【0008】
(1)作業対象物に対して予め定められた作業を行う作業装置であって、
  装置本体と、
  前記作業を行う作業ヘッドと、
  その作業ヘッドと前記装置本体との間に設けられ、作業ヘッドに前記作業に必要な運動を付与する運動付与装置と、
  前記装置本体に支持され、前記作業の実行に必要な物を貯蔵する貯蔵装置と、
  前記運動付与装置により前記作業ヘッドに付与される運動の少なくとも一部を作業ヘッドと共に行う可動部に設けられ、前記作業ヘッドによる作業に必要な物を、前記貯蔵装置の貯蔵容量より少ないが作業ヘッドが複数回の作業を行うに足る量、一時的に貯蔵する一時貯蔵部と、
  その一時貯蔵部を前記貯蔵装置から切り離した状態で、その一時貯蔵部に貯蔵された物により前記作業ヘッドに前記作業を行わせるとともに、一時貯蔵部へ前記貯蔵装置から前記作業に必要な物の補給が可能な状態として補給を行わせる制御装置と
  を含むことを特徴とする作業装置。
  貯蔵装置は作業ヘッドより上方に設けられてもよく、下方に設けられてもよい。作業の実行に必要な物自体が固形物であるか流動物であるか、貯蔵装置から一時貯蔵部への供給形態、作業者等による貯蔵装置への供給の容易さ等を考慮して貯蔵装置の配設位置が決められるべきなのである。
(2)前記運動付与装置が、一平面内において互いに直交するX軸およびY軸の方向に移動可能であるとともに、その一平面に直角なZ軸方向に移動可能な可動部材を含み、その可動部材に前記一時貯蔵部に連なる第1接続部が設けられ、前記制御装置が、前記運動付与装置を制御することにより、前記第1接続部が前記貯蔵装置に連なる第2接続部に接続された接続状態と第2接続部から離間させられた離間状態とを生じさせる接続・離間制御部を含む(1)項に記載の作業装置。
  第1接続部は、X軸方向およびY軸方向の移動により第2接続部に対向させられ、Z軸方向の移動により第2接続部に対して接近、離間させられる。
(3)前記一時貯蔵部が、前記第1接続部が設けられた前記可動部材に設けられた(2)項に記載の作業装置。
(4)前記一時貯蔵部が、前記第1接続部が設けられた前記可動部材としての第1可動部材に対して相対的に移動可能な第2可動部材に設けられた(2)項に記載の作業装置。
(5)前記一時貯蔵部が可撓性を有するホースを介して前記第1接続部に接続された(4)項に記載の作業装置。
(6)前記作業の実行に必要な物が流動物である(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の作業装置。
  流動物には、例えば、接着剤,クリーム状はんだ,フラックス等の高粘性流体や洗浄液等の液体がある。
(7)前記作業の実行に必要な物が固形物である(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の作業装置。
(8)前記作業対象物が固形物であり、当該作業装置が、さらに、前記装置本体に支持され、前記作業ヘッドにより作業が行われた後の前記作業対象物と、作業が行われる前の作業対象物との交替に必要な動作を行う作業対象物交替関連装置を含み、かつ、
  前記制御装置が、前記貯蔵装置から前記一時貯蔵部への補給の少なくとも一部を、前記作業対象物交替関連装置による作業対象物の交替関連動作と並行して行わせる(1)項ないし (7)項のいずれかに記載の作業装置。
  作業対象物交替関連装置には、例えば、作業ヘッドによる作業領域へ作業対象物を搬入し、その作業領域から搬出する作業対象物搬送装置や、作業領域において作業対象物を保持する作業対象物保持装置や、作業対象物の位置を修正する位置修正装置が含まれる。交替関連動作時には作業ヘッドは作業を行わず、並行して補給を行うことにより、補給のための作業実行不可時間が低減され、一時貯蔵部を設けることによる作業能率向上効果を有効に享受することができる。次項に記載の作業装置では特に有効である。
(9)前記一時貯蔵部が、前記作業に必要な物を、少なくとも1つの作業対象物に対する作業に必要な量より多く貯蔵可能な容量を有し、前記制御装置が、前記貯蔵装置から前記一時貯蔵部への補給のすべてを、前記作業対象物交替関連装置による作業対象物の交替関連動作と並行して行わせる(8)項に記載の作業装置。
  補給のために作業が停止されることが回避される。
(10)前記作業ヘッドが複数の部材を雄ねじ部材の締付けによって組み付けるねじ締め作業ヘッドであり、前記固形物が前記雄ねじ部材である(7)項ないし(9)項のいずれかに記載の作業装置。
(11)前記作業ヘッドが、
  雄ねじ部材の頭部に係合する係合部を有する雄ねじ部材回転部材と、
  その雄ねじ部材回転部材を前進させて雄ねじ部材の頭部に係合させるとともに、回転させて雄ねじ部材の雄ねじ部を雌ねじ穴に螺合させる雄ねじ部材回転部材駆動装置と、
  前記一時貯蔵部から1個ずつ順次供給される雄ねじ部材をそれの頭部が前記雄ねじ部材回転部材に対向する状態で保持するとともに、その雄ねじ部材の前記雄ねじ部材回転部材の前進に伴う前進を許容する雄ねじ部材保持部と
  を含む(10)項に記載の作業装置。
(12)前記運動付与装置が、一平面内において互いに直交するX軸およびY軸の方向に移動可能であるとともに、その一平面に直角なZ軸方向に移動可能な可動部材を含み、その可動部材に前記一時貯蔵部に連なる第1接続部が設けられ、前記制御装置が、前記運動付与装置を制御することにより、前記第1接続部が前記貯蔵装置に連なる第2接続部に接続された接続状態と第2接続部から離間させられた離間状態とを生じさせる接続・離間制御部を含み、かつ、前記一時貯蔵部および前記作業ヘッドが、前記第1接続部が設けられた可動部材である第1可動部材に対してZ軸方向に相対移動可能な第2可動部材に設けられるとともに、前記運動付与装置が前記第2可動部材を前記第1可動部材に対してZ軸方向に相対移動させる第2可動部材移動装置を含む(11)項に記載の作業装置。
  作業時に作業ヘッドが第1接続部に対してZ軸方向に移動させられ、第1接続部が作業対象物と干渉することが回避される。第2可動部材が作業ヘッドのヘッド本体を構成し、一時貯蔵部が作業ヘッドに設けられていると考えることもできる。作業ヘッドと一時貯蔵部とが特に近く、作業の実行に必要な物の供給がより迅速に行われる。
  (12)項ないし(20)項の各々に記載の構成は、「雄ねじ部材」を「固形物」と読み替えて、雄ねじ部材以外の固形物に対しても採用可能である。
(13)前記一時貯蔵部が前記第2可動部材に前記雄ねじ部材保持部と共に移動可能に設けられ、その一部貯蔵部が、雄ねじ部材を複数個貯蔵するものであり、かつ、それら複数個の雄ねじ部材を1個ずつ順次前記雄ねじ部材保持部へ供給する個別供給装置を含む(12)項に記載の作業装置。
(14)前記貯蔵装置が、雄ねじ部材を1個ずつ間隔をあけて前記一時貯蔵部へ送出するさみだれ式送出装置を含む(12)項または(13)項に記載の作業装置。
(15)さらに、
  前記さみだれ式送出装置から1個ずつ間隔をあけて送られて来る雄ねじ部材の数をカウントするカウンタと、
  そのカウンタのカウント値が設定値に達したとき、前記さみだれ式送出装置に対して送出停止を指示する送出停止指示部と
  を含む(14)項に記載の作業装置。
(16)前記運動付与装置が、一平面内において互いに直交するX軸およびY軸の方向に移動可能であるとともに、その一平面に直角なZ軸方向に移動可能な可動部材を含み、その可動部材に前記一時貯蔵部に連なる第1接続部が設けられ、前記制御装置が、前記運動付与装置を制御することにより、前記第1接続部が前記貯蔵装置に連なる第2接続部に接続された接続状態と第2接続部から離間させられた離間状態とを生じさせる接続・離間制御部を含み、かつ、前記一時貯蔵部が、前記第1接続部が設けられた可動部材である第1可動部材に設けられ、前記作業ヘッドが前記第1可動部材に対してZ軸方向に相対移動可能な第2可動部材に設けられるとともに、前記運動付与装置が前記第2可動部材を前記第1可動部材に対してZ軸方向に相対移動させる第2可動部材移動装置を含む(11)項に記載の作業装置。
(17)前記貯蔵装置が、雄ねじ部材を複数個整列させるとともに、それら複数個の雄ねじ部材を一括して送出する一括送出装置を備える一方、前記一時貯蔵部が前記第1可動部材に、前記一括送出装置と対向し、その一括送出装置から一括して送出される複数個の雄ねじ部材を一括して受け入れ可能な状態で設けられ、かつ、その一括して受け入れた複数個の雄ねじ部材を1個ずつ順次前記雄ねじ部材保持部へ供給する個別供給装置を含む(16)項に記載の作業装置。
  一括送出により、複数個の雄ねじ部材の補給が一挙に、迅速に行われる。
(18)前記一括送出装置が、前記複数個の雄ねじ部材を一直線に沿って整列させるものであり、前記一時貯蔵装置がその一括送出装置に同軸に対向して前記複数個の雄ねじ部材を一直線上に整列した状態で一括して受け入れるものである(17)項に記載の作業装置。
  一括送出,一括受入れが特に容易となる。
(19)前記個別供給装置が、
  一列に並んだ複数個の雄ねじ部材の列の先頭側に互いに間隔をあけて配設され、それぞれ雄ねじ部材の前進を阻止する前進阻止位置と前進を許容する前進許容位置とに移動可能な2つの阻止部材であって、雄ねじ部材の進行方向における上流側の第1阻止部材および下流側の第2阻止部材と、
  一列に並んだ複数個の雄ねじ部材を前記第1阻止部材に向かう向きに付勢する付勢装置と、
  前記第1阻止部材と前記第2阻止部材との間に加圧したエアを噴出させるエア噴出部と、
  前記第1阻止部材および第2阻止部材を択一的に前進許容位置へ移動させる阻止部材駆動装置と
  を含む(13)項または(17)項に記載の作業装置。
(20)前記付勢装置が、一列に並んだ複数個の雄ねじ部材の後尾に前記エア噴出部からのエアの噴出により前記第1阻止部材と前記第2阻止部材との間の空間に作用するエア圧より高いエア圧を作用させるエア圧作用部を含む(19)項に記載の作業装置。
(21)前記一時貯蔵部が、
  流動物を収容する流動物収容室と、
  その流動物収容室の最下部に設けられた吐出口と、
  前記流動物収容室内の流動物を加圧して前記吐出口から所望量ずつ吐出させる加圧装置とを含む(6)項に記載の作業装置。
(22)さらに、前記吐出口に連なる吐出ノズルを含み、かつ、前記運動付与装置が、一平面内において互いに直交するX軸およびY軸の方向に移動可能であるとともに、その一平面に直角なZ軸方向に移動可能な可動部材を含み、その可動部材に前記一時貯蔵部に連なる第1接続部が設けられ、前記制御装置が、前記運動付与装置を制御することにより、前記第1接続部が前記貯蔵装置に連なる第2接続部に接続された接続状態と第2接続部から離間させられた離間状態とを生じさせる接続・離間制御部を含み、それら両接続部の離間状態において少なくとも前記X軸およびY軸方向の移動により前記吐出ノズルを作業対象物の所望部分に対向させ、所望量の流動物を吐出させる一方、前記両接続部の接続状態において前記貯蔵装置から前記一時貯蔵部へ流動物を補給させるものである(21)項に記載の作業装置。
  前記(2)項ないし(6)項,(8)項,(9)項およびそれらの項に関連する説明の各々に記載の事項や、(12)項,(16)項をはじめとする複数の項に記載の事項のうち雄ねじ部材をはじめとする固形物に特有の事項を除く事項は上記(21)項,(22)項に記載の作業装置にも適用可能である。