(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記通気部は、前記ベルトのバックルが配置される領域には形成されないようにして、少なくとも着用者の仙骨と背骨のつなぎ目周辺に対応した腰部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のゴルフ用ボトム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献2は、確かに腰部周辺に網状布4を有するが、ベルト1が折り返されると、網状布4の一部はベルト1に隠れ、しかも二重に強く締付けられる。このため、結局、このベルト1で押さえ付けられた領域は、肌に密着して汗を効果的に逃がすことは不可能である。勿論、ベルト1で押える力を弱めれば、汗を効果的に逃がすことも可能かも知れないが、それだとズボンの腰部回りが緩くなってゴルフプレーに支障をきたす恐れがある。
なお、近年の素材の進歩により、生地自体に吸汗速乾機能のあるものもあるが、それでも、腰部はベルトで押さえ付けられることに変わりはなく、ベルトの下の汗を逃がすのは難しい。特に最近のベルトは太いものが多く、このような問題が広がっていると言える。また、生地が吸汗速乾機能があっても、腰部回りは型崩れしないように芯材を入れるのが通常であり、この芯材が汗を吸収する機能の邪魔になって、吸汗速乾機能が損なわれている。
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、ゴルフプレーに支障をきたすようなボトムの緩みを防止しつつ、腰部回りの蒸れを抑制できるゴルフ用ボトムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、着用者の腰部に巻き付けられるベルトを通すためのベルトループをボトム本体に接続したゴルフ用ボトムであって、前記ボトム本体には、前記ベルトが巻きつけられる領域であるベルト領域に、通気性を有する通気部が形成され、前記ベルトループは、前記通気部を跨ぐようにして表側に配置されており、前記通気部は、上から
前記ベルトで押さえ付けられても通気孔を有する表地と裏地とが互いに密着しないように、前記表地と前記裏地とが連結糸でつな
げられているシート状の立体編物からな
っており、前記シート状の立体編物は二つ折り状態とされており、前記ベルト領域には、前記通気部の表面と前記ベルトとの間に空間が生じるように、前記通気部の厚みに比べて大きい厚みを有する肉厚部分が、前記通気部の上下両端に隣接して形成されていることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、ゴルフ用ボトムは、着用者の腰部に巻き付けるベルトを通すためのベルトループがボトム本体に縫合するなどして接続されている。従って、ベルトループにベルトを通して、ゴルフプレーに支障がないように通常通りベルトを巻き付けて、着用者の体に対してボトム本体を位置決めできる。
そして、ベルトが巻きつけられるベルト領域には、厚み方向に通気性を有する通気部が形成されているため、腰部の汗を通気部を介して大気に放出することができる。
ここで、通気部は腰部に位置するため、例えば一般的なメッシュ地であると、剛性がないためにボトムの履き口周辺が緩くなって、プレーに支障をきたす恐れも生じる。その恐れを解消するには、ベルトを強く締める必要がある。しかし、ベルトループは通気部を跨ぐようにして表側に配置されているため、ベルトを強く締めると、通気部はベルトに覆われる上に、潰れた状態(ベルトが通気部を介して肌に密着するような状態)となり、通気部の通気性は悪化してしまう。
この点、本発明の通気部は、通気孔を有する表地と裏地とを連結糸でつなぐことで形成された立体編物からなっている。このため、所要の嵩高があって、型崩れのし難い通気部とすることができる。従って、ベルトで適度に押え付ければボトムの履き口周辺が緩くなることもなく、プレーに支障を及ぼすような事態にはならない。
そして、通気部は、上からベルトで押さえ付けられたとしても、表地と裏地とは互いに密着しないようになっているので、ベルトと肌との間に潰れない通気部を介在させることができる。そして、この通気部は連結糸でつないでいるだけなので、所要の可撓性は有しており、このため、例えばプレー時における体の動きに伴って、硬いベルトと可撓性のある通気部との間に隙間が出来て、そこから空気の流通を図れる。
【0009】
また、上記構成によれば、ベルト領域には肉厚部分があるので、ベルトと通気部との間に隙間をでき易くし、該隙間を介して、通気部を通ってきた湿気をより外部に放出し易くすることができる。また、もしベルトを強く締付けて、ベルトと通気部とが密着したとしても、肉厚部分により、より潰れにくい通気部とすることができ、通気性の悪化を防止することができる。
【0010】
また、好ましくは、前記通気部は、前記ベルトのバックルが配置される領域には形成されないようにして、少なくとも着用者の仙骨と背骨のつなぎ目周辺に対応した腰部に形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、通気部は、ベルトのバックルが配置される領域には形成されていないので、バックルが通気部の通気孔に引っかかる事態を防止できる。
そして、通気部は、少なくとも着用者の仙骨と背骨のつなぎ目周辺に対応した腰部に形成されている。この仙骨と背骨のつなぎ目周辺に対応した部分は、背中の少し窪んだ部分であって、ゴルフのプレー中に汗の溜まり易い部分であることが分かった。従って、この部分に通気部を配置することで、汗溜まりを防止して、あせも等の発生を有効に防止することができる。
【0011】
また、好ましくは、前記ゴルフ用ボトムはゴルフ用ズボンであり、前身頃の生地と後見頃の生地とを縫合して形成された脇線は、尻部から足首に向うに従って除々に前方に配置されるように斜めに延伸しており、着用者の大腿部に対応した位置には、ゴルフボールを収容するためのボールポケットを有し、前記ボールポケットは、ゴルフボールを挿入するための開口部が前記脇線の位置にあり、前記ゴルフボールを収容する袋状部が前記脇線よりも後身頃側に配置されていることを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、ズボンの脇線は縫合線であり、その周辺の部位に比べて剛性が高い。そのような剛性のある脇線が、尻部から足首に向うに従って除々に前方に配置されるように斜めに延伸しているので、膝を曲げてアドレスした時、膝の部分の脇線の角度は比較的大きくなり、ズボンの膝から下が前方に寄せられるような形になって、皺が出来にくい美しい形とすることができる。
また、着用者の大腿部に対応した位置には、ゴルフボールを入れるボールポケットを有しているが、このボールポケットは、ゴルフボールを挿入するための開口部が脇線の位置にあるので、その開口部が目立たなくなって、上述した脇線による美感を維持できる。
そして、この大腿部にあるボールポケットは、ゴルフボールを収容する袋状部が脇線よりも後身頃側に配置されているので、スイング時に邪魔になることがない。
この点、ボールポケットの袋状部が脇線よりも後身頃側にあると、袋状部からボールを取り出す際に、手首を後ろに曲げるようにして取り出す必要があるが、上述の通り、脇線は足首に向うに従って除々に前方に配置されるように斜めに延伸しているので、手首を大きく曲げる必要はなく、ボールの取り出し難さも解消されている。
【0013】
また、好ましくは、前記通気部は、前記腰部回り方向に比べて上下方向の伸縮性が低いことを特徴とする。
上記構成によれば、通気部は上下方向の伸縮性が比較的低いので、ポケットに物を入れても、特に、上述のようにボールポケットがあっても、ボトム本体が上下方向に伸びてしまうことを防止できる。また、通気部は腰部回り方向には伸縮性が比較的高いと、スイング時の腰の捻りが容易になるというメリットもある。
【発明の効果】
【0014】
以上、本発明によれば、ゴルフプレーに支障をきたすようなボトムの緩みを防止しつつ、腰部回りの蒸れを抑制できるゴルフ用ボトムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
また、以下の図において、同一の符号を付した箇所は、特に言及がない限り同様の構成である。
【0017】
〔ゴルフ用ボトムの概要等〕
図1〜
図3は本発明の実施形態に係るゴルフ用ボトム10であり、
図1はその正面図、
図2は部分背面図、
図3は右側面図である。なお、
図1の一点鎖線で囲った図は、ベルトが巻きつけられるベルト領域15の表側の概略部分拡大図である。
本実施形態のゴルフ用ボトム10は、ズボンを例示しており、腰部や臀部を覆う股上部12と、この股上部12よりも下側であって、二股に分かれて左右の脚部を覆う股下部14とからなるボトム本体16を有している。以下、「ゴルフ用ボトム10」を「ズボン10」と呼び、「ボトム本体16」を「ズボン本体16」と呼ぶ。
なお、本実施形態ではズボン10を用いて説明するが、本発明のボトムはズボン10に限られるものではなく、スカートであっても構わない。
【0018】
ズボン本体12の股上部12は、下半身を挿入するための履き口20を有している。履き口20は、前身頃の中央部のボタン18を外すと共に、縦の切れ目に設けられたファスナー(不図示)を開けることで、その開口面積を大きくすることができる。
ボタン18が接続された領域には、型崩れを防止すると共にボタン18を確実に固定するため、内部に所定の剛性を有する芯材(不図示)が縫合されている。
【0019】
履き口20の周縁部は、ズボン10が着用された状態では、着用者の腰骨の位置KNよりも少し上の腰部に配置され、ベルトが巻きつけられる領域であるベルト領域15となる。このベルト領域15には、腰回りに互いに間隔をあけて配置され、ベルトを通すための複数のベルトループ30が設けられている。
ベルトループ30は、前身頃では少なくとも2個所のループ30a,30bを有し、この2個所のループ30a,30bは、ベルトのバックルBC(
図6参照)が配置される中央領域に隣接して、その左右両脇に配置されている。また、ベルトループ30は、
図3に示すように両脇に2個所、
図2に示すように後見頃にも所要の数だけ設けられている。
なお、股上部12には、前身頃側に左右のポケット26、後見頃側に左右のポケット27が設けられている。
【0020】
本実施形態のズボン10は長ズボンであって、その股下部14は、筒状になって左脚の足首までを覆う左脚部14aと、筒状になって右脚の足首までを覆う右脚部14bとを有している。この左脚部14aと右脚部14bには、前見頃の生地と後見頃の生地とを縫合して形成される縫い目である脇線70があり、この脇線70は
図3に示すように、股上部12から股下部14にかけて形成されている(なお、脇線はサイドシームとも呼ぶことができる)。
【0021】
この脇線70には特徴があり、尻部付近に対応した位置HPでは両脇(
図3の側面の腰回り方向Xの略中央部)に配置され、足首(
図1及び
図3の下側)に向うに従って除々に前方に配置されるように斜めに延伸している。そうすると、
図3の二点鎖線で示すように膝NDを曲げてアドレスをした時、膝NDより下の位置では、脇線70は脇よりも前方に配置され、膝NDの部分に皺が可及的に生じないようにすることができる。即ち、
図3の二点鎖線の脇線70−1に示すように、脇線70−1が脇の中央に沿ってそのまま延伸している場合、膝NDの部分の角度θ2は比較的小さくなり、その分、皺ができ易くなる。しかし、本実施形態の膝NDの部分の角度θ1は角度θ2に比べて大きく、ズボン10の膝から下を前方に寄せるような形にして、皺が出来にくい美しいフォルムとすることができる。
なお、この脇線70には、美しいフォルムだけではなく、ゴルフボールを収容するためのボールポケット40からゴルフボールを出し入れし易くする機能も有する(この点については、後で説明する)。
【0022】
〔ベルト領域、特に通気部の構成〕
図1に示すように、ズボン10は、ベルトが巻きつけられる領域であるベルト領域15に、通気性を有する通気部28が形成されている。
通気部28は、汗を大気に放出するための通路であり、
図1の一点鎖線で囲った図に示すように、厚み方向に貫通する多数の通気孔35を有している。なお、通気孔35以外の部分36は、例えば、ポリエステルやナイロン等の合成樹脂製の糸で、結節部がないようにラッセル編み等で形成されている。
【0023】
この通気部28は、
図2に示すように、特に、着用者の仙骨SBと背骨CBのつなぎ目周辺に対応した腰部CRに形成されるのが好ましい。この仙骨SBと背骨SBのつなぎ目周辺に対応した部分は、背中の少し窪んだ部分であって、汗が溜まり易く、あせも等になる恐れのある部分だからである。なお、通気部28については、腰部CRの部分を他の部分よりも大きな面積にして、通気性を向上させてもよい。
【0024】
本実施形態の場合、通気部28は、
図1〜
図3の平行斜線を付した部分に配置されている。なお、図では、通気部28はベルトループ30に隠れているが、ベルトループ30がある位置にも形成されており、ベルトループ30は通気部28を跨ぐようにして表側に配置されている。
即ち、本実施形態では、腰部回りにおいて、前身頃のベルトのバックルBC(
図6参照)が配置される中央領域(左右のループ30a,30bの間)以外は、通気部28を有している。バックルの位置に通気部28を配置しなかったのは、糸を編んで形成された通気孔35にバックルが引っかからないようにするためである。
【0025】
このような通気部28については、更に特徴を有しており、以下、主に
図4を用いて、詳細に説明する。
図4は、
図1のA−A概略断面図であり、
図4(A)はベルトをしていない状態の概略断面図、
図4(B)はベルトを締め付けた状態の概略断面図である。なお、一点鎖線で囲った図は拡大図である。また、図が煩雑になるため、一点鎖線で囲った図以外は、断面を表す平行斜線を付していない。
この図に示されるように、通気部28は、表地50と裏地51とを連結糸52でつなぐことで形成されたダブルラッセル立体編地等の立体編物54からなっている。
表地50と裏地51は、ラッセル編等の同様の編み方であっても構わないが、本実施形態の場合、表地50は、
図1の一点鎖線で囲った図に示すように、例えばラッセル編やチュールメッシュ編のように概ねハニカム状の多数の通気孔35が形成されるように編まれ、これに対し、裏地51は、
図9に示すように、上下に沿った糸TP1と斜めに交差する糸TP2とで多数の通気孔35が形成されるようにしている。
連結糸52は、釣り糸のような所要の剛性を有する合成樹脂製のモノフィラメントで形成されるのが好ましく、これを表地50と裏地51との間の空間S1で密にならないように(湿気が通るように)トラストのような形状で編んで形成されている。これにより、
図4(B)に示すように、ベルトBLを締めて上から押え付け、通気部28を潰す方向に力Fがかかったとしても、連結糸52が梁としての機能を果たして、表地50と裏地51とが互いに密着することを防止して、通気性を確保できる。なお、本発明の連結糸52については、上述したトラスト構造に限られるものではなく、例えば
図5に示すようにクロス構造であっても構わない。
【0026】
さらに本実施形態の場合、表地50と裏地51とを連結糸52でつなぐ立体編物54がシート状になっており、このシート状のものを図のように二つ折りすることで、通気部28が形成されている。このため、外側の生地50−1と肌側の生地50−2とが密着する恐れは相当に低く、その間の空間S2が潰されることを防止している。
また、このように二つ折りすることで、通気部28は、通常のメッシュ生地とは異なり、相当の嵩高感を有する剛性を確保することができ、しかも、厚み方向Dに若干のクッション性も発揮することができる。従って、通気部28がズボンを位置決めするための部位にあっても、型崩れを防止することができ、そして、通気部28をベルトBLで適度に押え付ければズボンが緩くなることもなく、プレーに支障を及ぼすような事態にはならない。
【0027】
そして、ベルト領域15には、通気部28の厚みW1に比べて大きい厚みW2を有する肉厚部分19が、通気部28の上下両端に隣接して形成されている。そうすると、
図4(B)に示すように、ベルト領域15にベルトBLが巻かれると、通気部28の表面(外側の生地50−1の表面)とベルトBLとの間に空間S3ができ易くなる。従って、肌側から伝わってきた湿気を含む空気流AR1は、通気孔35、連結糸52のある空間S1、外側の生地50−1と肌側の生地50−2との間の空間S2を通って、通気部28の表面とベルトBLとの間の空間S3への移動が可能となる。
【0028】
この空間S3に移動してきた湿気は、
図6の空気流AR1として外部に放出できる。
即ち、
図4に示す立体編物54は、基本的に糸で編んだ表地50と裏地51、及び連結糸52からなっているので可撓性を有しており、そして、肉厚部分19は、この可撓性のある立体編物54の上に、可撓性のある生地を重ねて形成されている。従って、肉厚部分19全体として可撓性を有し、少なくともベルトBLより柔軟である。このため、
図6のV方向から視認した
図7に示すように、ベルトBLと肉厚部分19との間に、隙間S4ができ(特に、プレー中の運動によって、隙間S4は生じ易くなる)、この隙間S4から湿気を外部に放出することができる。
ところで、
図4に示すように、シート状の立体編物54は二つ折りにされ、折り曲げ加工された方54aを上にしているが、本発明はこれに限られず、折り曲げ加工されていない方54bを上にしてもよい。これにより、折り曲げ加工されていない方54bは相対的に剛性が低いため、
図7に示す隙間S4を増やして、
図6に示すように履き口20の方から空気流AR1を放出し易くなる。なお、ベルト領域15の下側は相対的に剛性が高くなって、腰骨に係止されるようにしてズボン10のずり落ちを抑制できる。
【0029】
また、
図4に示す肉厚部分19を構成する立体編物54以外の生地45は、吸汗速乾機能を有している。吸汗速乾機能は、例えば、毛細管現象で吸収した汗を、表面にいくほど繊維密度が高くなる構造により生地表面に導いて、表面で汗を拡散させて素早く乾燥させるという機能であり、そのような機能を有する生地45として、例えば東レのフィールドセンサー(商標)を利用できる。従って、生地45の内、ベルトBLに密着していない部分45aの内側に汗が溜まれば、
図4(B)の矢印AR2に示すように、この部分45aから汗を外部に放出することもできる。
【0030】
なお、
図1に示すように、通気部28は多数の通気孔35を有するため、表面が凹凸状になっている。従って、ズボン10の内側に入れた下着等のズレ防止することもできる。
また、
図4に示すように、ズボンの内側にはシリコンテープ等の滑り止め39が、ベルト領域15の下側に配置されており、通気部28と協働して、下着等のズレを防止している。
【0031】
〔ボールポケットについて〕
次に、ボールポケット40について、上述した
図3、及び
図8を用いて説明する。
図8は、ボールポケット40の開口部42を開けて、上側から見た斜視図である。
図3及び
図8に示されるように、ボールポケット40は、手を下に下げて手が届く大腿部に対応した位置に設けられている。
ボールポケット40は、ゴルフボールGBを収容するための袋状部44を有している。袋状部44にはピン等のその他の物品を入れても勿論構わない。
この袋状部44は、正面視が概ね台形状をしており、また、主に下側に所定のマチ44aを有し、ゴルフボールGBが袋状部44の下側に2個まで入るようになっている。
【0032】
このようなボールポケット40は、ゴルフボールGBを挿入するための開口部42が上述した脇線70と同じ位置に形成されている。従って、脇線35と開口部42のための縫い目とが同化して、ボールポケット40は目立ち難くなっており、上述した脇線70による美感を維持することができる。
なお、開口部42にはファスナー49が設けられて、開閉自在となっている。このファスナー49を含め、ボールポケット40はその他の股下部14と同様の色彩である。
また、マチ44aがあまり広がらないように、袋状部44の下側の角部44bは縫合され、より袋状部44を目立たなくさせている。
【0033】
このようなボールポケット40の袋状部44は、脇線70よりも後身頃側に配置されているので、スイング時に邪魔になることがない。
しかも、開口部42は、足首に向うに従って除々に前方に配置されるように斜めに延伸した脇線70の位置にあり、これにより袋状部44は、
図3に示すように、側面において、腰回り方向Xの略中央に配置される具合となっている。従って、袋状部44が脇線70よりも後身頃側にあっても、
図8に示すように、余り手を後身頃側に曲げなくてもゴルフボールGBを取り出すことができる。
【0034】
ところで、このようにボールポケット40を入れると、入れたゴルフボールGBの重みで、ズボン本体16は下側に引っ張られる。そこで、
図1及び
図4の通気部28は、腰部回り方向Xに比べて上下方向Zの伸縮性を低くして、ズボン本体16の上下方向Zの伸びを防止している。
具体的には、上述したように、通気部28の表地と裏地はポリエステルやナイロン等の合成樹脂製の糸で編まれているが、
図9に示すように、裏地51については、略上下方向Zに沿う糸TP1を有するように編まれているため、この編み方で上下方向Zの伸縮性を低くしている。
また、
図9に示すように、裏地51については、横方向(
図1の腰部回り方向)Xに沿った糸は存在しないため、通気部28の腰部回り方向の伸縮性は比較的高くなり、スイング時の腰の捻りが容易になるというメリットも有し、ゴルフ用ズボンとして優れた機能を発揮する。
【0035】
本発明は上述の実施形態に限定されない。
実施形態で説明した各構成の一部は省略可能であり、また、説明しない他の構成と組み合わせることも可能である。
例えば、
図4に示すように、通気部28は、好ましい形態として、表地50と裏地51とを連結糸52でつないだシート状の立体編物54を二つ折りして形成しているが、本発明はこれに限られるものではなく、二つ折りにしない立体編物54を通気部にしてもよい。