特許第6198722号(P6198722)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6198722電気化学的リチウムイオン電池を製造するための半自動的方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6198722
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】電気化学的リチウムイオン電池を製造するための半自動的方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0583 20100101AFI20170911BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20170911BHJP
   H01M 10/0525 20100101ALI20170911BHJP
   H01M 2/18 20060101ALI20170911BHJP
   H01M 2/26 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   H01M10/0583
   H01M4/58
   H01M10/0525
   H01M2/18 Z
   H01M2/26 A
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-513145(P2014-513145)
(86)(22)【出願日】2012年5月29日
(65)【公表番号】特表2014-519166(P2014-519166A)
(43)【公表日】2014年8月7日
(86)【国際出願番号】EP2012059948
(87)【国際公開番号】WO2012163881
(87)【国際公開日】20121206
【審査請求日】2015年5月18日
(31)【優先権主張番号】1154767
(32)【優先日】2011年5月31日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル・ブヴィエール
【審査官】 渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/087123(WO,A1)
【文献】 特開2011−96665(JP,A)
【文献】 特表2013−503456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0583
H01M 2/18
H01M 10/0525
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のステップ、すなわち、
a/ 複数のいわゆる両面電極を作るステップであって、各電極は、同じ所与の極性の電極材料をその2つの対向面に支持する電流コレクタを形成する導電性基板を含み、電極の前記極性は、2つのグループに分けられ、前記グループの一方は、他方のグループの電極と反対の極性を持つ電極を含む、ステップと、
a´/ 2つのいわゆる片面電極を作るステップであって、各電極は、所与の極性の電極材料をその面のうちのただ1つの面に支持する電流コレクタを形成する導電性基板を含み、単一の電極材料を支持する両方の片面電極は、同じ極性である、ステップと、
b/ 電解質セパレータを2つの平行なエッジを持つマンドレルの1つのエッジ上に位置決めするように連続ストリップの形の前記電解質セパレータを巻き付け機から巻き戻すステップと、
c/ 連続セパレータストリップがすでにその上に位置決めされている前記エッジに平行なマンドレルの前記エッジ上に前記グループの片方の第1の両面電極を手動で位置決めするステップと、
d/ 前記グループの前記第1の両面電極および前記マンドレルを前記連続セパレータストリップで包むように前記マンドレルを回転させるステップと、
e/ 前記連続セパレータストリップがその上に位置決めされている前記マンドレルの前記エッジ上にもう一方のグループの第1の両面電極を手動で位置決めするステップと、
f/ 前記もう一方のグループの前記第1の両面電極もまた前記連続セパレータストリップで包むようにステップd/の方向と同じ方向に前記マンドレルを回転させるステップと、
g/ 前記片面電極のそれぞれがスタックの端部の1つに配置される状態ですべてのその他の電極が前記マンドレル上に積み重ねられるように、ステップa/およびa´/に従って作られたすべてのその他の電極を使ってステップc/からf/を繰り返すステップであって、すべての前記電極は、前記連続セパレータストリップによって包まれ、前記連続セパレータストリップはまた、互いに対して反対の極性の2つの隣接電極に分離もする、ステップと、
を含むリチウムイオン電気化学的蓄電池を作るための方法。
【請求項2】
いったんステップg/が実行されると、前記スタックを前記マンドレルから取り外すためのステップが、実行され、次いで前記片面電極上のストリップ部分だけを残しかつ互いに対して反対の極性を持つ2つの隣接電極に個々に分離するように、前記連続セパレータストリップを前記電極の周囲で切り取るためのステップが、実行される請求項1に記載のリチウムイオン電気化学的蓄電池を作るための方法。
【請求項3】
各巻き戻すステップb/は、あらかじめ細長く切られた前記連続ストリップがその上に巻き付けられているスリッタ−巻き取り機の出口で巻き付け機から実行される請求項1または2に記載のリチウムイオン電気化学的蓄電池を作るための方法。
【請求項4】
各巻き戻すステップb/は、1から50μmの間に含まれる前記連続セパレータストリップ(5)の厚さについて0.5から3Nの間の前記連続セパレータストリップ(5)の張力を維持することによって実行される請求項1から3のいずれか一項に記載のリチウムイオン電気化学的蓄電池を作るための方法。
【請求項5】
− ステップa/およびa´/は、前記電極材料を支持する領域から突出する各電流コレクタの部分がタブを形成しながら実行され、
− ステップc/からg/は、前記タブがセパレータの巻き付け方向に実質的に直交する平面に配置された状態で実行され、
− いったんステップg/が実行されると、同じ極性の電極の電流コレクタのすべてのタブおよびより大きい厚さのタブがその間に一緒に結合されて溶接されるステップh/が実行され、より大きい長さの両方のタブが、蓄電池の極板を形成する請求項1から4のいずれか一項に記載のリチウムイオン電気化学的蓄電池を作るための方法。
【請求項6】
いったんステップh/が実行されると、互いに対して反対の極性の2つの隣接電極を個々に分離する電解質セパレータストリップ部分を備えた前記電極の前記スタックは、漏れ防止パッケージに包まれ、一方、前記極板は前記漏れ防止パッケージを横切ったままである請求項5に記載のリチウムイオン電気化学的蓄電池を作るための方法。
【請求項7】
2つの平行なエッジを持つマンドレルと、
複数のいわゆる両面電極であって、各電極は、同じ所与の極性の電極材料をその2つの対向面に支持する電流コレクタを形成する導電性基板を含み、電極の前記極性は、2つのグループに分けられ、前記グループの一方は、他方のグループの電極と反対の極性を持つ電極を含む両面電極と、
2つのいわゆる片面電極であって、各電極は、所与の極性の電極材料をその面のうちのただ1つの面に支持する電流コレクタを形成する導電性基板を含み、単一の電極材料を支持する両方の片面電極は、同じ極性である片面電極と、
連続セパレータストリップと、
を有するスタックを備え、
前記片面電極のそれぞれが前記スタックの端部の1つに配置されており、
前記マンドレル上及び下において前記複数の両面電極が互いに反対の極性を持つ電極が隣接するように積み重ねられており、
すべての前記片面電極及び前記両面電極は、前記連続セパレータストリップによって包まれ、前記連続セパレータストリップは、互いに反対の極性の2つの隣接電極を分離しており、
負極性を持つすべての前記電極は、グラファイトに基づいており、正極性を持つすべての前記電極は、LiFePOであるリチウムイオン電気化学的蓄電池。
【請求項8】
前記スタックは、漏れ防止パッケージに包まれ、
極性ごとに前記電極材料を支持する領域から突出する各電流コレクタの部分が結合されてなる両方の極板は、前記漏れ防止パッケージの同じ側面から突出しながら配置される請求項7に記載のリチウムイオン電気化学的蓄電池。
【請求項9】
前記スタックは、漏れ防止パッケージに包まれ、
極性ごとに前記電極材料を支持する領域から突出する各電流コレクタの部分が結合されてなる両方の極板は、それぞれが前記漏れ防止パッケージの1つの異なる側面から突出して配置される請求項7に記載のリチウムイオン電気化学的蓄電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの電極でのリチウムの挿入もしくは脱挿入、または言い換えればインターカレーション−デインターカレーションの原理に従って動作するリチウム電気化学的発電装置の分野に関する。
【0002】
本発明はより詳しくは、リチウムイオン(Liイオンと略される)電気化学的蓄電池に関し、そのような蓄電池を作るための新規方法に関する。
【背景技術】
【0003】
Liイオン電気化学的蓄電池を作るためには、巻き付けることによってかまたは積み重ねること(すなわちスタック)によって進めることが、周知である。
【0004】
スタックは、電気化学的コアの異なる構成要素(電極、電解質セパレータ、電流コレクタ)のためのガイドとして使用される組み立て装置の助けを借りて完全に手動で作られるか、または完全に自動化された方法で作られることもあり、その方法はそのとき、複雑で高価な設備を必要とする。
【0005】
巻き付けることに関しては、セパレータを巻き戻すための巻出し機、電流コレクタによって支持される所与の極性の電極ごとに1つのプレート、およびアセンブリの巻き付けを可能にするマンドレルを必要とするだけの、はるかにより簡単な1つの設備で成し遂げられることもある。この現在使用されている方法の欠点は、支持用電流コレクタを持つ電極が十分に柔軟でなければならないことである。実際、それらを巻き付けることは当然、多かれ少なかれ実質的な湾曲角度に従ってそれらを折り畳むことを含む。今では、電極材料および関連する支持用電流コレクタに応じ、それらの基本重量およびそれらの空隙率に応じて、関連する電流コレクタとともに与えられるある種の電極は、折り畳むことができないこともある。
【0006】
また、今までは、関連する電流コレクタを持つある種の電極は、完全に手動で積み重ねる方法でしか組み立てることができない。この完全に手動で積み重ねる方法の欠点は、その方法がまた、関連する個々の切断するステップおよび積み重ねるステップとともに電解質セパレータの手動での取り扱いも必要とすることである。今では、本質的に、Liイオン蓄電池で最も一般的に使用される電解質セパレータは、非常に薄く、非常にもろい材料であり、典型的には1から50μm程度の厚さを持つ。また、どんな取り扱いも、電気化学的コアのせん孔のリスク、したがってその後の短絡のリスクを伴う。
【0007】
さらに、折り畳むことができず、したがって巻き付けることができない電極は、一般にゆがんでおり(平坦性欠陥)、事実上、積み重ね段階の間は、異なる層の保持に細心の注意を要する。最後に、各構成要素をその他のすべてのものに対して位置決めすること、すなわちコレクタによって支持される正電極に対する電解質セパレータの位置決め、負電極に対する正電極の位置決め、および各層についてその他が必要であるので、上で示されたすべての手動ステップは、比較的長い。
【0008】
前述の問題を克服しようとするための中間解決策は、すでに提案されており、これは、いくぶんかは積み重ねることおよび巻き付けることを混合した方法である。これらの解決策は、特許文献1、またはさらに、特許文献2で述べられる。これらの文書で述べられる解決策の主な欠点は、それが、すでにあらかじめ積み重ねられた電極を互いに積み重ねかつ巻き付けることから成ることである。このことは必然的に、予備的積み重ねのために電解質セパレータを手動で取り扱うことを含む。さらに、特許文献1で示される巻き付け方法は、完全に手動であり、すなわち巻き付け機を適用することがないと思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国公開特許第2008−0036250号公報
【特許文献2】欧州特許第1177591号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、前述の欠点のすべてまたは一部を有さないLiイオン電気化学的蓄電池を作るための方法を提案することである。
【0011】
言い換えれば、本発明の目的は、完全に自動化された巻き付け方法でもなく、完全に手動の積み重ねを使う方法でもなく、特許文献1または前述の特許文献2で提案された方法などの、巻き付けることおよび積み重ねることを混合した方法でもない、Liイオン電気化学的蓄電池を作るための新規方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これを行うために、本発明の目的は、次のステップ、すなわち、
a/ 複数の電極、いわゆる両面電極を作るステップであって、各電極は、同じ所与の極性の電極材料をその対向面の両方に支持する電流コレクタを形成する導電性基板を含み、複数の電極は、2つのグループに分けられ、そのグループの一方は、他方のグループの電極と反対の極性を持つ電極を含むステップと、
a´/ 2つのいわゆる片面電極を作るステップであって、各電極は、所与の極性の電極材料をその面のうちのただ1つの面に支持する電流コレクタを形成する導電性基板を含み、単一の電極材料を支持する両方の片面電極は、同じ極性である、ステップと、
b/ 電解質セパレータを2つの平行なエッジを持つマンドレルの1つのエッジ上に位置決めするように連続ストリップの形の電解質セパレータを巻き付け機から巻き戻すステップと、
c/ 連続セパレータストリップがすでにその上に位置決めされているエッジに平行なマンドレルのエッジ上にグループの片方の第1の両面電極を手動で位置決めするステップと、
d/ 前記グループの第1の両面電極およびマンドレルを連続セパレータストリップで包むようにマンドレルを回転させるステップと、
e/ 連続セパレータストリップがその上に位置決めされているマンドレルのエッジ上にもう一方のグループの第1の両面電極を手動で位置決めするステップと、
f/ もう一方のグループの第1の両面電極もまた連続セパレータストリップで包むようにステップd/の方向と同じ方向にマンドレルを回転させるステップと、
g/ 片面電極のそれぞれがスタックの端部の1つに配置される状態ですべてのその他の電極がマンドレル上に積み重ねられるように、ステップa/およびa´/に従って作られたすべてのその他の電極を使ってステップc/からf/を繰り返すステップであって、すべての電極は、連続セパレータストリップで包まれ、連続セパレータストリップはまた、互いに反対の極性を持つ2つの隣接電極を分離するステップと、
を含むリチウムイオン電気化学的蓄電池を作るための方法である。
【0013】
言い換えれば、本発明は、いくぶんかは構成要素の一部を個別のセパレータとともにすでにあらかじめ手動で積み重ねておくことなく最終スタックのすべての電極の手動位置決めと関連する連続電解質セパレータストリップからの自動巻き付けを実行することから成る。
【0014】
さらに言い換えれば、本発明は、同じ極性を持つ両面電極上に連続ストリップの形のセパレータを自動的に巻き付けることから成り、各両面電極および最終的に各片面電極は、スタックを形成するために手動で位置決めされる。
【0015】
自動によって、積み重ねが、モーター駆動されてもよく、さもなければ例えばクランクを介して手によって駆動されてもよいが、しかし必ず巻き付け機を介してであることを意味する。
【0016】
それ故に、連続ストリップの形のセパレータは、それ自体ストリップの自動巻き付けを可能にする巻き付け機に最初に巻き付けられるので、セパレータの手動での取り扱いは、必要とされない。本発明を適用するために使用される両面および片面電極は、あらかじめ切り取られてもよく、それらは、本発明によると手動で積み重ねられるので、材料および/または基本重量および/または空隙率がそれらを巻き付けることを許容しない電極を使用することが、可能である。
【0017】
さらに、巻き付け機を使用することによって、構成要素を位置決めする際の精度および目標とするLiイオン蓄電池を組み立てる際の速さを保つことが、可能である。
【0018】
いったんステップg/が実行されると、スタックをマンドレルから取り出すためのステップが、好ましくは実行され、次いで片面電極のストリップ部分だけを残しかつ互いに反対の極性を持つ2つの隣接電極を個々に分離するように、連続セパレータストリップを電極の周囲で切り取るためのステップが、実行される。
【0019】
有利な代替案によると、各巻き戻すステップb/は、細長く切られた連続ストリップがあらかじめそれに巻き付けられているスリッタ−巻き取り機の出口で巻き付け機から実行される。
【0020】
有利には、各巻き戻すステップb/は、1から50μmの間に含まれる連続セパレータストリップの厚さについて0.5から3Nの間の連続セパレータストリップへの張力を維持することによって実行される。これらの値を使うと、ストリップは、セパレータのせん孔のどんなリスクもなく永続的に張力のかかった状態を維持される。
【0021】
有利な実施形態によると、
− ステップa/およびa´/は、電極材料を支持する領域から突出する各電流コレクタの部分がタブを形成しながら実行され、
− ステップc/からg/は、タブがセパレータの巻き付け方向に実質的に直交する平面に配置される状態で実行され、
− いったんステップg/が実行されると、同じ極性を持つ電極の電流コレクタのすべてのタブおよびより大きな厚さのタブがその間に一緒に結合されて溶接されるステップh/が実行され、より大きな厚さの両方のタブは、蓄電池の極板を形成する。
【0022】
本発明による蓄電池を完成させるために、いったんステップh/が実行されると、互いに対して反対の極性を持つ2つの隣接電極を個々に分離する電解質セパレータストリップ部分を備える電極のスタックは、漏れ防止パッケージで包まれ、一方極板は、そのパッケージを横切ったままである。
【0023】
本発明はまた、上で定義された方法に従って得られるLiイオン蓄電池にも関し、すべての負極性電極は、グラファイトに基づいており、すべての正極性電極は、LiFePOである。
【0024】
代替案によると、両方の極板が、配置され、それぞれは、パッケージの同じ側面から突出する。
【0025】
代替案の変形によると、両方の極板が、配置され、それぞれは、パッケージの異なる側面から突出する。
【0026】
本発明による蓄電池のパッケージは、柔軟なタイプまたは堅いタイプであってもよい。
【0027】
本発明の他の利点および特徴は、次の図を参照して限定としてではなく例示としてなされる次の詳細な説明を読むことでさらに明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1A】本発明によるLiイオン蓄電池を作るための方法で使用される片面または両面電極を作るための一ステップを示す図である。
図1B】本発明によるLiイオン蓄電池を作るための方法で使用される片面または両面電極を作るための一ステップを示す図である。
図1C】本発明によるLiイオン蓄電池を作るための方法で使用される片面または両面電極を作るための一ステップを示す図である。
図2A】本発明によるLiイオン蓄電池を作るための方法の一ステップを正面図として示す図である。
図2B】本発明によるLiイオン蓄電池を作るための方法の一ステップを正面図として示す図である。
図2C】本発明によるLiイオン蓄電池を作るための方法の一ステップを正面図として示す図である。
図3】本発明による方法のステップが実行され、マンドレルが取り外された時点でのLiイオン蓄電池を正面図として示す図である。
図4図3のLiイオン蓄電池を側面図として示す図である。
図5A】極板への電気的接続のためのステップが実行されたが、しかしパッケージ化する前の時点での、図4による蓄電池を上面図として示す図である。
図5B】極板への電気的接続のためのステップが実行されたが、しかしパッケージ化する前の時点での、図4による蓄電池を側面図として示す図である。
図6A】パッケージ化する前の図5Aおよび図5Bの電気的接続代替案を上面図として示す図である。
図6B】パッケージ化した後の図5Aおよび図5Bの電気的接続代替案を上面図として示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
詳細な説明では、すべての電流コレクタは、明瞭さのために同じ参照番号1を持つと本明細書では規定されるが、これらの電流コレクタはもちろん、正電極および負電極について異なってもよい。
【0030】
また、図2Aから図2Cでは、湾曲した矢印は、マンドレルの回転方向を示すとも規定される。
【0031】
また、同じ極性のすべての電極は、正電極については同じ参照番号20および負電極については同じ参照番号21を持つとも規定される。
【0032】
それ故に、同じ極性のすべての電極は、同じ材料で作られ、同じ基本重量および同じ空隙率を持つと考えられる。別個の材料および/または基本重量および/または空隙率が、本発明によるLiイオン蓄電池を得るために同じ極性の手動で積み重ねられた電極にとって本発明の範囲内で適切である可能性があることは明らかである。
【0033】
好ましくは、本発明による蓄電池を作るために、以下のものを関連付けることが可能であり、すなわち、
− 10から40μmの厚さおよび100から600mmの幅を持つアルミニウムコレクタ1の片面または両面に被覆された、5mAh/cm程度の表面容量を持つ、LiFePOに基づく正電極20、
− 10から40μmの厚さおよび100から600mmの幅を持つ銅コレクタ1の片面または両面に被覆された、5.5mAh/cm程度の表面容量を持つ、グラファイトに基づく負電極21。
【0034】
最初に、これらの片面電極3M、3Mまたは両面電極3B、3Bを作るために、有利には次の方法で進めることが可能である。電流コレクタ1を形成する基板の片面または両面は、正または負の電極材料に基づくインクでコレクタの幅よりも小さい幅にわたって被覆される。それによって、電流コレクタ1上に位置決めされ、好ましくは中心に置かれる電極2は、周囲の裸のフレーム10を残すことによって得られる(図1A)。
【0035】
次に、得られた支持体1、2は、2つに細長く切られ(図1B)、電極3が次いで、コレクタ1のタブ10Lを周囲の方へ延ばしながら個々に切り取られる(図1C)。それによって得られた電極3は次いで、本発明による方法に従って組み立てられてもよい。
【0036】
スリッタを用いて、厳密に言えば組み立て作業の前に、電解質セパレータは、それ自体すべて同じ幅の電極3に対応する幅に少なくとも細長く切られると規定される。このようにして、いくつかの連続電解質セパレータストリップが、得られ、それによって切断された各連続ストリップ5は、スリッタの出口でピンに巻き付けられ、ピンはその後に、巻き付け機の入口にセットされてもよい。
【0037】
言い換えれば、電解質セパレータのためのすべてのこれらの切断するステップおよび巻き付けるステップは、同じスリッタ−巻き取り機で自動的に実行されてもよい。
【0038】
連続電解質セパレータストリップ5は、第1段階でスリッタ−巻き取り機6から巻き戻され、その機械のマンドレル4の両方の平行なエッジのうちの1つのエッジ40上に位置決めされる。
【0039】
上述のように得られた第1の正両面電極30Bが次いで、連続セパレータストリップ5がすでにその上に位置決めされているマンドレルのエッジ40に平行なマンドレルのエッジ41上に手動で位置決めされる。マンドレル4の回転が次いで、マンドレル4および第1の正両面電極30B+の両方を張力下でこのようにして包むために実行される(図2A)。
【0040】
マンドレル4の180°だけの回転が次いで、常に同じ方向に実行され、上述のように得られた第1の負両面電極30Bが次いで、手動で位置決めされ、連続セパレータストリップ5部分は、マンドレル4のエッジ40上にすでに位置決めされている(図2B)。
【0041】
これらの自動巻き付けステップは、セパレータ5を張力下に維持しながらマンドレルが常に同じ方向に180°だけ回転するたびに、正30Bおよび負30Bの両面電極を互いにかつスタックの端部では負片面電極3M、3Mを交互に手動で積み重ねることによって繰り返される。セパレータ5で包まれた電極3の完全なスタックは、それによって得られ、セパレータ5は、反対の極性を持つ2つの隣接電極を個々に分離し、すなわち、30Bと31B、31Bと32B、32Bと3Mのように参照される電極は、マンドレル4の片側にあり、30Bと31B、31Bと3Mのように参照される電極は、マンドレル4のもう一方の側にある(図2C)。
【0042】
セパレータストリップ5は次いで、巻き付け機6の出口で切断され、得られたスタックは、マンドレル4から取り出される(図3)。
【0043】
セパレータは実際には、任意の手段、例えば簡単な接着剤によって第1の電極のコレクタタブに固定される。このようにして、セパレータは、所定の位置にとどまり、マンドレルの取り出しまたは取り外しの間は張力をかけられる。
【0044】
セパレータ5は次いで、電解質セパレータ部分50を反対極性の両電極間に個々に挿入された状態でかつスタックの端部では片面電極3Mの上に残すだけであるように各電極の周囲で切り取られる(図4)。この切断するステップは、外科用メス、裁断機などの適切な切断手段によって達成されてもよい。
【0045】
セパレータとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリプロピレン(PP)またはポリエチレン(PE)でのセパレータが、提供されてもよい。電極間のイオン伝導を確保する電解質は、例えば炭酸塩または濃縮ポテンシャル(concentrate potential)で安定でありかつリチウム塩(例えばLiPF)の溶解を可能にする任意の他の化合物に基づく液体であってもよい。
【0046】
図4でより良く見えるように、電極を細長く切るためのステップの間に最初に作り出される電流コレクタのタブ10Lは、セパレータ5のスタックがない状態に残されたスタックの側面の1つで個々に延びる。この図4では、正電極30B、31B、32Bの電流コレクタのすべてのタブ10Lは、負電極30B、31B、3M、3Mの電流コレクタのタブ10Lが延びるエッジとは反対側のエッジで延びる。
【0047】
同じ極性のタブ10L、10Lは次いで、典型的には50μmから1mmの間に含まれる厚さより厚いタブ7、7に加えて、一緒に集められる。同じ極性のすべてのタブ10Lと7、10Lと7は次いで、一緒に溶接される(図5Aおよび図5B)。これらの溶接部は、超音波、電気溶接またはさらにレーザー溶接によって作製されてもよい。より厚いタブ7、7は、本発明によるLiイオン蓄電池の出力電気接続部または極板を形成する。
【0048】
本発明による蓄電池の極板7、7の別の代替実施形態は、図6Aで示され、極板はこの場合には、本発明による蓄電池Aの同じエッジの上に延びる。
【0049】
得られたLiイオン蓄電池は次いで、柔軟なまたは堅いタイプのパッケージに通例のようにシールでパッケージ化されてもよく、タブ7、7だけが、パッケージ8から外へ突出する極板を形成する(図6B)。
【0050】
今しがた述べられた本発明は有利には、電極のための材料および/または基本重量および/または空隙率が電極を任意の湾曲に沿って折り畳む可能性を厳密には与えない電極を使ってさえLiイオン蓄電池Aを組み立てる可能性を与え、このことは、電解質セパレータを手動で取り扱う必要がない、すなわちそれらを切り取りかつそれらを組み立てる必要がない。さらに、本発明による方法を用いると、連続ストリップとしての電解質セパレータは、電極を包むためにそれを巻き戻す間永続的に張力をかけた状態に維持することができ、そのことは、異なる構成要素間が良好に密着された状態でぎっしり詰めて積み重ねることを確実にする。
【0051】
しかしながら、他の実施形態が、本発明の範囲から逸脱することなく熟考されてもよい。例えば、例示されたLiイオン蓄電池が、3つの正両面電極、2つの負両面電極および2つの負片面電極を含む場合、同一の特徴を持つがしかし3つの負両面電極、2つの正両面電極および2つの正片面電極を持つ蓄電池を作ることを熟考することも、もちろん可能である。異なる容量、電圧およびエネルギー特性を持つ他の蓄電池を熟考することもまた、本発明によって可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 電流コレクタ
2 電極
3 電極
4 マンドレル
5 電解質セパレータストリップ
6 スリッタ−巻き取り機
3B 負両面電極
3B 正両面電極
3M 負片面電極
より厚いタブ
より厚いタブ
8 パッケージ
10 フレーム
10L タブ
10L タブ
10L タブ
20 正電極
21 負電極
30B 負両面電極
30B 正両面電極
31B 負両面電極
31B 正両面電極
32B 正両面電極
40 マンドレルのエッジ
41 マンドレルのエッジ
50 電解質セパレータ部分
A 蓄電池
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B