図面を表示できません]

【化53】
[この文献は図面を表示できません]

【化54】
[この文献は図面を表示できません]

【化55】
[この文献は図面を表示できません]

【化56】
[この文献は図面を表示できません]

または
【化57】
[この文献は図面を表示できません]

であることを特徴とする化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項18】
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
【化58】
[この文献は図面を表示できません]

【化59】
[この文献は図面を表示できません]

【化60】
[この文献は図面を表示できません]

【化61】
[この文献は図面を表示できません]

【化62】
[この文献は図面を表示できません]

【化63】
[この文献は図面を表示できません]

【化64】
[この文献は図面を表示できません]

【化65】
[この文献は図面を表示できません]

【化66】
[この文献は図面を表示できません]

【化67】
[この文献は図面を表示できません]

または
【化68】
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であることを特徴とする化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項19】
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
【化69】
[この文献は図面を表示できません]

【化70】
[この文献は図面を表示できません]

【化71】
[この文献は図面を表示できません]

【化72】
[この文献は図面を表示できません]

または
【化73】
[この文献は図面を表示できません]

であることを特徴とする化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項20】
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
【化74】
[この文献は図面を表示できません]

【化75】
[この文献は図面を表示できません]

【化76】
[この文献は図面を表示できません]

【化77】
[この文献は図面を表示できません]

【化78】
[この文献は図面を表示できません]

【化79】
[この文献は図面を表示できません]

【化80】
[この文献は図面を表示できません]

【化81】
[この文献は図面を表示できません]

【化82】
[この文献は図面を表示できません]

または
【化83】
[この文献は図面を表示できません]

であることを特徴とする化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項21】
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
【化84】
[この文献は図面を表示できません]

【化85】
[この文献は図面を表示できません]

【化86】
[この文献は図面を表示できません]

【化87】
[この文献は図面を表示できません]

【化88】
[この文献は図面を表示できません]

【化89】
[この文献は図面を表示できません]

【化90】
[この文献は図面を表示できません]

【化91】
[この文献は図面を表示できません]

【化92】
[この文献は図面を表示できません]

【化93】
[この文献は図面を表示できません]

または
【化94】
[この文献は図面を表示できません]

であることを特徴とする化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項22】
【化95】
[この文献は図面を表示できません]

【化96】
[この文献は図面を表示できません]

【化97】
[この文献は図面を表示できません]

【化98】
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【化99】
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【化100】
[この文献は図面を表示できません]

【化101】
[この文献は図面を表示できません]

【化102】
[この文献は図面を表示できません]

【化103】
[この文献は図面を表示できません]

または
【化104】
[この文献は図面を表示できません]

であることを特徴とする化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項23】
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
【化105】
[この文献は図面を表示できません]

【化106】
[この文献は図面を表示できません]

【化107】
[この文献は図面を表示できません]

【化108】
[この文献は図面を表示できません]

【化109】
[この文献は図面を表示できません]

【化110】
[この文献は図面を表示できません]

【化111】
[この文献は図面を表示できません]

【化112】
[この文献は図面を表示できません]

【化113】
[この文献は図面を表示できません]

【化114】
[この文献は図面を表示できません]

または
【化115】
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であることを特徴とする化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項24】
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
【化116】
[この文献は図面を表示できません]

【化117】
[この文献は図面を表示できません]

【化118】
[この文献は図面を表示できません]

【化119】
[この文献は図面を表示できません]

【化120】
[この文献は図面を表示できません]

【化121】
[この文献は図面を表示できません]

または
【化122】
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であることを特徴とする化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項25】
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
【化123】
[この文献は図面を表示できません]

【化124】
[この文献は図面を表示できません]

【化125】
[この文献は図面を表示できません]

【化126】
[この文献は図面を表示できません]

【化127】
[この文献は図面を表示できません]

【化128】
[この文献は図面を表示できません]

【化129】
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【化130】
[この文献は図面を表示できません]

または
【化131】
[この文献は図面を表示できません]

であることを特徴とする化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項26】
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
【化132】
[この文献は図面を表示できません]

【化133】
[この文献は図面を表示できません]

【化134】
[この文献は図面を表示できません]

【化135】
[この文献は図面を表示できません]

【化136】
[この文献は図面を表示できません]

【化137】
[この文献は図面を表示できません]

【化138】
[この文献は図面を表示できません]

【化139】
[この文献は図面を表示できません]

【化140】
[この文献は図面を表示できません]

または
【化141】
[この文献は図面を表示できません]

であることを特徴とする化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項27】
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
【化142】
[この文献は図面を表示できません]

【化143】
[この文献は図面を表示できません]

【化144】
[この文献は図面を表示できません]

または
【化145】
[この文献は図面を表示できません]

であることを特徴とする化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項28】
請求項1から9,11、または15から27のいずれか一項に記載の化合物または塩を、薬学的に許容される担体と一緒に含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項29】
請求項28に記載の医薬組成物であって、少なくとも1種のさらなる活性薬剤を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項30】
それを必要とする患者におけるC型肝炎感染症を治療するための、請求項28または29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
前記式が、T−R−J−A−J−R−Tであり、A、J、R、およびTは、請求項1で定義されたとおりであることを特徴とする化合物または塩。
【請求項32】
請求項24に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
【化146】
[この文献は図面を表示できません]

であることを特徴とする化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項33】
請求項24に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
【化147】
[この文献は図面を表示できません]

であることを特徴とする化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項34】
請求項11に記載の化合物または塩を、薬学的に許容される担体と一緒に含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項35】
請求項32に記載の化合物または塩を、薬学的に許容される担体と一緒に含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項36】
請求項33に記載の化合物または塩を、薬学的に許容される担体と一緒に含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項37】
請求項29に記載の医薬組成物であって、前記さらなる活性薬剤が、NS3aプロテアーゼ阻害剤であることを特徴とする医薬組成物。
【請求項38】
請求項13に記載の医薬組成物であって、さらなる化合物を含み、前記さらなる化合物が、式
【化148】
[この文献は図面を表示できません]

または
【化149】
[この文献は図面を表示できません]

の治療活性薬剤またはその塩であることを特徴とする医薬組成物。
【請求項39】
請求項29に記載の医薬組成物であって、さらなる化合物を含み、前記さらなる化合物が、式
【化148】
[この文献は図面を表示できません]

または
【化149】
[この文献は図面を表示できません]

の治療活性薬剤またはその塩であることを特徴とする医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、そのすべてがその全体で本願に引用して援用される2011年5月27に出願の米国特許仮出願第61/490881号、2011年7月6日に出願の同61/504905号、および2011年12月6日に出願の同61/567216号に基づく優先権を主張する。
【0002】
本開示は、抗ウイルス剤として有用な、置換されたアリファン、シクロファン、ヘテラファン、ヘテロファン、ヘテロ−ヘテラファンおよびメタロセンを提供する。本明細書に開示の特定の置換されたアリファン、シクロファン、ヘテラファン、ヘテロファン、ヘテロ−ヘテラファンおよびメタロセンは、ウイルスの複写、とりわけC型肝炎ウイルスの複写の強力かつ/または選択的な阻害剤である。1種以上の置換されたアリファン、シクロファン、ヘテラファン、ヘテロファン、ヘテロ−ヘテラファンおよびメタロセン、ならびに薬学的に許容される担体を含む医薬組成物/医薬合剤(pharmaceutical combination)も、本開示により提供される。C型肝炎ウイルス感染症を包含するウイルス感染症の治療法が、本開示により提供される。
【背景技術】
【0003】
推定で、世界の人口の3%がC型肝炎ウイルスに感染している。HCVに暴露された者の中で、80%〜85%は慢性的に感染状態となり、少なくとも30%は肝硬変を発症し、1〜4%は肝細胞癌を発症する。C型肝炎ウイルス(HCV)は、米国において慢性肝疾患の最も広く認められる原因の1つであり、報告によれば、急性ウイルス性肝炎の約15%、慢性肝炎の60〜70%、肝硬変、末期肝疾患および肝がんの最大で50%を占める。慢性HCV感染症は、米国、オーストラリアおよびほとんどのヨーロッパにおける肝移植の最も一般的な原因である。C型肝炎は、米国において、推定で1年に10,000〜12,000名の死者をもたらす。急性期のHCV感染症は、軽度の症状を伴うのが通常であり、いくつかの証拠は、HCVを自然に排除するのは、感染者のわずか約15%〜20%に過ぎないことを示唆している。
【0004】
HCVは、エンベロープで覆われ、約9.6kbのプラス鎖ゲノムを含む一本鎖RNAである。HCVは、フラビウイルス(Flaviviridae)科ファミリーのヘパシウイルス(Hepacivirus)属のメンバーとして分類される。HCVの少なくとも4種の株、すなわちGT−1〜GT−4が特徴付けられている。
【0005】
HCVのライフサイクルには、宿主細胞中への侵入;HCVゲノムの翻訳、ポリタンパク質のプロセシングおよびレプリカーゼ複合体の集合;RNAの複製およびビリオンの集合と放出が含まれる。HCVのRNAゲノムの翻訳は、3000を超えるアミノ酸長のポリタンパク質をもたらし、該ポリタンパク質は、少なくとも2種の細胞プロテアーゼおよび2種のウイルスプロテアーゼによってプロセシングされる。HCVのポリタンパク質は、
NH2−C−E1−E2−p7−NS2−NS3−NS4A−NS4B−NS5A−NS5B−COOH
である。
【0006】
細胞のシグナルペプチダーゼおよびシグナルペプチドペプチダーゼは、非構造タンパク質(NS2−NS3−NS4A−NS4B−NS5A−NS5B)からポリタンパク質のN末端側の3分の1(C−E1−E2−p7)の開裂に関与するが報告されている。NS2−NS3プロテアーゼは、NS2−NS3部位での最初のシス開裂を媒介する。次いで、NS3−NS4Aプロテアーゼは、NS3−NS4A接合部位での第二のシス開裂を媒介する。次いで、NS3−NS4A複合体が、3つの下流部位で開裂して、残りの非構造タンパク質を切り離す。活性なHCVレプリカーゼ複合体を形成するためには、ポリタンパク質の正確なプロセシングが必須であると主張されている。
【0007】
ポリタンパク質が開裂されると、少なくともNS3−NS5B非構造タンパク質を含むレプリカーゼ複合体が集合する。レプリカーゼ複合体は、細胞質性かつ膜結合性である。レプリカーゼ複合体の主な酵素活性としては、NS3におけるセリンプロテアーゼ活性およびNTPaseヘリカーゼ活性、ならびにNS5BのRNA依存性RNAポリメラーゼ活性が挙げられる。RNA複製過程では、ゲノムRNAの相補的なマイナス鎖コピーが生成される。マイナス鎖コピーは、子孫ウイルスを生成するための翻訳、複製、パッケージング、またはこれらの任意の組合せに関与している可能性のあるさらなるプラス鎖ゲノムRNAを合成するための鋳型として使用される。機能性レプリカーゼ複合体の集合は、HCV複製機構の構成要素として説明されている。2005年4月11日に出願の米国特許仮出願第60/669872号「Pharmaceutical Compositions and Methods of Inhibiting HCV Replication」を、レプリカーゼ複合体の集合に関するその開示について、本願にその全体で引用して援用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
C型肝炎感染症の現行の治療は、典型的には、リバビリンと組み合わせた、ペグ化インターフェロン(IFN)などのインターフェロンの投与を含む。持続的なウイルス学的応答(SVR)によって評価されるような現行療法の成功は、患者が感染しているHCV株、および患者における治療レジメンの厳守に依存する。HCV株GT−1に感染した患者の50%のみが、持続的なウイルス学的応答を示す。ACH−1625、テラプレビル、BMS−790052、およびBMS−650032などの直接作用性抗ウイルス剤が、慢性HCVの治療にむけて臨床開発中である。特定のHCV株について治療するための有効な療法の欠如、およびHCVの高い突然変異率のため、新たな療法が必要とされている。本開示は、この必要性を満たし、本明細書中で説明されるさらなる利点を提供する。
【0009】
本明細書では、式Iの置換されたアリファン、シクロファン、ヘテラファン、ヘテロファン、ヘテロ−ヘテラファンおよびメタロセンが提供される。本開示中で提供される式Iの化合物は、抗ウイルス活性を所持する。
【0010】
本開示は、C型肝炎ウイルス複製の強力かつ/または選択的な阻害剤である式Iの化合物を提供する。何らかの特定の理論に拘束されるものではないが、本発明の化合物は、HCV NS5aの強力かつ選択的な阻害剤であると考えられる。本明細書では、1種以上の式Iの化合物またはこのような化合物の塩、および1種以上の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物も提供される。本明細書では、1種以上の式Iの化合物またはこのような化合物の塩、少なくとも1種のさらなる活性薬剤、および1種以上の薬学的に許容される担体を含む医薬合剤も提供される。
【0011】
また、特定のウイルス感染症とりわけHCV感染症を患う患者を、このような患者にウイルス感染症の兆候または症状を減弱するのに有効なある量の式Iの化合物を提供することによって治療する方法が開示される。治療方法は、式Iの化合物を単一の活性薬剤として提供すること、または式Iの化合物を1種以上の他の治療活性のある薬剤と組み合わせて提供することを含む。
【0012】
第1態様において、本開示は、式I
D−M−D(式I)
の化合物、またはその薬学的に許容される塩を包含する。
【0013】
式Iの範囲内で、変数DおよびMは、次の定義を有する。
【0014】
Dは、T−R−であり、ここで、Mは、Rに共有結合されている。
【0015】
Mは、−P−A−P−である。
【0016】
Pは、−J−W−であり、ここで、Jは、Rに共有結合されており、Wは、Aに共有結合されており、または
【0017】
Pは、−J−であり、ここで、Jは、RおよびAに共有結合されている。
【0018】
Jは、出現する毎に独立に選択され、Jであり、ここで、iは1〜2の整数である。
【0019】
Tは、出現する毎に独立に選択され、Tであり、ここで、kは1〜2の整数であり;Tは、−Y−Zであり、ここで、Yは、Rに共有結合されており、Yは、結合、オキソで置換されていてもよいC〜Cアルキレンであり;Zは、5または6員の複素環基であり、Tのそれぞれは、(i)−(C=O)OH、−(C=O)NH、−(C=O)H、−C〜Cアルコキシ、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルキルエステル、C〜Cアルケニルエステル、モノ−またはジ−C〜Cアルキルカルボキサミドから選択される少なくとも1つの置換基で置換されており、(ii)ハロゲン、ヒドロキシル、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく;Tは、出現する毎に独立に、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルキルエステル、C〜Cアルケニルエステル、C〜Cアルキルスルホンアミド、C〜Cアルキルスルホニル、モノ−もしくはジ−C〜Cヒドロカルビルカルバメートで置換されたC〜Cアルカノイル、ウレアまたはモノ−もしくはジ−C〜Cアルキルウレアで置換されたC〜Cアルカノイル、およびモノ−もしくはジ−C〜Cアルキルカルボキサミドで置換されたC〜Cアルカノイルから選択され;Tのそれぞれは、アミノ、シアノ、ヒドロキシル、ハロゲン、(C〜Cアルコキシ)C〜Cアルキル、(モノ−およびジ−C〜Cアルキルアミノ)C〜Cアルキル、C〜Cアルキル、(C〜Cチオアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、フェニル、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0020】
Rは、出現する毎に独立に、
(a)1つまたは2つの窒素原子を含み残りの環原子が炭素である4〜6員環(Rは、飽和されているか、1つの不飽和結合を含み、メチレンまたはエチレン橋で架橋されていても、またはフェニルまたは5〜6員ヘテロアリール環に縮合されていてもよい);および
(b)1つまたは2つの窒素原子を含み残りの環原子が炭素である6〜10員の縮合系またはスピロ系二環式系(6〜10員の二環式環は、飽和されているか、1つの不飽和結合を含む)から選択され、各Rは、シアノ、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルキレン、およびC〜Cアルキルスルホニルから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0021】
は、フェニル、またはN、OおよびSから独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜6員のヘテロアリール基であり、ここで、各Jは、アミノ、シアノ、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノ−およびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cハロアルキル、ならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0022】
は、N、OおよびSから独立に選択される1〜4個のヘテロ原子を含む8〜10員のヘテロアリール基であり、ここで、Jは、アミノ、シアノ、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノ−およびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cハロアルキル、ならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0023】
Wは、出現する毎に独立に選択され、アミノ、シアノ、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノ−およびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cハロアルキル、ならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよいフェニル、ピリジルまたはアルキニル基である。
【0024】
Aは、[j.k]−シクロファン、[j.k]−ヘテラ−ファン、[j.k]−ヘテロ−ファン、[j.k]−ヘテロ−ヘテラ−ファン、または[j.k]−アリファンであり、ここで、jは1〜4の整数であり、kは0〜4の整数であり、jとkとの差は2を超えず、各jおよびkリンカーは、N、OおよびSから選択されるヘテロ原子を含んでいてもよく、1つのオキソ基、ならびにハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく;または
【0025】
Aは、[j.k.j’.k’]−シクロファンであり、ここで、j、j’、kおよびk’は、1〜4の整数であり、jとkまたはk’との差は2を超えず、j’とkまたはk’との差は2を超えず、各j、j’、kおよびk’リンカーは、N、OおよびSから選択されるヘテロ原子を含んでいてもよく、1つのオキソ基、ならびにハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく;
または
【0026】
Aは、式
【化1】
[この文献は図面を表示できません]
または
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、Qは、中性またはカチオン性の金属である)の基であり、Aのそれぞれは、ハロゲン、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。特定の実施形態において、Qは、Fe、Co、Cr、Ni、V、Li、RbおよびKから選択されるか、または
【0027】
Aは、式
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
の基であり、Aは、ハロゲン、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0028】
本開示により、式Iの化合物を薬学的に許容される担体と一緒に含む医薬組成物および医薬合剤が提供される。本開示により提供される組成物および合剤は、式Iの化合物を唯一の活性薬剤として含むことができ、または1種以上のさらなる活性薬剤を含むこともできる。特定の実施形態において、さらなる活性薬剤は、NS3aプロテアーゼ阻害剤である。本開示は、また、患者に治療有効量の1種以上の式Iの化合物を提供することを含む、患者におけるC型肝炎感染症を治療する方法を包含する。式Iの化合物は、唯一の活性薬剤として提供されてもよく、またはNS3aプロテアーゼ阻害剤などの1種以上のさらなる活性薬剤と一緒に提供されてもよい。
【0029】
本明細書に開示の式Iの特定の化合物は、後に続く実施例9に示すHCVレプリコンアッセイなどのHCV複製アッセイにおいて良好な活性を示す。式Iの好ましい化合物は、HCVレプリコン複製アッセイにおいて約10マイクロモル濃度以下のEC50、より好ましくは約1マイクロモル濃度以下のEC50、またはさらにより好ましくは約100ナノモル濃度以下のEC50を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[化学的説明および術語]
本発明を詳細に説明する前に、本開示中で使用される予定の特定用語の定義を提供することが有用であろう。化合物は、標準的な命名法を使用して記述される。別途に定義されない限り、本明細書中で使用される技術および科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者によって通常的に理解されると同様の意味を有する。文脈によって明確に禁忌されない限り、各化合物名は、該化合物の遊離酸または遊離塩基、および該化合物の薬学的に許容される塩を包含する。
【0031】
用語「式Iの化合物」は、任意のエナンチオマー、ラセミ化合物および立体異性体、ならびにこのような化合物の薬学的に許容されるすべての塩を含め、式Iを満足させるすべての化合物を包含する。句「式Iの化合物」は、この句が使用される文脈によって明確に禁忌されない限り、式Iのすべての下位一般名の群を包含し、式Iの化合物の薬学的に許容される塩も包含する。
【0032】
「式II」は、任意のエナンチオマー、ラセミ化合物および立体異性体、ならびにこのような化合物の薬学的に許容されるすべての塩を含め、式IIを満足させるすべての化合物を包含する。句「式IIの化合物」は、この句が使用される文脈によって明確に禁忌されない限り、式IIのすべての下位一般名の群を包含し、式IIの化合物の薬学的に許容される塩も包含する。
【0033】
用語「1つの(aおよびan)」は、数量の限定を意味するものではなく、むしろ言及される種目の少なくとも1つの存在を意味する。用語「または(or)」は「および/または(and/or)」を意味する。非制限的移行句「〜を含む(comprising)」は、中間的移行句「本質的には〜からなる」および制限的移行句「〜からなる」を包含する。これらの3種の移行句の1つを叙述する請求項、または「〜を含む(containing)」もしくは「〜を包含する(including)」などの代わりの移行句を伴う請求項は、文脈または技術分野によって明確に除外されない限り、任意の他の移行句で記述することができる。値の範囲の叙述は、本明細書中で特に指摘しない限り、範囲内に包含されるそれぞれ別個の値を個別的に言及する省略表現として役立つことを意図しているに過ぎず、それぞれ別個の値は、明細書中に、あたかもその値が本明細書中で個々に叙述されているがごとく組み込まれる。すべての範囲の端点は、その範囲に含まれ、独立に組み合わせることができる。本明細書に記載のすべての方法は、本明細書中で特に指摘しない限り、または文脈によって明確に否定されない限り、適切な順序で実施することができる。いずれかのもしくはすべての実施例、または例示的文言(例えば、「〜など」)は、単に本発明をより効果的に説明することを意図しているに過ぎず、別途に主張されていない限り、本発明の範囲に関する限定を提示するものではない。明細書中の文言は、本明細書中で使用される場合、本発明の実施にとって必須であるような任意の非請求要素を指摘するものと解釈すべきでない。別途に定義されない限り、本明細書中で使用される技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているのと同様の意味を有する。
【0034】
「活性薬剤」は、患者に単独でまたは別の化合物、元素もしくは混合物と組み合わせて投与した場合に、患者に生理学的効果を直接的または間接的に付与する化合物(本明細書に開示の化合物を含む)、元素、または混合物を意味する。間接的な生理学的効果は、代謝産物または他の間接的機構によって生じることができる。
【0035】
2つの文字または記号の間にあるのではないダッシュ(「−」)は、置換基の結合箇所を指摘するのに使用される。例えば、−(C=O)NHは、ケト基(C=O)の炭素を介して結合される。
【0036】
「アリファン」は、本明細書中で使用される場合、1つのシクロアルキル環の2つの非隣接位の間に、または2つのシクロアルキル環の間に少なくとも1つ脂肪族架橋を備えた1つまたは2つのシクロアルキル環から構成される基である。脂肪族架橋は、1〜4個の炭素原子を含む。脂肪族架橋は、オキソ基で置換されていてもよい。
【0037】
「アルカノイル」は、該アルカノイルで置換される基に、ケト架橋(−(C=O)−)を介して共有結合される、本明細書中で定義される通りのアルキル基である。アルカノイル基は、ケト基の炭素も数えられる炭素原子に含めて、指定した数の炭素原子を有する。例えば、Cアルカノイル基は、式CH(C=O)−を有するアセチル基である。
【0038】
「アルキル」は、指定した数の炭素原子、一般には1〜約12個の炭素原子を有する、分枝鎖または直鎖の飽和脂肪族炭化水素基である。用語「C〜Cアルキル」は、本明細書中で使用される場合、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有するアルキル基を指す。他の実施形態には、1〜8個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、または1もしくは2個の炭素原子を有するアルキル基、例えば、C〜Cアルキル、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルキルが含まれる。本明細書中で、C〜Cアルキルを別の基、例えば、(C〜Cアルコキシ)C〜Cアルキルと連結して使用する場合、指示された基(この場合にはアルコキシ)は、共有単結合(Cアルキル)により直接的に結合されているか、あるいは指定数の炭素原子(この場合には1、2、3または4個の炭素原子)を有するアルキル鎖により結合されている。アルキルの例には、限定はされないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、3−メチルブチル、t−ブチル、n−ペンチル、およびsec−ペンチルが含まれる。
【0039】
「アルキニル」は、指定数の炭素原子を有し、鎖の途中の任意の安定な箇所に存在することのできる1つ以上の炭素−炭素三重結合を有する分枝鎖または直鎖の脂肪族炭化水素基である。アルキニルの例には、限定はされないが、エチニルおよびプロピニルが含まれる。
【0040】
「アルコキシ」は、指定数の炭素原子を有し、該アルコキシで置換される基に酸素架橋(−O−)を介して共有結合される、前に定義した通りのアルキル基である。アルコキシの例には、限定はされないが、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、2−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、2−ペントキシ、3−ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、n−ヘキソキシ、2−ヘキソキシ、3−ヘキソキシ、および3−メチルペントキシが含まれる。
【0041】
用語「アルキルエステル」は、該アルキルエステルで置換される基にエステル結合を介して共有結合される、本明細書中で定義される通りのアルキル基を指す。エステル結合は、例えば、式−O(C=O)アルキルの基または式−(C=O)Oアルキルの基のいずれの配向でよい。
【0042】
「アルキルスルホニル」は、式−SOアルキルの基であり、ここで、アルキル基は、本明細書中に示した定義を有する。
【0043】
「シクロアルキル」は、指定数の炭素原子を有する飽和の炭化水素環式基である。単環式シクロアルキル基は、典型的には、3〜約8個の炭素環原子、または3〜7(3、4、5、6または7)個の炭素環原子を有する。シクロアルキル置換基は、置換された窒素または炭素原子からの、あるいは2つの置換基を有してもよく、スピロ基として結合されているシクロアルキル基を有してもよい置換された炭素原子からの垂下物でよい。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが含まれる。
【0044】
「シクロファン」は、本明細書中で使用する場合、1つの芳香族環の2つの非隣接位の間に、または2つの芳香族環の間に少なくとも1つの脂肪族架橋を有する、1つまたは2つの芳香族環、通常的にはベンゼン環から構成される基である。脂肪族架橋は、メタもしくはパラ、またはメタ、パラ(1つの芳香族環に関してメタ、他の環に関してパラ)の配向で存在し、1〜4個の炭素原子を含む。脂肪族架橋は、オキソ基で置換されていてもよい。
【0045】
「ハロアルキル」は、指定数の炭素原子を有し、1つ以上のハロゲン原子で、最大で許容される最大数のハロゲン原子で置換された、分枝鎖および直鎖のアルキル基を指す。ハロアルキルの例には、限定はされないが、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、2−フルオロエチル、およびペンタフルオロエチルが含まれる。
【0046】
「ハロアルコキシ」は、酸素架橋(アルコール基の酸素)を介して結合される、本明細書で定義された通りのハロアルキル基を指す。
【0047】
「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードのいずれかを指す。
【0048】
「ヘテロアリール」は、N、OおよびSから選択される1〜3個の、一部の実施形態では1〜2個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である指定数の環原子を有する安定な単環式芳香族環、あるいはN、OおよびSから選択される1〜3個の、一部の実施形態では1〜2個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である少なくとも1つの5〜7員芳香族環を含む安定な二環式もしくは三環式系を指す。単環式ヘテロアリール基は、典型的には、5〜7個の環原子を有する。一部の実施形態において、二環式ヘテロアリール基は、9〜10員ヘテロアリール基、すなわち、9または10個の環原子を含み、1つの5〜7員芳香族環が第二の芳香族または非芳香族環に縮合されている基である。ヘテロアリール基中のSおよびO原子の総数が1を超える場合、これらのヘテロ原子は、互いに隣接していない。ヘテロアリール基中のSおよびO原子の総数は、2を超えないことが好ましい。芳香族複素環中のSおよびO原子の総数は、1を超えないことがとりわけ好ましい。ヘテロアリール基の例には、限定はされないが、オキサゾリル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾロピリミジニル、ピラゾリル、ピリジジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、キノリニル、テトラゾリル、チアゾリル、チエニルピラゾリル、チオフェニル、トリアゾリル、ベンゾ[d]オキサゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサジアゾリル、ジヒドロベンゾジオキシニル、フラニル、イミダゾリル、インドリル、およびイソオキサゾリルが含まれる。「ヘテロアリールオキシ」は、該ヘテロアリールオキシで置換される基に酸素架橋を介して結合される、記載のようなヘテロアリール基である。
【0049】
「ヘテラ−ファン」は、本明細書中で使用する場合、ヘテロ原子を含む少なくとも1つの脂肪族架橋を1つの芳香族環の2つの非隣接位の間に、または2つの芳香族環の間に備えた、1つまたは2つの芳香族環、通常的にはベンゼン環から構成される基である。脂肪族架橋は、メタもしくはパラ、またはメタ、パラ(1つの芳香族環に関してメタ、他の環に関してパラ)の配向で存在し、1〜4個の原子を含み、その原子の少なくとも1つはヘテロ原子であり、残りの原子は炭素原子である。脂肪族架橋は、オキソ基で置換されていてもよい。
【0050】
「ヘテロ−ファン」は、本明細書中で使用する場合、1つの芳香族環の2つの非隣接位の間に、または2つの芳香族環の間に少なくとも1つの脂肪族架橋を備え、その少なくとも1つの芳香族環がヘテロアリールである1つまたは2つの芳香族環から構成される基である。脂肪族架橋は、メタもしくはパラ、またはメタ、パラ(1つの芳香族環に関してメタ、他の環に関してパラ)の配向で存在し、1〜4個の炭素原子を含む。脂肪族架橋は、オキソ基で置換されていてもよい。
【0051】
「ヘテロ−ヘテラ−ファン」は、本明細書中で使用する場合、N、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含む少なくとも1つの脂肪族架橋を1つの芳香族環の2つの非隣接位の間、または2つの芳香族環の間に、かつヘテロ原子を含まない1つの脂肪族架橋を1つの芳香族環の2つの非隣接位の間、または2つの芳香族環の間に備え、その少なくとも1つの芳香族環がヘテロアリールである1つまたは2つの芳香族環から構成される基である。脂肪族架橋は、メタもしくはパラ、またはメタ、パラ(1つの芳香族環に関してメタ、他の環に関してパラ)の配向で存在し、1〜4個の原子を含み、その原子の少なくとも1つはヘテロ原子であり、残りの原子は炭素原子である。脂肪族架橋は、オキソ基で置換されていてもよい。
【0052】
「ヒドロカルビル」は、指定数の炭素原子を含む飽和または不飽和の脂肪族基である。「ヒドロカルビル」は、「モノ−もしくはジ−ヒドロカルビルカルバメート」のように、カルバメートなどの他の基と連結して使用できる。モノ−もしくはジ−ヒドロカルビルカルバメートには、式(アルキル)NH(C=O)O−および(アルキル)N(アルキル)(C=O)O−の基、ならびにアルキル基の一方または双方が炭素−炭素不飽和結合を含む炭化水素基で置き換えられている基が含まれる。
【0053】
「メタロセン」は、金属中心に結合された2つの5または6員芳香族炭素環式基からなる化合物であり、その金属は中性またはカチオン性である。メタロセンの例には、限定はされないが、フェロセンが含まれる。
【0054】
用語「モノ−および/またはジ−アルキルアミノ」は、第二級または第三級アルキルアミノ基を指し、ここで、該アルキル基は、指定数の炭素原子を有し、独立に選択される本明細書中で定義された通りのアルキル基である。アルキルアミノ基の結合箇所は窒素上にある。モノ−およびジ−アルキルアミノ基の例には、エチルアミノ、ジメチルアミノ、およびメチル−プロピル−アミノが含まれる。
【0055】
「モノ−および/またはジ−アルキルカルバメート」としては、式(アルキル)O(C=O)NH−のモノ−アルキルカルバメート基、または式(アルキル)O(C=O)N(アルキル)−のジアルキルカルボキサミド基が含まれ、ここで、これらの基で置換される分子へのモノ−またはジ−アルキルカルボキサミド置換基の結合箇所は、カルバメートのアミノの窒素上にある。用語「モノ−および/またはジ−アルキルカルバメート」は、式(アルキル)NH(C=O)O−および(アルキル)N(アルキル)(C=O)O−の基も包含し、ここで、該カルバメートは、それで置換される基にその非ケト性酸素原子を介して共有結合される。基アルキルおよびアルキルは、本開示中で示したアルキルの定義を有し、指定数の炭素原子を有する、独立に選択されるアルキル基である。
【0056】
「モノ−および/またはジ−アルキルカルボキサミド」は、式(アルキル)−NH−(C=O)−のモノ−アルキルカルボキサミド基、または式(アルキル)(アルキル)−N−(C=O)−のジアルキルカルボキサミド基を指し、ここで、これらの基で置換される分子へのモノ−またはジ−アルキルカルボキサミド置換基の結合箇所は、カルボニル基の炭素上にある。用語「モノ−および/またはジ−アルキルカルボキサミド」は、式(アルキル)(C=O)NH−および(アルキル)(C=O)(アルキル)N−の基も包含し、ここで、これらの結合箇所は窒素原子である。基アルキルおよびアルキルは、指定数の炭素原子を有する独立に選択されるアルキル基である。同様に、「モノ−および/またはジ−アルキルスルホンアミド」は、式(アルキル)−NH−(SO)−のモノ−アルキルスルホンアミド基、式(アルキル)−(SO)−NH−のモノ−アルキルスルホンアミド基、式(アルキル)(アルキル)−N−(SO)−のジアルキルスルホンアミド基、および式(アルキル)−(SO)−(アルキル)N−の基のいずれかである。
【0057】
「チオアルキル」は、指定数の炭素原子を有し、該チオアルキル基で置換される基に硫黄架橋(−S−)を介して共有結合される、前に定義した通りのアルキル基である。
【0058】
用語「置換された」は、本明細書中で使用する場合、示した原子または基上の任意の1つ以上の水素が、示した原子の正常な原子価を超えないとの条件下で、指定された基から選択したもので置き換えられることを意味する。置換基がオキソ(すなわち、=O)であるなら、原子上の2つの水素が置き換えられる。芳香族部分がオキソ基で置換されると、該芳香族環は、対応する部分不飽和環となる。例えば、オキソで置換されたピリジル基はピリドンである。置換基および/または変数の組合せは、このような組合せが安定な化合物または有用な合成中間体をもたらす場合にのみ許される。安定な化合物または安定な構造とは、反応混合物からの単離、およびそれに続く有効な治療薬剤への製剤化に耐えるように十分に堅固である化合物を含意することを意味する。特記しない限り、置換基は、コア構造に対して命名される。例えば、可能な置換基としてアミノアルキルを列挙する場合、この置換基のコア構造への結合箇所は、アルキル部分中に存在することが理解されるであろう。
【0059】
「置換される」位置に存在できる適切な基としては、限定はされないが、例えば、ハロゲン;シアノ;ヒドロキシル;ニトロ;、アジド;、アルカノイル(C〜Cアルカノイル基など);カルボキサミド;1〜約8個の炭素原子または1〜約6個の炭素原子を有するアルキル基(シクロアルキル基を含む);アルケニルおよびアルキニル基、例えば、1つ以上の不飽和結合、および2〜約8個、または2〜約6個の炭素原子を有する基;1つ以上の酸素結合および1〜約8個または1〜約6個の炭素原子を有するアルコキシ基;フェノキシなどのアリールオキシ;アルキルチオ基、例えば、1つ以上のチオエーテル結合、および1〜約8個または1〜約6個の炭素原子を有するもの;アルキルスルフィニル基、例えば、1つ以上のスルフィニル結合、および1〜約8個または1〜約6個の炭素原子を有するもの;アルキルスルホニル基、例えば、1つ以上のスルホニル結合、および1〜約8個または1〜約6個の炭素原子を有するもの;アミノアルキル基、例えば、1つ以上のN原子、および1〜約8個または1〜約6個の炭素原子を有する基;6つ以上の炭素および1つ以上の環を有するアリール(例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチルなど、各環は置換または非置換の芳香族である);1〜3個の孤立または縮合環、および6〜約18個の環炭素原子を有するアリールアルキル(ベンジルが典型的なアリールアルキル基である);1〜3個の孤立または縮合環、および6〜約18個の環炭素原子を有するアリールアルコキシ(ベンジルオキシが典型的なアリールアルコキシ基である);あるいは環当たり3〜約8個の環員および1つ以上のN、OもしくはS原子を有する1〜3個の孤立または縮合環を有する飽和、不飽和、もしくは芳香族複素環式基、例えば、クマリニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、フラニル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、トリアジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、およびピロリジニルが挙げられる。このような複素環式基は、例えば、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、およびアミノでさらに置換されていてもよい。
【0060】
「剤形」とは、活性薬剤の投与単位を意味する。剤形の例には、錠剤、カプセル剤、注射剤、懸濁剤、液剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、坐剤、吸入形態、経皮形態などが含まれる。
【0061】
「医薬組成物」は、少なくとも1種の活性薬剤、例えば式Iの化合物または塩、および少なくとも1種の他の物質、例えば担体を含む組成物である。医薬組成物は、任意選択で、1種以上のさらなる活性薬剤を含む。具体的には、医薬組成物は、ヒトまたは非ヒト用薬物に関する米国FDAのGMP基準(製造および品質管理に関する基準)に合致する。「医薬合剤」は、単一の剤形中で組み合わせてもよく、またはC型肝炎などの障害を治療するために活性薬剤を一緒に使用すべきであるとの説明書と共に別々の剤形中で一緒に提供してもよい、少なくとも2種の活性薬剤の組合せである。
【0062】
「薬学的に許容される塩」としては、親化合物が、その無機または有機の非毒性の酸または塩基付加塩を調製することによって改変されている、開示化合物の誘導体が挙げられる。本発明の化合物の塩は、塩基性または酸性部分を含む親化合物から、通常の化学的方法により合成することができる。一般に、このような塩は、これらの化合物の遊離酸形態を化学量論的量の適切な塩基(Na、Ca、MgまたはKの水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩など)と反応させることによって、あるいはこれらの化合物の遊離塩基形態を化学量的量の適切な酸と反応させることによって調製することができる。このような反応は、典型的には、水中、有機溶媒中、またはこれら2つの混合物中で実施される。一般に、実施可能なら、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルなどの非水性媒体が好ましい。本発明の化合物の塩としては、さらに、その化合物およびその化合物の塩の溶媒和物が挙げられる。
【0063】
薬学的に許容される塩の例には、限定はされないが、アミンのような塩基性残基の無機または有機酸塩;カルボン酸のような酸性残基のアルカリまたは有機塩などが含まれる。薬学的に許容される塩としては、例えば、非毒性の無機または有機酸から形成される、親化合物の通常の非毒性塩および第4級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、通常の非毒性の酸塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸から誘導されるもの;および酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、メシル酸、エシル酸、ベシル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、HOOC−(CH−COOH(ここで、nは0〜4である)などの有機酸から調製される塩が挙げられる。適切なさらなる塩の一覧は、例えば「Remington’s Pharmaceutical Sciences、第17版、Mack Publishing Company、Easton、ペンシルヴェニア州、1418頁(1985年)中に見出すことができる。
【0064】
本発明の医薬組成物/医薬合剤に使用される用語「担体」は、活性化合物と共に提供される希釈剤(diluent)、賦形剤(excipient)、または媒体(vehicle)を指す。
【0065】
「薬学的に許容される賦形剤」とは、医薬組成物/医薬合剤を調製する上で有用であり、一般には安全、非毒性で、生物学的にも他の点でも有害でない賦形剤であり、獣医学的使用、およびヒトでの薬学的使用に対して許容される賦形剤を包含する。「薬学的に許容される賦形剤」は、本出願中で使用する場合、1種のおよび1種を超えるこのような賦形剤の双方を包含する。
【0066】
「患者」とは、医学的処置を必要とするヒトまたは非ヒト動物である。医学的処置としては、疾患または障害などの現存する状態の治療、予防もしくは防止処置、または診断処置が挙げられる。一部の実施形態では、患者はヒト患者である。
【0067】
「提供すること」は、付与すること、投与すること、販売すること、配布すること、移転すること(利益のため、または利益に関係なく)、製造すること、配合すること、または調剤することを意味する。
【0068】
「式Iの化合物を少なくとも1種のさらなる活性薬剤と共に提供すること」とは、式Iの化合物およびさらなる活性薬剤(群)を、単一の剤形の状態で同時的に提供すること、別々の剤形の状態で同時的に提供すること、あるいは式Iの化合物と少なくとも1種のさらなる活性薬剤との双方が患者の血流内に存在する時間内である若干の時間で隔てられた投与のために別々の剤形の状態で提供することを意味する。特定の実施形態において、式Iの化合物およびさらなる活性薬剤は、患者に対して同一の医療ケアワーカーによって処方される必要はない。特定の実施形態において、さらなる活性薬剤または薬剤群は、処方を必要としない。式Iの化合物または少なくとも1種のさらなる活性薬剤の投与は、任意の適切な経路、例えば、経口錠剤、経口カプセル剤、経口液剤、吸入、注射、坐剤、または局所的接触を介して行うことができる。
【0069】
「治療」には、本明細書中で使用する場合、式Iの化合物を、唯一の活性薬剤として提供すること、あるいは(a)疾患にかかりやすい可能性はあるが、まだその疾患を有するとは診断されていない患者において、疾患(慢性HCV感染症の状況を引き起こすことのある肝線維症のように、原疾患に付随するまたは起因する可能性のある疾患を含む)または疾患の症状が、発症するのを予防するのに十分な、(b)疾患を抑制する、すなわちその進行を阻止するのに十分な、および(c)疾患を軽減する、すなわち疾患の後退をもたらすのに十分な少なくとも1種のさらなる活性薬剤と一緒に提供することが含まれる。「治療すること」および「治療」とは、また、C型肝炎感染症を有するまたはそれに感染し易い患者に、治療有効量の式Iの化合物を、唯一の活性薬剤として、あるいは少なくとも1種のさらなる活性薬剤と一緒に提供することを意味する。
【0070】
本発明の医薬組成物/医薬合剤の「治療有効量」とは、患者に投与した場合に、症状の改善などの治療上の利益を提供するのに有効な量、例えば、C型肝炎感染症の症状を減弱するのに有効な量を意味する。例えば、C型肝炎ウイルスに感染した患者は、高められたレベルの特定の肝臓内酵素、例えば、ASTおよびALTを提示しうる。ASTの正常レベルは、血清(血液の液体部分)1リットルにつき5〜40単位であり、ALTの正常レベルは、血清1リットルにつき7〜56単位である。したがって、治療有効量とは、高められたASTおよびALTレベルの有意な低下を提供するのに十分な量、あるいはASTおよびALTレベルの正常範囲への復帰を提供するのに十分な量である。治療有効量とは、また、患者の血液、血清または組織における検出可能なレベルのウイルスまたはウイルス抗体の有意な増加を予防するのに十分な、あるいはそれらを有意に低下させるのに十分な量である。治療有効性を判定する1つの方法は、ウイルスのRNAレベルを測定するための通常的方法、例えばRoche TaqManアッセイによってHCV RNAレベルを測定することを含む。特定の好ましい実施形態において、治療は、HCV RNAレベルを、定量限界(Roche TaqMan(R)アッセイで測定した場合、30IU/mL)未満まで、より好ましくは検出限界(Roche TaqManで、10IU/mL)未満まで低下させる。
【0071】
検出可能なレベルのウイルスまたはウイルス抗体の有意な増加または減少は、スチューデントのt検定(ここで、p<0.05)などの統計学的有意性の標準的パラメトリック検定において統計的に有意である何らかの検出可能な変化である。
【0072】
[化学的説明]
式Iおよび式II(後に示す)は、そのすべての下位式を包含する。特定の状況において、式Iまたは式IIの化合物は、立体異性をもたらす中心、立体異性をもたらす軸などの1つ以上の不斉要素、例えば、不斉炭素原子を含むことができ、その結果、化合物は、種々の立体異性形態で存在することができる。これらの化合物は、例えば、ラセミ化合物または光学活性形態であり得る。2つ以上の不斉要素をもつ化合物の場合、これらの化合物は、さらに、ジアステレオマーの混合物であり得る。不斉中心を有する化合物の場合、光学異性体およびその混合物のすべてが包含されると理解されたい。さらに、炭素−炭素二重結合をもつ化合物は、Z−およびE−型で存在することができ、その化合物のすべての異性形態が本発明に包含される。これらの状況において、単一のエナンチオマー、すなわち、光学活性形態は、不斉合成、光学的に純粋な前駆体からの合成によって、またはラセミ化合物の分割によって得ることができる。ラセミ化合物の分割は、例えば、分割剤の存在下での結晶化、または例えばキラルなHPLCカラムを使用するクロマトグラフィーなどの通常的方法によって完遂することもできる。
【0073】
化合物が種々の互変異性形態で存在する場合、本発明は、特定の互変異性体のいずれか1種に限定されるものではなく、すべての互変異性形態を包含する。
【0074】
本発明は、本発明の化合物中に現れる原子のすべての同位体を包含すると解釈される。同位体は、同一の原子番号を有するが、質量数を異にする原子を含む。一般的な例を挙げれば、限定はされないが、水素の同位体にはトリチウムおよびジューテリウムが、炭素の同位体には11C、13Cおよび14Cが包含される。
【0075】
本明細書中で、特定の化合物は、変数、例えば、D、M、A、P、JおよびWを含む一般式を使用して記述される。特記しない限り、このような式内の各変数は、他の変数と独立に定義される。したがって、基が、例えば、0〜2個のR*で置換されていると言われる場合、該基は、最大で2つまでのR*基で置換されていてもよく、R*は、出現する毎に、R*の定義から独立に選択される。また、置換基および/または変数の組合せは、このような組合せが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。
【0076】
要約のセクションで考察された式Iの化合物および塩に加え、本開示は、変数が次の条件のいずれかに合致する、式Iの化合物および塩、ならびにこのような化合物からなる医薬組成物/医薬合剤を包含する:
【0077】
(i)D−M−Dは、
T−R−J−W−A−W−J−R−T、
T−R−J−A−J−R−T、
T−R−J−A−J−R−T、
T−R−J−W−A−J−R−T、
T−R−J−W−A−J−R−T、および
T−R−J−A−J−R−Tのいずれかである。
【0078】
(ii)Aは、
【化4】
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である。
【0079】
(iii)Aは、
【化5】
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である。
【0080】
(iv)Aは、
【化6】
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である。
【0081】
(v)Aは、
【化7】
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である。
【0082】
(vi)Aは、
【化8】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0083】
(vii)Aは、
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0084】
(viii)Aは、
【化10】
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である。
【0085】
(ix)Aは、
【化11】
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である。
【0086】
(x)Aは、
【化12】
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である。
【0087】
(xi)Aは、
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0088】
(xii)Aは、
【化14】
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である。
【0089】
(xiii)Aは、
【化15】
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である。
【0090】
(xiv)Aは、
【化16】
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である。
【0091】
(xv)少なくとも1つのPはJ−Wであり、Wは、ハロゲン、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルである。
【0092】
(xvi)PはJ−WまたはJであり、ここで少なくとも1つのJはJであり、Jは、
【化17】
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である。
【0093】
(xvii)少なくとも1つのPはJであり、Jは、
【化18】
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である。
【0094】
(xviii)少なくとも1つのPはJであり、Jは、ハロゲン、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよいベンゾイミダゾール基である。
【0095】
(xix)Rは、そのそれぞれが、ハロゲン、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい、
【化19】
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【化20】
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【化21】
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【化22】
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【化23】
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【化24】
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【化25】
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【化26】
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【化27】
[この文献は図面を表示できません]
【化28】
[この文献は図面を表示できません]
【化29】
[この文献は図面を表示できません]
【化30】
[この文献は図面を表示できません]
【化31】
[この文献は図面を表示できません]
【化32】
[この文献は図面を表示できません]
【化33】
[この文献は図面を表示できません]
【化34】
[この文献は図面を表示できません]
【化35】
[この文献は図面を表示できません]
【化36】
[この文献は図面を表示できません]
【化37】
[この文献は図面を表示できません]
および
【化38】
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から独立に選択される。
【0096】
(xx)Rは、
【化39】
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【化40】
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および
【化41】
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から独立に選択される。
【0097】
(xxi)Tは、モノ−およびジ−C〜Cアルキルカルバメートで置換された独立に選択されるC〜Cアルカノイルであり、Tのそれぞれは、(C〜Cチオアルキル)C〜Cアルキルで置換されていてもよい。
【0098】
(xxii)式T−R−J−A−J−R−Tの化合物および塩も含まれる。
【0099】
式T−R−J−A−J−R−T中のAは、式
【化42】
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の基である。
【0100】
は、N、OおよびSから独立に選択される1または2個のヘテロ原子を含む8〜10員のヘテロアリール基であり、ここで、Jは、アミノ、シアノ、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノ−およびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0101】
各Rは、1または2個の窒素原子を含み残りの環原子が炭素である独立に選択される8〜10員の二環式環系であり、8〜10員の二環式環は、飽和されているか、1つの不飽和結合を含み、Rは、シアノ、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルキレン、およびC〜Cアルキルスルホニルから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0102】
は、出現する毎に独立に、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルキルエステル、C〜Cアルケニルエステル、C〜Cアルキルスルホンアミド、C〜Cアルキルスルホニル、(モノ−もしくはジ−C〜Cヒドロカルビルカルバメートで置換された)C〜Cアルカノイル、(ウレアまたはモノ−もしくはジ−C〜Cアルキルウレアで置換された)C〜Cアルカノイル、および(モノ−またはジ−C〜Cアルキルカルボキサミドで置換された)C〜Cアルカノイルから選択され、それぞれのTは、アミノ、シアノ、ヒドロキシル、ハロゲン、(C〜Cアルコキシ)C〜Cアルキル、(モノ−およびジ−C〜Cアルキルアミノ)C〜Cアルキル、C〜Cアルキル、(C〜Cチオアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、フェニル、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0103】
xxiiの特定の実施形態において、−J−R−は、式
【化43】
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またはとりわけ
【化44】
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の基である。−J−R−は、非置換でも、あるいはアミノ、シアノ、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノ−およびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0104】
xxiiの特定の実施形態において、Tは、モノ−もしくはジ−C〜Cヒドロカルビルカルバメートで置換されたC〜Cアルカノイルであることがやはり好ましく、そのTは、アミノ、シアノ、ヒドロキシル、ハロゲン、(C〜Cアルコキシ)C〜Cアルキル、(モノ−およびジ−C〜Cアルキルアミノ)C〜Cアルキル、C〜Cアルキル、(C〜Cチオアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、フェニル、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0105】
式Iの化合物に関する先の条件のいずれかを、安定な化合物が生じる限り一緒に使用して、式Iの下位一般式を定義することができる。このような下位一般式は、すべて本開示に包含される。
【0106】
要約のセクション中で考察した式Iの化合物および塩に加えて、本開示は、式Iと式IIとからなる組成物および合剤を包含し、ここで、式IIは、
【化45】
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式II
である。
【0107】
式IIの中で、変数R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R16およびT’は、後に示す定義を有する。
【0108】
’およびR’は、一緒になって、N、OおよびSから独立に選択される1または2個のヘテロ原子を含む5〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、該環は、フェニルまたは5もしくは6員のヘテロアリールに縮合されて二環式環系を形成していてもよく、5〜7員のヘテロシクロアルキル環または二環式環系のそれぞれは置換されていてもよい。
【0109】
変数R’〜R’に関して、次の条件のうちの1つが満たされる。R’、R’、R’およびR’は、独立に、水素、C〜Cアルキル、または(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであり;R’およびR’は、一緒になって、置換されていてもよい3〜7員のシクロアルキル環を形成している。
【0110】
’、R’およびR’は、独立に、水素、C〜Cアルキル、または(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであり;R’は水素またはC〜Cアルキルであり;R’は、C〜C10飽和もしくは不飽和の炭化水素鎖によってR’に結合されている。
【0111】
’、R’およびR’は、独立に、水素、C〜Cアルキル、または(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであり;R’およびR’は、一緒になって、置換されていてもよい3〜7員のシクロアルキル環を形成しており、R’は、RおよびR、C〜C10の飽和、部分不飽和、もしくは不飽和炭化水素鎖によって形成される3〜7員の置換されていてもよいシクロアルキル環に結合されている。
【0112】
T’は、式
【化46】
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の基である。
【0113】
は、ヒドロキシル、アミノ、−COOH、−NR1011、−OR12、−SR12、−NR10(S=O)R11、または−NR10SO11である。R10、R11およびR12は、出現する毎に独立に、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、(アリール)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、または(5〜10員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい。
【0114】
Z’は、
【化47】
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であり、式中、X、X、X、XおよびXは、独立に、NまたはCHであり、NであるのはX〜Xの中の多くても2つである。
【0115】
21は、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノ−およびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の基を表す。
【0116】
22は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノ−およびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシ;またはR22は(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C0〜C2アルキル、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(5−または6−員ヘテロアリール)C〜Cアルキル、(5−または6−員ヘテロアリール)C〜Cアルコキシ、ナフチル、インダニル、(5−または6−員ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、または9もしくは10員の二環式ヘテロアリールであり、これらのそれぞれは、
(i)ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、−COOH、−CONH、CH(C=O)NH−、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cヒドロキシアルキル、モノ−およびジ−C〜Cアルキルアミノ、−NRSO11、−C(O)R11、−NRCOR11、−NRC(O)OR11、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ならびに
(ii)フェニルおよび5もしくは6員のヘテロアリール(これらのそれぞれは、0、1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシで置換されている)から独立に選択される0、1つまたは2つの置換基で置換されており、ここで、Rは、水素、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルであり、R11は前に定義した通りである。
【0117】
16は、0〜4個の置換基を表し、ハロゲン、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立に選択される。
【0118】
式Iの化合物に関する前記条件のいずれかを、安定な化合物が生じる限り一緒に使用して、式Iの下位一般式を定義することができる。このような下位一般式は、すべて本開示に包含される。
【0119】
本開示は、また、式Iの化合物および式IIの化合物を含む医薬組成物および医薬合剤、ならびにC型肝炎に感染した患者にこのような組成物/合剤を投与することを含む治療方法を包含する。
【0120】
例えば、本開示は、式IIの化合物が、
【化48】
[この文献は図面を表示できません]
または
【化49】
[この文献は図面を表示できません]
である、組成物および合剤を包含する。
【0121】
本開示は、また、式Iの化合物および式IIの化合物を含む医薬組成物および医薬合剤、ならびにC型肝炎に感染した患者にこのような組成物/合剤を投与することを含む治療方法を包含する。
【0122】
例えば、本開示は、式IIの化合物が、
【化50】
[この文献は図面を表示できません]
または
【化51】
[この文献は図面を表示できません]
である、組成物および合剤を包含する。
【0123】
本明細書に記載の医薬組成物および医薬合剤中で有用な式IIのNS3aプロテアーゼ阻害剤は、これまでに開示されている。2011年3月15日に発行の米国特許第7906619号は、4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチドに関する教示について、その全体で本願に引用して援用される。該‘619号特許は、本明細書に記載の式Iの化合物との組成物/合剤中で有用な化合物を開示している50段から85段までの実施例のセクションにおいて詳細に引用して援用される。
【0124】
2010年8月26日に公開の米国特許出願公開第2010/0216725号は、4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチドに関する教示について、その全体で本願に引用して援用される。該‘725号出願は、本明細書に記載の式Iの化合物との組成物/合剤中で有用な化合物を開示している22頁から100頁までの実施例のセクションにおいて詳細に引用して援用される。
【0125】
2010年6月17日に公開の米国特許出願公開第2010/0152103号は、4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチドの環状類似体に関するその教示について、その全体で本願に引用して援用される。該‘103号出願は、本明細書に記載の式Iの化合物との組成物/合剤中で有用な化合物を開示している19頁から60頁までの実施例のセクションにおいて詳細に引用して援用される。
【0126】
[医薬製剤]
本明細書に開示の化合物は、そのままの化学物質として投与できるが、好ましくは医薬組成物として投与される。したがって、本開示は、式Iの化合物または薬学的に許容される塩を、少なくとも1種の薬学的に許容される担体と一緒に含む医薬組成物を提供する。医薬組成物/医薬合剤は、式Iの化合物または塩を唯一の活性薬剤として含むことができるが、好ましくは少なくとも1種のさらなる活性薬剤を含む。特定の実施形態において、さらなる活性薬剤は、式IIの化合物または塩などのNS3aプロテアーゼ阻害剤であることが好ましい。特定の実施形態において、医薬組成物は、単位剤形中に約0.1mg〜約2000mg、約10mg〜約1000mg、約100mg〜約800mg、または約200mg〜約600mgの式Iの化合物、および任意選択で約0.1mg〜約2000mg、約10mg〜約1000mg、約100mg〜約800mg、または約200mg〜約600mgのさらなる活性薬剤を含む剤形で存在する。医薬組成物は、また、あるモル比で式Iの化合物およびさらなる活性薬剤を含むことができる。例えば、医薬組成物は、約0.5:1、約1:1、約2:1、約3:1、または約1.5:1〜約4:1のモル比で式IIのNS3aプロテアーゼ阻害剤および式IのNS5a阻害剤を含むことができる。
【0127】
本明細書に開示の化合物は、経口、局所、非経口で、吸入または噴霧で、舌下、経皮で、口内投与を介して、直腸内で、点眼液として、または他の手段により、通常的な薬学的に許容される担体を含む投与単位製剤の状態で、投与することができる。医薬組成物は、任意の薬学上有用な形態として、例えば、エアロゾル剤、クリーム剤、ゲル剤、丸剤、カプセル剤、錠剤、シロップ剤、経皮パッチ、または点眼液として製剤化することができる。一部の剤形、例えば、錠剤およびカプセル剤は、適切な量、例えば、所望の目的を達成するのに有効な量の活性成分を含む適切な大きさの単位用量に小分けされる。
【0128】
担体には、賦形剤および希釈剤が包含され、担体は、それらを治療される患者へ投与するのに適するようにするため、純度が十分に高く、かつ毒性が十分に低くなければならない。担体は、不活性でもよく、それ自体で薬学上の利益を所持することもできる。化合物と合わせて採用される担体の量は、投与に関して、化合物の単位用量につき実際量の素材を提供するのに十分な量である。
【0129】
担体の部類としては、限定はされないが、結合剤、緩衝化剤、着色剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、風味料、流動促進剤、滑沢剤、保存剤、安定剤、界面活性剤、打錠助剤(tableting agent)、湿潤化剤が挙げられる。一部の担体は、1つを超える部類中で列挙され、例えば、植物油は、一部の製剤では滑沢剤として、他の製剤では希釈剤として使用することができる。薬学的に許容される典型的な担体としては、糖、デンプン、セルロース、粉末トラガカントゴム、麦芽、ゼラチン、タルク、および植物油が挙げられる。医薬組成物中には、本発明の化合物の活性を実質的に妨害しない任意選択の活性薬剤を含めることができる。
【0130】
医薬組成物/医薬合剤は、経口投与用に製剤化することができる。これらの組成物は、0.1〜99重量%(wt%)の式Iの化合物、および通常的には少なくとも約5wt%の式の化合物を含む。一部の実施形態では、約25wt%〜約50wt%または約5wt%〜約75wt%の式の化合物を含む。
【0131】
[治療方法]
本明細書に開示の医薬組成物/医薬合剤は、患者におけるC型肝炎感染症を治療するのに有用である。
【0132】
本開示は、C型肝炎感染症を包含するウイルス感染症を、C型肝炎ウイルスに感染した患者に治療有効量の式Iの化合物または薬学的に許容される塩を提供することによって治療する方法を提供する。式Iの化合物または塩は、単独の活性薬剤として提供することができ、あるいは1種以上のさらなる活性薬剤と一緒に提供することもできる。特定の実施形態において、式Iの化合物または塩は、式IIの化合物または塩、あるいは他のNS3aプロテアーゼ阻害剤と一緒に投与される。特定の実施形態において、医薬組成物は、式Iの化合物を、NS5b阻害剤および任意選択のさらなる活性薬剤と一緒に含む。
【0133】
本発明の医薬組成物/医薬合剤の有効量とは、(a)C型肝炎の進行を抑制するのに十分な、(b)C型肝炎感染症の後退をもたらすのに十分な、あるいは(c)HCVウイルスまたはHCV抗体が、以前に感染していた患者の血液または血漿中でもはや検出できないようなC型肝炎感染症の治癒をもたらすのに十分な量でよい。C型肝炎の進行を抑制するのに、または後退をもたらすのに有効な医薬組成物/医薬合剤の量とは、C型肝炎の症状の悪化を止めるのに、またはC型肝炎ウイルスに感染した患者が経験する症状を軽減するのに有効な量を包含する。あるいは、C型肝炎の進行停止または後退は、該疾患に関するいくつかのマーカーのいずれかによって示すことができる。例えば、患者の血液におけるC型肝炎ウイルス量の無増加または低下、または循環しているHCV抗体数の無増加または低下は、C型肝炎感染症の進行停止または後退のマーカーである。C型肝炎の他の疾患マーカーとしては、アミノトランスフェラーゼレベル、とりわけ肝内酵素ASTおよびALTのレベルが挙げられる。ASTの正常レベルは、5〜40単位/血清1リットル(血液の液体部分)であり、ALTの正常レベルは、7〜56単位/血清1リットルである。典型的には、これらのレベルは、HCV感染患者において上昇する。疾患の後退は、ASTおよびALTの正常範囲への復帰によって示される。
【0134】
有効量の本発明の医薬組成物/医薬合剤によって影響を及ぼすことのできるC型肝炎の症状としては、肝機能低下、疲労、インフルエンザ様症状、発熱、悪寒、筋肉痛、関節痛、頭痛、吐き気、特定食物に対する忌避、原因不明の体重減少、鬱を包含する心理学的障害、腹部圧痛、および黄疸が挙げられる。
【0135】
「肝機能」とは、限定はされないが、血清タンパク質[例えば、アルブミン、凝固因子、アルカリホスファターゼ、アミノトランスフェラーゼ(例えば、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ)、5’−ヌクレオシダーゼ、γ−グルタミルトランスペプチダーゼなど]などのタンパク質の合成、ビリルビンの合成、コレステロールの合成、および胆汁酸の合成を包含する合成機能;炭水化物の代謝、アミノ酸およびアンモニアの代謝、ホルモンの代謝、および脂質の代謝を包含する肝臓の代謝機能;外因性薬物の解毒;ならびに内臓および門脈の血行動態を包含する血行動態機能を含む肝臓の正常な機能を指す。
【0136】
有効量の本明細書に記載の医薬組成物/医薬合剤は、また、患者に投与した場合に十分な濃度の活性薬剤を提供する。活性薬剤の十分な濃度とは、感染症を予防する、または感染症と戦うのに必要な患者の身体中での薬剤濃度である。このような量は、実験的に、例えば、薬剤の血中濃度を分析することによって、または理論的に、バイオアベイラビリティーを計算することによって確かめることができる。ウイルス感染をインビトロで抑制するのに十分な活性剤の量は、レプリコンに基づいた文献記載のアッセイなどのウイルス感染性に関する通常的なアッセイで決定することができる。
【0137】
式Iの化合物または塩が1種以上のさらなる活性薬剤と一緒に提供される、医薬組成物/医薬合剤および治療方法が、本明細書に含められる。好ましい実施形態において、式Iの化合物は、NS3aプロテアーゼ阻害剤と一緒に、単一の医薬組成物の状態で、または式Iの化合物とさらなる活性薬剤とを一緒に使用するための患者への説明書と共に別々の剤形の状態で提供される。式IIの化合物、および米国特許第7906619号、米国特許出願公開第2010/0216725号、および米国特許出願公開第2010/0152103号中に開示の化合物(そのほとんどは、式IIの範囲に包含される)は、式Iの化合物および塩と組み合わせて使用するのに適したNS3aプロテアーゼ阻害剤である。特定の実施形態において、活性薬剤(または複数の活性薬剤)は、HCVプロテアーゼ阻害剤またはHCVポリメラーゼ阻害剤である。例えば、プロテアーゼ阻害剤はテラプレビル(VX−950)でよく、ポリメラーゼ阻害剤はバロピシタビン、またはインビボでバロピシタビンから変換される活性薬剤であるNM107でよい。特定の実施形態において、少なくとも1種のさらなる活性薬剤は、リバビリン、インターフェロン、またはPeg−インターフェロンα複合体である。特定の実施形態において、少なくとも1種の活性薬剤は、ACH−1625またはACH−2684である。
【0138】
本発明の方法によれば、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩および少なくとも1種のさらなる活性薬剤は、(1)組合せ製剤の状態で共製剤化し、投与または送達するこができ、(2)別々の製剤として交互にまたは並行して送達することができ、あるいは(3)当技術分野で公知の任意の他の組合せ療法(combination therapy)レジメンによることができる。交互療法(alternation therapy)で送達する場合、本発明の方法は、式Iの化合物または塩およびさらなる活性薬剤を逐次的に、例えば、別々の溶液剤、乳剤、懸濁剤、錠剤、丸剤、またはカプセル剤の状態で、あるいは別々のシリンジ中の種々の注射剤により投与または送達することを含むことができる。一般に、交互療法に際し、有効投与量の各活性成分は、逐次的に、すなわち、続けて投与され、一方、同時療法では、有効投与量の2種以上の活性成分が、一緒に投与される。断続的な組合せ療法の様々な順序を使用することもできる。
【0139】
本明細書に記載の式Iの化合物または薬学的に許容される塩を、さらなる活性薬剤としての次の化合物および物質の中のいずれか1種またはそれらの組合せと一緒に含む、治療方法および医薬合剤が、本開示により提供される:
抗線維化剤:IP−501(InterMune);
カスパーゼ阻害剤:IDN−6556(Idun Pharmaceuticals)およびGS−9450(Gilead):
シクロフィリン阻害剤:例えば、NIM811(Novartis)、SCY−635(Scynexis)およびDEBIO−025(Debiopharm);
シトクロムP450モノオキシゲナーゼ阻害剤:リトナビル、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリン、クロメチアゾール、シメチジン、イトラコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾール、フルボキサミン、フルオキセチン、ネファゾドン、セルトラリン、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、フォスアンプレナビル、サキナビル、ロピナビル、デラビルジン、エリスロマイシン、VX−944、およびVX−497(Merimebodib)。好ましいCYP阻害剤としては、リトナビル、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリン、およびクロメチアゾールが挙げられる;
グルココルチコイド:ヒドロコルチゾン、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、パラメタゾン、ベタメタゾン、およびデキサメタゾン;
HCVプロテアーゼ阻害剤:例えば、ACH−1625およびACH−2684。米国特許第7906619号は、抗HCV化合物に関するその教示について本願に引用して援用される。米国特許仮出願第12/635270号の52〜167頁、および同12/635049号の43〜92頁は、抗HCV化合物、ACH1625およびACH2684(Achillion)、ABT−450(Abbott)、ACL−181およびAVL−192(Avila)、BI−335(Boehringer Ingelheim)、BMS−032(Bristol Meyers Squibb)、ボセプレビル(Merck)、TMC−435、MK−7152(Merck)、GS−9256(Gilead)、GS−9451(Gilead)、R7227(Intermune)、VX−500(Vertex)、VX−950(テラプレビル、Vertex)、VX−985(Vertex)、TMC−435(Tibotec)、GW−433908(アンプレナビルのプロドラッグ、Glaxo/Vertex)、インジナビル(CRIXIVAN、Merck)、ITMN−191(Intermune/Array Biopharma)、BILN2061(Boehringer−Ingelheim)、TMC435350(Tibotec.Medivir)、BI201335(Boehringer Ingelheim)、PHX−1766(Phenomix)、MK−7009(Merck)、ナルラプレビル(SCH900518、Schering)に関するその教示について本願に引用して援用される;
ヘマトポイエチン:ヘマトポイエチン−1およびヘマトポイエチン−2。種々のコロニー刺激因子などのヘマトポイエチンスーパーファミリーの他のメンバー((例えば、G−CSF、GM−CSF、M−CSF)、Epo、およびSCF(幹細胞因子)など);
ホメオパシー療法:マリアアザミ、シルマリン、ニンジン、グリチルリジン、甘草根、五味子、ビタミンC、ビタミンE、β−カロテン、およびセレン;
免疫調節化合物:サリドマイド、IL−2、ヘマトポイエチン、IMPDH阻害剤、例えば、メリメポジブ(Vertex Pharmaceuticals Inc.)、インターフェロン、例えば、天然型インターフェロン(OMNIFERON、ViragenおよびSUMIFERON、住友、天然型インターフェロンのブレンド物)、天然型インターフェロンα(ALFERON、Hemispherx Biopharma Inc.)、リンパ芽球様細胞からのインターフェロンα nl(WELLFERON、Glaxo Wellcome)、経口α−インターフェロン、Peg−インターフェロン、Peg−インターフェロンα 2a(PEGASYS、Roche)、組換えインターフェロンα 2a(ROFERON、Roche)、吸入型インターフェロンα 2b(AERX、Aradigm)、Peg−インターフェロンα 2b(ALBUFERON、Human Genome Sciences/Novartis、PEGINTRON、Schering)、組換えインターフェロンα 2b(INTRON A、Schering)、ペグ化インターフェロンα 2b(PEG−INTRON、Schering、VIRAFERONPEG、Shering)、インターフェロンβ−1a(REBIF、Ares−Serono,Inc.およびPfizer)、コンセンサスインターフェロンα(INFERGEN、Intermune)、インターフェロンγ−1b(ACTIMMUNE、Intermune,Inc.)、非ペグ化インターフェロンα、αインターフェロン、およびその類似体、ならびに合成チモシンα1(ZADAXIN、SciClone Pharmaceuticals Inc.)ならびにλインターフェロン(BMS);
免疫抑制剤:シロリムス(RAPAMUNE、Wyeth)
インターロイキン:(IL−1、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−11、IL−12)、LIF、TGF−β、TNF−α)および他の低分子量因子(例えば、AcSDKP、pEEDCK、胸腺ホルモン、およびミニサイトカイン);
インターフェロン賦活剤:EMZ702(Transition Therapeutics);
IRES阻害剤:VGX−410C(VGX Pharma);
モノクローナルおよびポリクロナール抗体:XTL−6865(HEPX−C、XTL)、HuMax−HepC(Genmab)、C型肝炎免疫グロブリン(ヒト)(CIVACIR、Nabi Biopharmceuticals)、XTL−002(XTL)、リツキシマブ(RITUXAN、Genentech/IDEC);
ヌクレオシド類似体:IDX−184(Idenix)、PSI−7977およびPSI−938(Pharmasset)、INX−189(Inhibitex)、R7128(Roche)、R7348(Roche)、GS−6620(Gilead)、TMC−649(Tibotec)、ラミブジン(EPIVIR、3TC、GlaxoSmithKline)、MK−0608(Merck)、ザルシタビン(HIVID、Roche US Pharmaceuticals)、リバビリン(COPEGUS(Roche)、REBETOL(Shering)、VILONA(ICN Pharmaceuticals)、およびVIRAZOLE(ICN Pharmaceuticals)を含む)、イサトリビン(Anadys Pharmaceuticals)、ANA971(Anadys Pharmaceuticals)、ANA245(Anadys Pharmaceuticals)およびビラミジン(ICN)、リバビリンのアミジンプロドラッグ。ヌクレオシド類似体の組合せも採用できる。
非ヌクレオシド系阻害剤:PSI−6130(Roche/Pharmasset)、ABT−333およびABT−072(Abbott)、デラビリジン(RESCRIPTOR、Pfizer)、PF−868554(Pfizer)、GSK−852(GlaxoSmithKline)、IDX−325(Idenix)、ANA−598(Anadys)、VX−222およびVX−759(Vertex)、MK−3281(Merck)、BI−127(Boehringer Ingelheim)、BMS−325(Bristol Meyers)、およびHCV−796(Viropharm);
NS4a阻害剤:例えば、ACH−1095。米国特許出願公開第2007/0004711号を、HCV阻害剤に関するその教示についてその全体で本願に引用して援用し、米国特許出願第12/125554号の45〜90頁を、HCV阻害剤に関するその教示について本願に引用して援用する。
NS4b阻害剤:クレミゾール(Arrow Therapeutics)
NS5a阻害剤:A−382(Arrow Therpeutics)、BMS−790052(BMS)
NS5b阻害剤:INX−181、IDX−375、MK−3281、PSI−7977、PSI−7851、PSI−938、RG−9190、VX−222(Vertex)、およびBMS−791325(Bristol Meyers Squibb)。
P7タンパク質阻害剤:アマンタジン(SYMMETREL、Endo Pharmaceuticals,Inc.)
ポリメラーゼ阻害剤:フィリブビル(PF−00868554、Pfizer)、NM283(バロピシタビン)(Idenix)、JKT003(AKROS Pharma)、HCV−796(ViroPharma/Wyeth)、IDX184(Idenix)、VCH−916(Vertx)、R7128(PSI6130、Roche)、R1626(Roche)、MK−3281(Merck)、PSI−7851(Pharmasset)、ANA598(Anadys)、BI207127(Boehringer−Ingelheim)、GS9190(Gilead)。
RNA干渉剤:SIRNA−034RNAi(Sirna Therapeutics)およびISI 14803(Isis Pharmaceutical/Elan)
治療用ワクチン:IC41(Intercell)、IMN−0101(Imnnogenetics)、GI 5005(Globeimmune)、Chronvac−C(Tripep/Inovio)、ED−002(Imnogenetics)、Hepavaxx C(ViRex Medical)
TNFアゴニスト:アダリムマブ(HUMIRA、Abbott)、エタネルセプト(ENBREL、Amgen、およびWyeth)、インフリキシマブ(REMICADE、Centocor,Inc.)
チューブリン阻害剤:コルヒチン
スフィンゴシン−1−リン酸受容体調節剤:FTY720(Novartis)
TLRアゴニスト:ANA−975(Anadys Pharmaceuticals)、TLR7アゴニスト(Anadys Pharmaceuticals)、CPG10101(Coley)、およびCPG7909(Coley)を含むTLR9アゴニスト。
ワクチン:HCV/MF59(Chiron)、IC41(Intercell)、E−1(Innogenetics)。
【0140】
C型肝炎の薬物治療を受けている患者には、典型的には、インターフェロンが別の活性薬剤と一緒に付与される。したがって、本発明の化合物をさらなる活性薬剤としてのペグ化インターフェロンα2aなどのインターフェロンと一緒に提供する治療方法および医薬合剤は、実施形態として包含される。同様に、本明細書では、リバビリンがさらなる活性薬剤である方法および医薬合剤が提供される。
【0141】
本明細書には、HCVに感染した患者に式Iの化合物または薬学的に許容される塩を、HCVレプリコンのインビトロでの複製を阻害するのに十分な式Iの化合物または塩の濃度で提供することを含む、HCV複製をインビボで阻害する方法が包含される。この場合、濃度は、血中または血漿中濃度などのインビボ濃度を包含する。HCVレプリコンの複製をインビトロで阻害するのに十分な化合物濃度は、本明細書中の実施例9に示すアッセイなどのレプリコン複製のアッセイに基づいて決定することができる。
【0142】
治療方法は、患者に特定投与量の式Iの化合物または薬学的に許容される塩を提供することを含む。1日につき体重1kg当たり約0.1mg〜約140mgである各活性薬剤の投与量レベルが、前記の状態の治療で有用である(1日につき患者当たり約0.5mg〜約7g)。1つの単位剤形を作るために担体材料と組み合わされうる活性成分の量は、治療される患者および個々の投与方式に応じて変化する。特定の実施形態において、約0.1mg〜約2000mg、約10mg〜約1500mg、約100mg〜約1000mg、約200mg〜約800mg、または約300mg〜約600mgの式Iの化合物、および任意選択で約0.1mg〜約2000mg、約10mg〜約1500mg、約100mg〜約1000mg、約200mg〜約800mg、または約300mg〜約600mgのさらなる活性薬剤の化合物、例えば、NS3aプロテアーゼ阻害剤(式IIの化合物など)が、患者に毎日提供される。各単位剤形は、全部で1200mg未満の活性薬剤を含むことが好ましい。また、投与頻度は、使用される化合物および治療される個々の疾患に応じて変化することができる。しかし、ほとんどの感染性疾患の治療の場合、1日に4回以下の投与レジメンが好ましく、1日に1または2回の投与レジメンがとりわけ好ましい。
【0143】
しかし、任意の個々の患者に対する具体的な用量レベルは、採用される具体的化合物の活性、年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、および排泄速度、薬物の組合せ、および治療を受けている患者における個々の疾患の重症度を含む、種々の因子に依存する。
【0144】
[パッケージ化製剤]
本明細書には、容器中に式Iの化合物または塩を、C型肝炎感染症を患う患者を治療するために該化合物を使用するための説明書と一緒に、準備することを含む方法が包含される。
【0145】
本明細書には、パッケージ化された医薬組成物/医薬合剤も包含される。このようなパッケージ化された合剤は、患者におけるC型肝炎感染症などのウイルス感染症を治療または予防するために該合剤を使用するための説明書と一緒に、容器中に式Iの化合物を含む。
【0146】
パッケージ化された医薬組成物/医薬合剤は、1種以上のさらなる活性薬剤を含むことができる。特定の実施形態において、さらなる活性薬剤は、式IIの化合物などのNS3aプロテアーゼ阻害剤である。
【0147】
パッケージ化された医薬合剤は、式Iの化合物または薬学的に許容される塩、およびさらなる活性薬剤を含むことができ、さらなる活性薬剤は、1つの剤形で同時的に、別々の剤形で同時的に、または式Iの化合物およびさらなる活性薬剤の双方が患者の血流中に存在する時間内である若干の時間によって隔てられた投与のために別々の剤形で提供される。
【0148】
パッケージ化された医薬合剤は、容器中に準備された式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を、同一または別個の容器中に準備されたさらなる活性薬剤と共に、患者におけるHCV感染症を治療するために合剤を使用するための説明書と共に含むことができる。
【実施例】
【0149】
[省略形]
以下の反応スキームおよび合成例中では、次の省略形が使用される。合成スキームおよび実施例中では、有機合成の当業者によって容易に理解される、さらなる標準的な省略形も使用されることがあるので、このリストは、本出願中で使用される省略形のすべてを含むリストであることを意味しない。
Ac アセチル
ACN アセトニトリル
aq. 水性
BOC t−ブトキシカルボニル
DCM ジクロロメタン
DIEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DME 1,2−ジメトキシエタン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
dppf 1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
EDCI N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩
Et エチル
EtO ジエチルエーテル
FCC フラッシュカラムクロマトグラフィー
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
MTBE メチルtert−ブチルエーテル
PTLC 分取薄層クロマトグラフィー
rt 室温
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TPP トリフェニルホスフィン
【0150】
[一般的考慮事項]
すべての非水反応は、オーブン中で乾燥したガラス器具および無水溶媒を使用し、乾燥アルゴンガスの雰囲気下で実施した。反応の進行および目標化合物の純度は、次の2種のHPLC法の1つを使用して測定した:(1)Waters AQUITY UPLC BEH C18 1.7μm 2.1×50mmカラム、0.05%のギ酸を含む90:10の水:アセトニトリルでの0.24分間のアイソクラティック溶離、それに続く90:10〜10:90までの4.26分間の線形グラジエント溶離、流速 1.0mL/分、UV(PDA)、ELS、およびMS(APCI方式のSQ)検出(方法1)、(2)Warters AQUITY UPLC BEH C18 1.7μm 2.1×50mmカラム、0.05%のギ酸を含む95:5の水:アセトニトリルでの0.31分間のアイソクラティック溶離、それに続く95:5〜5:95までの17.47分間の線形グラジエント溶離、流速 0.4mL/分、UV(フォトダイオードアレイ)、蒸発光散乱、および質量分析(MS)(大気圧化学イオン化方式のSQ)検出(方法2)。
【0151】
目標化合物は、YMC Pack Pro C18 5μm 150×20mmカラムを使用し、流速18.9mL/分で、0.1%のトリフルオロ酢酸を含む95:5の水:アセトニトリルで0.35分間アイソクラティックにより溶離し、続いて95:5〜5:95までの23.3分間の線形グラジエントにより溶離し、UVおよび質量をベースにして画分を捕集する、逆相分取HPLCによって精製した。
【0152】
[一般的合成スキーム]
【化52】
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【0153】
<実施例1>
[化合物10の合成]
化合物10は、前に概略を説明したように[2.2]パラシクロファンの臭素化により調製した(レイヒ(Reich),H.J.、Cram,D.J.、J.Am.Chem.Soc.1969、91、3527〜3533;レイヒ,H.J.、Cram,D.J.、J.Am.Chem.Soc.1969、91、3534〜3543)。化合物1、2、6、8および10は、商業的供給源から入手できる。化合物3〜7および9は、当技術分野で公知の一般的な合成方法を使用して調製した。
【0154】
<実施例2>
[化合物11の合成]
ジオキサン/水(5.5mL/0.55mL)中の(9)(284.2mg)、(10)(52.3mg)、KPO(248.1mg)およびPdCldppf・CHCl(7.4mg)のアルゴンで脱酸素化された混合物にマイクロ波を80℃で2時間照射した。生じた混合物を減圧下で蒸発させ、残留固体をDCMで抽出した。この粗材料を、PTLC(20cm×20cm×2000μmガラス板;45:50:5(v/v/v)のDCM:EtOAc:MeOHで溶離、R0.28)で精製して、75.3mgの(11)を得た。(11)の純度は、Waters AQUITY UPLC BEH C18 1.7μm 2.1×50mmカラムで、0.05%のギ酸を含むアセトニトリル/水の濃度(10〜90%)を1.0mL/分の流速で増加させる3.5分間のグラジエント溶離を利用し、UV(フォトダイオードアレイ)、蒸発光散乱、および質量分析(大気圧化学イオン化方式のSQ)で検出する、分析逆相HPLCにより測定した。HPLC:t1.57分(純度98%)。MS m/z C5664に対する計算値([M])=945;実測値([M+1])=946。
【0155】
<実施例3>
[ジメチル((2S,2’S)−((2S,2’S,3AS,3A’S,7AS,7A’S)−2,2’−(5,5’−(トリシクロ[8.2.2.24,7]ヘキサデカ−4,6,10,12,13,15−ヘキサエン−5,11−ジイル)ビス(1H−ベンゾ[D]イミダゾール−5,2−ジイル))ビス(オクタヒドロ−1H−インドール−2,1−ジイル))ビス(3−メチル−1−オキソブタン−2,1−ジイル))ジカルバメート(20)の合成]
(ステップ1)
【化53】
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(2R,3aS,7aS)−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸(12)(250g、1.0当量)のTHF(3L)と水(1.5L)との中の0℃で撹拌された溶液に、冷却した2.5M NaOH水溶液(1L)を滴下添加した。反応混合物を同温度で15分間撹拌した。次いで、二炭酸ジ−tert−ブチル(1.3当量)を、温度を0℃に維持しながら滴下添加した。生じた反応混合物を室温で12時間撹拌した。反応混合物をMTBEで洗浄した(3回)。水相を1Mクエン酸水溶液で酸性とし、酢酸エチルで抽出した(3回)。合わせた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮乾固して、(2R,3aS,7aS)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸(13)を得た(368g)。
【0156】
(ステップ2)
【化54】
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4−ブロモ−1,2−ジアミノベンゼン(23.1g、1.2当量)、(2R,3aS,7aS)−1−(tert−ブトキシカルボニル)オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸(13)(26.9g、1.0当量)およびEDCl(23.6g、1.2当量)の0℃で撹拌されたACN(600mL)中溶液に、DIEA(21.5mL、1.3当量)を滴下添加した。滴下添加完了後、反応混合物をさらに1時間撹拌した。水(1.2L)を添加し、反応混合物を一夜撹拌した。固体粉末(14)を捕集し、水で洗浄し、乾燥して、さらなる精製なしで次のステップに使用した(39.1g)。
【0157】
(ステップ3)
【化55】
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(2S,3aS,7aS)−tert−ブチル2−((2−アミノ−4−ブロモフェニル)カルバモイル)オクタヒドロ−1H−インドール−1−カルボキシレートと(2S,3aS,7aS)−tert−ブチル2−((2−アミノ−5−ブロモフェニル)カルバモイル)オクタヒドロ−1H−インドール−1−カルボキシレートとの異性体混合物(14)(160g、0.36モル)を酢酸(480mL)に溶解し、反応混合物を、出発材料が消滅するまで(LC−MS分析で判断して)65℃で撹拌した。反応物を室温まで冷却し、真空下に溶媒を除去した。残留物を酢酸エチル(500mL)に溶解し、アンモニア水(100mL)を注意して添加した。水(100mL)を追加し、有機層を分離し、捕集した。水相を酢酸エチル(2×300mL)で抽出した。合わせた有機相を、水(200mL)、続いてブライン(200mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥した。溶液を濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製して、(2S,3aS,7aS)−tert−ブチル2−(6−ブロモ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)オクタヒドロ−1H−インドール−1−カルボキシレート(15)を得た(140g)。
【0158】
(ステップ4)
【化56】
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アルゴン雰囲気下で、(2S,3aS,7aS)−tert−ブチル2−(6−ブロモ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)オクタヒドロ−1H−インドール−1−カルボキシレート(15)(30g、1.0当量)、ビス(ピナコラト)ジボラン(27.2g、1.5当量)、酢酸カリウム(21g、3.0当量)およびPd(dppf)Cl(5.7g,0.098当量)の無水1,4−ジオキサン(300mL)中の混合物を、80〜90℃で約4時間(LC−MSで判断して反応が完了するまで)加熱した。室温まで冷却した反応混合物を、酢酸エチル(300mL)で希釈し、活性炭(60g)と共に1時間撹拌し、セライトの詰め物を通して濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、生じた褐色泡状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、容積比で5:1→1:2)で精製して、類白色固体として(2S,3aS,7aS)−tert−ブチル2−(6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)−オクタヒドロ−1H−インドール−1−カルボキシレート(16)を得た。
【0159】
(ステップ5)
【化57】
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Br(82.8g)と鉄粉(4.6g)とのDCM(1.6L)中の混合物を室温で1時間撹拌した。この混合物に、[2.2]パラシクロファン(200g、1.0当量)のDCM中スラリーを一度に添加した。生じた混合物を加熱還流し、それに、Br(228g)のDCM(400mL)溶液を3時間にわたって徐々に添加した。この添加を完了した後、反応混合物を、3時間還流し続け、撹拌しながら室温まで一夜放冷し、5w/v%Na水溶液(2L)および水(2L)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、蒸発乾固した。単離した粗固体を熱トルエン(1.2L、ほぼ100℃)に溶解し、撹拌しながら室温まで徐々に一夜放冷し、さらに5℃まで3時間冷却した。生じた固体を捕集し、冷トルエン(ほぼ100mL)で洗浄して、4,16−ジブロモ[2.2]パラシクロファン(17)を得た(83g)。1H NMR (300 MHz, CDCl3, rt): δ 2.79-3.00 (m, 4H), 3.10-3.21 (m, 2H), 3.44-3.54 (m, 2H), 6.44 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 6.51 (d, J = 2.0 Hz, 2H), 7.14 (dd, J = 8.0 Hz, 2.0 Hz, 2H).
【0160】
(ステップ6)
【化58】
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アルゴン雰囲気下に、4,16−ジブロモ[2.2]パラシクロファン(17)(20g、1.0当量)、(2S,3aS,7aS)−tert−ブチル2−(6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)オクタヒドロ−1H−インドール−1−カルボキシレート(16)(64g、2.5当量)、CsCO(44.5g、2.5当量)、Pd(PPh(3.16g、0.05当量)、DMF(500mL)および水(25mL)からなる混合物を130℃でほぼ2〜3時間(LC−MSで判断して反応が完了するまで)加熱した。反応混合物を室温まで放冷し、セライトを敷いたシリカゲルの詰め物(30g)を通して濾過した。この詰め物をDMF(2×50mL)で洗浄し、合わせた濾液を撹拌されている水(2.5L)に添加して、淡黄色の沈殿物を得た。この固体を、濾過して集め、水(1L)およびACN(500mL)で洗浄し、DCM(250mL)とMeOH(25mL)との混合物に溶解した。この溶液にACN(250mL)を添加して微細なスラリーを生じさせ、次いで、このスラリーを減圧下に30〜35℃で濃縮してほぼ150mLの溶媒を除去した。さらなるACN(500mL)を添加し、ほぼ100mLの溶媒を減圧下に40〜45°でさらに除去した。固体を濾過して集め、真空下で乾燥して、淡黄色粉末として(2S,2’S,3aS、3a’S,7aS,7a’S)−ジ−tert−ブチル2,2’−(5,5’−(トリシクロ[8.2.2.24,7]ヘキサデカ−4,6,10,12,13,15−ヘキサエン−5,11−ジイル)ビス(1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5,2−ジイル)ビス(オクタヒドロ−1H−インドール−1−カルボキシレート)を得た(33.8g)。
【0161】
(ステップ7)
【化59】
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(2S,2’S,3aS、3a’S,7aS,7a’S)−ジ−tert−ブチル2,2’−(5,5’−(トリシクロ[8.2.2.24,7]ヘキサデカ−4,6,10,12,13,15−ヘキサエン−5,11−ジイル)ビス(1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5,2−ジイル)ビス(オクタヒドロ−1H−インドール−1−カルボキシレート(18)(20.33g、1.0当量)の0℃に冷却されたDCM/MeOH(容積比で4/1、200mL)溶液に、4N HCl/ジオキサン溶液(100mL)を添加した。反応混合物を、室温で30分間撹拌し、減圧下で濃縮して、淡黄色粉末(19)(21.7g)を得た。得られた固体を真空下で、MeOHがH NMR分光分析で検出不能となるまで乾燥した。この完全乾燥材料をそのまま次のステップで使用した。
【0162】
(ステップ8)
【化60】
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(S)−2−((メトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタン酸(10g、2.3当量)、HOBt一水和物(8.8g、2.3当量)、およびACN(50mL)からなる室温の混合物に、EDCI(11.14g、2.3当量)を添加した。5分間撹拌した後、この賦活された酸混合物を、前記の塩酸塩(19)(21.7g)とDIEA(32mL、7.2当量)とのDMF(250mL)溶液に添加した。反応混合物を、室温で、LC−MS分析で反応が完了したと判断されるまで(ほぼ4時間)撹拌し、次いで、撹拌しながら水(1.2L)中に注ぎ入れた。沈殿物を、濾過して集め、ACN/水(容積比で4:1、500mL)中で一夜撹拌し、再び濾過して集め、真空中で乾燥して、ジメチル((2S,2’S)−((2S,2’S,3aS,3aS,7aS,7aS)−2,2’−(5,5’−(トリシクロ[8.2.2.24,7]ヘキサデカ−4,6,10,12,13,15−ヘキサエン−5,11−ジイル)ビス(1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5,2−ジイル))ビス(オクタヒドロ−1H−インドール−2,1−ジイル)ビス(3−メチル−1−オキソブタン−2,1−ジイル)ジカルバメート(20)を得た(22.62g)。
【0163】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6, 120℃): δ0.87 (d, J = 6.5 Hz, 6H), 0.92 (d, J = 6.5 Hz, 6H), 1.20-1.60 (m, 6H), 1.65-2.10 (m, 12H), 2.31 (m, 2H), 2.38-2.52 (m, 2H), 2.54-2.76 (m, 4H), 2.85 (m, 2H), 3.07 (m, 2H), 3.45 (m, 2H), 3.57 (br s, 6H), 4.07 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 4.34 (m, 2H), 5.28 (t, J = 8.5 Hz, 2H), 6.51 (br, 2H), 6.57 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 6.73 (s, 2H), 6.76 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.33 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.64 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.72 (s, 2H).
【0164】
<実施例4>
[ジメチル((2S,2’S,3R,3’R)−((2S,2’S,3AS,3A’S,7AS,7A’S)−2,2’−(5,5’−(トリシクロ[8.2.2.24,7]ヘキサデカ−4,6,10,12,13,15−ヘキサエン−5,11−ジイル)ビス(1H−ベンゾ[D]イミダゾール−5,2−ジイル))ビス(オクタヒドロ−1H−インドール−2,1−ジイル))ビス(3−メトキシ−1−オキソブタン−2,1−ジイル))ジカルバメート(22)の合成]
(ステップ1)
【化61】
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O−メチル−L−トレオニン(25g、0.19モル)を1,4−ジオキサン(125mL)に溶解し、0℃まで冷却した。次いで、反応混合物に、NaOH(22.5g、0.56モル、3当量)の2M水溶液、続いてクロロギ酸メチル(17.4mL、0.22モル、1.2当量)を同温度で添加した。反応混合物を室温まで温め、16時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(500mL)で洗浄した。水層を、3N HClでpH2まで酸性とし、酢酸エチル(3×250mL)で抽出した。合わせた有機層を、NaSO上で乾燥し、濃縮して、粗生成物を得た(23g)。粗生成物に酢酸エチル(46mL)を添加し、80℃まで加熱して、澄明溶液を得た。次いで、この溶液を0℃まで冷却した。得られた固体を濾過、乾燥して、所望の純粋な生成物(21)を得た(18.75g)。
【0165】
(ステップ2)
【化62】
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上記の塩酸塩(32.0g、0.0384モル)、Moc−O−メチル−L−トレオニン(18.3g、0.0960モル)およびHATU(36.5g、0.09604モル)のDMF(160mL)中の混合物に、0℃でDIEA(32.8mL、0.192モル)を滴下添加した。反応混合物を室温まで上昇するままにして16時間撹拌し、水(1.6L)中に注ぎ入れた。生じた固体を濾過して集め、DCM(500mL)に溶解した。この溶液を水(100mL)で洗浄し、ブライン(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、ジメチル((2S,2’S,3R,3’R)−((2S,2’S,3aS,3a’S,7aS,7a’S)−2,2’−(5,5’−(トリシクロ[8.2.2.24,7]ヘキサデカ−4,6,10,12,13,15−ヘキサエン−5,11−ジイル)ビス(1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5,2−ジイル))ビス(オクタヒドロ−1H−インドール−2,1−ジイル))ビス(3−メトキシ−1−オキソブタン−2,1−ジイル))ジカルバメート(22)を得た(30g)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6, rt): δ0.91-1.04 (m, 6H), 1.21-1.59 (m, 6H), 1.64-1.88 (m, 6H), 1.90-2.07 (m, 4H), 2.23-2.49 (m, 6H), 2.62 (m, 2H), 2.85 (m, 2H), 3.08 (m, 2H), 3.19 (s, 3H), 3.20 (s, 3H), 3.42 (m, 2H), 3.57 (s, 6H), 4.15 (見かけ上t, J = 8.0 Hz, 2H), 4.47 (m, 2H), 5.16 (見かけ上t, J = 8.5 Hz, 2H), 6.52 (見かけ上t, J = 8.5 Hz, 2H), 6.75 (s, 2H), 6.82 (m, 2H), 7.41 (m, 2H), 7.71 (見かけ上t, J = 6.0 Hz, 2H), 7.64-7.79 (m, 4H).
【0166】
<実施例5>
[ジメチル((2S,2’S,3R,3’R)−((2S,2’S,3AS,3A’S,7AS,7A’S)−2,2’−(5,5’−(トリシクロ[8.2.2.24,7]ヘキサデカ−4,6,10,12,13,15−ヘキサエン−5,11−ジイル)ビス(1H−ベンゾ[D]イミダゾール−5,2−ジイル))ビス(オクタヒドロ−1H−インドール−2,1−ジイル))ビス(3−メトキシ−1−オキソブタン−2,1−ジイル))ジカルバメート(23)の合成]
【化63】
[この文献は図面を表示できません]
ジメチル((2S,2’S,3R,3’R)−((2S,2’S,3aS,3a’S,7aS,7a’S)−2,2’−(5,5’−(トリシクロ[8.2.2.24,7]ヘキサデカ−4,6,10,12,13,15−ヘキサエン−5,11−ジイル)ビス(1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5,2−ジイル))ビス(オクタヒドロ−1H−インドール−2,1−ジイル))ビス(3−ヒドロキシ−1−オキソブタン−2,1−ジイル))ジカルバメートは、ジメチル((2S,2’S,3R,3’R)−((2S,2’S,3aS,3a’S,7aS,7a’S)−2,2’−(5,5’−(トリシクロ[8.2.2.24,7]ヘキサデカ−4,6,10,12,13,15−ヘキサエン−5,11−ジイル)ビス(1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5,2−ジイル))ビス(オクタヒドロ−1H−インドール−2,1−ジイル))ビス(3−メトキシ−1−オキソブタン−2,1−ジイル))ジカルバメートの合成に関する前記方法と類似の方法で調製した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6, rt): 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6, rt): δ0.95-1.04 (m, 6H), 1.20-1.56 (m, 6H), 1.64-1.85 (m, 6H), 1.90-2.09 (m, 4H), 2.25 (m, 2H), 2.32-2.49 (m, 4H), 2.63 (m, 2H), 2.83 (m, 2H), 3.06 (m, 2H), 3.39 (m, 2H), 3.57 (s, 6H), 3.69 (m, 2H), 4.06 (見かけ上t, J = 7.5 Hz, 2H), 4.46 (m, 2H), 4.72 (m, 2H), 5.13 (m, 2H), 6.44-6.57 (m, 2H), 6.68-6.87 (m, 4H), 7.23-7.35 (m, 4H), 7.53-7.78 (m, 4H).
【0167】
<実施例6>
[テトラアミン合成経路を経由する化合物29の合成]
(ステップ1)
【化64】
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1,2−ジアミノ−4−ブロモベンゼン(10g、0.053モル)をDCM(150mL)に溶解し、0℃まで冷却した。NaOH溶液(50mL、2.5モル)を同温度で滴下添加した。15分後に、二炭酸ジ−tert−ブチル(58g、0.26モル)を同温度で滴下添加した。次いで、反応混合物を室温まで上昇するままにして16時間撹拌し、DCM(100mL)で希釈し、水(100mL)で洗浄した。有機層を分離し、NaSO上で乾燥し、濃縮した。粗材料をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル、容積比で1:1)で精製して、所望の生成物を得た(18g)。
【0168】
(ステップ2)
【化65】
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アルゴン雰囲気下で、ジ−tert−ブチル(4−ブロモ−1,2−フェニレン)ジカルバメート(24)(18g、0.046モル)、ビス(ピナコラト)ジボラン(17.7g、0.070モル)、酢酸カリウム(13.66g、0.14モル)およびPd(dppf)Cl(3.8g、0.0046モル)の1,4−ジオキサン(360mL)中の混合物を、85℃で約16時間加熱した。次いで、反応混合物を酢酸エチル(200mL)で希釈し、セライト床を通して濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル、容積比で80:20)で精製して、所望の生成物(25)を得た(16.0g)。
【0169】
(ステップ3)
【化66】
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アルゴン雰囲気下で、ジ−tert−ブチル4,16−ジブロモ[2.2]パラシクロファン(17)(6g、0.014モル)、(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,2−フェニレン)ジカルバメート(17.78g、0.032モル)、CsCO(15.98g、0.049モル)の水(66mL)溶液、およびPd(PPh3)(1.33g、0.0016モル)からなる混合物を、密封管中、80℃で16時間加熱した。反応混合物を水(250mL)中に注ぎ、生じた沈殿物を濾過して集め、水で洗浄した。この粗材料をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル、容積比で6:4)で精製して、所望の生成物(26)を得た(5.0g)。
【0170】
(ステップ4)
【化67】
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TFA(100mL)に、4箇所がBocで保護された前記の生成物(26)(10g)を0〜5℃で添加した。添加を完了した後、反応混合物を室温まで温め、3時間撹拌した。次いで、反応混合物を濃縮し、DCM(3×50mL)と共蒸発させた。粗材料(27)をそのまま次のステップで使用した。
【0171】
(ステップ5)
【化68】
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(S)−5−(tert−ブトキシカルボニル)−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−6−カルボン酸(0.5g、0.00057モル)、HOBt(0.35g、0.0026モル)、EDCI(0.5g、0.0026モル)および前記のTFA塩(27)(0.343g、0.0014モル)のDMF(5mL)中の冷却された混合物に、DIEA(1mL、0.0125モル)を0℃で添加した。添加を完了した後、反応混合物を室温まで上昇するままにして16時間撹拌した。反応混合物を水中に注ぎ入れ、沈殿物(28)を濾過して集め、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して所望の生成物を得た(0.32g)。
【0172】
(ステップ6)
【化69】
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上記のジアミド生成物(28)(0.32g、0.00035モル)に酢酸(5mL)を添加し、45℃で4時間加熱した。反応混合物を蒸発させ、残留物を酢酸エチル(95mL)で希釈し、次いでNaHCO水(2×25mL)および水(2×30mL)で洗浄した。有機層を分離し、NaSO上で乾燥し、減圧下で蒸発させた。粗材料をカラムクロマトグラフィーで精製して所望の生成物(29)を得た(0.2g)。
【0173】
(ステップ7)
【化70】
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上記のBocで保護された生成物(0.09g)をDCM(0.9mL)に溶解し、0℃に冷却した。次いで、4N HCl/ジオキサン(0.9mL)を滴下添加した。反応混合物を室温まで温め3時間撹拌した。次いで、揮発物を真空下で除去し、DCM(3×50mL)と共蒸発させた。残留粗材料(30)を、さらなる精製なしに次のステップでそのまま使用した。
【0174】
(ステップ8)
【化71】
[この文献は図面を表示できません]
上記の塩酸塩(30)(0.011g、0.0000141モル、1当量)をDMF(1mL)に溶解し、0℃まで冷却した。冷却されたこの溶液に(S)−2−((メトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタン酸(0.0062g、0.000033モル、2.5当量)、HOBt(0.0044g、0.000033モル、2.5当量)およびEDCI(0.0063g、0.000033モル、2.5当量)を添加した。次いで、DIEA(0.02mL、0.00013モル、10当量)を同温度で滴下添加した。反応混合物を室温まで上昇するままにして16時間撹拌した。次いで、反応混合物を水(25mL)中に注ぎ入れ、沈殿した固体を濾過して集め、乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、所望の生成物(31)を得た(3mg)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6, rt): δ0.91-1.04 (m, 6H), 1.21-1.59 (m, 6H), 1.64-1.88 (m, 6H), 1.90-2.07 (m, 4H), 2.23-2.49 (m, 6H), 2.62 (m, 2H), 2.85 (m, 2H), 3.08 (m, 2H), 3.19 (s, 3H), 3.20 (s, 3H), 3.42 (m, 2H), 3.57 (s, 6H), 4.15 (見かけ上t, J = 8.0 Hz, 2H), 4.47 (m, 2H), 5.16 (見かけ上t, J = 8.5 Hz, 2H), 6.52 (見かけ上t, J = 8.5 Hz, 2H), 6.75 (s, 2H), 6.82 (m, 2H), 7.41 (m, 2H), 7.71 (見かけ上t, J = 6.0 Hz, 2H), 7.64-7.79 (m, 4H).
【0175】
<実施例7>
[フェロセン系NS5A阻害剤(32)の合成]
【化72】
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フェロセン化合物は、バトラー(Butler),I.R.ら、「A Convenient Prepartion of Iodoferrocenes」Polyhedron(1993)12:129〜131中で考察されている方法で調製される。1,1’−ジヨードフェロセン(220mg、0.5ミリモル)の撹拌された1,4−ジオキサン(10mL)溶液に、メチル((S)−3−メチル−1−オキソ−1−((2S,3aS,7aS)−2−(5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)オクタヒドロ−1H−インドール−1−イル)ブタン−2−イル)カルバメート(1.1g、4当量)、KPO(853mg、2M水溶液、8当量)およびPdCldppf(49mg、12モル%)をアルゴン雰囲気下で添加した。生じた混合物を80℃で1時間のマイクロ波照射(CEM Discover System)にかけた。反応混合物を室温まで放冷し、濾過し、真空中で濃縮した。残留物を分取HPLCで精製して、所望の生成物をトリフルオロ酢酸塩として得た(43mg)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6, 27℃): δ0.63 (d, J = 6.5 Hz, 6H), 0.78 (d, J = 6.5 Hz, 6H), 1.13-1.49 (m, 6H), 1.55-1.87 (m, 10H), 1.95 (m, 2H), 2.26 (m, 2H), 2.35 (m, 2H), 2.42 (m, 2H), 3.48 (s, 6H), 3.83 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 4.18 (m, 4H), 4.37 (m, 2H), 4.67 (m, 4H), 5.10 (dd, J = 10.0 Hz, 7.5 Hz, 2H), 7.39 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 7.42 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 7.45 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.53 (s, 2H).
【0176】
<実施例8>
[式Iのさらなる化合物]
次の化合物が実施例1〜6に示した方法で調製される。
【0177】
【表1】
[この文献は図面を表示できません]
【0178】
【表2】
[この文献は図面を表示できません]
【0179】
【表3】
[この文献は図面を表示できません]
【0180】
【表4】
[この文献は図面を表示できません]
【0181】
【表5】
[この文献は図面を表示できません]
【0182】
【表6】
[この文献は図面を表示できません]
【0183】
【表7】
[この文献は図面を表示できません]
【0184】
【表8】
[この文献は図面を表示できません]
【0185】
【表9】
[この文献は図面を表示できません]
【0186】
【表10】
[この文献は図面を表示できません]
【0187】
【表11】
[この文献は図面を表示できません]
【0188】
【表12】
[この文献は図面を表示できません]
【0189】
【表13】
[この文献は図面を表示できません]
【0190】
【表14】
[この文献は図面を表示できません]
【0191】
【表15】
[この文献は図面を表示できません]
【0192】
【表16】
[この文献は図面を表示できません]
【0193】
【表17】
[この文献は図面を表示できません]
【0194】
【表18】
[この文献は図面を表示できません]
【0195】
【表19】
[この文献は図面を表示できません]
【0196】
【表20】
[この文献は図面を表示できません]
【0197】
【表21】
[この文献は図面を表示できません]
【0198】
【表22】
[この文献は図面を表示できません]
【0199】
【表23】
[この文献は図面を表示できません]
【0200】
【表24】
[この文献は図面を表示できません]
【0201】
【表25】
[この文献は図面を表示できません]
【0202】
【表26】
[この文献は図面を表示できません]
【0203】
【表27】
[この文献は図面を表示できません]
【0204】
【表28】
[この文献は図面を表示できません]
【0205】
【表29】
[この文献は図面を表示できません]
【0206】
【表30】
[この文献は図面を表示できません]
【0207】
【表31】
[この文献は図面を表示できません]
【0208】
【表32】
[この文献は図面を表示できません]
【0209】
【表33】
[この文献は図面を表示できません]
【0210】
【表34】
[この文献は図面を表示できません]
【0211】
【表35】
[この文献は図面を表示できません]
【0212】
【表36】
[この文献は図面を表示できません]
【0213】
【表37】
[この文献は図面を表示できません]
【0214】
【表38】
[この文献は図面を表示できません]
【0215】
<実施例9>
[HCVの複製を阻害する化合物を同定するためのアッセイ]
本明細書中で特許請求されている化合物を、HCVレプリコン構築物を組み入れた培養細胞において、C型肝炎レプリコンのウイルス複製を阻害する能力について試験する。HCVレプリコン系は、バルテンシュラーゲル(Bartenschlager)ら(Science、285、110〜113頁(1999))によって説明された。レプリコン系は、インビボでの抗HCV活性を予測するものであり、ヒトで活性な化合物は、レプリコンアッセイにおいて常に活性を明示する。
【0216】
このアッセイでは、HCVレプリコンを含む細胞を、様々な濃度の試験化合物で試験して、HCVレプリコンの複製を抑制する試験化合物の能力を確かめる。陽性対照として、HCVレプリコンを含む細胞を、様々な濃度のインターフェロンα(HCV複製の既知の阻害剤である)で処理する。レプリコンアッセイ系は、宿主細胞におけるレプリコン遺伝子産物の転写を検出するために、レプリコン自体の構成要素としてネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NPT)を含む。HCVレプリコンが活発に複製している細胞は、高レベルのNPTを有し、NPTレベルはHCV複製に比例する。また、HCVレプリコンが複製していない細胞は、低レベルのNPTを有し、したがって、ネオマイシンで処理した場合に生き残らない。各サンプルのNPTレベルを、捕捉ELISAを利用して測定する。
【0217】
レプリコン構築物を組み入れたC型肝炎レプリコン培養細胞のウイルス複製を阻害する能力について化合物を試験するためのプロトコールを次に示す。
【0218】
(9A.HCVレプリコンおよびレプリコン発現)
HCVゲノムは、3000個のアミノ酸からなるポリタンパク質をコードする単一のオープンリーディングフレーム(ORF)からなる。ORFは、その5’側に配列内リボソーム侵入部位(IRES)として役立つ非翻訳領域、およびその3’部位にウイルス複製に必須な高度に保存された配列(3’−NTR)が配列されている。ウイルス感染に必須な構造タンパク質は、ORFの5’末端の近傍に位置している。NS2〜NS5Bと称される非構造タンパク質は、ORFの残余部分を構成する。
【0219】
HCVレプリコンは、5’−3’に、HCV−IRES、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neo)遺伝子、HCV配列NS3〜NS5Bの翻訳を指示する脳心筋炎ウイルスのIRES、および3’−NTRを含む。HCVレプリコンの配列は、GenBankに寄託されている(受入れ番号AJ242652)。
【0220】
レプリコンを、エレクトロポレーションなどの標準的な方法を利用してHuh−7細胞中にトランスフェクトする。
【0221】
(9B.細胞の維持)
装置および材料としては、限定はされないが、Huh−7HCVレプリコンを含む細胞、維持培地[10%FBS、L−グルタミン、非必須アミノ酸、ペニシリン(100単位/mL)、ストレプトマイシン(100μg/mL)、および500μg/mLのGeneticin(G418)で補足されたDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)]、スクリーニング培地[10%FBS、L−グルタミン、非必須アミノ酸、ペニシリン(100単位/mL))およびストレプトマイシン(100μg/mL)で補足されたDMEM]、96ウェル組織培養プレート(平底)、96ウェルプレート(薬物希釈用のU型底)、陽性対照のためのインターフェロンα、固定用試薬(メタノール:アセトンなど)、一次抗体(ウサギ抗NPTII)、二次抗体:Eu−N11および増強溶液が挙げられる。
【0222】
HCVレプリコンを含む細胞は、それらの密度が適切である場合に、ウイルスRNAレプリコンの高レベルの複製を支持する。過度な集密は、ウイルスRNA複製の低下をもたらす。したがって、細胞は、500μg/mLのG418の存在下で対数期の増殖を保持しなければならない。一般に、細胞に、1:4〜6の希釈を週2回実施すべきである。細胞の維持は次のように実施される。
【0223】
HCVレプリコンを含む細胞を顕微鏡下で調べて、十分な細胞増殖を確実にする。細胞をPBSで1回すすぎ洗い、2mLのトリプシンを添加する。細胞/トリプシン混合物を、COインキュベーター中、37℃で3〜5分間インキュベートする。インキュベートした後、10mLの完全培地を添加して、トリプシン処理反応を停止させる。細胞に空気を静かに吹き込み、15mLのチューブに入れ、1200rpmで4分間回転させる。トリプシン/培地溶液を除去する。培地(5mL)を添加し、細胞を注意して混合する。細胞を計数する。
【0224】
次いで、細胞を96ウェルプレートに6000〜7500細胞/100μL/ウェル(6〜7.5×10細胞/10mL/プレート)の密度で播種する。次いで、プレートを、5%COインキュベーター中、37℃でインキュベートする。
【0225】
播種のほぼ24時間後に、薬物の添加に先立って、細胞を顕微鏡下で調べる。計数および希釈が正確に実施されていれば、細胞は60〜70%の集密であり、ほぼすべての細胞が付着し、ウェル中に一様に拡がっているはずである。
【0226】
(9C.HCVレプリコンを含む細胞の試験化合物での処理)
HCVレプリコンを含む細胞を、PBSで1回すすぎ洗い、次いで、2mLのトリプシンを添加する。細胞を、5%COインキュベーター中、37℃で3〜5分間インキュベートする。10mLの完全培地を添加して、反応を停止させる。細胞に空気を静かに吹き込み、15mLのチューブに入れ、1200rpmで4分間回転させる。トリプシン/培地溶液を除去し、5mLの培地(BRLカタログ#12430−054からの500mLのDMEM)、50mLの10%FBS、5%Geneticin G418(50mg/mL、BRLカタログ#10131−035)、5mLのMEM非必須アミノ酸(100×BRL#11140−050)および5mLのpen−strep(BRL#15140−148)を添加する。細胞と培地とを注意して混合する。
【0227】
細胞を、スクリーニング培地(500mLのDMEM(BRL#21063−029))、50mLのFBS(BRL#10082−147)および5mLのMEM非必須アミノ酸(BRL#11140−050)と共に、6000〜7500細胞/100μL/96ウェルプレートのウェル(6〜7.5×10細胞/10mL/プレート)で播種する。プレートを、5%CO、37℃のインキュベーター中に一夜静置する。
【0228】
(9D.アッセイ)
翌朝、薬物(試験化合物またはインターフェロンα)を、U型底の96ウェルプレート中で、スクリーニングのために選択した最終濃度に応じて、培地またはDMSO/培地で希釈する。一般に、各試験化合物につき10マイクロモル/L〜0.03マイクロモル/Lの範囲の6種の濃度を使用する。試験化合物の希釈液100μLを、HCVレプリコン細胞を含む96ウェルプレートのウェル中に配置する。薬物なしの培地を、陰性対照として若干のウェルに添加する。DMSOは、細胞増殖に影響を及ぼすことが知られている。したがって、DMSOで希釈した薬物を使用する場合、陰性対照(培地のみ)および陽性対照(インターフェロンα)のウェルを含むすべてのウェルは、単回用量でのスクリーニングに関して同一濃度のDMSOを含むべきである。プレートを、加湿された5%CO環境中、37℃で3日間インキュベートする。
【0229】
4日目に、NTPIIアッセイを定量する。プレートから培地を流し出し、プレートを200μLのPBSで1回洗浄する。次いで、PBSをデカントし、プレートを紙タオル中で軽くタップして残存しているPBSを除去する。細胞を、ウェル当たり100μLの事前に冷却(−20℃)したメタノール:アセトン(1:1)を用いてインサイチュで固定し、プレートを−20℃で30分間静置する。
【0230】
固定液をプレートから流し出し、プレートを完全に空気乾燥させる(ほぼ1時間)。乾燥した細胞層の外観を記録し、毒性ウェル中の細胞密度を肉眼で評点化する。別法として、下記のMTSアッセイを使用して、細胞生存率を評価することができる。
【0231】
ウェルを、200μLのブロッキング溶液(10%FBS;3%NGS/PBS)を用い室温で30分間ブロックする。ブロッキング溶液を除去し、ブロッキング溶液で1:1000に希釈した100μLのウサギ抗NPTIIを、各ウェルに添加する。次いで、プレートを室温で45〜60分間インキュベートする。インキュベートした後、ウェルをPBS−0.05%Tween−20溶液で6回洗浄する。ブロッキング緩衝液で1:15,000に希釈したユウロピウム(EU)複合ヤギ抗ウサギの100μLを、各ウェルに添加し、室温で30〜45分間インキュベートする。プレートを再び洗浄し、各ウェルに100μLの増強溶液(Perkin Elmer#4001−0010)を添加する。各プレートを、プレート振盪機で3分間振盪する(ほぼ30rpm)。各ウェルから95μLを黒色プレートに移し、EUシグナルをPerkin−Elmer VICTORプレートリーダー(EU−Lance)中で定量する。
【0232】
このアッセイで試験した場合、化合物11および40は、約10マイクロモル濃度以下のEC50値を示す。
【0233】
<実施例10>
[細胞毒性アッセイ]
レプリコン複製の低下が、非特異的ではなく、HCVレプリコンに対する化合物の活性によるものであることを確実にするため、毒性アッセイを使用して、化合物の細胞毒性を定量する。
【0234】
(10A.細胞毒性に関する細胞タンパク質アルブミンのアッセイ)
細胞タンパク質アルブミンの測定は、細胞毒性の1つのマーカーを提供する。細胞アルブミンのアッセイから得られるタンパク質レベルを利用して、化合物の抗ウイルス活性の正規化参照を提供することもできる。タンパク質アルブミンのアッセイでは、HCVレプリコンを含む細胞を、高濃度において細胞毒性のあることが知られている化合物である様々な濃度のヘリオキサンチンで3日間処理する。細胞を溶解し、細胞溶解液を使用して、プレート結合ヤギ抗アルブミン抗体を室温(25℃〜28℃)で3時間結合させる。次いで、プレートを1×PBSで6回洗浄する。非結合タンパク質を洗い流した後、マウスモノクローナル抗ヒト血清アルブミンを使用して、プレート上にアルブミンを結合させる。次いで、複合体を、二次抗体としてのホスファターゼ標識化抗マウスIgGを使用して検出する。
【0235】
(10B.細胞毒性に関するMTSアッセイ)
細胞生存率は、生存細胞数を測定するための比色アッセイであるCELLTITER96 AQUEOUS ONE溶液細胞増殖アッセイ(Promega、Madison、ウィスコンシン州)によって測定することもできる。この方法では、細胞を固定する前に、製造業者の説明書に従って、各ウェルに10〜20μLのMTS試薬を添加し、プレートを37℃でインキュベートし、OD490nmで読み取る。インキュベーションの間、生存細胞は、MTS試薬を490nmに吸収のあるホルマザン生成物に変換する。したがって、490nmでの吸光度は、培養物中の生存細胞数に比例する。
【0236】
細胞毒性を測定するための、細胞アルブミン法とMTS法との直接比較は、次のようにして得ることができる:すなわち、細胞を、様々な濃度の試験化合物またはヘリオキサンチンで3日間処理する。前記のようなアルブミン検出のための溶解の前に、製造業者の説明書に従って各ウェルにMTS試薬を添加し、37℃でインキュベートし、OD490nmで読み取る。次いで、前記のように、細胞アルブミンの定量を実施する。