【実施例】
【0149】
[省略形]
以下の反応スキームおよび合成例中では、次の省略形が使用される。合成スキームおよび実施例中では、有機合成の当業者によって容易に理解される、さらなる標準的な省略形も使用されることがあるので、このリストは、本出願中で使用される省略形のすべてを含むリストであることを意味しない。
Ac アセチル
ACN アセトニトリル
aq. 水性
BOC t−ブトキシカルボニル
DCM ジクロロメタン
DIEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DME 1,2−ジメトキシエタン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
dppf 1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
EDCI N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩
Et エチル
Et
2O ジエチルエーテル
FCC フラッシュカラムクロマトグラフィー
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
MTBE メチルtert−ブチルエーテル
PTLC 分取薄層クロマトグラフィー
rt 室温
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TPP トリフェニルホスフィン
【0150】
[一般的考慮事項]
すべての非水反応は、オーブン中で乾燥したガラス器具および無水溶媒を使用し、乾燥アルゴンガスの雰囲気下で実施した。反応の進行および目標化合物の純度は、次の2種のHPLC法の1つを使用して測定した:(1)Waters AQUITY UPLC BEH C18 1.7μm 2.1×50mmカラム、0.05%のギ酸を含む90:10の水:アセトニトリルでの0.24分間のアイソクラティック溶離、それに続く90:10〜10:90までの4.26分間の線形グラジエント溶離、流速 1.0mL/分、UV(PDA)、ELS、およびMS(APCI方式のSQ)検出(方法1)、(2)Warters AQUITY UPLC BEH C18 1.7μm 2.1×50mmカラム、0.05%のギ酸を含む95:5の水:アセトニトリルでの0.31分間のアイソクラティック溶離、それに続く95:5〜5:95までの17.47分間の線形グラジエント溶離、流速 0.4mL/分、UV(フォトダイオードアレイ)、蒸発光散乱、および質量分析(MS)(大気圧化学イオン化方式のSQ)検出(方法2)。
【0151】
目標化合物は、YMC Pack Pro C18 5μm 150×20mmカラムを使用し、流速18.9mL/分で、0.1%のトリフルオロ酢酸を含む95:5の水:アセトニトリルで0.35分間アイソクラティックにより溶離し、続いて95:5〜5:95までの23.3分間の線形グラジエントにより溶離し、UVおよび質量をベースにして画分を捕集する、逆相分取HPLCによって精製した。
【0152】
[一般的合成スキーム]
【化52】
[この文献は図面を表示できません]
【0153】
<実施例1>
[化合物10の合成]
化合物10は、前に概略を説明したように[2.2]パラシクロファンの臭素化により調製した(レイヒ(Reich),H.J.、Cram,D.J.、J.Am.Chem.Soc.1969、91、3527〜3533;レイヒ,H.J.、Cram,D.J.、J.Am.Chem.Soc.1969、91、3534〜3543)。化合物1、2、6、8および10は、商業的供給源から入手できる。化合物3〜7および9は、当技術分野で公知の一般的な合成方法を使用して調製した。
【0154】
<実施例2>
[化合物11の合成]
ジオキサン/水(5.5mL/0.55mL)中の(9)(284.2mg)、(10)(52.3mg)、K
3PO
4(248.1mg)およびPdCl
2dppf・CH
2Cl
2(7.4mg)のアルゴンで脱酸素化された混合物にマイクロ波を80℃で2時間照射した。生じた混合物を減圧下で蒸発させ、残留固体をDCMで抽出した。この粗材料を、PTLC(20cm×20cm×2000μmガラス板;45:50:5(v/v/v)のDCM:EtOAc:MeOHで溶離、R
f0.28)で精製して、75.3mgの(11)を得た。(11)の純度は、Waters AQUITY UPLC BEH C18 1.7μm 2.1×50mmカラムで、0.05%のギ酸を含むアセトニトリル/水の濃度(10〜90%)を1.0mL/分の流速で増加させる3.5分間のグラジエント溶離を利用し、UV(フォトダイオードアレイ)、蒸発光散乱、および質量分析(大気圧化学イオン化方式のSQ)で検出する、分析逆相HPLCにより測定した。HPLC:t
R1.57分(純度98%)。MS m/z C
56H
64N
8O
6に対する計算値([M]
+)=945;実測値([M+1]
+)=946。
【0155】
<実施例3>
[ジメチル((2S,2’S)−((2S,2’S,3AS,3A’S,7AS,7A’S)−2,2’−(5,5’−(トリシクロ[8.2.2.2
4,7]ヘキサデカ−4,6,10,12,13,15−ヘキサエン−5,11−ジイル)ビス(1H−ベンゾ[D]イミダゾール−5,2−ジイル))ビス(オクタヒドロ−1H−インドール−2,1−ジイル))ビス(3−メチル−1−オキソブタン−2,1−ジイル))ジカルバメート(20)の合成]
(ステップ1)
【化53】
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(2R,3aS,7aS)−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸(12)(250g、1.0当量)のTHF(3L)と水(1.5L)との中の0℃で撹拌された溶液に、冷却した2.5M NaOH水溶液(1L)を滴下添加した。反応混合物を同温度で15分間撹拌した。次いで、二炭酸ジ−tert−ブチル(1.3当量)を、温度を0℃に維持しながら滴下添加した。生じた反応混合物を室温で12時間撹拌した。反応混合物をMTBEで洗浄した(3回)。水相を1Mクエン酸水溶液で酸性とし、酢酸エチルで抽出した(3回)。合わせた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮乾固して、(2R,3aS,7aS)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸(13)を得た(368g)。
【0156】
(ステップ2)
【化54】
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4−ブロモ−1,2−ジアミノベンゼン(23.1g、1.2当量)、(2R,3aS,7aS)−1−(tert−ブトキシカルボニル)オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸(13)(26.9g、1.0当量)およびEDCl(23.6g、1.2当量)の0℃で撹拌されたACN(600mL)中溶液に、DIEA(21.5mL、1.3当量)を滴下添加した。滴下添加完了後、反応混合物をさらに1時間撹拌した。水(1.2L)を添加し、反応混合物を一夜撹拌した。固体粉末(14)を捕集し、水で洗浄し、乾燥して、さらなる精製なしで次のステップに使用した(39.1g)。
【0157】
(ステップ3)
【化55】
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(2S,3aS,7aS)−tert−ブチル2−((2−アミノ−4−ブロモフェニル)カルバモイル)オクタヒドロ−1H−インドール−1−カルボキシレートと(2S,3aS,7aS)−tert−ブチル2−((2−アミノ−5−ブロモフェニル)カルバモイル)オクタヒドロ−1H−インドール−1−カルボキシレートとの異性体混合物(14)(160g、0.36モル)を酢酸(480mL)に溶解し、反応混合物を、出発材料が消滅するまで(LC−MS分析で判断して)65℃で撹拌した。反応物を室温まで冷却し、真空下に溶媒を除去した。残留物を酢酸エチル(500mL)に溶解し、アンモニア水(100mL)を注意して添加した。水(100mL)を追加し、有機層を分離し、捕集した。水相を酢酸エチル(2×300mL)で抽出した。合わせた有機相を、水(200mL)、続いてブライン(200mL)で洗浄し、MgSO
4上で乾燥した。溶液を濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製して、(2S,3aS,7aS)−tert−ブチル2−(6−ブロモ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)オクタヒドロ−1H−インドール−1−カルボキシレート(15)を得た(140g)。
【0158】
(ステップ4)
【化56】
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アルゴン雰囲気下で、(2S,3aS,7aS)−tert−ブチル2−(6−ブロモ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)オクタヒドロ−1H−インドール−1−カルボキシレート(15)(30g、1.0当量)、ビス(ピナコラト)ジボラン(27.2g、1.5当量)、酢酸カリウム(21g、3.0当量)およびPd(dppf)Cl
2(5.7g,0.098当量)の無水1,4−ジオキサン(300mL)中の混合物を、80〜90℃で約4時間(LC−MSで判断して反応が完了するまで)加熱した。室温まで冷却した反応混合物を、酢酸エチル(300mL)で希釈し、活性炭(60g)と共に1時間撹拌し、セライトの詰め物を通して濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、生じた褐色泡状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、容積比で5:1→1:2)で精製して、類白色固体として(2S,3aS,7aS)−tert−ブチル2−(6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)−オクタヒドロ−1H−インドール−1−カルボキシレート(16)を得た。
【0159】
(ステップ5)
【化57】
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Br
2(82.8g)と鉄粉(4.6g)とのDCM(1.6L)中の混合物を室温で1時間撹拌した。この混合物に、[2.2]パラシクロファン(200g、1.0当量)のDCM中スラリーを一度に添加した。生じた混合物を加熱還流し、それに、Br
2(228g)のDCM(400mL)溶液を3時間にわたって徐々に添加した。この添加を完了した後、反応混合物を、3時間還流し続け、撹拌しながら室温まで一夜放冷し、5w/v%Na
2S
2O
3水溶液(2L)および水(2L)で洗浄し、乾燥し(MgSO
4)、蒸発乾固した。単離した粗固体を熱トルエン(1.2L、ほぼ100℃)に溶解し、撹拌しながら室温まで徐々に一夜放冷し、さらに5℃まで3時間冷却した。生じた固体を捕集し、冷トルエン(ほぼ100mL)で洗浄して、4,16−ジブロモ[2.2]パラシクロファン(17)を得た(83g)。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3, rt): δ 2.79-3.00 (m, 4H), 3.10-3.21 (m, 2H), 3.44-3.54 (m, 2H), 6.44 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 6.51 (d, J = 2.0 Hz, 2H), 7.14 (dd, J = 8.0 Hz, 2.0 Hz, 2H).
【0160】
(ステップ6)
【化58】
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アルゴン雰囲気下に、4,16−ジブロモ[2.2]パラシクロファン(17)(20g、1.0当量)、(2S,3aS,7aS)−tert−ブチル2−(6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)オクタヒドロ−1H−インドール−1−カルボキシレート(16)(64g、2.5当量)、Cs
2CO
3(44.5g、2.5当量)、Pd(PPh
3)
4(3.16g、0.05当量)、DMF(500mL)および水(25mL)からなる混合物を130℃でほぼ2〜3時間(LC−MSで判断して反応が完了するまで)加熱した。反応混合物を室温まで放冷し、セライトを敷いたシリカゲルの詰め物(30g)を通して濾過した。この詰め物をDMF(2×50mL)で洗浄し、合わせた濾液を撹拌されている水(2.5L)に添加して、淡黄色の沈殿物を得た。この固体を、濾過して集め、水(1L)およびACN(500mL)で洗浄し、DCM(250mL)とMeOH(25mL)との混合物に溶解した。この溶液にACN(250mL)を添加して微細なスラリーを生じさせ、次いで、このスラリーを減圧下に30〜35℃で濃縮してほぼ150mLの溶媒を除去した。さらなるACN(500mL)を添加し、ほぼ100mLの溶媒を減圧下に40〜45°でさらに除去した。固体を濾過して集め、真空下で乾燥して、淡黄色粉末として(2S,2’S,3aS、3a’S,7aS,7a’S)−ジ−tert−ブチル2,2’−(5,5’−(トリシクロ[8.2.2.2
4,7]ヘキサデカ−4,6,10,12,13,15−ヘキサエン−5,11−ジイル)ビス(1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5,2−ジイル)ビス(オクタヒドロ−1H−インドール−1−カルボキシレート)を得た(33.8g)。
【0161】
(ステップ7)
【化59】
[この文献は図面を表示できません]
(2S,2’S,3aS、3a’S,7aS,7a’S)−ジ−tert−ブチル2,2’−(5,5’−(トリシクロ[8.2.2.2
4,7]ヘキサデカ−4,6,10,12,13,15−ヘキサエン−5,11−ジイル)ビス(1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5,2−ジイル)ビス(オクタヒドロ−1H−インドール−1−カルボキシレート(18)(20.33g、1.0当量)の0℃に冷却されたDCM/MeOH(容積比で4/1、200mL)溶液に、4N HCl/ジオキサン溶液(100mL)を添加した。反応混合物を、室温で30分間撹拌し、減圧下で濃縮して、淡黄色粉末(19)(21.7g)を得た。得られた固体を真空下で、MeOHが
1H NMR分光分析で検出不能となるまで乾燥した。この完全乾燥材料をそのまま次のステップで使用した。
【0162】
(ステップ8)
【化60】
[この文献は図面を表示できません]
(S)−2−((メトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタン酸(10g、2.3当量)、HOBt一水和物(8.8g、2.3当量)、およびACN(50mL)からなる室温の混合物に、EDCI(11.14g、2.3当量)を添加した。5分間撹拌した後、この賦活された酸混合物を、前記の塩酸塩(19)(21.7g)とDIEA(32mL、7.2当量)とのDMF(250mL)溶液に添加した。反応混合物を、室温で、LC−MS分析で反応が完了したと判断されるまで(ほぼ4時間)撹拌し、次いで、撹拌しながら水(1.2L)中に注ぎ入れた。沈殿物を、濾過して集め、ACN/水(容積比で4:1、500mL)中で一夜撹拌し、再び濾過して集め、真空中で乾燥して、ジメチル((2S,2’S)−((2S,2’S,3aS,3a
’S,7aS,7a
’S)−2,2’−(5,5’−(トリシクロ[8.2.2.2
4,7]ヘキサデカ−4,6,10,12,13,15−ヘキサエン−5,11−ジイル)ビス(1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5,2−ジイル))ビス(オクタヒドロ−1H−インドール−2,1−ジイル)ビス(3−メチル−1−オキソブタン−2,1−ジイル)ジカルバメート(20)を得た(22.62g)。
【0163】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6, 120℃): δ0.87 (d, J = 6.5 Hz, 6H), 0.92 (d, J = 6.5 Hz, 6H), 1.20-1.60 (m, 6H), 1.65-2.10 (m, 12H), 2.31 (m, 2H), 2.38-2.52 (m, 2H), 2.54-2.76 (m, 4H), 2.85 (m, 2H), 3.07 (m, 2H), 3.45 (m, 2H), 3.57 (br s, 6H), 4.07 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 4.34 (m, 2H), 5.28 (t, J = 8.5 Hz, 2H), 6.51 (br, 2H), 6.57 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 6.73 (s, 2H), 6.76 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.33 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.64 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.72 (s, 2H).
【0164】
<実施例4>
[ジメチル((2S,2’S,3R,3’R)−((2S,2’S,3AS,3A’S,7AS,7A’S)−2,2’−(5,5’−(トリシクロ[8.2.2.2
4,7]ヘキサデカ−4,6,10,12,13,15−ヘキサエン−5,11−ジイル)ビス(1H−ベンゾ[D]イミダゾール−5,2−ジイル))ビス(オクタヒドロ−1H−インドール−2,1−ジイル))ビス(3−メトキシ−1−オキソブタン−2,1−ジイル))ジカルバメート(22)の合成]
(ステップ1)
【化61】
[この文献は図面を表示できません]
O−メチル−L−トレオニン(25g、0.19モル)を1,4−ジオキサン(125mL)に溶解し、0℃まで冷却した。次いで、反応混合物に、NaOH(22.5g、0.56モル、3当量)の2M水溶液、続いてクロロギ酸メチル(17.4mL、0.22モル、1.2当量)を同温度で添加した。反応混合物を室温まで温め、16時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(500mL)で洗浄した。水層を、3N HClでpH2まで酸性とし、酢酸エチル(3×250mL)で抽出した。合わせた有機層を、Na
2SO
4上で乾燥し、濃縮して、粗生成物を得た(23g)。粗生成物に酢酸エチル(46mL)を添加し、80℃まで加熱して、澄明溶液を得た。次いで、この溶液を0℃まで冷却した。得られた固体を濾過、乾燥して、所望の純粋な生成物(21)を得た(18.75g)。
【0165】
(ステップ2)
【化62】
[この文献は図面を表示できません]
上記の塩酸塩(32.0g、0.0384モル)、Moc−O−メチル−L−トレオニン(18.3g、0.0960モル)およびHATU(36.5g、0.09604モル)のDMF(160mL)中の混合物に、0℃でDIEA(32.8mL、0.192モル)を滴下添加した。反応混合物を室温まで上昇するままにして16時間撹拌し、水(1.6L)中に注ぎ入れた。生じた固体を濾過して集め、DCM(500mL)に溶解した。この溶液を水(100mL)で洗浄し、ブライン(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、ジメチル((2S,2’S,3R,3’R)−((2S,2’S,3aS,3a’S,7aS,7a’S)−2,2’−(5,5’−(トリシクロ[8.2.2.2
4,7]ヘキサデカ−4,6,10,12,13,15−ヘキサエン−5,11−ジイル)ビス(1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5,2−ジイル))ビス(オクタヒドロ−1H−インドール−2,1−ジイル))ビス(3−メトキシ−1−オキソブタン−2,1−ジイル))ジカルバメート(22)を得た(30g)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6, rt): δ0.91-1.04 (m, 6H), 1.21-1.59 (m, 6H), 1.64-1.88 (m, 6H), 1.90-2.07 (m, 4H), 2.23-2.49 (m, 6H), 2.62 (m, 2H), 2.85 (m, 2H), 3.08 (m, 2H), 3.19 (s, 3H), 3.20 (s, 3H), 3.42 (m, 2H), 3.57 (s, 6H), 4.15 (見かけ上t, J = 8.0 Hz, 2H), 4.47 (m, 2H), 5.16 (見かけ上t, J = 8.5 Hz, 2H), 6.52 (見かけ上t, J = 8.5 Hz, 2H), 6.75 (s, 2H), 6.82 (m, 2H), 7.41 (m, 2H), 7.71 (見かけ上t, J = 6.0 Hz, 2H), 7.64-7.79 (m, 4H).
【0166】
<実施例5>
[ジメチル((2S,2’S,3R,3’R)−((2S,2’S,3AS,3A’S,7AS,7A’S)−2,2’−(5,5’−(トリシクロ[8.2.2.2
4,7]ヘキサデカ−4,6,10,12,13,15−ヘキサエン−5,11−ジイル)ビス(1H−ベンゾ[D]イミダゾール−5,2−ジイル))ビス(オクタヒドロ−1H−インドール−2,1−ジイル))ビス(3−メトキシ−1−オキソブタン−2,1−ジイル))ジカルバメート(23)の合成]
【化63】
[この文献は図面を表示できません]
ジメチル((2S,2’S,3R,3’R)−((2S,2’S,3aS,3a’S,7aS,7a’S)−2,2’−(5,5’−(トリシクロ[8.2.2.2
4,7]ヘキサデカ−4,6,10,12,13,15−ヘキサエン−5,11−ジイル)ビス(1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5,2−ジイル))ビス(オクタヒドロ−1H−インドール−2,1−ジイル))ビス(3−ヒドロキシ−1−オキソブタン−2,1−ジイル))ジカルバメートは、ジメチル((2S,2’S,3R,3’R)−((2S,2’S,3aS,3a’S,7aS,7a’S)−2,2’−(5,5’−(トリシクロ[8.2.2.2
4,7]ヘキサデカ−4,6,10,12,13,15−ヘキサエン−5,11−ジイル)ビス(1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5,2−ジイル))ビス(オクタヒドロ−1H−インドール−2,1−ジイル))ビス(3−メトキシ−1−オキソブタン−2,1−ジイル))ジカルバメートの合成に関する前記方法と類似の方法で調製した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6, rt):
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6, rt): δ0.95-1.04 (m, 6H), 1.20-1.56 (m, 6H), 1.64-1.85 (m, 6H), 1.90-2.09 (m, 4H), 2.25 (m, 2H), 2.32-2.49 (m, 4H), 2.63 (m, 2H), 2.83 (m, 2H), 3.06 (m, 2H), 3.39 (m, 2H), 3.57 (s, 6H), 3.69 (m, 2H), 4.06 (見かけ上t, J = 7.5 Hz, 2H), 4.46 (m, 2H), 4.72 (m, 2H), 5.13 (m, 2H), 6.44-6.57 (m, 2H), 6.68-6.87 (m, 4H), 7.23-7.35 (m, 4H), 7.53-7.78 (m, 4H).
【0167】
<実施例6>
[テトラアミン合成経路を経由する化合物29の合成]
(ステップ1)
【化64】
[この文献は図面を表示できません]
1,2−ジアミノ−4−ブロモベンゼン(10g、0.053モル)をDCM(150mL)に溶解し、0℃まで冷却した。NaOH溶液(50mL、2.5モル)を同温度で滴下添加した。15分後に、二炭酸ジ−tert−ブチル(58g、0.26モル)を同温度で滴下添加した。次いで、反応混合物を室温まで上昇するままにして16時間撹拌し、DCM(100mL)で希釈し、水(100mL)で洗浄した。有機層を分離し、Na
2SO
4上で乾燥し、濃縮した。粗材料をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル、容積比で1:1)で精製して、所望の生成物を得た(18g)。
【0168】
(ステップ2)
【化65】
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アルゴン雰囲気下で、ジ−tert−ブチル(4−ブロモ−1,2−フェニレン)ジカルバメート(24)(18g、0.046モル)、ビス(ピナコラト)ジボラン(17.7g、0.070モル)、酢酸カリウム(13.66g、0.14モル)およびPd(dppf)Cl
2(3.8g、0.0046モル)の1,4−ジオキサン(360mL)中の混合物を、85℃で約16時間加熱した。次いで、反応混合物を酢酸エチル(200mL)で希釈し、セライト床を通して濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル、容積比で80:20)で精製して、所望の生成物(25)を得た(16.0g)。
【0169】
(ステップ3)
【化66】
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アルゴン雰囲気下で、ジ−tert−ブチル4,16−ジブロモ[2.2]パラシクロファン(17)(6g、0.014モル)、(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,2−フェニレン)ジカルバメート(17.78g、0.032モル)、Cs
2CO
3(15.98g、0.049モル)の水(66mL)溶液、およびPd(PPh3)
4(1.33g、0.0016モル)からなる混合物を、密封管中、80℃で16時間加熱した。反応混合物を水(250mL)中に注ぎ、生じた沈殿物を濾過して集め、水で洗浄した。この粗材料をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル、容積比で6:4)で精製して、所望の生成物(26)を得た(5.0g)。
【0170】
(ステップ4)
【化67】
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TFA(100mL)に、4箇所がBocで保護された前記の生成物(26)(10g)を0〜5℃で添加した。添加を完了した後、反応混合物を室温まで温め、3時間撹拌した。次いで、反応混合物を濃縮し、DCM(3×50mL)と共蒸発させた。粗材料(27)をそのまま次のステップで使用した。
【0171】
(ステップ5)
【化68】
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(S)−5−(tert−ブトキシカルボニル)−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−6−カルボン酸(0.5g、0.00057モル)、HOBt(0.35g、0.0026モル)、EDCI(0.5g、0.0026モル)および前記のTFA塩(27)(0.343g、0.0014モル)のDMF(5mL)中の冷却された混合物に、DIEA(1mL、0.0125モル)を0℃で添加した。添加を完了した後、反応混合物を室温まで上昇するままにして16時間撹拌した。反応混合物を水中に注ぎ入れ、沈殿物(28)を濾過して集め、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して所望の生成物を得た(0.32g)。
【0172】
(ステップ6)
【化69】
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上記のジアミド生成物(28)(0.32g、0.00035モル)に酢酸(5mL)を添加し、45℃で4時間加熱した。反応混合物を蒸発させ、残留物を酢酸エチル(95mL)で希釈し、次いでNaHCO
3水(2×25mL)および水(2×30mL)で洗浄した。有機層を分離し、Na
2SO
4上で乾燥し、減圧下で蒸発させた。粗材料をカラムクロマトグラフィーで精製して所望の生成物(29)を得た(0.2g)。
【0173】
(ステップ7)
【化70】
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上記のBocで保護された生成物(0.09g)をDCM(0.9mL)に溶解し、0℃に冷却した。次いで、4N HCl/ジオキサン(0.9mL)を滴下添加した。反応混合物を室温まで温め3時間撹拌した。次いで、揮発物を真空下で除去し、DCM(3×50mL)と共蒸発させた。残留粗材料(30)を、さらなる精製なしに次のステップでそのまま使用した。
【0174】
(ステップ8)
【化71】
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上記の塩酸塩(30)(0.011g、0.0000141モル、1当量)をDMF(1mL)に溶解し、0℃まで冷却した。冷却されたこの溶液に(S)−2−((メトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタン酸(0.0062g、0.000033モル、2.5当量)、HOBt(0.0044g、0.000033モル、2.5当量)およびEDCI(0.0063g、0.000033モル、2.5当量)を添加した。次いで、DIEA(0.02mL、0.00013モル、10当量)を同温度で滴下添加した。反応混合物を室温まで上昇するままにして16時間撹拌した。次いで、反応混合物を水(25mL)中に注ぎ入れ、沈殿した固体を濾過して集め、乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、所望の生成物(31)を得た(3mg)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6, rt): δ0.91-1.04 (m, 6H), 1.21-1.59 (m, 6H), 1.64-1.88 (m, 6H), 1.90-2.07 (m, 4H), 2.23-2.49 (m, 6H), 2.62 (m, 2H), 2.85 (m, 2H), 3.08 (m, 2H), 3.19 (s, 3H), 3.20 (s, 3H), 3.42 (m, 2H), 3.57 (s, 6H), 4.15 (見かけ上t, J = 8.0 Hz, 2H), 4.47 (m, 2H), 5.16 (見かけ上t, J = 8.5 Hz, 2H), 6.52 (見かけ上t, J = 8.5 Hz, 2H), 6.75 (s, 2H), 6.82 (m, 2H), 7.41 (m, 2H), 7.71 (見かけ上t, J = 6.0 Hz, 2H), 7.64-7.79 (m, 4H).
【0175】
<実施例7>
[フェロセン系NS5A阻害剤(32)の合成]
【化72】
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フェロセン化合物は、バトラー(Butler),I.R.ら、「A Convenient Prepartion of Iodoferrocenes」Polyhedron(1993)12:129〜131中で考察されている方法で調製される。1,1’−ジヨードフェロセン(220mg、0.5ミリモル)の撹拌された1,4−ジオキサン(10mL)溶液に、メチル((S)−3−メチル−1−オキソ−1−((2S,3aS,7aS)−2−(5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)オクタヒドロ−1H−インドール−1−イル)ブタン−2−イル)カルバメート(1.1g、4当量)、K
3PO
4(853mg、2M水溶液、8当量)およびPdCl
2dppf(49mg、12モル%)をアルゴン雰囲気下で添加した。生じた混合物を80℃で1時間のマイクロ波照射(CEM Discover System)にかけた。反応混合物を室温まで放冷し、濾過し、真空中で濃縮した。残留物を分取HPLCで精製して、所望の生成物をトリフルオロ酢酸塩として得た(43mg)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6, 27℃): δ0.63 (d, J = 6.5 Hz, 6H), 0.78 (d, J = 6.5 Hz, 6H), 1.13-1.49 (m, 6H), 1.55-1.87 (m, 10H), 1.95 (m, 2H), 2.26 (m, 2H), 2.35 (m, 2H), 2.42 (m, 2H), 3.48 (s, 6H), 3.83 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 4.18 (m, 4H), 4.37 (m, 2H), 4.67 (m, 4H), 5.10 (dd, J = 10.0 Hz, 7.5 Hz, 2H), 7.39 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 7.42 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 7.45 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.53 (s, 2H).
【0176】
<実施例8>
[式Iのさらなる化合物]
次の化合物が実施例1〜6に示した方法で調製される。
【0177】
【表1】
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【0178】
【表2】
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【0179】
【表3】
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【0180】
【表4】
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【0181】
【表5】
[この文献は図面を表示できません]
【0182】
【表6】
[この文献は図面を表示できません]
【0183】
【表7】
[この文献は図面を表示できません]
【0184】
【表8】
[この文献は図面を表示できません]
【0185】
【表9】
[この文献は図面を表示できません]
【0186】
【表10】
[この文献は図面を表示できません]
【0187】
【表11】
[この文献は図面を表示できません]
【0188】
【表12】
[この文献は図面を表示できません]
【0189】
【表13】
[この文献は図面を表示できません]
【0190】
【表14】
[この文献は図面を表示できません]
【0191】
【表15】
[この文献は図面を表示できません]
【0192】
【表16】
[この文献は図面を表示できません]
【0193】
【表17】
[この文献は図面を表示できません]
【0194】
【表18】
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【0195】
【表19】
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【0196】
【表20】
[この文献は図面を表示できません]
【0197】
【表21】
[この文献は図面を表示できません]
【0198】
【表22】
[この文献は図面を表示できません]
【0199】
【表23】
[この文献は図面を表示できません]
【0200】
【表24】
[この文献は図面を表示できません]
【0201】
【表25】
[この文献は図面を表示できません]
【0202】
【表26】
[この文献は図面を表示できません]
【0203】
【表27】
[この文献は図面を表示できません]
【0204】
【表28】
[この文献は図面を表示できません]
【0205】
【表29】
[この文献は図面を表示できません]
【0206】
【表30】
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【0207】
【表31】
[この文献は図面を表示できません]
【0208】
【表32】
[この文献は図面を表示できません]
【0209】
【表33】
[この文献は図面を表示できません]
【0210】
【表34】
[この文献は図面を表示できません]
【0211】
【表35】
[この文献は図面を表示できません]
【0212】
【表36】
[この文献は図面を表示できません]
【0213】
【表37】
[この文献は図面を表示できません]
【0214】
【表38】
[この文献は図面を表示できません]
【0215】
<実施例9>
[HCVの複製を阻害する化合物を同定するためのアッセイ]
本明細書中で特許請求されている化合物を、HCVレプリコン構築物を組み入れた培養細胞において、C型肝炎レプリコンのウイルス複製を阻害する能力について試験する。HCVレプリコン系は、バルテンシュラーゲル(Bartenschlager)ら(Science、285、110〜113頁(1999))によって説明された。レプリコン系は、インビボでの抗HCV活性を予測するものであり、ヒトで活性な化合物は、レプリコンアッセイにおいて常に活性を明示する。
【0216】
このアッセイでは、HCVレプリコンを含む細胞を、様々な濃度の試験化合物で試験して、HCVレプリコンの複製を抑制する試験化合物の能力を確かめる。陽性対照として、HCVレプリコンを含む細胞を、様々な濃度のインターフェロンα(HCV複製の既知の阻害剤である)で処理する。レプリコンアッセイ系は、宿主細胞におけるレプリコン遺伝子産物の転写を検出するために、レプリコン自体の構成要素としてネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NPT)を含む。HCVレプリコンが活発に複製している細胞は、高レベルのNPTを有し、NPTレベルはHCV複製に比例する。また、HCVレプリコンが複製していない細胞は、低レベルのNPTを有し、したがって、ネオマイシンで処理した場合に生き残らない。各サンプルのNPTレベルを、捕捉ELISAを利用して測定する。
【0217】
レプリコン構築物を組み入れたC型肝炎レプリコン培養細胞のウイルス複製を阻害する能力について化合物を試験するためのプロトコールを次に示す。
【0218】
(9A.HCVレプリコンおよびレプリコン発現)
HCVゲノムは、3000個のアミノ酸からなるポリタンパク質をコードする単一のオープンリーディングフレーム(ORF)からなる。ORFは、その5’側に配列内リボソーム侵入部位(IRES)として役立つ非翻訳領域、およびその3’部位にウイルス複製に必須な高度に保存された配列(3’−NTR)が配列されている。ウイルス感染に必須な構造タンパク質は、ORFの5’末端の近傍に位置している。NS2〜NS5Bと称される非構造タンパク質は、ORFの残余部分を構成する。
【0219】
HCVレプリコンは、5’−3’に、HCV−IRES、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neo)遺伝子、HCV配列NS3〜NS5Bの翻訳を指示する脳心筋炎ウイルスのIRES、および3’−NTRを含む。HCVレプリコンの配列は、GenBankに寄託されている(受入れ番号AJ242652)。
【0220】
レプリコンを、エレクトロポレーションなどの標準的な方法を利用してHuh−7細胞中にトランスフェクトする。
【0221】
(9B.細胞の維持)
装置および材料としては、限定はされないが、Huh−7HCVレプリコンを含む細胞、維持培地[10%FBS、L−グルタミン、非必須アミノ酸、ペニシリン(100単位/mL)、ストレプトマイシン(100μg/mL)、および500μg/mLのGeneticin(G418)で補足されたDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)]、スクリーニング培地[10%FBS、L−グルタミン、非必須アミノ酸、ペニシリン(100単位/mL))およびストレプトマイシン(100μg/mL)で補足されたDMEM]、96ウェル組織培養プレート(平底)、96ウェルプレート(薬物希釈用のU型底)、陽性対照のためのインターフェロンα、固定用試薬(メタノール:アセトンなど)、一次抗体(ウサギ抗NPTII)、二次抗体:Eu−N11および増強溶液が挙げられる。
【0222】
HCVレプリコンを含む細胞は、それらの密度が適切である場合に、ウイルスRNAレプリコンの高レベルの複製を支持する。過度な集密は、ウイルスRNA複製の低下をもたらす。したがって、細胞は、500μg/mLのG418の存在下で対数期の増殖を保持しなければならない。一般に、細胞に、1:4〜6の希釈を週2回実施すべきである。細胞の維持は次のように実施される。
【0223】
HCVレプリコンを含む細胞を顕微鏡下で調べて、十分な細胞増殖を確実にする。細胞をPBSで1回すすぎ洗い、2mLのトリプシンを添加する。細胞/トリプシン混合物を、CO
2インキュベーター中、37℃で3〜5分間インキュベートする。インキュベートした後、10mLの完全培地を添加して、トリプシン処理反応を停止させる。細胞に空気を静かに吹き込み、15mLのチューブに入れ、1200rpmで4分間回転させる。トリプシン/培地溶液を除去する。培地(5mL)を添加し、細胞を注意して混合する。細胞を計数する。
【0224】
次いで、細胞を96ウェルプレートに6000〜7500細胞/100μL/ウェル(6〜7.5×10
5細胞/10mL/プレート)の密度で播種する。次いで、プレートを、5%CO
2インキュベーター中、37℃でインキュベートする。
【0225】
播種のほぼ24時間後に、薬物の添加に先立って、細胞を顕微鏡下で調べる。計数および希釈が正確に実施されていれば、細胞は60〜70%の集密であり、ほぼすべての細胞が付着し、ウェル中に一様に拡がっているはずである。
【0226】
(9C.HCVレプリコンを含む細胞の試験化合物での処理)
HCVレプリコンを含む細胞を、PBSで1回すすぎ洗い、次いで、2mLのトリプシンを添加する。細胞を、5%CO
2インキュベーター中、37℃で3〜5分間インキュベートする。10mLの完全培地を添加して、反応を停止させる。細胞に空気を静かに吹き込み、15mLのチューブに入れ、1200rpmで4分間回転させる。トリプシン/培地溶液を除去し、5mLの培地(BRLカタログ#12430−054からの500mLのDMEM)、50mLの10%FBS、5%Geneticin G418(50mg/mL、BRLカタログ#10131−035)、5mLのMEM非必須アミノ酸(100×BRL#11140−050)および5mLのpen−strep(BRL#15140−148)を添加する。細胞と培地とを注意して混合する。
【0227】
細胞を、スクリーニング培地(500mLのDMEM(BRL#21063−029))、50mLのFBS(BRL#10082−147)および5mLのMEM非必須アミノ酸(BRL#11140−050)と共に、6000〜7500細胞/100μL/96ウェルプレートのウェル(6〜7.5×10
5細胞/10mL/プレート)で播種する。プレートを、5%CO
2、37℃のインキュベーター中に一夜静置する。
【0228】
(9D.アッセイ)
翌朝、薬物(試験化合物またはインターフェロンα)を、U型底の96ウェルプレート中で、スクリーニングのために選択した最終濃度に応じて、培地またはDMSO/培地で希釈する。一般に、各試験化合物につき10マイクロモル/L〜0.03マイクロモル/Lの範囲の6種の濃度を使用する。試験化合物の希釈液100μLを、HCVレプリコン細胞を含む96ウェルプレートのウェル中に配置する。薬物なしの培地を、陰性対照として若干のウェルに添加する。DMSOは、細胞増殖に影響を及ぼすことが知られている。したがって、DMSOで希釈した薬物を使用する場合、陰性対照(培地のみ)および陽性対照(インターフェロンα)のウェルを含むすべてのウェルは、単回用量でのスクリーニングに関して同一濃度のDMSOを含むべきである。プレートを、加湿された5%CO
2環境中、37℃で3日間インキュベートする。
【0229】
4日目に、NTPIIアッセイを定量する。プレートから培地を流し出し、プレートを200μLのPBSで1回洗浄する。次いで、PBSをデカントし、プレートを紙タオル中で軽くタップして残存しているPBSを除去する。細胞を、ウェル当たり100μLの事前に冷却(−20℃)したメタノール:アセトン(1:1)を用いてインサイチュで固定し、プレートを−20℃で30分間静置する。
【0230】
固定液をプレートから流し出し、プレートを完全に空気乾燥させる(ほぼ1時間)。乾燥した細胞層の外観を記録し、毒性ウェル中の細胞密度を肉眼で評点化する。別法として、下記のMTSアッセイを使用して、細胞生存率を評価することができる。
【0231】
ウェルを、200μLのブロッキング溶液(10%FBS;3%NGS/PBS)を用い室温で30分間ブロックする。ブロッキング溶液を除去し、ブロッキング溶液で1:1000に希釈した100μLのウサギ抗NPTIIを、各ウェルに添加する。次いで、プレートを室温で45〜60分間インキュベートする。インキュベートした後、ウェルをPBS−0.05%Tween−20溶液で6回洗浄する。ブロッキング緩衝液で1:15,000に希釈したユウロピウム(EU)複合ヤギ抗ウサギの100μLを、各ウェルに添加し、室温で30〜45分間インキュベートする。プレートを再び洗浄し、各ウェルに100μLの増強溶液(Perkin Elmer#4001−0010)を添加する。各プレートを、プレート振盪機で3分間振盪する(ほぼ30rpm)。各ウェルから95μLを黒色プレートに移し、EUシグナルをPerkin−Elmer VICTORプレートリーダー(EU−Lance)中で定量する。
【0232】
このアッセイで試験した場合、化合物1
1および40は、約10マイクロモル濃度以下のEC50値を示す。
【0233】
<実施例10>
[細胞毒性アッセイ]
レプリコン複製の低下が、非特異的ではなく、HCVレプリコンに対する化合物の活性によるものであることを確実にするため、毒性アッセイを使用して、化合物の細胞毒性を定量する。
【0234】
(10A.細胞毒性に関する細胞タンパク質アルブミンのアッセイ)
細胞タンパク質アルブミンの測定は、細胞毒性の1つのマーカーを提供する。細胞アルブミンのアッセイから得られるタンパク質レベルを利用して、化合物の抗ウイルス活性の正規化参照を提供することもできる。タンパク質アルブミンのアッセイでは、HCVレプリコンを含む細胞を、高濃度において細胞毒性のあることが知られている化合物である様々な濃度のヘリオキサンチンで3日間処理する。細胞を溶解し、細胞溶解液を使用して、プレート結合ヤギ抗アルブミン抗体を室温(25℃〜28℃)で3時間結合させる。次いで、プレートを1×PBSで6回洗浄する。非結合タンパク質を洗い流した後、マウスモノクローナル抗ヒト血清アルブミンを使用して、プレート上にアルブミンを結合させる。次いで、複合体を、二次抗体としてのホスファターゼ標識化抗マウスIgGを使用して検出する。
【0235】
(10B.細胞毒性に関するMTSアッセイ)
細胞生存率は、生存細胞数を測定するための比色アッセイであるCELLTITER96 AQUEOUS ONE溶液細胞増殖アッセイ(Promega、Madison、ウィスコンシン州)によって測定することもできる。この方法では、細胞を固定する前に、製造業者の説明書に従って、各ウェルに10〜20μLのMTS試薬を添加し、プレートを37℃でインキュベートし、OD490nmで読み取る。インキュベーションの間、生存細胞は、MTS試薬を490nmに吸収のあるホルマザン生成物に変換する。したがって、490nmでの吸光度は、培養物中の生存細胞数に比例する。
【0236】
細胞毒性を測定するための、細胞アルブミン法とMTS法との直接比較は、次のようにして得ることができる:すなわち、細胞を、様々な濃度の試験化合物またはヘリオキサンチンで3日間処理する。前記のようなアルブミン検出のための溶解の前に、製造業者の説明書に従って各ウェルにMTS試薬を添加し、37℃でインキュベートし、OD490nmで読み取る。次いで、前記のように、細胞アルブミンの定量を実施する。