特許第6198743号(P6198743)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6198743
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】作業装置
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/06 20060101AFI20170911BHJP
   B23P 19/04 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   B23P19/06 A
   B23P19/04 F
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-538056(P2014-538056)
(86)(22)【出願日】2012年9月28日
(86)【国際出願番号】JP2012075216
(87)【国際公開番号】WO2014049863
(87)【国際公開日】20140403
【審査請求日】2015年8月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】富士機械製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000969
【氏名又は名称】特許業務法人中部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 正樹
【審査官】 大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−176776(JP,A)
【文献】 特許第4367666(JP,B2)
【文献】 特開平06−218637(JP,A)
【文献】 特開平10−146553(JP,A)
【文献】 特開2004−305881(JP,A)
【文献】 特開2003−110289(JP,A)
【文献】 特開2002−239433(JP,A)
【文献】 特開2004−237196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/06
B23P 19/04
B23P 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業対象物に対して雄ねじ部材の締付け作業を行う作業装置であって、
装置本体と、
前記締付け作業を行う作業ヘッドと、
スライドを有し、そのスライドを一平面内において互いに直交するX軸方向およびY軸方向に移動させるX軸方向移動装置およびY軸方向移動装置と、
前記スライドに保持されるとともに前記作業ヘッドを保持して、その作業ヘッドを、前記一平面に直角なZ軸方向に移動させるZ軸方向移動装置と、
前記装置本体に支持され、雄ねじ部材を貯蔵する貯蔵装置と、
雄ねじ部材を、前記貯蔵装置の貯蔵容量より少ないが前記作業ヘッドが複数回の前記締付け作業を行うに足る量、一時的に貯蔵し、前記作業ヘッドとともに前記Z軸方向移動装置によってZ軸方向に移動させられる一時貯蔵部と、
その一時貯蔵部を前記貯蔵装置から切り離した状態で、その一時貯蔵部に貯蔵された雄ねじ部材により前記作業ヘッドに前記締付け作業を行わせるとともに、その一時貯蔵部へ前記貯蔵装置から雄ねじ部材の補給が可能な状態として補給を行わせる制御装置と
を含み、
前記Z軸方向移動装置が、第1可動部材と、その第1可動部材をZ軸方向に移動させる第1可動部材移動装置と、第2可動部材と、前記第1可動部材上に設けられて前記第2可動部材を前記第1可動部材に対して相対的にZ軸方向に移動させる第2可動部材移動装置とを含み、
前記作業ヘッドと前記一時貯蔵部とが前記第2可動部材に相対移動不能に保持され、その一方で、前記一時貯蔵部の前記貯蔵装置への接続部が前記第1可動部材に設けられ、その接続部と前記一部貯蔵部とが、可撓性を有する接続部材によって接続され、
前記作業ヘッド,前記一時貯蔵部,前記Z軸方向移動装置がユニット化され、そのユニットが、前記スライドに対して着脱可能とされるとともに、締付け作業において用いられて雄ねじ部材の頭部に係合する係合部を有する雄ねじ部材回転部材の種類を異にする別の作業ヘッドがユニット化されたユニットと、吸着ノズルによって部品を保持する別の作業ヘッドがユニット化されたユニットとのいずれとも交換可能とされた作業装置。
【請求項2】
記貯蔵装置の前記一時貯蔵部への接続部の上方に前記一時貯蔵部の接続部が位置決めされてそれら接続部どうしが接続された状態で、雄ねじ部材が、前記貯蔵装置から前記一時貯貯蔵部に送出されてその一時貯蔵部へ補給されるように構成された請求項1に記載の作業装置。
【請求項3】
前記制御装置が、
前記X軸方向移動装置、前記Y軸方向移動装置および前記Z軸方向移動装置を制御することにより、前記貯蔵装置の接続部が前記一時貯蔵部の接続部に接続された接続状態と、前記一時貯蔵部の接続部から離間させられた離間状態とを生じさせる接続・離間制御部を含む請求項2に記載の作業装置。
【請求項4】
当該作業装置が、さらに、前記締付け作業が行われた後の作業対象物と、前記締付け作業が行われる前の作業対象物との交替に必要な動作を行う作業対象物交替関連装置を含み、
前記制御装置が、前記一時貯蔵部への補給の少なくとも一部を、前記作業対象物交替関連装置による作業対象物の交替関連動作と並行して行わせる請求項1ないし3のいずれかに記載の作業装置。
【請求項5】
前記作業ヘッドが、
前記雄ねじ部材回転部材を前進させて雄ねじ部材の頭部に係合させるとともに、回転させて雄ねじ部材の雄ねじ部を雌ねじ穴に螺合させる雄ねじ部材回転部材駆動装置と、
前記一時貯蔵部から1個ずつ順次供給される雄ねじ部材をそれの頭部が前記雄ねじ部材回転部材に対向する状態で保持するとともに、その雄ねじ部材の前記雄ねじ部材回転部材の前進に伴う前進を許容する雄ねじ部材保持部と
を含み、前記一時貯蔵部が雄ねじ部材を複数個貯蔵するものであり、かつ、それら複数個の雄ねじ部材を1個ずつ順次前記雄ねじ部材保持部へ供給する個別供給装置を含む請求項1ないし4のいずれかに記載の作業装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業装置に関するものであり、特に、作業に必要な物の補給に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、雄ねじ部材の締付けによる複数の部材の組付けを行う装置が記載されている。この装置において雄ねじ部材は、供給ユニットから加圧エアによりホース,中継ユニットおよびホースを経て1個ずつチャックユニットへ送られて保持され、ドライバビットの前進により締め付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−5949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の装置には、チャックユニットと供給ユニットとが常時ホース等の接続部材により接続されているため、チャックユニットが移動させられるものである場合には、接続部材により移動形態と移動可能範囲との少なくとも一方が制限される不利がある。移動可能範囲を広くしようとすればホースが長くなり、その長いホースが邪魔になるという別の問題が生じる。本発明の課題は、この問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の作業装置は、
作業対象物に対して雄ねじ部材の締付け作業を行う作業装置であって、
装置本体と、
前記締付け作業を行う作業ヘッドと、
スライドを有し、そのスライドを一平面内において互いに直交するX軸方向およびY軸方向に移動させるX軸方向移動装置およびY軸方向移動装置と、
前記スライドに保持されるとともに前記作業ヘッドを保持して、その作業ヘッドを、前記一平面に直角なZ軸方向に移動させるZ軸方向移動装置と、
前記装置本体に支持され、雄ねじ部材を貯蔵する貯蔵装置と、
雄ねじ部材を、前記貯蔵装置の貯蔵容量より少ないが前記作業ヘッドが複数回の前記締付け作業を行うに足る量、一時的に貯蔵し、前記作業ヘッドとともに前記Z軸方向移動装置によってZ軸方向に移動させられる一時貯蔵部と、
その一時貯蔵部を前記貯蔵装置から切り離した状態で、その一時貯蔵部に貯蔵された雄ねじ部材により前記作業ヘッドに前記締付け作業を行わせるとともに、その一時貯蔵部へ前記貯蔵装置から雄ねじ部材の補給が可能な状態として補給を行わせる制御装置と
を含み、
前記Z軸方向移動装置が、第1可動部材と、その第1可動部材をZ軸方向に移動させる第1可動部材移動装置と、第2可動部材と、前記第1可動部材上に設けられて前記第2可動部材を前記第1可動部材に対して相対的にZ軸方向に移動させる第2可動部材移動装置とを含み、
前記作業ヘッドと前記一時貯蔵部とが前記第2可動部材に相対移動不能に保持され、その一方で、前記一時貯蔵部の前記貯蔵装置への接続部が前記第1可動部材に設けられ、その接続部と前記一部貯蔵部とが、可撓性を有する接続部材によって接続され、
前記作業ヘッド,前記一時貯蔵部,前記Z軸方向移動装置とがユニット化され、そのユニットが、前記スライドに対して着脱可能とされるとともに、締付け作業において用いられて雄ねじ部材の頭部に係合する係合部を有する雄ねじ部材回転部材の種類を異にする別の作業ヘッドがユニット化されたユニットと、吸着ノズルによって部品を保持する別の作業ヘッドがユニット化されたユニットとのいずれとも交換可能とされたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
作業ヘッドは、自身とともに移動させられる一時貯蔵部により供給される雄ねじ部材を使用し、貯蔵装置から切り離された状態で作業を行うため、接続部材により作業ヘッドの移動形態や移動可能範囲が制限されることがない。しかも、一時貯蔵部に貯蔵される雄ねじ部材の量は貯蔵装置の貯蔵容量よりは少ないため、貯蔵装置自体を作業ヘッドと共に移動させる場合に比較して、移動させるべき質量が小さくて済み、かつ、一時貯蔵部には作業ヘッドが複数回の作業を行うに足る量が貯蔵されるため、一時貯蔵部への補給を頻繁に行う必要がない。
その上、一時貯蔵部の方が貯蔵装置より作業ヘッドの近くに配置し得るため、作業に必要なものが迅速に供給されて能率良く作業が行われる。
【発明の態様】
【0007】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。「請求可能発明」は、特許請求の範囲に記載の発明である「本発明」ないし「本願発明」のみならず、それの下位概念発明あるいは上位概念発明を含み得、別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施形態の記載,従来技術,技術常識等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0008】
(1)作業対象物に対して予め定められた作業を行う作業装置であって、
装置本体と、
前記作業を行う作業ヘッドと、
その作業ヘッドと前記装置本体との間に設けられ、作業ヘッドに前記作業に必要な運動を付与する運動付与装置と、
前記装置本体に支持され、前記作業の実行に必要な物を貯蔵する貯蔵装置と、
前記運動付与装置により前記作業ヘッドに付与される運動の少なくとも一部を作業ヘッドと共に行う可動部に設けられ、前記作業ヘッドによる作業に必要な物を、前記貯蔵装置の貯蔵容量より少ないが作業ヘッドが複数回の作業を行うに足る量、一時的に貯蔵する一時貯蔵部と、
その一時貯蔵部を前記貯蔵装置から切り離した状態で、その一時貯蔵部に貯蔵された物により前記作業ヘッドに前記作業を行わせるとともに、一時貯蔵部へ前記貯蔵装置から前記作業に必要な物の補給が可能な状態として補給を行わせる制御装置と
を含むことを特徴とする作業装置。
貯蔵装置は作業ヘッドより上方に設けられてもよく、下方に設けられてもよい。作業の実行に必要な物自体が固形物であるか流動物であるか、貯蔵装置から一時貯蔵部への供給形態、作業者等による貯蔵装置への供給の容易さ等を考慮して貯蔵装置の配設位置が決められるべきなのである。
(2)前記運動付与装置が、一平面内において互いに直交するX軸およびY軸の方向に移動可能であるとともに、その一平面に直角なZ軸方向に移動可能な可動部材を含み、その可動部材に前記一時貯蔵部に連なる第1接続部が設けられ、前記制御装置が、前記運動付与装置を制御することにより、前記第1接続部が前記貯蔵装置に連なる第2接続部に接続された接続状態と第2接続部から離間させられた離間状態とを生じさせる接続・離間制御部を含む(1)項に記載の作業装置。
第1接続部は、X軸方向およびY軸方向の移動により第2接続部に対向させられ、Z軸方向の移動により第2接続部に対して接近、離間させられる。
(3)前記一時貯蔵部が、前記第1接続部が設けられた前記可動部材に設けられた(2)項に記載の作業装置。
(4)前記一時貯蔵部が、前記第1接続部が設けられた前記可動部材としての第1可動部材に対して相対的に移動可能な第2可動部材に設けられた(2)項に記載の作業装置。
(5)前記一時貯蔵部が可撓性を有するホースを介して前記第1接続部に接続された(4)項に記載の作業装置。
(6)前記作業の実行に必要な物が流動物である(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の作業装置。
流動物には、例えば、接着剤,クリーム状はんだ,フラックス等の高粘性流体や洗浄液等の液体がある。
(7)前記作業の実行に必要な物が固形物である(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の作業装置。
(8)前記作業対象物が固形物であり、当該作業装置が、さらに、前記装置本体に支持され、前記作業ヘッドにより作業が行われた後の前記作業対象物と、作業が行われる前の作業対象物との交替に必要な動作を行う作業対象物交替関連装置を含み、かつ、
前記制御装置が、前記貯蔵装置から前記一時貯蔵部への補給の少なくとも一部を、前記作業対象物交替関連装置による作業対象物の交替関連動作と並行して行わせる(1)項ないし (7)項のいずれかに記載の作業装置。
作業対象物交替関連装置には、例えば、作業ヘッドによる作業領域へ作業対象物を搬入し、その作業領域から搬出する作業対象物搬送装置や、作業領域において作業対象物を保持する作業対象物保持装置や、作業対象物の位置を修正する位置修正装置が含まれる。交替関連動作時には作業ヘッドは作業を行わず、並行して補給を行うことにより、補給のための作業実行不可時間が低減され、一時貯蔵部を設けることによる作業能率向上効果を有効に享受することができる。次項に記載の作業装置では特に有効である。
(9)前記一時貯蔵部が、前記作業に必要な物を、少なくとも1つの作業対象物に対する作業に必要な量より多く貯蔵可能な容量を有し、前記制御装置が、前記貯蔵装置から前記一時貯蔵部への補給のすべてを、前記作業対象物交替関連装置による作業対象物の交替関連動作と並行して行わせる(8)項に記載の作業装置。
補給のために作業が停止されることが回避される。
(10)前記作業ヘッドが複数の部材を雄ねじ部材の締付けによって組み付けるねじ締め作業ヘッドであり、前記固形物が前記雄ねじ部材である(7)項ないし(9)項のいずれかに記載の作業装置。
(11)前記作業ヘッドが、
雄ねじ部材の頭部に係合する係合部を有する雄ねじ部材回転部材と、
その雄ねじ部材回転部材を前進させて雄ねじ部材の頭部に係合させるとともに、回転させて雄ねじ部材の雄ねじ部を雌ねじ穴に螺合させる雄ねじ部材回転部材駆動装置と、
前記一時貯蔵部から1個ずつ順次供給される雄ねじ部材をそれの頭部が前記雄ねじ部材回転部材に対向する状態で保持するとともに、その雄ねじ部材の前記雄ねじ部材回転部材の前進に伴う前進を許容する雄ねじ部材保持部と
を含む(10)項に記載の作業装置。
(12)前記運動付与装置が、一平面内において互いに直交するX軸およびY軸の方向に移動可能であるとともに、その一平面に直角なZ軸方向に移動可能な可動部材を含み、その可動部材に前記一時貯蔵部に連なる第1接続部が設けられ、前記制御装置が、前記運動付与装置を制御することにより、前記第1接続部が前記貯蔵装置に連なる第2接続部に接続された接続状態と第2接続部から離間させられた離間状態とを生じさせる接続・離間制御部を含み、かつ、前記一時貯蔵部および前記作業ヘッドが、前記第1接続部が設けられた可動部材である第1可動部材に対してZ軸方向に相対移動可能な第2可動部材に設けられるとともに、前記運動付与装置が前記第2可動部材を前記第1可動部材に対してZ軸方向に相対移動させる第2可動部材移動装置を含む(11)項に記載の作業装置。
作業時に作業ヘッドが第1接続部に対してZ軸方向に移動させられ、第1接続部が作業対象物と干渉することが回避される。第2可動部材が作業ヘッドのヘッド本体を構成し、一時貯蔵部が作業ヘッドに設けられていると考えることもできる。作業ヘッドと一時貯蔵部とが特に近く、作業の実行に必要な物の供給がより迅速に行われる。
(12)項ないし(20)項の各々に記載の構成は、「雄ねじ部材」を「固形物」と読み替えて、雄ねじ部材以外の固形物に対しても採用可能である。
(13)前記一時貯蔵部が前記第2可動部材に前記雄ねじ部材保持部と共に移動可能に設けられ、その一部貯蔵部が、雄ねじ部材を複数個貯蔵するものであり、かつ、それら複数個の雄ねじ部材を1個ずつ順次前記雄ねじ部材保持部へ供給する個別供給装置を含む(12)項に記載の作業装置。
(14)前記貯蔵装置が、雄ねじ部材を1個ずつ間隔をあけて前記一時貯蔵部へ送出するさみだれ式送出装置を含む(12)項または(13)項に記載の作業装置。
(15)さらに、
前記さみだれ式送出装置から1個ずつ間隔をあけて送られて来る雄ねじ部材の数をカウントするカウンタと、
そのカウンタのカウント値が設定値に達したとき、前記さみだれ式送出装置に対して送出停止を指示する送出停止指示部と
を含む(14)項に記載の作業装置。
(16)前記運動付与装置が、一平面内において互いに直交するX軸およびY軸の方向に移動可能であるとともに、その一平面に直角なZ軸方向に移動可能な可動部材を含み、その可動部材に前記一時貯蔵部に連なる第1接続部が設けられ、前記制御装置が、前記運動付与装置を制御することにより、前記第1接続部が前記貯蔵装置に連なる第2接続部に接続された接続状態と第2接続部から離間させられた離間状態とを生じさせる接続・離間制御部を含み、かつ、前記一時貯蔵部が、前記第1接続部が設けられた可動部材である第1可動部材に設けられ、前記作業ヘッドが前記第1可動部材に対してZ軸方向に相対移動可能な第2可動部材に設けられるとともに、前記運動付与装置が前記第2可動部材を前記第1可動部材に対してZ軸方向に相対移動させる第2可動部材移動装置を含む(11)項に記載の作業装置。
(17)前記貯蔵装置が、雄ねじ部材を複数個整列させるとともに、それら複数個の雄ねじ部材を一括して送出する一括送出装置を備える一方、前記一時貯蔵部が前記第1可動部材に、前記一括送出装置と対向し、その一括送出装置から一括して送出される複数個の雄ねじ部材を一括して受け入れ可能な状態で設けられ、かつ、その一括して受け入れた複数個の雄ねじ部材を1個ずつ順次前記雄ねじ部材保持部へ供給する個別供給装置を含む(16)項に記載の作業装置。
一括送出により、複数個の雄ねじ部材の補給が一挙に、迅速に行われる。
(18)前記一括送出装置が、前記複数個の雄ねじ部材を一直線に沿って整列させるものであり、前記一時貯蔵装置がその一括送出装置に同軸に対向して前記複数個の雄ねじ部材を一直線上に整列した状態で一括して受け入れるものである(17)項に記載の作業装置。
一括送出,一括受入れが特に容易となる。
(19)前記個別供給装置が、
一列に並んだ複数個の雄ねじ部材の列の先頭側に互いに間隔をあけて配設され、それぞれ雄ねじ部材の前進を阻止する前進阻止位置と前進を許容する前進許容位置とに移動可能な2つの阻止部材であって、雄ねじ部材の進行方向における上流側の第1阻止部材および下流側の第2阻止部材と、
一列に並んだ複数個の雄ねじ部材を前記第1阻止部材に向かう向きに付勢する付勢装置と、
前記第1阻止部材と前記第2阻止部材との間に加圧したエアを噴出させるエア噴出部と、
前記第1阻止部材および第2阻止部材を択一的に前進許容位置へ移動させる阻止部材駆動装置と
を含む(13)項または(17)項に記載の作業装置。
(20)前記付勢装置が、一列に並んだ複数個の雄ねじ部材の後尾に前記エア噴出部からのエアの噴出により前記第1阻止部材と前記第2阻止部材との間の空間に作用するエア圧より高いエア圧を作用させるエア圧作用部を含む(19)項に記載の作業装置。
(21)前記一時貯蔵部が、
流動物を収容する流動物収容室と、
その流動物収容室の最下部に設けられた吐出口と、
前記流動物収容室内の流動物を加圧して前記吐出口から所望量ずつ吐出させる加圧装置とを含む(6)項に記載の作業装置。
(22)さらに、前記吐出口に連なる吐出ノズルを含み、かつ、前記運動付与装置が、一平面内において互いに直交するX軸およびY軸の方向に移動可能であるとともに、その一平面に直角なZ軸方向に移動可能な可動部材を含み、その可動部材に前記一時貯蔵部に連なる第1接続部が設けられ、前記制御装置が、前記運動付与装置を制御することにより、前記第1接続部が前記貯蔵装置に連なる第2接続部に接続された接続状態と第2接続部から離間させられた離間状態とを生じさせる接続・離間制御部を含み、それら両接続部の離間状態において少なくとも前記X軸およびY軸方向の移動により前記吐出ノズルを作業対象物の所望部分に対向させ、所望量の流動物を吐出させる一方、前記両接続部の接続状態において前記貯蔵装置から前記一時貯蔵部へ流動物を補給させるものである(21)項に記載の作業装置。
前記(2)項ないし(6)項,(8)項,(9)項およびそれらの項に関連する説明の各々に記載の事項や、(12)項,(16)項をはじめとする複数の項に記載の事項のうち雄ねじ部材をはじめとする固形物に特有の事項を除く事項は上記(21)項,(22)項に記載の作業装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】請求可能発明の一実施形態である組付装置を概略的に示す平面図である。
図2】上記組付装置において組み付けられるメイン回路基板およびサブ回路基板を概略的に示す平面図である。
図3】上記組付装置のヘッド移動装置等を示す側面図である。
図4】上記ねじ締め作業ヘッドおよび一時貯蔵装置を示す正面図(一部断面)である。
図5】上記一時貯蔵装置の個別供給装置のシャッタを示す平面図である。
図6】上記個別供給装置の係合板を示す平面図である。
図7】上記組付装置の一時貯蔵装置への雄ねじ部材の補給を説明する図である。
図8】別の実施形態である組付装置を示す側面図である。
図9図8に示す組付装置のねじ締め作業ヘッドおよび一時貯蔵装置等を示す平面図である。
図10】上記ねじ締め作業ヘッドを示す正面図(一部断面)である。
図11】上記一時貯蔵装置等を示す正面図(一部断面)である。
図12】上記ねじ締め作業ヘッドの雄ねじ部材保持部に設けられたセンサ等を示す底面図である。
図13】上記一時貯蔵装置の個別供給装置の係合板を示す平面図である。
図14】上記一時貯蔵装置の押上装置の押上部材および雄ねじ部材供給ユニットの押上装置の押上部材を示す平面図である。
図15】上記一時貯蔵装置に貯蔵された雄ねじ部材の最後の1個が上昇させられた状態を示す正面図(一部断面)である。
図16】上記一時貯蔵装置への雄ねじ部材の補給を説明する図である。
図17】さらに別の実施形態である塗布装置を概略的に示す正面図(一部断面)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、請求可能発明のいくつかの実施形態を、図を参照しつつ説明する。なお、請求可能発明は、下記実施形態の他、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【0011】
図1には、請求可能発明の一実施形態である作業装置たる組付装置が図示されている。本組付装置においては、図2に示すように、例えば、作業対象物としての第1部材たるメイン回路基板10(以後、メイン基板10と略称する)に、別の部材である第2部材としてのサブ回路基板(以後、サブ基板12と略称する)12が、少なくとも1つ、ここでは複数、例えば、4個の雄ねじ部材14により組み付けられる。雄ねじ部材14は、図4に示すように、頭部16および雄ねじ部18を有し、頭部18にはプラス溝状の被係合部20が設けられ、サブ基板12の貫通穴22を通ってメイン基板10の雌ねじ穴(図示省略)に螺合される。1個の雄ねじ部材14の締付けが1作業であり、メイン基板10に対して必要な作業は複数作業、ここでは4作業である。
【0012】
本組付装置は、図1に示すように、装置本体30,ねじ締め作業ヘッド32,運動付与装置としてのヘッド移動装置34,それぞれ貯蔵装置たる複数の雄ねじ部材供給ユニット36(以後、供給ユニット36と略称する),一時貯蔵装置38,作業対象物搬送装置たる基板搬送装置40,作業対象物保持装置たる基板保持装置42および制御装置44を含む。
【0013】
基板搬送装置40は、メイン基板10を水平な一方向に搬送する。基板保持装置42は基板搬送装置40の途中に設けられ、所定の組付位置に停止させられたメイン基板10を水平方向に位置決めして保持する。本実施形態においては、基板搬送装置40によるメイン基板10の搬送方向に平行な方向をX軸方向、基板保持装置42に保持されたメイン基板10の被組付面に平行な一平面である水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、上記一平面に直角な方向であって鉛直方向をZ軸方向とする。
【0014】
供給ユニット36は装置本体30に設けられ、貯蔵室に貯蔵された多数の雄ねじ部材14を1個ずつ、エアにより圧送し、接続部50(図3参照)から間隔をあけて送り出すさみだれ式送出装置(図示省略)を含む。複数の供給ユニット36が供給する各雄ねじ部材14の種類は同じものとされているが、異ならせてもよい。この種の供給ユニットは既に知られており、詳細な図示および説明は省略する。
【0015】
ヘッド移動装置34は、図1に示すように、X軸方向移動装置70,Y軸方向移動装置72,Z軸方向移動装置74を含む。Y軸方向移動装置72は、Y軸スライド80およびY軸スライド移動装置82を含み、X軸方向移動装置70はY軸スライド80上に設けられ、X軸スライド84およびX軸スライド移動装置86を含む。
【0016】
Z軸方向移動装置74は、図3に示すようにX軸スライド84上に設けられ、本体98,第1可動部材たる第1Z軸スライド100,第1可動部材移動装置たる第1Z軸スライド移動装置102,第2可動部材たる第2Z軸スライド104,第2可動部材移動装置たる第2Z軸スライド移動装置106を含む。第1Z軸スライド移動装置102は流体圧アクチュエータの一種であるエアシリンダ110を駆動源とし、第1Z軸スライド100は上昇端位置と下降端位置とに移動させられる。第2Z軸スライド移動装置106は第1Z軸スライド100上に設けられ、駆動源たる電動モータ120,送りねじ122,ナット124を含み、第2Z軸スライド104は第1Z軸スライド100に対して相対的にZ軸方向の任意の位置へ移動させられる。
【0017】
図4に示すように、第2Z軸スライド104にねじ締め作業ヘッド32および一時貯蔵装置38が相対移動不能に保持されている。ねじ締め作業ヘッド32および一時貯蔵装置38については下方を前方、上方を後方とする。ねじ締め作業ヘッド32は雄ねじ部材回転部材たるドライバビット150,雄ねじ部材回転部材駆動装置たるドライバビット駆動装置152および雄ねじ部材保持部154を含む。ドライバビット150は雄ねじ部材14の頭部16の被係合部20に係合する係合部156を備え、ドライバビット駆動装置152により回転させられるとともに軸方向に進退させられる。
【0018】
雄ねじ部材保持部154は、円筒状の本体部160と一対の保持体162とを含む。本体部160は、後退端位置ないし非作動位置にあるドライバビット150より下方へ突出させられ、それぞれ板状を成す一対の保持体162は、本体部160の突出端部の直径方向に隔たった2個所にそれぞれ、弾性材料製、例えば合成樹脂製の接続部材164により、互いに平行な水平軸線まわりに回動可能に取り付けられている。一対の保持体162は、本体部160から下方へ延び出させられるとともに、下方ほど互いに接近する向きに傾斜させられ、一対の保持体162の各下端部が最も接近した保持位置において、雄ねじ部材14の頭部16に下方から係合し、雄ねじ部材14をそれの頭部16がドライバビット150に対向する状態で保持する。なお、保持体162は軸により本体部160に回動可能に取り付け、スプリングおよびストッパにより保持位置に位置させるようにしてもよい。
【0019】
一時貯蔵装置38は、図4に示すように、貯蔵部材たる貯蔵器170および個別供給装置172を含み、一時貯蔵部を構成し、雄ねじ部材保持部154と共に移動可能である。貯蔵器170内には、横断面形状が円形を成し、上下方向に貫通する雄ねじ貯蔵路174(以後、貯蔵路174と略称する)が設けられている。雄ねじ部材14の雄ねじ部18の先端および頭部16の頂面はそれぞれ平面状を成し、隣接する2個の雄ねじ部材14の一方の雄ねじ部18の、他方の雄ねじ部材14の頭部16に対する当接により、貯蔵路174には複数の雄ねじ部材14が上下方向に一列に並んだ姿勢で収容される。貯蔵路174は、供給ユニット36の貯蔵室における雄ねじ部材14の最大収容数(収容容量)より少ないが、少なくとも1枚、本実施形態においては複数枚のメイン基板10に対してサブ基板12の固定を行うことができる数、収容可能な長さを有する。
【0020】
貯蔵器170の上端部には、開閉部材たるシャッタ180が設けられている。シャッタ180には、図5に示すように、貯蔵路174の直径と同じ直径の開口182が形成され、開閉部材駆動装置たるエアシリンダ184により、開口182が貯蔵路174から外れ、貯蔵路174を閉じる閉位置と、開口182の位置が貯蔵路174と一致し、貯蔵路174を上方に開く開位置とに移動させられる。
【0021】
貯蔵器170の先端部である下端部には、第1阻止部材たる係合板190および第2阻止部材たるシャッタ192が設けられている。係合板190は、図6に示すように、貯蔵路174の直径と同じ直径の開口194と、開口194から延び出させられ、雄ねじ部材14の雄ねじ部18の直径よりやや大きい幅の切欠196とが設けられている。係合板190はエアシリンダ198により、切欠196が貯蔵路174内に位置し、雄ねじ部18が嵌入させられるとともに、切欠196を画定する部分が頭部16に係合して雄ねじ部材14の前進を阻止する前進阻止位置と、開口194が貯蔵路174と一致し、雄ねじ部材14の前進を許容する前進許容位置とに移動させられる。
【0022】
シャッタ192は、前記シャッタ180と同様に構成され、図4に示すように、雄ねじ部材14の貯蔵路174内における進行方向、本実施形態においては上から下へ向かう方向において係合板190の下流側に設けられ、エアシリンダ200により、開口202が貯蔵路174から外れて雄ねじ部材14の前進を阻止する前進阻止位置と、開口202が貯蔵路174と一致して雄ねじ部材14の前進を許容する前進許容位置とに移動させられる。本実施形態においてはエアシリンダ198,200が阻止部材駆動装置を構成している。係合板190,シャッタ192が前進阻止位置に位置する状態では、貯蔵路174内の先頭の雄ねじ部材14が係合板190,シャッタ192間に位置し、係合板190により前進を阻止された2個目以降の雄ねじ部材14から切り離された状態とされる。
【0023】
貯蔵路174の係合板190,シャッタ192の間の部分には、図4に示すようにポート208が設けられてエア噴出部を構成し、加圧したエアを噴出させる。また、貯蔵路174のシャッタ180が設けられた部分の下側にはポート210が設けられてエア圧作用部を構成し、貯蔵路174に一列に並んで収容された複数個の雄ねじ部材14の後尾に、係合板190,シャッタ192の間の空間に作用するエア圧より高いエア圧を作用させ、係合板190に向かう向きに付勢するようにされている。この高圧エアはシャッタ180が閉位置にある間は常時作用させられ、複数の雄ねじ部材14が貯蔵路174内で弾んだりすることが回避されるとともに、係合板190が開かれれば下方へ押し下げられる。
【0024】
また、貯蔵器170の上端部には、図4に示すように、シャッタ180より下側の部分にセンサ220が設けられている。センサ220は、例えば、反射型あるいは透過型の光電センサ,静電容量式センサ,誘導型センサ等、非接触センサにより構成される。センサ220は、本実施形態においては、雄ねじ部材14を検出する状態ではON信号を出力し、検出しない状態ではOFF信号を出力するように構成されている。貯蔵器170の係合板190とシャッタ192との間の部分にはセンサ222が設けられ、それらの間における前記先頭の雄ねじ部材14の有無を検出するようにされている。センサ222は、本実施形態においては、センサ220と同様に、非接触センサにより構成されている。
【0025】
貯蔵路174の下端は、接続部材たるパイプ230により、雄ねじ部材保持部154の本体部160の、後退端位置に位置するドライバビット150と保持体162との間の部分に接続されている。
【0026】
前記第1Z軸スライド100には、図3に示すように上下方向に貫通して通路240が形成されている。通路240は横断面形状が円形を成し、その下端部には接続部242が設けられ、上端部は接続部材たる可撓性を有するホース244によって貯蔵路174の上端に接続されている。なお、本実施形態においてはねじ締め作業ヘッド32および一時貯蔵装置38はZ軸方向移動装置74と共にユニット化され、X軸スライド84に対して着脱可能とされており、ドライバビット150の種類を異にする別のユニットや、雄ねじ部材14の締付けとは異なる作業を行う作業ヘッドを備えたユニット、例えば、電子回路部品を負圧により吸着する吸着ノズルを含む部品保持ヘッドを備えたユニット等と交換可能とされている。
【0027】
前記制御装置44は、図1に示すようにコンピュータ250を主体として構成され、ヘッド移動装置34,供給ユニット36,基板搬送装置40等、組付装置を構成する各種装置の駆動源等を制御する。コンピュータ250には前記センサ220,222等の出力信号等が入力される。
【0028】
以上のように構成された組付装置には、サブ基板12が位置決めされた状態で載せられたメイン基板10が基板搬送装置40により搬入され、組付位置において停止後、基板保持装置42により位置決めされて保持される。その状態でねじ締め作業ヘッド32および一時貯蔵装置38が水平方向に移動させられ、ドライバビット150がサブ基板12の貫通穴22の上方へ移動させられる。ねじ締め作業時には、接続部242が接続部50から離間させられている。そして、第2Z軸スライド104が第1Z軸スライド100に対して下降させられ、ねじ締め作業ヘッド32が貫通穴22に接近させられ、所定距離、上方に位置させられる。
【0029】
この状態でドライバビット150が回転させられつつ下降させられ、係合部156が、保持体162に保持された雄ねじ部材14の被係合部20に係合し、雄ねじ部材14を回転させつつ下降させ、サブ基板12の貫通穴22を通ってメイン基板10の雌ねじ穴に螺合させる。一対の保持体162は、接続部材164の弾性変形により互いに離間する向きに回動して雄ねじ部材14の下降を許容し、雄ねじ部材14は保持体162から外れて雌ねじ穴に螺合される。保持体162は接続部材164の弾性復元力により、雄ねじ部材14を受ける保持位置へ戻される。
【0030】
雄ねじ部材14の締付け後、ドライバビット150が非駆動位置へ後退させられるとともに、ねじ締め作業ヘッド32が第2Z軸スライド104の上昇により上昇させられ、ヘッド移動装置34により一時貯蔵装置38と共に水平方向に移動させられて次の締付け位置へ移動させられる。ねじ締め作業ヘッド32がねじ締め動作を行う領域がねじ締め作業ヘッド32による作業領域である。ねじ締め作業ヘッド32の移動の間にシャッタ192が前進許容位置へ移動させられるとともに、係合板190,シャッタ192間にエアが供給され、先頭の雄ねじ部材14のみがパイプ230を通って雄ねじ部材保持部154へ送られ、保持体162に保持される。そして、シャッタ192が前進阻止位置へ移動させられた後、係合板190が前進許容位置へ移動させられ、貯蔵路174内の雄ねじ部材14が前進させられ、シャッタ192により受けられる。その状態で係合板190が前進阻止位置へ移動させられる。この移動は切欠196に雄ねじ部18が嵌入することにより許容される。なお、係合板190が前進許容位置へ移動させられて雄ねじ部材14が前進させられたはずであるにもかかわらず、センサ222の検出信号がOFFであれば、コンピュータ250により表示装置等の報知装置を用いて異常の発生が報知される。シャッタ192が開かれて雄ねじ部材14が雄ねじ部材保持部154へ送られたはずであるにもかかわらず、センサ222の検出信号がONである場合にも異常の発生が報知される。また、組付装置の組付動作が禁止される。
【0031】
コンピュータ250においてカウンタにより、使用された雄ねじ部材14の数がカウントされ、貯蔵器170における雄ねじ部材14の残数が取得される。残数は、供給ユニット36から貯蔵器170への雄ねじ部材14の供給直後において貯蔵器170に貯蔵されている雄ねじ部材14の総数(この数を貯蔵初期数と称する)から使用数を引くことにより得られる。
【0032】
貯蔵初期数は、本実施形態においては、1枚のメイン基板10に対するサブ基板12の組付けに必要な数、ここでは4個より多く、少なくとも1枚、本実施形態においては複数枚のメイン基板10についてサブ基板12の組付けが丁度可能な数(4の倍数)であり、かつ、供給ユニット36から貯蔵器170への雄ねじ部材14の供給が、基板保持装置42によるメイン基板10の保持解放,基板搬送装置40によるメイン基板10の搬出,次にサブ基板12の固定が行われるメイン基板10の搬入,保持が行われる間に終了する数であり、貯蔵路174内に収容可能な数とされている。この収容可能数は、本実施形態では、シャッタ180による貯蔵路174の開閉を妨げず、センサ220には到達しない数である。
【0033】
供給ユニット36による雄ねじ部材14の補給は、本実施形態においては、メイン基板10についてサブ基板12の固定が終了した時点における残数が設定数以下になった場合、例えば、1枚のメイン基板10についての全部のサブ基板12の固定に必要な数より少なく、1枚のメイン基板10に予定された全部の作業の完了が不可能となったときに行われる。本実施形態では、前述のように貯蔵初期数が複数枚のメイン基板10についての組付けが丁度可能な数とされているため、設定数は0であり、補給は、残数0の状態で、すべてがメイン基板10の保持解放,搬出,搬入,保持と並行して行われることとなる。なお、残数が1になり、最後の雄ねじ部材14が雄ねじ部材保持部154へ送られた状態ではセンサ222がOFF信号を発するが、これは異常ではなく、無視される。
【0034】
補給時には一時貯蔵装置38はヘッド移動装置34により複数の供給ユニット36のうちの1つへ移動させられ、接続部242が接続部50上に位置させられるとともに、第1Z軸スライド100の下降により下降させられ、図7に示すように接続部50に接続される。その状態で供給ユニット36から雄ねじ部材14が1個ずつ送り出される。この際、シャッタ180は開位置に、係合板190は前進許容位置に、シャッタ192は前進阻止位置にそれぞれ位置させられており、雄ねじ部材14は接続部50,242,通路240,ホース244を通って貯蔵路174内に進入し、上下に一列に並んだ状態で貯蔵される。
【0035】
雄ねじ部材14が貯蔵路174内に進入する毎にセンサ220の信号がOFFからONに変わり、さらにONからOFFに変わることにより、進入した雄ねじ部材14の数がコンピュータ250においてカウントされる。カウント値が設定値になれば、コンピュータ250により、供給ユニット36のさみだれ式送出装置に対して送出停止が指示される。この設定値は、指示出力から実際に送出が停止されるまでの遅れを考慮し、供給ユニット36から貯蔵器170への補給が予定された雄ねじ部材14の数(ここでは貯蔵初期数に等しい数)より少なく、補給予定数の雄ねじ部材14の最後のものが送り出された状態で送出が停止される数に設定されている。
【0036】
送出停止後、第1Z軸スライド100が上昇させられ、接続部242が接続部50から切り離される。また、最後の雄ねじ部材14の貯蔵路174内への進入がカウントされたならばシャッタ180が閉位置へ移動させられ、係合板190が前進阻止位置へ移動させられる。続いてシャッタ192の前進許容位置への移動により先頭の雄ねじ部材14が雄ねじ部材保持部154へ送られ、組付けが再開される。本組付装置においては、一時貯蔵装置38およびねじ締め作業ヘッド32が第2Z軸スライド104に設けられているため、ねじ締め作業ヘッド32と一時貯蔵装置38とが特に近く、一時貯蔵装置38からねじ締め作業ヘッド32への雄ねじ部材14の供給がより迅速に行われる。また、供給ユニット36は複数あり、そのうちの1つについて貯蔵室への雄ねじ部材14の補給が行われる場合でも、別の供給ユニット36により一時貯蔵装置38に対して雄ねじ部材14を供給することができ、組付け作業の中断が回避される。
【0037】
別の実施形態を説明する。なお、上記実施形態の組付装置の構成要素と同じ作用を成す部分については同じ符号を付して対応関係を示し、説明を省略する。
本組付装置においては、図8に示すように、第1Z軸スライド300に一時貯蔵装置302が設けられて一時貯蔵部を構成し、第2Z軸スライド304にねじ締め作業ヘッド306が設けられている。なお、本第1Z軸スライド300は、図9に示すように複数の部材により構成されている。一時貯蔵装置302は、図11に示すように、貯蔵器310および個別供給装置312を含み、貯蔵器310を上下方向に貫通して設けられた雄ねじ部材貯蔵路314の上端部はホース316によってねじ締め作業ヘッド306の雄ねじ部材保持部154の本体部160に接続されている(図11参照)。本実施形態においては、上下方向において上方を前方、下方を後方とする。雄ねじ部材保持部154の本体部160の下端部には、図12に示すようにセンサ318が設けられている。センサ318は、例えば、前記センサ220,222と同様に非接触センサにより構成され、保持体162に雄ねじ部材14が保持されているか否かを検出し、保持されているべきときに保持されていなければ、センサ318の検出信号に基づいて報知等が行われる。
【0038】
図11に示すように、貯蔵器310の上端部に第2阻止部材たるシャッタ330が設けられ、エアシリンダ332により、貯蔵路314を閉じる前進阻止位置と、開口334が貯蔵路314と一致して貯蔵路314を開く前進許容位置とに移動させられる。貯蔵器310にはまた、貯蔵路314内における雄ねじ部材14の進行方向、本実施形態においては下から上に向かう方向においてシャッタ330より上流側の部分に第1阻止部材たる係合板336が設けられている。係合板336はエアシリンダ338により、図13に示すように、開口340が貯蔵路314から外れ、切欠342が貯蔵路314内に位置する前進阻止位置と、図16に示すように、開口340が貯蔵路314と一致する前進許容位置とに移動させられる。係合板336内には、図13に示すようにエア通路344が一対形成され、係合板336の切欠342を画定する部分に上向きに開口させられて、シャッタ330と係合板336との間に加圧したエアを噴出させるエア噴出部を構成し、雄ねじ部材14の頭部16に、その下側から上向きに加圧エアを作用させ、ホース316へ送り出す。さらに、貯蔵器310のシャッタ330と係合板336との間の部分にセンサ348が設けられ、前記センサ222と同様に機能させられる。
【0039】
貯蔵路314内に上下に一列に並び、一直線上に整列した状態で収容された雄ねじ部材14は、図11に示す押上装置360により押し上げられる。押上装置360は、本実施形態においては、押上部材362および押上部材駆動装置364を含み、付勢装置を構成している。押上部材362は、図14に示すように、貯蔵路314の直径より小さい幅の板状を成し、先端部に突部状の押上部366を備え、貯蔵器310に上下方向に設けられた切欠368内に位置させられて、上下方向に移動可能とされている。押上部材駆動装置364は、図11に示すように、エアシリンダ370,プーリ372,ワイヤ374を含み、ピストンロッド376の伸縮によるワイヤ374の移動により、押上部材362が昇降させられる。押上装置360は、図9に示すエアシリンダ378を駆動源とする押上装置移動装置380により水平方向に移動させられて貯蔵器310に接近,離間させられ、押上部材362が、押上部366が貯蔵路314内に位置する押上位置と、貯蔵路314から退避させられた退避位置とに移動させられる。
【0040】
本組付装置の雄ねじ部材供給ユニット400は、図16に示すように、一括送出装置402および接続部404を備えている。一括送出装置402は、押上装置408含む。押上装置408は押上部材410および押上部材駆動装置412を含む。押上部材410は、図14に示すように平面視の形状がコの字形を成し、一対の押上部414が整列路415内に位置させられ、下降端位置に位置する押上部材410の押上部414上に、複数個の雄ねじ部材14がZ軸方向に平行な一直線に沿って整列させられる。押上部材駆動装置412は押上部材駆動装置364と同様に構成されている。接続部404には、図16に示すように、整列路415に続く送出口416および押上部414のZ軸方向の移動を許容する一対の切欠418が設けられている。なお、接続部404は、その一部が、送出口416および一対の切欠418の一方において断面にされて図示されている。
【0041】
貯蔵器310の下端部には、図11に示すように、下面および側面に開口し、貯蔵路314と直交する一対の切欠420が設けられ、図14に示すように、一対の押上部414が押上部材362と干渉することなく、貯蔵路314内に進入することが許容されるようにされている。貯蔵器310の下端部が接続部422を構成している。なお、図11等においては、貯蔵器310が切欠368および一対の切欠420の一方において断面にされて図示されている。
【0042】
本組付装置においては、シャッタ330,係合板336が択一的に前進許容位置へ移動させられ、シャッタ330,係合板336間の先頭の雄ねじ部材14が加圧エアの噴出によりホース316を通ってねじ締め作業ヘッド306の雄ねじ部材保持部154へ送られることと、押上部材362が上昇して雄ねじ部材14を押し上げることとが行われる。貯蔵路314内の最後尾の雄ねじ部材14は、図15に示すように、押上部366によってシャッタ330に当接させられるが、係合板336は切欠342により押上部366との干渉を回避されて前進阻止位置へ移動させられ、エア通路344から加圧エアを噴出し、最後の雄ねじ部材14を送り出す。最後の雄ねじ部材14が送り出されれば、図16に示すように押上部材362が下降端位置へ下降させられるとともに、退避位置へ移動させられ、押上部366が貯蔵路314から抜け出させられる。また、シャッタ330が前進阻止位置、係合板336が前進許容位置へ移動させられる。
【0043】
雄ねじ部材14の補給時には、ヘッド移動装置34により一時貯蔵装置302が供給ユニット400へ移動させられ、貯蔵路314が整列路415に同軸に対向させられるとともに下降させられ、図16に示すように接続部422が接続部404に接続される。その状態で供給ユニット400の押上部材410が上昇させられ、整列路415内に整列させられた複数の雄ねじ部材14を押し上げ、上下に一列に整列したままの姿勢で貯蔵路314内へ送り込む。図16に示すように、押上部材410は切欠420内に進入して貯蔵器310内に入り、複数の雄ねじ部材14は一括して貯蔵器310により受け入れられ、先頭の雄ねじ部材14がシャッタ330に当接させられる。その状態で押上部材362が押上位置へ移動させられ、押上部366が一対の押上部414の間へ進入させられ、雄ねじ部材14を押上可能な状態となる。その状態で押上部材410が下降させられて貯蔵器310から抜け出させられ、供給ユニット400へ戻される。また、図11に示すように、係合板336が前進阻止位置へ移動させられ、先頭の雄ねじ部材14がねじ締め作業ヘッド306へ送られるようにされる。そして、第1Z軸スライド100が上昇させられて接続部422が接続部404から離間させられ、ねじ締め作業ヘッド306および一時貯蔵装置302が水平方向へ移動させられて作業が再開される。本実施形態の組付装置においては、第1Z軸スライド300に一時貯蔵装置302が設けられ、供給ユニット400においてZ軸方向に平行な一直線に沿って整列させられた複数個の雄ねじ部材14が、供給ユニット400から一時貯蔵装置302へ一括して送り出され、一直線上に整列した状態で貯蔵器310のZ軸方向に平行に延びる一直線状の貯蔵路314に一括して受け入れられるため、複数個の雄ねじ部材14の補給が一挙に、迅速に行われて補給時間が短くて済むとともに、一括送出,一括受入れが特に容易に行われる。
【0044】
さらに別の実施形態を図17に示す。本実施形態の作業装置たる塗布装置においては流動物たる接着剤500が回路基板に塗布される。作業ヘッドたる塗布ヘッド504は、流動物収容室たる接着剤収容室506と、吐出口508と、加圧装置510とを含む一時貯蔵部512と吐出ノズル513とを備え、X軸方向移動装置,Y軸方向移動装置,Z軸方向移動装置を含む運動付与装置たるヘッド移動装置(図示省略)により移動させられる。本Z軸方向移動装置はZ軸スライドを1つ備え、そのZ軸スライドに塗布ヘッド504が搭載されている。
【0045】
吐出口508は接着剤収容室506の最下部に設けられ、吐出ノズル513は吐出口508に連なり、接着剤収容室506から下方へ延び出す状態で設けられている。加圧装置510によって供給される加圧エアにより、フロート514を介して接着剤収容室506内の接着剤が加圧され、吐出口508を経て吐出ノズル513から、プログラム等によって予め設定されている所望量ずつ吐出され、回路基板に塗布される。接着剤収容室506の下端部にはコネクタ518が設けられ、接続部を構成している。このコネクタ518には、上記加圧時に接着剤収容室506内の接着剤がコネクタ518から流出することを防止する逆止弁(図示省略)が設けられている。塗布装置の本体には接着剤貯蔵装置530が設けられている。接着剤貯蔵装置530は接続部たるコネクタ532を有する。
【0046】
塗布ヘッド504は、コネクタ518,532の離間状態において、ヘッド移動装置により水平方向に移動させられるとともに下降させられ、回路基板の所望部分であって、プログラム等によって予め定められている塗布位置に対向させられ、設定量の接着剤を塗布する。接着剤収容室506内の接着剤500の量が不足すれば、塗布ヘッド504は接着剤貯蔵装置530へ移動させられるとともに下降させられ、コネクタ518がコネクタ532に接続され、接着剤貯蔵装置530から接着剤収容室506へ接着剤500が補給される。この際、吐出ノズル513の先端開口は、接着剤貯蔵装置530と共に設けられた閉塞装置534により塞がれ、接着剤500の漏れが回避される。補給後、塗布ヘッド504が上昇させられてコネクタ518,532が離間させられ、塗布が再開される。
【0047】
なお、作業ヘッドは複数設けてもよい。複数の作業ヘッドは同じものでもよく、異なるものでもよい。後者の場合、例えば、作業の種類は雄ねじ部材の締付けであって同じであるが、雄ねじ部材の種類が異なるものとされる場合や、作業の種類が異なる場合がある。
【0048】
また、雄ねじ部材を雄ねじ部の先端部をテーパ部とし、別の雄ねじ部材の頭部の溝状の被係合部に嵌入させられて一列に整列した状態に保たれるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
32:ねじ締め作業ヘッド 38,302:一時貯蔵装置 306:ねじ締め作業ヘッド 504:塗布ヘッド
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